JP3836634B2 - 希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の放射線写真法に代わる方法として、たとえば特開昭55−12145号公報に記載されているような輝尽性蛍光体を用いる放射線像記録再生方法が知られている。この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射線像変換パネル(蓄積性蛍光体シート)を利用するもので、被写体を透過した、あるいは被検体から発せられた放射線を該パネルの輝尽性蛍光体に吸収させ、そののちに輝尽性蛍光体を可視光線、赤外線などの電磁波(励起光)で時系列的に励起することにより、該輝尽性蛍光体中に蓄積されている放射線エネルギーを蛍光(輝尽発光光)として放出させ、この蛍光を光電的に読み取って電気信号を得、次いで得られた電気信号に基づいて被写体あるいは被検体の放射線画像を可視像として再生するものである。読み取りを終えた前記パネルは、残存する画像の消去が行われた後、次の撮影のために備えられる。すなわち、放射線像変換パネルは繰り返し使用することができる。
【0003】
上記放射線像記録再生方法によれば、従来の放射線写真フィルムと増感紙との組合せを用いる放射線写真法による場合に比較して、はるかに少ない被曝線量で情報量の豊富な放射線画像を得ることができるという利点がある。さらに、従来の放射線写真法では、一回の撮影ごとに放射線写真フィルムを消費するのに対して、この放射線像変換方法では、放射線像変換パネルを繰り返し使用することができるので、資源保護、経済効率の面からも有利である。
【0004】
輝尽性蛍光体は、放射線を照射した後、励起光を照射すると輝尽発光を示す蛍光体であるが、実用上、波長が400〜900nmの範囲にある励起光によって300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す蛍光体が一般的に利用される。従来より放射線像変換パネルに用いられてきた輝尽性蛍光体の例として、希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体を挙げることができる。放射線像記録再生方法に用いられる放射線像変換パネルは、基本構造として、支持体とその表面に設けられた輝尽性蛍光体層とからなるものである。ただし、輝尽性蛍光体層が自己支持性である場合には必ずしも支持体を必要としない。輝尽性蛍光体層は、通常は輝尽性蛍光体と、これを分散状態で含有支持する結合剤とからなる。ただし、輝尽性蛍光体層としては、蒸着法や焼結法によって形成される結合剤を含まないで輝尽性蛍光体の凝集体のみから構成されるものも知られている。また、輝尽性蛍光体の凝集体の間隙に高分子物質が含浸されている輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネルも知られている。これらのいずれの輝尽性蛍光体層であっても、輝尽性蛍光体はX線などの放射線を吸収したのち励起光の照射を受けると輝尽発光を示す性質を有するものであるから、被写体を透過したあるいは被検体から発せられた放射線は、その放射線量に比例した量のエネルギーが放射線像変換パネルの輝尽性蛍光体層に吸収され、パネルには被写体あるいは被検体の放射線像が放射線エネルギーの蓄積像として形成される。この蓄積像は、上記励起光を照射することにより輝尽発光光として放出させることができ、この輝尽発光光を光電的に読み取って電気信号に変換することにより放射線エネルギーの蓄積像を画像化することが可能となる。
【0005】
なお、輝尽性蛍光体層の表面(支持体に面していない側の表面)には通常、ポリマーフィルムあるいは無機物の蒸着膜などからなる保護膜が設けられていて、輝尽性蛍光体層を化学的な変質あるいは物理的な衝撃から保護している。
【0006】
前記希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体は、感度が優れ、また放射線像変換パネルとして使用した場合に鮮鋭度の高い放射線再生画像をもたらすため、実用上において優れた輝尽性蛍光体ということができる。しかしながら、放射線像記録再生方法の実用化が進むにつれて、輝尽性蛍光体の更なる高性能化の要望が高まっている。そこで、これまでに利用されている希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体の粒子形状を調べると、それらは板状粒子からなることが判明した。従来知られている希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体の製造方法は、原料化合物のアルカリ土類金属弗化物、弗化物以外のアルカリ土類金属ハロゲン化物、希土類元素のハロゲン化物、弗化アンモニウムなどを一緒に、乾式で混合するか、あるいは水系媒体中に懸濁させて混合したのち、これを必要に応じて焼結防止剤を添加のうえ、焼成し、粉砕する工程からなっていた。従って、従来の製造方法では焼成後の粉砕工程が実質的には必須となっており、このようにして得られる希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体の粒子は、大部分が板状の粒子(以下、単に「板状蛍光体」という場合がある)となっていた。
【0007】
ところが、このような板状蛍光体をバインダ樹脂溶液と混合して支持体上に塗布し、乾燥して得られる輝尽性蛍光体層では、板状蛍光体が、添付の図3に見られるように、板状蛍光体表面と支持体平面とが平行になるように配列する傾向がある。このように板状蛍光体が配置された輝尽性蛍光体層を持つ放射線像変換パネルに放射線像を記憶させ、励起光を照射すると、その励起光や、発生する輝尽光が横方面(支持体平面と平行な方向)に拡がり易くなり(図3中の水平矢印参照)、このため得られる放射線再生画像の鮮鋭度が低下し易くなるとの問題がある。
【0008】
以上のような、放射線像記録再生方法における放射線再生画像の鮮鋭度の低下を抑制するためには、特開昭62−86086号公報に開示されている略立方体の輝尽性蛍光体粒子を用いることが考えられる。しかしながら、上記公報に開示されている略立方体の輝尽性蛍光体粒子の製法は、工業的に利用するには、その再現性が充分といえない。
【0009】
