JP6268688B1 - エンジンの排気浄化制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】SCR触媒へのNH3の供給量を削減補正する際において、当該削減量を好適に設定することによって、効率的なNOXの浄化を実現できるエンジンの排気浄化制御装置を提供すること。【解決手段】NH3供給量制御部が、NOX触媒に流入する排気ガスの空燃比がリッチな状態であって当該NOX触媒が吸蔵していたNOXがN2に還元されている際には、NH3供給部によるSCR触媒へのNH3の供給量を削減補正する。NH3供給量制御部によるNH3の供給量の削減量は、NOX触媒吸蔵酸素量把握部によって検出ないし推定されるNOX触媒の吸蔵酸素量が多い程、少量であるように設定されている。【選択図】図12

Description

本発明は、エンジンの排気浄化制御装置に係り、特に、排気ガス中のNOX を浄化するNOx 触媒を排気通路上に備えるエンジンの排気浄化制御装置に関する。
従来から、特許文献1に示すように、エンジンの排気通路上に設けられ、NH3 との反応によって排気ガス中のNOX を浄化するSCR触媒と、排気ガスの空燃比が理論空燃比よりも大きいリーンな状態(λ>1)において排気ガス中のNOX を吸蔵し、この吸蔵したNOx を、排気ガスの空燃比が理論空燃比近傍である状態(λ≒1)あるいは理論空燃比よりも小さいリッチな状態(λ<1)において還元する、NOX 吸蔵還元型のNOX 触媒と、を備えたエンジンの排気浄化装置が知られている。このエンジンの排気浄化装置においては、エンジンが高回転数且つ高負荷域である場合、すなわちSCR触媒の温度が高くなるエンジンの運転領域である場合においては、SCR触媒によるNOX の浄化が行われ、それ以外の場合には、NOX 触媒によるNOX の浄化が行われている。
また、特許文献2に示すように、尿素をSCR触媒に噴射する尿素噴射弁を備える代わりに、NOX 触媒におけるNOX 還元制御において発生したNH3 をSCR触媒に吸着させることでSCR触媒によるNOX の浄化を行うものが知られている。すなわち、NOX 還元制御でNH3 が発生することが知られている。また、特許文献3に示すように、NOX 触媒の温度を検出することによって、当該NOX 触媒においてNOX がNH3 に変換される変換率を算出できることが知られている。さらに、NOX 還元制御におけるNH3 の発生量がNOX 触媒温度によって変化することが知られている。詳細には、NOX 触媒の温度が高いほど、NH3 の発生率が高くなることが開示されている。
特許第3518398号 特開2010−112345号公報 特許第4347076号
前記した特許文献1のように、尿素噴射弁によりSCR触媒にNH3 を供給する一方で、NOX 触媒におけるNOX 還元制御を行うと、NOX 還元制御において発生したNH3 により、SCRへのNH3 供給が過剰になる恐れがある。その結果、SCR触媒の吸着能力を超える量のNH3 がSCR触媒に供給されて、SCR触媒下流の排気通路にアンモニアが放出されてしまう恐れがある。
そこで、NOX 触媒還元制御時に発生するNH3 を考慮し、SCR触媒への過剰なアンモニア供給を抑制して、SCR触媒下流の排気通路にアンモニアが放出されてしまうことを抑制することが考えられる。
ところが、NOX 還元制御時に発生するNH3 量はNOX 触媒の温度によって変化するため、これを加味しなければ、SCR触媒下流の排気通路へのアンモニア放出を十分に抑制できない。あるいは、SCR触媒へのアンモニア供給抑制が過剰になり、SCRで吸着されたNH3 が不足して、SCRでのNOX 浄化性能が低下する恐れがある。
前記特許文献3には、NOX 触媒の温度が高いほど、NH3 の発生率が高くなることが記載されている。この特許文献3では、NOX 触媒温度が高いほど、NH3 が発生する反応がしやすくなることを加味していると考えられる。
しかしながら、本件発明者の知見によれば、NOX 触媒に吸蔵されている吸蔵酸素の影響を受けてNH3 の発生量が変化する。前記特許文献3では、この現象(傾向)が加味されていないため、NOX 触媒還元制御時に発生するNH3 を正確に把握できていない。
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであり、NOX 触媒還元制御時に発生するNH3 を正確に把握して、SCR触媒への過剰なアンモニア供給の抑制を適切に実行できるようにすることによって、SCR触媒下流の排気通路へのアンモニア放出を抑制するとともに効率的なNOX の浄化を実現できるエンジンの排気浄化制御装置を提供することを目的とする。
本発明は、エンジンの排気通路に設けられ、流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンな状態である時には当該排気ガス中のNOX を吸蔵すると共に、流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチな状態である時には吸蔵していたNOX をN2 に還元するNOX 触媒と、前記NOX 触媒に流入する排気ガスの空燃比がリッチな状態となるように、前記エンジンにおける燃料噴射弁を制御するNOX 触媒再生部と、前記NOX 触媒の下流の排気通路に設けられ、NH3 との反応によって当該NOX を浄化するSCR触媒と、前記SCR触媒にNH3 ないしNH3 原料を供給してNH3 を吸着させるNH3 供給部と、前記NH3 供給部による前記SCR触媒へのNH3 ないしNH3 原料の供給量を制御するNH3 供給量制御部と、前記NOX 触媒の吸蔵酸素量を検出ないし推定するNOX 触媒吸蔵酸素量把握部と、を備え、前記NH3 供給量制御部は、前記NOX 触媒再生部によるNOX 触媒再生を実行した場合には、前記NH3 供給部による前記SCR触媒へのNH3 ないしNH3 原料の供給量を削減補正するようになっており、前記NH3 供給量制御部による前記NH3 ないしNH3 原料の供給量の削減量は、前記NOX 触媒吸蔵酸素量把握部によって検出ないし推定される前記吸蔵酸素量が多い程、少量であるように設定されていることを特徴とするエンジンの排気浄化制御装置である。
本発明によれば、NH3 供給量制御部によるNH3 ないしNH3 原料の供給量の削減量が、NOX 触媒の吸蔵酸素量が多い程、少量であるように設定されていることにより、NOX 触媒でのNH3 の発生量を考慮した効率的なNOX の浄化を実現できる。
本件発明者の知見によれば、NOX 触媒の吸蔵酸素量が多いと、NOX 触媒において発生したNH3 が当該吸蔵酸素と更に反応してしまって、結果的にNOX 触媒からのNH3 発生量が減少する。本発明は、この現象を反映させたものである。
好ましくは、前記NH3 供給量制御部による前記NH3 ないしNH3 原料の供給量の削減量は、前記NOX 触媒吸蔵酸素量把握部によって検出ないし推定される前記吸蔵酸素量がゼロになるまで、ゼロに設定されている。
この場合、NOX 触媒において発生したNH3 がNOX 触媒に吸蔵されていた酸素によって消費されるという反応(現象)が終了してから、NH3 供給量制御部によるNH3 ないしNH3 原料の供給量の削減補正が開始されることになる。このため、より高精度にNOX 触媒でのNH3 発生量を考慮した効率的なNOX の浄化を実現できる。
更に好ましくは、前記NH3 供給量制御部による前記NH3 ないしNH3 原料の供給量の削減量は、前記NOX 触媒吸蔵酸素量把握部によって検出ないし推定される前記吸蔵酸素量がゼロになった後も、更に所定のディレー時間が経過するまで、ゼロに設定されている。
NOX 触媒吸蔵酸素量把握部によって検出ないし推定される前記吸蔵酸素量がゼロになった後も、しばらくの間は、NOX 触媒から解放された酸素が当該NOX 触媒の近傍を浮遊している。この時間の経過を待つことにより、NOX 触媒において発生したNH3 がNOX 触媒に吸蔵されていた酸素によって消費されるという反応(現象)がより完全に終了してから、NH3 供給量制御部によるNH3 ないしNH3 原料の供給量の削減補正を開始することができる。これにより、更に高精度にNOX 触媒でのNH3 発生量を考慮した効率的なNOX の浄化を実現できる。
この場合、前記排気ガスの流量を検出ないし推定する排気ガス流量把握部を更に備え、前記ディレー時間は、前記排気ガス流量把握部によって検出ないし推定される前記排気ガスの流量が多い程、短く設定されることが好ましい。
あるいは、この場合、前記ディレー時間は、前記空燃比がよりリッチである程、短く設定されることが好ましい。
本件発明者の知見によれば、排気ガスの流量が多い程、及び/または、空燃比がよりリッチである程、NOX 触媒においてNH3 が発生する反応が促されるため、NOX 触媒から解放された酸素がより短い時間で消費される。前記の好適な態様例は、当該知見を反映させたものである。
また、前記排気ガスの流量を検出ないし推定する排気ガス流量把握部と、前記SCR触媒の温度を検出ないし推定するSCR触媒温度把握部と、を更に備え、前記排気ガス流量把握部によって検出ないし推定される前記排気ガスの流量が所定の閾値未満であって、且つ、前記SCR触媒温度把握部によって検出ないし推定される前記SCR触媒の温度が所定の閾値未満である時には、前記NOX 触媒のみによってNOX の浄化が実施され、前記排気ガス流量把握部によって検出ないし推定される前記排気ガスの流量が所定の閾値未満であって、且つ、前記SCR触媒温度把握部によって検出ないし推定される前記SCR触媒の温度が所定の閾値以上である時には、前記SCR触媒のみによってNOX の浄化が実施され、前記排気ガス流量把握部によって検出ないし推定される前記排気ガスの流量が所定の閾値以上である時には、前記NOX 触媒によるNOX の浄化と前記SCR触媒によるNOX の浄化とが併用されることが好ましい。
この場合、排気ガスの流量に応じて、且つ、SCR触媒の温度に応じて、効率的なNOX の浄化を実現できる。
また、この場合において、前記NOX 触媒のみによってNOX の浄化が実施される際、前記NH3 供給量制御部は、前記NH3 供給部による前記SCR触媒へのNH3 ないしNH3 原料の供給量を制限するようになっており、前記SCR触媒のみによってNOX の浄化が実施される際、前記NOX 触媒再生部の作動が制限されるようになっていることが好ましい。
本発明によれば、NH3 供給量制御部によるNH3 ないしNH3 原料の供給量の削減量が、NOX 触媒の吸蔵酸素量が多い程、少量であるように設定されていることにより、NOX 触媒でのNH3 の発生量を考慮した効率的なNOX の浄化を実現できる。
本発明の一実施形態によるエンジンの排気浄化制御装置が適用されたエンジンシステムの概略構成図である。 本実施形態によるエンジンの排気浄化制御装置の電気的構成を示すブロック図である。 本実施形態においてパッシブDeNOX 制御及びアクティブDeNOX 制御のそれぞれを実行するエンジンの運転領域についての説明図である。 本実施形態において各触媒のNOX 浄化作用と温度範囲との関係についての説明図である。 本発明の一実施形態による目標空燃比の設定方法についての説明図である。 本発明の一実施形態によるアクティブDeNOX 制御及びパッシブDeNOX 制御を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態による尿素の供給量の削減量の算出フローを示す概略図である。 図8(a)は、NOX 触媒温度の変化に対する、NOX 触媒に吸蔵されていたNOX の浄化プロセスにおいて発生するNH3 (アンモニア)の量のデータであり、図8(b)は、NOX 触媒温度の変化に対する、エンジンから排出されるRawNOX の浄化プロセスにおいて発生するNH3 (アンモニア)の量のデータである。 図9(a)は、排気ガスの流量の変化に対する、NOX 触媒に吸蔵されていたNOX の浄化プロセスにおいて発生するNH3 (アンモニア)の量のデータであり、図9(b)は、排気ガスの流量の変化に対する、エンジンから排出されるRawNOX の浄化プロセスにおいて発生するNH3 (アンモニア)の量のデータである。 図10(a)は、目標空燃比の変化に対する、NOX 触媒に吸蔵されていたNOX の浄化プロセスにおいて発生するNH3 (アンモニア)の量のデータであり、図10(b)は、目標空燃比の変化に対する、エンジンから排出されるRawNOX の浄化プロセスにおいて発生するNH3 (アンモニア)の量のデータである。 図11(a)は、NOX 触媒の熱劣化及びNOX 触媒温度の変化に対する、NOX 触媒に吸蔵されていたNOX の浄化プロセスにおいて発生するNH3 (アンモニア)の量のデータであり、図11(b)は、NOX 触媒の熱劣化及びNOX 触媒温度の変化に対する、エンジンから排出されるRawNOX の浄化プロセスにおいて発生するNH3 (アンモニア)の量のデータである。 本実施形態によるDeNOX 制御のタイムチャートの一例を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態によるエンジンの排気浄化制御装置について説明する。
