JP3843470B2 - フェロセニルジフェニルホスフィン誘導体、該配位子金属錯体によるヒドロシリル化 - Google Patents
フェロセニルジフェニルホスフィン誘導体、該配位子金属錯体によるヒドロシリル化 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なフェロセニルジフェニルホスフィン誘導体である〔2−(4',5'−ジ置換オキサゾリン−2−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン、および該誘導体を配位子として用いることを特徴とする不斉ヒドロシリル化反応に関する。
【0002】
本発明の新規なフェロセニルジフェニルホスフィン誘導体は、金属、特に周期律表第VIII族遷移金属元素に対する不斉二座配位子として特に有効であり、該錯体は種々の不斉合成反応に有用である。
また不斉ヒドロシリル化反応は、種々のケトン誘導体から、医薬、農薬を始めとする種々のファインケミカル誘導体の中間体である光学活性アルコール類を得る上で極めて有用な製造方法である。
【0003】
【従来の技術】
近年、遷移金属錯体触媒を用いる有機合成反応は精力的に開発されており、中でも光学活性配位子との組合せによる不斉合成反応は、その主流をなすほどに、極めて活発に研究がなされている。
フェロセンを有するホスフィン系の光学活性配位子としては、下記の(A)の構造を有するTRAP(アンゲバンテ・ヘミー・インターナショナル・エディション・イングリッシュ(Angew.Chem.,Int.Ed.Engl.)、第33巻、111頁、1994年)や(B)(ケミカル・レビュー(Chem.Rev.)、第92巻、867頁、1992年)等が知られており、これらをロジウム(I)触媒の不斉配位子として用いるケトン類のヒドロシリル化反応が行なわれている。
【0004】
【化17】
【0005】
ところが、これらの不斉配位子を用いるヒドロシリル化反応は、不斉収率は、最も高い場合でも80%eeであり、またこれら不斉収率もアリールアルキルケトン類に対してのみで、ジアルキルケトンの場合には、極めて低い不斉収率しか得られないことが知られている。
従って、あらゆるケトン類のヒドロシリル化反応に対して高い不斉収率が得られる一般性を有し、しかも比較的容易に合成可能な新規な光学活性配位子、およびそれを用いた新規な反応系の構築が求められていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、上記問題点を解決すべく鋭意努力検討した結果、フェロセン環炭素原子上にオキサゾリン環を有する新規光学活性〔2−(4',5'−ジ置換オキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン誘導体を開発した。
【0007】
しかも該誘導体は金属触媒、特に周期律表第VIII族の遷移金属錯体触媒の不斉配位子として有効であり、該遷移金属錯体触媒を用いるヒドロシリル化反応においては、単純ケトン類に対しても極めて高い化学収率および光学収率を与える、極めて一般性の高い不斉配位子として有効であることを見出した。
また本発明の不斉ヒドロシリル化反応においては、用いる金属触媒(ロジウム、イリジウム)によって、新たに生成する不斉炭素の立体が反転するという従来全く知られていない結果も得られ、不斉配位子、金属の組合せにより、自由に立体を制御できる新規反応系を確立し、本発明を完成するに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、新規な〔2−(4',5'−ジ置換オキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン誘導体、ならびに該誘導体の1種又は2種以上を不斉配位子とした遷移金属錯体触媒を用いるヒドロシリル化反応に関するものである。
【0009】
以下、さらに詳細に本発明を説明する。
即ち、本発明に関わる新規な〔2−(4',5'−ジ置換オキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン誘導体とは一般式(I)
【0010】
【化18】
【0011】
〔式中、R1、R2は任意に置換されていても良いフェニル基(該置換基としては、C1-6のアルキル基、C1-6のアルコキシ基、ハロゲン原子を表す。)、C1-6のアルキル基または水素原子を表す。〕
で表される。
不斉反応に於いて好ましくはフェロセンの軸不斉が一般式(II)で表される(S)−体、または一般式(V)で表される(R)−体である新規光学活性〔2−(4',5'−ジ置換オキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン誘導体である。
【0012】
【化19】
【0013】
さらに、該誘導体において一般式(II)または一般式(V)のR1、R2は任意に置換されていても良いフェニル基(該置換基としては、C1-6のアルキル基、C1-6のアルコキシ基、ハロゲン原子を表す。)、C1-6のアルキル基を表す場合は、該誘導体上に3つの不斉点が生じるが、この場合絶対配置が(S,S,S)−、(R,R,S)−、(R,R,R)−または(S,S,R)−体の新規〔2−(4',5'−ジ置換オキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン誘導体が、不斉ヒドロキシル化反応に好ましい。
【0014】
また一般式(II)または一般式(V)におけるR1、R2は任意に置換されていても良いフェニル基(該置換基としては、C1-6のアルキル基、C1-6のアルコキシ基、ハロゲン原子を表す。)、C1-6のアルキル基または水素原子から任意に選択できるが、好ましい置換基としてはフェニル基またはC1-6のアルキル基が挙げられ、特にフェニル基が好ましい。
【0015】
従って、本発明の新規〔2−(4',5'−ジ置換オキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィンにおいては、その使用の目的、用途に応じて種々の置換基、絶対配置の化合物を任意に選択できるが、下記の絶対配置を有する〔2−(4',5'−ジフェニルオキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン(以下、DIPOFと称する)類の(S,S,S)−〔2−(4',5'−ジフェニルオキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン((S,S,S)−DIPOF、X)、(R,R,S)−〔2−(4',5'−ジフェニルオキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン((R、R、S)−DIPOF、XI)、(R,R,R)−〔2−(4',5'−ジフェニルオキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン((R,R,R)−DIPOF、XII)または(S,S,R)−〔2−(4',5'−ジフェニルオキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン((S,S,R)−DIPOF、XIII)が特に不斉ヒドロキシル化反応に好適に使用される。
【0016】
【化20】
