JP3844615B2 - 電気音響変換器用振動板の製造方法 - Google Patents
電気音響変換器用振動板の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はスピーカやマイクロホンの如き電気音響変換器用振動板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
パソコンやTV等の家電製品に電気音響変換器が組込まれているが、これらに使用される電気音響変換器に要求される条件は、本体(TVやパソコン等)のスリム化に伴う小型化や、小型でありながら高再生能力を有し、安価であること等が挙げられる。
また、小型であるため、ちょっとした寸法の狂いも電気音響変換器の性能に大きな影響を与えるため、高い寸法精度が要求される。
【0003】
これらを満足させるために、電気音響変換器用振動板に求められる条件は、振動板本体の有効面積が広く、音圧レベルを高めることが出来、また、小口径化に伴うf0上昇を防ぎ、寸法安定性にも優れ、かつ製造が容易で安価なことが挙げられる。
【0004】
このような要望に対応するため、振動板本体裏面中間部に予め成形されたダウンロール形状、または波形状のエッジを貼合せし、振動板本体の有効面積を最大限にとることにより音圧レベルを高め、さらに平坦な周波数音圧特性を得る方法が、特開平5-176392号で提案されている。
【0005】
また、振動板本体裏面中間部対角線状に突起を設け、エッジ側には、その突起と同じ位置に孔をあけ、これを貼合せ時の貼合せガイドにし、貼ズレを少なくし、性能の安定と、生産性の向上を図った優れた電気音響変換器用振動板が特開平7-203585号で提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の振動板本体裏面中間部にダウンロール、または波形状のエッジを貼合せする構造の振動板にも、いくつかの問題点があった。
【0007】
すなわち、リニアリティー、低f0、高信頼性という面をさらに追求し良質な振動板を得るには、エッジ部に発泡した加硫ゴム(以下、発泡ゴムともいう)を用いるのが理想的である。しかし、この発泡ゴムからなる発泡エッジには非常に柔らかく、振動板本体と発泡エッジを接着剤を用いて別工程で貼合せるものは、前述の特開平7-203585号の提案を用いても貼合せ時、貼ズレ等のバラツキが発生しやすく、また、コスト的にも高価なものとなってしまう、という課題がある。
【0008】
この発泡エッジの貼合せの時のバラツキやコスト高を改善するために、振動板本体を成形型に予めセットしておき、発泡剤を混合した未加硫ゴムをエッジ形状に加熱成形すると同時に、振動板本体と接着させる優れた製法が特開平9-102998号で提案されているが、ここで提案されている金型構造では、振動板本体裏面中間部に発泡エッジを成形同時接着することは構造上不可能である、という課題がある。
【0009】
この発明は上記のことに鑑み提案されたもので、その目的とするところは、振動板本体と発泡エッジとを容易、かつ確実に所定の位置に貼ズレを起こすことなく接着でき、加えて製造が容易な電気音響変換器用振動板の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は、予め成形した振動板本体1の外周部を合せ型の一方の金型2とともに包み込むように所定のエッジ形状を有する成形型リング3を配置し、主成分のゴムに発泡剤を混合したエッジ基材4を前記一方の金型2と、合せ型の他方の金型5とで前記成形型リング3を介し所定のエッジ形状に加熱成形すると同時に、この加熱成形される発泡エッジ6の接着部6aを前記振動板本体1の外周部より内側の位置に直接成形同時接着した構成とし上記目的を達成している。
【0011】
【発明の実施の形態】
この発明はエッジとしていわゆる発泡ゴムからなる発泡エッジを用い、これを予め所定の形状に成形された振動板本体と発泡エッジ成形時に型内で一体化して貼ズレを生じることなく接着しようとするものである。
【0012】
この場合、エッジ基材の主成分である原料ゴムは、加硫ゴムまたは熱可塑性エラストマー等を用いている。
【0013】
加硫ゴムは、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ターポリマーゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、イソブチレン−イソプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、シリコーンゴム等の群から適宜なものが選択される。
【0014】
また、熱可塑性エラストマーは、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、エチレン−酢酸ビニル系、ポリ塩化ビニル系等の群から選ばれる。
【0015】
さらに、用いられる発泡剤は、熱分解によるガス発生形のものであって、比重は0.07〜1.2の範囲のものである。
【0016】
【実施例】
次の方法により、口径5×9cm(トラック形状)の本発明の振動板を作製し、さらに比較用として、本発明品と同形状、同材料の従来技術(接着剤を使用し、別工程で振動板本体とエッジとを貼合せた物)を用いた振動板をそれぞれ1000本作製し、スピーカに組込み、その不良率を比較した。なお、不良率は不良内容を解析し、振動板のアッセンブリーのバラツキ(貼ズレ等)が原因と思われるもののみ不良品としてカウントし、その他の要因が原因と思われるものについては合格品として扱った。
【0017】
