JP3987698B2 - 結線方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電線と他の電線や電線以外の他の部位とを接続するための結線方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ワゴンやレクリエーションビークル等の車両には、ドアパネルを車両の前後方向にスライドさせることで乗降口を開閉するスライドドアを採用したものがあり、更には、ドアパネルをモータ等の駆動手段の駆動力によってスライドさせる自動スライドドア装置も採用されている。
【0003】
また、自動スライドア装置には、ドアパネルが乗降口を閉じる方向へスライドする際の異物の挟み込みを検出するために、このスライド方向側のドアパネルの端部に感圧センサを取り付ける場合がある。この感圧センサは、ドアパネルのスライドに伴い感圧センサが異物を押圧した際の異物からの押圧反力を検出する構成となっている。
【0004】
この種の感圧センサの一例としては、ゴム材等の所定の弾性を有する絶縁材料によってドアパネルの高さ方向に沿って長手方向とされた中空長尺状の外皮部の内部に、各々が長尺紐状に形成された複数本の電極線を設けた構成がある。
【0005】
この構成の感圧センサでは、異物からの押圧反力による外皮部の弾性変形に伴い複数本の電極線の何れかが撓み、これにより撓んだ電極線が他の電極線へ接触する。この電極線同士が接触することによる、感圧センサを含む電気回路を流れる電流の電流値や回路の抵抗値等の電気的な変化を検出することで外皮部に外力が作用したこと、すなわち、異物を挟み込んだことを検出するようになっている。
【0006】
一方、このような感圧センサに用いられる電極線には銅や銅を含む合金の細線を素線として、この素線を複数(多数)本撚り合わせて全体として所定の外径寸法にした芯線が用いられている。
【0007】
この種の芯線を利用した電極線は、その先端側が外皮部から引き出され、更に、電極線の先端部がターミナルやリード線等の接続手段に設けられた金属片等の接続片に機械的且つ電気的に接続される。電極線は、この接続手段を介して抵抗値や電流値の変化を検出するための検出素子等の検出手段や、抵抗値や電流値の変化に基づいて外力が外皮部に作用したか否かを判定するコンピュータ等の判定手段、更には、電極線へ電気を供給するためのバッテリー等の電源へ電極線が電気的に接続される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような芯線を利用した電極線は、その先端側を外皮部から露出させるために、外皮部の一部を除去すると、芯線を形成する素線が互いに離間する所謂「ばらけ」が生ずることがある。
【0009】
このように電極線の先端側で素線にばらけが生じたままでは、接続片等への接続が困難になるため、ばらけた素線を再び撚り合わせなくてはならない。
【0010】
また、単に撚り合わせただけでは、素線が再びばらけてしまうため、通常は、半田上げ等が行なわれる。
【0011】
半田上げは、溶融した半田を収容した半田槽に電極線の先端部を浸付けして引き上げることで、撚り合った素線(すなわち、芯線)の周囲に半田膜を形成して一体に纏めるものである。
【0012】
このようにして半田上げを行なった後、別途、接続手段の接続片へ電極線(芯線)の先端部を半田付けしたり、又は、接続片に予め形成された熱かしめ用の爪部へ電極線(芯線)の先端部を係合させた状態で爪部をかしめて接続片と電極線(芯線)の先端部とを接続している。
【0013】
しかしながら、半田上げや接続のための半田付けに用いられる半田は、鉛を含む合金であるため、半田のような鉛を含む合金を使用しないで電極線(芯線)と接続片等とを接続する方法が切望されていた。
【0014】
また、接続片に熱かしめ用の爪部を形成した場合、爪部に対する電極線の厳格な位置合わせが必要となるため、作業に熟練を要したり、また、自動化が困難である等、コスト高の要因の一つとなっていた。
【0015】
本発明は、上記事実を考慮して、結線に鉛を含む合金を使用することなく、しかも、厳格な位置合わせ等の煩雑な作業が不要な結線方法を得ることが目的である。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明は、各々が導電性を有する長尺の素線を複数本束ねることで形成された複数本の芯線を有すると共に、前記複数本の芯線が絶縁性の外皮部の内部に収容されて一体とされた電線の先端部を、所定の結線部へ一体的に接続して前記複数本の芯線のうち、少なくとも1本の先端部を前記結線部へ電気的に導通させるための結線方法であって、前記芯線の先端側において前記外皮部を除去し、前記先端側で前記芯線を外部に露出させる外皮部除去工程と、制限部材に形成されて内径寸法が前記芯線の外径寸法よりも僅かに大きな透孔に、前記芯線の先端側を貫通させる制限部材セット工程と、前記制限部材セット工程よりも後に設定されて、前記芯線の先端部を加熱して前記素線の先端部を溶融させ、前記複数本の素線の各先端部を一体に纏めて前記芯線の先端部に溶融していない前記芯線よりも大径とされた略粒形状又は略球形状の接続部を形成すると共に、前記芯線を加熱溶融して前記接続部を形成する際に前記芯線の先端側へ向いた側の前記制限部材の面に前記接続部を到達させる溶融工程と、前記溶融工程後に硬化した前記接続部の大径部分と前記結線部とを溶接して結線する溶接工程と、を有することを特徴としている。
【0024】
上記構成の結線方法では、先ず、外皮部除去工程で芯線の先端側で外皮部が除去され、これにより、先端部から基端側へ一定範囲(一定長さ)だけ芯線が外部に露出する。この外皮部除去工程の後には制限部材セット工程で制限部材に形成された透孔に芯線の先端側が貫通させられる。
【0025】
次いで、溶融工程では、外部に露出した芯線の先端部が熱せられ、この加熱により各素線の先端部が溶融させられる。
