JP4807549B2 - シロキサン類,シラノール類及びシラン類,並びにその製造方法 - Google Patents

シロキサン類,シラノール類及びシラン類,並びにその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は,光学活性有機ケイ素化合物,特に光学活性シロキサン,光学活性シラノール及び光学活性シランの製造における新しい不斉合成方法と,合成した新規光学活性有機ケイ素化合物に関する。
有機ケイ素化合物はシリコン等の機能性高分子素材への利用が主であったが,近年医薬品の炭素骨格の一部をケイ素原子に置換した有機ケイ素化合物やシラトラン類に高い生物活性を有するものが見出されている。そのため,ケイ素原子が不斉中心である光学活性有機ケイ素化合物は医薬,農薬の分野において新規な生物活性物質としての可能性が期待されている。加えて光学活性有機ケイ素化合物からは,機能材料などの開発において広く利用されているシリコンなどの含ケイ素高分子素材を合成することも可能である。
光学活性有機ケイ素化合物はこれまで有効な合成法が確立していなかったため化学的性質,利用に関して未知な点が多い化学物質である。光学活性有機ケイ素化合物の合成法はごく数例報告されている。例えば特許文献1ではシラノール類とその中間体の製造方法について記載されている。又,非特許文献1にはキラル炭素についてC2対称性を有するシロキサンに対してグリニアル試薬をジアステレオ選択的に付加する不斉合成法について記載されている。このように幾つかの方法はあるものの限られており,合成に多段階を要するもの,高価な不斉補助基を相当量用いるもの,また,合成できる化合物が限られているなどの問題があるので,工業的な利用に展開することは困難であるか,改良が望まれており,工業的に利用できるほど汎用性がある手法はこれまで開発されていなかった。
特願2002−64462号 コバヤシキミコ(Kimiko Kobayashi)他,日本化学会誌(Bulletin of the Chemical Society of Japan),1997年,70巻,p.1393−1401 友岡克彦(Katsuhiko Tomooka)他,アンゲヴァンテ ヒェミー インターナツィオナール 発行(Angewandte ChemieInternational Ed.),1999年,38巻,24号,p.3741−3743
従来は光学活性有機ケイ素化合物の大量合成を短時間,低コストで行うことは困難であり,汎用性が高く多様な有機ケイ素化合物を合成する方法もなかった。又,非特許文献1の光学活性有機ケイ素化合物の合成法はシロキサンがC2対称な不斉炭素を有する必要があり,多くの反応ステップを要する方法でもある。
本願発明は上述のような事情によりなされたものであり,本願発明は不斉配位剤を用いることによって光学活性シロキサン,シラノール,シランといった多様な光学活性有機ケイ素化合物を大量合成することが可能である。
発明者らは市販のジクロロシランから2工程で光学活性有機ケイ素化合物を合成することに成功した。本発明の特徴は,アキラル環状シロキサンのエナンチオ選択的求核置換反応というこれまでに無い方法を用いている点にあり,また,高価な不斉配位剤の触媒化と再利用が可能であるために経済的である。本発明の手法の適用範囲は広く,多様な構造を有する種々の光学活性シロキサン,光学活性シラノール,光学活性シランを合成することができる。
本発明の光学活性シロキサンは,一般式
Figure 0004807549
(式中,R1及びR2はメチル基,エチル基,t−ブチル基,シクロヘキシル基,フェニル基,イソプロピル基,オクタデシル基,メチルベンジル基から選ばれ,R1≠R2であり,R3はイソプロピル基,シクロヘキシル基から選ばれ,R4はメチル基,n−ブチル基,t−ブチル基,エチル基,へキシル基,エチニル基,フェニル基,トリメチルシリルエチニル基,ブチルエチニル基,ビニル基から選ばれ,R4≠R1,R2である)で示される光学活性シロキサン又は,一般式
