JP3632233B2 - α−オレフイン低重合体の製造方法 - Google Patents

α−オレフイン低重合体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、α−オレフイン低重合体の製造方法に関するものであり、詳しくは、ハロゲン含有化合物を含むクロム系触媒を使用したα−オレフイン低重合体の製造方法であって、反応液中に含有される触媒成分を除去することにより、触媒除去後の工程の負荷が軽減され、また、高価なアミン化合物等の触媒成分を回収して再利用し得るα−オレフイン低重合体の工業的に有利な製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、エチレン等のα−オレフインの低重合方法として、特定のクロム化合物と特定の有機アルミニウム化合物の組み合せから成るクロム系触媒を使用する方法が知られている。例えば、特公昭43−18707号公報には、クロムを含むVIB族の遷移金属化合物とポリヒドロカルビルアルミニウムオキシドから成る触媒系により、エチレンから1−ヘキセンを得る方法が記載されている。
【0003】
また、特開平3−128904号公報には、クロム−ピロリル結合を有するクロム含有化合物と金属アルキル又はルイス酸とを予め反応させて得られた触媒を使用してα−オレフインを三量化する方法が記載されている。さらに、南アフリカ特許ZA93/0350には、クロム化合物、ピロール含有化合物、金属アルキル化合物及びハライド源を共通の溶媒中で混合することにより得られた触媒系を使用して、α−オレフインを低重合する方法が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
α−オレフインの低重合反応により得られる各種の成分、例えば、α−オレフイン低重合体組成物から蒸留により回収される1−ヘキセンは、線状低密度ポリエチレン(L−LDPE)等の有用なポリマーの原料モノマーとして利用され、炭素数4の1−ブテンやブタン、炭素数8の1−オクテンやオクタン等は、例えば、硫化水素を付加させた後酸化することにより、スルホン酸類に変換することが出来、その塩類は、界面活性剤として有用である。
【0005】
従って、反応液中に含有されるクロム化合物などの触媒成分を除去し、得られるα−オレフイン低重合体の高純度化を図ることは、α−オレフインの低重合反応により得られる各種の成分の用途において重要であり、しかも、各成分の蒸留分離の条件によっては、クロム化合物などの触媒成分による蒸留塔への付着などの問題も惹起されるため、斯かる観点からも、反応液中に含有されるクロム化合物などの触媒成分の除去の必要がある。
【0006】
かかる目的のため、本発明者らの一部は、クロム化合物とアミン又は金属アミドとアルキルアルミニウム化合物の3成分の組み合わせから成る触媒を使用し、α−オレフインを低重合して得られる反応液を酸またはアルカリ水溶液と接触させてクロム化合物などの触媒成分を除去する方法を提案した(特願平5−329668号)。
【0007】
このような触媒除去において、酸やアルカリ水溶液の濃度は、触媒を抽出除去した後の工程の負荷を軽減するためにはできるだけ低い方が好ましい。しかしながら、特願平5−329668号に記載された3成分の組み合わせから成る触媒の場合、反応液からクロム化合物やアルキルアルミニウム化合物を除去するためには酸やアルカリ水溶液の濃度はあまり低くては効果がない。
【0008】
一方、触媒成分としてクロム化合物、アミン、アミド、イミドの群から選ばれる1種以上の化合物、アルキルアルミニウム化合物及びハロゲン含有化合物の組み合わせから成る触媒は、α−オレフイン低重合体を高収率で、しかも高選択率で製造することができるので工業的な実施の際には好適である。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、クロム化合物(a)、アミン、アミド、イミドの群から選ばれる1種以上の化合物(b)、アルキルアルミニウム化合物(c)及びハロゲン含有化合物(d)の組み合わせから成るクロム系触媒を使用する方法において、反応液中に含有される触媒成分を効果的に除去し、触媒除去後の工程の負荷が軽減され、また、高価なピロール化合物等の触媒成分を回収して再利用し得るα−オレフイン低重合体の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、クロム化合物(a)、アミン、アミド、イミドの群から選ばれる1種以上の化合物(b)、アルキルアルミニウム化合物(c)及びハロゲン含有化合物(d)の組み合わせから成るクロム系触媒を使用してα−オレフインの低重合を行った後、触媒成分を含有する反応液から触媒成分を除去する際に、該反応液を低濃度の酸またはアルカリ水溶液と接触させることにより、予想外にも、クロム化合物やアルキルアルミニウム化合物を効果的に除去でき、上記の目的を容易に達成し得るとの知見を得た。
【0011】
