JP2007303334A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】PMを捕集するフィルタを備えた内燃機関の排気浄化装置に対し、このフィルタに堆積されるアッシュの量に応じて差圧判定値を最適な値として求める。
【解決手段】エンジンオイルの消費量からアッシュ発生量を算出する。フィルタ上のPM堆積量からアッシュすり抜け量を算出する(ST7)。上記算出されたアッシュ発生量からアッシュすり抜け量を減算することによってフィルタにおけるアッシュ堆積量を算出し、このアッシュ堆積量に基づいてフィルタ内部においてアッシュのみの影響により生じている差圧Cを求め、それに基づいて更新した再生開始圧力値A(i)及び再生終了圧力値B(i)を、次回のフィルタ再生動作時における再生開始圧力値及び再生終了圧力値として利用する。
【選択図】図3

Description

本発明は、自動車用ディーゼルエンジン等の内燃機関の排気ガス中に含まれる粒子状物質(PM:Particulate Matter)を捕集するフィルタを備えた内燃機関の排気浄化装置に係る。特に、本発明は、捕集したPMを燃焼させることでフィルタを再生する技術の改良に関する。
従来より、自動車等に搭載されるディーゼルエンジン(以下、単にエンジンという場合もある)を駆動した際に排出される排気ガス中には、そのまま大気中に排出することが好ましくない物質が含まれている。特に、ディーゼルエンジンの排気ガス中には、カーボンを主成分とする粒子状物質(以下、PMという)が含まれており、これが大気汚染の原因になる。
上記PMが大気中に排出されることを阻止する装置として、ディーゼルエンジンの排気通路に配設されるパティキュレートフィルタ(以下、単にフィルタと呼ぶ)が知られている。つまり、排気通路を通過する排気ガス中に含まれるPMをこのフィルタによって捕集することで排気の浄化を図っている(例えば下記の特許文献1)。
このフィルタとしては、例えばDPF(Diesel Particulate Filter)や、DPNR(Diesel Particulate−NOx Reduction system)触媒が知られている。
ところで、この種のフィルタを用いてPMの捕集を行う場合、捕集したPMの堆積量が増大するとフィルタの詰まりが生じてしまう。このフィルタの詰まりが生じた状況では、フィルタを通過する排気の圧力損失が著しく増大し、それに伴うエンジンの排気背圧増大によってエンジン出力の低下や燃費の悪化を招いてしまうことになる。
このような課題を解消するため、従来より、フィルタに捕集されたPMの捕集量(堆積量)がある程度の量に達した際には、排気温度を上昇させる等の手法によりフィルタ温度を高温化することで堆積しているPMを酸化(燃焼)させて除去するフィルタ再生動作を行うようにしている。
このフィルタ再生動作の一例としては、排気系に添加弁を設けて燃料(添加剤)を供給することにより、排気の空燃比を制御してフィルタの周囲雰囲気を高温化することが挙げられる。その他のフィルタ再生動作としては、フィルタにヒータを備えさせ、このヒータによってフィルタ温度を高温化する方法や、エンジンの吸入空気量を絞ることにより空燃比(A/F)を低くして排気温度を高くする方法や、燃料噴射時期を遅角する方法や、パイロット噴射(主噴射の直前に行われる燃料噴射)によって排気ガスを高温化する方法等が挙げられる。
また、上記フィルタ再生動作の開始及び終了のタイミングは、一般的には、フィルタの排気上流側の圧力(フィルタ前圧力)と排気下流側の圧力(フィルタ後圧力)との差圧の大きさによって決定される。つまり、フィルタに捕集されたPMの堆積量が多くなるのに伴ってフィルタ内部での圧力損失が増大し、これによって上記差圧が高くなっていくことを利用し、この差圧が所定の再生開始圧力値まで高まると、PM堆積量がフィルタ再生動作を必要とする量に達したと判断して上記燃料添加等のフィルタ再生動作を開始する。そして、このフィルタ再生動作によるPMの燃焼によってPMの除去が進み、上記差圧が所定の再生終了圧力値にまで低下するとフィルタ再生動作を終了するようにしている(例えば下記の特許文献2)。
ところで、この種のフィルタには、フィルタ再生動作によって燃焼除去可能な上記PMの他に、エンジンオイルの燃焼に伴って発生するアッシュ(主成分はCaSO4)も堆積していく。このアッシュは、フィルタ再生動作では除去することができず継続的にフィルタに残存するものである。
また、従来より、排気浄化装置にあっては、フィルタ再生動作に伴うエンジンの燃費の悪化を防ぐために、フィルタ再生動作の頻度をできるだけ少なくし、また、フィルタ再生動作の継続時間をできるだけ短くしたいといった要求がある。
ところが、上述した如くアッシュはフィルタ再生動作では除去されず継続的にフィルタに残存していくため、このアッシュの堆積量の増大に伴ってフィルタ内の圧力損失が次第に増大していくことになる。つまり、PMの堆積量が僅かであっても、このアッシュが堆積していることでフィルタの圧力損失が大きくなっていき、その結果、同一のPM堆積量であっても上記差圧(フィルタの排気上流側の圧力と排気下流側の圧力との差圧)が徐々に高くなっていくことになる。
このため、上記再生開始圧力値及び再生終了圧力値を共に固定された値にしておくと、PMの堆積量が僅かであっても上記アッシュの影響で差圧が再生開始圧力値に達してしまって再生動作が頻繁に繰り返されてしまうことになる。また、フィルタ再生動作によってフィルタ内のPMの大部分が燃焼除去された場合であっても上記アッシュの影響で差圧が再生終了圧力値まで低下せず、フィルタ再生動作が長時間に亘って継続されてしまうことになる。つまり、再生開始圧力値及び再生終了圧力値を共に固定された値にしたのでは、上記要求(フィル再生動作の頻度をできるだけ少なくし、また、フィル再生動作の継続時間をできるだけ短くしたいといった要求)に応えることが困難になる。
