JP3841361B2 - α−オレフイン低重合体の製造方法 - Google Patents

α−オレフイン低重合体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、α−オレフイン低重合体の製造方法に関するものであり、詳しくは、クロム系触媒を使用したα−オレフイン低重合体の製造方法であって、反応液中に含有されるクロム化合物などの触媒成分を除去し、得られるα−オレフイン低重合体の高純度化を図ったα−オレフイン低重合体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、エチレン等のα−オレフインの低重合方法として、特定のクロム化合物と特定の有機アルミニウム化合物の組み合せから成るクロム系触媒を使用する方法が知られている。例えば、特公昭43−18707号公報には、一般式MXn で表され、クロムを含むVIA族の遷移金属化合物(M)とポリヒドロカルビルアルミニウムオキシド(X)から成る触媒系により、エチレンから1−ヘキセンを得る方法が記載されている。
【0003】
また、特開平3−128904号公報には、クロム−ピロリル結合を有するクロム含有化合物と金属アルキル又はルイス酸とを予め反応させて得られた触媒を使用してα−オレフインを三量化する方法が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特公昭43−18707号公報に記載された方法では、1−ヘキセンと同時に副生するポリエチレンの量が多く、ポリエチレンの副生量を少なくした条件では、触媒活性が低下するという問題がある。また、特開平3−128904号公報に記載された方法では、ポリエチレン等の副生ポリマーは少ないが、触媒活性が十分でないという問題がある。
【0005】
また、α−オレフインの低重合反応により得られる各種の成分、例えば、α−オレフイン低重合体組成物から蒸留により回収される1−ヘキセンは、線状低密度ポリエチレン(L−LDPE)等の有用なポリマーの原料モノマーとして利用され、炭素数4の1−ブテンやブタン、炭素数8の1オクテンやオクタン等は、例えば、硫化水素を付加させた後酸化することにより、スルホン酸類に変換することが出来、その塩類は、界面活性剤として有用である。
【0006】
従って、反応液中に含有されるクロム化合物などの触媒成分を除去し、得られるα−オレフイン低重合体の高純度化を図ることは、α−オレフインの低重合反応により得られる各種の成分の用途において重要であり、しかも、各成分の蒸留分離の条件によっては、クロム化合物などの触媒成分による蒸留塔への付着などの問題も惹起されるため、斯かる観点からも、反応液中に含有されるクロム化合物などの触媒成分の除去の必要がある。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、高収率かつ高選択率で1−ヘキセン等のα−オレフイン低重合体を製造することが出来、特に、反応液中に含有されるクロム化合物などの触媒成分を除去し、得られるα−オレフイン低重合体の高純度化を図ったα−オレフイン低重合体の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、特定のクロム系触媒と溶媒を使用してα−オレフインの低重合を行った後、触媒成分を含有する反応液と酸水溶液とを接触させて触媒成分を除去することにより、上記の目的を容易に達成し得るとの知見を得た。
造方法。
【0009】
本発明は、上記の知見を基に完成されたものであり、その要旨は、クロム系触媒を使用したα−オレフイン低重合体の製造方法において、クロム系触媒として、少なくとも、クロム化合物とアミン又は金属アミドとアルキルアルミニウム化合物の組み合わせから成る触媒系を使用し、溶媒中でα−オレフインの低重合を行い、次いで、触媒成分を含有する反応液と酸水溶液とを接触させて触媒成分を除去することを特徴とするα−オレフイン低重合体の製造方法に存する。
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明においては、高収率かつ高選択率でα−オレフイン低重合体を製造するため、クロム系触媒として、少なくとも、クロム化合物とアミン又は金属アミドとアルキルアルミニウム化合物の組み合わせから成る触媒系を使用する。そして、本発明の好ましい態様においては、後述の様に、クロム化合物とアルキルアルミニウム化合物とが予め接触しない態様でα−オレフインとクロム系触媒とを接触させる。