【0026】
各素線の先端部は溶融して液状になることで表面張力が作用して、溶融した部分は溶融していない部分よりも外径寸法が大きな粒状(例えば、略球状)となる。さらに、素線の先端部は溶融状態で粒状となることにより、同様に溶融して粒状となった隣接する他の素線の先端部に接触し、この他の素線の先端部と一体となる。このようにして全て若しくは大部分の素線の先端部は、一体に纏まり、溶融していない芯線の基端側よりも外径寸法が大きな接続部となる。
また、上記のように、素線は先端部から溶融させられるが、素線は溶融することで先端部が漸次基端側へ変位する。ここで、本結線方法では芯線の先端側へ向いた側の制限部材の面に接続部が達するまで芯線が溶融させられると、芯線の溶融が終了する。
【0027】
次いで、上記の加熱を終了して溶融状態の接続部を硬化させる。さらに、溶接工程では、硬化した接続部が所定の結線部へ接触させられ、この状態で接続部と結線部とが溶接される。これにより、接続部(すなわち、導電体)と所定の結線部とが機械的に一体に接続されると共に電気的に導通される。
【0028】
ここで、本結線方法では、上記の溶融工程で各素線の先端部が溶融して一体となるため、素線のばらけが生じることはない。
【0029】
しかも、芯線の先端部(すなわち、接続部)では、素線の先端部が一体となっているため、結線部へ溶接した際に全て若しくは大部分の素線が確実に結線部へ固着されると共に、上記のように素線のばらけが生じないことで一定の溶接品質を得ることができる。
【0030】
また、上記構成の結線方法では、芯線の先端部に形成された接続部は、芯線の溶融していない部分よりも外径寸法が大きな略粒形状又は略球形状となる。これにより、接続部は芯線の溶融していない部分よりも外径寸法が大きくなる。このように、接続部の外径寸法が芯線の溶融していない部分での外径寸法よりも大きくなることで、溶接工程において結線部に対する接続部の位置が多少ずれていたとしても、結線部と接続部とを接触させることができ、これにより、結線部に対する接続部の位置決めが容易になる等、結線工程における結線部への溶接作業が容易になる。
さらに、上記構成の結線方法によれば、外皮部除去工程で外皮部が除去されて芯線が露出した電線の先端側は、制限部材セット工程で制限部材に形成された透孔に芯線の先端側が通過させられ、この状態で芯線の素線が先端から溶融させられる。このため、例えば、複数本の芯線の各先端部をそれぞれ溶融して接続部を形成する際には、格別、各接続部の形成位置を考慮しなくても各接続部の形成位置を揃えることができる。
また、上記のように、芯線を先端側から溶融する際には、制限部材の透孔を芯線の先端側が通過している。したがって、芯線のうち、透孔内に位置する部分及び透孔よりも基端側の部分は溶融しない。このため、溶融工程終了後に制限部材を電線から外せば接続部よりも基端側の所定範囲(少なくとも、透孔内に位置した部分)では、溶融しない部分が残る。これにより、例えば、溶接工程で溶接を施すにあたり、あらためて外皮部を除去する必要がない。これにより、工数の軽減を図ることができる。
【0031】
なお、本結線方法において、溶融工程における具体的な芯線(素線)の溶融方法及び溶接工程における接続部と結線部との具体的な溶接方法に関しては特に限定するものではなく、様々な溶融方法並びに溶接方法を適宜に選択して構わない。
【0040】
請求項2記載の本発明は、各々が導電性を有する長尺の素線を複数本束ねることで形成された複数本の芯線のうち少なくとも1本を、所定の結線部へ一体的に接続してするための結線方法であって、前記複数の芯線をその長手方向に対して直交する向きに直線的に並べた状態で、前記複数の芯線の先端部を1本ずつ順番に加熱して前記素線の先端部を溶融させ、前記各芯線を構成する複数本の素線の各先端部を一体に纏める溶融工程と、前記溶融工程にて前記複数本の素線が一体的に纏められた前記複数の芯線のうち、前記結線部に対応した芯線の先端部を接続部として前記結線部へ溶接して結線する溶接工程と、を有することを特徴としている。
【0041】
上記構成の結線方法では、先ず、複数の芯線がその長手方向に対して直交する向きに直線的に並べられた状態で、溶融工程で複数の芯線の先端部が1本ずつ熱せられ、この加熱により各芯線を構成する各素線の先端部が溶融させられる。各素線の先端部は溶融した状態で隣接する他の素線の先端部に接触して互いに溶着されることで一体となる。このようにして、同一の芯線を構成する全て若しくは大部分の素線の先端部が一体に纏まる。
次いで、上記の加熱を終了して溶融状態の芯線の先端部が硬化され、さらに、溶接工程では、先端部が硬化した複数の芯線のうち、結線部に対応した芯線の先端部が接続部として所定の結線部へ接触させられ、この状態で接続部と結線部とが溶接される。これにより、接続部(すなわち、導電体)と所定の結線部とが機械的に一体に接続されると共に電気的に導通される。
【0042】
ここで、本結線方法では、上記の溶融工程で各素線の先端部が溶融して一体となるため、素線のばらけが生じることはない。
しかも、芯線の先端部(すなわち、接続部)では、素線の先端部が一体となっているため、結線部へ溶接した際に全て若しくは大部分の素線が確実に結線部へ固着されると共に、上記のように素線のばらけが生じないことで一定の溶接品質を得ることができる。
また、上記のように、各素線が溶融されて一体に纏まった状態おいて芯線の先端部に作用する表面張力等により、芯線の先端部、すなわち、接続部は他の部分よりも外径寸法が大きくなる。このため、結線工程における結線部への溶接作業が容易になる。
なお、本結線方法において、溶融工程における具体的な芯線(素線)の溶融方法及び溶接工程における接続部と結線部との具体的な溶接方法に関しては特に限定するものではなく、様々な溶融方法並びに溶接方法を適宜に選択して構わない。
【0043】
