JP3835577B2 - 繊維強化プラスチック成形品の製造方法及びそれによって得られる繊維強化プラスチック成形品 - Google Patents

繊維強化プラスチック成形品の製造方法及びそれによって得られる繊維強化プラスチック成形品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、SMC( Sheet molding compound )、BMC( Bulk molding compound )等を用いて作製される模様付き繊維強化プラスチック(FRP=Fiber Reinforced Plastics )成形品の製造方法及びそれによって得られるFRP成形品に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
従来、模様付きの繊維強化プラスチック(FRP)成形品を製造する方法として、チタン紙、不織布、布、含浸紙等を成形同時一体化する方法(例えば、特開昭48−12876号公報、特開昭51−20951号公報等参照)が知られているが、この方法では鮮明な印刷ができず、また光沢のある表面仕上げを施すことはできない。また、特開平7−60911号公報に開示されるように、印刷を施したプラスチックフィルムに不織布を2液硬化型ウレタン樹脂接着剤にて裏打ちしたシートを使用し、このシートを成形時に一体化させるという方法も知られており、この方法によれば鮮明な印刷を施したり光沢のある表面を得ることはできる。しかしながら、この方法でも内部立体感は得られず、得られた成形品は意匠性に欠ける。
【0003】
そこで、意匠性の高い成形品を得るために、成形用の樹脂中に光輝性粉体等を練り込んで立体感を出すようにしたものが知られているが、この方法では幾何学的パターン等の表現ができず、また成形時における樹脂の流動により光輝性にムラを生じる。また、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂シートに熱エンボスにより凹凸を付けたシートを使用し、このシートを一体成形する方法も知られているが、この方法では成形時にエンボスパターンが熱圧により消失してしまうと言った問題点がある。
【0004】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、表面平滑性と内部の立体感を発揮できるFRP成形品の製造方法を提供し、併せてそれによって得られるFRP成形品を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のFRP成形品の製造方法は、硬化性樹脂で形成した凹凸模様を有する透明又は半透明の熱可塑性樹脂シートの凹凸模様側に接着剤層を設け、その接着剤層と接する側に、光輝性表面を有する繊維質シートを貼り合わせてなる化粧シートを準備し、その化粧シートにおける繊維質シート面にFRPの未硬化物を重ね合わせ、金型内で加熱加圧して両者を一体化させると共に、繊維質シートの光輝性表面側に硬化性樹脂の凹凸模様を圧入させて光輝性表面に凹凸模様の形状を賦形することを特徴としている。
【0006】
この製造方法によって得られる繊維強化プラスチック成形品は、硬化性樹脂で形成した凹凸模様を有する透明又は半透明の熱可塑性樹脂シートの凹凸模様側に接着剤層を設け、その接着剤層と接する側に、光輝性表面を有する繊維質シートを貼り合わせてなる化粧シートが用いられ、その化粧シートにおける繊維質シート面にFRP積層一体化されたものとなり、光輝性表面が凹凸模様の形状に賦形された外観を呈する
【0007】
【発明の実施の形態】
熱可塑性樹脂シートとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステルの単独又は共重合体等のアクリル樹脂(なお、(メタ)アクリル酸エステルの表記は「アクリル酸エステル又はメタアクリル酸エステル」の意味である)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、エチレン・イソフタレート・テレフタレート共重合体等のポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・アクリル共重合体、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体等のビニル樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド等の樹脂が選ばれる。これらの中でも、成形時に作用する応力により亀裂や破断を生じないためには、加熱時に適当な可撓性を有するものが好ましい。
【0008】
熱可塑性樹脂シートに硬化性樹脂で凹凸模様を形成する方法としては、特開昭57−87318号公報、特公昭57−22755号公報、特公昭63−50066号公報、特開平7−32476号公報等に開示されるものであって、型(版)の凹凸形状を忠実に電離放射線硬化性樹脂の硬化物に賦形する方法がある。この方法は基本的には以下の工程からなる。