さらに、特開平7−233369号公報では、粒子形状と粒子アスペクト比を制御した14面体型の希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体(以下、単に「蛍光体」という場合がある)の製造方法が示されている。14面体型希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体(以下、単に「14面体蛍光体」という場合がある)が配置された輝尽性蛍光体層を持つ放射線像変換パネルでは、図4に示すように、輝尽性蛍光体層中で、14面体蛍光体が方向性の少ない配列を示すため、励起光そして輝尽発光光の好ましくない横方向への拡がりが低減され、得られる放射線再生画像の鮮鋭度が向上する。
【0010】
上記公報に開示されている製造方法は、ハロゲン化アンモニウムを反応母液として用い、この母液にハロゲン化バリウム水溶液と無機弗化物塩の水溶液とを同時に添加して反応を進行させ、輝尽性蛍光体を合成しているが、粒子アスペクト比の高い粒子形状をとりやすい傾向がある。一方、あらかじめ反応母液にハロゲン化バリウムを添加することにより、ある程度アスペクト比を1に近づけることができるが、粒子形状、粒子サイズ、および粒子サイズ分布の制御性の点で十分でないという問題があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における諸問題等を解決し、以下の目的を達成することを目的とする。即ち、本発明は、得られる輝尽性蛍光体前駆体結晶の粒子の粒子形状、粒子サイズ、および粒子サイズ分布の制御性が高いと共に、これらを高収率によって得ることが可能な、希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の製造装置を提供することを目的とする。
特に、放射線像変換パネルに利用した場合に、高画質な画像が得られるとともに、感度および粒状性が良好な輝尽性蛍光体を得ることが可能な、希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の製造装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 少なくとも、反応容器と、攪拌器と、無機弗化物塩水溶液を含む溶液を前記反応容器内に供給する供給管と、を有する希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の製造装置であって、
前記反応容器の内側及び前記無機弗化物塩水溶液を含む溶液に接する接液部の少なくとも一方に、イオン濃度測定器が備えられたことを特徴とする希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の製造装置である。
【0013】
<2> 希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の組成が、下記基本組成式(1)で表されることを特徴とする前記<1>に記載の希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の製造装置である。
Ba1-XMIIFX:yMI,zLn 基本組成式(1)
基本組成式(1)において、MIIは、Sr又はCaのアルカリ土類金属を表す。MIは、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも1のアルカリ金属を表す。Xは、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも1のハロゲンを表す。Lnは、Ce、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、Tm及びYbからなる群より選ばれる少なくとも1の希土類元素を表す。x、y及びzは、それぞれ、0≦x≦0.5、0≦y≦0.05、0<z≦0.2を満たす。
【0014】
<3> イオン濃度測定器が、ハロゲンイオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、希土類イオン、アンモニウムイオン、硝酸イオン及び水素イオンの少なくとも1を検出可能であることを特徴とする前記<1>又は<2>に記載の希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の製造装置である。
【0015】
<4> イオン濃度測定器が、前記供給管の中途に備えられたことを特徴とする前記<1>から<3>のいずれかに記載の希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の製造装置である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶(以下、単に「蛍光体前駆体結晶」と略称することがある。)の製造装置は、反応容器と、攪拌器と、供給管と、を有する蛍光体前駆体結晶の製造装置であって、イオン濃度測定器が備えられ、必要に応じてその他の部材を備えてなる。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
[蛍光体前駆体結晶]
本発明の蛍光体前駆体結晶の製造装置により得られる蛍光体前駆体結晶としては、特に制限はないが、特に、放射線像変換パネルに利用した場合に、高画質な画像が得られるとともに、感度および粒状性が良好な輝尽性蛍光体を得ることが可能であるという観点から、下記基本組成式(1)で表される組成を持つ結晶が好適である。
Ba1-XMIIFX:yMI,zLn 基本組成式(1)
基本組成式(1)において、MIIは、Sr又はCaのアルカリ土類金属を表す。MIは、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも1のアルカリ金属を表す。Xは、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも1のハロゲンを表す。Lnは、Ce、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、Tm及びYbからなる群より選ばれる少なくとも1の希土類元素を表す。x、y及びzは、それぞれ、0≦x≦0.5、0≦y≦0.05、0<z≦0.2を満たす。
【0018】
前記基本組成(1)で表される組成を有する蛍光体前駆体結晶の粒子の形状としては、特に制限はなく、直方体型、柱状型、正六面体型、正八面体型、14面体型等の正六面体と正八面体との中間多面体型等が挙げられる。これらの中でも、特に、柱状型及び14面体型が好ましく、14面体型が最も好ましい。
【0019】
前記粒子の形状が、14面体型の場合には、その粒子アスペクト比としては、1.0〜2.0が好ましい。粒子サイズのメジアン径(Dm)としては、1〜10μmが好ましい。前記粒子の粒子サイズ分布の標準偏差(σ)としては、σ/Dmが、50%以下が好ましい。