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の新規〔2−(4',5'−ジ置換オキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン誘導体は、以下のスキームに従ってフェロセンカルボン酸から誘導されるフェロセンカルボン酸クロリドから3工程の反応を経て容易に合成できる。
【0018】
【化21】
【0019】
i)第1工程はフェロセンカルボン酸から容易に誘導されるフェロセンカルボン酸クロリドとアミノアルコールとの反応によるアミド体合成工程である。
本反応のもう一方の原料となる光学活性アミノアルコール類は、種々のアミノ酸を水素化リチウムアルミニウム等の還元試薬による方法、オレフィン類を不斉エポキシ化した後にアンモニアを用いて開環する方法またはオレフィン類をクロラミン存在下に不斉オスミウム触媒を用いて誘導する方法などの常法により容易に高い光学純度のアミノアルコールを得られるため、あらゆるアミノアルコール類を本反応に供することができる。
【0020】
以下に、本反応で用いることができるアミノアルコール類を例示するために、その置換基R1およびR2を列挙するならば、置換していても良いフェニル基としては、フェニル基、p-トルイル基、m-トルイル基、o-トルイル基、2−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、4−ノルマルブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2−メチル−4−イソプロピルフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、4−シクロペンチルオキシフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2−クロルフェニル基、3−クロルフェニル基、4−クロルフェニル基及び2,4−ジクロルフェニル基等が挙げられる。
【0021】
置換していても良いC1-6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-アミル基、i-アミル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基及びシクロヘキシル基等が挙げられる。
反応は、生成する塩化水素の除去のため、塩基を存在させることで容易に行なうことできる。
【0022】
この場合用いることができる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム及び炭酸水素リチウムのアルカリ金属の重炭酸塩、酸化マグネシウム、酸化カルシウム及び酸化バリウム等のアルカリ土類金属酸化物、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、フタル酸カリウム等の有機酸アルカリ金属塩類、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリ-i-プロピルアミン、トリ-n-ブチルアミン、トリ-n-オクチルアミン、トリ-n-デシルアミン、ヘキサメチレンテトラミン、DBU、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアニリン及び4−N,N−ジメチルアミノピリジン等の第3級アミン類、ピリジン、メチルエチルピリジン、2,3−ルチジン、2,4−ルチジン、2,5−ルチジン、3,5−ルチジン、3,4−ルチジン、キノリン、N−メチルピロール、N−メチルイミダゾール及びN−メチルピラゾール等の複素環式アミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド及びテトラブチルアンモニウムヒドロキシド等の第4級アンモニウムヒドロキシド類等の有機塩基類が挙げられるが、特に有機塩基の使用が操作性等の面から有利である。
【0023】
これら塩基類の使用量は、通常は用いるフェロセンカルボン酸クロリドに対して、0.8〜20.0モル、好ましくは1.0〜10.0モルの使用が望ましい。
本反応は有機溶媒中で行なうが、その溶媒としては、反応に不活性なものであれば特に制限はなく、例えば塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロルエタン及び1,1,2−トリクロルエタン等のハロゲン化炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル及び1、4−ジオキサン等のエーテル類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、2−メチル−2−プロパノール、シクロヘキサノール及びベンジルアルコール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン、クロルベンゼン、o-ジクロルベンゼン、m-ジクロルベンゼン、p-ジクロルベンゼン及びテトラヒドロナフタリン等の芳香族炭化水素類、n-ヘキサン、シクロヘキサン、n-オクタン及びn-デカン等の脂肪族炭化水素類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、安息香酸メチル及び安息香酸エチル等のエステル類、アセトニトリル、プロピオニトリル及びブチロニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドン等のアミド類、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、N,N,N',N'−テトラメチル尿素等の尿素類等が挙げられる。これらが単独または組合せて使用できる。
【0024】
反応温度は、通常−50〜150℃の範囲で可能であるが、特に0〜100℃の範囲で行なうことが望ましい。
反応時間は用いるアミノアルコールの反応性にもよるが、通常1〜100時間、生産性、収率等を考慮のうえ、1〜50時間の範囲で反応が終了するように設定するのが望ましい。
【0025】
反応終了後は、反応液に有機溶媒および水または飽和食塩水を加え、2層としたのちに、有機層を分離し、水で充分に洗浄後、乾燥、濃縮を行なうことで、中間体のアミド体を粗物として得ることができる。
通常は、続く環化工程のために本工程において、カラムクロマトグラフィーまたは再結晶等の常法による精製を行なうことが望ましいが、粗物をそのまま環化工程に供し、後に精製を行なうことも可能である。
【0026】
ii)反応の第2工程は、第1工程で得られたアミド体を塩化チオニルで処理後、塩基を用いて閉環し、オキサゾリン環を形成する工程である。
ここで用いる塩化チオニルは、用いる中間体のアミド体に対して0.9〜5倍モル、後処理等の操作性、副反応等を考慮して、通常は1.0〜2.0倍モルの使用が好ましい。
【0027】