▲1▼表面に目的とする形状と同形状且つ逆凹凸の凹凸形状(凹凸模様)を形成した円筒形状の版胴(型)を用意し、これを軸芯の回りに回転させる。
▲2▼長尺帯状の熱可塑性樹脂シートを版胴の周速度と同速度で供給する。
▲3▼該熱可塑性樹脂シートと版胴とを、その間に電離放射線硬化性樹脂の未硬化液状組成物を介して重ね合わせて密着させ、該液状組成物が該版胴の少なくとも凹部を完全に充填するようにする。
▲4▼その状態のままで電離放射線を照射して液状組成物を架橋、硬化させる。
▲5▼しかる後、熱可塑性樹脂シート及びそれに接着し且つ版胴上の凹凸模様が賦形された電離放射線硬化性樹脂の硬化物とを共に剥離除去する。
【0009】
以上の方法において、円筒形状の版胴(型)としては、公知の凹版、グラビア版、エンボス版と基本的には、同様の材料、同様の構造、同様の製法によるものを用いればよい。版の材料としては、通常は鉄、銅等の金属が用いられる。版胴の軸芯の回りの回転運動は、通常の輪転式グラビア印刷機、輪転式エンボス機等と同様な機構、方法を用いればよい。熱可塑性樹脂シートの版胴への密着のためには、ゴム、金属等のローラ(圧着ローラ)で圧着する。また、熱可塑性樹脂シートの版胴からの剥離にもゴム、金属等のローラ(剥離ローラ)で押さえて剥離する。熱可塑性樹脂シートは、長尺・帯状のものを用いる。このような熱可塑性樹脂シートは巻出ロール(供給ロール)から巻き出して、賦形後は巻取ロール(排紙ロール)で巻き取る。
【0010】
熱可塑性樹脂シートと版胴とを、その間に電離放射線硬化性樹脂の未硬化液状組成物を介して重ね合わせて密着させる態様としては次のものがある。
▲1▼熱可塑性樹脂シート上に液状組成物を塗布し、該塗布面が版胴表面に向くようにして熱可塑性樹脂シートを版胴に重ね合わせる。
▲2▼版胴上に液状組成物を塗布し、該版胴上の塗布面に熱可塑性樹脂シートを重ね合わせる。
▲3▼版胴上と熱可塑性樹脂シート上の各々に液状組成物を塗布し、該熱可塑性樹脂シートと該版胴とを各々の塗布面が対向するようにして重ね合わせる。
【0011】
版胴と熱可塑性樹脂シート間にある未硬化液状組成物へ電離放射線を照射するには、電離放射線に対して透明な熱可塑性樹脂シートを選んでその熱可塑性樹脂シート側から照射する。
【0012】
電離放射線硬化性樹脂としては、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等の重合性不飽和結合又はエポキシ基等のカチオン重合性不飽和基を有するプレポリマー、単量体、又はポリマー、或いはポリチオール化合物からなり、これらを1種のみ又は2種以上適宜混合した組成物を用いる。未硬化時に液状のものを使用する。
【0013】
前記分子中に重合性不飽和結合を有するプレポリマーの例としては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の不飽和ポリエステル類、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類がある。なお、本明細書で(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタアクリレートの意味で用いる。
【0014】
前記分子中に重合性不飽和結合を有する単量体の例としては、▲1▼スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン単量体、▲2▼(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル等の単官能(メタ)アクリル酸エステル類、▲3▼エチレングリコール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリル酸エステル類、▲4▼(メタ)アクリル酸−2−(N、N−ジエチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸−2−(N、N−ジメチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸−2−(N、N−ジベンジルアミノ)エチル等の不飽和酸の置換アミノアルコールエステル類、(メタ)アクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミドがある。
【0015】
分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコール等がある。
【0016】
分子中にカチオン重合性不飽和基を有するプレポリマーとしては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族型エポキシ樹脂等、脂環型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂、脂肪族系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル、ウレタン系ビニルエーテル、エステル系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂、環状エーテル系樹脂、スピロ系化合物等のプレポリマー等がある。
