JP3835269B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排気特性を向上させる制御装置に関し、とくに、排気系内の温度を最適化する機能を備えた内燃機関の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジンのように、広い運転領域において高い空燃比(リーン雰囲気)の混合気を燃焼に供して機関運転を行う内燃機関では、混合気に含まれる空気の比率が大きい為、排気の温度が低下しやすい。排気の温度が低下すると、排気系に設けられた排気浄化用触媒の活性状態を保持することができなくなるため、排気特性の低下を招くといった問題がある。
【0003】
ここで、内燃機関の排気の温度を上昇させるための制御(以下、排気昇温制御という)としては、燃焼室内へ直接燃料を噴射供給する内燃機関において、機関出力を発生させるための主たる燃料噴射の実行後に、少量の燃料を副噴射(以下、ポスト噴射という)として燃焼室内に噴射供給する方法や、機関の排気系に噴射弁を設置し、この噴射弁を通じて軽油等の還元剤を直接添加する方法(以下、還元剤添加という)が知られている。
【0004】
ポスト噴射によって燃焼室内に供給される燃料は、機関出力にほとんど寄与することなく燃焼ガス中で軽質な炭化水素(還元成分)に改質され、排気系に排出される。また、排気系内に直接添加された還元剤(還元成分)は、噴霧となって排気中に拡散する。ポスト噴射の実施を通じて、或いは、還元剤添加を通じて供給される還元成分は、排気浄化触媒の触媒作用により、或いは自発的に反応して発熱するため、何れの場合も結果としては、排気の温度(排気浄化触媒の温度)を上昇させる効果を奏する。
【0005】
ここで、噴射弁を通じ機関の排気系に還元剤を直接添加する還元剤添加では、一度に大量の還元成分を供給することが可能である。しかし、還元剤添加の場合には、排気が予めある程度暖まっていなければ、噴霧状態の還元成分が排気通路の内壁に付着してしまい、効率的な昇温機能を発揮することができないため、その活用機会は専ら中高負荷領域に限られる。
【0006】
一方、ポスト噴射では、燃焼室内へ直接燃料を噴射供給し、しかもその燃料を機関燃焼に関与させないといった条件が要求される。このため、一度に供給できる燃料量には制約がある。しかしながら、ポスト噴射の実施を通じて供給される還元成分は、燃焼ガス中で軽質化されているため、反応性も高く、例えばアイドル時のように排気の温度が相当に低い条件下であっても、高い昇温機能を発揮する。すなわちポスト噴射には、その活用機会が広い運転領域に及ぶといった優位性がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、排気中への還元成分の供給を通じた排気昇温制御では、例えば還元成分の供給量について同一条件を設定したとしても、当該制御の実施によって得られる排気(排気浄化用触媒)の昇温効果が機関の運転条件によって大きくばらつく。このため、ポスト噴射を適用して排気温度制御を行う場合であれ、燃料添加を適用して排気温度制御を行う場合であれ、変動する運転条件に応じて排気(排気浄化用触媒)の温度を緻密に制御することは困難であった。
【0008】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、機関運転条件の変動等に影響されることなく、排気浄化触媒の温度を最適値に保持する上で、安定性の高い緻密な制御を行うことのできる内燃機関の制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、第1の発明は、内燃機関の燃焼室内に燃料を直接噴射供給する燃料噴射手段と、当該機関の排気系に設けられ、排気中の有害成分を浄化する排気浄化用触媒と、前記排気系内の温度を検出する温度検出手段と、主たる燃料噴射に後続する副噴射を前記燃料噴射手段に実行させる制御手段と、当該機関の排気系に設けられ、前記排気浄化用触媒上流に還元剤を供給する還元剤供給手段と、前記排気系内の温度に基づいて前記還元剤供給の供給パターンを制御する第2の制御手段と、前記検出される温度が所定の目標温度に近づくように、前記副噴射の噴射パターン又は前記還元剤供給の供給パターンを補正する補正手段と、前記副噴射のみが実施されている際に前記噴射パターンの補正量を当該機関の運転条件に対応する第1の学習値として更新及び記憶し、前記第1の学習値を前記副噴射の噴射パターンに反映させる第1の学習制御手段と、前記還元剤供給のみが実施されている際に前記供給パターンの補正量を当該機関の運転条件に対応する第2の学習値として更新及び記憶し、前記第2の学習値を前記還元剤供給の供給パターンに反映させる第2の学習制御手段と、前記副噴射と前記還元剤供給とが併せ実行されている際に、前記第1の学習値について更新及び記憶を行わずに既存の第1の学習値を前記副噴射の噴射パターンに反映させ、前記第2の学習値について更新及び記憶を行うとともに更新及び記憶された前記第2の学習値として更新及び記憶し、前記第2の学習値を前記還元剤供給の供給パターンに反映させる第3の学習制御手段と、を備えることを要旨とする。
【0010】
ここで、噴射パターンとは、前記副噴射の実施を通じて供給される燃料の噴射供給量やその噴射タイミング等、当該副噴射の実施に伴い時間軸上に現れ、且つ、定量的に把握することのできる各種パラメータを広く意味する。
【0011】
また、前記温度検出手段は、前記排気系における前記排気浄化触媒の下流部位の温度を検出するものであってもよいし、前記排気浄化触媒の上流部位の温度を検出するものであってもよい。また、前記排気浄化触媒の上流部位の温度と下流部位の温度との平均的な値を検出するものであってもよい。さらに、前記排気系内に設けられる前記排気浄化用触媒の温度を検出するものであってもよい。