【0011】
本発明で使用するクロム化合物は、一般式CrXnで表される。但し、一般式中、Xは、任意の有機基または無機の基もしくは陰性原子、nは1〜6の整数を表し、そして、nが2以上の場合、Xは同一または相互に異なっていてもよい。クロムの価数は0価ないし6価であり、上記の式中のnとしては2以上が好ましい。
【0012】
有機基としては、炭素数が通常1〜30の各種の基が挙げられる。具体的には、炭化水素基、カルボニル基、アルコキシ基、カルボキシル基、β−ジケトナート基、β−ケトカルボキシル基、β−ケトエステル基およびアミド基などが例示れる。炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アラルキル基など等が挙げられる。無機の基としては、硝酸基、硫酸基などのクロム塩形成基が挙げられ、陰性原子としては、酸素、ハロゲン等が挙げられる。
【0013】
好ましいクロム化合物は、クロムのアルコキシ塩、カルボキシル塩、β−ジケトナート塩、β−ケトエステルのアニオンとの塩、または、クロムハロゲン化物であり、具体的には、クロム(IV)tert−ブトキシド、クロム(III) アセチルアセトナート、クロム(III) トリフルオロアセチルアセトナート、クロム(III) ヘキサフルオロアセチルアセトナート、クロム(III)(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)、Cr(PhCOCHCOPh)3(但し、ここでPhはフェニル基を示す。)、クロム(II)アセテート、クロム(III) アセテート、クロム(III) 2−エチルヘキサノエート、クロム(III) ベンゾエート、クロム(III) ナフテネート、Cr(CH3 COCHCOOCH3)3 、塩化第一クロム、塩化第二クロム、臭化第一クロム、臭化第二クロム、ヨウ化第一クロム、ヨウ化第二クロム、フッ化第一クロム、フッ化第二クロム等が挙げられる。
【0014】
また、上記のクロム化合物と電子供与体から成る錯体も好適に使用することが出来る。電子供与体としては、窒素、酸素、リン又は硫黄を含有する化合物の中から選択される。
【0015】
窒素含有化合物としては、ニトリル、アミン、アミド等が挙げられ、具体的には、アセトニトリル、ピリジン、ジメチルピリジン、ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アニリン、ニトロベンゼン、テトラメチルエチレンジアミン、ジエチルアミン、イソプロピルアミン、ヘキサメチルジシラザン、ピロリドン等が挙げられる。
【0016】
酸素含有化合物としては、エステル、エーテル、ケトン、アルコール、アルデヒド等が挙げられ、具体的には、エチルアセテート、メチルアセテート、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライム、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、アセトアルデヒド等が挙げられる。
【0017】
リン含有化合物としては、ヘキサメチルフォスフォルアミド、ヘキサメチルフォスフォラストリアミド、トリエチルフォスファイト、トリブチルフォスフィンオキシド、トリエチルフォスフィン等が例示される。一方、硫黄含有化合物としては、二硫化炭素、ジメチルスルフォキシド、テトラメチレンスルフォン、チオフェン、ジメチルスルフィド等が例示される。
【0018】
従って、クロム化合物と電子供与体から成る錯体例としては、ハロゲン化クロムのエーテル錯体、エステル錯体、ケトン錯体、アルデヒド錯体、アルコール錯体、アミン錯体、ニトリル錯体、ホスフィン錯体、チオエーテル錯体などが挙げられる。具体的には、CrCl3 ・3THF、CrCl3 ・3dioxane、CrCl3 ・(CH3 CO2 n−C4 9 )、CrCl3 ・(CH3 CO2 2 5 )、CrCl3 ・3(i−C3 7 OH)、CrCl3 ・3[CH3 (CH2 3 CH(C2 5 )CH2 OH]、CrCl3 ・3pyridine、CrCl3 ・2(i−C3 7 NH2 )、[CrCl3 ・3CH3 CN]・CH3 CN、CrCl3 ・3PPh3 、CrCl2 ・2THF、CrCl2 ・2pyridine、CrCl2 ・2[(C2 5)2 NH]、CrCl2 ・2CH3 CN、CrCl2 ・2[P(CH3 2 Ph]等が挙げられる。