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2記載の結線方法において、前記溶融工程における前記芯線の先端部近傍の雰囲気を、不活性ガス雰囲気若しくは中性ガス雰囲気としたことを特徴としている。
【0044】
上記構成の結線方法では、溶融工程において少なくとも芯線の先端部近傍の雰囲気が不活性ガス雰囲気若しくは中性ガス雰囲気とされるため、素線が溶融している際に素線の先端側が酸化することを防止若しくは軽減できる。このため、溶融工程前に接続部の表面処理(酸化膜等の除去)が不要となる。
【0058】
【発明の実施の形態】
<第1の実施の形態の構成>
図1には本発明の第1の実施の形態に係る感圧センサ10のセンサ本体11の構造が斜視図により示されており、図2にはセンサ本体11の構造が断面図により示されている。
【0059】
これらの図に示されるように、本感圧センサ10のセンサ本体11は、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム等の絶縁性を有するゴム材、又は、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合体、エチレンメチルメタクリレート共重合体、ポリ塩化ビニル、オレフィン系、或いはスチレン系の熱可塑性エラストマ等、絶縁性を有する弾性材によって長尺状に形成された外皮部12を備えている。
【0060】
図2に示されるように、外皮部12の内部には断面十字形状の十字孔14が形成されている。十字孔14は、外皮部12の長手方向に沿って連続し、且つ、長手方向に沿って外皮部12の中心周りに漸次変位している。また、外皮部12の内部には芯線を含む電線としての電極線16、18、20、22が設けられている。これらの電極線16〜22は、銅線等の導電性細線により構成される素線15を寄り合わせることで可撓性を有する長尺紐状に形成されている。
【0061】
また、これらの電極線16〜22はチューブ23を備えている。これらのチューブ23は、可撓性及び導電性を有する導電性ゴム材により長尺の筒形状に形成されており、各電極線16〜22の芯線(すなわち、撚り合わされた素線15)を被覆している。
【0062】
なお、本実施の形態では、電極線16〜22の各々は導電性のチューブ23を備え、チューブ23で芯線を構成する素線15を被覆する構成であったが、図15に示されるように、チューブ23を備えずに、素線15だけで電極線16〜22の芯線を形成してもよい。
【0063】
これらの電極線16〜22は十字孔14の中央近傍で十字孔14を介して互いに離間し且つ十字孔14に沿って螺旋状に配置され、十字孔14の内周部へ一体的に固着されている。したがって、十字孔14が弾性変形することで電極線16〜22は撓み、特に、十字孔14が潰れる程度に外皮部12が弾性変形すれば、電極線16〜22のうちの何れか、若しくは全てが接触して導通する。また、十字孔14が元の形状に復元すれば電極線16〜22もこれに伴い復元する。
【0064】
図9の回路図に示されるように、電極線18の長手方向一端部は、所定の電気抵抗を有する抵抗24の一端に接続されており、抵抗24の他端には電極線20とは長手方向一端部が接続されている。一方、電極線18の長手方向他端部は電極線22の長手方向他端部へ接続されており、電極線20の長手方向他端部は電極線16の長手方向他端部へ接続されている。すなわち、電極線16は、電極線20、抵抗24、及び電極線18を介して電極線22に直列に接続されている。
【0065】
さらに、電極線16、22の各々の長手方向一端部はコード26を介して電源へ接続されている。但し、電極線22だけは、所定値以上の所定値以上の電流が回路中を流れた場合に、電気的な検出信号を発信する電流検出素子28を介して電源へ接続されている。
【0066】
一方、図3乃至図5に示されるように、外皮部12の長手方向一方の端部(電極線16〜22の長手方向一端側での外皮部12の端部)には支持部材30が設けられている。図8に示されるように、支持部材30は幅寸法が外皮部12の外径寸法と略同一か或いは外皮部12の外径寸法よりも僅かに大きく、厚さ寸法が外皮部12の外径寸法よりも薄い板形状とされており、硬質で且つ絶縁性を有する合成樹脂材等によって形成されている。
【0067】
図3に示されるように、支持部材30の長手方向中間部よりも外皮部12とは反対側の部分の表側(図5の矢印A方向側)には上述した抵抗24が設けられている。また、支持部材30の長手方向中間部よりも外皮部12側の表面側には一対の縦壁32、34が二組、支持部材30の幅方向に沿って平行に立設されている。縦壁32と縦壁34との間隔は、電極線18、20の長手方向一端部、及び抵抗24の両端から延出されたリード線36、38を配置できる程度以上とされている。
【0068】
また、支持部材30の表側(すなわち、抵抗24が設けられた側)の縦壁32と縦壁34との間には結線部としての一対の導通片40が設けられている。各導通片40は金属等の導電性材料により細幅で薄肉の板状に形成されている。
【0069】
一方の導通片40にはリード線36が半田等によって一体的に固着され、これにより、一方の導通片40とリード線36とが電気的に接続されている。また、この一方の導通片40には、電極線18の長手方向一端部に形成された接続部42が後述する溶接工程によって互いに溶融した状態で一体的に固着されており、これにより、一方の導通片40と電極線18とが電気的に接続されている。
【0070】
また、他方の導通片40にはリード線38が半田等によって一体的に固着され、これにより、他方の導通片40とリード線38とが電気的に接続されている。また、この他方の導通片40には、電極線20の長手方向一端部に形成された接続部42が後述する溶接工程によって溶融した状態で一体的に固着されており、これにより、他方の導通片40と電極線20とが電気的に接続されている。
【0071】
