JP3832381B2 - 予備成形品及び中空成形品の液圧成形方法並びに自動車の車体構造部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、中空成形品の液圧成形方法、液圧成形前の予備成形品、更には液圧成形により製造される自動車のサイドメンバやセンターピラー等に代表される自動車の車体構造部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
フロントサイドメンバのような自動車の車体構造部材は、一般的に、衝撃の吸収に適した中空外郭形状をなしており、その内部を仕切るように補強材が配設されている。このような車体構造部材を押し出し材により成形する技術が特開2001−225763号公報に記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
また、中空断面を仕切る補強材を有する車体構造部材を、アルミ押し出し材から成形する技術も知られている。しかしながら、アルミ押し出し材により断面を仕切る補強材を形成すると、長手方向の任意の位置に補強材を自由に配置することが困難であり、形状及びレイアウトの自由度が低い、という問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものである。本発明に係る自動車の車両構造部材は、予備成形品を液圧成形することにより得られる中空成形品から製造される。上記の予備成形品は、少なくとも長手方向に沿う両側縁部を互いに重ね合わせて接合した2枚の金属板を有している。これら2枚の金属板は、液圧成形後に長手方向に延びる中空外郭部材へと膨出変形する。2枚の金属板の間には予備補強体が予め介装されている。この予備補強体は、長手方向に沿って上記2枚の金属板の内面にそれぞれ接合されており、上記液圧成形により、上記中空外郭体の内部を長手方向に延びる複数の空間に仕切る補強体へと変形する。
【0005】
【発明の効果】
本発明によれば、中空断面を仕切る補強体を備えた新規な中空成形品を得る中空成形方法、中空成形前の予備成形品、あるいは中空成形品から製造される自動車の車体構造部材を得ることができる。本発明によれば、補強体を中空成形品の長手方向の任意の位置に容易に配置することが可能となり、形状及びレイアウトの自由度が高くなる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示実施例に基づいて詳細に説明する。図1は、自動車の車体1を簡略的に示す側面図である。車体1の前部及び後部には、車体前後方向に延びるフロントサイドメンバ2及びリアサイドメンバ3が設けられている。フロントサイドメンバ2の前端には、フロントバンパー4が連結されており、フロントサイドメンバ2の後端はフロア6と連結されている。リアサイドメンバ3の後端にはリアバンパー4’が連結されており、リアサイドメンバ3の前端はフロア6と連結されている。
(第1実施例)
先ず、自動車の車体構造部材としてのフロントサイドメンバ2に本発明を適用した第1実施例について説明する。図2は、フロントサイドメンバ2を単体で示す斜視図であり、図3は図2のX−X線に沿う断面図である。フロントサイドメンバ2は、第1金属板11及び第2金属板12からなる中空外郭体を有している。この中空外郭体は、中空断面形状で長手方向に延びる閉断面構造をなし、かつ、この実施例では断面形状が矩形、詳しくは長方形をなしている。第1金属板11及び第2金属板12は、それぞれ略L字状に折曲して、中空外郭体の2つの側壁をそれぞれ形成している。これら金属板11,12は、両側縁部16の2箇所で長手方向に沿って互いに接合されている。上記の両側縁部16は、中空外郭体の矩形部分から突出するフランジ形状を呈しており、詳しくは中空外郭体の1つの側壁に沿って突出しており、その突出端で両金属板11,12が互いに接合されている。
【0007】