本発明は、上記の知見に基づき達成されたものであり、その要旨は、クロム系触媒を使用したα−オレフイン低重合体の製造方法において、クロム系触媒として、少なくとも、クロム化合物(a)、アミン、アミド、イミドの群から選ばれる1種以上の化合物(b)、アルキルアルミニウム化合物(c)及びハロゲン含有化合物(d)の組み合わせから成る触媒系を使用し、反応溶媒中でα−オレフインの低重合を行い、次いで、触媒成分を含有する反応液を2.5mol/l以下の酸またはアルカリ水溶液と接触させて触媒成分を除去することを特徴とするα−オレフイン低重合体の製造方法、に存する。
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明においては、クロム系触媒として、少なくとも、クロム化合物(a)、アミン、アミド、イミドの群から選ばれる1種以上の化合物(b)、アルキルアルミニウム化合物(c)及びハロゲン含有化合物(d)の組み合わせから成る触媒系を使用する。
【0013】
本発明で使用するクロム化合物(a)は、一般式CrXnで表される。但し、一般式中、Xは、任意の有機基または無機の基もしくは陰性原子または配位性分子、nは1〜6の整数を表し、そして、nが2以上の場合、Xは同一または相互に異なっていてもよい。クロムの価数は0〜6価であり、上記の式中のnとしては2以上が好ましい。
【0014】
有機基としては、炭素数が通常1〜30の各種の基が挙げられる。具体的には、炭化水素基、カルボニル基、アルコキシ基、カルボキシル基、β−ジケトナート基、β−ケトカルボキシル基、β−ケトエステル基およびアミド基などが例示れる。炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アラルキル基、シクロペンタジエニル基など等が挙げられる。無機の基としては、硝酸基、硫酸基などのクロム塩形成基が挙げられ、陰性原子としては、酸素、ハロゲン等が挙げられる。
【0015】
好ましいクロム化合物は、クロムのアルコキシ塩、カルボキシル塩、β−ジケトナート塩、β−ケトエステルのアニオンとの塩、または、クロムハロゲン化物であり、具体的には、クロム(IV)t−ブトキシド、クロム(III) アセチルアセトナート、クロム(III) トリフルオロアセチルアセトナート、クロム(III) ヘキサフルオロアセチルアセトナート、クロム(III)(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)、Cr(PhCOCHCOPh)(ここでPhはフェニル基を示す。)、クロム(II)アセテート、クロム(III) アセテート、クロム(III) 2−エチルヘキサノエート、クロム(III) ベンゾエート、クロム(III) ナフテネート、Cr(CHCOCHCOOCH、塩化第一クロム、塩化第二クロム、臭化第一クロム、臭化第二クロム、ヨウ化第一クロム、ヨウ化第二クロム、フッ化第一クロム、フッ化第二クロム等が挙げられる。
【0016】
また、上記のクロム化合物と電子供与体から成る錯体も好適に使用することが出来る。電子供与体としては、窒素、酸素、リン又は硫黄を含有する化合物の中から選択される。
窒素含有化合物としては、ニトリル、アミン、アミド等が挙げられ、具体的には、アセトニトリル、ピリジン、ジメチルピリジン、ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アニリン、ニトロベンゼン、テトラメチルエチレンジアミン、ジエチルアミン、イソプロピルアミン、ヘキサメチルジシラザン、ピロリドン等が挙げられる。
【0017】
酸素含有化合物としては、エステル、エーテル、ケトン、アルコール、アルデヒド等が挙げられ、具体的には、エチルアセテート、メチルアセテート、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライム、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、アセトアルデヒド等が挙げられる。
【0018】
リン含有化合物としては、ヘキサメチルホスホルアミド、ヘキサメチルフォスフォラストリアミド、トリエチルホスファイト、トリブチルホスフィンオキシド、トリエチルホスフィン等が例示される。一方、硫黄含有化合物としては、二硫化炭素、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホン、チオフェン、ジメチルスルフィド等が例示される。
【0019】
従って、クロム化合物と電子供与体から成る錯体例としては、ハロゲン化クロムのエーテル錯体、エステル錯体、ケトン錯体、アルデヒド錯体、アルコール錯体、アミン錯体、ニトリル錯体、ホスフィン錯体、チオエーテル錯体などが挙げられる。具体的には、CrCl・3THF、CrCl・3dioxane、CrCl・(CHCOn−C)、CrCl・(CHCO)、CrCl・3(i−COH)、CrCl・3[CH(CHCH(C)CHOH]、CrCl・3pyridine、CrCl・2(i−CNH)、[CrCl・3CHCN]・CHCN、CrCl・3PPh、CrCl・2THF、CrCl・2pyridine、CrCl・2[(CNH]、CrCl・2CHCN、CrCl・2[P(CHPh]等が挙げられる。(ここで、THFはテトラヒドロフランを表す。)