【0012】
同構成によれば、副噴射を通じて供給される燃料量の補正量を当該機関の運転条件に対応する学習値として逐次記憶されることになり、副噴射の実施によって得られる排気浄化用触媒の昇温効果が、当該機関の運転条件の変動や、各種部材の経時変化に関わらず安定するようになり、排気や排気浄化用触媒の温度を最適値に保持する上で、精度の高い制御を行うことができるようになる。
【0013】
また、前記補正手段は、前記検出される温度と前記所定の目標温度とのずれ量を演算する第1の演算手段と、前記演算されたずれ量に基づいて前記噴射パターンの補正量を演算する第2の演算手段と、を有するのがよい。
【0014】
同構成によれば、前記検出される温度と前記所定の目標温度とのずれが是正されるように逐次補正が行われ、排気系内の温度、特に前記排気浄化用触媒の温度が最適値(目標となる温度)に収束する挙動を繰り返すようになる。すなわち、排気系内の温度、特に排気浄化用触媒の温度が、常時安定して最適値の近傍に保持されるようになる。
【0016】
ここで、供給パターンとは、前記還元剤供給の実施を通じて供給される還元剤の供給量やその供給タイミング等、当該還元剤供給の実施に伴い時間軸上に現れ、且つ、定量的に把握することのできる各種パラメータを広く意味する。
【0017】
同構成によれば、とくに副噴射と還元剤供給とを併せて実施する場合、副噴射によって得られる比較的再現性の高い昇温効果を反映した学習値(噴射パターン)を優先的に算出し、その学習値を加味して、還元剤供給のみによって得られる昇温効果を正確に反映した学習値(供給パターン)を算出することができるようになる。したがって、排気や排気浄化用触媒の温度を目標値に保持する制御を行う上で、当該制御の緻密性や信頼性が高まる。
【0018】
また、前記噴射パターンの補正量が所定範囲を越えた場合、前記燃料噴射手段に異常が発生している旨の判定を行う異常判定手段をさらに備えるのが好ましい。
【0019】
前記副噴射を通じて行われる制御の緻密性に起因し、前記燃料噴射手段に動作異常が発生すれば、その異常は前記噴射パターンの補正量の増大として如実に現れるようになる。同構成によれば、前記燃料噴射手段の動作異常に対する検出精度が向上する。
【0020】
第2の発明は、内燃機関の燃焼室内に燃料を直接噴射供給する燃料噴射手段と、当該機関の排気系に設けられ、排気中の有害成分を浄化する排気浄化用触媒と、前記排気系内の温度を検出する温度検出手段と、主たる燃料噴射に後続する副噴射を前記燃料噴射手段に実行させる制御手段と、当該機関の排気系に設けられ、前記排気浄化用触媒上流に還元剤を供給する還元剤供給手段と、前記排気系内の温度に基づいて前記還元剤供給の供給パターンを制御する第2の制御手段と、前記副噴射のみが実施されている際に前記副噴射を実施することによって得られる昇温効果に関する情報を当該機関の運転条件に対応する学習値として記憶し、前記副噴射と前記還元剤供給とが併せ実行されている場合に、前記学習値を前記還元剤供給の供給パターンに反映させる学習手段と、を備えることを要旨とする。
【0021】
同構成によれば、とくに副噴射と還元剤供給とを併せて実施する場合、副噴射によって得られる比較的再現性の高い昇温効果を反映した情報(前記温度検出手段が検出する温度)を加味し、還元剤供給のみによって得られる昇温効果を正確に反映した学習値(供給パターン)を算出することができるようになる。したがって、排気や排気浄化用触媒の温度を目標値に保持する制御を行う上で、当該制御の緻密性や信頼性が高まる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる内燃機関の排気浄化装置を、ディーゼルエンジンシステムに適用した一実施の形態について説明する。
【0023】
〔エンジンシステムの構造及び機能〕
図1において、内燃機関(以下、エンジンという)1は、燃料供給系10、燃焼室20、吸気系30及び排気系40等を主要部として構成される直列4気筒のディーゼルエンジンシステムである。
【0024】
先ず、燃料供給系10は、サプライポンプ11、コモンレール12、燃料噴射弁13、遮断弁14、調量弁16、燃料添加弁17、機関燃料通路P1及び添加燃料通路P2等を備えて構成される。
【0025】
サプライポンプ11は、燃料タンク(図示略)から汲み上げた燃料を高圧にし、機関燃料通路P1を介してコモンレール12に供給する。コモンレール12は、サプライポンプ11から供給された高圧燃料を所定圧力に保持(蓄圧)する蓄圧室としての機能を有し、この蓄圧した燃料を各燃料噴射弁13に分配する。燃料噴射弁13は、その内部に電磁ソレノイド(図示略)を備えた電磁弁であり、適宜開弁して燃焼室20内に燃料を噴射供給する。
【0026】
他方、サプライポンプ11は、燃料タンクから汲み上げた燃料の一部を添加燃料通路P2を介して燃料添加弁17に供給する。添加燃料通路P2には、サプライポンプ11から燃料添加弁17に向かって遮断弁14及び調量弁16が順次配設されている。遮断弁14は、緊急時において添加燃料通路P2を遮断し、燃料供給を停止する。調量弁16は、燃料添加弁17に供給する燃料の圧力(燃圧)PGを制御する。燃料添加弁17は、燃料噴射弁13と同じくその内部に電磁ソレノイド(図示略)を備えた電磁弁であり、還元剤として機能する燃料を、適宜の量、適宜のタイミングで排気系40の触媒ケーシング42上流に添加供給する。
【0027】
吸気系30は、各燃焼室20内に供給される吸入空気の通路(吸気通路)を形成する。一方、排気系40は、各燃焼室20から排出される排気ガスの通路(排気通路)を形成する。
【0028】