この点に鑑みられた技術として下記の特許文献3には、アッシュの発生量を考慮して上記フィルタ再生動作の開始及び終了のタイミングを決定することが開示されている。具体的には、車両の走行距離に基づいてアッシュの発生量を推定し、この推定したアッシュの発生量分だけ上記差圧が高くなっている(PMの堆積量に関わりのない圧力損失分だけ差圧が高くなっている)として、このアッシュによる差圧の上昇分だけ上記再生開始圧力値及び再生終了圧力値を高く設定しておくようにしている。つまり、アッシュの発生量に応じて差圧判定値(再生開始圧力値及び再生終了圧力値)を変更していくようにしている。
特開2003−286821号公報 特開平9−280036号公報 特開2004−36454号公報
しかしながら、単にアッシュの発生量を推定し、その推定発生量に基づいて差圧判定値(再生開始圧力値及び再生終了圧力値)を決定するのみでは、フィルタ再生動作の開始及び終了を最適なタイミングで実行するのが難しいことを本願発明の発明者らは見出した。
具体的には、アッシュの推定発生量に基づいて差圧判定値を決定した場合、この差圧判定値が最適値よりも低い値として設定されてしまうのが実情であった。つまり、フィルタ再生動作が必要となる量のPM堆積量に達しているにも拘わらずフィルタ再生動作が開始されなかったり、PM堆積量が未だかなり残っているにも拘わらずフィルタ再生動作が終了してしまったりするといった現状があることを本願発明者らは見出した。
その原因について本願発明の発明者らは検討を行った。その結果、エンジンオイルの燃焼に伴って発生したアッシュは、その全てがフィルタに堆積するといったものではなく、その一部はフィルタを通過して(すり抜けて)大気中に放出されていることが原因であることを見出した。つまり、アッシュの発生量に基づいて推定されるフィルタ内部の圧力損失よりも、実際に堆積するアッシュの量によるフィルタ内部の圧力損失は、上記アッシュのすり抜け量分だけ小さくなっているといった現象が生じていた。更には、このフィルタを通過するアッシュの量(アッシュすり抜け量)はフィルタにおけるPM堆積量によって大きく左右されることについても確認できた。以上の点から、このアッシュすり抜け量を考慮せねば上記差圧判定値を最適な値として求めることはできないことに発明者らは着目し本発明に至った。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、PMを捕集するフィルタを備えた内燃機関の排気浄化装置に対し、このフィルタに堆積されるアッシュの量に応じて上記差圧判定値を最適な値として求めることにある。
−課題の解決原理−
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、上記アッシュの発生量からアッシュのすり抜け量を減算したものが実際にフィルタ上に堆積されるアッシュ量であって、この量が、アッシュの影響によるフィルタ内部での圧力損失の増加分であるとして再生開始圧力値及び再生終了圧力値を調整していくようにしている。つまり、エンジンの累積運転時間が長くなるに従って上記再生開始圧力値及び再生終了圧力値を一定割合で高く設定していくのではなく、フィルタを通過するアッシュすり抜け量を考慮し、それに応じて上記再生開始圧力値及び再生終了圧力値の変更割合を調整していくものとしている。
−解決手段−
具体的に、本発明は、内燃機関の排気通路中に備えられた粒子状物質捕集用のフィルタと、このフィルタに捕集されている粒子状物質を燃焼除去するためのフィルタ再生動作を実行させるフィルタ再生手段とを備え、フィルタ上流側とフィルタ下流側との圧力差が所定の再生開始圧力値まで上昇すると上記フィルタ再生手段によるフィルタ再生動作を開始させ、このフィルタ再生動作によって上記圧力差が所定の再生終了圧力値まで下降するとフィルタ再生動作を終了させる内燃機関の排気浄化装置を前提とする。この内燃機関の排気浄化装置に対し、上記フィルタに堆積するアッシュの量が多くなるに従って上記再生開始圧力値及び再生終了圧力値が高くなるように補正していく再生圧力値補正手段と、上記フィルタを通過するアッシュすり抜け量を推定するアッシュすり抜け量推定手段と、このアッシュすり抜け量推定手段の出力を受け、アッシュすり抜け量が多いほど、上記再生圧力値補正手段によって再生開始圧力値及び再生終了圧力値が高くなるように補正していく補正量を小さな値として設定する補正量変更手段とを備えさせている。
この特定事項により、排気浄化装置のフィルタ再生動作にあっては、フィルタ上流側とフィルタ下流側との圧力差が所定の再生開始圧力値まで上昇するとフィルタ再生動作が開始され、この圧力差が所定の再生終了圧力値まで下降するとフィルタ再生動作が終了されることになるが、上記再生開始圧力値及び再生終了圧力値は、推定されたアッシュすり抜け量に応じて変更される。つまり、内燃機関の累積運転時間が長くなるほどフィルタ上のアッシュの堆積量は多くなっていくので、上記再生開始圧力値及び再生終了圧力値を次第に高い値に補正していくが、その補正幅はアッシュすり抜け量に応じて変更されるものとなっている。具体的には、アッシュすり抜け量が少ない状況では、発生したアッシュの殆どはフィルタに堆積されており、アッシュがフィルタ内部の圧力損失に与える影響が大きいので、再生開始圧力値及び再生終了圧力値が高くなるように補正していく補正量(上記補正幅)を比較的大きく設定する。これに対し、アッシュすり抜け量が多い状況では、発生したアッシュのうちのかなりの量がフィルタに堆積することなく通過しており、アッシュがフィルタ内部の圧力損失に与える影響が小さいので、再生開始圧力値及び再生終了圧力値が高くなるように補正していく補正量(上記補正幅)を比較的小さく設定する。これにより、アッシュがフィルタ内部の圧力損失に与える影響を考慮した再生開始圧力値及び再生終了圧力値に従ったフィルタ再生動作が行われ、実際のPMの堆積量に適したフィルタ再生動作の開始及び終了タイミングを得ることができる。その結果、フィルタ再生動作が必要となる量のPM堆積量に達しているにも拘わらずフィルタ再生動作が開始されなかったり、PM堆積量が未だかなり残っているにも拘わらずフィルタ再生動作が終了してしまったりするといった現状を招くことが回避できる。