<システム構成>
最初に、図1を参照して、本発明の一実施形態によるエンジンの排気浄化制御装置が適用されたエンジンシステムについて説明する。図1は、本発明の一実施形態によるエンジンの排気浄化制御装置が適用されたエンジンシステムの概略構成図である。
図1に示すように、エンジンシステム200は、主に、ディーゼルエンジンとしてのエンジンEと、エンジンEに吸気を供給する吸気系INと、エンジンEに燃料を供給するための燃料供給系FSと、エンジンEの排気ガスを排出する排気系EXと、エンジンシステム200に関する各種の状態を検出するセンサ100〜119と、エンジンシステム200の制御を行うPCM(Power-train Control Module)60と、SCR触媒47に関する制御を行うDCU(Dosing Control Unit)70と、を有する。
まず、吸気系INは、吸気が通過する吸気通路1を有しており、この吸気通路1上には、上流側から順に、外部から導入された空気を浄化するエアクリーナ3と、通過する吸気を圧縮して吸気圧を上昇させる、ターボ過給機5のコンプレッサと、外気や冷却水により吸気を冷却するインタークーラ8と、通過する吸気流量を調整する吸気シャッター弁7(スロットルバルブに相当する)と、エンジンEに供給する吸気を一時的に蓄えるサージタンク12と、が設けられている。
エアクリーナ3の直下流側の吸気通路1上には、吸入空気量を検出するエアフローセンサ101及び吸気温度を検出する温度センサ102が設けられ、ターボ過給機5には、吸気の圧力を検出する圧力センサ103が設けられ、インタークーラ8の直下流側の吸気通路1上には、吸気温度を検出する温度センサ106が設けられ、吸気シャッター弁7には、当該吸気シャッター弁7の開度を検出するポジションセンサ105が設けられ、サージタンク12には、吸気マニホールドにおける吸気の圧力を検出する圧力センサ108が設けられている。これらのセンサ101〜108は、それぞれ、検出したパラメータに対応する検出信号S101〜S108をPCM60に出力するようになっている。
次に、エンジンEは、吸気通路1(詳しくは吸気マニホールド)から供給された吸気を燃焼室17内に導入する吸気バルブ15と、燃焼室17に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁20と、通電により発熱する発熱部を燃焼室17内に備えたグロープラグ21と、燃焼室17内での混合気の燃焼により往復運動するピストン23と、ピストン23の往復運動により回転されるクランクシャフト25と、燃焼室17内での混合気の燃焼により発生した排気ガスを排気通路41へ排出する排気バルブ27と、を有する。また、エンジンEには、クランクシャフト25における上死点などを基準とした回転角としてのクランク角を検出するクランク角センサ100が設けられている。クランク角センサ100は、検出したクランク角に対応する検出信号S100をPCM60に出力し、PCM60は、この検出信号S100に基づきエンジン回転数を取得するようになっている。
燃料供給系FSは、燃料を貯蔵する燃料タンク30と、燃料タンク30から燃料噴射弁20に燃料を供給するための燃料供給通路38と、を有する。燃料供給通路38には、上流側から順に、低圧燃料ポンプ31と、高圧燃料ポンプ33と、コモンレール35と、が設けられている。
次に、排気系EXは、排気ガスが通過する排気通路41を有しており、この排気通路41上に、当該排気ガスによって回転され当該回転によって前記したようにコンプレッサを駆動するターボ過給機5のタービンが設けられている。更に、このタービンの下流側の排気通路41上に、上流側から順に、排気ガス中のNOX (RawNOX )を浄化するNOX 触媒45と、排気ガス中の粒子状物質(PM:Particulate Matter)を捕集するディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF:Diesel particulate filter)46と、DPF46の下流側の排気通路41中に尿素(典型的には尿素水)を噴射する尿素インジェクタ51と、が設けられている。
NOX 触媒45は、流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンな状態(λ>1)において排気ガス中のNOX を吸蔵する傾向を有しており、流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比近傍である状態(λ≒1)あるいは理論空燃比よりもリッチな状態(λ<1)において吸蔵していたNOX をN2 に還元する傾向を有しており、NOX 吸蔵還元型触媒(NSC:NOx Storage Catalyst)と呼ばれるものである。NOX 触媒45は、吸蔵していたNOX を還元する際に、NH3 (アンモニア)を発生して放出するようになっている。具体的には、NOX 還元時に、NOX 触媒45が吸蔵していたNOX 中の「N」と、NOX 触媒45に還元剤として供給された未燃燃料などの「HC」中の「H」あるいは筒内燃焼により生じる「H2O」中の「H」と、が結合することで、NH3 (アンモニア)が生成されるようになっている。反応の詳細については、後に段落0142にて詳述する。
なお、詳細は後述するが、NOX 触媒45は、NOX 触媒45に吸蔵されたNOX 量(以下、NOX 吸蔵量という。)が所定の閾値以上になったとき、NOX 触媒45に流入する排気ガスの空燃比がリッチな状態となるように、エンジンEにおける燃料噴射弁20を制御することにより、吸蔵されたNOxを還元して浄化される(NOX 触媒再生部)。本実施形態では、後述するPCM60が、当該NOX 触媒再生部を兼ねている(NOX 触媒再生部の機能をも有している)。
NOX 触媒45におけるNOX の吸蔵量については、エンジンEの運転状態や排気ガスの流量や排気ガスの温度などに基づいて、排気ガス中のNOX 量を推定し、このNOX 量を積算していくことで推定する。あるいは、NOX 吸蔵量検出センサ45nによって、直接検出しても良い。
また、本実施形態のNOX 触媒45は、NSCとしての機能だけでなく、排出ガス中の酸素を用いて炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)などを酸化して水と二酸化炭素に変化させるディーゼル酸化触媒(DOC:Diesel Oxidation Catalyst)45a(酸化触媒)としての機能をも有している。
より具体的には、本実施形態のNOX 触媒45は、ディーゼル酸化触媒45aの触媒材層の表面をNSCの触媒材によってコーティングすることで作られている。これにより、NOX 触媒45は、ディーゼル酸化触媒45aと複合された複合触媒を形成している。すなわち、NOX 触媒45は、ディーゼル酸化触媒45aと組み合わせて配置(構成)されている。これにより、ディーゼル酸化触媒45aにおいて酸化反応により反応熱が生じて温度上昇する場合、当該反応熱はNOX 触媒45に伝達されて、NOX 触媒45の温度上昇が生じるようになっている。
本実施形態では、NOX 触媒45の直上流側に温度センサ112を設けている。この温度センサ112によって検出された温度に基づいてNOX 触媒温度を推定する。このNOX 触媒温度の把握に対して、例えば、NOX 触媒45とDPF46との間に設けられた温度センサ113によって検出してもよい。また、NOX 触媒45に、当該NOX 触媒45の温度を検出するNOX 触媒温度検出センサ45tを設けて検出してもよい。
また、本実施形態では、エンジンの運転状態、具体的にはエンジン回転数とエンジン負荷とからNOX 触媒45に流入する排気ガスの流量を推定するが、NOX 触媒45に流入する排気ガスの流量を検出する排気ガス流量検出センサ45fを設けてもよい。
そして、尿素インジェクタ51の更に下流側に、NOX 触媒45において生成されたNH3 (アンモニア)を排気ガス中のNOX と反応(還元)させて当該NOX を浄化するSCR(Selective Catalytic Reduction)触媒47が配置されている。SCR触媒47は、また、尿素インジェクタ51から噴射された尿素を加水分解してNH3 (アンモニア)を生成し(CO(NH22+H2O→CO2+2NH3)、このNH3 を排気ガス中のNOX と反応(還元)させて当該NOX を浄化する機能をも有している。尿素インジェクタ51は、DCU70から供給される制御信号S51によって、排気通路41中に尿素を噴射するよう制御されるようになっている。
より具体的には、SCR触媒47は、NOX 触媒45におけるNOX の浄化(還元)により生成されたNH3 (アンモニア)、及び/または、尿素インジェクタ51から噴射された尿素から生成されるNH3 、を自身に吸着して、当該吸着したNH3 を排気ガス中のNOX と反応させてNOX を浄化(還元)するようになっている。
例えば、SCR触媒47は、NH3 (アンモニア)によってNOX を還元する機能を有する触媒金属を、NH3 をトラップする機能を有するゼオライトに担持させて触媒成分とし、当該触媒成分をハニカム担体のセル壁に担持させることで作られ得る。NOX 還元用の触媒金属としては、Fe、Ti、Ce、Wなどが用いられ得る。
その他、SCR触媒47の更に下流側に、SCR触媒47から放出されたNH3 (アンモニア)を酸化させて浄化するスリップ触媒48が設けられている。また、SCR触媒47には、当該SCR触媒の温度を検出するSCR触媒温度検出センサ47tが設けられている。SCR触媒温度検出センサ47tは、SCR触媒47の温度を直接的に検出するセンサであるが、これに代えて、SCR触媒47の温度に関連する間接的なパラメータを測定して、当該パラメータからSCR触媒47の温度を推定する手段が設けられてもよい。例えば、SCR触媒47の直上流側に設けられた温度センサ117によって検出された温度に基づいて推定されてもよい。
本実施形態では、尿素インジェクタ51が、SCR触媒47にNH3 原料である尿素を供給してNH3 を吸着させるNH3 供給部となっている。図1に示すように、尿素インジェクタ51は、尿素供給経路53に接続され、尿素供給経路53は、尿素送出ポンプ54を介して尿素タンク55に接続されている。
尿素供給経路53は、尿素(尿素水)を送出できる配管により形成されている。尿素供給経路53上には、尿素が通過した場合の圧力の変化を測定する尿素供給経路圧力センサ56が配置されている。尿素供給経路53上には、尿素が尿素供給経路53上で凍結することを防止するための尿素経路ヒータ57が配置されている。尿素送出ポンプ54は、DCU70からの制御指令を受けて、尿素を尿素タンク55から尿素インジェクタ51に向けて送出するようになっている。
本実施形態では、DCU70が、尿素インジェクタ51(NH3 供給部)によるSCR触媒47への尿素(NH3 原料)の供給量を制御するNH3 供給量制御部となっている。
DCU70は、SCR触媒47によるNOX 浄化性能の確保と、SCR触媒47からのNH3 (アンモニア)の放出(スリップ)の抑制と、を両立する観点から、SCR触媒47に適量のNH3 が吸着されるように、尿素インジェクタ51から噴射される尿素の量を制御する。
その他、DCU70は、尿素供給経路圧力センサ56と、尿素レベルセンサ58と、尿素温度センサ59とに、電気的に接続されている。尿素供給経路圧力センサ56と、尿素レベルセンサ58と、尿素温度センサ59とは、それぞれ、検出したパラメータに対応する検出信号S52〜S54をDCU70に出力する。また、DCU70は、尿素経路ヒータ57と、尿素送出ポンプ54と、尿素タンクヒータ61とに、電気的に接続されている。尿素経路ヒータ57、尿素送出ポンプ54、尿素タンクヒータ61の作動状態は、それぞれ、DCU70から供給される制御信号S55〜S57によって制御することができる。
DCU70は、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及び、プログラムや各種のデータを記憶するためのROMやRAMの如き内部メモリ、を備えるコンピュータにより構成される。DCU70は、PCM60と双方向に通信可能に接続されており、PCM60の制御指令を受けて制御される。例えば、DCU70が取得している各種情報をPCM60に供給する制御信号を、例えば制御信号S58として示す。
また、図1に示すように、ターボ過給機5のタービンの上流側の排気通路41上に、排気ガスの圧力を検出する圧力センサ109、及び、排気ガスの温度を検出する温度センサ110が設けられていてもよい。また、ターボ過給機5のタービンの直下流側の排気通路41上に、酸素濃度を検出するO2センサ111が設けられていてもよい。