【0017】
以上の化合物を必要に応じ1種若しくは2種以上混合して用いるが、樹脂組成物に通常の塗工適正を付与するために、前記プレポリマー又はオリゴマーを5重量%以上、前記単量体及び/又はポリチオールを95重量%以下とすることが好ましい。
【0018】
また、硬化物の可撓性、表面硬度等の物性を調節するために前記プレポリマー、オリゴマー、単量体の少なくとも1種に対して、以下のような電離放射線非硬化性樹脂を1〜70重量%程度混合して用いることができる。
【0019】
電離放射線非硬化性樹脂としては、ウレタン系樹脂、繊維素系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂を用いることができる。
【0020】
特に、紫外線で硬化させる場合には、前記電離放射線硬化性樹脂塑性物に光重合開始剤を添加する。分子中にラジカル重合性不飽和結合を有する化合物に対しては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルメウラムモノサルファイド、チオキサントン類等がある。分子中にカチオン重合性不飽和基を有する化合物に対しては、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル、ジアリルヨードシル塩等がある。
【0021】
また必要に応じてさらに、光増感剤としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等を混合して用いることもできる。
【0022】
以上の電離放射線硬化性樹脂組成物の未硬化液状組成物を版胴或いは熱可塑性樹脂シートに塗工するには公知の各種方法、例えば、ロールコート、カーテンフローコート、Tダイコート等の方法によればよい。特に、版胴塗工の場合はインキパン中の液状組成物に、回転する版胴を浸漬させる(所謂ドブ浸け)も可能である。
【0023】
なお、ここで電離放射線とは電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合、架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、紫外線、可視光線、X線、電子線、α線等があるが、通常は紫外線又は電子線が用いられる。紫外線源としては超高圧水銀燈、低圧水銀燈、カーボンアーク、ブラックライトランプ、メタルハライドランプ等の光源を使用する。電子線源としてはコックロフトワルトン型、ハンデグラフ型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、或いは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を使用し、100〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを持つ電子を照射する。
【0024】
熱可塑性樹脂シートに硬化性樹脂の硬化物からなる凹凸模様を設けるには、上記の方法を用いて電離放射線硬化性樹脂を使用する方法が好ましいが、その他、シルクスクリーン印刷法やグラビア印刷法により、電離放射線硬化性樹脂や、熱硬化型ポリエステル樹脂、2液硬化型ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂のインキで盛上印刷したものを、それぞれ電離放射線や熱で硬化させてもよい。凹凸模様としては、例えば、木目導管溝、浮造木目、万線条溝、花崗岩の劈開面、帛布の織目(テクスチュア)、ヘアライン等がある。
【0025】
熱可塑性樹脂シートの凹凸模様側に設ける接着剤層には、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂(ポリエステルポリオール、アクリルポリオール等のポリオールとトリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネートとからなる成分)等の接着剤が用いられる。接着剤層は凹凸面に形成するため、スリットリバース法、グラビアリバースコート法等で塗工するのが望ましい。好ましくは、この接着剤層中にも光輝性箔粉を添加する。
【0026】
繊維質シートとしては、不織布、織布が使用される。場合によっては紙、樹脂含浸紙なども使用可能である。不織布としては、アクリル樹脂、ナイロン、ポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、レーヨン、アセテート、ポリ塩化ビニル、パルプ、ビニロン等の有機物繊維、或いは、硝子繊維、石綿、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、炭素繊維等の無機質繊維を用いた不織布、和紙等が使用される。なお、コスト、物性、加工性、強度等を考慮するとポリエステル系樹脂不織布が好ましい。そして、本発明で使用する不織布としては、厚さが0.2mm以下で、その引張強度が通常のSMC成形温度(120〜160℃)で2.0kg/15mm幅以上のものであることが好ましい。不織布の厚さが0.2mmより大きいと成形時に成形品の端部や曲面部での回り込みがよくなく、また引張強度が2.0kg/15mm幅より小さいと破れて接着不良を生じるようになる。この不織布と前記熱可塑性樹脂シートは公知の適当な方法で貼り合わせればよい。例えば、ウレタン樹脂等の接着剤を用いたドライラミネート法等がある。