中空外郭体の内部には、平板状をなす一対の平板部37a,37bが互いに交差する断面略十字形状の補強体37が設けられている。平板部37a,37bは、中空外郭体の互いに対向する一対の内面を横断するように架け渡されており、かつ、長手方向に延びる交差位置13で互いに交差している。補強体37は、上記の交差位置13で互いに接合された第1補強板7と第2補強板8とにより構成されている。第1補強板7は、交差位置13でほぼ直角に折曲しており、かつ、両側縁部15が長手方向に沿って第1金属板11の内面に接合されている。第2補強板8は、交差位置13でほぼ直角に折曲しており、かつ、両側縁部14が長手方向に沿って第2金属板12の内面に接合されている。
【0008】
図2を参照して、フロントサイドメンバ2は、上記の補強体37を構成する補強板7,8が配設された補強部9と、補強板7,8が配設されていない非補強部10と、により構成されている。補強部9は、車両組付状態で車両後部側となる位置にのみ部分的に配設されていて、車両下方側へ向けて湾曲する後端部がフロア6側(図1参照)へ連結される。非補強部10は、車両組付状態で車両前部側となる位置に設けられ、中空外郭体の内部を空洞化した形状となっている。非補強部10における中空外郭体の側壁には、要求に応じて、その側壁より突出又は陥没する適宜なビード33が形成されている。
【0009】
このフロントサイドメンバ2は、後述する予備成形品20を液圧成形により中空成形品に膨出成形した後、図示せぬ裁断工程等を経て製造される。図4は、上記の予備成形品20を長手方向に沿って切断した断面図である。予備成形品20は、上述した2枚の金属板11,12及び2枚の補強板7,8により構成されている。2枚の金属板11,12は、互いに重ね合わせた状態で、前後両縁部16’及び両側縁部16、すなわち全周縁部で互いに接合されている。2枚の補強板7,8は、液圧成形後には図3に示すように折曲することとなるが、この予備成形品20の段階では折曲しておらず、平板形状をなしており、互いに重ね合わせた状態で、2枚の金属板11,12の間にサンドイッチ状に挟み込まれている。
【0010】
この予備成形品20は、長手方向で幾つかの部分に分けることができ、すなわち、補強板7,8からなる予備補強体が配設される予備補強部34と、高圧な液体が注入される液体注入部36と、長手方向で予備補強部34と液体注入部36との間に位置する所定長さの中間部35と、を有している。これら中間部35及び液体注入部36には、2枚の金属板11,12の間に補強板7,8が配設されていない。上述した補強部9は予備補強部34から成形され、非補強部10は中間部35から成形される。
【0011】
図5は予備成形品20の成形手順を示しており、図4のA−A線に沿う断面に対応している。先ず図5(a)に示すように、一対の補強板7,8を、互いに板幅方向(図5の左右方向)にオフセットして重ね合わせた状態で、その板幅方向中央部に位置する交差位置13で、長手方向(図5の紙面に直交する方向)に沿って互いに接合する。この接合は、レーザー溶接、スロット溶接、プラグ溶接、あるいは接着、カシメなどにより行うことができる。次に図5(b)に示すように、第2補強板8の両側縁部14を長手方向に沿って第2金属板12の内面に接合する。次いで、これら補強板7,8を挟み込むように第1金属板11を第2金属板12に重ね合わせて、この第1金属板11と第1補強板7の両側縁部15とを接合する。次いで、互いに重ね合わせた金属板11,12の周縁部、すなわち両側縁部16及び前後縁部16’を全周にわたって接合し、予備成形品20を得る。この接合は、例えばレーザー溶接やアーク溶接、あるいは接着剤などにより行うことができる。この全周接合により、両金属板11,12の内部が密閉状態に保たれる。
【0012】
このように成形される予備成形品20に対し、図6〜図8に示すような上型21及び下型22を用いて液圧成形を行う。なお、図7は、図6のB−B線に沿う断面に対応している。
【0013】
下型22には、液体注入ノズル24が取り付けられている。このノズル24には、下型22に形成された液体通路25及びこの通路25に接続する高圧ホース26を経由して、図外の高圧発生装置から高圧な液体が供給される。このノズル24を受容するように、予備成形品20の液体注入部36は、予め中空形状に形成されているとともに、ノズル24が嵌合する嵌合孔31が一方の金属板12に形成されている。