【0020】
クロム化合物としては、炭化水素溶媒に可溶な化合物が好ましく、クロムのβ−ジケトナート塩、カルボン酸塩、β−ケトエステルのアニオンとの塩、β−ケトカルボン酸塩、アミド錯体、カルボニル錯体、カルベン錯体、各種シクロペンタジエニル錯体、アルキル錯体、フェニル錯体などが挙げられる。クロムの各種カルボニル錯体、カルベン錯体、シクロペンタジエニル錯体、アルキル錯体、フェニル錯体としては、具体的には、Cr(CO)、(C)Cr(CO)、(CO)Cr(=CCH(OCH))、(CO)Cr(=CC(OCH))、CpCrCl(ここでCpはシクロペンタジエニル基を示す。)、( Cp* CrClCH(ここでCp* はペンタメチルシクロペンタジエニル基を示す。)、(CHCrCl等が例示される。
【0021】
クロム化合物は、無機酸化物などの担体に担持して使用することも出来るが、担体に担持させずに、他の触媒成分と組み合わせて使用するのが好ましい。すなわち、本発明において、クロム系触媒は、後述する特定の接触態様で使用されるのが好ましいが、斯かる態様によれば、クロム化合物の担体への担持を行わなくとも高い触媒活性が得られる。そして、クロム化合物を担体に担持させずに使用する場合は、複雑な操作を伴う担体への担持を省略でき、しかも、担体の使用による総触媒使用量(担体と触媒成分の合計量)の増大と言う問題をも回避することが出来る。
【0022】
本発明で使用するアミン(b)は、1級または2級のアミンである。1級アミンとしては、エチルアミン、イソプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、アニリン、ナフチルアミン等が例示され、2級アミンとしては、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジベンジルアミン、ビス(トリメチルシリル)アミン、モルホリン、イミダゾール、インドリン、インドール、ピロール、2,5−ジメチルピロール、3,4−ジメチルピロール、3,4−ジエチルピロール、2,3,4−トリメチルピロール、3,4−ジクロロピロール、2,3,4,5−テトラクロロピロール、2−アシルピロール、3,3’,4,4’−テトラメチルジピロロメタン、ピラゾール、ピロリジン等が例示される。
【0023】
本発明で使用するアミド(b)としては、1級または2級のアミンから誘導される金属アミドが挙げられ、例えば、上記の1級または2級のアミンとIA族、IIA族、IIIA族およびIVB族から選択される金属との反応により得られるアミドが挙げられる。斯かる金属アミドとしては、具体的には、リチウムアミド、ナトリウムエチルアミド、カルシウムジエチルアミド、リチウムジイソプロピルアミド、カリウムベンジルアミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、リチウムインドリド、ナトリウムピロライド、リチウムピロライド、カリウムピロライド、カリウムピロリジド、アルミニウムジエチルピロライド、エチルアルミニウムジピロライド、アルミニウムトリピロライド、リチウム(2,5−ジメチルピロライド)等が挙げられる。
【0024】
本発明においては、上記の2級のアミン、2級のアミンから誘導される金属アミド又はこれらの混合物が好適に使用される。特には、2級のアミンとしては、ピロール、2,5−ジメチルピロール、3,4−ジメチルピロール、2,3,4−トリメチルピロール、3,4−ジクロロピロール、2,3,4,5−テトラクロロピロール、2−アシルピロール、3,3’,4,4’−テトラメチルジピロロメタン、2級のアミンから誘導される金属アミドとしては、アルミニウムピロライド、エチルアルミニウムジピロライド、アルミニウムトリピロライド、ナトリウムピロライド、リチウムピロライド、カリウムピロライド、アルミニウム(2,5−ジメチルピロライド)、エチルアルミニウムビス(2,5−ジメチルピロライド)、アルミニウムトリス(2,5−ジメチルピロライド)、ナトリウム(2,5−ジメチルピロライド)、リチウム(2,5−ジメチルピロライド)、カリウム(2,5−ジメチルピロライド)が好適である。そして、ピロール誘導体の中、ピロール環に炭化水素基を有する誘導体が特に好ましい。
【0025】
本発明で使用する前記以外のアミド又はイミド(b)としては、下記一般式(1)〜(3)で表される化合物などが挙げられる。
【0026】
【化1】
Figure 0003632233
【0027】
一般式(1)中、Mは、水素原子または周期律表のIA、IIA、IB、 IIIA族から選ばれる金属元素であり、Rは、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、または、ヘテロ元素を含んでいてもよいアリール基を表し、Rは、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ヘテロ元素を含んでいてもよいアリール基、または、アシル基COR(Rの定義はRと同じであり、Rと異なっていてもよい)を表し、RとRは環を形成してもよい。