また、他の解決手段としては以下の構成も挙げられる。内燃機関の排気通路中に備えられた粒子状物質捕集用のフィルタと、このフィルタに捕集されている粒子状物質を燃焼除去するためのフィルタ再生動作を実行させるフィルタ再生手段とを備え、フィルタ上流側とフィルタ下流側との圧力差が所定の再生開始圧力値まで上昇すると上記フィルタ再生手段によるフィルタ再生動作を開始させ、このフィルタ再生動作によって上記圧力差が所定の再生終了圧力値まで下降するとフィルタ再生動作を終了させる内燃機関の排気浄化装置を前提とする。この内燃機関の排気浄化装置に対し、上記フィルタに堆積するアッシュの量が多くなるに従って上記再生開始圧力値及び再生終了圧力値が高くなるように補正していく再生圧力値補正手段と、内燃機関の潤滑油消費量に基づいて、アッシュの発生量を算出するアッシュ発生量算出手段と、上記フィルタ内部における粒子状物質の堆積量に基づいて、フィルタを通過するアッシュすり抜け量を推定するアッシュすり抜け量推定手段と、上記アッシュ発生量算出手段及びアッシュすり抜け量推定手段の出力を受け、アッシュ発生量からアッシュすり抜け量を減算することによりフィルタ上のアッシュ堆積量を求め、このアッシュ堆積量が少ないほど、上記再生圧力値補正手段によって再生開始圧力値及び再生終了圧力値が高くなるように補正していく補正量を小さな値として設定する補正量変更手段とを備えさせている。
この場合、アッシュ発生量算出手段は、内燃機関の潤滑油消費量が多いほどアッシュの発生量を大きな値として算出する。また、アッシュすり抜け量推定手段は、フィルタ内部における粒子状物質の堆積量が多いほどフィルタを通過するアッシュすり抜け量を小さな値として推定する。
これら特定事項によっても上述した解決手段の場合と同様に、再生開始圧力値及び再生終了圧力値を高い値に補正していく補正幅をアッシュすり抜け量に応じて変更することができ、実際のPMの堆積量に適したフィルタ再生動作の開始及び終了タイミングを得ることができる。また、本解決手段では、内燃機関の潤滑油消費量に基づいてアッシュの発生量を算出しており、また、フィルタ内部における粒子状物質の堆積量に基づいてアッシュすり抜け量を推定しているため、これらの値を信頼性の高いものとして得ることができ、フィルタ再生動作の開始及び終了のための再生開始圧力値及び再生終了圧力値をより適正な値として求めることができる。
また、上記補正量変更手段は、再生開始圧力値及び再生終了圧力値が高くなるように補正していく際における、再生開始圧力値に対する補正量及び再生終了圧力値に対する補正量を互いに同一の値とするものである。これによれば、フィルタ再生動作開始時のPM堆積量とフィルタ再生動作終了時のPM堆積量との差をアッシュの堆積量に関わりなく常に一定に維持できる。つまり、1回のフィルタ再生動作によって燃焼除去されるPMの量をアッシュの堆積量に関わりなく安定して得ることができ、フィルタ再生動作の信頼性を長期間に亘って高く維持することができる。
本発明では、内燃機関の排気系において実際にフィルタ上に堆積されるアッシュ量が、アッシュの影響によるフィルタ内部での圧力損失の増加分であるとして再生開始圧力値及び再生終了圧力値を調整していくようにしている。つまり、フィルタを通過するアッシュすり抜け量を考慮し、それに応じて上記再生開始圧力値及び再生終了圧力値の補正幅を調整していくものとしている。このため、実際のPMの堆積量に適したフィルタ再生動作の開始及び終了タイミングを得ることができ、フィルタ再生動作が必要となる量のPM堆積量に達しているにも拘わらずフィルタ再生動作が開始されなかったり、PM堆積量が未だかなり残っているにも拘わらずフィルタ再生動作が終了してしまったりするといった現状を招くことが回避できて、フィルタ再生動作の開始及び終了を最適なタイミングで実行することが可能になる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、自動車に搭載されたコモンレール式筒内直噴型多気筒(例えば直列4気筒)ディーゼルエンジンに本発明を適用した場合について説明する。
−エンジンの構成説明−
先ず、本実施形態に係るディーゼルエンジン(以下、単にエンジンという)の概略構成について説明する。図1は本実施形態に係るエンジン1及びその制御系統の概略構成図である。
この図1に示すように、本実施形態に係るエンジン1は、燃料供給系2、燃焼室3、吸気系6、排気系7等を主要部として構成されるディーゼルエンジンシステムである。
燃料供給系2は、サプライポンプ21、コモンレール22、燃料噴射弁23、遮断弁24、燃料添加ノズル26、機関燃料通路27、添加燃料通路28等を備えて構成されている。
上記サプライポンプ21は、燃料タンクから燃料を汲み上げ、この汲み上げた燃料を高圧にした後、機関燃料通路27を介してコモンレール22に供給する。コモンレール22は、サプライポンプ21から供給された高圧燃料を所定圧力に保持(蓄圧)する蓄圧室としての機能を有し、この蓄圧した燃料を各燃料噴射弁23に分配する。燃料噴射弁23は、その内部に電磁ソレノイドを備え、適宜開弁して燃焼室3内に燃料を噴射供給する。
また、上記サプライポンプ21は、燃料タンクから汲み上げた燃料の一部を、添加燃料通路28を介して燃料添加ノズル26に供給する。添加燃料通路28には、緊急時において添加燃料通路28を遮断して燃料添加を停止するための上記遮断弁24が備えられている。
また、上記燃料添加ノズル26は、後述するECU4による添加制御動作によって排気系への燃料添加量が目標添加量(排気A/Fが目標A/Fとなるような添加量)となるように、また、燃料添加タイミングが所定タイミングとなるように開弁時期が制御される電子制御式の開閉弁により構成されている。つまり、この燃料添加ノズル26から所望の燃料が適宜のタイミングで排気系7(排気ポート71から排気マニホールド72)に噴射供給される構成となっている。
