JP3624812B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、希薄燃焼可能な内燃機関の排気系内であって、同排気系内に設けられた還元触媒上流に還元剤を供給し、排気中の有害成分の浄化を促す内燃機関の排気浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジンや希薄燃焼を行うガソリンエンジンでは、高い空燃比(リーン雰囲気)の混合気を燃焼に供して機関運転を行う運転領域が、全運転領域の大部分を占める。この種のエンジン(内燃機関)では一般に、酸素の存在下で窒素酸化物(NOx)を吸収するNOx吸収剤(触媒)がその排気系に備えられる。
【0003】
NOx触媒は排気中の酸素濃度が高い状態ではNOxを吸収し、排気中の酸素濃度が低い状態ではNOxを放出する特性を有する。ちなみに排気中に放出されたNOxは、排気中に炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)等の還元成分が存在していれば、それら還元成分と速やかに反応して窒素(N)に還元される。また、NOx触媒は、所定の限界量のNOxを吸収し、その状態を保持(吸蔵)している場合、排気中の酸素濃度が高い状態にあるときでもそれ以上NOxを吸収しなくなる。
【0004】
そこで、このようなNOx触媒を排気系に備えた内燃機関では、同NOx触媒のNOx吸蔵量が限界量に達する前に、排気系内に還元剤を添加してNOx触媒に吸蔵されているNOxを放出および還元浄化し、NOx触媒のNOx吸収能力を回復させるといった制御を所定のインターバルで繰り返すのが一般的である。
【0005】
ところで、内燃機関の燃料には硫黄成分が含まれているのが通常であり、排気中にはNOxの他、このような燃料中の硫黄成分を起源とする硫黄酸化物(SOx)も存在する。排気中に存在するSOxは、NOxに比べてより高い効率でNOx触媒に吸収され、同触媒に吸蔵されているNOxを放出するために十分な条件、すなわち排気中の酸素濃度が所定値を下回る条件下にあっても、同触媒から容易には放出されない。このため、機関運転の継続に伴い、排気中のSOxが徐々にNOx触媒に堆積していく所謂SOx被毒が生じることとなる。すなわち、NOx触媒におけるSOxの堆積量(吸蔵量)が増加することにより、同触媒におけるNOxの吸収容量(吸収能力)が減少し、NOxの浄化率が低下してしまうのである。
【0006】
NOx触媒に堆積したSOxは、排気中の酸素濃度の低減(空燃比のリッチ化)と同触媒の昇温とを併せ行うことにより同触媒から放出させることができるので、NOx触媒におけるSOxの堆積量が所定量を上回ったところでそのようなSOxの放出処理を行えば、SOx被毒によるNOx触媒の機能低下を回避することができる。このようにNOx触媒に堆積したSOxを同触媒から放出させることを、SOx被毒回復という。
【0007】
ところで、上記SOx被毒回復の処理では、NOx触媒におけるSOxの堆積量を正確に把握することが、当該処理について適正な実行タイミングや処理内容(例えば処理時間等)を決定する上で不可欠である。
【0008】
例えば、特開平11−350946号公報に記載された装置では、前回のSOx被毒回復処理以降、内燃機関の消費した燃料量(積算量)に基づいてNOx触媒におけるSOxの堆積量を推定し、その推定量に基づいて今回のSOx被毒回復の処理を行うこととしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、同公報に記載された装置では、例えば、何らかの事情でSOx被毒回復の処理が中断された場合等、前回のSOx被毒回復の処理でNOx触媒に堆積した全てのSOxを放出することができなかった場合、NOx触媒におけるその後のSOxの堆積量が正確に推定されなくなる。当該処理が中断された直後のSOxの堆積量、言い換えると以降の堆積量を決定するための初期値が不明確になってしまうからである。
【0010】
このような条件下では、次回のSOx被毒回復の処理に際して排気空燃比に過度のリッチ化が生じたり、必要な時期に当該SOx被毒回復の処理が行われなかったりすることで、排気特性を悪化させてしまうこととなっていた。
【0011】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、内燃機関の排気系に設けられたNOxの還元触媒について、同触媒のSOx被毒回復を効率的に行い、排気特性の最適化を常時安定して図ることのできる内燃機関の排気浄化装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、内燃機関の排気系に設けられ、同排気系内を流れる排気中の空燃比が高いときにNOxを吸収し、該排気中の空燃比が低くなると吸収したNOxを放出及び還元する還元触媒と、昇温条件下において前記還元触媒に流入する排気中の空燃比を低下させる空燃比制御手段と、前記還元触媒下流における排気中の空燃比を検出する空燃比検出手段と、前記検出される空燃比の挙動であって、前記還元触媒に流入する排気中の空燃比の低下に伴う前記還元触媒からのNOxの放出に起因する挙動と、同じく前記検出される空燃比の挙動であって、前記還元触媒に流入する排気中の空燃比の低下に伴う前記還元触媒からのSOxの放出に起因する挙動との相違に基づいて、前記排気中の空燃比の低下に伴う前記還元触媒からのSOxの放出量を推定するSOx放出量推定手段とを有することを要旨とする。
【0013】
上記のような還元触媒にNOx及びSOxが混在する状態で吸蔵されているとき、昇温温度条件下で同還元触媒周辺の空燃比を低下させると、吸蔵されているNOx及びSOxが伴に放出されることとなるが、このとき、先ず、NOxの方が優先的に放出され、これに続いてSOxが放出されることとなる。また、NOx放出時とSOx放出時とでは、排気系の還元触媒下流で検出される空燃比の挙動が異なるため、この挙動の相違に基づいてSOxの放出が続く時間、更に各時点におけるSOx放出量(放出率)をも把握することができる。同構成によれば、これらSOxの放出時間と各時点におけるSOxの放出量とを併せ考慮することで、前記還元触媒からのSOxの放出処理を行うにあたり、放出の有無や放出量を含めて、その放出態様を定量的に認識することができるようになる。