【0028】
一般式(2)中、M及びMは、水素原子または周期律表のIA、IIA、IB、 IIIA族から選ばれる金属元素であり、R及びRは、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、または、ヘテロ元素を含んでいてもよいアリール基を表し、RとRは環を形成していてもよく、Aは不飽和結合を含んでいてもよいアルキレン基を表す。
【0029】
一般式(1)又は一般式(2)で表される酸アミド類としては、例えば、アセトアミド、N−メチルヘキサンアミド、スクシンアミド、マレアミド、N−メチルベンズアミド、イミダゾール−2−カルボンアミド、ジ−2−テノイルアミン、β−ラクタム、δ−ラクタム、ε−カプロラクタム、および、これらと周期律表のIA、IIA、IBまたは IIIA族の金属との塩が挙げられる。イミド類としては、例えば、1,2−シクロヘキサンジカルボンイミド、スクシンイミド、フタルイミド、マレイミド、2,4,6−ピペリジントリオン、ペルヒドロアゼシン−2,10−ジオン、および、これらと周期律表のIA、IIA、IBまたは IIIA族の金属との塩が挙げられる。
【0030】
一般式(3)中、Mは、水素原子または周期律表のIA、IIA、IB、IIIA族から選ばれる金属元素であり、Rは、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、または、ヘテロ元素を含んでいてもよいアリール基を表し、Rは、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ヘテロ元素を含んでいてもよいアリール基、または、SO基(Rの定義はRと同じであり、Rと異なっていてもよい)を表し、RとRは環を形成してもよい。
【0031】
一般式(3)で示されるスルホンアミド類およびスルホンイミド類としては、例えば、ベンゼンスルホンアミド、N−メチルメタンスルホンアミド、N−メチルトリフルオロメチルスルホンアミド、および、これらと周期律表のIA、IIA、IBまたは IIIA族の金属との塩が挙げられる。
【0032】
これらのアミド又はイミド化合物の中では、一般式(1)で表される化合物が好ましく、特に、一般式(1)中のRがアシル基CORを表し、RとRが環を形成しているイミド化合物が好ましい。
本発明において、アルキルアルミニウム化合物(c)としては、下記一般式(4)で示されるアルキルアルミニウム化合物が好適に使用される。
【0033】
【化2】
Al(OR ・・・(4)
【0034】
一般式(4)中、R及びRは、炭素数が通常1〜15、好ましくは1〜8の炭化水素基であって互いに同一であっても異なっていてもよく、Xはハロゲン原子を表し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3のそれぞれの数であって、しかも、m+n+p+q=3である数を表す。
【0035】
上記のアルキルアルミニウム化合物としては、例えば、下記一般式(5) で示されるトリアルキルアルミニウム化合物、一般式(6)で示されるハロゲン化アルキルアルミニウム化合物、一般式(7)で示されるアルコキシアルキルアルミニウム化合物、一般式(8)で示される水素化アルキルアルミニウム化合物などが挙げられる。なお、各式中のR、XおよびRの定義は上記一般式(4)の場合と同じである。
【0036】
【化3】
Al ・・・ (5)
AlX3−m ・・・ (6)
(mは1. 5≦m<3)
Al(OR3−m ・・・(7)
(mは0<m<3、好ましくは1. 5≦m<3)
AlH3−m ・・・(8)
(mは0<m<3、好ましくは1. 5≦m<3)
【0037】
上記のアルキルアルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムヒドリド等が挙げられる。これらの中、ポリマーの副生が少ないと言う点でトリアルキルアルミニウムが特に好ましい。アルキルアルミニウム化合物は、2種以上の混合物であってもよい。
【0038】
本発明において、ハロゲン含有化合物(d)としては、周期律表のIIIA、IIIB、IVA、IVB、VA、VB、VIB族の群から選ばれる元素を含むハロゲン含有化合物が好適に使用される。そして、ハロゲンとしては、塩素または臭素が好ましい。
【0039】