本反応は有機溶媒中で行なうが、その溶媒としては、反応に不活性なものであれば特に制限はなく、例えば塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロルエタン及び1,1,2−トリクロルエタン等のハロゲン化炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル及び1、4−ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン、クロルベンゼン、o-ジクロルベンゼン、m-ジクロルベンゼン、p-ジクロルベンゼン及びテトラヒドロナフタリン等の芳香族炭化水素類、n-ヘキサン、シクロヘキサン、n-オクタン及びn-デカン等の脂肪族炭化水素類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、安息香酸メチル及び安息香酸エチル等のエステル類、アセトニトリル、プロピオニトリル及びブチロニトリル等のニトリル類等が挙げられる。これらが単独または組合せて使用できる。
【0028】
塩化チオニルでの処理工程の反応温度は、高温は好ましくなく、通常−78〜20℃、望ましくは−50〜0℃である行なうことが好ましい。
反応は、通常5分間〜5時間で終了する。
塩化チオニルでの処理後、続けて塩基を用いて閉環反応はすみやかに完了する。
【0029】
この場合用いることができる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム及び水酸化バリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム及び炭酸バリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム及び炭酸水素リチウムのアルカリ金属の重炭酸塩、酸化マグネシウム、酸化カルシウム及び酸化バリウム等のアルカリ土類金属酸化物、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム及びフタル酸カリウム等の有機酸アルカリ金属塩類、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリ-i-プロピルアミン、トリ-n-ブチルアミン、トリ-n-オクチルアミン、トリ-n-デシルアミン、ヘキサメチレンテトラミン、DBU、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアニリン及び4−N,N−ジメチルアミノピリジン等の第3級アミン類、ピリジン、メチルエチルピリジン、2,3−ルチジン、2,4−ルチジン、2,5−ルチジン、3,5−ルチジン、3,4−ルチジン、キノリン、N−メチルピロール、N−メチルイミダゾール及びN−メチルピラゾール等の複素環式アミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド及びテトラブチルアンモニウムヒドロキシド等の第4級アンモニウムヒドロキシド類等の有機塩基類が挙げられるが、特にアルカリ金属の炭酸塩、重炭酸塩等の無機塩基の使用が好ましく、これら塩基を水溶液として用いることができる。
【0030】
これら塩基類の使用量は、通常は用いる塩化チオニルに対して、等モル以上を必要とするが、環化反応を短時間に完結させるためには、20.0倍モル程度までの大過剰量を用いることが好ましい。
塩基による環化処理は反応液に、その塩基の水溶液を添加、混合攪拌により速やかに完結する。
【0031】
環化工程の処理温度は、副反応を抑制するためにあまり高温は好ましくなく、通常−20〜50℃、好ましくは−10〜30℃が望ましい。
環化反応終了後は、常法により反応液に有機溶媒を加え、2層としたのちに、有機層を分離し、水で充分に洗浄後、乾燥、濃縮を行なうことで、2−(4',5'−ジ置換オキサゾリン−2'−イル)フェロセンを粗物として得ることができる。さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィーまたは再結晶等の常法による精製を行なうことで光学的に純粋な2−(4',5'−ジ置換オキサゾリン−2'−イル)フェロセンを単離することができる。
【0032】
iii)第3工程は、得られた2−(4',5'−ジ置換オキサゾリン−2'−イル)フェロセンのオキサゾリニル基隣接位を塩基によりメタル化して、次いでジフェニルホスフィンクロリドと反応させてジフェニルホスフィノ基を導入する工程である。
メタル化反応には、一般に強塩基が好適に用いられ、例えば n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムアミド、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド及びカリウム−tert−ブトキシド等の各種アルカリ金属の強塩基類が単独で、または2種以上の組合せで用いられる。
【0033】
この中でも、アルカリ金属としてリチウムを有する塩基が好ましく、特にn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等が好ましい。
塩基の使用量は、基質となるオキサゾリニルフェロセンに対して、0.8〜1.5モル、特に0.9〜1.2モルの使用が好ましい。
該メタル化反応の、反応温度は一般に低温が好ましく、−100〜−20℃、特に−80〜−50℃で行なう方が好結果を与える。
【0034】
反応は、非水の有機溶媒中で行なうが、この際使用できる溶媒類としては、反応に関与しないものであれば特に制限がなく、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル及び1、4−ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン、クロルベンゼン、o-ジクロルベンゼン、m-ジクロルベンゼン、p-ジクロルベンゼン及びテトラヒドロナフタリン等の芳香族炭化水素類、n-ヘキサン、シクロヘキサン、n-オクタン及びn-デカン等の脂肪族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、1,3−ジメチルイミダゾリジノン及びN,N,N',N'−テトラメチル尿素等の尿素類等が挙げられる。
【0035】
メタル化の完了後は、該反応混合物にジフェニルホスフィンクロリドを加えて、ジフェニルホスフィノ基を導入する。
使用するジフェニルホスフィンクロリドの量は、原料のオキサゾリニルフェロセンに対して、0.8〜5.0モル、操作性等から0.9〜2.0モルの使用が好ましい。
【0036】
本反応の、反応温度は一般に低温で開始することが好ましいが、反応の熟成、完結の際には高温側が好ましい。従って、温度範囲としては−100〜100℃、特に−80〜60℃の範囲で、反応の進行に従って高温側にシフトさせて反応を行なうことが好結果を与える。
反応時間は、第1段階のメタル化反応が1〜10時間、ジフェニルホスフィノ化が同様に1〜10時間の範囲で各々反応が完了する。
【0037】
反応後の処理方法としては、常法により反応液に水を加えた後に、有機溶媒を加え、有機層を分離する抽出操作を数回行なった後、有機層を水で充分に洗浄後、乾燥、濃縮を行なうことで、〔2−(4',5'−ジ置換オキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィンの粗物がフェロセンの軸不斉が(S)−、(R)−体の混合物として得られる。さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィーまたは再結晶等の常法による精製を行なうことで光学的に純粋な(S)−〔2−(4',5'−ジ置換オキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィンおよび(R)−〔2−(4',5'−ジ置換オキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィンを各々光学的に純粋な形で単離することができる。