吸気系6は、シリンダヘッドに形成された吸気ポートに接続される吸気マニホールド63を備え、この吸気マニホールド63に、吸気通路を構成する吸気管64が接続されている。また、この吸気通路には、上流側から順にエアクリーナ65、エアフローメータ43、スロットル弁62が配設されている。上記エアフローメータ43は、エアクリーナ65を介して吸気通路に流入される空気量に応じた電気信号を出力するようになっている。
排気系7は、シリンダヘッドに形成された排気ポート71に接続される排気マニホールド72を備え、この排気マニホールド72、排気通路を構成する排気管73,74が接続されている。また、この排気通路には、後述するNOx吸蔵触媒(NSR触媒)75及びDPNR触媒76を備えたマニバータ77が配設されている。
更に、このエンジン1には、過給機(ターボチャージャ)5が設けられている。このターボチャージャ5は、タービンシャフト5Aを介して連結されたタービンホイール5B及びコンプレッサホイール5Cを備えている。コンプレッサホイール5Cは吸気管64内部に臨んで配置され、タービンホイール5Bは排気管73内部に臨んで配置されている。このためターボチャージャ5は、タービンホイール5Bが受ける排気流(排気圧)を利用してコンプレッサホイール5Cを回転させ、吸気圧を高めるといった所謂過給動作を行うようになっている。
吸気系6の吸気管64には、ターボチャージャ5での過給によって昇温した吸入空気を強制冷却するためのインタークーラ61が設けられている。このインタークーラ61よりも更に下流側に設けられた上記スロットル弁62は、その開度を無段階に調整することができる電子制御式の開閉弁であり、所定の条件下において吸入空気の流路面積を絞り、この吸入空気の供給量を調整(低減)する機能を有している。
また、エンジン1には、吸気系6と排気系7とを接続する排気還流通路(EGR通路)8が設けられている。このEGR通路8は、排気の一部を適宜吸気系6に還流させて燃焼室3へ再度供給することにより燃焼温度を低下させ、これによってNOx発生量を低減させるものである。また、このEGR通路8には、電子制御によって無段階に開閉され、同通路を流れる排気流量を自在に調整することができるEGR弁81と、EGR通路8を通過(還流)する排気を冷却するためのEGRクーラ82とが設けられている。
−NSR触媒75及びDPNR触媒76の説明−
排気系7において、タービンホイール5Bの下流に備えられた上記NSR(NOx Storage Reduction)触媒75及びDPNR(Diesel Paticulate−NOx Reduction)触媒76について以下に説明する。
NSR触媒75は、吸蔵還元型NOx触媒であって、例えばアルミナ(Al23)を担体とし、この担体上に例えばカリウム(K)、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、セシウム(Cs)のようなアルカリ金属、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)のようなアルカリ土類、ランタン(La)、イットリウム(Y)のような希土類と、白金(Pt)のような貴金属とが担持された構成となっている。
このNSR触媒75は、排気中に多量の酸素が存在している状態においてはNOxを吸蔵し、排気中の酸素濃度が低く、かつ還元成分(例えば燃料の未燃成分(HC))が多量に存在している状態においてはNOxをNO2若しくはNOに還元して放出する。NO2やNOとして放出されたNOxは、排気中のHCやCOと速やかに反応することによってさらに還元されてN2となる。また、HCやCOは、NO2やNOを還元することで、自身は酸化されてH2OやCO2となる。すなわち、NSR触媒75に導入される排気中の酸素濃度やHC成分を適宜調整することにより、排気中のHC、CO、NOxを浄化することができるようになっている。本実施形態のものでは、この排気中の酸素濃度やHC成分の調整を上記燃料添加ノズル26からの燃料添加動作によって行うようになっている。
一方、DPNR触媒76は、モノリス構造に形成された壁部を有するフィルタであって、この壁部の微小孔を排気ガスが通過するように構成されている。以下、このフィルタの構造について具体的に説明する。
図2(a)はフィルタ79の正面図(後述するセル79cの閉塞箇所に斜線を付している)であり、図2(b)は図2(a)におけるB−B線に沿った断面図である。この図2に示すように、フィルタ79は、多孔質材料(例えば、コージェライト)からなる円筒形状のセラミック構造体79aによって形成されている。その内部は、セル隔壁79bによって格子状に区切られたハニカム構造を成し、排気通路となる複数のセル79c,79c,…が設けられている。セル79cは、下流側の端部が閉塞された流入側セル79dと上流側の端部が閉塞された流出側セル79eとからなり、流入側セル79dと流出側セル79eとは、フィルタ部となる上記セル隔壁79bを介して隣り合っている。
従って、フィルタ79の上流側開口部79fから流入側セル79d内に導入された排気は、図2(b)に矢印で示すように、セル隔壁79bを通過して隣接する流出側セル79eに流入し、下流側開口部79gから排出される。このため、排気がセル隔壁79bを通過する際、排気中のPMをセル隔壁79bで捕らえることができる。尚、本実施形態におけるフィルタ79は、セル隔壁79bの平均細孔径は約30μm、気孔率は約60%となっている。これら値はこれに限るものではない。
更に、フィルタ79のセル隔壁79bの表面及び内部は、多孔質酸化物によって被覆され、この多孔質酸化物に酸化触媒及びNOx吸蔵材が担持されている。具体的には、セル隔壁79bの表面及び内部に多孔質酸化物としてγ−Al23等が形成され、このγ−Al23を担体として、酸化触媒としてPt、NOx吸蔵材としてBa等がそれぞれ担持された触媒が形成されている。