Figure 0004807549
(式中,R1及びR2はメチル基,エチル基,t−ブチル基,シクロヘキシル基,フェニル基,イソプロピル基,オクタデシル基,メチルベンジル基から選ばれ,R1≠R2であり,R4はメチル基,n−ブチル基,t−ブチル基,エチル基,へキシル基,エチニル基,フェニル基,トリメチルシリルエチニル基,ブチルエチニル基,ビニル基から選ばれ,R4≠R1,R2である)で示される光学活性シロキサンである。
又,本発明の光学活性シラノールは,一般式
Figure 0004807549
(式中,R1及びR2はメチル基,エチル基,t−ブチル基,シクロヘキシル基,フェニル基,イソプロピル基,オクタデシル基,メチルベンジル基から選ばれ,R1≠R2であり,R4はメチル基,n−ブチル基,t−ブチル基,エチル基,へキシル基,エチニル基,フェニル基,トリメチルシリルエチニル基,ブチルエチニル基,ビニル基から選ばれ,R4≠R1,R2である)で示される光学活性シラノールである。
さらに,本発明の光学活性シランは一般式
Figure 0004807549
(式中,R1及びR2はメチル基,エチル基,t−ブチル基,シクロヘキシル基,フェニル基,イソプロピル基,オクタデシル基,メチルベンジル基から選ばれ,R1≠R2であり,R4はメチル基,n−ブチル基,t−ブチル基,エチル基,へキシル基,エチニル基,フェニル基,トリメチルシリルエチニル基,ブチルエチニル基,ビニル基から選ばれ,R4≠R1,R2であり,R5はR1,R2,R4の組合せがメチル基,エチル基,フェニル基,又はメチル基,t−ブチル基,フェニル基,又はメチル基,イソプロピル基,フェニル基,又はフェニル基,t−ブチル基,メチル基,又はt−ブチル基,フェニル基,メチル基である場合にはn−ブチル基であって,そうでない場合にはR5はメチル基,n−ブチル基,水素から選ばれる)で示される光学活性シランである。
さらに又,本発明のアキラルシロキサンは一般式
Figure 0004807549
(式中,R1及びR2はメチル基,エチル基,t−ブチル基,シクロヘキシル基,フェニル基,イソプロピル基,オクタデシル基,メチルベンジル基から選ばれ,R1≠R2であり,R3はイソプロピル基,シクロヘキシル基から選ばれる)で示されるアキラルシロキサン,又は一般式
Figure 0004807549
(式中,R1及びR2はメチル基,エチル基,t−ブチル基,シクロヘキシル基,フェニル基,イソプロピル基,オクタデシル基,メチルベンジル基から選ばれ,R1≠R2である)で示されるアキラルシロキサンである。
一方,本発明のアキラルシロキサンを合成する方法は,一般式
Figure 0004807549
(式中,Xはハロゲン,R1及びR2はメチル基,エチル基,t−ブチル基,シクロヘキシル基,フェニル基,イソプロピル基,オクタデシル基,メチルベンジル基から選ばれ,R1≠R2である)で示されるジハロシランをR3OH(R3はイソプロピル基,シクロヘキシル基から選ばれる),o−ジヒドロキシキシレン又は1,8−ジヒドロキシメチルナフタレン又は(Z)−2−ブテン−1,4−ジオールにより求核置換してアキラルシロキサンを合成する方法である。
