JP4220176B2 - リクライニング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シートの背もたれの角度を調整するリクライニング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
次に、図面を用いて従来例を説明する。図4は従来のリクライニング装置の要部構成図、図5は図4の切断線A-Aにおける断面図である。
【0003】
これらの図において、1はシートクッション側に取り付けられたロアプレート、2は背もたれ側に取り付けられたアッパプレートである。これらロアプレート1とアッパプレート2とはヒンジピン3に対して回転可能に設けられている。
【0004】
アッパプレート2には、ヒンジピン3を中心に内歯4が刻設されている。
5は内歯4に噛合可能な歯5aが形成されたポールである。更に、ロアプレート1にはポール5をヒンジピン3を中心に半径方向に案内する第1のガイド6が形成され、ポール5はガイド6に沿って移動可能となっている。
【0005】
7は第1のガイド6に連設され、第1のガイド6と同方向に延びた第2のガイドで、この第2のガイド7には、プッシュ部材8が移動可能に設けられている。
一方、ヒンジピン3には、プッシュ部材8の背部を押圧可能なカム9が固着されている。このカム9は、一方の端部がカム9に係止され、他方の端部がロアプレート1に係止されたスプリング10により、ポール5の歯5aがアッパプレート2の内歯4に噛合する方向にプッシュ部材8を付勢している。
【0006】
更に、両端部がロアプレート1に形成された溝1aに支持されたリーフスプリングLSの中間部が、各ポール5の歯5aのうち内歯4と噛合しない部分を押圧し、ポール5はアンロック方向に付勢されている。
【0007】
尚、リーフスプリングLSの付勢力は、スプリング10の付勢力より、低く設定されている。
このリクライニング装置では、このようなポール5,プッシュ部材8,スプリング10,リーフスプリングLSからなる機構が三組設けられている。
【0008】
上記構成の動作を説明すると、通常は、スプリング10の付勢力により、ポール5の歯5aは、アッパプレート2の内歯4に噛合し、アッパプレート2のヒンジピン3に対する回転は禁止されている。
【0009】
ここで、カム9(ヒンジピン3)をスプリング10の付勢力に抗して回転すると、リーフスプリングLSの付勢力によりポール5の歯5aとアッパプレート2の内歯4との噛合が解除され、アッパプレート2はヒンジピン3に対して回転可能となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記構成のリクライニング装置においては、下記のような問題点がある。
【0011】
(1) スプリング10が3つ必要なので、組付けが難しく、コストもかかる。
(2) ロアプレート1,アッパプレート2がヒンジピン3に対して回転可能な構造となっているので、ロアプレート1とヒンジピン3,アッパプレート2とヒンジピン3との間に隙間が発生し、ガタの原因となる。
【0012】
(3) ポール5をロック方向に付勢するスプリング10及びアンロック方向に付勢するリーフスプリングLSは、各ポール5毎に設けており、組付けが難しくなると共に、コストもかかる問題点がある。
【0013】
(4) ロアプレート1にリーフスプリングLSの両端部が係合する溝1aを各ポール5毎に加工する必要があり、コストがかかる。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、組付が容易で低コストのリクライニング装置を提供することにある。
【0014】
第2の目的は、ガタの少ないリクライニング装置を提供することにある。
第3の目的は、組付けが簡単なリクライニング装置を提供することにある。