また、このエンジン1には、周知の過給機(ターボチャージャ)50が設けられている。ターボチャージャ50は、シャフト51を介して連結された回転体52,53を備える。一方の回転体(タービンホイール)52は排気系40内の排気に晒され、他方の回転体(コンプレッサホイール)53は、吸気系30内の吸気に晒される。このような構成を有するターボチャージャ50は、タービンホイール52が受ける排気流(排気圧)を利用してコンプレッサホイール53を回転させ、吸気圧を高めるといったいわゆる過給を行う。
【0029】
吸気系30において、ターボチャージャ50に設けられたインタークーラ31は、過給によって昇温した吸入空気を強制冷却する。インタークーラ31よりもさらに下流に設けられたスロットル弁32は、その開度を無段階に調節することのできる電子制御式の開閉弁であり、所定の条件下において吸入空気の流路面積を変更し、同吸入空気の供給量(流量)を調整する機能を有する。
【0030】
また、エンジン1には、吸気系30と排気系40とを連通する排気還流通路(EGR通路)60が形成されている。このEGR通路60は、排気の一部を適宜吸気系30に戻す機能を有する。EGR通路60には、電子制御によって無段階に開閉され、同通路を流れる排気(EGRガス)の流量を自在に調整することができるEGR弁61と、EGR通路60を通過(還流)する排気を冷却するためのEGRクーラ62が設けられている。
【0031】
また、排気系40において、同排気系40及びEGR通路60の連絡部位の下流には、吸蔵還元型NOx触媒及びパティキュレートフィルタを収容した触媒ケーシング42が設けられている。
【0032】
また、エンジン1の各部位には、各種センサが取り付けられており、当該部位の環境条件や、エンジン1の運転状態に関する信号を出力する。
【0033】
すなわち、レール圧センサ70は、コモンレール12内に蓄えられている燃料の圧力に応じた検出信号を出力する。燃圧センサ71は、添加燃料通路P2内を流通する燃料のうち、調量弁16を介して燃料添加弁17に導入される燃料の圧力(燃圧)PGに応じた検出信号を出力する。エアフロメータ72は、吸気系30内のコンプレッサホイール53上流において吸入空気の流量(吸気量)GAに応じた検出信号を出力する。空燃比(A/F)センサ73は、排気系40の触媒ケーシング42下流において排気中の酸素濃度に応じて連続的に変化する検出信号を出力する。第1排気温度センサ74aは、排気系40において触媒ケーシング42内の所定部位(後述するNOx触媒42aとパティキュレートフィルタ42bとの間)に取り付けられ、当該部位における排気温度(フィルタ入りガス温度)に応じた検出信号を出力する。また、第2排気温度センサ74bは、排気系40において触媒ケーシング42下流において、排気温度に応じた検出信号を出力する。NOxセンサ75は、同じく排気系40の触媒ケーシング42下流において排気中のNOx濃度に応じて連続的に変化する検出信号を出力する。
【0034】
また、アクセルポジションセンサ76はアクセルペダル(図示略)に取り付けられ、同ペダルの踏み込み量ACCに応じた検出信号を出力する。クランク角センサ77は、エンジン1の出力軸(クランクシャフト)が一定角度回転する毎に検出信号(パルス)を出力する。これら各センサ70〜77は、電子制御装置(ECU)80と電気的に接続されている。
【0035】
ECU80は、中央処理装置(CPU)81、読み出し専用メモリ(ROM)82、ランダムアクセスメモリ(RAM)83及びバックアップRAM84、タイマーカウンタ85等を備え、これら各部81〜85と、A/D変換器を含む外部入力回路86と、外部出力回路87とが双方向性バス88により接続されて構成される論理演算回路を備える。
【0036】
このように構成されたECU80は、上記各種センサの検出信号を外部入力回路を介して入力し、これら信号に基づき燃料噴射弁13の開閉弁動作に関する制御や、EGR弁61の開度調整、或いはスロットル弁32の開度調整等、エンジン1の運転状態に関する各種制御を実施する。
【0037】
〔触媒ケーシングの構造及び機能〕
次に、以上説明したエンジン1の構成要素のうち、排気系40に設けられた触媒ケーシング42について、その構造及び機能を詳しく説明する。
【0038】
触媒ケーシング42の内部には、アルミナ(Al23)を主成分とするストレートフロー型のハニカム構造体42aと、多孔質材料を主成分とするウォールフロー型のパティキュレートフィルタ(以下、単にフィルタという)42bとが所定の間隔をあけて直列に配置されている。
【0039】
ハニカム構造体42aを形成する複数の通路には、例えばアルミナからなる担体の層が形成されており、その担体層の表面にNOx吸蔵剤として機能する例えばカリウム(K)、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、セシウムCsのようなアルカリ金属、バリウムBa、カルシウムCaのようなアルカリ土類、ランタン(La)、或いはイットリウム(Y)のような希土類と、酸化触媒(貴金属触媒)として機能する例えば白金Ptのような貴金属とが担持されている。なお、担体(ここではアルミナからなる担体層が形成されたハニカム構造体)上に混在するよう担持されたこれらNOx吸蔵剤及び貴金属触媒は、併せてNOx触媒(吸蔵還元型NOx触媒)を構成する。
【0040】
NOx吸蔵剤は、排気中の酸素濃度が高い状態ではNOxを吸蔵し、排気中の酸素濃度が低い状態(還元成分の濃度が高い状態)ではNOxを放出する特性を有する。また、排気中にNOxが放出されたとき、排気中にHCやCO等が存在していれば、貴金属触媒がこれらHCやCOの酸化反応を促すことで、NOxを酸化成分、HCやCOを還元成分とする酸化還元反応が両者間で起こる。すなわち、HCやCOはCO2やH2Oに酸化され、NOxはN2に還元される。