【0038】
上記のように、本願発明の〔2−(4',5'−ジ置換オキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン類は、原料から極めて単工程で、しかも光学的に純粋な形で容易に調製することができる、新規なフェロセニルジフェニルホスフィン類である。
続いてケトン類の不斉ヒドロシリル化反応について述べる。
【0039】
本願発明者は、本願の新規フェロセニルジフェニルホスフィン類が金属、特に周期律表第VIII族の遷移金属に対して、高い配位能力が有ることを見出し、近年多くの研究報告のあるケトン類の不斉ヒドロシリル化反応に本願の光学活性フェロセニルジフェニルホスフィン類を配位子として用いる不斉触媒反応の検討を行なった。
【0040】
その結果、光学活性フェロセニルジフェニルホスフィン類が単純ケトンも含めたケトン類の不斉ヒドロシリル化反応の不斉配位子として極めて高い性能を有することを見出した。
また本発明の不斉ヒドロシリル化反応においては、用いる金属触媒(ロジウム、イリジウム)によって、新たに生成する不斉炭素の立体が反転するという従来全く知られていない結果も得られ、不斉配位子、金属の組合せにより、自由に立体を制御できる新規反応系を確立した。
【0041】
以下、本願の光学活性フェロセニルジフェニルホスフィン類を配位子として用いる不斉ヒドロシリル化反応について詳細に述べる。
本願の反応基質となるケトン類は、一般式(XIV)
【0042】
【化22】
【0043】
〔式中、R3、R4は相異なる置換基であり、置換されていても良いC1-20のアルキル基(該置換基としては、C1-6のアルコキシ基、C2-6のアルコキシカルボニル基、C2-6のアシルオキシ基、フェニル基が挙げられる。)、置換されていても良いC2-20のアルケニル基(該置換基としては、C1-6のアルコキシ基、C2-6のアルコキシカルボニル基、C2-6のアシルオキシ基、フェニル基が挙げられる。)、置換されていても良いアリール基(該置換基としては、C1-6のアルキル基、C1-6のアルコキシ基、C2-6のアルコキシカルボニル基、C2-6のアシルオキシ基、ハロゲン原子、フェニル基が挙げられる。)を表す。またR3、R4が置換基内または置換基間の任意の位置で結合して、脂肪族または芳香族の環を形成しても良い。〕
で表されるケトン類である。
【0044】
以下に、本反応で用いることができるケトン類を例示するために、その置換基R3およびR4を列挙するならば、置換されていても良いC1-20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-アミル基、i-アミル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、シクロプロピルメトキシエチル基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、tert-ブトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、エトキシカルボニルエチル基、tert-ブトキシカルボニルエチル基、シクロペンチルオキシカルボニルエチル基、アセトキシメチル基、アセトキシエチル基、2−プロパノイルオキシエチル基、3−(tert-ブチルカルボニルオキシ)プロピル基、ベンジル基、1−フェネチル基及び2−フェネチル基等が挙げられる。
【0045】
置換されていても良いC2-20のアルケニル基としては、ビニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、3−ヘキセニル基、アリル基、メタリル基、クロチル基、メトキシビニル基、エトキシビニル基、シクロヘキシルビニル基、4−フェニル−2−ブテニル基、エトキシカルボニルビニル基、tert-ブトキシカルボニルビニル基、アセチルオキシビニル基、1−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基、シンナミル基、スチリル基、6−ドデセンー1−イル基及び1,2−ジフェニルビニル基等が挙げられる。
置換されいても良いアリール基としては、フェニル基、p-トルイル基、m-トルイル基、o-トルイル基、3,5−ジメチルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2−メチル−4−イソプロピルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、4−シクロペンチルオキシフェニル基、4−シクロヘキシルオキシフェニル基、3−アセトキシフェニル基、3−ベンゾイルオキシフェニル基、4−メトキシカルボニルフェニル基、4−エトキシカルボニルフェニル基、4−n−プロポキシカルボニルフェニル基、4−tert−ブトキシカルボニルフェニル基、4−シクロペンチルオキシカルボニルフェニル基、4−アセチルオキシフェニル基、4−プロパノイルオキシフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2−クロルフェニル基、3−クロルフェニル基、4−クロルフェニル基、2−ブロムフェニル基、3−ブロムフェニル基、4−ブロムフェニル基、2,4−ジクロルフェニル基、4−フェニルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、5−アントラセニル基、1−フェナントレニル基、2−フェナントレニル基、3−フェナントレニル基、4−フェナントレニル基、2−チエニル基、3−チエニル基、1−メチル−2−ピロリル基、1−メチル−3−ピロリル基、1−メチル−3−ピラゾリル基、1−メチル−4−ピラゾリル基、1−メチル−5−ピラゾリル基、1−メチル−2−イミダゾリル基、1−メチル−4−イミダゾリル基、1−メチル−5−イミダゾリル基、1−メチル−2−インドリル基、1−メチル−3−インダゾリル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル、3−ピリダジニル基、2−ピリミジニル基、4−ピリミジニル基、5−ピリミジニル基、2−ピラジニル基及び2−キノキサリル基等が挙げられる。
【0046】
またR3、R4が置換基内または置換基間の任意の位置で結合して、脂肪族または芳香族の環を形成した場合の例を具体的な化合物で例示すれば、2−メチルシクロペンタノン、2−メチルシクロヘキサノン、2−インダノン、1−テトラロン、2−テトラロン、2−デカロン、9−フルオレノン及びカルボン等の環状化合物が挙げられる。
【0047】
これら置換基、化合物の例は一部であり、本願発明がこれら化合物のみに限定されるものではない。
本願の不斉ヒドロシリル化反応においては、上記ケトン類を周期律表第VIII族の遷移金属触媒に本願の光学活性フェロセニルジフェニルホスフィン誘導体を配位子として添加して、反応を行なう。
【0048】