上記のハロゲン含有化合物の具体例としては、塩化スカンジウム、塩化イットリウム、塩化ランタン、四塩化チタン、四塩化ジルコニウム、四塩化ハフニウム、三塩化ホウ素、塩化アルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、塩化ガリウム、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、ヘキサクロロベンゼン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、ヘキサクロロエタン、1,1,1−トリクロロプロパン、1,1,2,2−テトラクロロプロパン、1,1,1−トリクロロブタン、1,1,2,2−テトラクロロブタン、1,1,1−トリクロロペンタン、1,1,2,2−テトラクロロペンタン、1,1,1−トリブロモエタン、1,1,2,2−テトラブロモエタン、1,2,3,4,5,6−ヘキサクロロシクロヘキサン、1,3,5−トリクロロベンゼン、トリチルクロリド、四塩化シラン、トリメチルクロロシラン、四塩化ゲルマニウム、四塩化スズ、トリブチルスズクロリド、三塩化リン、三塩化アンチモン、トリチルヘキサクロロアンチモネート、五塩化アンチモン、三塩化ビスマス、三臭化ホウ素、三臭化アルミニウム、四臭化炭素、ブロモホルム、ブロモベンゼン、ヨードメタン、四臭化ケイ素、ヘキサフルオロベンゼン、フッ化アルミニウム等が挙げられる。
【0040】
上記のハロゲン含有化合物の中、ハロゲン原子の数が多いものが好ましく、また、反応溶媒に可溶の化合物が好ましい。特に好ましいハロゲン含有化合物の例としては、四塩化炭素、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、ヘキサクロロエタン、1,2,3,4,5,6−ヘキサクロロシクロヘキサン、四塩化チタン、四塩化ゲルマニウム、四塩化スズ等が挙げられる。なお、ハロゲン含有化合物は、2種以上の混合物として使用することも出来る。
【0041】
本発明においては、クロム系触媒として上記の各触媒成分から成る触媒系を使用し、反応溶媒中でα−オレフインの低重合を行う。そして、クロム化合物(a)とアルキルアルミニウム化合物(c)とが予め接触しない態様でα−オレフインとクロム系触媒とを接触させるのが好ましい。斯かる特定の接触態様により、選択的に三量化反応を行わせ、原料エチレンから1−ヘキセンを高収率で得ることが出来る。
【0042】
また、上記の特定の接触態様のうちでも、クロム化合物(a)とアルキルアルミニウム化合物(c)とを予め接触しない態様に維持し、且つ、クロム化合物(a)とアルキルアルミニウム化合物(c)とを低重合反応時にα−オレフィンと同時に接触させる方法を採用することが好ましい。
上記の特定の接触態様は、具体的には、(1)触媒成分(b)〜(d)を含む溶液中にα−オレフイン及び触媒成分(a)を導入する方法、(2)触媒成分(a)、(b)及び(d)を含む溶液中にα−オレフイン及び触媒成分(c)を導入する方法、(3)触媒成分(a)及び(d)を含む溶液中にα−オレフイン、触媒成分(b)及び(c)を導入する方法、(4)触媒成分(c)及び(d)を含む溶液中にα−オレフイン、触媒成分(a)及び(b)を導入する方法、(5)触媒成分(a)及び(b)を含む溶液中に、α−オレフイン、触媒成分(c)及び(d)を導入する方法、(6)触媒成分(b)及び(c)を含む溶液中にα−オレフイン、触媒成分(a)及び(d)を導入する方法、(7)触媒成分(c)を含む溶液中に、α−オレフイン、触媒成分(a)、(b)及び(d)を導入する方法、(8)触媒成分(a)を含む溶液中にα−オレフイン、触媒成分(b)〜(d)を導入する方法、(9)α−オレフイン及び各触媒成分(a)〜(d)をそれぞれ同時かつ独立に反応系に導入する方法などによって行うことが出来る。そして、上記の各溶液は、通常、反応溶媒を使用して調製される。
【0043】
なお、本発明において、「クロム化合物とアルキルアルミニウム化合物とが予め接触しない態様」とは、反応の開始時のみならず、その後の追加的なα−オレフイン及び触媒成分の反応器への供給においても斯かる態様が維持されることを意味する。しかし、上記の特定の態様は、触媒の調製の際に要求される好ましい態様であり、触媒が調製された後は無関係である。従って、反応系から回収された触媒を反応系に循環させることは、上記の好ましい態様に反することではない。
【0044】
クロム化合物とアルキルアルミニウム化合物とが予め接触する態様でクロム系触媒を使用した場合にα−オレフインの低重合反応の活性が低くなる理由は、未だ詳らかではないが、次の様に推定される。
【0045】
すなわち、クロム化合物とアルキルアルミニウムとを接触させた場合、クロム化合物に配位している配位子とアルキルアルミニウム化合物中のアルキル基との間で配位子交換反応が進行すると考えられる。そして、斯かる反応によって生成するアルキル−クロム化合物は、通常の方法で得られるアルキル−クロム化合物と異なり、それ自身不安定である。そのため、アルキル−クロム化合物の分解還元反応が優先して進行し、その結果、α−オレフインの低重合反応に不適当な脱メタル化が惹起され、α−オレフインの低重合反応の活性が低下すると推定される。
【0046】
本発明において、原料α−オレフインとしては、炭素数が2〜30の置換または非置換のα−オレフインが使用される。具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。特に、原料α−オレフインとしてエチレンが好適であり、エチレンからその三量体である1−ヘキセンを高収率かつ高選択率で得ることが出来る。
【0047】