【0041】
一方、NOx吸蔵剤は排気中の酸素濃度が高い状態にあるときでも所定の限界量のNOxを吸蔵すると、それ以上NOxを吸蔵しなくなる。エンジン1では、ポスト噴射や燃料添加を通じて排気通路の触媒ケーシング42上流に断続的に還元成分が供給され、排気中の還元成分の濃度が高まる。NOx触媒(NOx吸蔵剤)のNOx吸蔵量が限界量に達する前に、フィルタ42bこの還元成分がNOx触媒に吸蔵されたNOxを周期的に放出および還元浄化することになり、NOx吸蔵剤のNOx吸蔵能力を回復させることになる。
【0042】
一方、フィルタ42bを形成する多孔質材料は、例えばコージライト等のセラミック材料にアルミナ、チタニア、ジルコニア若しくはゼオライト等のコート材をウォッシュコートしたものであり、排気を透過する性質を有する。また、フィルタ42bは、互いに平行をなして延びる上流端が開放され下流端が閉ざされた排気流入通路と、上流端が閉ざされ下流端が開放された排気流出通路とを備えるいわゆるウォールフロー型である。そして、両排気通路間に位置する隔壁の表面及び内部に形成された細孔内に、表面に上記NOx吸蔵剤と貴金属触媒とを担持するアルミナ等のコート層(担体層)が形成されている。
【0043】
このような構造を有するフィルタ42bは、排気中に含まれる煤等の微粒子やNOx等の有害成分を、以下のメカニズムに基づいて浄化する。
【0044】
NOx吸蔵剤が、貴金属触媒との協働により、排気中の酸素濃度や還元成分量に応じてNOxの吸蔵、放出及び浄化を繰り返し行うことは上述した通りである。その一方、NOx吸蔵剤は、このようなNOxの浄化を行う過程で、副次的に活性酸素を生成する特性を有する。フィルタ42bを排気が透過過する際、その排気中に含まれる煤等の微粒子は構造体(多孔質材料)に捕捉される。ここで、NOx吸蔵剤の生成する活性酸素は、酸化剤として極めて高い反応性(活性)を有しているため、捕捉された微粒子のうちNOx触媒の表面や近傍に堆積した微粒子は、この活性酸素と(輝炎を発することなく)速やかに反応し、浄化されることになる。
【0045】
また、触媒ケーシング42内の上流側に配置されたハニカム構造体42a(同構造体に担持されたNOx触媒)から発生する反応熱は、下流側に配置されたフィルタ42bを効率的に昇温し、当該フィルタ42bによる微粒子の分解作用を高めることになる。
【0046】
〔燃料噴射制御の概要〕
ECU80は、各種センサの検出信号から把握されるエンジン1の運転条件に基づき燃料噴射制御を実施する。本実施の形態において燃料噴射制御とは、各燃料噴射弁13を通じた各燃焼室20内への燃料噴射の実施に関し、燃料の噴射量Q、噴射タイミング、噴射パターンといったパラメータを設定し、これら設定されたパラメータに基づいて個々の燃料噴射弁13の開閉弁操作を実行する一連の処理をいう。
【0047】
ECU80は、このような一連の処理を、エンジン1の運転中所定時間毎に繰り返し行う。燃料の噴射量Q及び噴射タイミングは、基本的にはアクセルペダルの踏み込み量ACCおよびエンジン回転数NE(クランク角センサのパルス信号に基づいて演算することができるパラメータ)に基づき、予め設定されたマップ(図示略)を参照して決定する。
【0048】
また、燃料の噴射パターンの設定に関し、ECU80は、圧縮上死点近傍での燃料噴射を主噴射として各気筒について行うことで機関出力を得る他、主噴射に先立つ燃料噴射(以下、パイロット噴射という)や、主噴射に後続する燃料噴射(以下、ポスト噴射という)を、副噴射として適宜選択された時期、選択された気筒について行う。
【0049】
〔パイロット噴射〕
ディーゼルエンジンでは一般に、圧縮行程終期において、燃焼室内が燃料の自己着火を誘発する温度に達する。とくにエンジンの運転条件が中高負荷領域にある場合、燃焼に供される燃料が燃焼室内に一括して噴射供給されると、この燃料は騒音を伴い爆発的に燃焼する。パイロット噴射を実行することにより、主噴射に先立って供給された燃料が熱源(或いは種火)となり、その熱源が燃焼室内で徐々に拡大して燃焼に至るようになるため、燃焼室内における燃料の燃焼状態が比較的緩慢となり、しかも着火遅れ時間が短縮されるようになる。このため、機関運転に伴う騒音が軽減され、さらには排気中のNOx量も低減される。
【0050】
〔ポスト噴射〕
ポスト噴射によって燃焼室20内に供給される燃料は、燃焼ガス中で軽質なHCに改質され、排気系40に排出される。すなわち、還元剤として機能する軽質なHCが、ポスト噴射を通じて排気系40に添加され、排気中の還元成分濃度を高めることとなる。排気系40に添加された還元成分は、触媒ケーシング42内のNOx触媒を介し、同NOx触媒から放出されるNOxや、排気中に含まれるその他の酸化成分と反応する。このとき発生する反応熱は、排気やNOx触媒の温度を上昇させる。ポスト噴射では、燃焼室内へ直接燃料を噴射供給し、しかもその燃料を機関燃焼に関与させないといった条件が要求される。このため、一度に供給できる燃料量には制約があり、所定の昇温効果を得るためには、通常、各燃料噴射弁13を通じて複数回連続実施する必要がある。しかし、燃焼ガス中で軽質化された燃料は、反応性も高く、例えばアイドル時のように排気の温度が相当に低い条件下であっても、排気やNOx触媒に対して高い昇温機能を発揮する。すなわち、その活用機会は広い運転領域に及ぶ。
【0051】
〔燃料添加〕