又,本発明の光学活性シロキサンを合成する方法は,上記化14の一般式(式中,R1及びR2はメチル基,エチル基,t−ブチル基,シクロヘキシル基,フェニル基,イソプロピル基,オクタデシル基,メチルベンジル基から選ばれ,R1≠R2であり,R3はイソプロピル基,シクロヘキシル基から選ばれる)で示されるアキラルシロキサンをR4Li(R4はメチル基,n−ブチル基,t−ブチル基,エチル基,へキシル基,エチニル基,フェニル基,トリメチルシリルエチニル基,ブチルエチニル基,ビニル基から選ばれ,R4≠R1,R2である)及び不斉配位剤で反応させて光学活性シロキサンを合成する方法,又は上記化15の一般式(式中,R1及びR2はメチル基,エチル基,t−ブチル基,シクロヘキシル基,フェニル基,イソプロピル基,オクタデシル基,メチルベンジル基から選ばれ,R1≠R2である)で示されるアキラルシロキサンをR4Li(R4はメチル基,n−ブチル基,t−ブチル基,エチル基,へキシル基,エチニル基,フェニル基,トリメチルシリルエチニル基,ブチルエチニル基,ビニル基から選ばれ,R4≠R1,R2である)及び不斉配位剤で反応させて光学活性シロキサンを合成する方法である。上記不斉配位剤は触媒量もしくは当量で反応させることができる。
尚,本願発明のアキラル環状シロキサンのエナンチオ選択的求核置換反応は,上述のR1〜R5として挙げられた官能基以外の官能基においては用いることができないことを意味しているのではない。大概どのような場合に本願発明のエナンチオ選択的求核置換反応を用いることができないかについては,当業者は後述の説明から判断可能である。
本発明では市販の化合物から,2工程で光学活性シロキサンを合成できる。この際,出発原料と反応剤の選択によって,様々な光学活性有機ケイ素化合物へと誘導可能である。又,高価な不斉配位剤(L*)の再利用と触媒化に成功し,実質的な使用量を10%以下に抑えた。
このように本願発明は光学活性有機ケイ素化合物の大量合成を短時間,低コストでおこなうことができるので,生成物の工業的な利用が期待できる。さらに本願発明の汎用性が高い光学活性有機ケイ素化合物は医療,農薬の分野においては,そのもの自体が新規な生物活性物質になることが期待される。又不斉配位剤,光学活性体分離カラムの充填剤としての活用も期待できる。更に又,これまでに開発されている生物活性物質の不斉炭素を不斉ケイ素に変えることにより,さらに効果のある化合物に変換することも可能と考えられる。加えて,機能性材料等の開発においては,これまで広く利用されているシリコン等の含ケイ素高分子材料の原料として光学活性シラノールを用いることにより,規則的な三次元構造を有する高分子材料を合成することも可能になると考えられる。
本願発明のシロキサン類,シラノール類,及びシラン類は(1)アキラルシロサンの合成,(2)アキラルシロサンのエナンチオ選択的求核置換反応による光学活性シロキサンの合成,(3)光学活性シロキサンの変換による光学活性シラノールもしくはシランの不斉合成といった3つの工程のなかで製造することができる。アキラルシロキサンは第一工程で製造され,光学活性シロキサンは第二工程で製造され,光学活性シラノール及び光学活性シランは第三工程で製造される。
本願発明のアキラルシロキサンの製造方法は第一工程に相当し,光学活性シロキサンの製造方法は第二工程に相当し,シラノール類及びシラン類の製造方法は第三工程に相当する。
第一工程の「アキラルシロキサンの合成」では市販のジクロロシラン等のジハロシランからアキラルシロキサンへの誘導を行う。この工程ではジハロシランのケイ素原子に対してR3OHを求核置換させることによりシロキサンを生成する(化17)。
Figure 0004807549
尚,R1及びR2はメチル基,エチル基,t−ブチル基,シクロヘキシル基,フェニル基,イソプロピル基,オクタデシル基,メチルベンジル基から選ばれ,R1≠R2であり,R3はイソプロピル基,シクロヘキシル基とすることができ,R3はイソプロピル基,シクロヘキシル基とすることができる(以下同じ)。R3OHの代わりにo−ジヒドロキシキシレン,1,8−ジヒドロキシメチルナフタレン,(Z)−2−ブテン−1,4−ジオールのような2価のアルコールを用いてもよい(化18)。
Figure 0004807549