このような構成のフィルタ79では、排気中に多量の酸素が存在している状態(リーン雰囲気)において、PMが捕集されると共に排気中のNOxがNOx吸蔵材に吸蔵される。また、排気中の酸素濃度が低く還元成分(例えばHC)が十分に存在している状態(リッチ雰囲気)では、上記NSR触媒75と同様に、NOxをNO2若しくはNOに還元して放出し、このNO2やNOとして放出されたNOxが、排気中のHCやCOと速やかに反応することによってさらに還元されてN2となる。また、HCやCOは、NO2やNOを還元することで、自身は酸化されてH2OやCO2となる。また、フィルタ79内の温度を酸化触媒(Pt)存在下におけるPMの酸化反応(燃焼)温度にまで上昇させることで、捕集したPMを酸化(燃焼)させ、フィルタ79を再生することができるようになっている。本実施形態のものでは、このNOxの還元動作やフィルタ79の再生動作についても、上記燃料添加ノズル26からの燃料添加によって行うようになっている。つまり、この燃料添加ノズル26がフィルタ再生手段として構成されている。
具体的には、ディーゼルエンジンは、通常、混合気の空燃比が理論空燃比を上回る状態で燃焼するため、排気中に多量の酸素が存在している状態(リーン雰囲気)となっている。このため、通常の運転条件下では、排気中のNOxがNOx吸蔵材に吸蔵される。また、この際、排気中のPMはセル隔壁79bで捕らえられることになる。そして、燃料添加ノズル26から燃料を排気中に添加し、リッチ雰囲気とすることで、吸蔵されたNOxが還元浄化されると共に、PMが燃焼してフィルタ79が再生される。この際、上記NOxが還元されるのに伴い、活性酸素が生成される。この活性酸素は、酸化剤として極めて高い反応性を有しているため、NOx吸蔵材(Ba)の表面及び近傍に堆積しているPMの酸化を促進することができる。
また、本実施形態では、燃料添加ノズル26からの燃料をターボチャージャ5のタービンホイール5Bの上流で噴射しているため、この燃料がタービンホイール5Bによる攪拌作用及び昇温作用によって霧状とされやすくなり、触媒75,76の浄化能力を回復させるための効力が大きく得られるようになっている。
以上がNSR触媒75及びDPNR触媒76の概略構成及びその動作である。
−制御系統の説明−
上記エンジン1の各部位には、各種センサが取り付けられており、それぞれの部位の環境条件や、エンジン1の運転状態に関する信号を出力する。例えば、レール圧センサ41は、コモンレール22内に蓄えられている燃料の圧力に応じた検出信号を出力する。燃圧センサ42は、添加燃料通路28内を流通する燃料の圧力(燃圧)Pgに応じた検出信号を出力する。上記エアフローメータ43は、吸気系6内のスロットル弁62上流において吸入空気の流量(吸気量)Gaに応じた検出信号を出力する。空燃比(A/F)センサ44は、排気系7の触媒ケーシングの下流において排気中の酸素濃度に応じて連続的に変化する検出信号を出力する。排気温センサ45は、同じく排気系7の触媒ケーシング下流において排気の温度(排気温度)Texに応じた検出信号を出力する。また、アクセル開度センサ46はアクセルペダルに取り付けられ、同ペダルへの踏み込み量Accに応じた検出信号を出力する。クランク角センサ47は、エンジン1の出力軸(クランクシャフト)が一定角度回転する毎に検出信号(パルス)を出力する。吸気圧センサ48は、吸気マニホールド63に備えられ、吸入空気圧力に応じた検出信号を出力する。吸気温センサ49は、吸気マニホールド63に備えられ、吸入空気温度に応じた検出信号を出力する。これら各センサ41〜49は、電子制御装置(ECU)4と電気的に接続されている。
ECU(Electronic Control Unit)4は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びバックアップRAM、タイマーやカウンタ等を備え、これらと、A/D(Analog/Digital)変換器を含む外部入力回路及び外部出力回路とが双方向性バスにより接続されて構成される。
このように構成されたECU4は、上記各種センサの検出信号を外部入力回路を介して入力し、これら信号に基づいてエンジン1の燃料噴射等についての基本制御を行う他、燃料添加ノズル26からの燃料添加にかかる添加タイミングや添加量の決定等に関する燃料添加制御等、エンジン1の運転状態に関する各種制御を実行する。
−フィルタ79再生のための構成−
また、ECU4においては、PMがDPNR触媒76に捕集されている状態をこのDPNR触媒76の前後差圧を検出することにより検知している。詳しくは、排出ガスのPMを取り除くための多孔質セラミック構造体から構成されるDPNR触媒76の上流側(エンジン1側)の空隙にDPNR前圧力検知用配管76aを設け、DPNR触媒76の下流側にDPNR後圧力検知用配管76bを設けて、それらのDPNR前圧力検知用配管76aとDPNR後圧力検知用配管76bとを、それらの差圧を検知する差圧トランスデューサ78に接続している。差圧トランスデューサ78は、ECU4へ、検知した差圧を電気信号に変換して送信する。つまり、PMの捕集量が増大してくると上記差圧が大きくなることを利用して、PM捕集量を検知できるようにしている。そして、この差圧トランスデューサ78によって検知される上記差圧に基づいてフィルタ再生動作の開始及び終了を制御するようになっている。具体的には、上記差圧が所定の再生開始圧力値まで上昇するとフィルタ再生動作を開始させ、このフィルタ再生動作によって上記差圧が所定の再生終了圧力値まで下降するとフィルタ再生動作を終了させるようになっている。尚、このフィルタ再生動作の開始及び終了に係る制御の詳細については後述する。