第4の目的は、低コストのリクライニング装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する第1の発明は、シートクッション側に設けられたロアプレートと、該ロアプレートに取り付けられたヒンジピンと、該ヒンジピンに回転可能に設けられ、前記ヒンジピンを中心に円弧状の内歯が形成され、背もたれ側に設けられるアッパプレートと、前記ロアプレート側に設けられ、前記内歯に噛合可能な歯が形成されたポールと、該ポールを前記ヒンジピンを中心に半径方向に案内するガイドと、前記ヒンジピンを中心に回転可能に設けられ、前記ポールの歯が形成された面と反対側の背面に当接可能なカム,該カムを前記ポールの背面に対して当接/離反させるレバーからなる遮断手段と、前記ロアプレートと前記アッパプレートとの間に設けられ、中間部が前記ヒンジピンに巻回され、一方の端部が前記ロアプレートに係止され、他方の端部が前記カムに係止され、前記カムを介して前記ポールの歯が前記アッパプレートの内歯に噛合する方向に付勢する一つのスプリングと、前記ポールを前記アッパプレートの内歯より離れる方向に移動させる離反手段と、を設けたことを特徴とするリクライニング装置である。
【0016】
通常は、スプリングの付勢力により、ポールの歯は、アッパプレートの内歯に噛合し、アッパプレートのヒンジピンに対する回転は禁止されている。
ここで、遮断手段を用いてスプリングのポールへの付勢力を遮断すると、離反手段によりポールが移動し、ポールの歯とアッパプレートの内歯との噛合が解除され、アッパプレートはヒンジピンに対して回転可能となる。
【0017】
スプリングは、カムを付勢すれば良いので、一つで済み、組み付けが容易で、低コストとなる。
ヒンジピンは、ロアプレートに固着されているので、ロアプレートとヒンジピンとのガタはなく、従来のリクライニング装置よりガタが少なくなる。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
先ず、図1及び図2を用いて、実施の形態例を説明する。図1は実施の形態例のリクライニング装置の正面部分断面図で図2の切断線B-Bにおける断面図、図2は図1での切断線C-Cにおける断面図である。
【0023】
尚、本実施の形態例のシートの両側に設けられるものであるが、構成は略同一なので、一方の側のリクライニング装置を用いて説明を行ない、他方の側のリクライニング装置の説明は省略する。
【0024】
これらの図において、11はシートのシートクッション側に設けられるロアアーム、12はシートの背もたれ側に設けられるアッパアームである。ロアアーム11にはロアプレート21が、ピン15をかしめることにより固着されている。更に、アッパアーム12には、アッパプレート22がピン16をかしめることにより固着されている。
【0025】
そして、ロアプレート21に取り付けられたヒンジピン25にアッパプレート22は回転可能に係合し、シートクッション側のロアアーム11に対して、背もたれ側のアッパアーム12はヒンジピン25を中心に、回転可能となっている。
【0026】
尚、ヒンジピン25とロアプレート21との取り付け手法は、ロアプレート21に小判穴を設け、ヒンジピン25の断面形状を小判形とする嵌合、ロアプレート21にヒンジピン25を溶接する方法等あるが限定するものではない。
【0027】
アッパプレート22には、ヒンジピン25を中心に、円弧状の第1の内歯部及び第2の内歯部26,27が形成されている。
一方、ロアプレート21には、内歯部26,27に噛合可能な歯31a,32aが形成された第1のポール31,第2のポール32が配設されている。
【0028】
更に、ロアプレート21には、これら第1のポール及び第2のポール31,32をヒンジピン25を中心に、半径方向に案内する第1のガイド部21a,21b及び第2のガイド部21c,21dが形成されている。
【0029】
ヒンジピン25には、第1及び第2のポール31,32の歯31a,32aが形成された面と反対側の面(以下背面という)に当接可能な第1のカム41が回転可能に設けられている。
【0030】
更に、第1のポール31,第2のポール32の背面側には、これら第1及び第2のポール31及び32の背面に当接可能な第2及び第2′のカム42,42′が配設され、第1のカム41はこれら第2,第2′のカム42,42′にも当接可能となっている。
【0031】
51は中間部がヒンジピン25に巻回され、一方の端部がロアプレート21に係止され、他方の端部が第1のカム41に係止され、第1のカム41を介して、又、第1のカム41及び第2,第2′のカム42,42′を介して、第1及び第2のポール31,32の歯31a,32aが第1及び第2の内歯部26,27に噛合する方向に第1及び第2のポール31,32を付勢するスプリングである。