燃料添加弁17を通じ、噴霧状態の燃料(還元剤)を排気系40に直接添加することによっても、ポスト噴射と同様、排気中の還元成分濃度を高め、結果として排気やNOx触媒の温度を上昇させることができる。燃料添加弁17によって添加された燃料は、ポスト噴射によるものに比べ、排気中においてより高分子の状態を保持しつつ不均一に分布する傾向がある。また、燃料添加弁17による燃料添加では、一度に添加することのできる燃料量や添加タイミングの自由度が、ポスト噴射による場合よりも大きい。しかし、燃料添加を通じて供給される噴霧状態の燃料は、排気が予めある程度暖まっていなければ、排気通路の内壁に付着して効率的な昇温機能を発揮することができない。このため、その活用機会は専ら中高負荷領域に限られる。
【0052】
〔PM再生制御〕
また、エンジン1の機関運転の継続に伴って徐々にフィルタ42bに堆積する粒状物や、同じくエンジン1の機関運転の継続に伴って徐々にニカム構造体42aやフィルタ42bに堆積するSOx等を除去するために、これら粒状物等を熱分解することができる程度にまでNOx触媒を昇温する制御(PM再生制御)を、所定周期で実施する。PM再生制御では、上記ポスト噴射および燃料添加の何れか、或いは両者を、比較的長期に亘り連続的に実施する。
【0053】
〔ポスト噴射と燃料添加の関係〕
上記ポスト噴射および燃料添加は、排気中の還元成分量を増大させることにより排気の温度やNOx触媒の床温を上昇させるように作用する点で共通する。従って、何れかの制御を所定のインターバルで繰り返す実施することにより、NOx触媒の温度を最適温度範囲(同触媒を活性状態に保つことのできる温度範囲)に保持することが可能である。以下、ポスト噴射や燃料添加を含め、排気中に還元成分を供給することによって排気や排気浄化用触媒(例えばNOx触媒)の温度を上昇させ、最適温度範囲に保持する制御態様のことを、単に昇温制御という。
【0054】
ここで、昇温制御の実施によって得られる排気やNOx触媒の昇温効果は、基本的には、排気中に供給される還元成分の供給パターン(例えば供給量や供給タイミング等)と、当該制御が実施される際のエンジン1の運転条件(例えばエンジン回転数や発生トルク等)とによって決定づけられ、さらに燃料噴射弁13、燃料添加弁17の駆動状態、或いはNOx触媒の性状等々、経時的な変化を伴う各種パラメータによっても影響を受ける。
【0055】
また、概ね同様の効果が期待される昇温制御であっても、ポスト噴射と燃料添加とでは、適用可能な運転条件の制約や、一度に供給し得る還元成分量の制約が相互に異なる。
【0056】
本実施の形態にかかるエンジン1では、当該エンジン1の運転条件や、NOx触媒の温度を最適値に制御するために要求される還元成分の供給量に応じ、ポスト噴射及び燃料添加のうち何れか一方を選択し、或いは両者を協働させることによって排気(NOx触媒)の昇温を行う。
【0057】
また、ポスト噴射若しくは燃料添加を通じて排気中に供給される還元成分の供給パターンについて、個々の制御に基づいて得られる実際の効果と目標となる効果とを逐次定量的に比較し、その比較結果に基づいて供給パターンの補正量を演算する。さらに、こうして取得された補正量を、当該制御実施時におけるエンジン1の運転条件に対応する学習値として記憶する。
【0058】
このような昇温効果に基づく供給パターンのフィードバック制御や、当該フィードバック制御によって得られたフィードバック補正量を学習する制御(以下、昇温効果の学習制御という)を行うことにより、排気の温度やNOx触媒の温度を目標値(最適値)に保持する制御を実施する上で、エンジン1の運転条件の変動や、各種構成部材の経時変化を緻密に反映させる。
【0059】
〔ポスト噴射による昇温効果学習の具体的な実行手順〕
以下、ポスト噴射による昇温効果の学習制御に関し、ECU80による具体的な実行手順を説明する。
【0060】
図2は、ECU80を通じて所定時間毎に実行される「ポスト噴射学習制御ルーチン」を示すフローチャートである。
【0061】
本ルーチンに処理が移行すると、ECU80は先ずステップS101において、ポスト噴射の学習条件が成立しているか否かを判断する。ポスト噴射の学習条件は、少なくとも以下の項目(1),(2)を含む。
(1)燃料添加を実施しておらず、且つ、燃料添加の実施直後でもない。(燃料添加の実施に伴って供給された燃料は、比較的長期に亘って排気系内のNOx触媒上流や、NOx触媒の表面に留まり、排気やNOx触媒の温度に無視できない影響を及ぼすためである。)
(2)PM再生制御の実施後の経過時間が所定時間を越えていない。(PM再生制御を実施することでNOx触媒に堆積した微粒子等が一掃される。このため、PM再生制御の実施後、所定時間内にポスト噴射を行えば、排気やNOx触媒を昇温させ得る他の要因を排除した上で、ポスト噴射のみによる昇温効果を正確に評価することができる。)
ECU80は、上記項目(1),(2)の何れもが現在の状況に該当する場合に限り、続くステップS102に移行する。また、上記項目(1),(2)のうち何れか一方でも現在の状況と異なる場合、ECU80は本ルーチンを一旦抜ける。
【0062】
ステップS102においては、ポスト噴射を通じて排気(NOx触媒)の昇温を行う要求があるが否かを判断する。同ステップS102における判断が肯定であるということは、現在、別途ルーチンを通じてポスト噴射が実施されていることを意味する。同ステップS102における判断が肯定である場合、ECU80は処理をステップS103に移行し、その判断が否定である場合、本ルーチンを一旦抜ける。
【0063】
ステップS103においては、排気温度の実測値(以下、実測排気温という)の読み込みを行う。実測排気温は、第1排気温度センサ74aの検出信号に基づいて把握してもよいし、第2排気温度センサ74bの検出信号に基づいて把握してもよい。第1排気温度センサ74aの検出信号に基づいて把握される実測排気温は、ハニカム構造体42a上のNOx触媒に対する昇温効果を反映する。また、第2排気温度センサ74bの検出信号に基づいて把握される実測排気温は、ハニカム構造体42a上のNOx触媒に対する昇温効果と、フィルタ42b上のNOx触媒に対する昇温効果とを反映する。