【0019】
クロム化合物としては、炭化水素溶媒に可溶な化合物が好ましく、クロムのβ−ジケトナート塩、カルボン酸塩、β−ケトエステルのアニオンとの塩、β−ケトカルボン酸塩、アミド錯体、カルボニル錯体、カルベン錯体、各種シクロペンタジエニル錯体、アルキル錯体、フェニル錯体などが挙げられる。クロムの各種カルボニル錯体、カルベン錯体、シクロペンタジエニル錯体、アルキル錯体、フェニル錯体としては、具体的には、Cr(CO)6 、(C6 6)Cr(CO)3 、(CO)5 Cr(=CCH3 (OCH3 ))、(CO)5 Cr(=CC6 5 (OCH3 ))、CpCrCl2 (ここでCpはシクロペンタジエニル基を示す。)、( Cp* CrClCH3)2 (ここでCp* はペンタメチルシクロペンタジエニル基を示す。)、(CH3)2 CrCl等が例示される。
【0020】
クロム化合物は、無機酸化物などの担体に担持して使用することも出来るが、担体に担持させずに、他の触媒成分と組み合わせて使用するのが好ましい。すなわち、本発明の好ましい態様に従い、後述する特定の接触態様でクロム系触媒を使用するならば、クロム化合物の担体への担持を行わなくとも高い触媒活性が得られる。そして、クロム化合物を担体に担持させずに使用する場合は、複雑な操作を伴う担体への担持を省略でき、しかも、担体の使用による総触媒使用量(担体と触媒成分の合計量)の増大と言う問題をも回避することが出来る。
【0021】
本発明で使用するアミンは、1級または2級のアミンである。1級アミンとしては、アンモニア、エチルアミン、イソプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、アニリン、ナフチルアミン等が例示され、2級アミンとしては、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジベンジルアミン、ビス(トリメチルシリル)アミン、モルホリン、イミダゾール、インドリン、インドール、ピロール、2,5−ジメチルピロール、3,4−ジメチルピロール、3,4−ジクロロピロール、2,3,4,5−テトラクロロピロール、2−アシルピロール、ピラゾール、ピロリジン等が例示される。
【0022】
本発明で使用する金属アミドは、1級または2級のアミンから誘導される金属アミドであり、具体的には、1級または2級のアミンとIA族、IIA族、IIIB族およびIVB族から選択される金属との反応により得られるアミドである。斯かる金属アミドとしては、具体的には、リチウムアミド、ナトリウムエチルアミド、カルシウムジエチルアミド、リチウムジイソプロピルアミド、カリウムベンジルアミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、リチウムインドリド、ナトリウムピロライド、リチウムピロライド、カリウムピロライド、カリウムピロリジド、アルミニウムジエチルピロライド、エチルアルミニウムジピロライド、アルミニウムトリピロライド等が挙げられる。
【0023】
本発明においては、2級のアミン、2級のアミンから誘導される金属アミド又はこれらの混合物が好適に使用される。特には、2級のアミンとしては、ピロール、2,5−ジメチルピロール、3,4−ジメチルピロール、3,4−ジクロロピロール、2,3,4,5−テトラクロロピロール、2−アシルピロール、2級のアミンから誘導される金属アミドとしては、アルミニウムピロライド、エチルアルミニウムジピロライド、アルミニウムトリピロライド、ナトリウムピロライド、リチウムピロライド、カリウムピロライドが好適である。そして、ピロール誘導体の中、ピロール環に炭化水素基を有する誘導体が特に好ましい。
【0024】
本発明において、アルキルアルミニウム化合物としては、下記一般式(1)で示されるアルキルアルミニウム化合物が好適に使用される。
【化1】
1 m Al(OR2 n p q ・・・(1)
【0025】
式中、R1 及びR2 は、炭素数が通常1〜15、好ましくは1〜8の炭化水素基であって互いに同一であっても異なっていてもよく、Xはハロゲン原子を表し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3のそれぞれの数であって、しかも、m+n+p+q=3である数を表す。