これに対し、図4に示されるように、支持部材30の裏面側には一対の縦壁48とこれらの縦壁48の間に設けられた縦壁50が支持部材30の長手方向に沿って平行に立設されている。縦壁48と縦壁50との間隔は、電極線16、22を配置できる程度以上とされている。また、コード26側での縦壁48と縦壁50との間隔は、電極線16、22側での間隔よりも広く、電極線16、22よりも太いコード26の導線部52を縦壁48と縦壁50との間に配置できる。
【0072】
また、縦壁48、50よりも支持部材30の一端側の幅方向両端部からは裏方向側へ向けて縦壁58が立設されている。これらの縦壁58は導線部52が縦壁48と縦壁50との間に配置された状態でコード26の外皮部が接触するようになっており、コード26の外皮部が接触することによって外皮部に被覆されていない部分での導線部52の無理な屈曲が生じないようになっている。
【0073】
さらに、縦壁48と縦壁50との間にも結線部としての一対の導通片40が設けられている。
【0074】
一方の導通片40には、一方のコード26の芯線の端部が半田や溶接等によって一体的に固着され、これにより、一方の導通片40と一方のコード26の芯線とが電気的に接続されている。また、この一方の導通片40には、電極線16の長手方向一端部に形成された接続部42が後述する溶接工程によって互いに溶融した状態で一体的に固着されており、これにより、一方の導通片40と電極線16とが電気的に接続されている。
【0075】
これに対し、他方の導通片40には、他方のコード26の芯線の端部が半田や溶接等によって一体的に固着され、これにより、他方の導通片40と他方のコード26の芯線とが電気的に接続されている。また、この他方の導通片40には、電極線22の長手方向一端部に形成された接続部42が後述する溶接工程によって互いに溶融した状態で一体的に固着されており、これにより、他方の導通片40と電極線22とが電気的に接続されている。
【0076】
また、図3及び図4に示されるように、各導通片40に対応して支持部材30には透孔44が形成されており、後述する溶接工程においては導通片40とは反対側から透孔44へアース(接地)用の電極棒99を挿入できるようになっている。
【0077】
ここで、図1には、導通片40に固着される前の電極線16〜22が示されている。この図に示されるように、各電極線16〜22の長手方向一端部には、接続部42が形成されている。上述したように、各電極線16〜22は基本的に銅線等の素線15を束ねて撚り合わせることにより形成されているが、導通片40に固着される前の状態で接続部42は、接続部42以外の部分とは異なり素線15を撚り合わせた状態ではなく先端が一個の銅の塊となっており、全体的には略粒形状若しくは略球形状になっている。
【0078】
これらの接続部42は、後述する溶融工程により形成されており、対応する電極線16〜22を構成する素線15が溶融して一体的に固着することで形成されている。
【0079】
また、この略粒形状若しくは略球形状の接続部42の外径寸法は、各電極線16〜22の接続部42以外の部分での外径寸法よりも大きい。
【0080】
一方、支持部材30のセンサ本体11側の端部からはスペーサ60が延出されている。図8に示されるように、このスペーサ60は断面十字形状とされており、その軸方向(図8の矢印B方向)中間部から軸方向先端側へかけてはその十字の中央から幅方向(図8の矢印C方向)先端部までの寸法が漸次小さくなるテーパ状とされている。
【0081】
また、スペーサ60の基端側での大きさは、十字孔14に対応しており、外皮部12の端末部分から支持部材30のセンサ本体11側の端部が外皮部12の端部へ当接するまでスペーサ60を十字孔14内へ挿入すると、外皮部12の端部の極近傍でスペーサ60が十字孔14を埋める。スペーサ60を挿入した状態では、スペーサ60の板厚方向へ向けて外皮部12を押圧したとしてもスペーサ60によって電極線16〜22の接触が阻止される。したがって、外皮部12の端末部分のスペーサ60が挿入された部分では、感圧センサ10は不感帯とされる。
【0082】
さらに、図3乃至図5に示されるように、外皮部12の端末部分にはシール部62が形成されている。このシール部62は、加熱されることにより液状或いはゾル状等の流動体となる熱可塑性の合成樹脂材やゴム材等の絶縁材料により形成されており、外皮部12の端末部分近傍部分、支持部材30の全て、及びコード26の支持部材30近傍部分を被覆して一体とし、外皮部12の端末部分を封止すると共に支持部材30を封入している(なお、以下の説明では、シール部62の形成素材に合成樹脂材を用いたものとして説明するが、ゴム材等の他の部材の適用を否定するものではない)。
【0083】
また、詳細は後述するが、シール部62は合成樹脂材が溶融した状態で外皮部12の端末部分近傍からコード26の支持部材30近傍部分までの間に設けられて硬化することで形成されているため、例えば、抵抗24等の各部材の周囲の細かな隙間にまで合成樹脂材が入り込んでおり、各部材を所定の位置で支持している。
【0084】
一方、図6及び図7に示されるように、外皮部12の長手方向他方の端末部分には支持部材64が設けられている。この支持部材64もまた支持部材30と同様に幅寸法が外皮部12の外径寸法と略同一か或いは外皮部12の外径寸法よりも僅かに大きく、厚さ寸法が外皮部12の外径寸法よりも薄い板形状とされており、硬質で且つ絶縁性を有する合成樹脂材等によって形成されている。
【0085】
図6に示されるように、支持部材64の表面側には、一対の縦壁66とこれらの縦壁66との間に設けられた縦壁68が、支持部材64の長手方向に沿って平行に立設されている。縦壁66と縦壁68との間隔は、外皮部12の端末部分から引き出された電極線16、20の長手方向他端部を配置できる程度以上とされている。また、支持部材64には結線部としての薄肉板状の導通片70が設けられている。
【0086】
