JP3834741B2 - 浸漬ノズル交換装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融金属容器から溶融金属を流出させるに用いられる浸漬ノズルの交換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
タンディッシュや取鍋等の溶融金属容器には、図8(A)に断面図として示すように、溶融金属容器1の底部の出鋼口に挿入されたインサートノズル2の直下にスライドバルブ装置3が装着され、このスライドバルブ装置3の上プレート4の孔4aの周囲上面に前記インサートノズル2の下部が支持され、スライドバルブ装置3の下部には上部から所要範囲の外周がメタルケース6で覆われた浸漬ノズル5が浸漬ノズル支持装置7により懸吊支持されるようになっている。
【0003】
連続鋳造設備の場合には、図13のように浸漬ノズル5の下部が水冷構造のモールド8内に浸漬しておかれ、その浸漬ノズル5の下部周囲に開口する流出孔5aから溶融金属をモールド8内に連続的に流出させ、このモールド8内において周面が冷却され溶融金属9が固化して下部から排出され、次工程に導かれるようになされている。
【0004】
前記スライドバルブ装置3は、図8(A)には図示していない油圧シリンダのピストンロッドに連結されて水平方向(図8(A)において紙面に対し直角方向)にスライドするスライドプレート10が、上記の図示していない油圧シリンダの作動によりスライドしてそのスライドプレート10の孔10aと上下のプレート4,11の孔4a,11aとの合致、非合致により溶融金属の流出が制御される。
【0005】
また浸漬ノズル5は、その上端がやや大径とされてその部分を含み金属製のケース6で覆われ、浸漬ノズル5の上端の接合面が下プレート11(下ノズルの場合を含むので、以下これらを代表して下ノズル11と総称する)の下端面に密接して取付けられる。
【0006】
そして上記浸漬ノズル5の下方部は、前述のようにモールド8内で溶融金属中に常に浸漬され、溶融金属により洗われる状態におかれるので損耗し、適時に新しい浸漬ノズル(以下新浸漬ノズル5′という)と交換することが必要となる。
【0007】
そこで従来から、図8、図9に示すように、スライドバルブ装置3の下部に設けられる浸漬ノズル支持装置7の両側部に浸漬ノズル1本分の両側端をスライド可能に支持することができる長さを有する一対のレール12,12を設け、一方のレール12間に図10に示すように新浸漬ノズル5′をセットし、この浸漬ノズル5′を溶融金属容器1の下面に支持された油圧またはエア駆動の押圧シリンダ13のピストンロッド13aにより押動して使用済みの浸漬ノズル(以下旧浸漬ノズル5″という)を他側のレール12へ受け渡し、そこから旧浸漬ノズル5″を取出すようになされたものがある。なお上記浸漬ノズル支持装置7は、左右の支持部材14,14を有し、これら支持部材14,14はその中間部がスライドバルブ装置3の下面に軸15,15により揺動可能に支持され、その外端側上面とスライドバルブ装置3の下面との間に介装されたスプリング16,16により支持部材14,14の内端側が上方に付勢されて支持部材14,14間に吊持される浸漬ノズル5の上端接合面を下ノズル11の下面に圧接して固定するようなっている。
【0008】
これによれば、浸漬ノズル5の交換に要する時間が短くてすみ、連続鋳造の場合には溶融金属の流出を停止させておく時間が短くてよいため溶融金属のスクラップ化が減少し、歩留りを向上させることができる利点がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに上記従来の技術によると、浸漬ノズル5の交換時に新浸漬ノズル5′の上端接合面を下ノズル11の下面に面圧が付加された状態で滑らせながら所定の位置までスライドさせるので、パッキン等のシール材を使用することができず、また新浸漬ノズル5′の上端接合面に痕が付きやすく、この痕により隙間が生じて使用中に吸気が起こり、溶融金属を酸化させるなどの不具合いをもたらす。
【0010】