また、エンジン1の駆動時には、エンジンオイルの燃焼に伴って発生するアッシュ(主成分はCaSO4)も排気ガスと共に排気系7に排出され、このアッシュがフィルタ79に堆積していく。このアッシュは、上記フィルタ再生動作では除去することができず継続的にフィルタ79に残存するものである。
そして、本実施形態の特徴とするところは、このエンジンオイルの燃焼に伴って発生するアッシュは、その全てがフィルタ79に堆積するといったものではなく、その一部はフィルタ79を通過して(すり抜けて)大気中に放出されることに着目し、このフィルタ79を通過するアッシュすり抜け量を考慮して、上記再生開始圧力値及び再生終了圧力値を変更していくことにある。つまり、エンジンの累積運転時間が長いほどフィルタ79に堆積するアッシュの量も多くなっていくので、それに伴って上記再生開始圧力値及び再生終了圧力値を高く設定していくように各圧力値を補正していくものの、その補正幅としては、アッシュすり抜け量が多いほど再生開始圧力値及び再生終了圧力値を高く設定していく補正量を小さく設定するようにしている。つまり、アッシュすり抜け量が多いほど、単位時間当たりにフィルタ79に堆積するアッシュの量は少なく、このため、アッシュの影響によるフィルタ79内部での圧力損失の増加量も小さいので、それに応じて再生開始圧力値及び再生終了圧力値を高く設定していく補正量(各圧力値に対する加算値)を小さくするように調整している。
−フィルタ79の再生動作−
次に、フィルタ79の再生動作の手順を図3のフローチャートに沿って説明する。
先ず、ステップST1において、上記差圧トランスデューサ78からの信号に基づいてDPNR触媒76の排気上流側と排気下流側との圧力差を検知し、この圧力差(以下、検知圧力差という)が所定の再生開始圧力値A(i)よりも高い値となっているか否かを判定する。本実施形態の特徴の一つは、この検知圧力差と比較される再生開始圧力値A(i)が上記アッシュすり抜け量に応じた値として変更可能となっている点にある。この変更動作については以下のステップで説明する。
ステップST1において、検知圧力差が再生開始圧力値A(i)よりも高い値となっているYESに判定された場合には、ステップST2に移ってフィルタ再生動作を開始する。つまり、燃料タンクから汲み上げた燃料の一部を添加燃料通路28を介して燃料添加ノズル26から排気系へ噴射する。これにより、DPNR触媒76のフィルタ79上のPMが燃焼して除去されていく。このPMの燃焼除去に伴ってフィルタ79内部での圧力損失が低下していき、上記検知圧力差は徐々に低くなっていく。
ステップST3では、この検知圧力差が所定の再生終了圧力値B(i)よりも低い値となったか否かが判定される。本実施形態の特徴のもう一つは、この検知圧力差と比較される再生終了圧力値B(i)が上記アッシュすり抜け量に応じた値として変更可能となっている点にある。この変更動作についても以下のステップで説明する。
検知圧力差が再生終了圧力値B(i)に達していない(検知圧力差が再生終了圧力値B(i)以上の値である)NO判定されている間は、フィルタ再生動作を継続する。一方、検知圧力差が再生終了圧力値B(i)よりも低い値となってYES判定された場合には、ステップST4に移りフィルタ再生動作を終了する。つまり、燃料添加ノズル26から排気系7への燃料添加を停止する。
そして、ステップST5以降の動作によって上記再生開始圧力値A(i)及び再生終了圧力値B(i)が変更される。
先ず、ステップST5において、エンジンオイルの消費量を検知する。具体的には、上記ECU4のROMには、エンジン回転数とエンジン負荷とに応じたエンジンオイル消費量マップが記憶されており、エンジン運転状態の履歴(上記エンジン回転数及びエンジン負荷の変化の履歴)に基づき、このエンジンオイル消費量マップからエンジンオイルの消費量を求める。この場合、エンジン回転数が高い状態での運転時間が長いほど、またエンジン負荷が高い状態での運転時間が長いほどエンジンオイルの消費量は高い値として求められる。
次に、ステップST6において、DPNR触媒76のフィルタ79上のPM堆積量を検知する。具体的には、上記ECU4のROMには、エンジン回転数とエンジン負荷とに応じたPM堆積量マップが記憶されており、エンジン運転状態の履歴(上記エンジン回転数及びエンジン負荷の変化の履歴)に基づきこのPM堆積量マップからフィルタ79上のPM堆積量を求める。この場合も、エンジン回転数が高い状態での運転時間が長いほど、またエンジン負荷が高い状態での運転時間が長いほどPM堆積量は高い値として求められる。
そして、ステップST7では、アッシュ発生量の算出動作及びアッシュすり抜け量の算出動作が行われる。以下に詳述する。
先ず、アッシュ発生量の算出動作としては、上記ステップST5において求められたエンジンオイルの消費量からアッシュ発生量が算出される。このアッシュは、エンジンオイル中のCa(カルシウム)を主成分とするため、エンジンオイルの消費量に対して略一定の比率で発生する。このため、エンジンオイルの消費量を検知し、それに一定量の割合(エンジンオイル中におけるCaの割合)を乗算するなどしてアッシュ発生量を算出することが可能である。
また、アッシュすり抜け量の算出動作としては、上記ステップST6において求められたフィルタ79上のPM堆積量からアッシュすり抜け量が算出される。つまり、フィルタ79上のPM堆積量とアッシュすり抜け量との間には一定の相関がある。具体的には、アッシュは、フィルタ79のセル隔壁79bの微小孔内面に付着したPM上に堆積していくものであるため、フィルタ79上のPM堆積量が比較的少なくセル隔壁79bの微小孔内面の露出面が多い場合には、上記すり抜け量は多く、殆どのアッシュはフィルタ79に捕集されずにすり抜けていく。これに対し、フィルタ79上のPM堆積量が多くなっていき、セル隔壁79bの微小孔内面の露出面が少なくなっていくほど、アッシュがフィルタ79に堆積(付着)する。つまり、PM堆積量が多いほどアッシュすり抜け量は少なくなる。言い換えると、PM堆積量が多いほどフィルタ79上における単位時間当たりのアッシュ堆積量は多くなる。以上の関係から、フィルタ79上のPM堆積量からアッシュすり抜け量を算出することができる。