【0064】
続くステップS104においては、実測排気温と目標温度とのずれ量に基づき、ポスト噴射によって各燃焼室20内に噴射供給される燃料量(ポスト噴射量)を増量若しくは減量するための補正量(フィードバック補正量)を算出(演算)する。例えば、実測排気温が目標温度を下回っている場合、次回以降のポスト噴射の実施で採用されるポスト噴射量は増量補正されることになり、実測排気温が目標温度を上回っている場合、次回以降のポスト噴射の実施で採用される噴射量は減量補正されることになる。
【0065】
ステップS105においては、上記ステップS104で算出された補正量が、予め設定された数値範囲内にあるか否かを判断する。そしてECU80は、その判断が肯定であれば処理をステップS106に移行し、その判断が否定であれば処理をステップS107に移行する。
【0066】
ステップS106においては、上記ステップS104で算出した補正量を採用し、次回以降のポスト噴射で採用されるポスト噴射量を補正(修正)する。
【0067】
一方、ステップS107においては、燃料噴射弁13やEGR弁61等の駆動装置、或いは第1排気温度センサ74aや第2排気温度センサ74b等のセンサ類の何れかに異常が発生しているとの判定を行い、例えば警告灯(図示略)の点灯させることにより、その旨をエンジン1の運転者に知らせる。
【0068】
なお、ステップS106での処理を経た後、ECU80は、今回算出した補正量を現在の運転条件に対応する学習値として記憶する(ステップS108)。
【0069】
図3には、同ステップS108において更新される学習値の収容領域として、エンジン1の運転条件に対応する各運転領域が、燃料噴射量Qとエンジン回転数NEとの関係からどのように区画されているかその一例を示す。
【0070】
同図3に示すように、マップ上において昇温制御の実行領域が、エンジン回転数(NE)と燃料噴射量(Q)との関係から領域A,B,C,D,E,F,G,H,Iに区画されている。例えば、現在のエンジン1の運転条件が領域Dに該当するものと仮定すれば、今回算出された補正量は、領域Dに対応する学習値として更新・記憶されることになる。なお、ポスト噴射量の変更は、エンジン1の出力に少なからず影響を及ぼすため、この補正量の増減に併せて主噴射やパイロット噴射にかかる燃料噴射量や燃料噴射タイミングの修正を行うのが好ましい。
【0071】
上記ステップS107及びステップS108の何れかにおける処理を経た後、ECU80は本ルーチンを一旦抜ける。
【0072】
このような制御構造に基づき、ポスト噴射を通じて供給する燃料量を補正し、さらにこの補正量をエンジン1の運転条件に対応する学習値として逐次更新・記憶すれば、ポスト噴射の実施によって得られる排気やNOx触媒の昇温効果が、エンジン1の運転条件の変動や、各種部材の経時変化に関わらず安定するようになり、排気やNOx触媒の温度を最適値に保持する上で、精度の高い制御を行うことができるようになる。
【0073】
なお、ECU80は、上記「ポスト噴射学習制御ルーチン」と略同様の制御ロジックに基づき、燃料添加弁17を通じて排気系40に添加供給される燃料量(添加燃料量)を増量若しくは減量するための補正量(フィードバック補正量)を算出する。ただし、上述したように、ポスト噴射と燃料添加とでは、適用可能な運転条件の制約や、一度に供給し得る還元成分量の制約が相互に異なるため、燃料添加の学習条件が成立しているか否かについての判断基準(ステップS101参照)や、燃料添加による排気昇温の要求があるか否かについての判断基準(ステップS102参照)が、ポスト噴射に関するものとは異なる。
【0074】
例えば先の図3に示したマップに照らし、ポスト噴射及び燃料添加の実施条件を以下のように設定したとする。
(a)エンジン1の運転条件が領域Gにある場合、ポスト噴射の実施は許可するが燃料添加の実施は禁止する。
【0075】
(b)エンジン1の運転条件が領域A,B,D,E,H,Iの何れかにある場合、ポスト噴射及び燃料添加の何れの実施も許可する。
【0076】
(c)エンジン1の運転条件が領域Cにある場合、燃料添加の実施は許可するがポスト噴射の実施は禁止する。
すると、上記項目(a)の条件が成立している場合には、ポスト噴射の実施は許可されるが、燃料添加の実施が禁止されるため、ポスト噴射による排気昇温の要求が生じることはあっても、燃料添加による排気昇温の要求は生じない(図2のステップS102参照)。逆に、上記項目(c)の条件が成立している場合には、ポスト噴射の実施は許可されるが、燃料添加の実施が禁止されるため、燃料添加による排気昇温の要求が生じることはあっても、ポスト噴射による排気昇温の要求は生じないことになる。
【0077】
ここで、上記項目(b)の条件が成立している場合、ポスト噴射及び燃料添加の何れか一方が選択的に、若しくは、両者が同時に実施される状況が想定される。このうち、ポスト噴射及び燃料添加の何れか一方が選択的に実施されているような条件下では、各々の昇温制御に基づく還元成分の供給パターン(本実施の形態では供給量)の補正量を、個別に更新及び学習すればよい。また、両者が同時に実施されるような条件下では、ポスト噴射に基づく還元成分の供給量(ポスト噴射量)の補正量については更新や学習を行わず(固定したまま)、燃料添加に基づく還元成分の供給量(添加燃料量)の補正量を更新及び学習する。
【0078】