その結果、従来品の不良率は8.7%、本発明の不良率は0.8%で、格段に不良率が減少した。以下、本発明の製造方法について説明する。
【0018】
図1〜図6は、予め作製された振動板本体1と、発泡剤を混合した未加硫ゴムのエッジ基材を用いて、合わせ型と成形型リング3を使用し205℃の金型温度で45秒間プレスし、エッジ成形振動板同時接着を行った本発明の製造工程を示す。
【0019】
すなわち、図1において1は振動板本体、2は金型であり、製造にあたり、まず、図1に示すように、合せ型の一方の金型2上に、予め別途作製された振動板本体1をセットする。この場合、図1に示すように、振動板本体1の外周端は金型2の内側に位置している。
【0020】
次に、図2に示すように、セットされた振動板本体1の上に、エッジを成形するための所定のエッジ形状を有する成形型リング3をセットする。この場合、成形型リング3は、図2に示すように、振動板本体1の外周部を合せ型の一方の金型2とともに包み込むように配置される。
【0021】
続いて、図3に示すように、振動板本体1の上にセットされた成形型リング3の頂部に未加硫の合成ゴムの如きエッジ基材4をセットする。
【0022】
さらに、図4(a)に示すように、合せ型の一方の金型2に対し設けられ、かつ成形型リング3等と対応した形状を有する他方の金型5を介しプレスし所定のエッジ形状に加熱成形する。この場合、未加硫のゴムは熱により粘度が下がり、発泡しながら流れ出すが、図4(b)に示すように、A部、すなわち、図示の状態において発泡エッジ6のロール部内側には成形型リング3があるため、未加硫ゴムは流れ込むことはない。そして、エッジ基材4の持つ自己接着力により発泡エッジ6と振動板本体1とを一体化することができる。この際、成形型リング3があるため、発泡エッジ6の接着部6aを振動板本体1の外周部より内側の所定の位置に貼ズレを起こすことなく直接接着することが出来る。
【0023】
しかる後、図5に示すように、成形された発泡エッジ6を成形型リング3毎取り出し、冷却する。
【0024】
次に、図6に示すように、冷却後、一体化された振動板本体1と発泡エッジ6とを成形型リング3から取り出せば良い。
【0025】
図7(a)は本発明による完成品、図7(b)は本発明と対比した従来品を示す。本発明品では丸で囲んだ部分において発泡エッジ6と振動板本体1との貼ズレがなく、また接着剤がないのに対し、従来品では丸で囲んだ接着部分に貼ズレが生じ、かつ発泡エッジ6の接着部分と振動板本体1との間に接着剤7が介在している。
【0026】
しかして、本発明品によれば従来品に比べ貼ズレがなく、寸法安定性に優れるため、結果的にスピーカの周波数音圧特性のバラツキも従来品よりも減少する利点がある。
【0027】
図8はエッジ形状の他の例を示すもので、振動板本体1と発泡エッジ6′との貼合せ状態は上述の図示した実施例以外のものでも、所望の形状を有する成形型リングを用いれば、この図に示すように、あるいはこれ以外の形状であっても製造し得ることは勿論である。
【0028】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、特開平9-102998号に示される合せ型のみによる製造のものに対し、合せ型と成形型リング3とを組合せて発泡エッジ6と振動板本体1とを発泡エッジ成形時に同時接着・一体化するようにしたから、
(1)接着剤を塗布し貼合せするという工程が不要になり、貼合せ型および製造工程の削減が出来るため、生産性の向上や金型代も含めたコストダウンが可能となる。
(2)接着剤を塗布し、予め成形されたエッジを貼合せする工程がなく、貼ズレをなくすことが出来るため、寸法安定性に優れた、安定した性能の振動板を得ることが出来る。
(3)通常、発泡剤を混合した未加硫ゴムを用いた製造は所定数量を生産すると成形金型に汚れが発生し、この汚れを除去するため成形上下型を洗浄する必要がありかなり工数が掛かってしまうが、本発明での製造は、成形型メンテナンス時、成形上型と金型本体から取り出された成形型リングの洗浄だけとなるため、通常の金型洗浄より洗浄工程が大幅に削減でき、生産性の向上につながる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における製造工程を示す図である。
【図2】本発明の次の製造工程を示す図である。
【図3】本発明のさらに次の製造工程を示す図である。
【図4】(a)は本発明のさらに次の製造工程を示す図、(b)はその際の説明図である。
【図5】本発明のさらに次の製造工程を示す図である。
【図6】本発明の完成状態を示す図である。
【図7】本発明品と従来品との対比した説明図で、(a)図は本発明品、(b)図は従来品を示す。
【図8】発泡エッジ形状の他の一例を示す。
【符号の説明】
1 振動板本体
2 合せ型の一方の金型
3 成形型リング
4 エッジ基材
5 合せ型の他方の金型
6 発泡エッジ
6a 接着部
Claims (1)
- 予め成形した振動板本体(1)の外周部を合せ型の一方の金型(2)とともに包み込むように所定のエッジ形状を有する成形型リング(3)を配置し、主成分のゴムに発泡剤を混合したエッジ基材(4)を前記一方の金型(2)と、合せ型の他方の金型(5)とで前記成形型リング(3)を介し所定のエッジ形状に加熱成形すると同時に、この加熱成形される発泡エッジ(6)の接着部(6a)を前記振動板本体(1)の外周部より内側の位置に直接成形同時接着したことを特徴とする電気音響変換器用振動板の製造方法。
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