【0014】
上型21及び下型22には、フロントサイドメンバ2の中空外郭体の略矩形をなす外郭形状(図8参照)に対応したキャビティ29,30がそれぞれ形成されいるとともに、中空形状をなす液体注入部36が嵌合する凹溝27,28がそれぞれ形成されている。凹溝27,28とキャビティ29,30との間には、凹溝27,28からキャビティ29,30へ向けて断面積が徐々に拡大するように、凹溝27,28からキャビティ29,30へ向けて拡開するように傾斜する傾斜面部27a,28aがそれぞれ形成されている。これらキャビティ29,30、凹溝27,28、及び傾斜面部27a,28aは、金属板11,12の合わせ面、つまり金型21,22の分割面23(図6〜図8参照)に対して実質的に均等に形成されており、この分割面23を挟んでほぼ同じ面積(容積)となるように設定されている。この分割面23上に、矩形形状をなすフロントサイドメンバ2の対角線、ノズル24の噴射軸線、更には予備補強体の中心を含む補強板7,8の合わせ面が配置するように設定されている。つまり、補強板7,8の中心と中間部35の中心とを分割面23上の同一位置に設定している。
【0015】
図7の破線で囲んだ領域、すなわち中空形状をなす液体注入部36から中間部35へ差し掛かる部分では、第1金属板11に第1予備変形部17が形成されているとともに、第2金属板12に第2予備変形部18が形成されている。これら予備変形部17,18は、液体注入部36寄り(図7の左寄り)の部分では凹溝27,28の内面に実質的に隙間なく対向・面接触しており、互いに大きく離間している一方、予備補強部34寄り(図7の右寄り)の部分では、上記の分割面23を合わせ面として実質的に隙間無く対向・面接触しており、かつ、これら液体注入部36側から予備補強部34側へ向かうに従って、互いに近接するように滑らかに湾曲する形状をなしている。これら予備変形部17,18は、上記の分割面23に対して互いに相似形状をなし、つまり分割面23を挟んで上下均等な形状となっている。
【0016】
図7に示すように、予備成形品20を上型21と下型22の間に狭持・型締めした状態で、上記の高圧発生装置により発生された高圧な液体を、高圧ホース26及び通路25を経由してノズル24へ供給し、このノズル24より液体注入部36の内部へ注入する。この高圧な液体は、互いに重ね合わせた2枚の金属板11,12の周縁部16,16’が全周にわたって互いに接合されているため、予備成形品20の外部へ漏れ出すことはない。
【0017】
この液体の高い液圧により、予備成形品20がノズル24に近い部分から予備補強部34へ向かって徐々に膨出変形していくこととなる。この液圧成形により図2及び図3に示すように金属板11,12及び補強板7,8が適正な形状へ変形していくこととなるが、その理由は以下のようなものであると考えられる。中空成形による変形過程において、先ず予備変形部17,18が凹溝27,28の内面に沿うように変形していく。これら予備変形部17,18は、そのノズル側が予め凹溝27,28の内面に沿うように形成されており、かつ、分割面23に対して上下均等(相似形)に設定されているため、ノズル側の部分の形状に追従するように、長手方向及び長手方向に直交する方向に関して均一かつスムーズに凹溝27,28に沿って膨出変形していく。また、傾斜面部27a,28aの部分で断面積が徐々に拡大するように設定されているため、金属板11,12はキャビティ29,30の内面に沿う形状へとスムーズに膨出変形していく。
【0018】
従って、予備補強部34が変形し始める段階では、既に中間部35の部分の金属板11,12がキャビティ29,30の壁面に沿うように膨出変形しており、この部分の形状に追従するように、先ず予備補強部34の中間部35寄りの部分の金属板11,12が良好に膨出変形していく。この金属板11,12の変形に応じて、金属板11,12に接合する補強板7,8が変形・折曲していく。このように予備補強部34の変形が良好に進行していくように、中間部35の長手方向長さが充分に長く設定されている。補強板7,8の変形に応じて、これら補強板7,8によって仕切られた長手方向に延びる4つの空間が、その形状が個々にばらつくことなく均一に形成されていき、これらの空間から金属板11,12の内面に均等な液圧Pが作用することにより、これら金属板11,12がキャビティ29,30の壁面に沿う最終的な矩形形状へと膨出変形していく(図8参照)。