更に、排気系EXには、NOX 触媒45の直上流側の排気ガスの温度を検出する温度センサ112と、NOX 触媒45とDPF46との間の排気ガスの温度を検出する温度センサ113と、DPF46の直上流側と直下流側との排気ガスの圧力差を検出する差圧センサ114と、DPF46の直下流側の排気ガスの温度を検出する温度センサ115と、DPF46の直下流側の排気ガス中のNOX の濃度を検出するNOX センサ116と、SCR触媒47の直上流側の排気ガスの温度を検出する温度センサ117と、SCR触媒47の直下流側の排気ガス中のNOX の濃度を検出するNOX センサ118と、スリップ触媒48の直上流側の排気ガス中のPMを検出するPMセンサ119と、が設けられている。これらのセンサ109〜119は、それぞれ、検出したパラメータに対応する検出信号S109〜S119をPCM60に出力するようになっている。
更に、本実施形態では、ターボ過給機5は、排気エネルギーが低い低回転域から高回転域まで全域で効率よく高過給を得られる2段過給システムとして構成されている。即ち、ターボ過給機5は、高回転域において多量の空気を過給するための大型ターボチャージャー5aと、低い排気エネルギーでも効率よく過給を行える小型ターボチャージャー5bと、小型ターボチャージャー5bのコンプレッサへの吸気の流れを制御するコンプレッサバイパスバルブ5cと、小型ターボチャージャー5bのタービンへの排気の流れを制御するレギュレートバルブ5dと、大型ターボチャージャー5aのタービンへの排気の流れを制御するウェイストゲートバルブ5eと、を備えており、エンジンEの運転状態(エンジン回転数及び負荷)に応じて各バルブを駆動することにより、大型ターボチャージャー5aと小型ターボチャージャー5bによる過給を切り替えるようになっている。
また、本実施形態によるエンジンシステム200は、EGR装置43を更に有する。このEGR装置43は、ターボ過給機5のタービンの上流側の排気通路41とターボ過給機5のコンプレッサの下流側(詳しくはインタークーラ8の下流側)の吸気通路1とを接続するEGR通路43aと、EGR通路43aを通過する排気ガスを冷却するEGRクーラ43bと、EGR通路43aを通過させる排気ガスの流量を調整する第1EGRバルブ43cと、EGRクーラ43bをバイパスさせて排気ガスを流すためのEGRクーラバイパス通路43dと、EGRクーラバイパス通路43dを通過させる排気ガスの流量を調整する第2EGRバルブ43eと、を有する。
<PCMの電気的構成と機能>
次に、図2を参照して、本実施形態によるエンジンの排気浄化制御装置の電気的構成について説明する。図2は、本実施形態によるエンジンの排気浄化制御装置の電気的構成を示すブロック図である。
本実施形態によるPCM60は、前述した各種センサ100〜119の検出信号S100〜S119に加えて、アクセルペダルの開度(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ150や車速を検出する車速センサ151が出力した検出信号S150、S151に基づいて、燃料噴射弁20に対する制御を行うべく、制御信号S20を出力し、また、吸気シャッター弁7に対する制御を行うべく、制御信号S7を出力するようになっている。
また、PCM60は、DCU70と双方向に通信を行い、例えば所望量の尿素を尿素インジェクタ51から供給するような制御をDCU70に実施させる制御信号S8を出力するようになっている。
特に、本実施形態のPCM60は、NOX 触媒45におけるNOX の吸蔵量が所定の閾値以上になったとき、NOX 触媒45に流入する排気ガスの空燃比がリッチな状態となるように、エンジンEにおける燃料噴射弁20を制御するようになっている(NOX 触媒再生部として機能するようになっている)。より具体的には、本実施形態のPCM60は、排気ガスの空燃比を目標空燃比(具体的には理論空燃比近傍あるいは理論空燃比よりも小さい所定の空燃比)に設定するべく、燃料噴射弁20から「ポスト噴射」を実施させるようになっている。これにより、NOX 触媒45に吸蔵されていたNOX を還元させることができる(NOX 還元制御)。
すなわち、本実施形態のPCM60は、運転者のアクセル操作に応じてエンジントルクを出力させるべく気筒内に燃料を噴射するメイン噴射に加えて(基本的には当該メイン噴射においては排気ガスの空燃比がリーンになるように燃料噴射量等が設定される)、このメイン噴射の後に、エンジントルクの出力に寄与しないタイミング(具体的には膨張行程)で、ポスト噴射を行って、排気ガスの空燃比が理論空燃比近傍である状態(λ≒1)あるいは理論空燃比よりも小さいリッチな状態(λ<1)にして、NOX 触媒45に吸蔵されたNOX を還元させることができるようになっている。(NOX 触媒45に吸蔵されていたNOX を還元させるための制御は、従来から「DeNOX 制御」と呼ばれている。)
なお、PCM60は、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及び、プログラムや各種のデータを記憶するためのROMやRAMの如き内部メモリ、を備えるコンピュータにより構成され得る。
<燃料噴射制御>
次に、本実施形態による燃料噴射制御フローについて説明する。燃料噴射制御フローは、車両のイグニッションがオンにされてPCM60に電源が投入された場合に開始され、所定の周期で繰り返し実行される。
まず、PCM60は、車両の運転状態を取得する。具体的には、PCM60は、少なくとも、アクセル開度センサ150が検出したアクセル開度、車速センサ151が検出した車速、クランク角センサ100が検出したクランク角、及び、車両の変速機に現在設定されているギヤ段、を取得する。
次いで、PCM60は、取得された車両の運転状態に基づいて、目標加速度を設定する。具体的には、PCM60は、種々の車速及び種々のギヤ段について規定された加速度特性マップ(予め作成されてメモリなどに記憶されている)の中から、現在の車速及びギヤ段に対応する加速度特性マップを選択し、当該加速度特性マップを参照して現在のアクセル開度に対応する目標加速度を決定する。
次いで、PCM60は、前記目標加速度を実現するためのエンジンEの目標トルクを決定する。この場合、PCM60は、現在の車速、ギヤ段、路面勾配、路面μなどに基づいて、エンジンEが出力可能なトルクの範囲内で、目標トルクを決定する。
次いで、PCM60は、前記目標トルクをエンジンEから出力させるべく、当該目標トルク及び現在のエンジン回転数に基づいて、燃料噴射弁20から噴射させるべき燃料噴射量を算出する。この燃料噴射量は、メイン噴射において適用する燃料噴射量(メイン噴射量)である。
一方、目標加速度を設定する工程から燃料噴射量を算出する工程までのフローと並行して、PCM60は、エンジンEの運転状態に応じた燃料の噴射パターンを設定する。具体的には、PCM60は、DeNOX 制御を行う場合のポスト噴射を行う燃料噴射パターンを設定する。
この場合、PCM60は、ポスト噴射において適用する燃料噴射量(ポスト噴射量)や、ポスト噴射を行うタイミング(ポスト噴射タイミングなど)を決定する。詳細については、次の<DeNOX 制御>の項において説明する。
PCM60は、算出されたメイン噴射量、及び、設定された燃料噴射パターンに基づいて(ポスト噴射を行う場合にはポスト噴射量やポスト噴射タイミングも含む)、燃料噴射弁20を制御する。すなわち、PCM60は、所望の燃料噴射パターンにおいて所望の量の燃料が噴射されるように燃料噴射弁20を制御する。
<DeNOX 制御>
本実施形態のPCM60は、NOX 触媒45のNOX 吸蔵量が所定量以上である場合、典型的にはNOX 吸蔵量が限界付近にある場合に、NOX 触媒45に吸蔵されたNOX をほぼ0にまで低下させるべく、排気ガスの空燃比を理論空燃比近傍あるいは理論空燃比以下の目標空燃比に継続的に設定するように燃料噴射弁20からポスト噴射させるDeNOX 制御(以下では適宜「アクティブDeNOX 制御」と呼ぶ。)を実行するようになっている。こうすることで、NOX 触媒45に多量に吸蔵されていたNOX を強制的に還元して、NOX 触媒45のNOX 浄化性能を確実に確保するようになっている。
また、本実施形態のPCM60は、NOX 触媒45のNOX 吸蔵量が所定量未満であっても、車両の加速時に排気ガスの空燃比がリッチ側に変化するときに、NOX 触媒45に吸蔵されたNOX を還元させるべく、排気ガスの空燃比を目標空燃比に一時的に設定するように燃料噴射弁20からポスト噴射させるDeNOX 制御(以下では適宜「パッシブDeNOX 制御」と呼ぶ。)を実行するようになっている。このパッシブDeNOX 制御は、加速時のようにメイン噴射量が増加して排気ガスの空燃比が低下するような状況に乗じて、空燃比を理論空燃比近傍あるいは理論空燃比以下の目標空燃比に設定するようにポスト噴射を行うので、排気ガスの空燃比が低下しない状況(つまり非加速時)においてDeNOX 制御を行う場合よりも、空燃比を目標空燃比に設定するためのポスト噴射量が少なくなる。また、パッシブDeNOX 制御は、車両の加速に乗じて行われるので、比較的高頻度で行われることが期待される。
本実施形態では、このようなパッシブDeNOX 制御を適用することで、DeNOX による燃費悪化などを抑制しつつ、DeNOX を高頻度で行うことができるようになっている。パッシブDeNOX 制御は比較的短い期間しか行われないが、高頻度で行われるので、NOX 触媒45のNOX 吸蔵量を効率的に低下させることができる。その結果、NOX 触媒45のNOX 吸蔵量が所定量以上になりにくくなるので、パッシブDeNOX 制御よりも多量のポスト噴射量を要するアクティブDeNOX 制御の実行頻度を低下させることができ、DeNOX による燃費悪化を効果的に改善することが可能となる。
更に、本実施形態のPCM60は、前記のアクティブDeNOX 制御を実行する場合、ポスト噴射させた燃料をエンジンEの筒内において燃焼させることで、排気ガスの空燃比を目標空燃比に設定するようにしている。この場合、PCM60は、ポスト噴射された燃料が筒内において燃焼されるタイミングにおいてポスト噴射を行う。具体的には、PCM60は、エンジンEの膨張行程前半における所定のタイミングを、アクティブDeNOX 制御でのポスト噴射タイミングとして設定する。噴射のタイミングは、例えば、ATDC45°CAである。このようなポスト噴射タイミングをアクティブDeNOX 制御において適用することで、ポスト噴射された燃料がそのまま未燃燃料(つまりHC)として排出されることや、ポスト噴射された燃料によるオイル希釈が、抑制されるようになっている。
他方で、本実施形態のPCM60は、前記のパッシブDeNOX 制御を実行する場合、ポスト噴射させた燃料をエンジンEの筒内において燃焼させずに未燃燃料として排気通路41に排出させることで、排気ガスの空燃比を目標空燃比に設定するようにしている。この場合、PCM60は、ポスト噴射された燃料が筒内において燃焼されずに未燃燃料として排気通路41に排出されるタイミングにおいてポスト噴射を行う。具体的には、PCM60は、エンジンEの膨張行程後半における所定のタイミングを、パッシブDeNOX 制御でのポスト噴射タイミングとして設定する。噴射のタイミングは、例えば、ATDC110°CAである。原則、このパッシブDeNOX 制御でのポスト噴射タイミングは、前記したアクティブDeNOX 制御でのポスト噴射タイミングよりも遅角側に設定される。このようなポスト噴射タイミングをパッシブDeNOX 制御において適用することで、ポスト噴射された燃料が筒内において燃焼してスモーク(煤)が発生することが抑制されるようになっている。
<パッシブDeNOX 制御及びアクティブDeNOX 制御を実行する運転領域>
ここで、図3を参照して、本実施形態においてパッシブDeNOX 制御及びアクティブDeNOX 制御のそれぞれを実行するエンジンEの運転領域について説明する。図3は、横軸にエンジン回転数を示し、縦軸にエンジン負荷を示している。また、図3において、曲線L1は、エンジンEの最大トルク線を示している。
図3に示すように、本実施形態のPCM60は、エンジン負荷が第1所定負荷Lo1以上で第2所定負荷Lo2(>第1所定負荷Lo1)未満である中負荷域にあり、且つ、エンジン回転数が第1所定回転数N1以上で第2所定回転数N2(>第1所定回転数N1)未満である中回転域にある場合に、つまりエンジン負荷及びエンジン回転数が符号R12に示す運転領域(以下では「アクティブDeNOX 実行領域R12」と呼ぶ。)に含まれる場合に、アクティブDeNOX 制御を実行する。このようなアクティブDeNOX 実行領域R12を採用する理由は以下の通りである。
