JP3838003B2 - 車両用シートリクライニング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シートクッションに対するシートバックの傾斜角を調整自在とし且つ所望の傾斜角で保持する車両用シートリクライニング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の車両用シートリクライニング装置としては、特開平9−234132号公報に示されるものが知られている。これは、シートクッションに固定されるロアアームと、シートバックに固定されロアアームに回動自在に支持されるアッパアームと、ロアアームに摺動自在に支持されたポールと、アッパアームに形成されポールと噛合可能な内歯部と、ロアアームに回転自在に支持されポールを内歯部と噛合するよう押圧する押圧部材とを有する車両用シートリクニング装置である。
【0003】
この従来装置では、ポールの背面にカム面を、押圧部材にカム面と当接する突部を設け、更に、押圧部材にこの突部を挟んでポールの背面と当接可能な第1及び第2の当接部を形成していた。
【0004】
このような構成において、常時は、ポールのカム面と押圧部材の突部との係合でポールを内歯部に向けて押圧してポールと内歯部とを噛合させる。これにより、アッパアームのロアアームに対する回動を規制して、シートバックをシートクッションに対して所望の傾斜角で保持していた。又、押圧部材を回転させてポールのカム面と押圧部材との当接を解除し且つポールを押圧部材に向かって摺動させることで、ポールと内歯部との噛合を解除させる。これにより、アッパアームのロアアームに対する回動を許容してシートバックのシートクッションに対する傾斜角を調整していた。更に、アッパアームのロアアームに対する回動規制時においてアッパアームにその回動方向の高荷重が加わった場合には、押圧部材の第1及び第2の突部とポールの背面とを当接させる。これにより、ポールがロアアームに対して大きく傾斜するのを抑制して、ポールと内歯部との噛合外れを防止していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した従来装置であると、ポールを内歯部と噛合させるためのカム面をポールに形成している。又、ポールの背面と押圧部材の第1及び第2の突部との当接によりポールの傾斜を抑制している。しかし、ポールは、その背面と押圧部材の第1及び第2の突部とが当接するまでは、僅かながら傾斜するので、この傾斜により、ポールのカム面は、押圧部材の突部に対してその圧力角を大きくする方向に変位する場合がある。この結果、押圧部材よるポールの押圧力が弱まり、ポールと内歯部との噛合外れを招く恐れがある。
【0006】
ポールのカム面の変位を抑制するには、ポールの背面と押圧部材の第1及び第2の突部とを常に当接させる等してポールの傾斜を極力押させるようにすれば良いが、ポールの背面と第1及び第2の突部との寸法管理が高精度で要求され、生産性を悪化させると共に、場合によっては、押圧部材の突部とポールのカム面との係合に悪影響を与える恐れがある。
【0007】
故に、本発明は、ポールと内歯部との噛合外れをより確実に防止できるようにすることを、その技術的課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決するために本発明において講じた技術的手段は、ポールの背面に形成され押圧部材と係合する突部と、前記押圧部材に形成され前記突部と係合するカム面と、前記押圧部材に前記カム面を挟んで形成され前記ポールの背面と当接可能な第1及び第2の当接部とを形成した、ことである。
【0009】
この技術的手段によれば、アッパアームのロアアームに対する回動規制時においてアッパアームにその回動方向の高荷重が加わると、押圧部材の第1及び第2の突部とポールの背面とが当接する。これにより、ポールのロアアームに対するカタギを抑制する。この時、カム面を押圧部材に形成しているので、ポールのカタギによってカム面が変位することはなく、押圧部材よるポールの押圧力を常に確保し得る。よって、ポールと内歯部との噛合外れをより確実に防止し得る。又、ポールの背面と第1及び第2の突部との間にスキを設定できる。すなわち、押圧部材とポールの突部との係合によってポールとアッパアームの内歯部とが噛合した状態にあるとき、第1及び第2の当接部とポールの背面との間に所定のスキを形成することができる。これにより、高精度の寸法管理も必要とせず、生産性を向上し得る。
【0010】