第二工程の「アキラルシロキサンのエナンチオ選択的求核置換反応」は本発明の要であり,この段階で光学活性有機ケイ素化合物の立体化学を制御しつつ新たな置換基を導入する。光学活性ビスオキサゾリン等の触媒量もしくは当量の不斉配位剤6(cat.L*)存在下で,アキラルシロキサンにアルキルリチウム(R4Li)(R4はメチル基,n−ブチル基,t−ブチル基,エチル基,へキシル基,エチニル基,フェニル基,トリメチルシリルエチニル基,ブチルエチニル基,ビニル基とすることができ,R4≠R1,R2である(以下同じ))を作用させ,ケイ素原子上での置換反応を行う。この反応は高収率かつエナンチオ選択的に進行し,シリル原子上の不斉に関して光学活性な鎖状シロキサンが生成する(化19)。尚,本願発明の条件下ではアルキルリチウムのみでは効果的に求核置換はおこなわれず,非特許文献2にあるようにビスオキサゾリン6aとアルキルリチウムとが錯体を形成した場合に効果的におこなわれるため,上記の反応がビスオキザゾリン6aを触媒としてエナンチオ選択的に行われることになる。
Figure 0004807549
第三工程の「光学活性シラノール,シランの合成」は光学活性シロキサンの変換による光学活性シラノール,シランの不斉合成をおこなう工程であって特に限定されないが,第二工程で得られた光学活性鎖状シロキサンをBirch還元条件に付すことでその光学純度を損なうことなく光学活性シラノールを合成することができる(化20)。
Figure 0004807549
シラン合成についても限定されないが,室温下,ジエチルエーテルを溶媒として水素化リチウムアルミニウムを作用させる等の還元条件に付すことで合成することができる(化21)。
Figure 0004807549
具体的な実施例について試験結果を含めてさらに詳細に説明する。
(1)アキラルシロキサンの合成
ジハロシランとして市販のtert−ブチルフェニルジクロロシランを用い,アルコールとしてo−ジヒドロキシキシレンを用いた。tert−ブチルフェニルジクロロシラン(1a)に対してTHF中でイミダゾールを作用させ,60℃に加熱した後,その温度を保った状態でo−ジヒドロキシキシレンのTHF溶液をゆっくりと滴下することにより,1工程でアキラルなシロキサン2"aを調製した(化22)。
Figure 0004807549
この試験は以下のとおりにおこなった。アルゴン雰囲気下,tert−ブチルフェニルジクロロシラン(1a)2.00mL(9.49mmol)とイミダゾール1.29g(19.0mmol)を200mLのTHFに溶解させ,70℃に加熱した。その溶液にo−ジヒドロキシキシレン1.37g(9.96mmol)を溶解させたTHF溶液30mLを3時間かけて滴下した。反応混合物を室温で放冷し,セライト濾過によって生じた有機塩を除去した。溶媒を留去した後,シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン−酢酸エチル 100:1)で精製し,7−tert−ブチル−7−フェニル5,9−ジヒドロ−6,8−ジオキサ−7−シランベンゾヘプタン2"aを2.07g(収率78%)得た。物性データは以下のとおりであった。
7−tert−ブチル−7−フェニル5,9−ジヒドロ−6,8−ジオキサ−7−シランベンゾヘプタン(2"a)
1H NMR(300MHz,CD3COCD3)δ7.68−7.65(m,2H),7.46−7.40(m,3H),7.39−7.23(m,4H),5.13(d,J=12.9Hz,2H),4.79(d,J=12.6Hz,2H),0.82(s,9H).
13C NMR(300MHz,CDCOCD)δ140.82,135.87,132.89,130.92,130.14,129.08,128.80,66.57,25.66,18.20.
IR(neat,cm-1)2931,2857,1470,1430,1067,1040,821,698.