本発明において、反応溶媒としては、ブタン、ペンタン、3−メチルペンタン、ヘキサン、ヘプタン、2−メチルヘキサン、オクタン、2,2,4−トリメチルペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン等の炭素数1〜20の鎖状または脂環式の飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、テトラリン等の芳香族炭化水素などが使用される。これらは、単独で使用する他、混合溶媒として使用することも出来る。
【0048】
また、反応溶媒として、反応原料のα−オレフインそれ自体または主原料以外のα−オレフインを使用することも出来る。反応溶媒用としては、炭素数が4〜30のα−オレフインが使用されるが、常温で液状のα−オレフインが特に好ましい。
特に、反応溶媒としては、炭素数が4〜10の鎖状飽和炭化水素または脂環式飽和炭化水素が好ましい。これらの溶媒を使用することにより、ポリマーの副生を抑制することが出来、更に、脂環式炭化水素を使用した場合は、高い触媒活性が得られると言う利点がある。
【0049】
本発明において、クロム化合物の使用量は、溶媒1リットル当たり、通常1.0×10−7〜0.5mol、好ましくは1.0×10−6〜0.2mol、更に好ましくは1.0×10−5〜0.05molの範囲とされる。一方、アルキルアルミニウム化合物の使用量は、クロム化合物1mol当たり、通常50mmol以上であるが、触媒活性および三量体の選択率の観点から、0.1mol以上とするのがよい。そして、上限は、通常1.0×10molである。また、アミン、アミド又はイミドの各使用量は、クロム化合物1mol当たり、通常0.001mol以上であり、好ましくは0.005〜1000mol、更に好ましくは0.01〜100molの範囲とされる。また、ハロゲン含有化合物の使用量は、アミン、アミド又はイミドの使用量と同一の範囲とされる。
【0050】
本発明においては、クロム化合物(a)、アミン、アミド、イミドの群から選ばれる1種以上の化合物(b)、アルキルアルミニウム化合物(c)及びハロゲン含有化合物(d)のモル比(a):(b):(c):(d)は、1:0.1〜10:1〜100:0.1〜20が更に好ましく、1:1〜5:5〜50:1〜10が特に好ましい。斯かる特定条件の採用により、例えばエチレン低重合体として、ヘキセンを90%以上の収率(全生成量に対する割合)で製造することが出来、しかも、ヘキセン中の1−ヘキセンの純度を99%以上に高めることが出来る。
【0051】
本発明では前述した触媒を使用してα−オレフインを低重合するが、反応溶媒中のクロム化合物の濃度は、上述したように一般に1.0×10−7〜0.5mol/lの範囲から選択される。クロム化合物の濃度が、1.0×10−7〜0.1mol/l、好ましくは2.0×10−7〜0.02mol/lの比較的低濃度であると後述の触媒除去がより効果的となるので好ましい。
【0052】
反応温度は、通常0〜250℃、好ましくは0〜150℃、更に好ましくは20〜100℃である。一方、反応圧力は、常圧ないし250kg/cmの範囲から選択し得るが、通常は、100kg/cmまでの圧力で十分である。そして、滞留時間は、通常1分から20時間、好ましくは0.5〜6時間の範囲とされる。反応形式は、回分式、半回分式または連続式のいずれであってもよい。
【0053】
また、反応時に水素を共存させるならば、副生するポリマーの形状を粉末状にすることができるため、クロム化合物やアルキルアルミニウム化合物等の触媒成分がポリマーに付着することを防ぐことができ、結果として後述の触媒成分の除去率を改善することができる。共存させる水素の量は、水素分圧として、通常0.1〜100kg/cm、好ましくは1.0〜80kg/cmの範囲とされる。
【0054】
本発明においては、α−オレフインの低重合を行い、触媒成分を含有する反応液を2.5mol/l以下の酸またはアルカリ水溶液と接触させて触媒成分を除去する。好ましくは、触媒成分の除去に先立ち、反応液中の副生ポリマーの分離除去を行う。反応液中の副生ポリマーの分離除去は、公知の固液分離装置を適宜使用し、副生ポリマーを溶融させることなく行われる。固液分離装置としては、濾過機または遠心分離機を使用するのが好ましい。
【0055】
触媒成分の除去に使用される酸としては、硝酸、塩酸、硫酸が好適に使用され、アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムが好適に使用される。これらの酸またはアルカリは、2.5mol/l以下の低濃度で使用され、好ましくは、酸は1.0×10−5〜2.0mol/l、アルカリは3.0×10−7〜2.0mol/lの範囲で使用する。
【0056】
触媒成分を含有する反応液と酸またはアルカリ水溶液との接触は、各種の抽出装置を使用して行うことが出来るが、攪拌槽と静置分離槽とを使用して行うのが好適である。そして、これらの組み合わせは、1段であっても多段であってもよく、また、回分式または連続式の何れの抽出方式であってもよい。
【0057】