【0014】
また、前記SOx放出量推定手段は、前記検出される空燃比であって、前記還元触媒からNOxが放出されているときの空燃比と、同じく前記検出される空燃比であって、前記還元触媒からSOxが放出されているときの空燃比との偏差を、前記還元触媒からSOxが放出される期間に亘って積算し、その積算量に基づいて前記排気中の空燃比の低下に伴う前記還元触媒からのSOxの放出量を推定するのがよい。
【0015】
前記還元触媒からNOxが放出されているときの空燃比と、前記還元触媒からSOxが放出されているときの空燃比との偏差は、各時点でのSOxの放出量と相関が高い。同構成によれば、この偏差に基づいて各時点でのSOxの放出量を推定することで、前記還元触媒からのSOxの放出態様の定量化をより正確に行うことができるようになる。
【0016】
また、当該内燃機関の運転状態の履歴に基づいて前記還元触媒に吸収されたSOxの量を推定するSOx吸収量推定手段と、前記推定されたSOxの吸収量と前記推定されたSOxの放出量とに基づいて、前記還元触媒に吸蔵されているSOxの量を推定するSOx吸蔵量推定手段とを有するのがよい。
【0017】
同構成によれば、前記還元触媒に対し吸収・放出を繰り返すSOxの収支を逐次定量的に把握することができるようになる。従って、現時点で同還元触媒に吸蔵されている(残されている)SOx触媒の量を正確に認識することができるようになる。
【0018】
また、前記内燃機関の運転状態は、当該内燃機関の消費した燃料量に関するのがよい。
【0019】
排気中に含まれるSOxは、燃料に含まれる硫黄成分をその起源とする。このため、同構成によれば、前記還元触媒に吸収されうる排気中のSOx量について、その履歴を正確に見積もることができるようになる。
【0020】
また、前記内燃機関の運転状態は更に、前記還元触媒を通過する排気中の空燃比に関するのがよい。
【0021】
当該排気中の空燃比は、排気中に含まれるSOxの還元触媒への吸収量(吸収され易さ)に影響を及ぼす。同構成によれば、排気中に含まれるSOxがどの程度の割合で前記還元触媒に吸収されるのか等を考慮することができるようになる。従って、前記還元触媒に対し吸収・放出を繰り返すSOxの収支を逐次定量的に把握する上で、その精度が一層向上するようになる。
【0022】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明にかかる内燃機関の排気浄化装置を、ディーゼルエンジンシステムに適用した第1の実施の形態について説明する。
【0023】
図1において、内燃機関(以下、エンジンという)1は、燃料供給系10、燃焼室20、吸気系30及び排気系40等を主要部として構成される直列4気筒のディーゼルエンジンシステムである。
【0024】
先ず、燃料供給系(還元剤供給装置)10は、サプライポンプ11、コモンレール12、燃料噴射弁13、遮断弁14、調量弁16、燃料添加ノズル17、機関燃料通路P1及び添加燃料通路P2等を備えて構成される。
【0025】
サプライポンプ11は、燃料タンク(図示略)から汲み上げた燃料を高圧にし、機関燃料通路P1を介してコモンレール12に供給する。コモンレール12は、サプライポンプ11から供給された高圧燃料を所定圧力に保持(蓄圧)する蓄圧室としての機能を有し、この蓄圧した燃料を各燃料噴射弁13に分配する。燃料噴射弁13は、その内部に電磁ソレノイド(図示略)を備えた電磁弁であり、適宜開弁して燃焼室20内に燃料を噴射供給する。
【0026】
他方、サプライポンプ11は、燃料タンクから汲み上げた燃料の一部を添加燃料通路P2を介して燃料添加ノズル17に供給する。添加燃料通路P2には、サプライポンプ11から燃料添加ノズル17に向かって遮断弁14及び調量弁16が順次配設されている。遮断弁14は、緊急時において添加燃料通路P2を遮断し、燃料供給を停止する。調量弁16は、燃料添加ノズル17に供給する燃料の圧力(燃圧)を制御する。燃料添加ノズル17は所定圧以上の燃圧(例えば0.2MPa)が付与されると開弁し、排気系40内に燃料を噴射供給する機械式の開閉弁である。すなわち調量弁16により燃料添加ノズル17上流の燃圧が制御されることにより、所望の燃料が適宜のタイミングで燃料添加ノズル17より噴射供給(添加)される。
【0027】
吸気系30は、各燃焼室20内に供給される吸入空気の通路(吸気通路)を形成する。一方、排気系40は、各燃焼室20から排出される排気ガスの通路(排気通路)を形成する。
【0028】
また、このエンジン1には、周知の過給機(ターボチャージャ)50が設けられている。ターボチャージャ50は、シャフト51を介して連結された2つのタービンホイール52,53を備える。一方のタービンホイール(吸気側タービンホイール)52は、吸気系30内の吸気に晒され、他方のタービンホイール(排気側タービンホイール)53は排気系40内の排気に晒される。このような構成を有するターボチャージャ50は、排気側タービンホイール52が受ける排気流(排気圧)を利用して吸気側タービンホイール53を回転させ、吸気圧を高めるといったいわゆる過給を行う。
【0029】
吸気系30において、ターボチャージャ50に設けられたインタークーラ31は、過給によって昇温した吸入空気を強制冷却する。インタークーラ31よりもさらに下流に設けられたスロットル弁32は、その開度を無段階に調節することができる電子制御式の開閉弁であり、所定の条件下において吸入空気の流路面積を絞り、同吸入空気の供給量を調整(低減)する機能を有する。
【0030】