上記アルコールとして,1,8−ジヒドロキシメチルナフタレンを用いて同様の実験を行った。物性データは以下の通りであった。
9−tert−ブチル−9−フェニル−7,11−ジヒドロ−8,10−ジオキサ−9−シラ−シクロオクタナフタレン(2'''a)
H NMR(300MHz,CDCl) δ7.87−7.83(m,2H),7.74−7.70(m,2H),7.56−7.53(m,2H),7.45−7.39(m,5H),5.65(d,J=12.9Hz,2H),5.07(d,12.9Hz,2H),0.82(s,9H)
13C NMR(300MHz,CDCl)δ135.94,135.80,135.45,132.52,131.89,130.92,130.26,130.08,127.88,125.21,68.41,25.46,17.41
IR(neat,cm−1) 1112,1051,836,782,739,701

(2)アキラルシロキサンのエナンチオ選択的求核置換反応
アキラルシロキサンとして上記第一工程で得られた環状シロキサン2"aを用い,不斉配位剤6として光学活性ビスオキサゾリン6aを用い,アルキルリチウムとしてBuLiを用いた。原料となるベンゾヘプタンの骨格を有するシロキサン2"aと触媒量もしくは当量の光学活性ビスオキサゾリン6a(10mol%)のヘキサン溶液に対し,−40℃下で過剰量のBuLiをゆっくり作用させると,ケイ素原子上での求核置換反応がエナンチオ選択的に進行し,対応するシロキサン3'''aが収率83%,光学純度53%eeで得られた(化23)。
Figure 0004807549
この試験は以下のとおりにおこなった。アルゴン雰囲気下,シロキサン(2"a)104mg(0.347mmol)と不斉配位剤(6a)10.2mg(0.0347mmol)をヘキサン10mLに溶解させ−40℃に冷却した。反応溶液にBuLi(1.41M ヘキサン溶液)1.23mL(1.74mmol)をシリンジポンプを用いて15時間かけて滴下した後,飽和塩化アンモニウム水溶液で反応を停止した。反応溶液を酢酸エチルで抽出し,油層を飽和食塩水で洗浄,無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去した後,シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン−酢酸エチル 20:1)で精製し[2−(n−ブチル−tert−ブチルフェニルシラニルオキシメチル)フェニル]メタノール3'''aを104mg(収率84%,光学純度53%ee)を得た。物性データは以下のとおりであった。
[2−(n−ブチル−tert−ブチルフェニルシラニルオキシメチル)フェニル]メタノール(3'''a)
1H NMR(300MHz,CDCl)δ7.55−7.51(m,2H),7.42−7.31(m,7H),4.89(s,2H),4.74(dd,J=6.3,3.0Hz,2H),3.13(t,J=6.3Hz,1H),1.50−1.42(m,4H),1,15−0.96(m,2H),0.94(s,9H),0.89(t,7.2Hz,3H)
13C NMR(300MHz,CDCl)δ139.72,138.56,134.87,134.20,129.64,129.24,128.74,128.32,128.06,127.80,65.03,63.96,26.98,26.55,25.88,18.88,13.74,10.87.
IR(neat,cm-1)3392,3069,2928,2857,1462,1428,1112,1081,824,702.
53%ee:[α]27 D+2.86(c2.03,CHCl3).
キラルHPLC分析:CHIRALPAK AD−H,hexane:iPrOH=200:1,flow 0.7mL/min,press.23kg/cm-1,Rt=31.58min(minor isomer),33.48min(major isomer)
上記アルキルリチウムとしてMeLiを用いて同様の試験を行った。物性データは以下のとおりであった。
[2−(tert−ブチルメチルフェニルシラニルオキシメチル)フェニル]メタノール(3"a)
1H NMR(300MHz,CDCl)δ7.56−7.53(m,2H),7.41−7.26(m,7H),4.80(s,2H),4.72(d,J=6.3Hz,2H),3.14(t,J=6.3Hz,1H),0.93(s,9H),0.46(s,3H)
13C NMR(300MHz,CDCl)δ139.69,138.32,134.67,134.56,129.70,129.22,128.79,128.29,127.99,127.73,64.71,64.01,26.02,18.39,−6.95.