【0032】
55はヒンジピン25に回転可能に取り付けられたレバーである。
第1のカム41には、第1及び第2のピン61,62が設けられている。第1のピン61の一方の端部側は、ロアプレート21に形成されたヒンジピン25を中心とする円弧状の第1の長穴21eを挿通し、レバー55に形成された第1の穴55aに嵌合している。又、第1のピン61の他方の端部側は、アッパプレート22,アッパアーム12に形成されたヒンジピン25を中心とした円弧状の長穴22a,12aを介して、他方のリクライニング装置のヒンジピンに回転可能に設けられた伝達パイプ70に固着されたアーム71の穴71aに嵌合している。
【0033】
第2のピン62の一方の端部側は、ロアプレート21に形成されたヒンジピン25を中心とする円弧状の第2の長穴21fを挿通し、レバー55に形成された第2の穴55bに嵌合している。
【0034】
ロアプレート21と第1及び第2のポール31,32との間には、即ち、第1及び第2のポール31,32の移動方向と平行なロアプレート21の面上には、ヒンジピン25に嵌合するばねプレート65が配設されている。
【0035】
このばねプレート65の第1及び第2のポール31,32と対向する部分には、第1及び第2のポール31,32を押圧可能な第1及び第2の板ばね部66,67が形成されている。
【0036】
一方、第1及び第2のポール31,32のばねプレート65との対向面には、第1及び第2の板ばね部66,67により押圧されると第1及び第2の内歯部26,27より離れる方向の分力が発生する斜面31b,32bが形成されている。
【0037】
又、ロアプレート21には、ばねプレート65の板ばね部66,67の可撓による移動を阻止しないように、板ばね部66,67近傍には、第1及び第2の凹部21g,22hが形成されている。
【0038】
そして、板ばね部66,67の付勢力は、スプリング51の付勢力より小さくなるように設定されている。
又、75は、内端部がヒンジピン25に係止され、中間部がヒンジピン25を巻回し、外端部がアッパアーム12に設けられたブラケット13に係止され、シートの背もたれを前傾れ方向に付勢するスプリング、76は、ロアプレート21の周縁部とアッパプレート22の周縁部とを挟持するように設けられたリングである。
【0039】
次に、上記構成の動作を図1〜図3を用いて説明する。図3は図1におけるポールの移動を説明する図である
通常は、スプリング51の付勢力は、第1のカム41から直接に、又、第2および第2′のカム42,42′を介して第1及び第2のポール31,32に作用し、第1及び第2のポール31,32の歯31a,32aは、アッパプレート22の第1及び第2の内歯部26,27に噛合している。
【0040】
この時、図3(b)に示すように、ばねプレート65の第1及び第2の板ばね部66,67の基部は、第1及び第2のポール31,32の斜面31b,32b以外の面に押圧されて弾性変形し、ロアプレート21の第1及び第2の凹部21g,21h内に位置している。
【0041】
第1及び第2のポール31,32の歯31a,32aが、アッパプレート22の第1及び第2の内歯部26,27に噛合することにより、アッパプレート22のヒンジピン25に対する回転、即ち、シートの背もたれの回転は禁止されている(ロック状態)。
【0042】
ここで、スプリング51の付勢力に抗して、レバー55を上方に持ち上げると、レバー55の回転は、第1及び第2のピン61,62を介して、第1のカム45に伝達され、第1のカム45の第1及び第2のポール31,32の背面へ当接及び第2,第2′のカム42,42′への当接が解除され、スプリング51の第1及び第2のポール31,32への付勢力が遮断される。
【0043】
すると、第1及び第2の板ばね部66,67の弾性復元力(付勢力)により、第1及び第2の板ばね部66,67は第1及び第2のポール31,32の斜面31b,32bを押し、第1及び第2のポール31,32は第1及び第2の内歯部26,27より離れる方向に移動し、即ち、第1及び第2のポール31,32の歯31a,32aとアッパプレート22の第1及び第2の内歯部26,27との噛合が強制的に解除され、アッパプレート22はヒンジピン25に対して回転可能、即ち、シートの背もたれの回転が可能となる(アンロック状態)。
【0044】