前述したように、アクティブDeNOX 制御を実行する場合、ポスト噴射された燃料がそのまま排出されることによるHCの発生やポスト噴射された燃料によるオイル希釈などを抑制する観点から、ポスト噴射された燃料が筒内において燃焼されるタイミングにおいてポスト噴射を行う。本実施形態では、ポスト噴射された燃料を燃焼させたときに、スモークの発生を抑制すると共に、HCの発生(つまり不完全燃焼による未燃燃料の排出)を抑制している。具体的には、ポスト噴射された燃料が燃焼するまでの時間をできるだけかせぐようにし、つまり空気と燃料が適切に混合された状態で着火が生じるようにして、スモーク及びHCの発生を抑制している。このため、アクティブDeNOX 制御時には、適量のEGRガスを導入することで、ポスト噴射された燃料の着火を効果的に遅延させるようにしている。
アクティブDeNOX 制御時にHCの発生を抑制する理由は、前記のようにEGRガスを導入する場合に、HCもEGRガスとして吸気系INに還流されて、このHCがバインダとなって煤と結合してガスの通路が閉塞してしまうことを防止するためである。加えて、NOX 触媒45の温度が低く、HCの浄化性能(NOX 触媒45中のDOC45aによるHCの浄化性能)が確保されないような領域においてアクティブDeNOX 制御を実行したときに、HCが浄化されずに排出されてしまうことを防止するためである。(アクティブDeNOX 実行領域R12には、そのようなHCの浄化性能が確保されないようなNOX 触媒45の温度が比較的低い領域も含まれ得る。)
また、アクティブDeNOX 制御時にスモークの発生を抑制する理由は、スモークに対応するPMはDPF46に捕集されるが、このDPF46に捕集されたPMを燃焼除去するためのDPF再生(DeNOX 制御と同様にポスト噴射させる制御)が高頻度で行われて、燃費などが悪化してしまうことを抑制するためである。
ところで、エンジン負荷が高くなると、目標空燃比を実現するためにエンジンEに導入する空気を絞ることで、ポスト噴射された燃料を適切に燃焼させるのに必要な酸素が足りなくなってスモークやHCが発生しやすくなる傾向が生じる。特に、エンジン負荷が高くなると、筒内温度が高くなり、ポスト噴射された燃料が着火するまでの時間を適切に確保することができず、つまり空気と燃料が適切に混合されていない状態で燃焼が生じ、スモークやHCが発生してしまう場合がある。他方で、エンジン負荷がかなり低い領域では、NOX 触媒45の温度が低く、NOX 触媒45のNOX 還元機能が十分に発揮されなくなる。加えて、この領域では、ポスト噴射された燃料が適切に燃焼しなくなる、つまり失火が発生してしまう。
なお、以上ではエンジン負荷に関する現象を述べたが、エンジン回転数についても同様の現象が生じる。
以上のことから、本実施形態では、中負荷域且つ中回転域に対応するエンジンEの運転領域を、アクティブDeNOX 制御を実行するアクティブDeNOX 実行領域R12として採用している。換言すると、本実施形態では、アクティブDeNOX 実行領域R12でのみ、アクティブDeNOX 制御を実行することとし、アクティブDeNOX 実行領域R12以外の運転領域では、アクティブDeNOX 制御の実行を禁止している。このようにアクティブDeNOX 制御の実行を禁止することとしたエンジンEの運転領域では、特にアクティブDeNOX 実行領域R12よりも高負荷側又は高回転側の領域では(符号R13を付した領域)では、SCR触媒47のNOX 浄化性能が十分に確保されているので、SCR触媒47がNOX を浄化することとなり、DeNOX 制御を実行しなくても車両からのNOX の排出を防止することができる。
また、本実施形態では、SCR触媒47でNOX を浄化させる領域R13よりも更に高負荷側の領域(符号R11を付した領域であり、以下では「パッシブDeNOX 実行領域R11」と呼ぶ。)では、排気ガス量が大きくなり、SCR触媒47でNOX を浄化しきれなくなるので、パッシブDeNOX 制御を実行するようになっている。このパッシブDeNOX 制御では、前記したように、ポスト噴射された燃料が筒内において燃焼されずに未燃燃料として排気通路41に排出されるタイミングにおいてポスト噴射を行う。パッシブDeNOX 実行領域R11では、NOX 触媒45の温度が十分に高く、HCの浄化性能(NOX 触媒45中のDOC45aによるHCの浄化性能)が確保されているので、このように排出された未燃燃料をNOX 触媒45で適切に浄化することができる。
なお、パッシブDeNOX 制御において、アクティブDeNOX 制御のようにポスト噴射された燃料を筒内において燃焼させると、スモークが発生してしまう。その理由は、エンジン負荷が高い時にアクティブDeNOX 制御の実行を禁止することとした理由と同様である。
ここで、図3中の矢印A11に示すようにエンジンの運転状態が変化したときのアクティブDeNOX 制御の具体例について説明する。まず、エンジンの運転状態がアクティブDeNOX 実行領域R12に入ると(符号A12参照)、PCM60は、アクティブDeNOX 制御を実行する。そして、エンジンの運転状態がアクティブDeNOX 実行領域R12を外れると(符号A13参照)、PCM60は、アクティブDeNOX 制御を一旦中止する。このときには、SCR触媒47がNOX を浄化することとなる。そして、エンジンの運転状態がアクティブDeNOX 実行領域R12に再度入ると(符号A14参照)、PCM60は、アクティブDeNOX 制御を再開する。こうすることで、NOX 触媒45に吸蔵されたNOX がほぼ0に低下するまで、アクティブDeNOX 制御を終了させないようにする。
<各触媒の浄化性能と温度範囲との関係>
図4に示すように、基本的には、NOX 触媒45は、比較的低温域(符号R24により示す領域)においてNOX 浄化性能を発揮し、SCR触媒47は、比較的高温域、具体的にはNOX 触媒45のNOX 浄化性能が発揮される温度域よりも高い温度域(符号R25により示す領域)においてNOX 浄化性能を発揮する。本実施形態では、SCR触媒47により所定値以上のNOX 浄化率が得られる温度範囲の下側の境界値付近の温度を、判定温度(以下では「SCR判定温度」と呼ぶ。)として用いる。
<ポスト噴射量>
次に、本実施形態においてDeNOX 制御時に適用するポスト噴射量(以下では「DeNOX 用ポスト噴射量」と呼ぶ。)の算出フローについて説明する。DeNOX 用ポスト噴射量算出フローは、PCM60によって所定の周期で繰り返し実行され、前述の燃料噴射制御フローと並行して実行される。すなわち、燃料噴射制御が行われている最中に、DeNOX 用ポスト噴射量が随時算出される。
まず、PCM60は、エンジンEの運転状態を取得する。具体的には、PCM60は、少なくとも、エアフローセンサ101によって検出された吸入空気量(新気量)、O2センサ111によって検出された排気ガスの酸素濃度、及び、前述の燃料噴射制御フローにおいて算出されたメイン噴射量、を取得する。また、PCM60は、所定のモデルなどにより求められた、EGR装置43によって吸気系INに還流される排気ガス量(EGRガス量)も取得する。加えて、SCR触媒47に吸着されたNH3 (アンモニア)の量であるNH3 吸着量を取得する。NH3 吸着量は、尿素噴射弁から噴射された尿素噴射量と、DeNOX 制御時に発生するNH3 発生量と、エンジンの運転状態とNOX 触媒の浄化効率とに基づいて推定したSCR触媒に供給されるNOX 量の推定値と、に基づいて逐次推定したNH3 推定値を用いる。しかしながら、別の方法、例えば、SCR触媒47にNH3 吸着量検出センサ47nを設けてNH3 吸着量を取得してもよい。
次いで、PCM60は、推定したSCR触媒47のNH3 吸着量に基づいて、NOX 触媒45に吸蔵されたNOX を還元するために適用する目標空燃比を設定する。具体的には、PCM60は、アクティブDeNOX 制御を実行する場合に適用する目標空燃比と、パッシブDeNOX 制御を実行する場合に適用する目標空燃比と、のそれぞれを、SCR触媒47のNH3 吸着量に基づいて設定する。この目標空燃比の設定方法については、図5を参照して後述する。
次いで、PCM60は、設定した目標空燃比を実現するのに必要なポスト噴射量(DeNOX 用ポスト噴射量)を算出する。つまり、PCM60は、排気ガスの空燃比を目標空燃比にするためにメイン噴射量に加えてどれだけのポスト噴射量を適用すればよいかを決定する。この場合、PCM60は、設定したアクティブDeNOX 制御を行う場合の目標空燃比を実現するためのポスト噴射量と、設定したパッシブDeNOX 制御を行う場合の目標空燃比を実現するためのポスト噴射量と、をそれぞれ算出する。
<目標空燃比の設定>
図5は、本実施形態による目標空燃比の設定方法についての説明図である。図5は、横軸にSCR触媒47のNH3 吸着量を示し、縦軸に目標空燃比を示している。
図5において、「λ1」は理論空燃比を示し、この理論空燃比λ1よりもリッチ側の空燃比の領域R21は、NOX 触媒45に吸蔵されていたNOX を還元可能な空燃比の範囲を示し、理論空燃比λ1よりもリーン側の空燃比の領域R22は、NOX 触媒45に吸蔵されていたNOX を還元不可能な空燃比の範囲を示している。また、限度空燃比λ2よりもリッチ側の空燃比の領域R23では、未燃燃料がEGR装置43に供給されてしまうことによるEGR装置43の信頼性の低下の問題が生じる。
グラフG11は、パッシブDeNOX 制御を実行する場合にSCR触媒47のNH3 吸着量に応じて設定すべき目標空燃比を示しており、グラフG12は、アクティブDeNOX 制御を実行する場合にSCR触媒47のNH3 吸着量に応じて設定すべき目標空燃比を示している。
目標空燃比を領域R21内においてリッチ側に設定すると、NOX 触媒45に供給されるHC、H2Oの量、すなわち「H」成分の総量が増大され、NOX 触媒45からのNH3 の発生量が増大する。
グラフG11、G12において、SCR触媒47のNH3 吸着量が比較的少ない場合には、目標空燃比は、排気ガス中の「H」成分の総量が増大され且つNOX 触媒45からのNH3 発生量が増大するように、限度空燃比λ2近傍の値に設定されている。
これに対し、グラフG11、G12において、SCR触媒47のNH3 吸着量が比較的多い場合には、目標空燃比は、SCR触媒47のNH3 吸着量に応じて、比較的理論空燃比に近い値に設定されている。これにより、DeNOX 制御によりNOX 触媒45から発生されたNH3 がSCR触媒47で吸着しきれずに放出されてしまうことを抑制することができる。
<アクティブDeNOX 制御実行フラグ設定の具体例>
次に、アクティブDeNOX 制御実行フラグ設定の具体例について説明する。アクティブDeNOX 制御実行フラグ設定フローは、PCM60によって所定の周期で繰り返し実行されると共に、前述の燃料噴射制御フローなどと並行して実行される。
最初に、PCM60は、車両における各種情報を取得する。具体的には、PCM60は、少なくとも、NOX 触媒45の温度と、SCR触媒47温度と、NOX 触媒45のNOX 吸蔵量と、を取得する。この場合、NOX 触媒の温度は、NOX 触媒45の直上流側に設けられた温度センサ112によって検出された温度に基づいて推定される。SCR触媒47の温度は、SCR触媒47の直上流側に設けられた温度センサ117によって検出された温度に基づいて推定される。また、NOX 吸蔵量は、エンジンEの運転状態や排気ガスの流量や排気ガスの温度などに基づいて、排気ガス中のNOX 量を推定し、このNOX 量を積算していくことで推定される。
次いで、PCM60は、取得されたSCR温度がSCR判定温度(例えば300℃)未満であるか否かを判定し、当該判定の結果がNOであれば、排気ガス流量が所定値未満であるか否かを判定する。
SCR温度がSCR判定温度未満であるか、SCR温度がSCR判定温度以上であって排気ガス流量が所定値以上である場合、エンジンEの始動後に所定時間が経過しているか否かを判定する。この判定の結果がYESである場合、PCM60は、アクティブDeNOX 制御の実行を許可すべく、アクティブDeNOX 制御実行フラグを「1」に設定する。また、エンジンEの始動後に所定時間が経過していない場合には、NOX 吸蔵量が第1閾値(例えば4g)以上であるか否かを判定し、第1閾値以上であれば、PCM60は、アクティブDeNOX 制御の実行を許可すべく、アクティブDeNOX 制御実行フラグを「1」に設定する。そして、処理は終了する。
SCR温度がSCR判定温度以上であって排気ガス流量が所定値未満である場合(この場合は、SCR触媒47のみによってDeNOX 制御が行われる)、及び、SCR温度がSCR判定温度未満であるがエンジンEの始動後に所定時間が経過していなくてNOX 吸蔵量が第1閾値未満である場合(この場合は、NOX 触媒45のDeNOX が未だ不要であると判断できる)、PCM60は、アクティブDeNOX 制御の実行を禁止すべく、アクティブDeNOX 制御実行フラグを「0」に設定する。そして、処理は終了する。