IR(neat,cm-1)3392,2930,2857,1472,1428,1255,1113,1077,826,736
(R)−enriched(21%ee):[α]25 D+5.43(c1.08,CHCl3).
キラルHPLC分析:CHIRALCEL OD−H,hexane:iPrOH=100:1,flow 0.6mL/min,Press.20kg/cm-1,Rt=35.03min(R体),45.35min(S体)
上記アキラルシロキサンとして環状シロキサン2’’’aを,アルキルリチウムとしてノルマルブチルリチウムを用い同様の試験を行った結果,シロキサン3’’’aを収率62%,光学純度76%eeで得た。物性データは以下の通りであった。

[8−(n−ブチル−tert−ブチルフェニルシラニルオキシメチル)ナフタレン−1−イル]−メタノール(3’’’a)
H NMR(300MHz,CDCl)δ7.88−7.82(m,2H),7.59−7.52(m,4H),7.47−7.34(m,5H),5.50(s,2H)5.26(d,J=5.4Hz,2H),2.87(t,J=6.0Hz,2H),1.34−1.27(m,4H),1.14−1.08(m,2H),0.938(s,9H),0.835(t,J=6.9Hz,3H)13C NMR(300MHz,CDCl)δ137.05,136.35,135.75,134.80,134.60,130.38,130.12,129.95,129.36,129.00,127.57,125.16,125.09,67.16,66.87,27.12,26.70,25.93,19.202,13.86,11.27
IR(neat,cm−1) 3392,2928,1601,1471,1427,1171,1110,825,824,771,702
44%ee:[α]26 +1.00(c,2.90,CHCl
キラルHPLC分析:CHIRALPAK AD−H,hexane:PrOH=100:1,flow 0.6mL/min,press. 17kg/cm−1,Rt=26.6min(minor isomer),29.3min(major isomer)
(3)光学活性シラノールの合成
又,光学活性シロキサン3'''aをBrich還元条件下に付すことで光学活性シラノール4aへと誘導した。すなわち,−78℃下,液体アンモニア−THF混合溶媒にシロキサン3'''aを溶解させた金属リチウムを作用させることで還元的にジヒドロキシキシレン部位を除去し光学純度を損なうことなくシラノール4aを得た(化24)。
Figure 0004807549
この試験は以下のとおりにおこなった。−78℃に冷却した二口反応管にアンモニアガスを導入し,反応管中で液化するアンモニアを10mL溜めた。そこに,金属リチウムの小片を40mg(5.7mmol)を加え,溶液が深青色に発色するのを確認した後に,シロキサン3'''a(光学純度43%ee)95.0mg(0.266mmol)のTHF溶液(6mL)をゆっくりと加えた。30分後,固体の塩化アンモニウムで反応を停止し室温まで昇温させた。反応系に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え,エーテルで抽出し,油層を飽和食塩水で洗浄,無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去した後,シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン−酢酸エチル 20:1)で精製し,シラノール4aを59.2mg(収率94%,光学純度43%ee)得た。物性データは以下のとおりであった。
1H NMR(300MHz,CDCl)δ7.59−7.56(m,2H),7.40−7.35(m,3H),1.82(s,1H),1.39−1.30(m,4H),0.94(s,9H),0.87(t,3H)
13C NMR(300MHz,CDCl)δ136.00,134.25,129.38,127.67,26.69,26.25,25.51,18.54,13.80,11.46
IR(neat,cm-1)3435,2928,2857,1464,1428,1113,823,701
33%ee:[α]27 D−2.66(c1.37,CHCl3
キラルHPLC分析:CHIRALCEL OD−H,hexane:PrOH=100:1,flow 0.6mL/min,press.20kg/cm-1,Rt=11.58min(major isomer),13.01min(minor isomer)
(4)光学活性シランの合成