尚、このレバー55の回転は、第1のピン61,アーム71,伝達パイプ70を介して他方の側のリクライニング装置にも伝達される。
所望の回転角度まで背もたれを回転させると、レバー55への操作力を解除する。すると、スプリング51の付勢力により、第1のカム41は、第1及び第2のポール31,32の背面を押しながら元位置へ復帰し、第1及び第2のポール31,32の歯31a,32aとアッパプレート22の第1及び第2の内歯部26,27とは再び噛合し、ロック状態となる。
【0045】
上記構成によれば、第1及び第2のポール31,32をロック方向に付勢するスプリング51を1つとしたことにより、組付けが容易で、低コストとなる。
ヒンジピン25は、ロアプレート21に固着されているので、ロアプレート21とヒンジピン25とのガタはなく、従来のリクライニング装置よりガタが少なくなる。
【0046】
ポール31,32の数に対応して、ばねプレート65に板ばね部66,67を形成することにより、ばねプレート65は1枚ですみ、従来のリクライニング装置のように、ポールに対応してリーフスプリングを設ける必要がなくなり、組付けが容易で、低コストとなる。更に、リーフスプリングを支持する溝の加工も不要となるので、更に低コストとなる。
【0047】
尚、本発明は、上記実施の形態例に限定するものではない。上記実施の形態例では、ロアプレート21にヒンジピン25を固着したが、逆に、アッパプレート22にヒンジピン25を固着するようにしても良い。
【0048】
更に、アッパプレート22側に内歯部を形成し、ロアプレート21側にポールを設けたが、逆に、アッパプレート22側にポールを設け、ロアプレート21側に内歯部を形成しても良い。
【0049】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1記載の発明によれば、スプリングは、カムを付勢すれば良いので、一つで済み、組み付けが容易で、低コストとなる。
【0050】
ヒンジピンは、ロアプレートに固着されているので、ロアプレートとヒンジピンとのガタはなく、従来のリクライニング装置よりガタが少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態例のリクライニング装置の正面部分断面図で、図2の切断線B-Bにおける断面図である。
【図2】図1での切断線C-Cにおける断面図である。
【図3】図1におけるポールの移動を説明する図である。
【図4】従来のリクライニング装置の要部構成図である。
【図5】図4の切断線A-Aにおける断面図である
【符号の説明】
21 ロアプレート
22 アッパプレート
25 ヒンジピン
26,27 内歯部
31,32 ポール
31a,32a 歯
21a,21b,21c,21d ガイド
51 スプリング
65 ばねプレート
Claims (1)
- シートクッション側に設けられたロアプレートと、
該ロアプレートに取り付けられたヒンジピンと、
該ヒンジピンに回転可能に設けられ、前記ヒンジピンを中心に円弧状の内歯が形成され、背もたれ側に設けられるアッパプレートと、
前記ロアプレート側に設けられ、前記内歯に噛合可能な歯が形成されたポールと、
該ポールを前記ヒンジピンを中心に半径方向に案内するガイドと、
前記ヒンジピンを中心に回転可能に設けられ、前記ポールの歯が形成された面と反対側の背面に当接可能なカム,該カムを前記ポールの背面に対して当接/離反させるレバーからなる遮断手段と、
前記ロアプレートと前記アッパプレートとの間に設けられ、中間部が前記ヒンジピンに巻回され、一方の端部が前記ロアプレートに係止され、他方の端部が前記カムに係止され、前記カムを介して前記ポールの歯が前記アッパプレートの内歯に噛合する方向に付勢する一つのスプリングと、
前記ポールを前記アッパプレートの内歯より離れる方向に移動させる離反手段と、
を設けたことを特徴とするリクライニング装置。
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- 2002-04-25 JP JP2002123739A patent/JP4220176B2/ja not_active Expired - Fee Related
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