前記粒子の形状が、柱状型の場合には、その粒子アスペクト比としては、2.0〜5.0が好ましい。粒子サイズのメジアン径(Dm)としては、1〜20μmが好ましい。前記粒子の粒子サイズ分布の標準偏差(σ)としては、σ/Dmが50%以下が好ましい。
前記粒子アスペクト比、粒子サイズのメジアン径(Dm)、又は、粒子サイズ分布の標準偏差(σ)が、前記各数値範囲外である場合には、前記放射線像変換パネルに利用した場合に、高画質な画像が得られないことがある。
【0020】
前記基本組成(1)で表される蛍光体前駆体結晶は、高画質の画像を得ることが可能な、放射線像変換パネルの蛍光体層を形成する輝尽性蛍光体材料として、有利に用いることができる。
【0021】
[反応容器]
前記反応容器は、予め、反応母液を含む溶液を収容する。該反応母液を含む溶液としては、特に制限はないが、前記基本組成式(1)で表される蛍光体前駆体結晶を得る場合には、後述の蛍光体の製造方法(A)又は(B)の母液調製工程によって得るのが好ましい。
前記反応容器の材質としては、特に制限はないが、熱伝導性、耐薬品性、及び、汚染防止等の点から、接液部にテフロン処理やホーロー処理を施した銅、アルミニウム、ステンレス鋼等が好ましい。
前記反応容器の容積としては、反応により得られる全生成量をN(mol)とすると、0. 01N〜100N(リットル)が好ましく、0. 1N〜10N(リットル)がより好ましい。
前記反応容器の形状としては、本発明の効果を損なわないものであれば、特に限定されるものではない。
【0022】
[攪拌器]
前記攪拌器は、前記反応容器内の溶液を攪拌する。したがって、該攪拌器としては、前記反応容器内の溶液を所望の回転数等により攪拌し得るものであれば特に制限はなく、公知の攪拌器が好適に挙げられる。例えば、化学工業便覧(丸善社発行、改訂5版 1988(p887〜920))に記載の低粘性液の攪拌羽等が好適に挙げられる。
前記攪拌器が、回転によって反応容器内の溶液を攪拌するものである場合、その回転速度としては、100〜10000rpmが好ましく、500〜5000rpmがより好ましい。
【0023】
[供給管]
前記供給管は、無機弗化物塩水溶液を含む溶液を前記反応容器内に供給する。該供給管の材質としては、特に制限はなく、供給管として公知の材質が好適に挙げられる。
前記供給においては、前記供給管を通して、該供給管が接続されている公知の収容タンク等に収容された無機弗化物塩水溶液を含む溶液等が、前記反応母液を含む溶液に供給される。
【0024】
尚、本発明において「水溶液」とは、「溶質」を「水系媒体」により溶解したものをいう。また、「水系媒体」とは、水は勿論のこと、水と親和性の高い液体(たとえば、アルコール等)単独または複数混合したもの、あるいはこれらと水とを混合したものを含む概念であり、これらのなかでも水が最も好ましい。従って、本発明において「水溶液」という場合には、本発明に言う「水系媒体」により調製された全ての溶液を含む概念であり、水を「水系媒体」とするものが最も好ましい。一方、「溶質」は、水溶液の種類(原料溶液、反応母液、添加用の水溶液等)により適宜選択される。
【0025】
[イオン濃度測定器]
前記イオン濃度測定器は、前記反応容器の内側及び前記無機弗化物塩水溶液を含む溶液に接する接液部の少なくとも一方に備えられる。
尚、イオン濃度測定器は、少なくとも、イオン濃度を検知するイオン濃度検知器と、イオン濃度計と、からなる。したがって、本発明において「前記イオン濃度測定器は、前記反応容器の内側及び前記無機弗化物塩水溶液を含む溶液に接する接液部の少なくとも一方に備えられる」とは、「イオン濃度測定器のうちのイオン濃度検知器が、前記反応容器の内側及び前記無機弗化物塩水溶液を含む溶液に接する接液部の少なくとも一方に備えられる」ことを意味する。
【0026】
本発明において、前記イオン濃度測定器が必要である理由は、以下の通りである。
前記イオン濃度測定器が、反応容器の内側に備えられた蛍光体前駆体結晶の製造装置においては、前記無機弗化物塩水溶液を含む溶液を、前記反応母液に添加した際、反応によって消費されるイオン種の濃度を測定することができる。即ち、再供給すべき無機弗化物塩水溶液の量等をリアルタイムに測定することができる。したがって、得られる値を演算処理等して前記添加器等にフィードバックすることにより、前記無機弗化物塩水溶液を含む溶液の供給量・供給速度等を制御することが可能となる。また、特定のイオン種に濃度勾配をつけながら反応させることも可能となるため、得られる輝尽性蛍光体前駆体結晶の粒子の粒子形状、粒子サイズ、および粒子サイズ分布の制御性が向上する。この結果、放射線像変換パネルに利用した場合に、高画質な画像を得ることが可能な、蛍光体前駆体結晶を製造できる。
【0027】
また、前記イオン濃度測定器が、前記無機弗化物塩水溶液を含む溶液に接する接液部に備えられた蛍光体前駆体結晶の製造装置においては、以下の通りである。
先ず、前記イオン濃度測定器が、供給管の中途に備えられている場合、該供給管を通る溶液のイオン濃度をリアルタイムに測定することができる。したがって、得られる値を演算処理等して前記添加器等にフィードバックすることにより、前述と同様に、前記無機弗化物塩水溶液を含む溶液の供給量・供給速度等を制御することが可能となる。
また、本発明の蛍光体前駆体結晶の製造装置が、後述の瞬間反応器を備え、該瞬間反応器の下流の供給管の中途にイオン濃度測定器が備えられている場合、該瞬間反応器から送出された溶液のイオン濃度をリアルタイムに測定することができる。したがって、得られる値を演算処理等して前記添加器等にフィードバックすることにより、前述と同様に、前記無機弗化物塩水溶液を含む溶液の供給量・供給速度等を制御することが可能となる。
【0028】
前記イオン濃度測定器としては、特に制限はないが、一般的には、溶液中に存在する特定のイオンに感応し、そのイオンの濃度や活力に応じた電圧(又は電位)を示すセンサー等が挙げられる。
検出可能なイオンとしては、特に制限はないが、ハロゲンイオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、希土類イオン、アンモニウムイオン、硝酸イオン及び水素イオンの少なくとも1を検出可能であるのが好ましい。
したがって、前記イオン濃度測定器に用いるイオン濃度検知器としては、例えば、バリウムイオン検知器、フッ素イオン検知器、臭素イオン検知器、ヨウ素イオン検知器、アンモニウムイオン検知器等の前記イオンの検知器等が好適である。
【0029】