【0019】
上述したように、液圧成形後の中空外郭体の対角線が上型21及び下型22の分割面23上に位置し、この分割面23に沿って、金属板11,12を互いに接合したフランジ状の両側縁部16を配置しているため、金属板11,12が液圧成形により徐々に膨出変形していく過程において、フランジ状をなす両側縁部16がスムーズにキャビティ29,30側へと引き寄せられて流入していく。このため、金属板11,12をスムーズに膨出変形させていくことができる。
【0020】
変形完了後に、液体の圧力を除去し、上型21及び下型22内から中空成形品32(図3)を取り出し、長手方向両側の不要部分を切除することにより、上述した補強部9と非補強部10とを備えたフロントサイドメンバ2を得ることができる。
【0021】
このフロントサイドメンバ2によれば、前面衝突時には、まず非補強部10が速やかに潰れて衝撃を吸収し、残る衝撃を補強部9が受けることになる。この補強部9には、その内部を仕切るように横断する一対の平板部37a,37bからなる補強体37が配設され、上記の非補強部10に比して稜線が多い形状となっているため、強度・剛性的に優れており、上記の衝撃に対して高い反力が得られる。このように、主に非補強部10により衝突時の初期反力を速やかに抑制しつつ、主に補強部9により高い反力を得ることができ、衝突エネルギーの吸収効率を効果的に高めることができる。また、平板部37a,37bが互いに直交するように交差する形状となっているため、長手方向に直交するいかなる方向の荷重に対しても高い強度が得られる。
【0022】
更に、非補強部10に衝突時の潰れを促進するビード33(図2参照)を形成すると、衝突時の初期反力を更に確実・迅速に抑制することができる。このビード33に対応する凹凸を上型21及び下型22に予め形成しておけば、液圧成形時にビード33を同時成形することが可能である。
【0023】
この第1実施例では補強体を2枚の補強板7,8により構成しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば図9に示すように、金属板11,12からなる中空外郭体の内部を2つの空間に仕切る一枚の補強板7により補強体を構成しても良い。また第1実施例では、フロントサイドメンバ2の断面を略矩形断面としているが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば図10に示すような六角形状、あるいは他の多角形状としても良い。上記第1実施例ではフロントサイドメンバ2に本発明を適用した場合について説明しているが、同様にリアサイドメンバ3に本発明を適用しても良い。
(第2実施例)
図1の車体1のフロア6の両側を前後方向に延びるサイドシル40に本発明を適用した第2実施例について説明する。なお、後述する実施例において、既述した実施例と重複する構成及び作用効果については適宜説明を省略する。
【0024】
図11は、図1のC−C線に沿う断面対応図である。この図11に示すように、フロア6の骨格部材は、フロア6の両側を車両前後方向に延びるサイドシル40と、両側のサイドシル40を結ぶクロスメンバ41と、により大略構成されている。上記のサイドシル40の外側に、サイドシルアウターパネル42が取付けられる。
【0025】
サイドシル40は、2枚の金属板45,46からなる中空外郭体を有している。この中空外郭体は、断面略矩形で長手方向に延びる閉断面構造をなしている。この中空外郭体の内部には、互いに交差する一対の平板部48a,48bを備えた断面略十字状をなす補強体48が設けられている。平板部48a,48bは、中空外郭体の対向する一対の内面を横断するように架け渡されている。これらの平板部48a,48bによって、中空外郭体の内部が長手方向に延びる4つの空間に仕切られている。一方の平板部48bは、クロスメンバ41の上面とほぼ同じ高さに設定され、このクロスメンバ41に沿って配設されており、かつ、側面衝突時の入力方向Rと平行に配設されている。他方の平板部48aは、上記一方の平板部48bに対して直交しており、かつ、車両組付状態でほぼ鉛直方向に沿うように設定されている。