<パッシブDeNOX 制御実行フラグ設定の具体例>
次に、パッシブDeNOX 制御実行フラグ設定の具体例について説明する。パッシブDeNOX 制御実行フラグ設定フローも、PCM60によって所定の周期で繰り返し実行されると共に、前述の燃料噴射制御フローやアクティブDeNOX 制御実行フラグ設定フローなどと並行して実行される。
最初に、PCM60は、車両における各種情報を取得する。具体的には、PCM60は、少なくとも、NOX 触媒45の温度と、SCR触媒47の温度と、前述の燃料噴射制御フローで決定された目標トルクと、前述のDeNOX 用ポスト噴射量算出フローで算出されたDeNOX 用ポスト噴射量(具体的にはパッシブDeNOX 制御時に適用するものとして算出されたDeNOX 用ポスト噴射量)と、NOX 触媒45のNOX 吸蔵量と、を取得する。NOX 触媒45の温度、SCR触媒47の温度及びNOX 吸蔵量の求め方は、アクティブDeNOX 制御について前述した通りである。
次いで、PCM60は、取得されたSCR温度がSCR判定温度(例えば300℃)未満であるか否かを判定し、当該判定の結果がNOであれば、排気ガス流量が所定値未満であるか否かを判定する。
SCR温度がSCR判定温度未満であるか、SCR温度がSCR判定温度以上であって排気ガス流量が所定値以上である場合、NOX 吸蔵量が第2閾値(例えば2g)以上であるか否かを判定し、第2閾値(例えばg)以上であれば、PCM60は、アクティブDeNOX 制御の実行を許可すべく、アクティブDeNOX 制御実行フラグを「1」に設定する。そして、処理は終了する。
SCR温度がSCR判定温度以上であって排気ガス流量が所定値未満である場合(この場合は、SCR触媒47のみによってDeNOX 制御が行われる)、及び、SCR温度がSCR判定温度未満であってNOX 吸蔵量が第2閾値未満である場合(この場合は、NOX 触媒45のDeNOX が未だ不要であると判断できる)、PCM60は、アクティブDeNOX 制御の実行を禁止すべく、アクティブDeNOX 制御実行フラグを「0」に設定する。そして、処理は終了する。
<本実施形態によるアクティブDeNOX 制御>
次に、図6(a)を参照して、前記したように設定されたアクティブDeNOX 制御実行フラグに基づき実行される、本実施形態によるアクティブDeNOX 制御について説明する。図6(a)は、本実施形態によるアクティブDeNOX 制御を示すフローチャート(アクティブDeNOX 制御フロー)である。このアクティブDeNOX 制御フローは、PCM60によって所定の周期で繰り返し実行されると共に、前述の燃料噴射制御フローや前述のアクティブDeNOX 制御実行フラグ設定フローなどと並行して実行される。
まず、ステップS401で、PCM60は、車両における各種情報を取得する。具体的には、PCM60は、少なくとも、エンジン負荷と、エンジン回転数と、NOX 触媒45の温度と、前述のDeNOX 用ポスト噴射量算出フローで算出されたDeNOX 用ポスト噴射量(具体的にはアクティブDeNOX 制御時に適用するものとして算出されたDeNOX 用ポスト噴射量)と、アクティブDeNOX 制御実行フラグ設定フローで設定されたアクティブDeNOX 制御実行フラグの値と、を取得する。
次いで、ステップS402で、PCM60は、ステップS401で取得されたアクティブDeNOX 制御実行フラグが「1」であるか否かを判定する。つまり、PCM60は、アクティブDeNOX 制御を実行すべき状況であるか否かを判定する。この判定の結果、アクティブDeNOX 制御実行フラグが「1」である場合(ステップS402:Yes)、処理はステップS403に進む。これに対して、アクティブDeNOX 制御実行フラグが「0」である場合(ステップS402:No)、図6(b)へ進む。
ステップS403では、PCM60は、エンジンの運転状態(エンジン負荷及びエンジン回転数)がアクティブDeNOX 実行領域R12(図3参照)に含まれているか否かを判定する。ステップS403の判定の結果、エンジンの運転状態がアクティブDeNOX 実行領域R12に含まれている場合(ステップS403:Yes)、処理はステップS405に進む。これに対して、エンジンの運転状態がアクティブDeNOX 実行領域R12に含まれていない場合(ステップS403:No)、処理はステップS404に進む。
次いで、ステップS405では、PCM60は、アクティブDeNOX 制御において適用するポスト噴射タイミング(ポスト噴射時期)を設定する。
本実施形態では、アクティブDeNOX 制御を実行する場合、ポスト噴射させた燃料を筒内において燃焼させることで、排気ガスの空燃比を目標空燃比に設定するようにする。そのようにポスト噴射させた燃料を筒内で燃焼させるためには、膨張行程における比較的進角側のタイミングでポスト噴射を行えばよい。しかしながら、ポスト噴射タイミングを進角させ過ぎると、空気と燃料が適切に混合されていない状態で着火が生じて、スモークが発生してしまう。したがって、本実施形態では、ポスト噴射タイミングを適度に進角側に設定し、具体的には膨張行程前半における適当なタイミングをアクティブDeNOX 制御におけるポスト噴射タイミングとして採用し、また、アクティブDeNOX 制御時に適量のEGRガスを導入することで、ポスト噴射された燃料の着火を遅延させてスモークなどの発生を抑制している。
再び、図6(a)に戻って説明する。ステップS404では、PCM60は、アクティブDeNOX 制御を実行せずに、つまり排気ガスの空燃比を目標空燃比に設定するためのポスト噴射を含む燃料噴射制御を行わずに、当該ポスト噴射を含まない通常の燃料噴射制御を行う(ステップS404)。基本的には、PCM60は、目標トルクに応じた燃料噴射量をメイン噴射させる制御のみを行う。実際には、PCM60は、このステップS404の処理を、前述の燃料噴射制御フローにおいて実行する。そして、処理はステップS403に戻って、前記したステップS403の判定を再度行う。つまり、PCM60は、アクティブDeNOX 制御実行フラグが「1」である場合、エンジンの運転状態がアクティブDeNOX 実行領域R12に含まれていない間は、通常の燃料噴射制御を行うようにし、エンジンの運転状態がアクティブDeNOX 実行領域R12に含まれるようになると、通常の燃料噴射制御からアクティブDeNOX 制御における燃料噴射制御に切り替えるようにする。例えば、PCM60は、アクティブDeNOX 制御における燃料噴射制御中にエンジンの運転状態がアクティブDeNOX 実行領域R12から外れると、当該燃料噴射制御を中断して通常の燃料噴射制御を行い、この後に、エンジンの運転状態がアクティブDeNOX 実行領域R12に入ると、アクティブDeNOX 制御における燃料噴射制御を再開する。
次いで、ステップS406では、PCM60は、ステップS401で取得されたDeNOX 用ポスト噴射量が所定のポスト噴射量判定値未満であるか否かを判定する。
ステップS406の判定の結果、DeNOX 用ポスト噴射量がポスト噴射量判定値未満である場合(ステップS406:Yes)、処理はステップS407に進む。ステップS407では、PCM60は、ステップS401で取得されたDeNOX 用ポスト噴射量をポスト噴射するように燃料噴射弁20を制御する。実際には、PCM60は、このステップS407の処理を、前述の燃料噴射制御フローにおいて実行する。そして、処理はステップS410に進む。
他方で、DeNOX 用ポスト噴射量がポスト噴射量判定値以上である場合(ステップS406:No)、処理はステップS408に進む。ステップS408では、PCM60は、ポスト噴射量判定値を超えないポスト噴射量(具体的にはポスト噴射量判定値そのものをDeNOX 用ポスト噴射量として適用する)によって排気ガスの空燃比を目標空燃比に設定すべく、エンジンEに導入される空気の酸素濃度を低下させる制御を行う。この場合、PCM60は、吸気シャッター弁7を閉弁方向に駆動する制御(図6にはこれを記載)、EGRガス量を増加させる制御、及び、ターボ過給機5による過給圧を低下させる制御、のうちの少なくともいずれかを実行して、エンジンEに導入される空気の酸素濃度を低下させる、つまり充填量を低下させる。例えば、PCM60は、ポスト噴射量判定値を適用したDeNOX 用ポスト噴射量によって排気ガスの空燃比を目標空燃比にするのに必要な過給圧を求め、この過給圧を実現するように、実際の過給圧(圧力センサ108によって検出された圧力)とEGRガス量に基づき、吸気シャッター弁7を閉側の所望の開度に制御する。そして、処理はステップS409に進む。
なお、吸気シャッター弁7は、通常のエンジンEの運転状態においては全開に設定される。他方で、DeNOX 時、DPF再生時及びアイドル運転時などにおいては、基本的には、吸気シャッター弁7は予め定められたベース開度に設定される。また、EGRガスを導入しない運転状態においては、吸気シャッター弁7は過給圧に基づきフィードバック制御される。
ステップS409では、PCM60は、ポスト噴射量判定値をDeNOX 用ポスト噴射量に適用して、つまりDeNOX 用ポスト噴射量をポスト噴射量判定値に設定して、このDeNOX 用ポスト噴射量をポスト噴射するように燃料噴射弁20を制御する。実際には、PCM60は、このステップS409の処理を、前述の燃料噴射制御フローにおいて実行する。そして、処理はステップS410に進む。
アクティブDeNOX 制御を行う際にも、NOX 触媒45は、上述したように、吸蔵したNOX を還元する際にNH3 を発生し、発生したNH3 を放出する。
ステップS410では、PCM60は、NOX 触媒45のNOX 吸蔵量がほぼ0になったか否かを判定する。NOX 触媒45のNOX 吸蔵量がほぼ0になった場合(ステップS410:Yes)、処理は終了する。この場合、PCM60は、アクティブDeNOX 制御を終了する。
これに対して、NOX 触媒45のNOX 吸蔵量がほぼ0になっていない場合(ステップS410:No)、処理はステップS403に戻る。この場合には、PCM60は、アクティブDeNOX 制御を継続する。つまり、PCM60は、NOX 触媒45のNOX 吸蔵量がほぼ0になるまで、アクティブDeNOX 制御を継続する。特に、PCM60は、アクティブDeNOX 制御中にアクティブDeNOX 制御の実行条件(具体的にはステップS403の条件)が成立しなくなり、アクティブDeNOX 制御を中止したとしても、その後にアクティブDeNOX 制御の実行条件が成立したときにアクティブDeNOX 制御を速やかに再開して、NOX 触媒45のNOX 吸蔵量がほぼ0になるようにする。
<本実施形態によるパッシブDeNOX 制御>
次に、図6(b)を参照して、前記したように設定されたパッシブDeNOX 制御実行フラグに基づき実行される、本実施形態によるパッシブDeNOX 制御について説明する。図6(b)は、本実施形態によるパッシブDeNOX 制御を示すフローチャート(パッシブDeNOX 制御フロー)である。このパッシブDeNOX 制御フローは、PCM60によって所定の周期で繰り返し実行されると共に、前述の燃料噴射制御フローや前述のパッシブDeNOX 制御実行フラグ設定フローと並行して実行される。
まず、ステップS501で、PCM60は、車両における各種情報を取得する。具体的には、PCM60は、少なくとも、前述のDeNOX 用ポスト噴射量算出フローで算出されたDeNOX 用ポスト噴射量(具体的にはパッシブDeNOX 制御時に適用するものとして算出されたDeNOX 用ポスト噴射量)と、前述のパッシブDeNOX 制御実行フラグ設定フローで設定されたパッシブDeNOX 制御実行フラグの値と、を取得する。
次いで、ステップS502で、PCM60は、ステップS501で取得されたパッシブDeNOX 制御実行フラグが「1」であるか否かを判定する。つまり、PCM60は、パッシブDeNOX 制御を実行すべき状況であるか否かを判定する。この判定の結果、パッシブDeNOX 制御実行フラグが「1」である場合(ステップS502:Yes)、処理はステップS503に進む。これに対して、パッシブDeNOX 制御実行フラグが「0」である場合(ステップS502:No)、パッシブDeNOX 制御を実行せずに、処理は終了する。
ステップS503では、PCM60は、ステップS501で取得されたDeNOX 用ポスト噴射量をポスト噴射するように燃料噴射弁20を制御する。つまり、パッシブDeNOX 制御を実行する。実際には、PCM60は、このステップS503の処理を、前述の燃料噴射制御フローにおいて実行する。そして、処理はステップS504に進む。
パッシブDeNOX 制御を行う際、NOX 触媒45は、前述したように、吸蔵したNOX を還元する際にNH3 を発生し、発生したNH3 を放出する。