【0027】
繊維質シートに光輝性を持たせるには、光輝性箔粉を印刷により付与したり、不織布内に混抄したりする。光輝性箔粉としては、アルミニウム粉、銅粉、真鍮粉等の金属粉や金属箔片や金属蒸着合成樹脂フィルムの裁断片等の金属光沢を有する金属粉顔料、二酸化チタン被覆雲母、魚鱗箔、酸塩化ビスマス等の鱗片状箔片からなる真珠光沢顔料がある。また、例えば、ポリエステル樹脂層とアクリル樹脂層を数μm以下程度の厚みで多層積層して、光の干渉による虹彩色を生じさせたフィルム(例;マール社製のマールフィルム(登録商標))を断裁した箔粉からなる光干渉性箔粉顔料も挙げられる。
【0028】
場合により、不織布面(光輝性層表面)或いは熱可塑性樹脂シート面に絵柄層を設ける。印刷方式はグラビア、オフセット、シルクスクリーン等でよく、また使用する絵柄インキは樹脂バインダーに顔料、染料等の着色剤を添加したものを用いる。バインダーとしては、酢酸セルロース、セルロースアセテートプロピオネート、硝化綿等の繊維素樹脂、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステルの単独又は共重合体等のアクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂等の1種又は2種以上の混合物が、顔料としては、弁柄、カドミウムレッド、黄鉛、群青、チタン白、カーボンブラック等の無機顔料、キナクリドン、ポリアゾ、イソインドリノン、フタロシアニンブルー等の有機顔料等が用いられる。なお、印刷する絵柄は、木目柄、石目柄、布目柄等の天然物の絵柄、幾何学模様、文字、記号、全面ベタ等のいずれであってもよい。通常、凹凸模様に対応した絵柄を用いる。例えば、花崗岩の石目柄と花崗岩の劈開面の凹凸模様との組合せ、木目柄と木目導管溝或いは浮造木目年輪の凹凸模様との組合せ、布目柄と帛布の織目の凹凸模様(テクスチュア)との組合せ等が代表的である。
【0029】
本発明において、化粧シートと積層するFRPの未硬化物(乃至は中間体)としてはSMC、BMC等の公知のものが各種用いられる。中でも代表的なものはシートモールディングコンパウンド(SMC)である。以下、SMCについて詳述する。SMCは、熱硬化性樹脂である不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の樹脂の未硬化物に、ガラス繊維などの繊維質の強化材を混合したシート状の成形材料であり、金型に入れて加熱加圧することによって未硬化樹脂が硬化し、強化材と一体化してFRP製品が得られるものである。その製造方法としては、例えば、ポリエチレンフィルム等の第1のセパレーターフィルムの片面に、樹脂のプレポリマー、硬化触媒、促進剤、硬化遅延剤、空気乾燥剤等および、炭酸カルシウム、タルク、クレー等の充填剤等を混練してなる樹脂コンパウンドをナイフコート法等により塗布した上に、ガラス繊維を束ねてなるガラスロービングを切断してなるチョップストランドを散布し、別に第2のセパレーターフィルムの片面に、第1のセパレーターフィルムの片面に塗布したのと同様な樹脂コンパウンドを、同様な塗布方法により塗布した後、第1のセパレーターフィルムと第2のセパレーターフィルムを両セパレーターフィルムの樹脂コンパウンド塗布面どうしが散布されたチョップストランドを介して対向するように重ね合わせ、ロール加圧にて加圧することにより樹脂コンパウンドを散布されたチョップストランドに含浸・脱泡し、加湿して養生する方法が採られる。このSMCを製造する際の樹脂としては特に限定されないが、通常、不飽和ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂が多い。
【0030】
上記化粧シートの繊維質シート面と接するように上記SMCを積層し、金型内で加熱加圧して両者を一体化する。SMC成形条件は、通常、成形温度:120〜160℃、成形圧力:20〜100kg/cm2 、成形時間:5〜20分である。そして、成形品の形状は、平板、曲面板、或いは浴槽や洗面ボール等の立体物等である。
【0031】
【実施例】
(実施例1)