より好ましくは、前記第1及び第2の当接部及び前記カム面は、前記突部と前記カム面とを係合させる前記押圧部材の回転方向において前記押圧部材の回転中心からの径が順次大きくされる、と良い。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1及び図2に示されるように、シートクッション(図示せず)に固定されるロアアーム1には、シートバック(図示せず)に固定されるアッパアーム2がその厚方向(図2示左右方向)において重合して回転自在に支持されている。ロアアーム1及びアッパアーム2は、厚方向において互いに相対する方向に半抜成形され、両アーム1、2間に内部空間Aを形成している。ロアアーム1には、この内部空間Aを横切りアッパアーム2を貫通する回転シャフト3が回転自在に支持されている。アッパアーム2は、この回転シャフト3を中心としてロアアーム1に対して回動自在である。
【0012】
ロアアーム1には、前述の半抜成形により、互いに略平行に所定の間隔をもって対向し合い且つ回転シャフト3に向かって径方向に延びる一対2組のガイド面11、12(図3示)が内部空間A内に形成されており、アッパアーム2には、前述の半抜成形により、回転シャフト3を中心とした円弧状の内歯部21が内部空間A内に形成されている。内部空間A内には、対のポール4、5が配設されている。このポール4、5は、それぞれ、ガイド面11、12間にガイド面11、12に対して摺動を可能にする所定のクリアランスをもって位置し、ロアアーム1にガイド面11、12にガイドされながら径方向に摺動自在に支持されている。又、内部空間A内には、カム6が配設されている。このカム6は、ポール4、5間に位置し、回転シャフト3に一体に回転するよう回転シャフト3に形成された二面幅部31で支持されている。更に、内部空間Aには、操作プレート7が配設されている。この操作プレート7は、カム6と同様に、回転シャフト3に一体回転するよう二面幅部31で支持されている。この操作プレート7には、径方向に屈曲した長穴71、72が形成されており、この長穴71、72には、ポール4、5の側面に形成された突軸41、51が挿入されている。
【0013】
図3によりポール4、5及びカム6の詳細について説明する。尚、ポール5は、ポール4と同様であるので、その説明については省略する。又、カム6は、その外周面の下半分でポール4と関係する後述の形状を備え、且つ上半分でポール5と関係する形状を備えるが、ポール5と関係するポール6の上半分の形状は、ポール4と関係する下半分の形状と同様であるので、その説明については省略する。
【0014】
図3に示されるように、ポール4には、その外周面に内歯部21と噛合可能な円弧状の歯部42が形成されている。又、ポール4の歯部42と対向する背面43には、その幅方向(図3示左右方向)における略中央に突部44を形成している。カム6には、その外周面に突部44と係合可能なカム面61が形成されている。突部44は、カム面61より小さな円弧で形成されている。又、カム6には、ポール4の背面43と当接可能な第1及び第2の突部62、63がその幅方向おいてカム面61を挟む形で形成されている。ポール4の背面43の第1及び第2の突部62、63との当接部位は、第1及び第2の突部62、63の当接面62a、63aとの間に所定のスキB、Cを形成すべく、延在部45、46が形成されている。カム6のカム面61は、カム6の回転でポール4の突部44と係合して、ポール4をその歯部42を内歯部21と噛合させるべく押圧し、又、歯部42と内歯部21との噛合時におけるポール4の摺動を規制すべくつまりポール4の摺動によりカム6が回転させらないように圧力角が設定されている。又、カム6のカム面61、第1及び第2の突部62、63の当接面62a、63aは、カム面61を突部44と係合させるポール6の回転方向において、第1の突部62の当接面62a、カム面61、第2の突部63の当接面63aの順で、その径R1、R2、R3を順に大きくしている。
【0015】
次に作動について説明する。尚、この作動は、ポール4とカム6との関係を中心として説明するが、ポール5とカム6との関係における作動ついても、前述したように、その構造がポール4とカム6との関係と同様であるので、同様であるので、その説明は省略する。
【0016】
図1ないし図3は、アッパアーム2のロアアーム1に対する回動が規制されている状態で、ポール4は、その背面43の突部44とカム6のカム面61との係合によってポール4の歯部42がアッパアーム2の内歯部21と噛合する方向に押圧され、歯部42と内歯部21とが噛合した状態で摺動規制されている。又、カム6の第1及び第2の突部62、63は、その当接面62a、63aがポール4の背面43の延在部45、46と対向するように位置している。
【0017】