ステップS504では、PCM60は、パッシブDeNOX 制御実行フラグが「0」になったか否かを判定する。その結果、パッシブDeNOX 制御実行フラグが「0」になった場合(ステップS504:Yes)、処理は終了する。この場合、PCM60は、パッシブDeNOX 制御を終了する。これに対して、パッシブDeNOX 制御実行フラグが「0」になっていない場合(ステップS504:No)、即ちパッシブDeNOX 制御実行フラグが「1」に維持されている場合、処理はステップS503に戻る。この場合には、PCM60は、パッシブDeNOX 制御を継続する。つまり、PCM60は、パッシブDeNOX 制御実行フラグが「1」から「0」に切り替わるまで、パッシブDeNOX 制御を継続する。
<尿素インジェクタの噴射制御>
次に、本実施形態による尿素インジェクタ51の噴射制御について説明する。当該噴射制御は、SCR触媒47によるNOX 浄化(還元)が行われる際に、実施される。
具体的には、本実施形態によるエンジンシステム200は、(1)排気ガス流量検出センサ45fによって検出される排気ガスの流量が所定の閾値未満であって、且つ、SCR触媒温度検出センサ47tによって検出されるSCR触媒47の温度が所定の閾値(例えば300℃)以上である時、SCR触媒47のみによってNOX の浄化が実施されるようになっており、(2)排気ガス流量検出センサ45fによって検出される排気ガスの流量が所定の閾値以上である時には、NOX 触媒45によるNOX の浄化と当該SCR触媒47によるNOX の浄化とが併用されるようになっている。
SCR触媒47のみによってNOX の浄化が実施される場合には、例えば、当該時点のSCR触媒47のNH3 吸着量と、目標のNH3 吸着量とを比較して、両者の差分に応じて、尿素インジェクタ51の噴射制御が実施される。
NOX 触媒45によるNOX の浄化とSCR触媒47によるNOX の浄化とが併用される場合には、図7に示すフローに基づいて、NOX 触媒45からSCR触媒47へのNH3 供給量が推定され、その結果に基づいて尿素インジェクタ51からの尿素の供給量が削減補正される。すなわち、後に詳述される図8乃至図12に示す特性を反映させて、NOX 触媒45の温度、排気ガスの流量、排気ガスの空燃比(例えばA/F)、NOX 触媒の熱劣化度合い、等を入力値として、NOX 触媒45からSCR触媒47へのNH3 供給量、ひいては、好適な尿素の供給量の削減量が算出される。
ここで、図7に示すように、DCU70は、NOX 触媒に吸蔵されていたNOX の浄化プロセスに対応する削減量を決定する第1削減量決定部71と、RawNOX の浄化プロセスに対応する削減量を決定する第2削減量決定部72と、を有していることが好ましい。この場合、NOX 触媒45に吸蔵されていたNOX の浄化プロセスに対応する削減量と、RawNOX の浄化プロセスに対応する削減量と、を互いに独立に考慮することができる。
本実施形態のDCU70は、第1削減量決定部71が決定した削減量と第2削減量決定部72が決定した削減量との和に基づいて、SCR触媒47への尿素の供給量を削減補正するようになっている。
例えば、SCR触媒とNOX 触媒とを併用している場合には、NOX 触媒のDeNOX 制御と合わせて、逐次、尿素噴射弁の噴射量が補正される。NOX 浄化に対し、NOX 触媒のみを使用している場合は、SCR触媒でのNOX 浄化領域になり尿素噴射が開始されるときに、尿素噴射弁の噴射量が補正される。例えば、DeNOX 制御によるNH3 導入により、SCRでの目標NH3 吸着量以上のNH3 が吸着されている場合は、目標NH3 以下となるまで、尿素噴射を制限するよう補正する。また、目標NH3 吸着量未満である場合にも、DeNOX 制御により導入されたNH3 分を減量補正した尿素噴射量となるよう補正される。
<(1)NOX 触媒の温度を考慮した制御>
さて、本実施形態のDCU70は、NOX 触媒45に流入する排気ガスの空燃比がリッチな状態であって当該NOX 触媒45が吸蔵していたNOX がN2 に還元されている際に、尿素インジェクタ51によるSCR触媒47への尿素の供給量を削減補正するようになっている。具体的には、DCU70による尿素の供給量の削減量は、NOX 触媒温度検出センサ45tによって検出されるNOX 触媒45の温度が高温である程、少量であるように設定されている。
また、本実施形態においては、DCU70による尿素の供給量の削減量は、排気ガス流量検出センサ45fによって検出される排気ガスの流量が大きい程、NOX 触媒温度検出センサ45tによって検出されるNOX 触媒45の温度の変化に対して、より変化が小さいように設定されている。
また、本実施形態においては、DCU70は、NOX 触媒45に吸蔵されていたNOX の浄化プロセスに対応する削減量を決定する第1削減量決定部71と、RawNOX の浄化プロセスに対応する削減量を決定する第2削減量決定部72と、を有している。
そして、第1削減量決定部71による尿素の供給量の削減量は、第2削減量決定部72による尿素の供給量の削減量よりも、NOX 触媒温度検出センサ45tによって検出されるNOX 触媒45の温度の変化に対してより大きく変化するように設定されている。
また、第1削減量決定部71による尿素の供給量の削減量及び第2削減量決定部72による尿素の供給量の削減量は、いずれも、排気ガス流量検出センサ45fによって検出される排気ガスの流量が大きい程、NOX 触媒温度検出センサ45tによって検出されるNOX 触媒45の温度の変化に対して、より変化が小さいように設定されている。
また、第1削減量決定部71による尿素の供給量の削減量は、第2削減量決定部72による尿素の供給量の削減量よりも、排気ガス流量検出センサ45fによって検出される排気ガスの流量の変化に対してより大きく変化するように設定されている。本実施形態では、第2削減量決定部72による尿素の供給量の削減量は、NOX 触媒温度検出センサ45tによって検出されるNOX 触媒45の温度の変化に関わらず、略一定に設定されている。
そして、DCU70は、第1削減量決定部71による尿素の供給量の削減量と第2削減量決定部72による尿素の供給量の削減量との和に基づいて、SCR触媒47への尿素の供給量を削減補正するようになっている。
以上のようなDCU70による尿素の供給量の削減量の決定の仕方は、図8(a)及び図8(b)に示す実験データに基づいている。
図8(a)は、λ=0.94の場合において、NOX 触媒45に吸蔵されていたNOX の浄化プロセスにおいて発生するNH3 (アンモニア)の量のデータであり、NOX 触媒45の温度が高い程、NH3 発生量が減少する傾向が認められる。この原因について、本件発明者は、NOX 触媒45においては、NH3 が発生する反応(例えば、BaNO3+CO+H2→NH3 ,NO+CO+H2→NH3 )(概念的な式)とNH3 を消費する反応(BaNO3+NH3→N2 ,NO+NH3→N2)(概念的な式)との両方が生じているものの、NOX 触媒45の温度が高い場合には前者の反応が後者の反応よりも増えるからである、と考えている。
また、排気ガスの流量が20g/sから50g/sに増大するにつれて、NOX 触媒45の温度上昇によるNH3 発生量減少の程度が緩和される(傾きが小さくなる)傾向が認められる。
第1削減量決定部71には、図8(a)のような特性を反映させ、(空燃比と)NOX 触媒温度検出センサ45tによって検出されるNOX 触媒45の温度と排気ガス流量検出センサ45fによって検出される排気ガスの流量とを入力値とし、尿素の供給量の削減量を出力値とした対応テーブル(ないし関数)が予め用意される。それは、段落0134乃至0137に記載した内容に合致するものである。
図8(b)は、λ=0.94の場合において、エンジンから排出されるRawNOX の浄化プロセスにおいて発生するNH3 (アンモニア)の量のデータであり、NOX 触媒45の温度が高くても、NH3 発生量は、僅かにしか減少していない(グラフから視認することは難しい)。この原因について、本件発明者は、RawNOX は排気ガスとして流れているものであるため、NOX 触媒45に吸蔵されていたNOX (NH3 を発生する反応が生じた直後に、NH3 を消費する反応も生じ得る)とは異なり、NOX 触媒45の温度が高くても、NH3 を消費する反応を生じにくいからである、と考えている。
また、排気ガスの流量が20g/sから50g/sに増大しても、NH3 発生量はほとんど変化していない(グラフから視認することは難しい)。
第2削減量決定部72には、図8(b)のような特性を反映させ、(空燃比と)NOX 触媒温度検出センサ45tによって検出されるNOX 触媒45の温度と排気ガス流量検出センサ45fによって検出される排気ガスの流量とを入力値としながらも、尿素の供給量の削減量を略一定の出力値とした対応テーブル(ないし関数)が予め用意される。それは、段落0134乃至0137に記載した内容に合致するものである。
<(2)排気ガス流量を主に考慮した制御>
本実施形態のDCU70は、前記した<(1)NOX 触媒の温度を考慮した制御>に対して代替的に、排気ガス流量を主に考慮して尿素インジェクタ51によるSCR触媒47への尿素の供給量を削減補正できるようになっている。具体的には、DCU70による尿素の供給量の削減量は、排気ガス流量検出センサ45fによって検出される排気ガスの流量が大きい程、多量であるように設定されている。
更に、排気ガス流量検出センサ45fによって検出される排気ガスの流量が所定の第1閾値(例えば25g/s)以上の範囲では、当該第1閾値未満の範囲と比較して、DCU70による尿素の供給量の削減量は、排気ガス流量検出センサ45fによって検出される排気ガスの流量の変化に対して、より変化が小さいように設定されている。
また、本実施形態のDCU70は、前述のように、NOX 触媒45に吸蔵されていたNOX の浄化プロセスに対応する削減量を決定する第1削減量決定部71と、RawNOX の浄化プロセスに対応する削減量を決定する第2削減量決定部72と、を有している。
そして、排気ガス流量検出センサ45fによって検出される排気ガスの流量が所定の第2閾値(例えば25g/s)未満の範囲で、第2削減量決定部72による尿素の供給量の削減量は、第1削減量決定部71による尿素の供給量の削減量よりも、排気ガス流量検出センサ45fによって検出される排気ガスの流量の変化に対して、より変化が大きいように設定されている。
逆に、排気ガス流量検出センサ45fによって検出される排気ガスの流量が前記第2閾値以上の範囲では、第2削減量決定部72による尿素の供給量の削減量は、第1削減量決定部71による尿素の供給量の削減量よりも、排気ガス流量検出センサ45fによって検出される排気ガスの流量の変化に対して、より変化が小さいように設定されている。
本実施形態では、排気ガス流量検出センサ45fによって検出される排気ガスの流量が前記第2閾値以上の範囲では、第2削減量決定部72による尿素の供給量の削減量は、排気ガス流量検出センサ45fによって検出される排気ガスの流量の変化に関わらず、略一定に設定されている。
また、本実施形態では、排気ガス流量検出センサ45fによって検出される排気ガスの流量が前記第2閾値未満の範囲で、第2削減量決定部72による尿素の供給量の削減量は、NOX 触媒温度検出センサ45tによって検出されるNOX 触媒45の温度が高温である程、排気ガス流量検出部45fによって検出される排気ガスの流量の変化に対して、より変化が大きいように設定されている。
そして、DCU70は、第1削減量決定部71による尿素の供給量の削減量と第2削減量決定部72による尿素の供給量の削減量との和に基づいて、SCR触媒47への尿素の供給量を削減補正するようになっている。
以上のようなDCU70による尿素の供給量の削減量の決定の仕方は、図9(a)及び図9(b)に示す実験データに基づいている。
図9(a)は、λ=0.96であってNOX 触媒45の温度が300〜350℃である場合の、排気ガス流量に対する、NOX 触媒45に吸蔵されていたNOX の浄化プロセスにおいて発生するNH3 (アンモニア)の量のデータであり、排気ガスの流量が多い程、NH3 発生量が増大する傾向が認められる。この原因について、本件発明者は、排気ガスの流量が多い場合、還元剤として作用する成分(「HC」中の「H」や「H2O」中の「H」)の供給量が多くなるためである、と考えている。
また、NOX 触媒45の温度が高い程、NH3 発生量が減少する傾向が認められる。この原因について、本件発明者は、<(1)NOX 触媒の温度を考慮した制御>で述べた通り、NOX 触媒45においては、NH3 が発生する反応(BaNO3+CO+H2→NH3 ,NO+CO+H2→NH3 )とNH3 を消費する反応(BaNO3+NH3→N2,NO+NH3→N2)との両方が生じているものの、NOX 触媒45の温度が高い場合には前者の反応が後者の反応よりも増えるからである、と考えている。