本発明の蛍光体前駆体結晶の製造装置が、特に後述の瞬間反応器を備える場合等には、前記イオン濃度測定器は、前記瞬間反応器の下流の供給管の中途に備えられるのが好ましい。
【0030】
[その他の部材]
前記その他の部材としては、瞬間反応器や、前述の添加器、該添加器や前記攪拌器等を駆動するモーター、前記イオン濃度測定器によって得られる値を演算処理等する演算制御部、モータードライバー等が挙げられる。
【0031】
前記瞬間反応器は、2種以上の溶液を素早く均一に混合する装置をいい、本発明においては、前記無機弗化物塩水溶液を含む溶液等の反応液を、前記反応母液に添加する直前に混合し、結晶核を生成させる。したがって、該瞬間反応器は、前記無機弗化物塩水溶液等を添加する添加器と、前記反応容器との間に設けられるのが好ましい。
該瞬間反応器としては、物質の反応速度よりも速く均一に混合できる装置が好ましい。例えば、限られた容積のセルの上下に高速で回転する一対の攪拌手段により瞬間的な混合、反応をさせることにより、均一な超微粒子の結晶核を生成するものが好適に挙げられる。生成した結晶核を含む懸濁液は、前記無機弗化物塩水溶液を含む溶液等の添加によって、反応セル中から順次押し出され、攪拌されている反応母液中に添加される。
前記瞬間反応器を用いることにより、粒子形状、粒子アスペクト比、粒子サイズ、粒子サイズ分布等がより精密に制御された蛍光体前駆体結晶を得ることが可能となる。
【0032】
前記添加器としては、特に制限はなく、公知の定量ポンプが好適に挙げられる。該公知の定量ポンプとしては、例えば、精密シリンダーポンプ、精密ギアーポンプ、チューブポンプ、ダイヤフラムポンプ等が挙げられる。これらの中でも、精密シリンダーポンプが好ましい。精密シリンダーポンプは、これらの反応液の添加量や添加速度を精密に調整することができるように設計されているのが好ましい。
【0033】
前記添加器には、少なくとも無機弗化物塩水溶液を含む溶液が収容され、前記供給管を通して反応容器内に添加される。該添加器の数や、無機弗化物塩水溶液を含む溶液以外の該添加器に収容される液の種類については、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、BaX2の水溶液や、キャリアー液としてのハロゲン化アンモニウムの水溶液等が好適に挙げられる。
尚、無機弗化物塩水溶液を含む溶液及びBaX2の水溶液を、適宜「反応液」と称することがある。
【0034】
前記攪拌器等を駆動するモーターとしては、特に制限はないが、該攪拌器の高速回転が可能となるようなモーターが好ましい。
【0035】
図1は、本発明の蛍光体前駆体結晶の製造装置の概略構成図である。蛍光体前駆体結晶の製造装置1は、モータードライバー2と、演算・制御部3と、イオン濃度計4と、イオン濃度検知器5と、攪拌モーター6と、精密シリンダーポンプ7,7’と、ポンプ用モーター8,8’と、反応容器9と、攪拌器12と、供給管13,13’と、混合室16と、を備える。
【0036】
反応容器9では、予め、反応母液10が調製され、収容されている。精密シリンダーポンプ7,7’に接続する不図示の収容タンクには、反応液11及び反応液11’がそれぞれ収容されている。反応液11及び反応液11’が、精密シリンダーポンプ7,7’により、供給管13,13’を通って反応母液10に供給されると、イオン濃度検知器5に接続するイオン濃度計4が、反応によって消費されるイオン種の濃度を測定する。イオン濃度計4に接続する演算・制御部3は、測定された値を演算処理等し、モータードライバー2に伝達する。モータードライバー2は、伝達された情報等により、精密シリンダーポンプ7,7’を駆動するポンプ用モーター8,8’を制御するため、精密シリンダーポンプ7,7’から、供給管13,13’を通って反応母液10に供給される反応液11,11’の供給量や供給速度が制御される。
【0037】
図2は、図1の蛍光体前駆体結晶の製造装置1に瞬間反応器を組み込む際、蛍光体前駆体結晶の製造装置1に装着可能な一連の装置14についての概略構成図であり、反応容器周辺が省略されている。装置14は、モータードライバー2と、演算・制御部3と、イオン濃度計4と、イオン濃度検知器5’と、精密シリンダーポンプ7,7’と、ポンプ用モーター8,8’と、供給管13,13’,13’’’と、瞬間反応器15と、を備える。図2において、図1と同一の符号のものは、同一の部材であることを示す。
瞬間反応器15は、精密シリンダーポンプ7,7’から送出される各液の一部を内部に収容し、高速で攪拌した後、外部へ送出する。瞬間反応器15には、攪拌器(不図示)が備えられている。瞬間反応器15から送出された液は、反応容器(不図示)に添加される。
イオン濃度検知器5’は、瞬間反応器15から送出されて反応容器(不図示)に添加される直前の液のイオン濃度を測定する。
【0038】
[蛍光体前駆体結晶の製造方法]
前記蛍光体前駆体結晶は、本発明の蛍光体前駆体結晶の製造装置を用いて、例えば、母液調製工程と、沈殿物生成工程と、分離工程と、を含み、必要に応じてその他の工程を含む、蛍光体前駆体結晶の製造方法によって好適に製造される。尚、分離して得られた前記蛍光体前駆体結晶(沈殿物)を、焼結を避けながら焼成する焼成工程をさらに設けることによって、希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体を得ることができる。
【0039】
例えば、前記基本組成(1)で表される蛍光体前駆体結晶は、本発明の蛍光体前駆体結晶の製造装置を用いて、以下に示す2種類の製造方法(A)および(B)により好適に製造される。
【0040】
(A) BaX2 ;Lnの水溶性化合物;上記基本組成式(I)のxが0でない場合にはさらにMIIのハロゲン化物、硝酸塩、亜硝酸塩もしくは酢酸塩;上記基本組成式(I)のyが0でない場合にはさらにMI のハロゲン化物、硝酸塩、亜硝酸塩もしくは酢酸塩;を含む水溶液であり、かつ、それらが溶解した後のBaX2 濃度が、XがClまたはBrの場合は2.5モル/リットル以下、XがIの場合は5.0モル/リットル以下である反応母液を調製し、該反応母液を20〜100℃の温度に維持し攪拌する母液調製工程と、
前記反応母液を前記温度に維持したまま、イオン濃度測定器により、反応母液中のイオン濃度を測定しつつ、該反応母液に無機弗化物塩の水溶液とBaX2 の水溶液とを、同時に添加して、蛍光体前駆体結晶の沈殿物を生成する沈殿物生成工程と、
前記蛍光体前駆体結晶の沈殿物を水溶液から分離する分離工程と、を含むことを特徴とする蛍光体前駆体結晶の製造方法。
【0041】