上記の抽出にて容易に除去される触媒成分は、使用する抽剤(酸またはアルカリ水溶液)によって異なるが、主として、クロム化合物(a)、アミン、アミド、イミドの群から選ばれる1種以上の化合物(b)、アルキルアルミニウム化合物(c)などである。本発明においては、必要に応じ、攪拌層を2個使用し、酸水溶液とアルカリ水溶液の両者による抽出を行うことも出来る。
【0058】
抽出条件としては、特に制限はないが、攪拌槽と静置分離槽を使用した場合、攪拌槽における油層:水層の体積比は、通常1:0.1〜10、好ましくは1:0.5〜5、処理温度は、通常25〜60℃、好ましくは40〜60℃、処理時間は、通常5〜120分、好ましくは30〜90分とされる。
【0059】
本発明において、触媒成分の除去は、任意の段階で行うことが出来る。従って、触媒成分を含有する反応液は、必ずしも、反応系から導出された直後の反応液に限定されず、α−オレフイン低重合体の主成分および/または溶媒を蒸留分離した後の反応液であってもよい。しかしながら、α−オレフイン低重合体および溶媒の大部分を蒸留分離した後の反応液から触媒成分の除去を行う場合は、その直前の蒸留分離において、触媒成分による蒸留塔への付着などの問題が惹起されることがある。従って、触媒成分の除去は、蒸留後の任意の段階で行うことが出来るが、触媒成分が高度に濃縮されない段階で行う必要がある。
【0060】
抽出処理後の酸またはアルカリ水溶液中の金属イオンは、公知の方法によって回収することが出来る。金属イオンの回収方法としては、例えば、キレート樹脂による方法が挙げられる。キレート樹脂としては、例えば三菱化学(株)製の「ダイヤイオンCR10」、「ダイヤイオンCR11」等が挙げられる。これらのキレート樹脂によれば、特に、3価のクロムイオンとアルミニウムイオンとを効率良く回収することが出来る。また、金属イオンの回収方法としては、上記の他、適宜に化学反応を利用して不溶性金属として沈殿させる方法を採用することも出来、また、斯かる沈殿回収法と上記のキレート樹脂による方法とを組み合わせることも出来る。
【0061】
本発明においては、触媒除去に用いる酸またはアルカリ水溶液の濃度が低いため、上記の金属イオンの回収の際、抽出液の中和工程等における負荷を軽減できる。また、低濃度の酸またはアルカリ水溶液を用いるため、触媒成分中の高価なアミンを回収し再利用することができるという利点もある。即ち、例えば低濃度のアルカリ水溶液を用いる場合には、ピロール等のアミンとハロゲン化合物との反応が抑制できるため、油層に残存する高価なアミンを蒸留等によって回収し再利用することができる。また、低濃度の酸を用いる場合には、ピロール等のアミンの重合反応等を抑制することができるので、酸に抽出される高価なアミンを中和等の工程を経て、蒸留により回収し再利用することができる。
【0062】
一方、触媒成分が除去された反応液は、通常、付着混入した酸またはアルカリ分を水洗によって除去した後、α−オレフイン低重合体と溶媒とに蒸留分離される。蒸留分離は、公知の蒸留装置を使用して行われ、回収された溶媒は、反応系に循環使用することも出来る。
【0063】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り以下の実施例によって限定されるものではない。
実施例1
150℃の乾燥器で加熱乾燥した2Lのオートクレーブを熱時に組み立てた後、真空窒素置換した。このオートクレーブには破裂板を備えた触媒成分フィード管を取り付けておいた。n−ヘプタン( 480ml) 、2,5−ジメチルピロール(0.30mmol)のn−ヘプタン溶液、トリエチルアルミニウム(1.52mmol)のn−ヘプタン溶液、1,1,2,2−テトラクロロエタン(0.50mmol)のn−ヘプタン溶液をオートクレーブの胴側に仕込み、一方、触媒成分フィード管にクロム(III) 2−エチルヘキサノエート(0.10mmol)のn−ヘプタン溶液を仕込んだ。n−ヘプタンの全体量は500mlであった。
【0064】
先ず、オートクレーブを80℃に加熱し、次いで80℃でエチレンを触媒成分フィード管より導入した。エチレン圧により破裂板が破裂し、クロム化合物がオートクレーブ胴側に導入されてエチレンの低重合が開始された。全圧が35kg/cmGとなる迄エチレンを導入し、その後、全圧を35kg/cmGに、温度を80℃に維持した。すなわち、オートクレーブ内で処理される見合量のエチレンを連続的に供給して全圧を35kg/cmGに維持した。
【0065】
30分反応後、反応器を冷却し、オートクレーブの圧力を解除して脱ガスを行った後、窒素下で濾過機によって反応液中の副生ポリマー(56.1mg)を分離除去して、α−オレフイン低重合体を含む反応液を回収した。除去したポリマー中の成分を高周波プラズマ発光分光装置「ICAP−88」(日本ジャーレルアッシュ製)で測定(以下、ICP分析という。)した結果、仕込み量の8.5wt%のCrと1.1wt%のAlが含まれていた。一方、反応液中のα−オレフイン低重合体の組成をガスクロマトグラフにより分析した結果、触媒活性は116,143(g−α−オレフィン/g−Cr・hr)、全生成物中のC6全体の含量は85.2wt%、C6中の1−ヘキセンの含量は97.6wt%であった。