また、排気ガスの流量が25g/sから50g/sに増大するにつれて、排気ガスの流量の増大によるNH3 発生量増大の程度が緩和される(傾きが小さくなる)傾向が認められる。特に、排気ガスの流量が所定の第1閾値(例えば25g/s)以上の範囲では、当該第1閾値未満の範囲と比較して、排気ガスの流量の増大に対して、NH3 発生量の増大の程度が小さい。この原因について、本件発明者は、排気ガスの流量が第1閾値以上であると排気ガスの拡散がNH3 発生反応を抑制する方向に影響するためである、と考えている。
第1削減量決定部71には、図9(a)のような特性を反映させ、(空燃比と)NOX 触媒温度検出センサ45tによって検出されるNOX 触媒45の温度と排気ガス流量検出センサ45fによって検出される排気ガスの流量とを入力値とし、尿素の供給量の削減量を出力値とした対応テーブル(ないし関数)が予め用意される。それは、段落0148乃至0154に記載した内容に合致するものである。
図9(b)は、λ=0.96であってNOX 触媒45の温度が300〜350℃である場合の、排気ガス流量に対する、エンジンから排出されるRawNOX の浄化プロセスにおいて発生するNH3 (アンモニア)の量のデータである。排気ガスの流量が所定の第2閾値(例えば25g/s)未満の範囲では、排気ガスの流量変化に対するRawNOX の浄化プロセスでのNH3 発生量の変化は、排気ガスの流量変化に対する吸蔵NOX の浄化プロセスでのNH3 発生量の変化(図9(a)参照)より、程度が大きいことが認められる。更に、当該範囲においては、NOX 触媒45の温度が高温である程、排気ガスの流量変化に対するRawNOX の浄化プロセスでのNH3 発生量の変化の勾配が大きいことが認められる。
逆に、排気ガスの流量が前記第2閾値以上の範囲では、排気ガスの流量変化に対するRawNOX の浄化プロセスでのNH3 発生量の変化は、排気ガスの流量変化に対する吸蔵NOX の浄化プロセスでのNH3 発生量の変化(図9(a)参照)より程度が小さく、略一定であることが認められる。
第2削減量決定部72には、図9(b)のような特性を反映させ、(空燃比と)NOX 触媒温度検出センサ45tによって検出されるNOX 触媒45の温度と排気ガス流量検出センサ45fによって検出される排気ガスの流量とを入力値とし、尿素の供給量の削減量を出力値とした対応テーブル(ないし関数)が予め用意される。それは、段落0148乃至0154に記載した内容に合致するものである。
<(3)還元剤の量を考慮した制御>
本実施形態のPCU60は、前記した<(1)NOX 触媒の温度を考慮した制御>または<(2)排気ガス流量を主に考慮した制御>に加えて(組み合わせて)、あるいは当該制御のいずれかに対して代替的に、還元剤(HC、CO)の量を考慮して尿素インジェクタ51によるSCR触媒47への尿素の供給量を削減補正できるようになっている。具体的には、還元剤の量はPCM60によって設定される目標空燃比によって把握される。DCU70による尿素の供給量の削減量は、PCU60によって設定される目標空燃比が小さい程、還元剤の量が多いと判断して、多量であるように設定されている。(本実施形態では、PCU60が、還元剤量把握部として機能するようになっている。)
また、本実施形態のPCU60は、前述のように、NOX 触媒45に吸蔵されていたNOX の浄化プロセスに対応する削減量を決定する第1削減量決定部71と、RawNOX の浄化プロセスに対応する削減量を決定する第2削減量決定部72と、を有している。
そして、第1削減量決定部71による尿素の供給量の削減量は、第2削減量決定部72による尿素の供給量の削減量よりも、PCU60(還元剤量把握部)によって推定される還元剤の量の変化に対して、より変化が大きいように設定されている。
また、第1削減量決定部71による尿素の供給量の削減量は、排気ガス流量検出センサ45fによって検出される排気ガスの流量が多い程、多量であるように設定されている。
また、推定される還元剤の量が所定の閾値(例えば空燃比0.97に対応する閾値)以上の範囲では、当該閾値未満の範囲と比較して、第2削減量決定部による尿素の供給量の削減量は、推定される還元剤の量の変化に対して、より変化が小さいように設定されている。
本実施形態では、推定される還元剤の量が所定の閾値(例えば空燃比0.97に対応する閾値)以上の範囲では、第2削減量決定部72による尿素の供給量の削減量は、PCU60(還元剤量把握部)によって推定される還元剤の量の変化に関わらず、略一定に設定されている。
また、本実施形態では、第1削減量決定部71による尿素の供給量の削減量は、PCU60(還元剤量把握部)によって推定される還元剤の量の変化に対して、略一定の勾配で変化するように設定されている。
また、本実施形態では、第2削減量決定部72による尿素の供給量の削減量は、前記閾値未満の範囲において、前記閾値以上の範囲と比較して、排気ガス流量検出センサ45fによって検出される排気ガスの流量の変化に対して、より変化が大きいように設定されている。
そして、PCU60は、第1削減量決定部71による尿素の供給量の削減量と第2削減量決定部72による尿素の供給量の削減量との和に基づいて、SCR触媒47への尿素の供給量を削減補正するようになっている。
以上のようなDCU70による尿素の供給量の削減量の決定の仕方は、図10(a)及び図10(b)に示す実験データに基づいている。
図10(a)は、NOX 触媒45の温度が250℃であって排気ガス流量が30g/s〜50g/sである場合の、目標空燃比に対する、NOX 触媒45に吸蔵されていたNOX の浄化プロセスにおいて発生するNH3 (アンモニア)の量のデータであり、目標空燃比が対応する還元剤の量に略比例して(目標空燃比の減少に略比例して)、NH3 発生量が増大する傾向が認められる。また、排気ガスの流量が多い程、NH3 発生量が増大する傾向が認められる。(後者の原因については、<(2)排気ガス流量を主に考慮した制御>で説明した通りである。)
第1削減量決定部71には、図10(a)のような特性を反映させ、(NOX 触媒温度検出センサ45tによって検出されるNOX 触媒45の温度と)目標空燃比と排気ガス流量検出センサ45fによって検出される排気ガスの流量とを入力値とし、尿素の供給量の削減量を出力値とした対応テーブル(ないし関数)が予め用意される。それは、段落0166乃至0172に記載した内容に合致するものである。
図10(b)は、NOX 触媒45の温度が250℃であって排気ガス流量が30g/s〜50g/sである場合の、目標空燃比に対する、エンジンから排出されるRawNOX の浄化プロセスにおいて発生するNH3 (アンモニア)の量のデータである。還元剤の量の変化(目標空燃比の変化)に対するRawNOX の浄化プロセスでのNH3 発生量の変化は、還元剤の量の変化に対する吸蔵NOX の浄化プロセスでのNH3 発生量の変化(図10(a)参照)より、程度が小さいことが認められる。
また、推定される還元剤の量が所定の閾値(例えば空燃比0.97に対応する閾値)以上の範囲では、当該閾値未満の範囲と比較して、NH3 発生量は、推定される還元剤の量の変化に対して、より変化が小さく、略一定であることが認められる。
また、推定される還元剤の量が前記閾値未満の範囲においては、前記閾値以上の範囲と比較して、NH3 発生量は、排気ガス流量検出センサ45fによって検出される排気ガスの流量の変化に対して、より変化が大きいことが認められる。
第2削減量決定部72には、図10(b)のような特性を反映させ、(NOX 触媒温度検出センサ45tによって検出されるNOX 触媒45の温度と)目標空燃比と排気ガス流量検出センサ45fによって検出される排気ガスの流量とを入力値とし、尿素の供給量の削減量を出力値とした対応テーブル(ないし関数)が予め用意される。それは、段落0166乃至0172に記載した内容に合致するものである。
<(4)NOX 触媒の熱劣化を考慮した制御>
本実施形態のDCU70は、前記した<(1)NOX 触媒の温度を考慮した制御>、<(2)排気ガス流量を主に考慮した制御>または<(3)還元剤の量を考慮した制御>のいずれかに加えて(組み合わせて)、あるいは当該制御群のいずれかに対して代替的に、あるいは<(1)NOX 触媒の温度を考慮した制御>または<(2)排気ガス流量を主に考慮した制御>と<(3)還元剤の量を考慮した制御>とを組み合わせた制御に更に加えて(組み合わせて)、NOX 触媒45の熱劣化を考慮して尿素インジェクタ51によるSCR触媒47への尿素の供給量を削減補正できるようになっている。具体的には、DCU70による尿素の供給量の削減量は、PCU60によって推定されるNOX 触媒45の熱劣化の程度が大きい程、多量であるように設定されている。(本実施形態では、PCU60が、NOX 触媒熱劣化把握部として機能するようになっている。)
NOX 触媒45の熱劣化の程度は、例えば、車両における各種情報の一つである走行距離に基づいて推定され得る。この場合、当該走行距離の情報、及び/または、その関数として導出され得る熱劣化の程度情報(例えばランク付けされた情報等)が、PCU60の内部メモリに記憶され得る。
あるいは、NOX 触媒45の熱劣化の程度は、NOX 触媒45の製造後の経過時間に基づいて推定されてもよい。例えば、NOX 触媒45の製造時点に関する情報が、車両における各種情報の一つとしてPCM60またはDCU70の内部メモリに記憶されていて、PCM60またはDCU70が、適宜のタイミングで現在時点までの経過時間を算出することで、NOX 触媒45の熱劣化の程度情報を得てもよい。
本実施形態のPCU60は、前述のように、NOX 触媒45に吸蔵されていたNOX の浄化プロセスに対応する削減量を決定する第1削減量決定部71と、RawNOX の浄化プロセスに対応する削減量を決定する第2削減量決定部72と、を有している。
そして、第1削減量決定部71による尿素の供給量の削減量は、第2削減量決定部72による尿素の供給量の削減量よりも、PCU60(NOX 触媒熱劣化把握部)によって推定されるNOX 触媒45の熱劣化の程度の変化に対して、より変化が大きいように設定されている。
更には、第2削減量決定部72による尿素の供給量の削減量は、PCU60(NOX 触媒熱劣化把握部)によって推定されるNOX 触媒45の熱劣化の程度の変化に関わらず、略一定に設定されている。
また、本実施形態では、第1削減量決定部71による尿素の供給量の削減量は、NOX 触媒温度検出センサ45tによって検出されるNOX 触媒45の温度が高温である程、少量であるように設定されている。(第2削減量決定部72による尿素の供給量の削減量は、NOX 触媒温度検出センサ45tによって検出されるNOX 触媒45の温度の変化に対しても、略一定の設定が維持されている。)
そして、DCU70は、第1削減量決定部71による尿素の供給量の削減量と第2削減量決定部72による尿素の供給量の削減量との和に基づいて、SCR触媒47への尿素の供給量を削減補正するようになっている。
以上のようなDCU70による尿素の供給量の削減量の決定の仕方は、図11(a)及び図11(b)に示す実験データに基づいている。
図11(a)は、図8(a)に対応していて、λ=0.94であって排気ガスの流量が30g/sである場合において、NOX 触媒45に吸蔵されていたNOX の浄化プロセスにおいて発生するNH3 (アンモニア)の量のデータであり、NOX 触媒45の温度が高い程、NH3 発生量が減少する傾向が認められ、また、NOX 触媒45の熱劣化の程度が高い程、NH3 発生量が増大する傾向が認められる。前者の原因については、<(1)NOX 触媒の温度を考慮した制御>で説明した通りである。後者の原因について、本件発明者は、NOX 触媒45の熱劣化の程度が大きいと、NOX 触媒45においてNH3 を消費する反応(段落0142参照)の方に反応抑制効果が大きく現れ、結果的にNOX 触媒におけるNH3 発生量が増大する、と考えている。
第1削減量決定部71には、図11(a)のような特性を反映させ、(空燃比と排気ガス流量検出センサ45fによって検出される排気ガスの流量と)NOX 触媒温度検出センサ45tによって検出されるNOX 触媒45の温度とNOX 触媒の熱劣化の程度情報とを入力値とし、尿素の供給量の削減量を出力値とした対応テーブル(ないし関数)が予め用意される。それは、段落0180乃至0187に記載した内容に合致するものである。
図11(b)は、図8(b)に対応していて、λ=0.94であって排気ガスの流量が30g/sである場合において、エンジンから排出されるRawNOX の浄化プロセスにおいて発生するNH3 (アンモニア)の量のデータであり、NOX 触媒45の温度が高くても、NH3 発生量はほとんど変化していないし、NOX 触媒45の熱劣化の程度が高くても、NH3 発生量はほとんど変化していない。前者の原因については、<(1)NOX 触媒の温度を考慮した制御>で説明した通りである。後者の原因について、本件発明者は、NOX 触媒45においてRawNOX の浄化プロセスではNH3 を消費する反応が元々僅かしか生じておらず、その反応抑制効果が増大することの影響が顕在化しないためである、と考えている。