導通片70は金属等の導電性材料によって略U字形状に形成されており、U字の各端部に対応する部分は両方の縦壁66と縦壁68との間に位置している。導通片70の一端側には、電極線16の長手方向他端部に形成された接続部72が、後述する溶接工程によって互いに溶融した状態で一体的に固着されており、これにより、導通片70と電極線16とが電気的に接続されている。また、導通片70の他端側には、電極線20の長手方向他端部に形成された接続部72が、後述する溶接工程によって溶融した状態で一体的に固着されており、これにより、導通片70と電極線20とが電気的に接続され、導通片70を介して電極線16と電極線20とが直列に接続される。
【0087】
一方、図7に示されるように、支持部材64の裏面側には、一対の縦壁80とこれらの縦壁80の間に設けられた縦壁82が、支持部材64の長手方向に沿って平行に立設されている。縦壁80と縦壁82との間隔は、外皮部12の端末部分から引き出された電極線18、22の長手方向他端部を配置できる程度以上とされている。
【0088】
さらに、支持部材64の裏側には結線部としての導通片70が設けられている。支持部材64の裏側の導通片70の一端側には電極線18の長手方向他端部に形成された接続部72が、後述する溶接工程によって互いに溶融した状態で一体的に固着されており、これにより、他方の導通片70と電極線18とが電気的に接続されている。また、導通片70の他端側には電極線22の長手方向他端部に形成された接続部72が、後述する溶接工程によって溶融した状態で一体的に固着されており、これにより、導通片70と電極線22とが電気的に接続され、導通片70を介して電極線18と電極線22とが直列に接続される。
【0089】
また、これらの導通片70に対応して支持部材64にも透孔44が形成されている。
【0090】
以上の接続部72もまた接続部42と同様に導通片70に固着される前の状態では素線15を撚り合わせた状態ではなく、先端が一個の銅の塊となっており、後述する溶融工程により対応する電極線16〜22を構成する素線15が溶融して一体的に固着することで全体的には略粒形状若しくは略球形状になるように形成されている。
【0091】
また、この略粒形状若しくは略球形状の接続部72の外径寸法は、各電極線16〜22の接続部72以外の部分での外径寸法よりも大きい。
【0092】
さらに、支持部材64のセンサ本体11側の端部にもスペーサ60が形成されており、スペーサ60が十字孔14へ挿入されている。また、外皮部12の他方の端末部分の近傍及び支持部材64の周囲にはシール部62が設けられており、外皮部12の他方の端末部分が封止されると共に支持部材64が封入され、外皮部12と支持部材64とが完全に一体とされている。
【0093】
<本感圧センサ10の基本的な作用、効果>
本感圧センサ10は、例えば、モータ等の駆動手段の駆動力によって車両の前後方向にスライドして車両の側壁に形成された乗降口を開閉する自動スライドドア装置に適用される。このような自動スライドドア装置に本感圧センサ10が適用される場合、本感圧センサ10は、乗降口を閉じる際のドアパネルの移動方向側端部若しくはその近傍で、外皮部12の長手方向がドアパネルの高さ方向に沿うように取り付けられると共に、少なくとも、乗降口を閉じる方向へドアパネルが移動する際には、本感圧センサ10の電極線16〜22が通電状態とされる。
【0094】
モータ等の駆動手段の駆動力によりドアパネルが乗降口を閉じる方向へスライドしている状態で、ドアパネルの端部(移動方向側端部)と乗降口の開口縁との間で異物が挟み込まれ、ドアパネルと一体的に移動する本感圧センサ10が外皮部12で異物を押圧すると、異物からの押圧反力が外皮部12に作用する。
【0095】
この押圧反力が所定の大きさ以上となった場合、外皮部12は自らの弾性力に抗して押圧反力の作用方向に断面が潰れるように弾性変形する。このように外皮部12が弾性変形すると、外皮部12の内部に設けられた電極線16〜22の何れか外皮部の弾性変形に応じて撓む。
【0096】
通常、電極線16から電極線18、20を介して電極線22へ流れる電流は、通常、抵抗24を介して流れる。しかしながら、上記のように電極線16〜22の何れかが撓み、これにより、電極線16或いは電極線20が電極線18或いは電極線22と導通して短絡すると、電流は抵抗24を介さずに流れるため、例えば、一定の電圧でこの回路に電流を流していれば電流値が変化する。
【0097】
このように、異物からの押圧反力が作用すると、電極線16〜22を含む電気回路中を流れる電流の電流値が変化するため、本感圧センサ10は異物からの押圧反力が作用したこと、すなわち、異物の挟み込みを検出できる。さらに、電流値の変化は電流検出素子28により検出される。
【0098】
また、電流検出素子28からの電気信号(検出信号)をコンピュータ等の判定手段や制御手段が受けると、判定手段や制御手段は外皮部12に外力が作用した、すなわち、ドアパネルの端部(移動方向側端部)と乗降口の開口縁との間で異物が挟み込まれたと判定し、例えば、判定手段や制御手段がドアパネルをスライドさせるためのモータ等の駆動手段を停止させることで、それ以上の異物の挟み込みを防止でき、また、判定手段や制御手段がドアパネルをスライドさせるためのモータ等の駆動手段を反転駆動させることで、異物の挟み込みを解除できる。
【0099】
なお、本感圧センサ10では、電極線16と電極線18、若しくは、電極線20と電極線22が短絡した場合には、電流は抵抗24を介して流れるため、この場合には構造上、外力の検知はできない。
【0100】
しかしながら、上述したように電極線16〜22は外皮部12の内部で螺旋状に配置されているため、例えば、電極線16〜22が外皮部12内の所定部位からで螺旋状に略半周した部位までの範囲に同一方向からの外力が外皮部12の長手方向に沿って連続的に作用すれば、電極線16〜22が全て接触することになる。
【0101】