またエアシリンダの作動により上昇、下降して浸漬ノズル5を押しつける方式の交換装置では、特に使用後の旧浸漬ノズル5″の内周に図11に示すように地金17が付着して固化していた場合、シリンダ13のピストンロッド13aにより新浸漬ノズル5′を押圧して旧浸漬ノズル5″を押し出そうとしても前記地金17が切断され難く、また仮に切断されたとしても図12のように切断された地金17が下ノズル11から突出した状態となり、この状態のところへ新浸漬ノズル5′を滑り込ませるとその上端接合面を一層痕付けることになり、接合時の密着性がさらに失われるという問題があった。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、迅速な交換機能を持ちながら新浸漬ノズルの接合面にすり痕を付けることがなく、接合面間の密着性を高めて吸気等が生じないようにすることを課題とするもので、その解決手段として本発明では、溶融金属容器の下部の溶融金属流出口部に溶融金属の流出を制御するスライドバルブ装置を備え、このスライドバルブ装置の下面に浸漬ノズルの上端の保持用ケースの係合部を係合してスライド自在に懸吊支持する所要長さのガイドアームを相対向して設けるとともに、このガイドアームの浸漬ノズル挿入側に該アームにセットされた新浸漬ノズルを押動して旧浸漬ノズルを取出し側へ押し出すための押圧シリンダを設け、前記ガイドアームには、前記保持用ケースの係合部に係合して浸漬ノズルの上端接合面を下ノズルの下面に圧接させるよう押圧手段により付勢された揺動アームを枢支し、この揺動アームは、旧浸漬ノズルが押動されてそのノズル孔が下ノズルのノズル孔から外れるまでは圧接状態を維持し、旧浸漬ノズルがノズル孔から外れたとき前記係合部により揺動アームを揺動させ、新浸漬ノズルの上方への付勢を解いた状態で下ノズル直下へ移行させ、移行完了時に旧浸漬ノズルの係合部が揺動アームから外れ押圧手段により新浸漬ノズルの上端接合面が下ノズルの下面に圧接されるようにしたことにある。
【0012】
好ましくは前記揺動アームの両端に第1、第2の突部を設け、前記保持用ケースの係合部が前記突部を介して揺動アームが揺動するようにするのがよい。
【0013】
【発明の実施の態様】
以下、本発明を図面に示す実施の形態を参照して説明する。
図1は本発明による3層式下ノズル使用の浸漬ノズル交換装置の全体の概要を示し、図2は同要部の拡大断面を、図3は同下面を、そして図4は図3のA−A矢視断面をそれぞれ示している。
【0014】
上記図示の実施形態では、スライドバルブ装置3が下ノズル11を有する場合で、この下ノズル11の下部両側にガイドアーム20,20が相対向するように設けられている。以下においてガイドアーム20,20の図において右側が浸漬ノズル挿入側、左側が同取出し側と称して説明する。
【0015】
上記ガイドアーム20,20は、図5にガイドアームのみを取出して示すように断面L形状をなすもので、その下端のL形に屈曲する支持部21,21が向き合うようにしてスライドバルブ装置3の下面に図4に示すようにビス22,22により固着され、上記支持部21,21間に浸漬ノズル5を挿入したときその上端の浸漬ノズル保持用ケース23の両側の後述する係合部24,24の下面が前記支持部21,21上に係合してスライド可能に支持されるようになっており、この支持部21,21の上面と下ノズル11の下面との間の間隔は浸漬ノズル5の上端面から前記保持用ケース23の係合部24の下面までの高さ寸法よりやや大きい寸法とされている。
【0016】
前記ガイドアーム20の前記下ノズル11の軸心に対応する位置の下面側には前記支持部21を含み所要深さの凹部25が形成されているとともに浸漬ノズル取出し側の側壁20aには貫孔26が形成されている。
【0017】
前記ガイドアーム20,20の側壁20a,20aの外面側には、前記凹部25と貫孔26との間の略中央位置に揺動アーム27の略中央部が軸28により揺動自在に取付けられ、この揺動アーム27の前記下ノズル11側の端部に第1の突部29が、反対端に第2の突部30がそれぞれ設けられ、第1の突部29が前記凹部25に、第2の突部30が前記貫孔26にそれぞれ嵌合されている。そして前記第1の突部29は上面が、第2の突部30は下面が側面よりみて円弧状に丸めてある。
【0018】
前記ガイドレール20の支持部21は、図2にみられるように浸漬ノズル取出し側の端部から前記貫孔26を越えた位置までが他部よりも若干高い高面部21aとされている。
【0019】
前記揺動アーム27の前記貫孔26側の端部には押圧手段が設けられている。図示の実施形態では揺動アーム27にバネホルダ31が設けられており、このバネホルダ31に支持された圧縮バネ32がスライドバルブ装置3の下面に当接されてこの圧縮バネ32の弾性により前記第1の突部29が常に上方に向けて付勢されるようにした場合を示している。