光学活性シロキサン3"aに有機金属反応剤,もしくは金属ヒドリド反応剤を作用させることで光学活性シラン5aへと誘導した。すなわち,室温下,Et2Oに3"aを溶解させ水素化リチウムアルミニウムを作用させることで5aを得た(化25)。尚,この実試験は本願発明の方法によって物性データが既知の化合物5aを合成することにより光学活性シロキサン3"aの立体化学を確認するためのものである。
Figure 0004807549
具体的な反応操作としては,アルゴン雰囲気下,シロキサン3"a106mg(0.347mmol)をEt2O6.0mLに溶解させた。反応溶液に水素化リチウムアルミニウムのTHF溶液(1.0M THF溶液)1.03mL(1.03mmol)を作用させ1時間攪拌した後,固体の硫酸ナトリウム10水和物で反応を停止させた。反応溶液に無水硫酸ナトリウムを加えさらに1時間攪拌した。固体をろ過で除き,溶媒を留去した後,シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン)で精製し(S)−tert−ブチルメチルフェニルシラン5aを35.9mg(収率87%,光学純度 10%ee)得た。物性データは以下のとおりであった。
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ7.55−7.52(m,2H),7.39−7.33(m,3H),1.40(q,J=3.9Hz,1H),0.95(s,9H),0.35(d,J=3.9Hz,3H)
13C NMR(300MHz,CDCl)δ135.44,135.03,129.18,127.59,26.99,16.82,−8.21.
IR(neat,cm-1)3650,2924,2854,2114,1732,1462,1377,1115.
(S)−37(10% ee,Based on[α]20 D −4.1(c6.15,hexane)):[α]27 D +0.426(c3.51,hexane)
本発明の光学活性シロキサンであり,式(1)〜(4)中,R1及びR2はメチル基,エチル基,t−ブチル基,シクロヘキシル基,フェニル基,イソプロピル基,オクタデシル基,メチルベンジル基から選ばれ,R1≠R2であり,R3はイソプロピル基,シクロヘキシル基から選ばれ,R4はメチル基,n−ブチル基,t−ブチル基,エチル基,へキシル基,エチニル基,フェニル基,トリメチルシリルエチニル基,ブチルエチニル基,ビニル基から選ばれ,R4≠R1,R2である。

Claims (3)

  1. 一般式
    Figure 0004807549
    (式中,R及びRはメチル基、エチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、イソプロピル基、オクタデシル基、メチルベンジル基から選ばれ、R≠Rであり、Rはメチル基、n−ブチル基、t−ブチル基、エチル基、ヘキシル基、エチニル基、フェニル基、トリメチルシリルエチニル基、ブチルエチニル基、ビニル基から選ばれ、R≠R,Rである)で示される光学活性シロキサンを、リチウムと反応させ、一般式
    Figure 0004807549
    で表わされる光学活性シラノールを合成する方法。
  2. 一般式
    Figure 0004807549
    (式中,R及びRはメチル基、エチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、イソプロピル基、オクタデシル基、メチルベンジル基から選ばれ,R≠Rであり、Rはメチル基、n−ブチル基、t−ブチル基、エチル基、ヘキシル基、エチニル基、フェニル基、トリメチルシリルエチニル基、ブチルエチニル基、ビニル基から選ばれ、R≠R,Rである)で示される光学活性シロキサン。
  3. 一般式
    Figure 0004807549
    (式中,R及びRはメチル基、エチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、イソプロピル基、オクタデシル基、メチルベンジル基から選ばれ,R≠Rである)で示されるアキラルシロキサンを、RLi(Rはメチル基、n−ブチル基、t−ブチル基、エチル基、ヘキシル基、エチニル基、フェニル基、トリメチルシリルエチニル基、ブチルエチニル基、ビニル基から選ばれ、R≠R,Rである)と、光学活性ビスオキサゾリン不斉配位剤の存在下で反応させ、一般式
    Figure 0004807549
    で表わされる光学活性シロキサンを合成する方法。
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