したがって、電極線16と電極線18、若しくは、電極線20と電極線22が接触した際に電極線16或いは電極線20が電極線18或いは電極線22と接触する範囲は、電極線16〜22が外皮部12内の所定部位からで螺旋状に略半周する迄の間よりも更に短い範囲で可能であり、電極線16と電極線18、若しくは、電極線20と電極線22だけが接触する可能性は極めて低い。このため、本感圧センサ10では、略確実に外力の検知が可能である。
【0102】
<電極線16〜22の端部処理方法及び結線方法>
次に、本感圧センサ10におけるセンサ本体11と支持部材30、64との組付方法(すなわち、本発明の第1の実施の形態に係る結線方法)の説明を通して本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
【0103】
本感圧センサ10においてセンサ本体11と支持部材30、64とを組み付ける場合には、先ず、図10に示されるように、特許請求の範囲で言うところの外皮部除去工程に相当する第1外皮部除去工程でセンサ本体11の長手方向両端部及びその近傍において外皮部12の一部が切除される。この外皮部12の部分的な切除により、電極線16〜22は両端部近傍において外皮部12の外部に露出する。
【0104】
次いで、溶融工程では、電極線16〜22の各長手方向一端部に接続部42が形成され、各長手方向他端部に接続部72が形成される。
【0105】
この溶融工程では、先ず、例えば、電極線16の長手方向一端部の極近傍にTig(タングステン・イナート・ガス)溶接に用いられる溶接トーチ90が配置される。この溶接トーチ90の構造に関して図12を用いて簡単に説明する。
【0106】
溶接トーチ90は、先細の棒形状に形成されたタングステン電極92を備えている。このこのタングステン電極92は図示しない溶接ケーブルを介して溶接(溶融)電源に電気的に接続されている。
【0107】
なお、この溶接電源は、接地ケーブルを介して電極線16へ電気的に接続されている。また、タングステン電極92の周囲には、タングステン電極92の先端側で開口した略筒形状のガスノズル94が設けられている。ガスノズル94の基端側は、例えば、不活性ガスを充填したガスボンベ等に接続されており、ガスボンベ等からの不活性ガスを先端から噴射できるようになっている。
【0108】
図11(A)に示されるように、センサ本体11の先端側近傍、より詳細には、溶接トーチ90の先端部を電極線16と電極線20との間の略中央で且つ電極線18と電極線22の略中央、すなわち、図2の外皮部12の断面中心の延長上に位置させた状態で、ガスノズル94から不活性ガスを噴射させつつ溶接電源をON状態にすると、タングステン電極92と、電極線16〜22のうち最もタングステン電極92の先端部に近いもの間でアークが発生する。以下、電極線16とタングステン電極92との間でアークが発生したものとして説明する。
【0109】
ここで、上述したように、電極線16〜22は、銅線の素線15を撚り合わせる(束ねる)ことで形成されているため、上記のアーク発生によって図11(B)に示されるように、電極線16を構成する各素線15の一端部が溶融する。各素線15の先端部は溶融して液状になることにより、表面張力の作用で略球形状になる。
【0110】
また、図12に示されるように、溶融することで略球形状になった素線15の先端部は、同様に先端部が溶融して略球形状になった隣接する他の素線15に接触して一体となる。このように、溶融した各素線15の先端部は、同じく溶融した隣接する他の先端部に接触して一体となることで、電極線16のうち、先端部だけは撚り合わせた素線15の集合体ではなく、全体的に略球形状若しくは略粒形状の素線15を形成する材質(例えば、銅)の塊、すなわち、接続部42となる。
【0111】
また、図11(C)に示されるように溶融した電極線16を構成する各素線15の先端部はその熱によってで基端側を漸次溶融させる。この新たに溶融した部分は先に溶融した部分を吸収し、先端部が漸次基端側へ変位するかの如く形状を変化させつつ肥大する(すなわち、電極線16の一端部における接続部42の外径が大きくなる)。
【0112】
このように肥大することで接続部42の外径寸法は接続部42よりも他端側(すなわち、電極線16の長手方向中間部)の外径寸法よりも大きくなる。
【0113】
さらに、漸次電極線16の長手方向他端側へ肥大しつつ移動する溶融状態の接続部42が、外皮部12の長手方向一端部(第1外皮部除去工程で部分的に除去された状態での外皮部12の長手方向一端部)近傍に達した状態で溶接電源をOFF状態にする。これにより、基本的にこれ以上は電極線16を構成する素線15が溶融することはない。
【0114】
次いで、ガスノズル94から不活性ガスを噴射させつつ溶接電源をON状態にすると、電極線16〜22のうち、先に接続部42が形成されたもの以外のなかから最もタングステン電極92の先端部に近いもの間でアークが発生し、これにより同様に接続部42が形成される。
【0115】
このようにして、電極線16〜22の本数分だけ、溶接電源をON/OFFすることで、全ての電極線16〜22の一端部に接続部42が形成される(図11(D)参照)。さらに、電極線16〜22の各長手方向他端部に対しても同様に溶接トーチ90を用いて溶融させることで電極線16〜22の各長手方向他端部に接続部72が形成される。
【0116】
さらに、図13に示されるように、第2外皮部除去工程で、外皮部12の長手方向両端部近傍が再度除去される。これにより、接続部42、72を含む電極線16〜22の長手方向両端部近傍が外皮部12の外側に露出する。
【0117】
ここで、この状態では各電極線16〜22の長手方向両端部に接続部42、72が形成されているため、長手方向両端部にて各電極線16〜22を構成する素線15がばらけることはない。
【0118】
また、接続部42、72は、上記のようなTig溶接用の溶接トーチ90を用いて素線15の先端部を溶融することで形成される。このため、接続部42、72の形成に半田等の鉛を含む合金等を必要としない。