【0026】
このサイドシル40は、後述する予備成形品47を液圧成形することにより得られる中空成形品から裁断加工等を経て製造される。図12は、上記の予備成形品47の長手方向に沿う断面図であり、図13は、図12のD−D線に沿う断面図である。この予備成形品47は、上記の中空外郭体となる2枚の金属板45,46と、上記の補強体48となる2枚の補強板43,44と、により構成されている。予備成形品47を成形する際には、先ず平板状をなす補強板43,44を長手方向に沿う交差位置54で互いに接合して予備補強体を形成し、次いで補強板43,44の両側縁部56,55を対応する金属板45,46に長手方向に沿って接合し、次いで、互いに重ね合わせた金属板45,46の周縁部、すなわち両側縁部57及び前後両縁部57’を全周にわたって互いに接合する。
【0027】
予備成形品47は、長手方向で幾つかの部分、すなわち、補強板43,44からなる予備補強体が内部に配設された予備補強部58と、高圧な液体が注入される液体注入部50と、長手方向で液体注入部50と予備補強部58との間に位置する中間部59と、を有している。中間部59には、上記の補強板43,44は配置されていない。
【0028】
液体注入部50では、液体注入ノズル(図7のノズル24に相当)が液密に嵌合する嵌合孔53が、一方の金属板46に形成されている。この液体注入ノズルを受容するように、液体注入部50は中空形状に形成されている。図12の破線で囲んだ部分、すなわち液体注入部50から中間部59にかけての部分には、予備変形部51,52が金属板45,46にそれぞれ形成されている。これら予備変形部51,52は、上述した第1実施例の予備変形部17,18と同様、金属板45,46の合わせ面(金型の分割面)に対して相似形をなし、かつ、予備補強部58へ向けて互いに近接する形状に設定されている。
【0029】
この第2実施例の特徴的な構成として、補強板43,44の板幅方向(図13の左右方向)長さを互いに異ならせている。具体的には、第1補強板43の板幅方向長さが、第2補強板44の板幅方向長さに比して短い。両補強板43,44の一方(図13の左側)の側縁部55,56は、ほぼ同じ板幅方向位置で対応する金属板45,46に接合されている。従って、両補強板43,44の他方(図13の右側)の側縁部55,56は、異なる板幅方向位置で対応する金属板45,46に接合されている。
【0030】
この予備成形品47を液圧成形により膨出変形する手法は、上記の第1実施例と同様である。すなわち、サイドシル40の外郭形状に対応したキャビティが形成された上型と下型の間に予備成形品47を型締めした状態で、液体注入部50へ高圧な液体を注入することにより、予備成形品47をノズルに近い部分から均一に変形させていく。この変形過程において、少なくとも予備変形部51,52が金型分割面に対して相似形(上下均等)に形成されている等の理由により、予備成形品47を均等に変形させていき、ひいては補強板43,44により仕切られる4つの空間から均等な液圧を金属板45,46の内面に作用させることができる。
【0031】
この製造方法によって得られた中空成形品から図11に示すサイドシル40が製造される。上述したように補強板43,44の板幅方向長さを互いに異ならせている関係で、図11に示すように交差位置54を含む一方の平板部48bが中空外郭体の断面中心より図11の上側にオフセットしている。詳しくは、この平板部48bを、クロスメンバ41の上壁に沿う高さ位置で、かつ、側面衝突の入力方向Rに対して平行となるように設定している。すなわち、この平板部48bがクロスメンバ41の上壁に沿うように、補強板43,44の板幅方向長さを設定している。このサイドシル40の下壁は、クロスメンバ41の下壁に沿うように配設されている。このようにサイドシル40にクロスメンバ41の外郭形状に沿う稜線が得られることにより、サイドシル40の強度が向上し、かつ、サイドシル40への側面衝突の荷重をクロスメンバ41へ良好に伝達させることができる。