【0026】
上記のアルキルアルミニウム化合物としては、例えば、下記一般式( 2) で示されるトリアルキルアルミニウム化合物、一般式(3)で示されるハロゲン化アルキルアルミニウム化合物、一般式(4)で示されるアルコキシアルミニウム化合物、一般式(5)で水素化アルキルアルミニウム化合物などが挙げられる。なお、各式中のR1 、XおよびR2 の意義は前記と同じである。
【0027】
【化2】
1 3Al ・・・ (2)
1 m AlX3-m (mは1. 5≦m<3) ・・・ (3)
1 m Al(OR2 3-m
(mは0<m<3、好ましくは1. 5≦m<3) ・・・(4)
1 m AlH3-m ・・・(5)
(mは0<m<3、好ましくは1. 5≦m<3)
【0028】
上記のアルキルアルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムヒドリド等が挙げられる。これらの中、ポリマーの副生が少ないと言う点でトリアルキルアルミニウムが特に好ましい。
【0029】
先ず、本発明においては、上記の各触媒成分から成る触媒系を使用して溶媒中でα−オレフインの低重合を行う。クロム化合物の使用量は、溶媒1リットル当たり、通常0.1×10-3〜5g、好ましくは1.0×10-3〜2gの範囲とされる。一方、アルキルアルミニウム化合物の使用量は、クロム化合物1g当たり、通常0.1mmol以上であるが、触媒活性および三量体の選択率の観点から、5mmol以上とするのがよい。そして、上限は、通常50molである。また、アミン又は金属アミドの使用量は、クロム化合物1g当たり、通常0.001当量以上であり、好ましくは0.005〜1000当量、更に好ましくは0.01〜100当量の範囲とされる。
【0030】
本発明においては、クロム化合物とアルキルアルミニウム化合物とが予め接触しない態様でα−オレフインとクロム系触媒とを接触させることが好ましい。斯かる接触態様によれば、選択的に三量化反応を行わせ、原料エチレンから1−ヘキセンを高収率で得ることが出来る。
【0031】
上記の特定の接触態様は、具体的には、「アミン又は金属アミド」についてアミンを以て表した場合、(1)アミン及びアルキルアルミニウム化合物を含む溶液中にα−オレフイン及びクロム化合物を導入する方法、(2)クロム化合物およびアミンを含む溶液中にα−オレフイン及びアルキルアルミニウム化合物を導入する方法、(3)クロム化合物を含む溶液中にα−オレフイン、アミン及びアルキルアルミニウム化合物を導入する方法、(4)アルキルアルミニウム化合物を含む溶液中にα−オレフイン、クロム化合物およびアミンを導入する方法、(5)クロム化合物、アミン、アルキルアルミニウム化合物およびα−オレフインをそれぞれ同時かつ独立に反応器に導入する方法などによって行うことが出来る。そして、上記の各溶液は、通常、反応溶媒を使用して調製される。
【0032】
なお、上記において、「クロム化合物とアルキルアルミニウム化合物とが予め接触しない態様」とは、反応の開始時のみならず、その後の追加的なα−オレフイン及び触媒成分の反応器への供給においても斯かる態様が維持されることを意味する。
【0033】
クロム化合物とアルキルアルミニウム化合物とが予め接触する態様でクロム系触媒を使用した場合にα−オレフインの低重合反応の活性が低くなる理由は、未だ詳らかではないが、次の様に推定される。
【0034】
すなわち、クロム化合物とアルキルアルミニウムを接触させた場合、クロム化合物に配位している配位子とアルキルアルミニウム化合物中のアルキル基との間で配位子交換反応が進行すると考えられる。そして、斯かる反応によって生成するアルキル−クロム化合物は、通常の方法で生成するアルキル−クロム化合物と異なり、それ自身不安定である。そのため、アルキル−クロム化合物の分解還元反応が優先して進行し、その結果、α−オレフインの低重合反応に不適当な脱メタル化が惹起され、α−オレフインの低重合反応の活性が低下する。
【0035】
本発明において、原料α−オレフインとしては、炭素数が2〜30の置換または非置換のα−オレフインが使用される。具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。特に、原料α−オレフインとしてエチレンが好適であり、エチレンからその三量体である1−ヘキセンを高収率かつ高選択率で得ることが出来る。