また、上記ECU4のROMに、PM堆積量に応じてアッシュすり抜け量を求めることが可能なアッシュすり抜け量マップを記憶させておき、このアッシュすり抜け量マップからアッシュすり抜け量を求めるようにしてもよい。
そして、ステップST8では、上記算出されたアッシュ発生量及びアッシュすり抜け量に基づいて上記再生開始圧力値A(i)及び再生終了圧力値B(i)が変更される。
具体的には、上記ステップST7で算出されたアッシュ発生量からアッシュすり抜け量を減算することによってフィルタ79における実際のアッシュ堆積量を算出する。そして、このアッシュ堆積量に基づいて、フィルタ79内部において、このアッシュのみの影響により生じている差圧C(フィルタ79の排気上流側と排気下流側との圧力差)を求める。この差圧Cは、前回の再生開始圧力値A(i)及び再生終了圧力値B(i)の変更動作(更新動作)から今回の変更動作までの間においてフィルタ79に実際に堆積されたアッシュ堆積量によって増加した差圧値として求められている。
その後、この値(差圧値)Cを、現在の再生開始圧力値A(i)に加算(A(i)+C)し、これにより得られた値を最新の再生開始圧力値A(i)として更新する。同様に、上記値(差圧値)Cを、現在の再生終了圧力値B(i)に加算(B(i)+C)し、これにより得られた値を最新の再生終了圧力値B(i)として更新する。このようにして再生開始圧力値A(i)及び再生終了圧力値B(i)が変更されるようになっているため、上記ステップST7の動作がアッシュ発生量算出手段及びアッシュすり抜け量推定手段としての機能を備えており、上記ステップST8の動作が再生圧力値補正手段及び補正量変更手段としての機能を備えていることになる。
このようにして算出された再生開始圧力値A(i)及び再生終了圧力値B(i)を、次回のフィルタ再生動作時における再生開始圧力値A(i)及び再生終了圧力値B(i)として利用(上記ステップST1及びステップST3での判定に利用)し、上述したステップST1〜ステップST4のフィルタ再生動作が実行されることになる。尚、上記ステップST1において、検知圧力差が再生開始圧力値A(i)以下である状況では、上記ステップST5〜ステップST8の動作が繰り返されて、上記再生開始圧力値A(i)及び再生終了圧力値B(i)が、所定時間毎または所定のクランク角回転毎に更新されていくことになる。
このようにして、上記ステップST5〜ステップST8の動作による再生開始圧力値A(i)及び再生終了圧力値B(i)の更新動作が行われる度に、前回の更新動作で得られた再生開始圧力値A(i)及び再生終了圧力値B(i)に対して、その後のエンジンオイル消費量(アッシュ発生量を求めるためのエンジンオイル消費量)やPM堆積量(アッシュすり抜け量を求めるためのPM堆積量)に基づいた加算補正値(上記差圧C)が加算されることで再生開始圧力値A(i)及び再生終了圧力値B(i)が更新されていき、これら値を利用したフィルタ再生動作が実行される。
以上説明したように本実施形態では、アッシュすり抜け量が少ない状況では、発生したアッシュの殆どはフィルタ79に堆積されているため、再生開始圧力値及び再生終了圧力値が高くなるように補正していく補正量Cを比較的大きく設定している。これに対し、アッシュすり抜け量が多い状況では、発生したアッシュのうちのかなりの量がフィルタ79に堆積することなくすり抜けているため、再生開始圧力値及び再生終了圧力値が高くなるように補正していく補正量Cを比較的小さく設定している。これにより、実際のPMの堆積量に適したフィルタ再生動作の開始タイミング及び終了タイミングを得ることができ、フィルタ再生動作が必要となる量のPM堆積量に達しているにも拘わらずフィルタ再生動作が開始されなかったり、PM堆積量が未だかなり残っているにも拘わらずフィルタ再生動作が終了してしまったりするといった現状を招くことが回避できる。その結果、フィルタ再生動作の開始及び終了を最適なタイミングで実行することが可能になり、必要最小限の頻度及び継続時間でフィルタ再生動作を実行させることによるエンジンの燃費向上を図ることができる。
また、本実施形態では、上記再生開始圧力値A(i)及び再生終了圧力値B(i)の更新動作時における加算補正値(上記差圧C)は互いに同一の値としている。このため、フィルタ再生動作開始時のPM堆積量とフィルタ再生動作終了時のPM堆積量との差をアッシュの堆積量に関わりなく常に一定に維持できる。つまり、1回のフィルタ再生動作によって燃焼除去されるPMの量をアッシュの堆積量に関わりなく安定して得ることができ、フィルタ再生動作の信頼性を長期間に亘って高く維持することが可能になる。
−その他の実施形態−
以上説明した実施形態では、自動車に搭載されたコモンレール式筒内直噴型多気筒ディーゼルエンジン1に本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、その他の形式のディーゼルエンジンにも適用可能である。また、自動車用に限らず、その他の用途に使用されるエンジンにも適用可能である。また、気筒数やエンジン形式(直列型エンジン、V型エンジン等の別)についても特に限定されるものではない。
また、上記実施形態では、マニバータ77として、NSR触媒75及びDPNR触媒76を備えたものとしたが、NSR触媒75及びDPF(Diesel Paticulate Filter)を備えたものとしてもよい。
また、上記実施形態では、フィルタ79を再生するための手法として、燃料添加ノズル26からの燃料添加を実行するようにした。本発明は、これに限らず、以下の手法によってフィルタ79を再生させるものに対しても適用可能である。つまり、フィルタ79にヒータを備えさせ、このヒータによってフィルタ温度を高温化する方法、エンジン1の吸入空気量を絞る(スロットル弁62の開度を小さくする)ことにより空燃比(A/F)を低くして排気温度を高くする方法、燃料噴射時期を遅角する方法、パイロット噴射(主噴射の直前に行われる燃料噴射)にて排気ガスを高温化する方法等である。