(B) NH4 X;Lnの水溶性化合物;上記基本組成式(I)のxが0でない場合にはさらにMIIのハロゲン化物、硝酸塩、亜硝酸塩もしくは酢酸塩;上記基本組成式(I)のyが0でない場合にはさらにMIのハロゲン化物、硝酸塩、亜硝酸塩もしくは酢酸塩;を含む水溶液であり、かつ、それらが溶解した後のNH4 X濃度が2. 0モル/リットル以上4.5モル/リットル以下である反応母液を調製し、該反応母液を20〜100℃の温度に維持し攪拌する反応母液調製工程と、
前記反応母液を前記温度に維持したまま、イオン濃度測定器により、反応母液中のイオン濃度を測定しつつ、該反応母液に、反応液を同時に添加して、蛍光体前駆体結晶の沈殿物を生成する沈殿物生成工程と、
前記蛍光体前駆体結晶の沈殿物を水溶液から分離する分離工程と、を含むことを特徴とする蛍光体前駆体結晶の製造方法。
【0042】
前記沈殿物生成工程において、前記反応液の添加は、反応容器中のイオン濃度が一定となるように、又は、イオン濃度に一定の勾配が設けられるように制御される。
【0043】
以下に、製造方法(A)及び(B)について、更に詳細に説明する。
−製造方法(A)−
i)母液調製工程
前記母液調製工程においては、水系媒体を用い、弗素化合物以外の原料化合物を溶解させ、前記反応容器内で好適に反応母液を調製する。すなわち、BaX2 とLnの水溶性化合物、そして必要に応じて、MIIのハロゲン化物、硝酸塩、亜硝酸塩もしくは酢酸塩、さらに必要に応じて、MI のハロゲン化物、硝酸塩、亜硝酸塩もしくは酢酸塩を、前記反応容器内で、水系媒体と十分に混合し、溶解させて、これら成分が溶解した水溶液(反応母液)を調製する。
このとき、XがClまたはBrの場合はBaX2 濃度が2.5モル/リットル以下、XがIの場合はBaX2濃度が5.0モル/リットル以下となるように、BaX2 と水系溶媒との量比を調整しておく。Lnの水溶性化合物としては、前記希土類元素のハロゲン化物(塩化物、臭化物等)、硝酸塩、酢酸塩等が挙げられる。反応母液には、所望により、微量(1000ppm以下)の金属元素、非金属元素、両性元素等や、少量の酸、アンモニア、水溶性高分子ポリマー、水不溶性金属酸化物微粒子粉体等を添加してもよい。上記得られた反応母液は、20〜100℃、好ましくは40〜80℃に維持され、前記攪拌器によって好適に攪拌される。
【0044】
ii)沈殿物生成工程
前記沈殿物生成工程においては、本発明の蛍光体前駆体結晶の製造装置を用い、前記反応液と、必要に応じてキャリアー液としてハロゲン化アンモニウムの水溶液と、を同時に、前記イオン濃度測定器でイオン濃度を測定しつつ、前記添加器等により前記供給管を通して前記反応容器内に供給し、前記反応母液と混合して、蛍光体前駆体結晶の沈殿物を得る。
前記イオン濃度測定器によって、前記供給の際反応によって消費されるイオン種の濃度が測定され、得られた測定値は、演算処理等された後、前記添加器等にフィードバックされる。前記反応液の添加量・添加速度等は、反応容器中のイオン濃度が一定となるように、又は、イオン濃度に一定の勾配が設けられるよう制御される。
【0045】
無機弗化物塩としては、特に制限はないが、弗化アンモニウム、アルカリ金属の弗化物、アルカリ土類金属の弗化物、遷移金属の弗化物、弗化水素酸等が挙げられ、なかでも溶解度、発光特性、反応中のpH変化の点で、弗化アンモニウムおよびアルカリ金属の弗化物が好ましい。
前記混合は、反応母液を20〜100℃に維持して行うのが好ましい。
【0046】
iii)分離工程
前記分離工程においては、得られた蛍光体前駆体結晶の沈殿物を、吸引濾過、加圧濾過、遠心分離等の分離手段によって、水溶液から分離する。分離された蛍光体前駆体結晶の沈殿物は、メタノールなどの低級アルコールによって充分に洗浄し、乾燥する。
【0047】
以上のように、本発明の蛍光体前駆体結晶の製造装置を用いれば、沈殿物生成工程において、反応液の供給量・供給速度等は、反応容器中のイオン濃度が一定となるように、又は、イオン濃度に一定の勾配が設けられるように制御されるため、粒子形状、粒子サイズ、および粒子サイズ分布の制御性の高い蛍光体前駆体結晶を得ることが可能となる。
【0048】
得られた基本組成(1)で表される蛍光体前駆体結晶を、焼結を避けながら焼成することによって、希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体を得ることができる。前記焼結を避ける方法としては、たとえば、蛍光体前駆体結晶に、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、マグネシアなどの金属酸化物微粉末からなる焼結防止剤を添加して混合し、結晶表面に焼結防止剤微粉末を均一に付着させるから焼成する方法が挙げられる。なお、焼成条件を適宜調整することによって焼結防止剤の添加を省略することも可能である。
【0049】
具体的な焼成方法としては、必要に応じて焼結防止剤微粉末が表面に付着した蛍光体前駆体結晶を、石英ボート、アルミナボート、石英るつぼ、アルミナるつぼなどの耐熱性容器に充填し、電気炉等の炉芯に入れて行う方法が挙げられる。焼成温度は400〜1300℃の範囲が好ましく、500〜1000℃の範囲がより好ましい。焼成時間は、蛍光体前駆体結晶の充填量、焼成温度及び取出し温度などによっても異なるが、一般には0.5〜12時間が適当である。焼成雰囲気は、窒素ガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気などの中性雰囲気、あるいは少量の水素ガスを含有する窒素ガス雰囲気、一酸化炭素を含有する二酸化炭素雰囲気などの弱還元雰囲気、あるいは微量酸素導入雰囲気が利用される。
上記の焼成によって目的の希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体が得られる。
【0050】
−製造方法(B)−
i)母液調製工程
前記母液調製工程においては、水系媒体を用い、弗素化合物以外の原料化合物を溶解させ、前記反応容器内で反応母液を調製する。すなわち、NH4XとLnの水溶性化合物、そして必要に応じて、MIIのハロゲン化物、硝酸塩、亜硝酸塩もしくは酢酸塩、さらに必要に応じて、MI のハロゲン化物、硝酸塩、亜硝酸塩もしくは酢酸塩を、前記反応容器内で、水系媒体と十分に混合し、溶解させて、これら成分が溶解した水溶液(反応母液)を調製する。