本反応で用いられる周期律表第VIII族の触媒としては、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム及びイリジウム触媒が挙げられる。これらの元素の中で特にロジウム、イリジウムの錯体及び担持触媒が好ましい。
本不斉ヒドロシリル化反応に使用する触媒は、一般には錯体触媒が好ましく、さらに本願の光学活性フェロセニルジフェニルホスフィン誘導体と容易に配位子交換を行なうものが望ましいが、一部でも光学活性フェロセニルジフェニルホスフィン誘導体が配位することでもその効果は認められるため、広範な触媒を供することが可能である。
【0049】
以下に本反応に使用可能な触媒を具体的に例示する。
白金触媒としては、白金担持シリカ触媒、白金担持アルミナ触媒、白金担持炭素触媒等の担持触媒、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)白金、ジクロロビス(トリメチルホスフィン)白金、ジクロロビス(トリブチルホスフィン)白金、テトラキス(トリフェニルホスフィン)白金、テトラキス(トリフェニルホスファイト)白金、トリス(トリフェニルホスフィン)白金、ジカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)白金、カルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)白金、cis-ビス(ベンゾニトリル)ジクロロ白金、ビス(1、5−シクロオクタジエン)白金等の錯体触媒及び塩化白金、酸化白金(アダムス触媒)、白金ブラック等が挙げられる。
【0050】
ロジウム触媒としては、ロジウム担持シリカ触媒、ロジウム担持アルミナ触媒、ロジウム担持炭素触媒等の担持触媒、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ヘキサデカカルボニル六ロジウム、ドデカカルボニル四ロジウム、ジクロロテトラカルボニルロジウム、ヒドリドテトラカルボニルロジウム、ヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ヒドリドテトラキス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ジクロロビス(シクロオクタ−1,5−ジエン)二ロジウム、ジカルボニル(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ロジウム、シクロペンタジエニルビス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ジクロロテトラキス(アリル)二ロジウム等の錯体触媒及び塩化ロジウム、酸化ロジウム等が挙げられる。
【0051】
パラジウム触媒としては、ラネーパラジウム、パラジウム担持シリカ触媒、パラジウム担持アルミナ触媒、パラジウム担持炭素触媒、パラジウム担持硫酸バリウム触媒、パラジウム担持ゼオライト触媒、パラジウム担持シリカ・アルミナ触媒等の固体または担持触媒、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリメチルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリブチルホスフィン)パラジウム、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリエチルホスファイト)パラジウム、ビス(シクロオクタ−1、5−ジエン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、カルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム、ジクロロ(シクロオクタ−1,5−ジエン)パラジウム等の錯体触媒及びパラジウム黒、塩化パラジウム、酸化パラジウムが挙げられる。
【0052】
ルテニウム触媒としては、ルテニウム担持シリカ、ルテニウム担持アルミナ、ルテニウム担持炭素、ルテニウム担持ゼオライト等の担持触媒、ペンタカルボニルルテニウム、ドデカカルボニルトリルテニウム、テトラヒドリドドデカカルボニル四ルテニウム、ジヒドリド(2窒素)トリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、テトラカルボニル(トリメチルホスフィト)ルテニウム、ペンタキス(トリメチルホスフィト)ルテニウム、トリス(アセチルアセトナト)ルテニウム、ジアセタトジカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロビス(クロロトリカルボニル)ルテニウム、カルボニルクロロヒドリドトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、テトラヒドリドトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、アセタトヒドリドトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロビス(アセトニトリル)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ルテノセン、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、ジクロロ(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、クロロ(シクロペンタジエニル)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ヒドリド(シクロペンタジエニル)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロカルボニル(シクロペンタジエニル)ルテニウム、ヒドリド(シクロペンタジエニル)(シクロオクタ−1,5−ジエン)ルテニウム、クロロ(シクロペンタジエニル)(シクロオクタ−1,5−ジエン)ルテニウム、ジヒドリドテトラキス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、シクロオクタトリエン(シクロオクタ−1,5−ジエン)ルテニウム、クロロヒドリドトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、トリカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、トリカルボニル(シクロオクタテトラエン)ルテニウム、トリカルボニル(シクロオクタ−1,5−ジエン)ルテニウム、ジクロルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム等の錯体触媒及び塩化ルテニウム、酸化ルテニウム、ルテニウム黒等が挙げられる。
【0053】
イリジウム触媒としては、ジクロロビス(シクロオクタ−1,5−ジエン)二イリジウム、ジクロロビス(シクロオクテン)二イリジウム、クロロカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)イリジウム、ヒドリドトリス(トリフェニルホスフィン)イリジウム、ビス(シクロオクタ−1,5−ジエン)ビス(1H−ピラゾラート)二イリジウム、塩化イリジウム等が挙げられる。
【0054】