また、フィルタ79の上流側と下流側との圧力差を検知する構成としては差圧トランスデューサ78にDPNR前圧力検知用配管76a及びDPNR後圧力検知用配管76bをそれぞれ接続する構成としたが、本発明はこれに限らず、フィルタ79の上流側及び下流側にそれぞれ圧力センサを備えさせ、これら圧力センサによって検出された排気圧力の差を求める構成としてもよい。また、フィルタ79の上流側のみに圧力センサを備えさせ、この圧力センサによって検出された排気圧力と大気圧との差を求める構成としてもよい。
更には、上記フローチャートにおけるステップST5でのエンジンオイルの消費量検知動作ではエンジンオイル消費量マップを使用していた。本発明はこれに限らず、エンジン1のオイルパンにオイル量を検知可能なセンサやスイッチ類を備えさせ、その検知信号に基づいてエンジンオイルの消費量を検知するようにしてもよい。例えば、オイルパンにエンジンオイルの油面高さを検知可能なフロートセンサを備えさせ、このフロートセンサによって検知されるエンジンオイルの油面高さの変化に基づいてエンジンオイルの消費量を検知するものである。また、自動車の積算走行距離に基づいてエンジンオイルの消費量を推定するようにしてもよい。
実施形態に係るエンジン及びその制御系統の概略構成を示す図である。 図2(a)はフィルタの正面図であり、図2(b)は図2(a)におけるB−B線に沿った断面図である。 フィルタ再生動作の手順を示すフローチャート図である。
符号の説明
1 エンジン(内燃機関)
26 燃料添加ノズル(フィルタ再生手段)
73 排気管(排気通路)
76 DPNR触媒
79 フィルタ
PM 粒子状物質
A 再生開始圧力値
B 再生終了圧力値

Claims (5)

  1. 内燃機関の排気通路中に備えられた粒子状物質捕集用のフィルタと、このフィルタに捕集されている粒子状物質を燃焼除去するためのフィルタ再生動作を実行させるフィルタ再生手段とを備え、フィルタ上流側とフィルタ下流側との圧力差が所定の再生開始圧力値まで上昇すると上記フィルタ再生手段によるフィルタ再生動作を開始させ、このフィルタ再生動作によって上記圧力差が所定の再生終了圧力値まで下降するとフィルタ再生動作を終了させる内燃機関の排気浄化装置において、
    上記フィルタに堆積するアッシュの量が多くなるに従って上記再生開始圧力値及び再生終了圧力値が高くなるように補正していく再生圧力値補正手段と、
    上記フィルタを通過するアッシュすり抜け量を推定するアッシュすり抜け量推定手段と、
    このアッシュすり抜け量推定手段の出力を受け、アッシュすり抜け量が多いほど、上記再生圧力値補正手段によって再生開始圧力値及び再生終了圧力値が高くなるように補正していく補正量を小さな値として設定する補正量変更手段とを備えていることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  2. 内燃機関の排気通路中に備えられた粒子状物質捕集用のフィルタと、このフィルタに捕集されている粒子状物質を燃焼除去するためのフィルタ再生動作を実行させるフィルタ再生手段とを備え、フィルタ上流側とフィルタ下流側との圧力差が所定の再生開始圧力値まで上昇すると上記フィルタ再生手段によるフィルタ再生動作を開始させ、このフィルタ再生動作によって上記圧力差が所定の再生終了圧力値まで下降するとフィルタ再生動作を終了させる内燃機関の排気浄化装置において、
    上記フィルタに堆積するアッシュの量が多くなるに従って上記再生開始圧力値及び再生終了圧力値が高くなるように補正していく再生圧力値補正手段と、
    内燃機関の潤滑油消費量に基づいて、アッシュの発生量を算出するアッシュ発生量算出手段と、
    上記フィルタ内部における粒子状物質の堆積量に基づいて、フィルタを通過するアッシュすり抜け量を推定するアッシュすり抜け量推定手段と、
    上記アッシュ発生量算出手段及びアッシュすり抜け量推定手段の出力を受け、アッシュ発生量からアッシュすり抜け量を減算することによりフィルタ上のアッシュ堆積量を求め、このアッシュ堆積量が少ないほど、上記再生圧力値補正手段によって再生開始圧力値及び再生終了圧力値が高くなるように補正していく補正量を小さな値として設定する補正量変更手段とを備えていることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  3. 上記請求項2記載の内燃機関の排気浄化装置において、
    アッシュ発生量算出手段は、内燃機関の潤滑油消費量が多いほどアッシュの発生量を大きな値として算出するものであることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  4. 上記請求項2または3記載の内燃機関の排気浄化装置において、
    アッシュすり抜け量推定手段は、フィルタ内部における粒子状物質の堆積量が多いほどフィルタを通過するアッシュすり抜け量を小さな値として推定するものであることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  5. 上記請求項1〜4のうち何れか一つに記載の内燃機関の排気浄化装置において、
    補正量変更手段は、再生開始圧力値及び再生終了圧力値が高くなるように補正していく際における、再生開始圧力値に対する補正量及び再生終了圧力値に対する補正量を互いに同一の値とするものであることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
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