このとき、NH4 X濃度が2. 0モル/リットル以上4.5モル/リットル以下、好ましくは3. 0モル/リットル以上4. 5モル/リットル以下となるようにNH4 Xと水系溶媒との量比を調整しておく。Lnの水溶性化合物としては、前記希土類元素のハロゲン化物(塩化物、臭化物等)、硝酸塩、酢酸塩、等が挙げられる。反応母液には、所望により少量の酸、アンモニア、水溶性高分子ポリマー、水不溶性金属酸化物微粒子粉体などを添加してもよい。上記得られた反応母液は、20〜100℃、好ましくは40〜80℃に維持され、前記攪拌器を用いて攪拌される。
【0051】
ii)沈殿物生成工程
前記沈殿物生成工程においては、本発明の蛍光体前駆体結晶の製造装置を用い、前記反応液と、必要に応じてキャリアー液としてハロゲン化アンモニウムの水溶液と、を同時に、前記イオン濃度測定器でイオン濃度を測定しつつ、前記添加器等により前記供給管を通して前記反応容器内に供給し、前記反応母液と混合して、蛍光体前駆体結晶の沈殿物を得る。
前記供給における添加量・添加速度は、前記製造方法(A)で述べたのと同様にして好適に制御される。また、無機弗化物塩としては、前記製造方法(A)で述べたのと同様のものが好適に挙げられる。前記混合は、反応母液を、20〜100℃の温度に維持して行うのが好ましい。
【0052】
iii)分離工程
以上のようにして得られた蛍光体前駆体結晶の沈殿物は、水溶液から分離する分離工程を経て、目的の希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶となる。
以上のように、本発明の蛍光体前駆体結晶の製造装置を用いれば、沈殿物生成工程において、反応液の供給量・供給速度等は、反応容器中のイオン濃度が一定となるように、又は、イオン濃度に一定の勾配が設けられるよう制御されるため、粒子形状、粒子サイズ、および粒子サイズ分布の制御性の高い蛍光体前駆体結晶を、高収率で得ることが可能となる。
【0053】
得られた前記蛍光体前駆体結晶の沈殿物は、焼結を避けながら焼成する焼成工程を経ることによって、希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体となる。前記分離工程及び焼成分離工程の詳細は、製造方法(A)と同様である。
【0054】
[放射線パネルの製造方法]
次に、本発明の蛍光体前駆体結晶の製造装置を用いて得られる蛍光体前駆体結晶を用いた放射線像変換パネルの製造方法について述べる。
【0055】
本発明の蛍光体前駆体結晶の製造装置を用いて得られる蛍光体前駆体結晶は、前述の焼成工程を経て、希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体(以下、単に「輝尽性蛍光体」と称することがある。)となる。該輝尽性蛍光体は、放射線像変換パネルの輝尽性蛍光体層に含まれる。
通常は、輝尽性蛍光体とこれを分散状態で含有支持する結合剤とからなるのものである。なお、輝尽性蛍光体層中には更に、他の輝尽性蛍光体および/または着色剤などの添加剤が含まれていてもよい。
【0056】
輝尽性蛍光体層が、輝尽性蛍光体とこれを分散状態で含有支持する結合剤とからなる場合を例にとり、放射線像変換パネルの製造方法を説明する。
【0057】
輝尽性蛍光体層は、次のような公知の方法により支持体上に形成することができる。まず、輝尽性蛍光体と結合剤とを溶剤に加え、これを充分に混合して、結合剤溶液中に輝尽性蛍光体が均一に分散した塗布液を調製する。塗布液における結合剤と輝尽性蛍光体との混合比は、目的とする放射線像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体の種類などによって異なるが、一般には結合剤と輝尽性蛍光体との混合比(重量比)は、1:1乃至1:100の範囲から選ばれ、特に1:8乃至1:40の範囲から選ぶのが好ましい。次に、上記のようにして調製された輝尽性蛍光体と結合剤とを含有する塗布液を、支持体の表面に均一に塗布することにより塗膜を形成する。この塗布操作は、通常の塗布手段、たとえば、ドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーターなどを用いることにより行うことができる。
【0058】
支持体としては、従来より放射線像変換パネルの支持体の材料として公知のものから任意に選ぶことができる。公知の放射線像変換パネルにおいて、支持体と輝尽性蛍光体層との結合を強化するため、あるいは放射線像変換パネルとしての感度もしくは画質(鮮鋭度、粒状性)を向上させるために、輝尽性蛍光体層が設けられる側の支持体表面にゼラチンなどの高分子物質を塗布して接着性付与層を設けたり、あるいは二酸化チタンなどの光反射性物質からなる光反射層、もしくはカーボンブラックなどの光吸収性物質からなる光吸収層などを設けることが知られている。本発明において用いられる支持体についても、これらの各種の層を設けることができ、それらの構成は所望の放射線像変換パネルの目的、用途などに応じて任意に選択することができる。さらに特開昭58−200200号公報に記載されているように、得られる画像の鮮鋭度を向上させる目的で、支持体の輝尽性蛍光体層側の表面(支持体の輝尽性蛍光体層側の表面に接着性付与層、光反射層または光吸収層などが設けられている場合には、その表面を意味する)には微小凹凸が形成されていてもよい。
【0059】
上記のようにして支持体上に塗膜を形成したのち該塗膜を乾燥して、支持体上に輝尽性蛍光体層を形成する。輝尽性蛍光体層の層厚は、目的とする放射線像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体の種類、結合剤と輝尽性蛍光体との混合比などによって異なるが、通常は20μm乃至1mmとする。該層厚は50乃至500μmとするのが好ましい。なお、輝尽性蛍光体層は、必ずしも上記のように支持体上に塗布液を直接塗布して形成する必要はなく、たとえば、別に、ガラス板、金属板、プラスチックシートなどのシート上に塗布液を塗布し乾燥することにより蛍光体層を形成したのち、これを、支持体上に押圧するか、あるいは接着剤を用いるなどして支持体と輝尽性蛍光体層とを接合してもよい。
【0060】
前述のように、通常は輝尽性蛍光体層の上に保護膜が付設される。保護膜としては、セルロース誘導体やポリメチルメタクリレートなどのような透明な有機高分子物質を適当な溶媒に溶解して調製した溶液を輝尽性蛍光体層の上に塗布することで形成されたもの、ポリエチレンテレフタレートなどの有機高分子フィルムや透明なガラス板などの保護膜形成用シートを別に形成して輝尽性蛍光体層の表面に適当な接着剤を用いて設けたもの、あるいは無機化合物を蒸着などによって輝尽性蛍光体層上に成膜したもの、などが用いられる。また、有機溶媒可溶性のフッ素系樹脂の塗布膜により形成され、パーフルオロオレフィン樹脂粉末もしくはシリコーン樹脂粉末を分散、含有させた保護膜であってもよい。