第2削減量決定部72には、図11(b)のような特性を反映させ、(空燃比と排気ガス流量検出センサ45fによって検出される排気ガスの流量と)NOX 触媒温度検出センサ45tによって検出されるNOX 触媒45の温度とNOX 触媒の熱劣化の程度情報とを入力値としながらも、尿素の供給量の削減量を略一定の出力値とした対応テーブル(ないし関数)が予め用意される。それは、段落0180乃至0187に記載した内容に合致するものである。
<(5)NOX 触媒の吸蔵酸素量を更に考慮した制御>
ここで、図12に、本実施形態によるDeNOX 制御(20秒間実施:NOX 触媒45の温度220℃、排気ガス流量44g/s)のタイムチャートの一例を示す。上から、(a)排気ガスの空燃比(目標空燃比λ=0.96)、(b)排気ガスの温度、(c)排気ガス中のHCの量(g/s)、(d)排気ガス中のCOの量(g/s)、及び、(e)排気ガス中のNOX の量(g/s)、の各々について、NOX 触媒45(NSC)の上流側(前)と下流側(後)との測定値を示している。
図12のタイムチャートについて説明すれば、時刻T=1130でDeNOX 制御開始要求が出されると、λが徐々に目標とする0.98未満に向かって低下され始める。λを低下させることにより、NSC上流のHC、CO、NOX (RawHC、RawCO、RawNOX )が増加する。λが十分低下する(0.98未満)まではNSCでのNOX 還元反応が起きにくいため、RawNOX とNSCから離脱したNOX とが還元されにくく、NSC下流のNOX が増加する。
λが十分に低下する(T=1137)と、NOX が還元され易くなるため、NSC下流のNOX は低下し、最終的にほとんどのNOX が還元されるようになる(T=1142)。その後、DeNOX 制御終了要求が出される(T=1155)までの間、λが0.98未満に制御されて、NSCで吸蔵したNOX を離脱させるとともに還元して、吸蔵されたNOX を還元浄化するDeNOX 制御が継続される(RawNOX も浄化される)。
一方で、前述したように、DeNOX 制御によりNH3 が発生する。(f)はNH3 発生量の推定値である。DeNOX 制御開始に伴いλが低下されると、RawHC、RawCOが増加する一方で、NSCに吸蔵されている酸素(吸蔵酸素)と、RawHC、RawCOと、が反応して、NH3 発生の要因となるNSC内のHC、COが酸化されて消失するため、NH3 は発生しない。このNOX 触媒45の吸蔵酸素は、NOX の還元反応によって発生するNH3 と反応することで消費されていき、やがてゼロとなる。
吸蔵酸素がゼロになると、NSC内でHC、COが存在するようになるため、NH3 が発生し始める。そこで、T=1140以前は、NH3 発生ゼロとし、T=1140以降で、後述する図12の制御ロジックでのNH3 量の推定を開始するようにしている。つまり、DeNOX 制御開始から、T=1140までの間、ディレーが設けられている。
このディレーにより、尿素インジェクタ51によるSCR触媒47への尿素の供給量を削減補正する制御は、DeNOX 制御が開始された後、所定時間はNOX 触媒45でのNH3 発生量がゼロであることが考慮される。
ここで、本件発明者の知見によれば、排気ガスの流量が多い程、及び/または、空燃比がよりリッチである程、NOX 触媒45においてNH3 が発生する反応が促されるため、NOX 触媒45から解放された酸素がより短い時間で消費される。
従って、前記ディレー時間は、排気ガス流量検出センサ45fによって検出される排気ガスの流量が多い程、及び/または、前記空燃比がよりリッチである程、短く設定されることが好ましい。
前記ではディレーで吸蔵酸素の影響を反映したが、別の方法として、NOX 触媒吸蔵酸素量把握部(例えばエアフロセンサや燃料噴射量等の情報からNSCに供給される酸素を推定し、この供給酸素に基づいて吸蔵酸素量を推定する一方で、HCとCOとの反応により消費された吸蔵酸素量を推定することで、現在の吸蔵酸素量を推定する)を設け、NOX 触媒吸蔵酸素量把握部によって検出ないし推定される吸蔵酸素量がゼロになるまでの間、NH3 発生量がゼロであると判断してもよい。
なお、以上の説明において、尿素の供給量の削減補正が開始されない状態というのは、基本的には尿素の供給量の削減量がゼロであることを意味するが、尿素の供給量の削減量が極めて僅かである場合をも含むものと理解されるべきである。
更に広く当該制御態様を規定するならば、尿素の供給量の削減量が、NOX 触媒吸蔵酸素量把握部によって検出ないし推定される吸蔵酸素量が多い程、少量であるように設定される態様である、と表現することもできる。
<(6)DeSOX 制御時の尿素インジェクタの噴射制御>
以上に説明したDeNOX 制御時の尿素インジェクタ51の噴射制御は、DeSOX 制御時の尿素インジェクタ51の噴射制御にも応用できる。DeSOX 制御は、NOX 触媒45におけるS被毒量が所定の閾値以上になった時、例えば、NOX 触媒45のPM再生時や、当該車両の所定の走行距離到達時など、に実施される。
但し、DeNOX 制御時とは異なり、DeSOX 制御時には、NOX 触媒45がDeSOX 制御用の高温状態(600℃〜650℃)とされ、当該高温状態を維持するために間欠的なリーン運転が実施される(例えば、30secリッチ→30secリーン→30secリッチ→30secリーン→ ・・・)。
従って、DeSOX 制御時の尿素インジェクタ51の噴射制御のために、DeNOX 制御時の尿素インジェクタ51の噴射制御の内容を修正することが必要である。
具体的には、DeSOX 制御時には、NOX 触媒45が600℃〜650℃という高温状態とされることにより、吸蔵NOX が還元されないまま脱離する(NOX のままSCR触媒47へと供給されてしまう)という現象が生じる。また、DeSOX 制御時には、間欠的なリーン運転が実施されることにより、実質的な空燃比がリーン側にシフトする。これらの2つの現象は、いずれも、NOX 触媒45でのNH3 発生量を低減する方向に影響する。
従って、DeNOX 制御のために、例えば図8乃至図12に示す特性を反映させて、NOX 触媒45の温度、排気ガスの流量、排気ガスの空燃比、NOX 触媒の熱劣化度合い、等を入力値として、NOX 触媒45からSCR触媒47へのNH3 供給量、ひいては好適な尿素の供給量の削減量、が算出されるようになっている場合に、当該削減量の算出方法をDeSOX 制御にも適用するためには、当該削減量を低減する(より少量にする)修正が必要である(図7参照)。
この修正に際しては、NOX 触媒45の吸蔵NOX の脱離の影響をより正確に反映するべく、NOX 触媒45のNOX の吸蔵量を加味することが好ましい。NOX 触媒45のNOX の吸蔵量が相対的に少なければ、NOX 触媒45での吸蔵NOX の脱離の影響も相対的に小さくなるからである。
更に、NOX 触媒45のNOX の吸蔵量を判断するにあたっては、NOX 触媒45のS被毒量を考慮することも有効であり得る。S被毒しているNOX 触媒45は、その分だけ、NOX の吸蔵量が少なくなっている筈だからである。NOX 触媒45のS被毒量は、予め実験で測定したエンジンの運転状態(エンジン負荷、エンジン回転)に応じたS発生マップに基づいて推定すればよい。
20 燃料噴射弁
41 排気通路
45 NOX 触媒
45a 酸化触媒
45t NOX 触媒温度検出センサ
45f 排気ガス流量検出センサ
45n NOX 吸蔵量検出センサ
45o 酸素センサ(吸蔵酸素量検出センサ)
47 SCR触媒
47t SCR触媒温度検出センサ
47n NH3 吸着量検出センサ
51 尿素インジェクタ(NH3 供給手段)
53 尿素供給経路
54 尿素送出ポンプ
55 尿素タンク
60 PCM
70 DCU(NH3 供給量制御手段)
71 第1削減量決定部
72 第2削減量決定部
200 エンジンシステム
E エンジン
EX 排気系
FS 燃料供給系
IN 吸気系
λ1 理論空燃比
λ2 限度空燃比

Claims (7)

  1. エンジンの排気通路に設けられ、流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンな状態である時には当該排気ガス中のNOX を吸蔵すると共に、流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチな状態である時には吸蔵していたNOX をN2 に還元するNOX 触媒と、
    前記NOX 触媒に流入する排気ガスの空燃比がリッチな状態となるように、前記エンジンにおける燃料噴射弁を制御するNOX 触媒再生部と、
    前記NOX 触媒の下流の排気通路に設けられ、NH3 との反応によって当該NOX を浄化するSCR触媒と、
    前記SCR触媒にNH3 ないしNH3 原料を供給してNH3 を吸着させるNH3 供給部と、
    前記NH3 供給部による前記SCR触媒へのNH3 ないしNH3 原料の供給量を制御するNH3 供給量制御部と、
    前記NOX 触媒の吸蔵酸素量を検出ないし推定するNOX 触媒吸蔵酸素量把握部と、
    を備え、
    前記NH3 供給量制御部は、前記NOX 触媒再生部によるNOX 触媒再生を実行した場合には、前記NH3 供給部による前記SCR触媒へのNH3 ないしNH3 原料の供給量を削減補正するようになっており、
    前記NH3 供給量制御部による前記NH3 ないしNH3 原料の供給量の削減量は、前記NOX 触媒吸蔵酸素量把握部によって検出ないし推定される前記吸蔵酸素量が多い程、少量であるように設定されている
    ことを特徴とするエンジンの排気浄化制御装置。
  2. 前記NH3 供給量制御部による前記NH3 ないしNH3 原料の供給量の削減量は、前記NOX 触媒吸蔵酸素量把握部によって検出ないし推定される前記吸蔵酸素量がゼロになるまで、ゼロに設定されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの排気浄化制御装置。
  3. 前記NH3 供給量制御部による前記NH3 ないしNH3 原料の供給量の削減量は、前記NOX 触媒吸蔵酸素量把握部によって検出ないし推定される前記吸蔵酸素量がゼロになった後も、更に所定のディレー時間が経過するまで、ゼロに設定されている
    ことを特徴とする請求項2に記載のエンジンの排気浄化制御装置。
  4. 前記排気ガスの流量を検出ないし推定する排気ガス流量把握部を更に備え、
    前記ディレー時間は、前記排気ガス流量把握部によって検出ないし推定される前記排気ガスの流量が多い程、短く設定される
    ことを特徴とする請求項3に記載のエンジンの排気浄化制御装置。
  5. 前記ディレー時間は、前記空燃比がよりリッチである程、短く設定される
    ことを特徴とする請求項3または4に記載のエンジンの排気浄化制御装置。
  6. 前記排気ガスの流量を検出ないし推定する排気ガス流量把握部と、
    前記SCR触媒の温度を検出ないし推定するSCR触媒温度把握部と、
    を更に備え、
    前記排気ガス流量把握部によって検出ないし推定される前記排気ガスの流量が所定の閾値未満であって、且つ、前記SCR触媒温度把握部によって検出ないし推定される前記SCR触媒の温度が所定の閾値未満である時には、前記NOX 触媒のみによってNOX の浄化が実施され、
    前記排気ガス流量把握部によって検出ないし推定される前記排気ガスの流量が所定の閾値未満であって、且つ、前記SCR触媒温度把握部によって検出ないし推定される前記SCR触媒の温度が所定の閾値以上である時には、前記SCR触媒のみによってNOX の浄化が実施され、
    前記排気ガス流量把握部によって検出ないし推定される前記排気ガスの流量が所定の閾値以上である時には、前記NOX 触媒によるNOX の浄化と前記SCR触媒によるNOX の浄化とが併用される
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のエンジンの排気浄化制御装置。
  7. 前記NOX 触媒のみによってNOX の浄化が実施される際、前記NH3 供給量制御部は、前記NH3 供給部による前記SCR触媒へのNH3 ないしNH3 原料の供給量を制限するようになっており、
    前記SCR触媒のみによってNOX の浄化が実施される際、前記NOX 触媒再生部の作動が制限されるようになっている
    ことを特徴とする請求項に記載のエンジンの排気浄化制御装置。
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