また、エンジン1には、燃焼室20の上流(吸気系30)及び下流(排気系40)をバイパスする排気還流通路(EGR通路)60が形成されている。このEGR通路60は、排気の一部を適宜吸気系30に戻す機能を有する。EGR通路60には、電子制御によって無段階に開閉され、同通路を流れる排気流量を自在に調整することができるEGR弁61と、EGR通路60を通過(還流)する排気を冷却するためのEGRクーラ62が設けられている。
【0031】
また、排気系40において、同排気系40及びEGR通路60の連絡部位の下流には、吸蔵還元型NOx触媒(以下、単に触媒という)41を収容した触媒ケーシング42が設けられている。触媒ケーシング42に収容された触媒41は、例えばアルミナ(Al)を担体とし、この担体上に例えばカリウム(K)、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、セシウムCsのようなアルカリ金属、バリウムBa、カルシウムCaのようなアルカリ土類、ランタン(La)、イットリウム(Y)のような希土類と、白金Ptのような貴金属とが担持されることによって構成される。
【0032】
この触媒41は、排気中に多量の酸素が存在している状態においてはNOxを吸収し、排気中の酸素濃度が低く、且つ還元成分(例えば燃料の未燃成分(HC))が多量に存在している状態においてはNOxをNO若しくはNOに還元して放出する。NOやNOとして放出されたNOxは、排気中のHCやCOと速やかに反応することによってさらに還元されてNとなる。ちなみにHCやCOは、NOやNOを還元することで、自身は酸化されてHOやCOとなる。すなわち、触媒ケーシング42(触媒41)に導入される排気中の酸素濃度やHC成分を適宜調整すれば、排気中のHC、CO、NOxを浄化することができることになる。
【0033】
また、エンジン1の各部位には、各種センサが取り付けられており、当該部位の環境条件や、エンジン1の運転状態に関する信号を出力する。
【0034】
すなわち、レール圧センサ70は、コモンレール12内に蓄えられている燃料の圧力に応じた検出信号を出力する。燃圧センサ71は、添加燃料通路P2内を流通する燃料のうち、調量弁16へ導入される燃料の圧力(燃圧)Pgに応じた検出信号を出力する。エアフロメータ72は、吸気系30内のスロットル弁32下流において吸入空気の流量(吸気量)Gaに応じた検出信号を出力する。空燃比(A/F)センサ73は、排気系40の触媒ケーシング42下流において排気中の酸素濃度に応じて連続的に変化する検出信号を出力する。排気温センサ74は、同じく排気系40の触媒ケーシング42下流において排気の温度(排気温度)Texに応じた検出信号を出力する。
【0035】
また、アクセル開度センサ75はエンジン1のアクセルペダル(図示略)に取り付けられ、同ペダルへの踏み込み量Accに応じた検出信号を出力する。クランク角センサ76は、エンジン1の出力軸(クランクシャフト)が一定角度回転する毎に検出信号(パルス)を出力する。これら各センサ70〜76は、電子制御装置(ECU)80と電気的に接続されている。
【0036】
ECU80は、中央処理装置(CPU)81、読み出し専用メモリ(ROM)82、ランダムアクセスメモリ(RAM)83及びバックアップRAM84、タイマーカウンタ85等を備え、これら各部81〜85と、A/D変換器を含む外部入力回路86と、外部出力回路87とが双方向性バス88により接続されて構成される論理演算回路を備える。
【0037】
このように構成されたECU80は、上記各種センサの検出信号を外部入力回路を介して入力し、これら信号に基づいてエンジン1の燃料噴射等についての基本制御を行う他、還元剤(還元剤として機能する燃料)添加にかかる添加タイミングや供給量の決定等に関する還元剤(燃料)添加制御、触媒41に堆積するSOxを適宜取り除くSOx被毒回復制御等、エンジン1の運転状態に関する各種制御の実施内容を司る。
【0038】
ここで、燃料噴射弁13を通じて各気筒に燃料を供給する他、燃料添加ノズル17を通じて排気系40に燃料を添加する機能を備えた燃料供給系10、排気系40に備えられた触媒41、およびこれら燃料供給系10や触媒41の機能を制御するECU80等は、併せて本実施の形態にかかるエンジン1の排気浄化装置を構成する。上記燃料添加制御やSOx被毒回復制御は、当該それら制御に関する指令信号を出力するECU80を含め、この排気浄化装置を構成する各種部材が作動することにより実施される。
【0039】
次に、本実施の形態にかかる燃料添加制御の基本原理や制御手順等について詳述する。
【0040】
一般に、ディーゼルエンジンでは、燃焼室内で燃焼に供される燃料及び空気の混合気の酸素濃度が、ほとんどの運転領域で高濃度状態にある。
【0041】
燃焼に供される混合気の酸素濃度は、燃焼に供された酸素を差し引いてそのまま排気中の酸素濃度に反映されるのが通常であり、混合気中の酸素濃度(空燃比)が高ければ、排気中の酸素濃度(空燃比)も基本的には同様に高くなる。一方、上述したように、吸蔵還元型NOx触媒は排気中の酸素濃度が高ければNOxを吸収し、低ければNOxをNO若しくはNOに還元して放出する特性を有するため、排気中の酸素が高濃度状態にある限りNOxを吸収することとなる。ただし、当該触媒のNOx吸収量に限界量が存在し、同触媒が限界量のNOxを吸収した状態では、排気中のNOxが同触媒に吸収されず触媒ケーシングを素通りすることとなる。
【0042】
そこで、エンジン1のように燃料添加ノズル17を備えた内燃機関では、適宜の時期に燃料添加ノズル17を通じ排気系40の触媒41上流に燃料を添加することで、一時的に空燃比を低下(リッチ化)させる。すると触媒41は、これまでに吸収したNOxをNO若しくはNOに還元して放出し、自身のNOx吸収能力を回復(再生)するようになる。放出されたNOやNOが、HCやCOと反応して速やかにNに還元されることは上述した通りである。
【0043】
このとき、自身に吸収したNOxを、上記態様で放出し、さらに還元浄化する触媒41にとって、触媒ケーシング42内に流入する排気中の空燃比により還元浄化の効率が決定づけられることとなる。
【0044】