【0066】
反応液(894ml)の一部(50ml)を窒素下で採取し、表−1に示す濃度の硝酸(50ml)を用いて、窒素雰囲気下で触媒成分を抽出した。この時、油層と水層の体積比は1:1、抽出温度は20℃、処理時間は30分であった。有機層は更に水洗を行い、抽出に使用した酸層(抽出層)、抽出層を水洗した洗液及び抽出後の有機層それぞれについて、触媒成分元素の含有量をICP分析により測定した。結果を表−1に示した。
【0067】
実施例2〜3
実施例1において、触媒成分の抽出液として表−1に示す濃度の酸を使用したこと以外は実施例1と同様に反応を行った。分析結果を表−1に示した。
【0068】
【表1】
Figure 0003632233
【0069】
実施例4〜5
実施例1において、触媒成分の抽出液として表−2に示す濃度の水酸化ナトリウム水溶液を使用したこと以外は実施例1と同様に反応を行った。分析結果を表−2に示した。
【0070】
実施例6
実施例1において、1,1,2,2−テトラクロロエタンのn−ヘプタン溶液の代わりに、クロロホルム(0.19mmol/l)のn−ヘプタン溶液を使用したこと以外は、実施例4と同様に反応を行った。分析結果を表−2に示した。
【0071】
【表2】
Figure 0003632233
【0072】
比較例1
実施例1において、n−ヘプタン( 970ml) 、ピロール(1.24mmol)のn−ヘプタン溶液、トリエチルアルミニウム(2.00mmol)のn−ヘプタン溶液をオートクレーブの胴側に仕込み、一方、触媒成分フィード管にクロム(III) 2−エチルヘキサノエート(0.40mmol)のn−ヘプタン溶液を仕込み(この時、n−ヘプタンの全量は1Lであった。)、反応温度を60℃に、抽出液を1.4mol/lの塩酸に変更したこと以外は、実施例1と同様に低重合反応、副生ポリマーの分離及び触媒成分の抽出を行った。分析結果を表−3に示した。
【0073】
比較例2
1.4mol/lの塩酸の代わりに1.2mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を使用したこと以外は比較例1と同様に反応を行った。分析結果を表−3に示した。
【0074】
【表3】
Figure 0003632233
【0075】
実施例及び比較例から明らかなように、ハロゲン含有化合物を含まない3成分から成る触媒系を使用した比較例においては、低濃度の抽出液ではクロム化合物等の触媒成分の除去効果が非常に小さいのに対して、ハロゲン含有化合物を含む本発明の触媒系を使用した実施例では、抽出後の有機層に含まれる触媒成分が少なく、低濃度の抽出液であっても十分な触媒成分の除去効果が達成されることが分かる。
【0076】
【発明の効果】
本発明によれば、少なくともクロム化合物、アミン、アミド、イミドの群から選ばれる1種以上の化合物、アルキルアルミニウム化合物及びハロゲン含有化合物の組み合わせから成るクロム系触媒を使用する方法において、反応液中に含有される触媒成分を効果的に除去し、触媒除去後の工程の負荷が軽減され、また、高価なアミン化合物等の触媒成分を回収して再利用し得るα−オレフイン低重合体の製造方法が提供される。

Claims (6)

  1. クロム系触媒を使用したα−オレフイン低重合体の製造方法において、クロム系触媒として、少なくとも、クロム化合物(a)、アミン、アミド、イミドの群から選ばれる1種以上の化合物(b)、アルキルアルミニウム化合物(c)及びハロゲン含有化合物(d)の組み合わせから成る触媒系を使用し、反応溶媒中でα−オレフインの低重合を行い、次いで、触媒成分を含有する反応液を2.5mol/l以下の酸またはアルカリ水溶液と接触させて触媒成分を除去することを特徴とするα−オレフイン低重合体の製造方法。
  2. 除去する触媒成分が、クロム化合物(a)、アミン、アミド、イミドの群から選ばれる1種以上の化合物(b)、アルキルアルミニウム化合物(c)である請求項1に記載のα−オレフイン低重合体の製造方法。
  3. ハロゲン含有化合物(d)が、周期律表のIIIA、IIIB、IVA、IVB、VA、VB、VIB族の群から選ばれる元素を含むハロゲン含有化合物である請求項1又は2に記載のα−オレフイン低重合体の製造方法。
  4. 酸またはアルカリ水溶液が、硝酸、塩酸、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化カルシウムの水溶液から選ばれる請求項1〜3のいずれかに記載のα−オレフイン低重合体の製造方法。
  5. クロム化合物(a)とアルキルアルミニウム化合物(c)とが予め接触しない態様でα−オレフインとクロム系触媒とを接触させる請求項1〜のいずれかに記載のα−オレフイン低重合体の製造方法。
  6. α−オレフィンがエチレンであり、α−オレフイン低重合体が主として1−ヘキセンである請求項1〜のいずれかに記載のα−オレフイン低重合体の製造方法。
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