【0020】
前記保持用ケース23は、図6(A)に側面を、同(B)に正面を示すように、平面視角形状をなし、その両側部に前述の係合部24,24が突設されている。この係合部24,24は、図6(A)にみられるようにその上面側に第1のテーパー部24aと第2のテーパー部24bとを有し、下面側の両端は前記支持部21,21上へ滑り込みやすくするためテーパー24c,24cが付されており、この係合部24の上面が前記第2の突部30に、下面が第1の突部29に関係するようになっている。
【0021】
したがって、ガイドアーム20,20の支持部21,21上に支持される浸漬ノズル5の保持用ケース23の係合部24,24の下面に前記第1の突部29,29が係合するときこの突部29,29により浸漬ノズル5を押し上げてその上端面が下ノズル11の下面に圧接されるようになる。また係合部24,24の上面に第2の突部30,30が係合するときこれを押し上げて第1の突部29,29が支持部21,21の上面と同一面乃至は下位に下降するようになる。
【0022】
前記ガイドアーム20の浸漬ノズル挿入端に対向する位置には押圧シリンダ33が設けられている。この押圧シリンダ33は図1に示すように溶融金属容器1の下面の固定ベース34に支持ブラケット35を介して支持され、このブラケット35は固定ベース34にピン36により回動可能とされていて、前記ガイドアーム20の浸漬ノズル挿入側に新浸漬ノズル5′をセットするとき押圧シリンダ33をピン36を中心に側方上部に回動退避させることができるようになっている。前記押圧シリンダ33のピストンロッド33aの先端には、新浸漬ノズル5′の保持用ケース23を押すための押圧金具37が設けられている。
【0023】
次に上記実施の形態の作用を図7(A)〜(F)を参照して説明する。
図7(A)は稼働状態時を示しており、浸漬ノズル5の保持用ケース23がその係合部24,24を介し圧縮バネ(図7には図示省略)の付勢を受ける第1の突部29,29により押し上げられ、その上端接合面は下ノズル11の下面に密接されている。
【0024】
浸漬ノズル5を交換するに際しては、図1において押圧シリンダ33をその支持ブラケット35のピン36を中心に側方へ揺動させておき、ガイドアーム20,20の各支持部21,21の浸漬ノズル挿入側に新浸漬ノズル5′の保持用ケース23の係合部24,24を係合させ、図1および図7(B)の位置にセットする。
【0025】
次いで押圧シリンダ33を正規の位置に下げ、この押圧シリンダ33を作動させてピストンロッド33aを伸長させ、その先端の押圧金具37で前記新浸漬ノズル5′の保持用ケース23の側面を押圧する。これにより新浸漬ノズル5′はガイドアーム20,20の支持部21,21にそって図1、図7(B)において左行する。
【0026】
これにより旧浸漬ノズル5″はガイドアーム20,20の取出し側へ押進され、その間にノズル孔内に地金が付着固化している場合にはこれを切断する。
【0027】
旧浸漬ノズル5″のノズル孔5bが下ノズル11のノズル孔11aから外れて閉鎖される位置に至ると、その保持用ケース23の係合部24がガイドアーム20の支持部21の高面部21aにのり上げたのち係合部24の第1のテーパー部24aが揺動アーム27の第2の突部30に当り(図7(C))、これを押し上げて進むので揺動アーム27は軸28を中心に図において時計方向に回動し、第1の突部29が支持部21の上面から退没する。これにより新浸漬ノズル5′の上端接合面は下ノズル11の下面に接することなく進行することができ(図7(D))、下ノズル11の直下位置に至るまでの間に上端接合面に擦り傷等を付けることがない。
【0028】
新浸漬ノズル5′が下ノズル11の直下に位置すると、第2の突部30は旧浸漬ノズル5″の保持用ケース23の係合部24の第2のテーパー部24bに落ち、これにより揺動アーム27が圧縮バネ32の付勢によって図において反時計方向に回動し、これにより第1の突部29が再びガイドアーム20の支持部21の上面より上方に突出して新浸漬ノズル5′の保持用ケース23の係合部24の下面に当ってこれを押し上げ(図7(E))、新浸漬ノズル5′の上端接合面が下ノズル11の下面に圧接する。次いでガイドアーム20の取出し側の端部から旧浸漬ノズル5″を取外すことにより図7(F)の状態(図7(A)と同じ)になる。