そこで、エンジン1では、排気中の適切な空燃比を安定して得ることができるように、排気系40への燃料添加(燃料添加制御)を実施する。
【0045】
以下、本実施の形態にかかるエンジン1のECU80が実施する「燃料添加制御」に関し、その具体的な制御手順についてフローチャートを参照して説明する。
【0046】
図2には、排気系40へ燃料添加を行うにあたり、その添加量や添加時期を制御するために実施される「燃料添加制御ルーチン」の処理内容を示す。このルーチン処理は、ECU80を通じてエンジン1の始動と同時にその実行が開始され、所定時間毎に繰り返される。
【0047】
処理がこのルーチンに移行すると、ECU80は先ずステップS101において、燃料添加の実行にかかる調量弁16の制御等にとって必要な運転状態を把握する。例えばECU80は、クランク角センサ76の出力信号に基づいてエンジン1の機関回転数Neを、また空燃比センサ73の出力信号に基づいて排気中の空燃比(排気空燃比)A/Fを各々演算する。また、アクセルの踏み込み量Acc、排気温度Tex等を把握する。
【0048】
続くステップS102においては、燃料添加を実行するか否かを判断する。燃料添加は、例えば以下の条件(1)及び(2)の何れもが成立したときに行う。
(1)排気温度Texが所定温度(例えば250℃)を上回っていること。これは、触媒41が十分に活性化する条件にあたる。
(2)触媒41のNOx吸収量が所定量を上回っていること。触媒によるNOx吸収量がその限界値にある程度まで近づいたことを意味する。この吸収量は、前回の燃料添加終了からの経過時間や、排気空燃比A/F及び排気温度Texの履歴等に基づいて推定すればよい。
ECU80は、上記条件(1)及び(2)が何れも成立しているときには、燃料添加を実行すべきと判断してその処理をステップS103に移行する。一方、上記条件(1)又は(2)のうち一方でも成立していなければ、本ルーチンを一旦抜ける。
【0049】
ステップS103においてECU80は、排気空燃比を目標とする空燃比に合致させ、且つ触媒41中のNOxを全て放出・還元させるための添加燃料量(一回の燃料添加において噴射する燃料の総量)Q及び添加パターン(時間軸上においてみられる添加燃料量の波形パターン)を併せて決定する。
【0050】
ここで、燃料添加ノズル17を通じて噴射される添加燃料量(総量)Qは、基本的には調量弁16の開弁時間T(ms)、および同開弁時間中燃料通路P2を通じて燃料添加ノズルに付与される燃圧Pgの関数として、次式(i)によって決定づけられる。
【0051】
【数1】
Figure 0003624812
すなわち、ECU80は、上記決定した添加燃料量Qの燃料が排気系に噴射供給されるように、添加燃料通路P2内を流通する燃料のうち調量弁16へ導入される現在の燃圧Pgに基づいて開弁時間Tを演算する。そして同じく上記決定された添加パターンに従って燃料が噴射されるよう、所定のタイミングで、継続的、或いは断続的に調量弁16を通電制御することで、総計時間T(ms)に亘って同弁16を開弁させる。
【0052】
以上説明した処理手順に基づき、ECU80は、触媒41に吸収されたNOxの還元浄化を行いつつ同触媒41のNOx吸収能力の再生を行う。
【0053】
ところで、先の従来技術においても説明したように、排気中に存在するSOxは、NOxの場合と同様のメカニズムに基づき、しかも、NOxに比べてより高い効率で触媒41に吸収される特性を有する。また、一旦触媒に吸収されたSOxは、同触媒に吸蔵されているNOxを放出するために十分な条件、すなわち排気中の酸素濃度が所定値を下回る条件下にあっても、同触媒から容易には放出されない。このため、機関運転の継続に伴い触媒41には、排気中のSOxが徐々に触媒41に堆積していく所謂SOx被毒が生じることとなる。すなわち、触媒41におけるSOxの堆積量(吸蔵量)が増加することにより、同触媒におけるNOxの吸収容量が減少し、NOxの浄化率が低下してしまう。
【0054】
そこで、エンジン1のECU80は、触媒におけるSOxの堆積量が所定量を上回ったところで適宜SOxの放出処理を行うことにより、触媒の機能回復を図るSOx被毒回復制御を、その機関運転中、周期的に実行する。触媒41に吸蔵されたSOxを放出させるには、同触媒41の床温が所定温度以上の高温条件下にあるとき、排気中の酸素濃度の低減(空燃比のリッチ化)を図る何らかの処理を行えばよい。
【0055】
本実施の形態にかかるSOx被毒回復制御では、触媒41の床温が所定温度(例えば500℃)以上の高温条件下にある時期を選択し、先の燃料添加制御と同様、燃料添加ノズル17を通じて触媒41上流に燃料(還元成分)を添加する。
【0056】
図3(a)及び図3(b)は、本実施の形態にかかるエンジン1について、SOx被毒回復制御の実施中、触媒41下流で検出される排気空燃比の推移(図3(a))と、同触媒41からのNOx及びSOxの排出量(排出率)の推移(図3(b))とを同一時間軸上に示すタイムチャートである。
【0057】
SOx被毒回復制御が開始されると、燃料添加ノズル17によるNOx上流への燃料の噴射供給(添加)が開始される。
【0058】
図3(a)に示すように、この噴射供給の開始に伴って触媒41に流れ込む空燃比は急速に下降する。これと同期して、同触媒41下流で検出される排気空燃比(以下、検出空燃比λsという)も急速に下降し(時刻t1)、理論空燃比(ストイキ)近傍まで達したところ(時刻t2)から所定期間ほぼ一定の値を保持する。その後検出空燃比λsは、さらに低い値λminまで移行し(時刻t3)、この値λminを所定期間保持した後(時刻t4)、ストイキ近傍の所定値λ1まで上昇し、燃料添加ノズル17による燃料の噴射供給が終了するまでほぼ同値λ1を保持する。燃料の噴射供給が終了すると、検出空燃比λsは再度急速に上昇することとなる(時刻t5)。
【0059】
ところで、図3(b)に示すように、SOx被毒回復制御の実施に際しては、触媒41からSOxが放出されるばかりでなく、同触媒41に吸蔵されているNOxの放出も起こる。このとき、触媒41に流入する排気の空燃比の低下に伴い、NOxの放出がSOxの放出に優先して起こることが発明者らにより確認されている。