図1ないし図3の状態において、回転シャフト3に固定されたレバー32に連結されたケーブル8を操作して回転シャフト3を一方向に回転させると、カム6が図3示時計方向に回転してポール4の突部44とカム6のカム面61との係合を解除させる。これにより、ポール4がロアアーム1のガイド面11、12に沿って摺動可能となる。回転シャフト3の一方向の回転は、操作プレート7をカム6と同様に図1示時計方向に回転させ、摺動可能となったポール4を操作プレート7の長穴71とポール4の突軸41との作用により回転シャフト3に向かって摺動させる。これにより、ポール4の歯部42とアッパアーム2の内歯部21との噛合が解除される。この結果、アッパアーム2がロアアーム1に対して回動できるようになる。尚、前述したように、カム6のカム面61、第1及び第2の突部62、63の当接面62a、63aは、カム面61を突部44と係合させるポール6の回転方向において、第1の突部62の当接面62a、カム面61、第2の突部63の当接面63aの順で、その径R1、R2、R3を順に大きくしているので、カム面61と突部44との係合を解除させるカム6の図3示時計方向の回転が、第1及び第2の突部62、63とポール4の延在部45、46との干渉により阻害されることはない。
【0018】
図1ないし図3の状態おいて、アッパアーム2をロアアーム1に対して回動させる高荷重がアッパアーム2に加わると、その荷重は、アッパアーム2の内歯部21からポール4の歯部42に伝わり、ポール4をロアアーム1のガイド面11、12に対するスキ分もしくはガイド面11、12を変形させながらカム面61と突部44との係合部位を中心として傾斜しようとする。この時、ポール4の延在部45、46がカム6の第1及び第2の突部62、63と当接してポール4の傾斜を規制する。これにより、ポール4の傾斜を抑制して歯部42と内歯部21との噛合外れを防止する。この時、ポール4の摺動を規制するカム面61がカム6に形成されているので、ポール4の傾斜によってカム面61が変位することはなく、カム6によるポール4の押圧力を常に一定で確保され、歯部42と内歯部21との噛合外れをより確実に防止する。
【0019】
尚、本実施の形態においては、対のポール4、5を用いた車両用シートリクライニング装置に本発明を適用しているが、単一のポールやより多数のポールを用いた車両用シートリクライニング装置に本発明を適用してもよい。
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、押圧部材にカム面及び第1及び第2の当接部を形成し、ポールの突部とカム面との係合によりポールを内歯部に向かって押圧すると共にポールの背面と第1及び第2の当接部との当接によりポールの傾斜を抑制するようにしたので、アッパアームに高荷重が加わった際のポールと内歯部との噛合外れを防止することができる。又、カム面を押圧部材に形成したので、押圧部材の第1及び第2の当接部とポールの背面との間にスキを確保しつつポールの傾斜によるカム面の変位をなくすることができ、より確実にポールと内歯部との噛合外れを防止することができる。加えて第1及び第2の当接部の高精度の寸法管理を必要とせず、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両用シートリクライニング装置の正面図ある。
【図2】図1の縦断面図である。
【図3】本発明の主要部を示す車両用シートリクライニング装置の正面図である。
【符号の説明】
1 ロアアーム
2 アッパアーム
4、5 ポール
6 カム(押圧部材)
21 内歯部
43 背面
44 突部
61 カム面
62、63 第1及び第2の突部(第1及び第2の当接部)
Claims (2)
- シートクッションに固定されるロアアームと、シートバックに固定されロアアームに回動自在に支持されるアッパアームと、前記ロアアームに摺動自在に支持されたポールと、前記アッパアームに形成され前記ポールと噛合可能な内歯部と、前記ロアアームに回転自在に支持され前記ポールを前記内歯部と噛合するよう押圧する押圧部材とを有する車両用シートリクライニング装置において、前記ポールの背面に形成され前記押圧部材と係合する突部と、前記押圧部材に形成され前記突部と係合するカム面と、前記押圧部材に前記カム面を挟んで形成され前記ポールの背面と当接可能な第1及び第2の当接部とを形成し、前記押圧部材と前記ポールの前記突部との係合によって前記ポールと前記アッパアームの前記内歯部とが噛合した状態にあるとき、前記第1及び第2の当接部と前記ポールの背面との間には所定のスキが形成される車両用シートリクライニング装置。
- 前記第1及び第2の当接部及び前記カム面は、前記突部と前記カム面とを係合させる前記押圧部材の回転方向において前記押圧部材の回転中心からの径が順次大きくされる、請求項1記載の車両用シートリクライニング装置。
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