まず、図1に示すような化粧シート1を作製した。具体的には、熱可塑性樹脂シート2として透明な2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績製「E5010」、厚さ50μm)を使用し、その表面に多官能アクリレート重単量体からなる紫外線硬化性インキ(大日精化工業製「XD808」)を用いて前記した方法により抽象パターンの万線条溝模様の入った凹凸模様3を形成した。凹凸の段差50μm、周期100μmである。一方、繊維質シート4としてポリエステル樹脂不織布(東洋紡績製「スパンボンドA6401」)を使用し、その表面にパールインキにて全面にパールベタ層5をグラビア印刷により形成し、さらにその上にマーブル大理石の石目調柄印刷層6をグラビア印刷により形成した。使用したパールインキ、グラビアインキともにバインダーはアクリル樹脂と塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体の1対1重量比の混合物である。また、パール顔料は平均粒径15μmの二酸化チタン被覆雲母の鱗片状箔片を含有したものである。そして、2液硬化型ウレタン樹脂接着剤(大日精化工業製「E−295」)を使用し、この接着剤7を介して、熱可塑性樹脂シート1の凹凸模様3を設けた側に繊維質シート4の印刷層6が向かい合う状態でドライラミネートして化粧シート1を作製した。
【0032】
そして、この化粧シート1の不織布面側に、硝子短繊維と不飽和ポリエステル樹脂オリゴマーとからなるSMC(昭和高分子製「リゴラックSMC」)を重ね合わせ、金型内に挿入し、150℃、75kgf/cm2 で5分間加熱加圧成形を行うことで図2に示すように化粧シート1とSMC8を一体化させた。この成形時の熱圧により化粧シート内部のパールベタ層5に凹凸模様3がほど良く押型され、光反射による視覚的内部凹凸効果が発現した。以上の工程により、内部に凹凸を有する高意匠な浴室壁面用パネル9を得た。
【0033】
(実施例2)
熱可塑性樹脂シート2として実施例1と同様のポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、その表面に同様のインキを用いて正弦波曲線状の凸条部を互いに並行に多数配列せしめた波状万線条溝模様の入った凹凸模様3を形成した。凹凸の段差50μm、周期50μmである。一方、繊維質シート4として実施例1と同様の不織布を使用し、その不織布にパール粉体を混入した。使用したパール顔料は実施例1と同様の二酸化チタン被覆雲母の鱗片状箔片を含有したものである。そして、2液硬化型ウレタン樹脂接着剤(大日精化工業製「E−295」)を使用し、この接着剤7を介して、熱可塑性樹脂シート2の凹凸層3を設けた側に繊維質シート4を向かい合わせた状態でドライラミネートして化粧シート1を作製した。
【0034】
そして、この化粧シート1の不織布面側に実施例1で使用したのと同じSMC8を重ね、実施例1と同様の成形を行って図3に示すように化粧シート1とSMC8を一体化させた。以上の工程により、内部に木目板と類似の照り感を有する高意匠の浴室壁面用パネル9を得た。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、硬化性樹脂で形成した凹凸模様を有する熱可塑性樹脂シートに光輝性表面を有する繊維質シートを貼り合わせてなる化粧シートを用い、その化粧シートにおける繊維質シート面にFRPの未硬化物を重ね合わせ、金型内で加熱加圧して両者を一体化させると共に、繊維質シートの光輝性表面側に硬化性樹脂の凹凸模様を圧入させて光輝性表面に凹凸模様の形状を賦形することにより、表面平滑と内部の立体感を有する繊維強化プラスチック成形品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で使用する化粧シートを示す断面図である。
【図2】実施例で製造した繊維強化プラスチック成形品の断面図である。
【図3】別の実施例で製造した繊維強化プラスチック成形品の断面図である。
【符号の説明】
1 化粧シート
2 熱可塑性樹脂シート
3 凹凸模様
4 繊維質シート
5 パールベタ層
6 印刷層
7 接着剤
8 SMC
9 パネル(繊維強化プラスチック)

Claims (2)

  1. 硬化性樹脂で形成した凹凸模様を有する透明又は半透明の熱可塑性樹脂シートの凹凸模様側に接着剤層を設け、その接着剤層と接する側に、光輝性表面を有する繊維質シートを貼り合わせてなる化粧シートを準備し、その化粧シートにおける繊維質シート面にFRPの未硬化物を重ね合わせ、金型内で加熱加圧して両者を一体化させると共に、繊維質シートの光輝性表面側に硬化性樹脂の凹凸模様を圧入させて光輝性表面に凹凸模様の形状を賦形することを特徴とする繊維強化プラスチック成形品の製造方法
  2. 請求項1に記載の製造方法によって得られる繊維強化プラスチック成形品であって、硬化性樹脂で形成した凹凸模様を有する透明又は半透明の熱可塑性樹脂シートの凹凸模様側に接着剤層を設け、その接着剤層と接する側に、光輝性表面を有する繊維質シートを貼り合わせてなる化粧シートが用いられ、その化粧シートにおける繊維質シート面にFRP積層一体化されり、光輝性表面が凹凸模様の形状に賦形されてなることを特徴とする繊維強化プラスチック成形品。
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