【0060】
例えば同図3(b)において、触媒41に吸蔵されているNOxの放出は、時刻t1以降に開始され、時刻t3付近において完了する。一方、同触媒41に吸蔵(堆積)されたSOxは、NOxの放出が完了した後(時刻t4)にその放出が開始される。そして、その放出率(単位時間当たり放出量)Rsは、ほぼ一定の値を所定時間保持する。燃料添加ノズル17による燃料の噴射供給が終了すると、触媒41に流れ込む空燃比の上昇に伴い、SOxの放出率Rsは急速に減少する(時刻t5)。
【0061】
ここで、SOx被毒回復制御の実施に伴って任意の時刻までに触媒41から放出されるSOxの総量(総放出量)Stotalは、SOxの放出率を当該任意の時刻まで時間積分したもの、すなわち図3(b)における斜線部に相当するものとなる。換言すると、触媒41からSOxが放出される継続時間と、当該継続時間中の各時刻におけるSOxの放出率Rs(若しくは当該放出率と相関性の高いパラメータ)とを定量的に把握できれば、当該制御の実施により触媒41から放出されるSOxの総量Stotalを正確に定量することができる。
【0062】
一方、触媒41からSOxが放出され始めるタイミングは、検出空燃比λsが所定値λminを保持した状態から上昇を開始するタイミング(時刻t4)と同期すること、また、時刻t4から時刻t5に至る期間(以下、SOx放出期間という)に推移するSOxの放出率Rsと、同じくSOx放出期間に推移する検出空燃比λsとの間に高い相関関係の存在することが発明者らによって確認されている。すなわち、SOx放出期間中、任意の時刻tにおけるSOxの放出率Rsは、時刻t、検出空燃比λsおよび吸気量Gaの関数として、次式(ii)によって表される。
【0063】
【数2】
Figure 0003624812
従って、SOx放出期間中、任意の時刻tまでに放出されるSOxの総量(総放出量)Stotalは、次式(iii)によって表されることとなる。
【0064】
【数3】
Figure 0003624812
すなわち、SOx放出期間に亘って推移する検出空燃比λsを時間積分して、或いは各時刻の検出空燃比λsを積算して得られる関数に基づいて、各回のSOx被毒回復制御によるSOxの総放出量Stotalを推定演算することができる。
【0065】
さらに、検出空燃比λsに代え、SOx放出期間における検出空燃比λsの初期値に相当する所定値λminと、検出空燃比λsとの偏差(λs−λmin)を変数に含む関数として、SOxの放出率Rsを次式(iV)のように表すこともできる。
【0066】
【数4】
Figure 0003624812
この場合、SOx放出期間中、任意の時刻tまでに放出されるSOxの総量(総放出量)Stotalは、次式(v)によって表されることとなる。
【0067】
【数5】
Figure 0003624812
また、触媒41からのNOxの放出と、SOxの放出とは基本的には同様の化学的なメカニズムに基づいて起こるため、両者の相対的な関係が、例えば燃料添加ノズル17による燃料の供給量や、空燃比センサ73の出力のばらつきや経時変化等による影響を受けることはほとんどない。すなわち、各回のSOx被毒回復制御におけるNOxの放出率の最大値に対し、逐次推移していくSOxの放出率の相対値にあたる上記偏差(λs−λmin)は、SOxの放出率を正確に反映することになる。
【0068】
そこで、本実施の形態にかかるエンジン1では、上記式(iv)又は(v)に基づいてSOxの放出率又は総放出量Stotalの推定演算を行い、各回のSOx被毒回復制御で行うSOx放出処理に関し、その効率向上を図ることとしている。
【0069】
以下、本実施の形態にかかるエンジン1のECU80が実施する「SOx被毒回復制御」に関し、その具体的な制御手順についてフローチャートを参照して説明する。
【0070】
図4には、触媒41に堆積したSOxを適宜放出させるために実施される「SOx被毒回復制御ルーチン」の処理内容を示す。このルーチン処理は、ECU80を通じてエンジン1の始動と同時にその実行が開始され、所定時間毎に繰り返される。
【0071】
処理がこのルーチンに移行すると、ECU80は先ずステップS201において、SOx被毒回復制御の開始条件(基本的には、触媒41内におけるSOxの堆積量が所定量を上回っていること)が成立しているか否かを判断する。触媒41内におけるSOxの堆積量は、前回のSOx被毒回復制御の終了後、エンジン1の消費した燃料量に基づいて、若しくはこの消費燃料量に排気空燃比の履歴を加味することによって推定すればよい。
【0072】
ここで、上記SOx被毒回復制御の開始条件が成立していないと判断した場合、ECU80は、その処理をステップS209に移行する。
【0073】
ステップS209においてECU80は、次のような処理を行う。すなわち、現在SOx被毒回復処理(制御)が実施されているところでなければ、当該制御の実施を開始することなく本ルーチンを一旦抜ける。また、現在SOx被毒回復処理(制御)が実施されているところであれば、当該制御を終了(中断)した後、本ルーチンを一旦抜ける。この制御の終了(中断)の処理については後に詳述する。
【0074】
一方、上記ステップS201においてSOx被毒回復制御の開始条件条件が成立していると判断した場合、ECU80はその処理をステップS202に移行して、SOx被毒回復処理(制御)を実施する。SOx被毒回復処理の実施にあたっては、先ず、触媒41の床温を所定温度(例えば300℃)以上まで昇温させ、この温度条件を確保した上で、燃料添加ノズル17を通じた排気系40への燃料供給を開始する。触媒41の昇温は、同触媒41に取り付けられた電気ヒータ(図示略)を作動させて行う。また、電気ヒータを適用する代わりに、エンジン(内燃機関)1の膨張行程あるいは排気行程で追加燃料を噴射し、この追加燃料を触媒41で酸化反応させること等によっても触媒41を昇温させることはできる。
【0075】