上記触媒の中でも、1価の金属錯体の使用が本反応には好ましく、クロロビス(シクロオクタ−1,5−ジエン)二ロジウム、ジクロロビス(シクロオクタ−1,5−ジエン)二イリジウムの使用が特に好ましい。
以上述べた触媒はそれぞれ単独でも複数組み合わせて使用しても良い。
周期律表第VIII族触媒の使用量としては、一般式(XIV)のケトン誘導体に対して通常0.00001〜20モル%の範囲、好ましくは0.0001〜10モル%の範囲が良い。
【0055】
反応に際しては、上記触媒および本願の光学活性フェロセニルジフェニルホスフィン誘導体をあらかじめ混合し、系内で光学活性金属錯体触媒を形成させた後に、一般式(XIV)のケトン誘導体を添加し、続いて一般式(XV)
【0056】
【化23】
【0057】
(式中、R5、R6またはR7は任意に水素原子、C1-6のアルキル基、フェニル基、ナフチル基またはハロゲン原子を表す。)
で表されるシラン誘導体と反応させて、一般式(XVI)
【0058】
【化24】
【0059】
(式中、R3、R4、R5、R6またはR7は前記と同じ意味を表す。)
で表されるヒドロシリル化誘導体へ誘導する。
一般式(XV)で表されるシラン誘導体としては一般にヒドロシリル化反応で用いられるあらゆる化合物が使用可能であるが、一例を挙げれば、ジフェニルシラン、フェニルシラン、1−ナフチルフェニルシラン、ジクロルシラン、トリクロルシラン、ジクロルメチルシラン、クロルジメチルシラン及びクロルジフェニルシラン等が一般的に使用され、特にジフェニルシランの使用が好ましい。
【0060】
上記シラン誘導体の使用量は、特に制限はないが、一般式(XIV)のケトン誘導体に対して、0.5〜10倍モル、好ましくは0.8〜5倍モルの使用が望ましい。
反応温度は、用いる一般式(XIII)のケトン誘導体および一般式(XV)のシラン誘導体の反応性により異なるが、通常0℃〜100℃、好ましくは20〜50℃が良い。
【0061】
反応時間は、上記同様基質の反応性にもよるが通常0.1〜10時間、好ましくは0.5〜5時間が良い。
本反応は、反応に直接関与しない溶媒中で行なう。用いることのできる溶媒類として一例を挙げれば、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル及び1、4−ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン、クロルベンゼン、o-ジクロルベンゼン、m-ジクロルベンゼン、p-ジクロルベンゼン及びテトラヒドロナフタリン等の芳香族炭化水素類、n-ヘキサン、シクロヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン及びn-デカン等の脂肪族炭化水素類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、安息香酸メチル及び安息香酸エチル等のエステル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドン等のアミド類、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、N,N,N',N'−テトラメチル尿素等の尿素類が挙げられ、これらが単独または組合せて使用できる。
【0062】
上記の反応で得られた光学活性なアルコールのシリルエーテルは、以下の後処理により容易に一般式(XVII)の光学活性なアルコールへ誘導し、純粋な形で単離することができる。
【0063】
【化25】
【0064】
反応終了後は、反応混合物をアルコールで処理し、続いて塩酸等の鉱酸で処理を行ない、そののちに常法により反応液に有機溶媒を加え、2層としたのちに、有機層を分離し、水で充分に洗浄後、乾燥、濃縮を行なうことで、目的の光学活性アルコールを粗物として得ることができる。さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、減圧蒸留または再結晶等の常法による精製を行なうことで純粋な光学活性アルコールを単離することができる。
【0065】
【実施例】
以下、実施例を挙げ本発明を更に詳細に説明する。本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
(S,S)−(4,5−ジフェニルオキサゾリン−2−イル)フェロセンの合成。
【0066】
【化26】
【0067】
(−)−2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール1.0g(4.69ミリモル)の乾燥塩化メチレン50mL溶液を氷冷し、フェロセンカルボン酸クロリド1.20g(4.84ミリモル)、トリエチルアミン2.40g(23.7ミリモル)の乾燥塩化メチレン30mLの溶液をゆっくりと滴下したのちに、反応液を室温にて一昼夜攪拌した。反応混合物に飽和塩化ナトリウム水溶液100mLを加えたのちに、塩化メチレン100mLで3回抽出操作を行なった。抽出溶媒を無水硫酸マグネシウムで乾燥することにより、黄色の固体を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;クロロホルム)で中間体のアミド体を1.45g得た。(アミノアルコール基準の収率;76%)。
【0068】
1H−NMR(δ):1.20(br.,1H),4.11(s,5H),4.35(m,2H),4.63(m,1H),4.67(m,1H),5.14(d,1H,J=4.6Hz),5.44(dd,1H,J=4.6&7.8Hz),6.35(d,1H,J=7.8Hz),7.1〜7.4(m,10H)。
【0069】
得られたアミド体0.84g(1.98ミリモル)を塩化メチレン60mL中に懸濁させ、塩化チオニル0.24g(2.02ミリモル)の塩化メチレン15mL溶液を−20℃で徐々に滴下して、同温で1時間、さらに0℃で1時間反応を行なった。その後、反応液を冷却した20%の炭酸カリウム水溶液に添加し、室温にて30分間攪拌し、塩化メチレン100mLで3回抽出を行なった。得られた抽出溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下に留去することで赤色の油状物残渣が得られた。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;n-ヘキサン−酢酸エチル)で精製することで目的とする(S,S)−(4,5−ジフェニルオキサゾリン−2−イル)フェロセンが287mg(アミド体基準の単離収率;36%)、黄色結晶として得られた(融点;33〜35℃)。
【0070】
1H−NMR(δ):4.29(s,5H),4.42(t,2H,J=2.2Hz),4.92(m,2H),5.08(d,1H,J=7.8Hz),5.31(d,1H,J=7.8Hz),7.2〜7.4(m,10H)。
13C−NMR(δ):68.9(d),69.7(d),70.0(s),70.6(d),78.9(d),88.5(d),125.7(d),126.7(d),127.7(d),128.4(d),128.8(d),128.9(d),140.6(s),142.3(s),166.9(s)。
【0071】
元素分析値(C25H21FeNO):
計算値:C,73.72;H,5.20;N,3.44。
分析値:C,73.70;H,4.87;N,3.18。
【0072】