【0061】
なお、得られる画像の鮮鋭度を向上させることを目的として、放射線像変換パネルを構成する上記各層の少なくとも一つの層が励起光を吸収し、輝尽発光光は吸収しないような着色剤によって着色されていてもよく、独立した着色中間層を設けてもよい(特公昭54−23400号公報参照)。
【0062】
以上の方法により、本発明の希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の製造装置により得られる蛍光体前駆体結晶を用いて、支持体上に、輝尽性蛍光体層が付設されてなる放射線像変換パネルを製造することができる。
【0063】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、実施例および比較例において、「水溶液」というときは、本発明における概念にかかわらず、水のみを媒体とする一般的な水溶液を意味する。
【0064】
[実施例1]
図1の蛍光体前駆体結晶の製造装置を用い、以下のようにして蛍光体前駆体結晶(ユーロピウム賦活弗化臭化バリウムの結晶)を製造した。
【0065】
−各溶液の調製−
BaBr2水溶液(2.5モル/リットル)1200mlと、EuBr3水溶液(0.2モル/リットル)12.5mlと、水1787.5mlと、からなる反応母液10(BaBr2濃度:1.0モル/リットル)を、4リットルの容積の反応容器9に入れた。この反応母液10を60℃に保温し、周囲に、容積が約100mlの混合室16が付設された直径45mmのスクリュー型の攪拌器12(攪拌羽)を500rpmで回転させて、混合室16から上方流を発生するように、攪拌器12によって、反応母液10を攪拌した。また、反応母液10の水面から、Baのイオン濃度検知器5を挿入し、Baのイオン濃度測定器によって、Baイオン濃度の測定を開始した。
【0066】
無機弗化物塩水溶液を含む溶液として、弗化アンモニウム水溶液(10モル/リットル)50mlと水250mlとを混合して、弗化アンモニウム水溶液を含む溶液を300ml調製した。
別に、BaBr2水溶液(2.5モル/リットル)を準備した。
【0067】
−無機弗化物塩水溶液を含む溶液の添加−
前記弗化アンモニウム水溶液を含む溶液(無機弗化物塩水溶液を含む溶液)を、不図示の収容タンクに収容し、精密シリンダーポンプ7を用いて、上記攪拌下に保温している反応母液10中の混合室16に、5ml/分の添加速度で添加した。尚、精密シリンダーポンプ7は、イオン濃度測定器による制御は行われていない。
【0068】
−BaBr2水溶液の添加−
前記BaBr2水溶液を不図示の収容タンクに収容し、精密シリンダーポンプ7’を用いて、上記攪拌下に保温している反応母液10中の混合室16に添加した。該添加は、反応の進行に伴うBaイオンの消費や、反応液添加による反応母液10の容積変化によるBaイオンの濃度変化を、前記Baのイオン濃度測定器で測定し、反応中のBaイオン濃度が一定になるように制御しながら行った。
【0069】
以上のようにして沈殿物を生成させた。添加完了後も、引き続き保温・攪拌を2時間行い、沈殿物の熟成を行った。次に、沈殿物を濾過・分離した後、メタノール2リットルで洗浄した。その後、洗浄した沈殿物を取出し、120℃で4時間真空乾燥させ、蛍光体前駆体結晶(ユーロピウム賦活弗化臭化バリウムの結晶)約110gを得た。
【0070】
[比較例1]
実施例1の各溶液の調製において、Baのイオン濃度測定器によるBaイオン濃度の測定を行わず、又、BaBr2水溶液の添加を行わなかった外は、実施例1と同様にして各溶液を調製し、無機弗化物塩水溶液を含む溶液を添加し、蛍光体前駆体結晶(ユーロピウム賦活弗化臭化バリウムの結晶)約110gを得た。
【0071】
[実施例2]
図1の蛍光体前駆体結晶の製造装置を用い、以下のようにして蛍光体前駆体結晶(ユーロピウム賦活弗化臭化バリウムの結晶)を製造した。
尚、実施例2においては、図1では不図示であるが、精密シリンダーポンプ7、ポンプ用モーター8、及び供給管13のそれぞれと同一部材の精密シリンダーポンプ7’’、ポンプ用モーター8’’、及び供給管13’’が、精密シリンダーポンプ7、ポンプ用モーター8、及び供給管13のそれぞれと同様に備えられた蛍光体前駆体結晶の製造装置を用いた。
【0072】
−各溶液の調製−
NH4Br水溶液(4.5モル/リットル)1555.5mlと、EuBr3水溶液(0.2モル/リットル)12.5mlと、水432mlと、からなる反応母液(NH4Br濃度:3.5モル/リットル)を、4リットルの容積の反応容器9に入れた。この反応母液10を60℃に保温し、周囲に、容積が約100mlの混合室16が付設された直径45mmのスクリュー型の攪拌器(攪拌羽)12を500rpmで回転させて、混合室16から上方流を発生するように攪拌器12によって反応母液10を攪拌した。また、反応母液10の水面から、Brのイオン濃度検知器5を挿入し、Brのイオン濃度測定器によって、Brイオン濃度の測定を開始した。
【0073】
無機弗化物塩水溶液を含む溶液として、弗化アンモニウム水溶液(10モル/リットル)50mlと水50mlとを混合して、弗化アンモニウム水溶液を含む溶液を100ml調製した。
別に、BaBr2水溶液(2.5モル/リットル)200mlと、NH4Br水溶液(4.5モル/リットル)とを、それぞれ準備した。
【0074】
−BaBr2水溶液、弗化アンモニウム水溶液の添加−
前記弗化アンモニウム水溶液を含む溶液(無機弗化物塩水溶液を含む溶液)と、前記BaBr2水溶液とを、不図示の収容タンクに別々に収容し、精密シリンダーポンプ7及び7’を用いて、上記攪拌下に保温している反応母液10中の混合室16に、BaBr2水溶液を4ml/分の添加速度で、弗化アンモニウム水溶液を2ml/分の添加速度でそれぞれ添加した。尚、精密シリンダーポンプ7及び7’は、イオン濃度測定器による制御は行われていない。
【0075】
−NH4Br水溶液の添加−
前記NH4Br水溶液を不図示の収容タンクに収容し、不図示の精密シリンダーポンプ7’’を用いて、上記攪拌下に保温している反応母液10中の混合室16に添加した。該添加は、反応の進行に伴うBrイオンの消費や、反応液添加による反応母液10の容積変化によるBrイオンの濃度変化を、前記Brのイオン濃度測定器で測定し、反応中のBrイオン濃度が一定になるように制御しながら行った。
【0076】
以上のようにして沈殿物を生成させた。添加完了後も、引き続き保温・攪拌を2時間行い、沈殿物の熟成を行った。次に、沈殿物を濾過・分離した後、メタノール2リットルで洗浄した。その後、洗浄した沈殿物を取出し、120℃で4時間真空乾燥させ、蛍光体前駆体結晶(ユーロピウム賦活弗化臭化バリウムの結晶)約110gを得た。