【0032】
また、車両組付状態でほぼ垂直方向へ延びる他方の平板部48aにより、サイドシル40の上下方向(垂直方向)の強度が向上する。このため、サイドシルを補強するためのレインフォースなどの補強部品を省略することも可能となる。
(第3実施例)
図1の自動車の車体1のルーフ60とエンジンルーム61とをルーフ60の前部で結ぶフロントピラー62に、本発明を適用した第3実施例について説明する。
【0033】
図14は、図1のE−E線に沿う断面図である。このフロントピラー62は、一対の金属板65,66からなる中空外郭体を有している。この中空外郭体は、断面多角形状で長手方向に延びる閉断面構造をなしている。両金属板65,66は、両側縁部77で互いに接合されている。中空外郭体の内部には、長手方向に沿う交差位置74で互いに交差する一対の平板部68a,68bからなる断面略X字状の補強体68が設けられている。一方の第1平板部68aは車両組付状態で略垂直方向に沿うように設定されており、他方の第2平板部68bは車両組付状態で略水平方向に沿うように設定されている。また、補強体68は、上記の交差位置74で互いに接合される一対の補強板63,64から構成されている。補強板63,64は、交差位置74でそれぞれ折曲しており、かつ、両側縁部75,76で金属板65,66に接合されている。この補強体68により、中空外郭体の内部は、長手方向に延びる4つの空間に仕切られている。
【0034】
フロントピラー62は、後述する予備成形品67を液圧成形により膨出変形した後、適宜な裁断加工等を経て製造される。図15は、予備成形品67の長手方向に沿う断面図であり、図16は、図15のF−F線に沿う断面図である。
【0035】
予備成形品67を成形する場合、先ず互いに重ね合わせた平板状の補強板63,64同士を交差位置74で接合し、次いで補強板63,64の両側縁部75,76を対応する金属板65,66に長手方向に沿って接合し、次いで、補強板63,64を挟んで互いに重ね合わせた金属板65,66の周縁部、すなわち両側縁部77及び前後縁部77’を全周にわたって互いに接合する。
【0036】
このようにして成形された予備成形品67は、長手方向で幾つかの部分に分けることができ、具体的には、補強板63,64を重ね合わせて接合した予備補強体を配置した予備補強部78と、高圧な液体が注入される液体注入部70と、長手方向で上記の予備補強部78と液体注入部70との間に位置する中間部79と、を有している。この中間部79では、金属板65,66の間に補強板63,64が介装されていない。
【0037】
液体注入部70は、液体注入ノズル(図7のノズル24に相当)を受容するように中空形状に形成されており、かつ、液体注入ノズルが嵌合する嵌合孔73が一方の金属板66に形成されている。図15の破線で囲んだ部分、すなわち中空形状をなす液体注入部70から中間部79へ差し掛かる部分には、予備変形部71,72がそれぞれ金属板65,66に形成されている。予備変形部71,72は、上記第1実施例の予備変形部17,18と同様の形状をなしており、例えば、金属板65,66の合わせ面に対して相似形で、かつ、予備補強部78側へ向かうに従って互いに近接する形状となっている。
【0038】
この第3実施例の特徴的な構成として、図16に示すように、両補強板63,64は、互いに同じ板幅方向長さを有しており、かつ、板幅方向に互いにオフセットすることなく重ね合わさて接合されている。つまり、一方の金属板65に接合される補強板63の両側縁部76と、他方の金属板66に接合される補強板64の両側縁部75とは、それぞれ同じ板幅方向位置に設定されている。交差位置74は、これら金属板65,66の板幅方向中央部に配置されている。従って、接合位置74,75,76の位置決めが容易であるとともに、その接合精度を確保し易い。
【0039】