また、同ステップS202において、SOx被毒制御により放出されるSOxの総放出量Stotal(図2参照)として、前回のSOx被毒制御で演算された終値が記憶されている場合、この終値はリセットする。また、SOx放出期間における検出空燃比λsの初期値λmin(図2参照)として、前回のSOx被毒制御で検出された値が記憶されている場合、この検出値も同様にリセットする。
【0076】
次にECU80は、ステップS204で検出空燃比λsを把握する。そして続くステップS205において、この検出空燃比λsの現在までの履歴を参照し、触媒41からSOxの放出が開始されたか否かを判断する。SOxの放出が開始されるタイミングは、先の図2において説明したように、一旦下限値まで下降した検出空燃比λsが再度上昇を開始する時刻t4に相当する。このため、検出空燃比λsの推移を逐次観測していれば、触媒41からのSOxの放出が開始されるタイミングを認識することができる。
【0077】
上記ステップS205における判断が肯定であれば、ECU80は、触媒40からのSOxの放出率Rsを求めるとともに、現時点までのSOxの総放出量Stotalを推定演算する。SOxの放出率RsおよびSOxの総放出量Stotalの求め方は、基本的には先の図2において説明した通りである。具体的には、先ず現在の検出空燃比Rsと、SOx放出期間における検出空燃比λsの初期値λminとの偏差(λs−λmin)に対し予め実験等により求めた定数αを積算して現在のSOxの放出率とする。初期値を「0」とするSOxの総放出量Stotalに対し、SOxの放出が開始された後、毎回のルーチンで求められるSOxの放出率Rsを逐次累積していく(ステップS206)。一方、ECU80は、毎回のルーチンにおいて上記ステップS205での判断が肯定となるまで、言い換えるとSOxの放出が始まるまで、検出空燃比λsの最新値をSOx放出期間における検出空燃比λsの初期値λmin(仮値)として毎回更新していく(ステップS207)。
【0078】
上記ステップS206若しくはステップS207何れかにおける処理を経た後、ECU80はSOx被毒回復処理(制御)の終了条件が成立しているか否かを判断する(ステップS208)。この終了条件は、触媒40に堆積されていたSOxが全て放出されたときに成立する。具体的には、今回のSOx被毒回復制御の実施により触媒41から放出されたSOxの総量Stotalが、当該制御の開始時、同触媒41内に堆積していたSOxの総量(ステップS201参照)に達したときに終了条件が成立したと判断する。
【0079】
同ステップS208における判断が肯定であれば、ECU80はその処理をステップS209に移行し、その判断が否定であれば本ルーチンを一旦抜ける。
【0080】
ステップS209においては、上述したようにSOx被毒回復処理(制御)を終了若しくは中断する。ここで、SOx被毒回復処理(制御)の終了若しくは中断とは、燃料添加ノズル17を通じた排気系40への燃料供給を停止するとともに、触媒41に取り付けられた電気ヒータの作動を停止することを意味する。
【0081】
ステップS209での処理を経た後、ECU80は本ルーチンを一旦抜ける。
【0082】
以上説明した処理手順に基づき、触媒41に堆積したSOxを適宜放出する本実施の形態にかかるエンジン1の排気浄化装置によれば、触媒41からSOxの放出が続く時間、更に各時点におけるSOx放出量(放出率)を逐次正確に把握した上でSOxの放出処理(SOx被毒回復制御)を行うこととなるため、当該制御の実施が、実施時期、実施時間、燃料(還元剤)の添加量を含めて緻密且つ効率的に行われるようになる。
【0083】
またこのように、SOx被毒回復制御の実施中にSOxの放出量(放出率)を逐次把握する制御ロジックを適用することで、例えば当該制御が運転状態の変動等何らかの理由で中断するようなことがあっても、その中断時までに放出されたSOxの総量を正確に把握し、次回以降の制御内容に反映することができるようになる。
【0084】
従って、触媒41にとって、NOxの浄化効率の最適化された状態が常時保持されるようになる。
【0085】
(第2の実施の形態)
次に、本発明にかかる内燃機関の排気浄化装置を、ディーゼルエンジンシステムに適用した第2の実施の形態について先の第1の実施の形態と異なる点を中心に説明する。
【0086】
なお、当該第2の実施の形態にあって、適用対象とするエンジン1の構成、同エンジン1に備えられる還元剤供給装置(燃料供給系)10の構成、およびECU80のハードウエア構成について、その基本構成は、先の第1の実施の形態で図1において説明したものとほぼ同様である。よってそれら構成に関するここでの重複する説明は割愛する。
【0087】
本実施の形態にかかるエンジン1の排気浄化装置では、先の第1の実施の形態で適用することとしたSOx被毒回復制御の実施中にSOxの放出量(放出率)を逐次把握する制御ロジックに加え、その逐次把握したSOxの放出量(放出率)と、今回の制御の実施までに触媒41に吸収されたSOxの蓄積量とを併せ考慮し、現在触媒41中に堆積(吸蔵)されているSOxの総量を逐次把握する更なる制御ロジックを適用する。
【0088】
以下、本実施の形態にかかるエンジン1のECU80が実施する「SOx被毒回復制御」に関し、その具体的な制御手順についてフローチャートを参照して説明する。
【0089】
図5には、触媒41に堆積したSOxを適宜放出させるために実施される「SOx被毒回復制御ルーチン」の処理内容を示す。本ルーチンは、先の図4に示した「SOx被毒回復制御ルーチン」に対し、ステップS201〜S209にかかる一連の処理に後続する処理として、ステップS210を付加したものである。
【0090】
すなわち同図5に示すように、ECU80は、SOx被毒回復処理(制御)の実施を終了(中断)したときには(ステップS209)、当該ルーチンを抜ける前にその処理をステップS210に移行する。
【0091】