【0036】
本発明において、溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン等の直鎖状または脂環式の飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、テトラリン等の芳香族炭化水素、クロロホルム、四塩化炭素、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン等の鎖状塩素化炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化芳香族炭化水素などが使用される。これらは、単独で使用する他、混合溶媒として使用することも出来る。
【0037】
特に、溶媒としては、炭素数が4〜7の直鎖状飽和炭化水素または脂環式飽和炭化水素が好ましい。これらの溶媒を使用することにより、ポリマーの副生を抑制することが出来、更に、脂環式炭化水素を使用した場合は、高い触媒活性が得られると言う利点がある。
【0038】
反応温度としては、0〜70℃の範囲が好ましい。一方、反応圧力は、常圧ないし250kg/cm2 の範囲から選択し得るが、通常は、100kg/cm2 の圧力で十分である。そして、滞留時間は、通常1分から20時間、好ましくは0.5〜6時間の範囲とされる。また、反応形式は、回分式、半回分式または連続式の何れであってもよく、反応時に水素を共存させるならば、触媒活性および三量体の選択率の向上が認められので好ましい。
【0039】
次いで、本発明においては、触媒成分を含有する反応液と酸水溶液とを接触させて触媒成分を除去する。そして、本発明の好ましい態様においては、触媒成分の除去に先立ち、反応液中の副生ポリマーの分離除去を行う。反応液中の副生ポリマーの分離除去は、公知の固液分離装置を適宜使用し、副生ポリマーを溶融させることなく行われる。固液分離装置としては、濾過機または遠心分離機を使用するのが好ましい。
【0040】
触媒成分の除去に使用される酸としては、硝酸、塩酸、硫酸が好適に使用される。これらの酸は、通常、2〜20重量%水溶液として使用される。触媒成分を含有する反応液と酸水溶液との接触は、各種の抽出装置を使用して行うことが出来るが、攪拌槽と静置分離槽と使用して行うのが好適である。そして、これらの組み合わせは、1段であっても多段であってもよく、また、回分式または連続式の何れの抽出方式であってもよい。
【0041】
上記の抽出にて容易に除去される触媒成分は、使用する抽剤(酸水溶液)によって異なるが、主として、クロム化合物、金属アミド、アルキルアルミニウム化合物などの金属成分である。本発明においては、必要に応じ、攪拌層を2個使用し、酸水溶液とアルカリ水溶液の両者による抽出を行うことも出来る。
【0042】
抽出条件としては、特に制限はないが、攪拌槽と静置分離槽を使用した場合、攪拌槽における油層:水層の比は、通常1:0.1〜10、好ましくは1:0.5〜5、処理温度は、通常25〜60℃、好ましくは40〜60℃、処理時間は、通常5〜120分、好ましくは30〜90分とされる。
【0043】
本発明において、触媒成分の除去は、任意の段階で行うことが出来る。従って、触媒成分を含有する反応液は、必ずしも、反応系から導出された直後の反応液に限定されず、α−オレフイン低重合体の主成分および/または溶媒を蒸留分離した後の反応液であってもよい。しかしながら、α−オレフイン低重合体および溶媒の大部分を蒸留分離した後の反応液から触媒成分の除去を行う場合は、その直前の蒸留分離において、触媒成分による蒸留塔への付着などの問題が惹起されることがある。従って、触媒成分の除去は、蒸留後の任意の段階で行うことが出来るが、触媒成分が高度に濃縮されない段階で行う必要がある。
【0044】
抽出処理後の酸水溶液中の金属イオンは、公知の方法によって回収することが出来る。金属イオンの回収方法としては、例えば、キレート樹脂による方法が挙げられる。キレート樹脂としては、三菱化成(株)製の「ダイヤイオンCR10」、「ダイヤイオンCR11」等が挙げられる。これらのキレート樹脂によれば、特に、3価のクロムイオンとアルミニウムイオンとを効率良く回収することが出来る。また、金属イオンの回収方法としては、上記の他、適宜の化学反応を利用して不溶性金属として沈殿させる方法を採用することも出来、また、斯かる沈殿回収法と上記のキレート樹脂による方法とを組み合わせることも出来る。