この予備成形品67は、上述した実施例と同様に液圧成形される。すなわち、フロントピラー62の外郭形状に応じたキャビティが形成されている上型と下型の間に予備成形品67を狭持した状態で、液体注入部70へ高圧な液体を注入することにより、予備成形品67を膨出変形させていく。上述した第1,第2実施例と同様、上記の予備変形部71,72が金属板65,66の合わせ面(金型の分割面)に対して相似形に形成されている等の理由により、予備成形品67が膨出変形していく過程において、2枚の金属板65,66と補強板63,64とで仕切られる4つの空間部から均等な液圧を金属板65,66の内面へ作用させていくことができる。このため、予備成形品67を良好に所期形状へと変形させることができる。変形後の中空成形品から図14に示すフロントピラー62が製造される。
【0040】
図17は、このフロントピラー62を適用した車体の上面図である。前面衝突時には、エンジンルーム61からフロントピラー62へ衝突荷重が伝達される。従って、フロントピラー62には、図1に示す縦方向の曲げモーメントM1と、図17に示す横方向の曲げモーメントM2と、が作用する。上記のフロントピラー62では、第1平板部68aの板幅方向が車両組付状態でほぼ垂直方向に沿うように設定しているため、この第1平板部68aにより縦方向の曲げモーメントM1に対する強度が有効に向上する。また、第2平板部68bの板幅方向が車両組付状態でほぼ水平方向に沿うように設定しているため、この第2平板部68bにより横方向の曲げモーメントM2に対する強度が有効に向上する。これら平板部68a,68bが互いに交差する補強体68がフロントピラー62の内部で長手方向に延びているため、フロントピラー62の軸方向(長手方向)の剛性・強度にも優れており、かつ、このフロントピラー62を経由して衝突荷重をルーフ60側へ良好に伝達させることができる。
(第4実施例)
図1の自動車の車体1のルーフ60の両側を前後方向に延びるサイドルーフレール80に、本発明を適用した第4実施例について説明する。図18は図1のG−G線に沿う断面図である。この図18に示すように、ルーフ60の骨格部材は、ルーフ60の両側を前後方向に延びるサイドルーフレール80と、左右の両サイドルーフレール80を結ぶボールーフ81と、により大略構成されている。サイドルーフレール80の前部には、フロントピラー62が連結され、サイドルーフレール80のほぼ中央部には、センターピラー100が連結されている。
【0041】
図19は、サイドルーフレール80を簡略的に示す側面図である。図20は、サイドルーフレール80の前部の断面形状を示しており、図19のH−Hに沿う断面に対応している。図21は、サイドルーフレール80のセンターピラー100近傍の断面形状を示しており、図19のI−I線に沿う断面に対応している。
【0042】
サイドルーフレール80は、長手方向に沿う両側縁部98で互いに接合された一対の金属板85,86からなる中空外郭体を有している。この中空外郭体は、断面多角形状で長手方向に延びる閉断面構造をなしている。中空外郭体の内部には、1枚の第1補強板82からなる第1予備補強体がサイドルーフレール80の前部及び後部に配設されているとともに、長手方向に延びる交差位置95で互いに交差する一対の平板部99a,99bを有する断面略X字状の第2予備補強体99が、サイドルーフレール80のセンターピラー100近傍に配設されている。
【0043】
図20に示すように、第1補強板82は、その両側縁部94が中空外郭体の互いに対向する内面にそれぞれ接合されており、この中空外郭体の内部を長手方向に延びる2つの空間に仕切っている。図21に示すように、平板部99a,99bは、中空外郭体の一対の対向面を横断するように架け渡されており、この中空外郭体の内部を長手方向に延びる4つの空間に仕切っている。第2予備補強体99は、交差位置95で折曲しつつ互いに接合される第2補強板83及び第3補強板84から構成されている。両補強板83,84の長手方向に沿う両側縁部94,96,97は、それぞれ中空外郭体の内面に接合されている。
【0044】
このサイドルーフレール80は、後述する予備成形品87を液圧成形により膨出変形した中空成形品から製造される。図22は予備成形品87の長手方向に沿う断面図、図23は図22のJ−J線に沿う断面図、図24は図22のK−K線に沿う断面図である。