ステップS210においてECU80は、触媒41に堆積したSOxの総量(堆積量)として記憶している最新値から、本ルーチンにおいて求めたSOxの総放出量Stotalの最新値を減算し、これを触媒41に堆積したSOxの総量(堆積量)の最新値として更新する。
【0092】
なお、本実施の形態において、触媒41に堆積するSOxの総量(堆積量)は、以下の算出方法を用いて逐次更新していくものとする。
【0093】
先ず、触媒41に対するSOxの堆積量について、その増量分は、排気中に含まれるSOxの起源である燃料の消費量(燃料噴射弁13による燃料供給量)に基づいて逐次演算する。また、排気中に含まれるSOxが触媒41に吸収される効率は、排気空燃比により異なる。例えば、排気空燃比が高くなるほど排気中のSOxは触媒41へ吸収され易く、排気空燃比が低くなるほど吸収されにくくなる。このため、燃料供給が実行される時々の排気空燃比に基づいて、上記堆積量に対する増量分を補正することとしてもよい。
【0094】
上記ステップS210における処理を経た後、ECUは本ルーチンを一旦抜ける。
【0095】
以上説明したように、本実施の形態にかかるSOx被毒回復制御によれば、各回のSOx被毒回復制御によって触媒41から放出された放出量Stotalを、それまで触媒41に堆積していたと推定される堆積量から減算することにより、触媒41に堆積しているSOxの堆積量を逐次高い精度で把握することができるようになる。
【0096】
このようにして把握されたSOxの堆積量を、例えば次回のSOx被毒制御を実施するまでのインターバルに反映させれば、SOx被毒回復制御の実施を効率的に行うことができるようになる。すなわち、SOxの堆積量が僅かであるにも関わらず当該制御を開始してしまい、燃料(還元剤)の無駄な消費や、触媒41への過剰な炭化水素(HC)成分の流入を誘発することもない。
【0097】
また、何らかの理由でSOx被毒回復制御がその実施途中で中断したとしても、触媒41に対するそれまでのSOxの収支から、当該制御の中断した時点におけるSOxの堆積量を正確に把握することができる。
【0098】
よって、SOx被毒回復制御の継続的(断続的)な実施に伴う排気特性の悪化を最小限に抑制し、エンジン1の排気特性の最適化を常時安定して図ることができるようになる。
【0099】
なお、上記各実施の形態においては、SOxの放出量Stotalを推定演算するにあたり、SOx放出期間における検出空燃比λsの初期値(下限値)λminと、検出空燃比λsとの偏差に基づいて放出率Rsを逐次演算し、この放出率Rsを時間積分、或いは経過時間相当分積算することとした。このような演算方法に替え、例えばSOx放出期間中、検出空燃比λsは概ね一定の値λ1を保持することに着目し、例えば上記偏差の最大値(λ1−λmin)と経過時間と積算値に基づいて、放出量Stotalを近似することとしても、上記各実施の形態に準ずる効果を奏することはできる。さらに、SOx放出期間における検出空燃比λsの推移態様(例えば傾き)を予め実験等により求めておき、SOx放出期間における検出空燃比λsの初期値λminと、その後の経過時間とに基づいて、偏差(λs−λmin)を逐次推定することとしても、上記各実施の形態に準ずる効果を奏することはできる。
【0100】
また、上記各実施の形態では、SOx被毒回復制御の実施にあたり、燃料添加ノズル17の通じて排気系40に燃料(還元剤)を供給し、排気空燃比を低下(リッチ化)させることとした。このような構成に替え、燃料噴射弁13を通じて行う各気筒(燃焼室20)への燃料供給の態様として、ある気筒が排気行程にあるときに燃料を供給することで排気空燃比を低下させてもよい。またこのように、各気筒が排気行程にあるときに燃料噴射弁13を通じた燃料供給(いわゆるポスト噴射)を実施することで、排気温度を上昇させて触媒41の昇温を図ることとしてもよい。
【0101】
また、上記各実施の形態のように、SOx被毒回復制御の実施にあたり積極的に触媒41を昇温させる制御ロジックに替え、触媒41の床温が上昇するタイミングを選択してSOx被毒回復制御、すなわち排気空燃比の低下を促す制御を実施することとしてもよい。
【0102】
また、上記各実施の形態では、ECU80が燃料添加の実施に先立って把握するエンジン1の運転状態を代表する一パラメータとして、排気系40の触媒ケーシング42下流に設けられた排気温センサ74の検出信号に基づいて把握される排気温度Texを適用することとした。これに対し、排気温センサを排気系40内の触媒ケーシング42上流や、各気筒の排気ポート内に設け、これらセンサの検出信号に基づいて把握される排気系40内の温度を適用してもよい。また、エンジン回転数Neやアクセルの踏み込み量等、エンジン1の運転状態を代表する他のパラメータを用いて、排気系40内の温度(排気ポート内、触媒ケーシング42上流若しくは下流の温度)を推定(演算)し、その推定温度を上記排気温度Texに替えて適用することとしてもよい。
【0103】
また、上記各実施の形態においては、還元剤としてディーゼルエンジンの燃料(軽油)を適用することとした。この他、ガス中の還元成分としてNOxを還元する機能を有するものであれば、他の還元剤、例えばガソリン、灯油等を用いても構わない。
【0104】
また、本実施の形態においては、燃料タンクからコモンレール12へ燃料を供給するサプライポンプ11を用いて、サプライポンプ11の汲み上げた燃料の一部を排気系40内に添加供給する装置構成を適用することとした。しかし、こうした装置構成に限らず、例えば添加燃料を燃料タンク、或いは他の燃料(還元剤)供給源から供給する独立した供給系を備える装置構成を適用してもよい。
【0105】
また、上記各実施の形態においては、燃料の排気系への添加にあたり、添加燃料通路P2を介して供給される燃料の圧力を調量弁16によって制御し、その圧力制御によって燃料添加ノズル17の開閉弁動作を制御する構成を適用している。これに対し、例えば燃料噴射弁13のように、ECU80による通電を通じて直接開閉弁動作を制御される電磁弁等を燃料添加を行う噴射弁として適用してもよい。
【0106】