【0045】
一方、触媒成分が除去された反応液は、通常、付着混入した酸またはアルカリ分を水洗によって除去した後、α−オレフイン低重合体と溶媒とに蒸留分離される。蒸留分離は、公知の蒸留装置を使用して行われ、回収された溶媒は、反応系に循環使用することも出来る。本発明においては、特に、エチレンから高純度の1−ヘキセンを工業的有利に製造することが出来る。
【0046】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0047】
実施例1
150℃の乾燥器で加熱乾燥した2.4 リットルのオートクレーブを熱時に組み立てた後、真空窒素置換した。このオートクレーブには破裂板を備えた触媒フィード管を備えた攪拌機を取り付けておいた。n−ヘプタン( 980ml) 、ピロール(1.244mmol)のn−ヘプタン溶液、トリエチルアルミニウム(8.000mmol)のn−ヘプタン溶液をオートクレーブの胴側に仕込み、一方、触媒フィード管にn−ヘプタンにて溶液化したクロム(III) 2−エチルヘキサノエート(200mg、0.420mmol)を仕込んだ。n−ヘプタンの全体量は1リットルであった。
【0048】
先ず、オートクレーブを40℃に加熱し、次いで、40℃でエチレンを触媒フィード管より導入した。エチレン圧により破裂板が破裂し、クロム化合物がオートクレーブ胴側に導入されてエチレンの低重合が開始された。全圧が35Kg/cm2 となる迄エチレンを導入し、その後、全圧を35Kg/cm2 に、温度を40℃に維持した。1時間後、オートクレーブ中にエタノールを圧入して反応を停止した。
【0049】
オートクレーブの圧力を解除して脱ガスを行った後、濾過機によって反応液中の副生ポリマー(主としてポリエチレン)を分離除去した後、反応液を2リットルのコンデンサー付攪拌槽に導入し、10重量%の硝酸水溶液によって抽出処理した。油層:水層比は1:1、温度は50℃、処理時間は1時間とした。その後、攪拌を止めて静置分離し、分離された水層中の金属成分の濃度を高周波プラズマ発光分光法で測定した結果、クロムとアルミが検出され、濃度計算から求めた量は、反応において、触媒成分として使用した量と略同量であった。ガスクロマトグラフによるα−オレフイン低重合体の組成分析の結果などは表1に示した。
【0050】
実施例2〜3
実施例1において、反応温度および溶媒の種類を表1〜2に示す様に変更した以外は、実施例1と同様に重合および副生ポリマーの濾過操作を行った後、反応液の抽出を行った。何れの実施例においても、反応において、触媒成分として使用した量と略同量のクロムとアルミが抽出された。ガスクロマトグラフによるα−オレフイン低重合体の組成分析の結果などは表1に示した。
【0051】
各表中、溶媒種類の「HP」はn−ヘプタン、「OCT」はn−オクタン、「OCTE」は1−オクテンを表し、触媒効率の単位は、g−α−オレフイン/1g−クロム化合物、触媒活性の単位は、g−α−オレフイン/1g−クロム・Hrである。
【0052】
【表1】
Figure 0003841361
【0053】
【発明の効果】
以上説明した本発明によれば、高収率かつ高選択率で1−ヘキセン等のα−オレフインの低重合物を製造することが出来、しかも、反応液中に含有されるクロム化合物などの触媒成分を除去し、得られるα−オレフイン低重合体の高純度化を図ったα−オレフイン低重合体の製造方法が提供される。

Claims (2)

  1. クロム系触媒を使用したα−オレフイン低重合体の製造方法において、クロム系触媒として、少なくとも、クロム化合物とアミン又は金属アミドとアルキルアルミニウム化合物の組み合わせから成る触媒系を使用し、溶媒中でα−オレフインの低重合を行い、次いで、触媒成分を含有する反応液と酸水溶液とを接触させて触媒成分を除去することを特徴とするα−オレフイン低重合体の製造方法。
  2. クロム化合物とアルキルアルミニウム化合物とが予め接触しない態様でα−オレフインとクロム系触媒とを接触させる請求項1に記載のα−オレフイン低重合体の製造方法。
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