実施例2
(S,S,S)−〔2−(4',5'−ジフェニルオキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン((S,S,S)−DIPOF)および(S,S,R)−〔2−(4',5'−ジフェニルオキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン((S,S,R)−DIPOF)の合成。
【0073】
【化27】
【0074】
先に合成した(S,S)−(4,5−ジフェニルオキサゾリン−2−イル)フェロセン163mg(0.4ミリモル)を、s−ブチルリチウム0.42ミリモルにより、乾燥ジエチルエーテル3mL溶液中で反応温度−78℃において窒素雰囲気下で3時間かけてリチオ化した。その後、ジフェニルホスフィンクロリド110mg(0.50ミリモル)の乾燥ジエチルエーテル1mL溶液を同温にて添加した。反応液が室温に戻るまで攪拌した後に、加熱して、溶媒還流下に5時間反応を行なった。反応混合物を飽和塩化ナトリウム水溶液100mLで処理後、塩化メチレン50mLを用いて3回抽出操作を行なった。抽出液を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、続いて溶媒を留去することで目的の生成物をジアステレオマー混合物の黄色固体として得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;n-ヘキサン−酢酸エチル)で精製することで、初期に溶出の(S,S,S)−〔2−(4',5'−ジフェニルオキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン((S,S,S)−DIPOF)を黄色結晶として56mg(0.094ミリモル、オキサゾリニルフェロセン基準の収率;24%)、および後に溶出の(S,S,R)−〔2−(4',5'−ジフェニルオキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン((S,S,R)−DIPOF)を黄色結晶として105mg(0.18ミリモル、オキサゾリニルフェロセン基準の収率;44%)をそれぞれ純品として単離した。
【0075】
得られた生成物の各種分析データは以下の通りである。
(S,S,S)−〔2−(4',5'−ジフェニルオキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン((S,S,S)−DIPOF):黄色結晶、融点;78〜79℃。
1H−NMR(δ):3.71(m,1H),4.29(s,5H),4.43(t,1H,J=2.7Hz),4.93(d,1H,J=7.7Hz),4.97(d,1H,J=7.7Hz),5.08(m,1H),7.0〜7.5(m,20H)。
【0076】
13C−NMR(δ):70.9,72.4,74.1,77.2,88.6,125.7,126.9,127.5,128.0,128.1,128.3,128.6,128.8,129.0,132.9,134.7,140.8,142.2,165.0。
元素分析値(C37H30FeNOP):
計算値:C,75.14;H,5.11;N,2.37。
【0077】
分析値:C,75.35;H,5.02;N,2.19。
(S,S,R)−〔2−(4',5'−ジフェニルオキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン((S,S,R)−DIPOF):黄色結晶、融点;124〜128℃。
1H−NMR(δ):3.72(m,1H),4.32(s,5H),4.46(t,1H,J=2.7Hz),5.08(d,1H,J=7.7Hz),5.13(m,1H),5.19(d,1H,J=7.7Hz),6.8〜7.6(m,20H)。
【0078】
13C−NMR(δ):70.9,71.0,73.1,74.6,77.2,78.5,88.5,125.6,126.3,127.1,128.1,128.2,128.3,128.4,128.8,129.0,132.6,132.9,134.9,135.2,140.7,142.5,165.0。
元素分析値(C37H30FeNOP):
計算値:C,75.14;H,5.11;N,2.37。
【0079】
分析値:C,75.04;H,5.03;N,2.41。
【0080】
実施例3
(R,R,S)−〔2−(4',5'−ジフェニルオキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン((R,R,S)−DIPOF)および(R,R,R)−〔2−(4',5'−ジフェニルオキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン((R,R,R)−DIPOF)の合成。
【0081】
【化28】
【0082】
実施例1に準じて(+)−2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノールを原料として用いて合成した(R,R)−(4,5−ジフェニルオキサゾリン−2−イル)フェロセンを使用して、実施例2と全く同様の反応、処理を行なうことにより、(R,R,S)−〔2−(4',5'−ジフェニルオキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン((R,R,S)−DIPOF)および(R,R,R)−〔2−(4',5'−ジフェニルオキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン((R,R,R)−DIPOF)をそれぞれ純品として単離した。
【0083】
得られた生成物の分析データは以下の通りであり、先に得た対応するエナンチオマーと全く同様の融点、スペクトルデータを与えた。
(R,R,R)−〔2−(4',5'−ジフェニルオキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン((R,R,R)−DIPOF):黄色結晶、融点;78〜79℃。
【0084】
1H−NMR(δ):3.71(m,1H),4.29(s,5H),4.43(t,1H,J=2.7Hz),4.93(d,1H,J=7.7Hz),4.97(d,1H,J=7.7Hz),5.08(m,1H),7.0〜7.5(m,20H)。
13C−NMR(δ):70.9,72.4,74.1,77.2,88.6,125.7,126.9,127.5,128.0,128.1,128.3,128.6,128.8,129.0,132.9,134.7,140.8,142.2,165.0。
【0085】
(R,R,S)−〔2−(4',5'−ジフェニルオキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン((R,R,S)−DIPOF):黄色結晶、融点;124〜128℃。
1H−NMR(δ):3.72(m,1H),4.32(s,5H),4.46(t,1H,J=2.7Hz),5.08(d,1H,J=7.7Hz),5.13(m,1H),5.19(d,1H,J=7.7Hz),6.8〜7.6(m,20H)。
【0086】
13C−NMR(δ):70.9,71.0,73.1,74.6,77.2,78.5,88.5,125.6,126.3,127.1,128.1,128.2,128.3,128.4,128.8,129.0,132.6,132.9,134.9,135.2,140.7,142.5,165.0。