【0029】
なお、この場合、前記係合部24の中央位置に前記揺動アーム27の第1の突部29に合致する嵌合部を設けるようにしてもよい。また図示の実施形態に示した浸漬ノズル5はメタルケース6を有しないものについて示したが、図8に示したように外周をメタルケース6で覆った浸漬ノズルであっても同様にして使用することができる。さらに揺動アーム27の付勢手段としては、圧縮バネ32によることが最も簡単であるが、他にエアシリンダ、油圧シリンダを使用するようにしてもよいことはもちろんである。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、新浸漬ノズルを下ノズルの下端面位置へスライドさせるとき、旧浸漬ノズルは下ノズルの下端面に接したままスライドするので、ノズル内に地金が付着していてもその切断が確実に行われ、新浸漬ノズルの上端接合面と下ノズルの下端面との密着性を阻害する要因を残すことがない。また新浸漬ノズルが下ノズルの下端面位置へ至るときは、揺動アームの作用によって下ノズルの下端面に非接触の状態で移行するので新浸漬ノズルの上端接合面に痕が付くことがなく、シール性を格段に向上させることができ、併せて浸漬ノズルの交換に要する時間も従来の方式と比較しても同等であり、また揺動アームと圧縮バネとで浸漬ノズルを圧接保持するので装置の小型化を達成することができるなどの種々の優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す断面図。
【図2】同、要部の拡大断面図。
【図3】図2の下面図。
【図4】図3のA−A矢視相当の断面図。
【図5】ガイドアームの正面図。
【図6】(A)、(B)は保持用ケース部分を示す側面図および正面図。
【図7】(A)〜(F)は浸漬ノズルの交換過程を示す説明図。
【図8】従来の交換装置を示すもので、(A)は断面図、(B)は(A)のB矢視図。
【図9】図8の(A)のC−C矢視図。
【図10】図8〜図9の従来技術における浸漬ノズルの交換過程を示す説明図。
【図11】ノズル孔内に地金が付着している状況を示す説明図。
【図12】従来技術において地金が切断された状態を示す説明図。
【図13】連続鋳造設備と浸漬ノズルとの関係を示す説明図。
【符号の説明】
1 溶融金属容器
3 スライドバルブ装置
5 浸漬ノズル
5′ 新浸漬ノズル
5″ 旧浸漬ノズル
6 メタルケース
7 浸漬ノズル支持装置
8 モールド
11 下プレート(下ノズル)
14 支持部材
20 ガイドアーム
21 支持部
23 浸漬ノズル保持用ケース
24 係合部
24a 第1のテーパー部
24b 第2のテーパー部
25 凹部
26 貫孔
27 揺動アーム
29 第1の突部
30 第2の突部
31 バネホルダ
32 圧縮バネ
33 押圧シリンダ
34 固定ベース
35 支持ブラケット
37 押圧金具
Claims (2)
- 溶融金属容器の下部の溶融金属流出口部に溶融金属の流出を制御するスライドバルブ装置を備え、このスライドバルブ装置の下面に浸漬ノズルの上端の保持用ケースの係合部を係合してスライド自在に懸吊支持する所要長さのガイドアームを相対向して設けるとともに、このガイドアームの浸漬ノズル挿入側に該アームにセットされた新浸漬ノズルを押動して旧浸漬ノズルを取出し側へ押し出すための押圧シリンダを設け、前記ガイドアームには、前記保持用ケースの係合部に係合して浸漬ノズルの上端接合面を下ノズルの下面に圧接させるよう押圧手段により付勢された揺動アームを枢支し、この揺動アームは、旧浸漬ノズルが押動されてそのノズル孔が下ノズルのノズル孔から外れるまでは圧接状態を維持し、旧浸漬ノズルがノズル孔から外れたとき前記係合部により揺動アームを揺動させ、新浸漬ノズルの上方への付勢を解いた状態で下ノズル直下へ移行させ、移行完了時に旧浸漬ノズルの係合部が揺動アームから外れ押圧手段により新浸漬ノズルの上端接合面が下ノズルの下面に圧接されるようにしたことを特徴とする浸漬ノズル交換装置。
- 前記揺動アームはその両端に第1、第2の突部を有し、前記保持用ケースの係合部が前記突部を介して揺動アームが揺動するようになされている請求項1記載の浸漬ノズル交換装置。
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