図4は、ポスト噴射が単独で実施されている場合(図4(a))、ポスト噴射及び燃料添加が同時に実施されている場合(図4(b))、燃料添加が単独で実施されている場合(図4(c))における排気温度(例えば第1排気温度センサの検出信号に基づいて把握される排気温度)の推移を個別に示すタイムチャートの例である。なお、各図4(a),(b),(c)に示す横軸は、必ずしも同一時間軸に相当するものではない。
【0079】
先ず、図4(a)においては、時刻t0以降、ポスト噴射が単独で、且つ、継続的に実施されている。ここで、仮想線BSL1は排気温度の目標値に相当する。このような場合、時刻t0以降の時間帯において、ポスト燃料量の補正量は逐次学習される。
【0080】
次に、図4(b)において、時刻t1以前にはポスト噴射が単独で実施され、時刻t1〜時刻t2の期間や時刻t3〜t4の期間には、ポスト噴射と燃料添加とが同時に実施されている。ここで、仮想線BSL1′は、ポスト噴射が単独で行われている期間における排気温度の目標値に相当する。また、仮想線BSL2は、ポスト噴射と燃料添加とが同時に行われている期間における排気温度の目標値に相当する。このような場合、時刻t1以前には、ポスト噴射量の補正量が逐次学習されることになる。時刻t1〜時刻t2の期間や、時刻t3〜t4の期間には、ポスト燃料量の補正量は学習されず(時刻t1以前に学習された値が採用される)、添加燃料量の補正量のみが学習される。
【0081】
また、図4(c)においては、時刻t11〜時刻t12の期間や時刻t13〜t14の期間に、燃料添加が単独で実施されている。ここで、仮想線BSL2′は排気温度の目標値に相当する。このような場合、時刻t11〜時刻t12の期間や時刻t13〜t14の期間、添加燃料量の補正量が逐次学習されることになる。
【0082】
このように本実施の形態では、排気やNOx触媒の温度を最適値に制御する上で、エンジン1の運転条件や目的となる温度にあわせてポスト噴射や燃料添加を選択的に実施すること、或いは両者を併せて実施する。また、ポスト噴射量及び添加燃料量の各々について、各運転条件に対応して最適な昇温効果を得ることのできる数値(学習値)を第1排気温度センサ74a若しくは第2排気温度センサ74bの検出信号をフィードバックすることにより算出し、記憶(学習)する。このような制御構造を適用することにより、エンジン1の運転条件の変動や各種部材の経時変化等に影響されることなく効率的な昇温効果を得ることができるようになる。
【0083】
さらに、ポスト噴射と燃料添加とを同時に実施する場合には、ポスト噴射によって得られる昇温効果を正確に評価した上で、燃料添加を実施する(添加燃料量のフィードバック制御と当該制御に伴う補正量の学習とを行う)。ポスト噴射に基づく昇温効果は、比較的変動が小さく、エンジン1の運転条件に対応する数値情報として活用する上で再現性が高い一方、燃料添加に基づく昇温効果は、大きな温度変動として断続的に発生する。このため、燃料添加の実施中にポスト噴射量の学習を行うことは、当該学習の精度を著しく低下させる。この点本実施の形態によるように、ポスト噴射量の学習値を優先的に求め、この学習値を固定値として採用しポスト噴射を実施しながら、燃料添加を併せて実施し、最適な昇温効果を得るべく添加燃料量の学習値を算出するといった処理手順に従うことで、ポスト噴射量及び添加燃料量の何れについても、最適な昇温効果を得るための学習値を、精度の高い数値情報として取得することができるようになる。この結果、ポスト噴射及び燃料添加を併せ適用した昇温制御(PM再生制御を含む)の実施に際し、当該制御の緻密性や信頼性が向上する。
【0084】
また、本実施の形態にかかるポスト噴射学習制御(昇温効果の学習制御)の緻密性に起因し、燃料噴射弁13に動作異常が発生すれば、その異常は噴射量の補正量の変動として如実に現れるようになる。このため上記ポスト噴射学習制御ルーチン(図2)の制御構造によるように、燃料噴射弁13の動作異常は、同ルーチンにおける異常判定の処理(ステップS107)を通じて確実に検出されるようになる。
【0085】
なお、本実施の形態では、ポスト噴射及び燃料添加を併せて実施する場合、先ず、ポスト噴射量の補正量を更新・学習することにより、ポスト噴射単独の昇温効果に基づき排気温度を仮想線BSL1′に合致させるような条件を確保した上で、燃料添加を併せ行うことによる昇温効果に基づき排気温度を仮想線BSL2に合致させるような制御を行うこととした。このような制御構造に限らず、例えば、ポスト噴射量の更新・学習を行う代わりに、ポスト噴射を実施することによって得られる昇温効果に関する情報(例えば、ポスト噴射の実施に基づく排気温度の上昇率や、ポスト噴射の実施中に観測される排気温度の平均値等)を記憶する。そして、そのような昇温効果に関する情報を、ポスト噴射と燃料添加とを併せて実施する際、添加燃料量の補正量として採用することとしても、本実施の形態に準ずる効果を奏することはできる。
【0086】
また、本実施の形態では、燃料添加の実施がされない状況を選択して、ポスト噴射量の学習を行う制御構造を適用したが、ポスト噴射量の学習を行うに際し、燃料添加の実施を積極的に禁止する制御構造を適用することとしてもよい。
【0087】
また、本実施の形態では、ポスト噴射に関する学習情報(噴射パターン)として燃料量を適用することとしたが、これに限らず噴射タイミング等を学習情報(噴射パターン)として適用することもできる。また、燃料添加に関する学習情報(供給パターン)として添加燃料量を適用することとしたが、これに限らず燃料添加弁から添加供給される噴霧の粒径等を学習情報(供給パターン)として適用することもできる。
【0088】
なお、燃料添加弁17は、排気系30における触媒ケーシング42上流であれば、上記実施の形態と異なる部位に取り付けても、本実施の形態と同等若しくはこれに準ずる効果を奏することができる。