【0087】
実施例4〜10
光学活性オキサゾリニルフェロセニルホスフィンを用いたロジウム触媒による不斉ヒドロシリル化反応。
【0088】
【化29】
【0089】
20mLのフラスコのジクロロビス(シクロオクタ−1,5−ジエン)二ロジウム0.005ミリモルおよび(S,S,S)−〔2−(4',5'−ジフェニルオキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン((S,S,S)−DIPOF)0.005ミリモルにアルゴン雰囲気下で乾燥ジエチルエーテル3mLを加え、室温にて1時間攪拌を行なった。ケトン1.0ミリモルの乾燥ジエチルエーテル1mL溶液を加え、反応フラスコを25℃の恒温に保ちながら、ジフェニルシラン1.5ミリモルをシリンジで徐々に加え、その後も反応溶液を25℃に保ちながら反応を行なった。反応終了後、0℃に冷却してメタノール1mLを加え、1時間攪拌を行なった。ガスの発生が停止した後、1N−塩酸水溶液5mLを加え、さらに室温で1時間攪拌を行なった。反応混合物に飽和塩化ナトリウム水溶液50mLを加え、ジエチルエーテル50mLで3回抽出操作を行なった。抽出溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下に留去し、残渣をクーゲルロール蒸留を行ない対応するアルコールを純品として得た。
【0090】
得られた光学活性アルコールの光学純度(ee%)および絶対配置は高速液体クロマトグラフィー(カラム;Chiralcel OJ、OD、OBまたはOF(ダイセル(株)製))またはガスクロマトグラフィー(カラム;Chiraldex GT−A、30m)を用いて決定した。
以下の第1表に、上記合成例に準じて行なった本発明の不斉ヒドロシリル化により得られた反応の結果をまとめて示す。
【0091】
【化30】
【0092】
実施例11〜16
光学活性オキサゾリニルフェロセニルホスフィンを用いたイリジウム触媒による不斉ヒドロシリル化反応。
【0093】
【化31】
【0094】
上記、実施例4〜10の合成例において、用いる遷移金属触媒をジクロロビス(シクロオクタ−1,5−ジエン)二ロジウムからジクロロビス(シクロオクタ−1,5−ジエン)二イリジウムに替え、不斉配位子として(S,S,S)−〔2−(4',5'−ジフェニルオキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン((S,S,S)−DIPOF)または(R,R,R)−〔2−(4',5'−ジフェニルオキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン((R,R,R)−DIPOF)を用いた他は、全く同様の実験操作、処理を行ない対応するアルコールを純品として得た。
【0095】
得られた光学活性アルコールの光学純度(ee%)および絶対配置は高速液体クロマトグラフィー(カラム;Chiralcel OJ、OD、OBまたはOF(ダイセル(株)製))またはガスクロマトグラフィー(カラム;Chiraldex GT−A、30m)を用いて決定した。
以下の第2表に、上記合成例に準じて行なった本発明の不斉ヒドロシリル化により得られた反応の結果をまとめて示す。
【0096】
【化32】
【0097】
【発明の効果】
本発明の方法に従えば、新規な光学活性〔2−(4',5'−ジ置換オキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン誘導体が、合成的に極めて容易に得ることができる。
また新規な光学活性〔2−(4',5'−ジ置換オキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン誘導体、とくに〔2−(4',5'−ジフェニルオキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン(DIPOF)は遷移金属触媒の光学活性配位子として極めて有効であり、合成的に有用な反応であるケトン類の不斉ヒドロシリル化反応を経る光学活性アルコール類の合成が、あらゆるケトン類に対して高い化学収率と、光学純度をもって容易に達成することができる。
【0098】
また本発明の不斉ヒドロシリル化反応においては、用いる金属触媒(ロジウム、イリジウム)によって、新たに生成する不斉炭素の立体が反転するという従来全く知られていない結果も得られ、不斉配位子、金属の組合せにより、自由に立体を制御できる新規反応系として、その利用価値は極めて高いものと考えられる。
【0099】
本発明の新規〔2−(4',5'−ジ置換オキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン誘導体、とくに〔2−(4',5'−ジフェニルオキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン(DIPOF)は、その他の触媒的不斉反応においても有用と考えられ、今後の新規不斉反応の開発においては、極めて興味深い光学活性ホスフィン誘導体であると考えられる。
Claims (16)
- 一般式(XIV)
- 不斉配位子が請求項2に記載の(S)−〔2−(4',5'−ジフェニルオキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン誘導体である請求項8記載の不斉ヒドロシリル化反応。
- 不斉配位子が請求項5に記載の(R)−〔2−(4',5'−ジフェニルオキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン誘導体である請求項8記載の不斉ヒドロシリル化反応。
- 不斉配位子が請求項3に記載の(S,S,S)−〔2−(4',5'−ジフェニルオキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン誘導体である請求項8記載の不斉ヒドロシリル化反応。
- 不斉配位子が請求項4に記載の(R,R,S)−〔2−(4',5'−ジフェニルオキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン誘導体である請求項8記載の不斉ヒドロシリル化反応。
- 不斉配位子が請求項6に記載の(R,R,R)−〔2−(4',5'−ジフェニルオキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン誘導体である請求項8記載の不斉ヒドロシリル化反応。
- 不斉配位子が請求項7に記載の(S,S,R)−〔2−(4',5'−ジフェニルオキサゾリン−2'−イル)フェロセニル〕ジフェニルホスフィン誘導体である請求項8記載の不斉ヒドロシリル化反応。
- 周期律表第VIII族の金属が、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、イリジウムから選ばれた1種または2種以上の金属である請求項8記載の不斉ヒドロシリル化反応。
- 周期律表第VIII族の金属が、ロジウムまたはイリジウムである請求項8記載の不斉ヒドロシリル化反応。
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