【0077】
[比較例2]
実施例2の各溶液の調製において、Brのイオン濃度測定器によるBrイオン濃度の測定を行わず、又、NH4Br水溶液の添加を行わなかった外は、実施例2と同様にして各溶液を調製し、無機弗化物塩水溶液を含む溶液を添加し、蛍光体前駆体結晶(ユーロピウム賦活弗化臭化バリウムの結晶)約110gを得た。
【0078】
<蛍光体前駆体結晶の評価>
得られた蛍光体前駆体結晶について、粒子サイズ(メジアン径)、粒子サイズ分布、粒子形状、粒子形状の均一性、粒子アスペクト比を以下のようにして、測定・評価した。結果を表1に示した。
【0079】
−粒子サイズ(メジアン径Dm)の測定−
光回折式粒子サイズ分布測定装置(堀場製作所株式会社製 LA−500)を用いて粒子サイズ(メジアン径Dm(μm))を測定した。
【0080】
−粒子サイズ分布の測定・評価−
前記光回折式粒子サイズ分布測定装置を用いて得られた分布表より、標準偏差(σ)を求め、標準偏差(σ)/中心粒子サイズ(メジアン径Dm(μm))を算出して評価した。
【0081】
−粒子形状、粒子形状の均一性の評価−
走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、JSM−5400LV)を用いて観察し、評価した。尚、粒子形状の均一性の評価は、以下の基準によって行った。◎・・・・・・・・粒子形状が極めて均一である。
○・・・・・・・・粒子形状が、実用上問題ない程度に均一である。
【0082】
−粒子アスペクト比の測定・評価−
前記走査型電子顕微鏡を用い、得られた写真において、蛍光体前駆体結晶の粒子200点についての縦横比を平均化して算出した。
【0083】
【表1】
【0084】
表1より、本発明の希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の製造装置を用いて製造した実施例1及び2の蛍光体前駆体結晶は、比較例1及び2の蛍光体前駆体結晶と比べ、粒子サイズ、粒子形状等が均一で、粒子サイズ分布の制御性に優れることがわかる。
【0085】
【発明の効果】
本発明によれば、得られる輝尽性蛍光体前駆体結晶の粒子の粒子形状、粒子サイズ、および粒子サイズ分布の制御性が高いと共に、これらを高収率で得ることが可能な、希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の製造装置を提供することができる。特に、放射線像変換パネルに利用した場合に、高画質な画像が得られるとともに、感度および粒状性が良好な輝尽性蛍光体を得ることが可能な、希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の蛍光体前駆体結晶の製造装置(イオン濃度測定器を反応容器内側に設けた場合)の概略構成図である。
【図2】 本発明の蛍光体前駆体結晶の製造装置(瞬間反応器を組み込み、イオン濃度測定器を供給管の中途に設けた場合)の概略構成図である。
【図3】 放射線像変換パネルの輝尽性蛍光体層中における従来の板状希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体の配列と、その輝尽性蛍光体層内の光伝導の方向を模式的に示す図である。
【図4】 放射線像変換パネルの蛍光体層中における希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体の配列と、その蛍光体層内の光伝導の方向を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1:希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の製造装置
2:モータードライバー
3:演算・制御部
4:イオン濃度計
5:イオン濃度検知器
6:攪拌モーター
7,7’:精密シリンダーポンプ
8,8’:ポンプ用モーター
9:反応容器
10:反応母液
11,11’:反応液
12:攪拌器
13,13’,13’’’:供給管
15:瞬間反応器
16:混合室
Claims (4)
- 少なくとも、反応容器と、攪拌器と、無機弗化物塩水溶液を含む溶液を前記反応容器内に供給する供給管と、を有する希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の製造装置であって、
前記反応容器の内側及び前記無機弗化物塩水溶液を含む溶液に接する接液部の少なくとも一方に、イオン濃度測定器が備えられたことを特徴とする希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の製造装置。 - 希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の組成が、下記基本組成式(1)で表されることを特徴とする請求項1に記載の希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の製造装置。
Ba1-XMIIFX:yMI,zLn 基本組成式(1)
基本組成式(1)において、MIIは、Sr又はCaのアルカリ土類金属を表す。MIは、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも1のアルカリ金属を表す。Xは、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも1のハロゲンを表す。Lnは、Ce、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、Tm及びYbからなる群より選ばれる少なくとも1の希土類元素を表す。x、y及びzは、それぞれ、0≦x≦0.5、0≦y≦0.05、0<z≦0.2を満たす。 - イオン濃度測定器が、ハロゲンイオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、希土類イオン、アンモニウムイオン、硝酸イオン及び水素イオンの少なくとも1を検出可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の製造装置。
- イオン濃度測定器が、前記供給管の中途に備えられたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の製造装置。
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