【0119】
次いで、溶接工程では、先ず、図14(A)に示されるように、支持部材30に設けられた一対の導通片40の一方に接続部42を含む電極線16の長手方向一端部近傍が接触させられる。この状態で、導通片40とは反対側から透孔44内にアース用の電極棒99が導通片40に接触させられ、同じく溶接装置の電極棒98が接続部42の近傍に配置される。この状態で溶接装置の溶接電源がON状態とされる。これにより、図14(B)に示されるように、接続部42が溶融し、更に、溶融した接続部42が導通片40に溶着する。このように、溶融した接続部42が導通片40に溶着することで接続部42と導通片40とが電気的に導通し、且つ、導通片40と電極線16とが一体的に接続される。
【0120】
同様に、電極線18〜22の各々に形成された接続部42が対応する導通片40へ溶接により溶着され、電極線16〜22の各々に形成された接続部72が導通片70へ溶接により溶着される。
【0121】
ここで、接続部42、72の形成にTig溶接用の溶接トーチ90が用いられていることで、溶融する際の素線15の端部近傍の雰囲気が不活性ガス雰囲気となる。これによって、接続部42、72の表面等の酸化が防止若しくは軽減されるため、溶接時(接続部42、72を対応する導通片40、70へ溶接する際)における酸化膜の除去等の処理が不要になり、工数が軽減され、ひいてはコストを安価にできる。
【0122】
また、熱かしめのように、導通片40、70に対して接続部42、72を厳格に位置決めしなくても、対応する導通片40、70に接続部42、72を溶着していれば電気的に導通し、しかも、一体的に接続される。これにより、導通片40、70に対する接続部42、72の位置決めが容易になり、作業性が向上し、コスト低減に寄与する。
【0123】
以上、説明したように、本感圧センサ10では電極線16〜20の長手方向両端部で素線15を溶融することにより接続部42、72を形成し、これらの接続部42、72を対応する対応する導通片40、70へ溶接により溶着するため、半田のような鉛を含む合金を用いずに容易に結線できる。
【0124】
なお、本実施の形態では、溶融工程にTig溶接用の溶接トーチ90を用いたが、Tig溶接用以外の溶接トーチを用いてもよい。
【0125】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態に係る結線方法について説明する。なお、感圧センサ10の構成自体は前記第1の実施の形態と同じであるため、感圧センサ10の構成等に関してはその説明を省略する。また、本実施の形態の特徴としては、前記第1の実施の形態における第2外皮部除去工程がなくなる点、制限部材セット工程が新たに設けられる点、及び溶融工程が前記第1の実施の形態における溶融工程の変形例となる点であり、それ以外は基本的に前記第1の実施の形態と同じであるため、上記の点以外の説明は省略する。
【0126】
図16に示されるように、本実施の形態における結線方法では、第1外皮部除去工程の後に、この除去後における外皮部12の先端部よりも電極線16〜22の先端側で電極線16〜22に制限部材102がセットされる。
【0127】
図17に示されるように、制限部材102はセラミック等によって電極線16〜22の長手方向に沿って厚さ方向とされた一対の壁部104を備えている。これらの壁部104は幅方向若しくは長手方向に対して隣接配置されていると共に、幅方向及び長手方向のうち壁部104の隣接方向とは異なる方向の側の一端にてヒンジ等の連結部材106より相対的に回動可能に連結されている。
【0128】
また、制限部材102には複数(本実施の形態では4つ)の透孔108が制限部材102の厚さ方向に沿って貫通している。これらの透孔108の各々は、溶融前の状態における電極線16〜22の外径寸法よりも僅かに大きい程度とされている。さらに、これらの透孔108は一対の壁部104を跨ぐように形成されており、一対の壁部104が隣接した状態では、開口形状が例えば略円形の孔であるが、一方の壁部104が他方の壁部104に対して回動した状態では、透孔108は壁部104の端部に形成された凹部となる。
【0129】
上記の制限部材セット工程では、電極線16〜22の外皮部12からの露出部分における中間部に制限部材102が達するまで各透孔108に電極線16〜22がそれぞれ通される。
この状態で、溶融工程では、図18(A)に示されるように、先ず、溶接トーチ90によって電極線16の先端部が溶融されて接続部42が形成される。ここで、前記第1の実施の形態では、外皮部12の端部近傍に接続部42が達するまで電極線16の先端部を溶融したが、本実施の形態では、図18(B)に示されるように、外皮部12とは反対側の制限部材102の面の近傍に接続部42が達した状態で電極線16の溶融が終了する。
【0130】
電極線18〜22に関しても同様に、図18(C)に示されるように、制限部材102の近傍に接続部42が達した状態で電極線18〜22の溶融を終了する。
【0131】
この状態で一対の壁部104を互いに離間させて制限部材102を電極線16〜22から取り外すと、制限部材102よりも外皮部12側では電極線16〜22が溶融せずに残る。これにより、第2外皮部除去工程を廃止できる。
【0132】
しかも、制限部材102に達するまで電極線16〜22の端部を溶融させるため、各電極線16〜22に形成された接続部42は外皮部12とは反対側の制限部材102の面に倣って揃う。このため、接続部42を形成するにあたり、電極線16〜22の各端部をどれだけ溶融させればよいか容易に理解でき、この意味で溶融工程の工数の軽減に寄与する。
【0133】
なお、本実施の形態では、制限部材102の厚さ方向に透孔108を貫通させた構成であるが、透孔108の貫通方向を制限部材102の厚さ方向に対して傾斜した方向に貫通させてもよい。
【0134】