【0089】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、副噴射を通じて供給される燃料量の補正量を当該機関の運転条件に対応する学習値として逐次記憶されることになり、副噴射の実施によって得られる排気浄化用触媒の昇温効果が、当該機関の運転条件の変動や、各種部材の経時変化に関わらず安定するようになり、排気や排気浄化用触媒の温度を最適値に保持する上で、精度の高い制御を行うことができるようになる。
【0090】
とくに副噴射と還元剤供給とを併せて実施する場合、副噴射によって得られる比較的再現性の高い昇温効果を反映した学習値(噴射パターン)を優先的に算出し、その学習値を加味して、還元剤供給のみによって得られる昇温効果を正確に反映した学習値(供給パターン)を算出することができるようになる。したがって、排気や排気浄化用触媒の温度を目標値に保持する制御を行う上で、当該制御の緻密性や信頼性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態にかかるディーゼルエンジンシステムを示す概略構成図。
【図2】 同実施の形態におけるポスト噴射学習制御手順を示すフローチャート。
【図3】 同実施の形態において、エンジンの運転条件に対応する学習値が記憶されるマップの一例。
【図4】 同実施の形態において、ポスト噴射が単独で実施されている場合や、ポスト噴射及び燃料添加が同時に実施されている場合等における排気温度の推移を個別に示すタイムチャート。
【符号の説明】
1 エンジン(内燃機関)
10 燃料供給系
11 サプライポンプ
12 コモンレール
13 燃料噴射弁
16 調量弁
17 燃料添加弁
20 燃焼室
30 吸気系
31 インタークーラ
32 スロットル弁
40 排気系
42 触媒ケーシング
50 ターボチャージャ
51 シャフト
52 タービンホイール
53 コンプレッサホイール
60 EGR通路
61 EGR弁
62 EGRクーラ
70 レール圧センサ
71 燃圧センサ
72 エアフロメータ
73 空燃比(A/F)センサ
74a 第1排気温度センサ
74b 第2排気温度センサ
75 NOxセンサ
76 アクセルポジションセンサ
77 クランク角センサ
80 電子制御装置(ECU)
P1 機関燃料通路
P2 添加燃料通路

Claims (4)

  1. 内燃機関の燃焼室内に燃料を直接噴射供給する燃料噴射手段と、
    当該機関の排気系に設けられ、排気中の有害成分を浄化する排気浄化用触媒と、
    前記排気系内の温度を検出する温度検出手段と、
    主たる燃料噴射に後続する副噴射を前記燃料噴射手段に実行させる制御手段と、
    当該機関の排気系に設けられ、前記排気浄化用触媒上流に還元剤を供給する還元剤供給手段と、
    前記排気系内の温度に基づいて前記還元剤供給の供給パターンを制御する第2の制御手段と、
    前記検出される温度が所定の目標温度に近づくように、前記副噴射の噴射パターン又は前記還元剤供給の供給パターンを補正する補正手段と、
    前記副噴射のみが実施されている際に前記噴射パターンの補正量を当該機関の運転条件に対応する第1の学習値として更新及び記憶し、前記第1の学習値を前記副噴射の噴射パターンに反映させる第1の学習制御手段と、
    前記還元剤供給のみが実施されている際に前記供給パターンの補正量を当該機関の運転条件に対応する第2の学習値として更新及び記憶し、前記第2の学習値を前記還元剤供給の供給パターンに反映させる第2の学習制御手段と、
    前記副噴射と前記還元剤供給とが併せ実行されている際に、前記第1の学習値について更新及び記憶を行わずに既存の第1の学習値を前記副噴射の噴射パターンに反映させ、前記第2の学習値について更新及び記憶を行うとともに更新及び記憶された前記第2の学習値を前記還元剤供給の供給パターンに反映させる第3の学習制御手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記補正手段は、前記検出される温度と前記所定の目標温度とのずれ量を演算する第1の演算手段と、
    前記演算されたずれ量に基づいて前記噴射パターンの補正量を演算する第2の演算手段と、
    を有することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記噴射パターンの補正量が所定範囲を越えた場合、前記燃料噴射手段に異常が発生している旨の判定を行う異常判定手段を備えることを特徴とする請求項1、2の何れかに記載
    の内燃機関の制御装置。
  4. 内燃機関の燃焼室内に燃料を直接噴射供給する燃料噴射手段と、
    当該機関の排気系に設けられ、排気中の有害成分を浄化する排気浄化用触媒と、
    前記排気系内の温度を検出する温度検出手段と、
    主たる燃料噴射に後続する副噴射を前記燃料噴射手段に実行させる制御手段と、
    当該機関の排気系に設けられ、前記排気浄化用触媒上流に還元剤を供給する還元剤供給手段と、
    前記排気系内の温度に基づいて前記還元剤供給の供給パターンを制御する第2の制御手段と、
    前記副噴射のみが実施されている際に前記副噴射を実施することによって得られる昇温効果に関する情報を当該機関の運転条件に対応する学習値として記憶し、前記副噴射と前記還元剤供給とが併せ実行されている場合に、前記学習値を前記還元剤供給の供給パターンに反映させる学習手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
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