また、上記各実施の形態においては、本発明の排気浄化装置を内燃機関としての直列4気筒のディーゼルエンジン1に適用することとしたが、希薄燃焼を行うガソリンエンジンにも好適に本発明を適用することができる。また、直列4気筒の内燃機関に限らず、搭載気筒数の異なる内燃機関にも本発明を適用することはできる。
【0107】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、SOxの放出時間と各時点におけるSOxの放出量とを併せ考慮することで、還元触媒からのSOxの放出処理を行うにあたり、放出の有無や放出量を含めて、その放出態様を定量的に認識することができるようになる。
【0108】
また、前記還元触媒からNOxが放出されているときの空燃比と、前記還元触媒からSOxが放出されているときの空燃比との偏差に基づいて各時点でのSOxの放出量を推定することで、前記還元触媒からのSOxの放出態様の定量化をより正確に行うことができるようになる。
【0109】
また、前記還元触媒に対し吸収・放出を繰り返すSOxの収支を逐次定量的に把握することができるようになる。従って、現時点で同還元触媒に吸蔵されている(残されている)SOx触媒の量を正確に認識することができるようになる。
【0110】
燃料に含まれる硫黄成分をその起源とし、前記還元触媒に吸収されうる排気中のSOx量について、その履歴を正確に見積もることができるようになる。
【0111】
また、排気中に含まれるSOxがどの程度の割合で前記還元触媒に吸収されるのか等を考慮することができるようになる。従って、前記還元触媒に対し吸収・放出を繰り返すSOxの収支を逐次定量的に把握する上で、その精度が一層向上するようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかるディーゼルエンジンシステムを示す概略構成図。
【図2】同実施の形態にかかる燃料添加制御手順を示すフローチャート。
【図3】SOx被毒回復制御の実施中、触媒下流で検出される排気空燃比の推移と、同触媒からのNOx及びSOxの排出率の推移とを同一時間軸上に示すタイムチャート。
同実施の形態における燃料添加制御の実施にあたり、調量弁に通電する指示電流の推移、排気空燃比、添加燃料通路の燃圧等の推移を示すタイムチャート。
【図4】同実施の形態にかかるSOx被毒回復制御手順を示すフローチャート。
【図5】本発明の第2の実施の形態にかかるSOx被毒回復制御手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
1 ディーゼルエンジン(内燃機関)
10 燃料供給系(還元剤供給装置)
11 サプライポンプ
12 コモンレール
13 燃料噴射弁
14 遮断弁
16 調量弁
17 燃料添加ノズル(空燃比制御手段の一部)
20 燃焼室
30 吸気系
31 インタークーラ
32 スロットル弁
40 排気系
41 吸蔵還元型NOx触媒(還元触媒)
42 触媒ケーシング
50 ターボチャージャ
51 シャフト
52 排気側タービンホイール
53 吸気側タービンホイール
60 EGR通路
61 EGR弁
62 EGRクーラ
70 レール圧センサ
71 燃圧センサ
72 エアフロメータ
73 空燃比センサ
74 排気温センサ
75 アクセル開度センサ
76 クランク角センサ
80 電子制御装置(ECU)
81 中央処理装置(CPU)
82 読み出し専用メモリ(ROM)
86 外部入力回路
87 外部出力回路
88 双方向性バス
P1 機関燃料通路
P2 添加燃料通路

Claims (5)

  1. 内燃機関の排気系に設けられ、同排気系内を流れる排気中の空燃比が高いときにNOxを吸収し、該排気中の空燃比が低くなると吸収したNOxを放出及び還元する還元触媒と、
    昇温条件下において前記還元触媒に流入する排気中の空燃比を低下させる空燃比制御手段と、
    前記還元触媒下流における排気中の空燃比を検出する空燃比検出手段と、
    前記検出される空燃比の挙動であって、前記還元触媒に流入する排気中の空燃比の低下に伴う前記還元触媒からのNOxの放出に起因する挙動と、同じく前記検出される空燃比の挙動であって、前記還元触媒に流入する排気中の空燃比の低下に伴う前記還元触媒からのSOxの放出に起因する挙動との相違に基づいて、前記排気中の空燃比の低下に伴う前記還元触媒からのSOxの放出量を推定するSOx放出量推定手段と
    を有することを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  2. 前記SOx放出量推定手段は、前記検出される空燃比であって、前記還元触媒からNOxが放出されているときの空燃比と、同じく前記検出される空燃比であって、前記還元触媒からSOxが放出されているときの空燃比との偏差を、前記還元触媒からSOxが放出される期間に亘って積算し、その積算量に基づいて前記排気中の空燃比の低下に伴う前記還元触媒からのSOxの放出量を推定する
    ことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の排気浄化装置。
  3. 当該内燃機関の運転状態の履歴に基づいて前記還元触媒に吸収されたSOxの量を推定するSOx吸収量推定手段と、
    前記推定されたSOxの吸収量と前記推定されたSOxの放出量とに基づいて、前記還元触媒に吸蔵されているSOxの量を推定するSOx吸蔵量推定手段と
    を有することを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関の排気浄化装置。
  4. 前記内燃機関の運転状態は、当該内燃機関の消費した燃料量に関する
    ことを特徴とする請求項3記載の内燃機関の排気浄化装置。
  5. 前記内燃機関の運転状態は更に、前記還元触媒を通過する排気中の空燃比に関する
    ことを特徴とする請求項4記載の内燃機関の排気浄化装置。
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