また、制限部材102を単なる平板状ではなく、少なくとも透孔108に対応した部分での外皮部12とは反対側の面に凹凸を形成して、外皮部12とは反対側での透孔108の開口位置を変化させてもよい。このようにすることで、意図的に接続部42の形成位置を変更でき、しかも、その形成位置を容易に決めることができる。
【0135】
さらに、上記の各実施の形態では、電極線16〜22の結線に本発明に係る結線方法を適用した構成であるが、感圧センサ10の電極線16〜22以外であっても本結線方法が適用できることは言うまでもない。例えば、コード26の結線に本結線方法を適用してよいし、本感圧センサ10とは全く無関係な電気コード等の結線に本結線方法を適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る感圧センサの斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る感圧センサの断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る感圧センサの一方の端末部分の構造を示す平面断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る感圧センサの一方の端末部分の構造を示す底面断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る感圧センサの一方n端末部分の構造を示す側面断面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る感圧センサの他方の端末部分の構造を示す平面断面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る感圧センサの他方の端末部分の構造を示す底面断面図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る感圧センサの一方の端末部分に用いられる支持部材の斜視図である。
【図9】感圧センサの構成の概略を示す回路図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係る結線方法の外皮部除去工程(第1外皮部除去工程)の概略を示す図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る結線方法の溶融工程の概略を示す図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態に係る結線方法の溶融工程における電極線(電線)の端部近傍を拡大した図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態に係る結線方法の第2外皮部除去工程の概略を示す図である。
【図14】本発明の第1の実施の形態に係る結線方法の溶接工程の概略を示す図である。
【図15】本発明の第1の実施の形態に係る感圧センサの変形例を示す図2に対応した断面図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態に係る結線方法の制限部材セット工程の概略を示す図である。
【図17】制限部材の正面図である。
【図18】本発明の第2の実施の形態に係る結線方法の溶融工程の概略を示す図である。
【符号の説明】
10 感圧センサ
12 外皮部
16 電極線(電線、芯線)
18 電極線(電線、芯線)
20 電極線(電線、芯線)
22 電極線(電線、芯線)
40 導通片(結線部)
42 接続部
70 導通片(結線部)
72 接続部
74 導通片(結線部)
102 制限部材
Claims (3)
- 各々が導電性を有する長尺の素線を複数本束ねることで形成された複数本の芯線を有すると共に、前記複数本の芯線が絶縁性の外皮部の内部に収容されて一体とされた電線の先端部を、所定の結線部へ一体的に接続して前記複数本の芯線のうち、少なくとも1本の先端部を前記結線部へ電気的に導通させるための結線方法であって、
前記芯線の先端側において前記外皮部を除去し、前記先端側で前記芯線を外部に露出させる外皮部除去工程と、
制限部材に形成されて内径寸法が前記芯線の外径寸法よりも僅かに大きな透孔に、前記芯線の先端側を貫通させる制限部材セット工程と、
前記制限部材セット工程よりも後に設定されて、前記芯線の先端部を加熱して前記素線の先端部を溶融させ、前記複数本の素線の各先端部を一体に纏めて前記芯線の先端部に溶融していない前記芯線よりも大径とされた略粒形状又は略球形状の接続部を形成すると共に、前記芯線を加熱溶融して前記接続部を形成する際に前記芯線の先端側へ向いた側の前記制限部材の面に前記接続部を到達させる溶融工程と、
前記溶融工程後に硬化した前記接続部の大径部分と前記結線部とを溶接して結線する溶接工程と、
を有することを特徴とする結線方法。 - 各々が導電性を有する長尺の素線を複数本束ねることで形成された複数本の芯線のうち少なくとも1本を、所定の結線部へ一体的に接続するための結線方法であって、
前記複数の芯線をその長手方向に対して直交する向きに直線的に並べた状態で、前記複数の芯線の先端部を1本ずつ順番に加熱して前記素線の先端部を溶融させ、前記各芯線を構成する複数本の素線の各先端部を一体に纏める溶融工程と、
前記溶融工程にて前記複数本の素線が一体的に纏められた前記複数の芯線のうち、前記結線部に対応した芯線の先端部を接続部として前記結線部へ溶接して結線する溶接工程と、
を有することを特徴とする結線方法。 - 前記溶融工程における前記芯線の先端部近傍の雰囲気を、不活性ガス雰囲気若しくは中性ガス雰囲気としたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の結線方法。
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