【0045】
予備成形品87を成形する場合、先ず補強板83,84を交差位置95で互いに接合して第2予備補強体を形成し、次いで補強板82,83,84の両側縁部94,96,97を対応する金属板85,86の内面に接合する。すなわち、図23に示すように、第1補強板82の両側縁部94を金属板85,86にそれぞれ接合するとともに、図24に示すように、補強板83,84の両側縁部96,97を対応する金属板85,86に接合する。次いで金属板85,86の両側縁部98及び前後縁部98’を全周にわたって互いに接合する。このようにして成形された予備成形品87は、長手方向で幾つかの部分に分けることができ、詳しくは、補強板82からなる第1予備補強体又は補強板83,84からなる第2予備補強体が配設された予備補強部88と、高圧な液体が注入される液体注入部90と、長手方向で予備補強部88と液体注入部90との間に位置する中間部89と、を有している。この中間部89には補強板82,83,84のいずれも配設されていない。
【0046】
液体注入部90は、液体注入ノズル(図7のノズル24に相当)を受容するように中空形状に形成されており、かつ、上記のノズルが液密に嵌合する嵌合孔93が一方の金属板86に形成されている。図22の破線で囲んだ部分、すなわち液体注入部90から中間部89に差し掛かる部分には、予備変形部91,92がそれぞれ金属板85,86に形成されている。予備変形部91,92は、上述した実施例と同様、金属板85,86の合わせ面に対して相似形をなし、かつ、予備補強部88へ向かって互いに近接する形状となっている。
【0047】
この予備成形品87は、上述した実施例と同様に中空成形される。すなわち、サイドルーフレール80の外郭形状に応じたキャビティを有する金型に予備成形品87を型締めした状態で、上記のノズルから高圧な液圧を液体注入部90内に注入することにより、予備成形品87がノズルの近傍から徐々に膨出変形していき、最終的にはサイドルーフレール80に応じた形状に成形される。このように予備成形品87が膨出変形していく過程において、予備変形部91,92が金属板85,86の合わせ面に対して相似形に設定されている等の理由により、第1補強板82及び第2,第3補強板83,84を適正な形状へ変形させていくことができる。
【0048】
この製造方法によって、図20に示す断面形状と図21に示す断面形状とを併せ持つサイドルーフレール80が得られる。サイドルーフレール80の前部に配設される第1補強板82は、2枚の重ね合わされた金属板85,86が膨らむに従って、略U字状に折り返された部分が拡開するように変形し、最終的には図20に示すように、中空外郭体の対向する内面を略鉛直方向に横断する平板形状へと変形する。この第1補強板82は、第2予備補強体99の他方の平板部99bと長手方向で実質的に連続するように、この平板部99bと同じ断面位置に形成されている。
【0049】
車体組付状態では、図18に示すように、一方の平板部99aがボールーフ81の下壁に沿うとともに、その板幅方向がほぼ水平方向、更には側面衝突の入力方向Rと平行に配設され、かつ、中空外郭体の上壁がボールーフ81の上壁に沿うように配置される。従って、側面衝突時には、センターピラー100からサイドルーフレール80へ荷重が伝達されるが、このセンターピラー100近傍のサイドルーフレール80内には、側面衝突の入力方向Rと平行で、かつボールーフ81の下壁に沿う平板部99aが設けられているため、入力方向Rの衝突荷重に対する剛性・強度に優れており、その荷重をボールーフ81へ良好に伝達させることができる。
【0050】
また、車体組付状態では、他方の平板部99bと第1補強板82とは、共に略ほぼ鉛直方向に沿うように配設されている。すなわち、第1補強板82はサイドルーフレール80前部の断面を略垂直方向に仕切っており、その後部の断面を平板部99bが略垂直方向に仕切っている。これら平板部99b及び第1補強板82により、フロントピラー62から伝達される前面衝突の荷重に起因してサイドルーフレール80に作用する曲げモーメントM2(図17参照)に対する強度・剛性にも優れており、かつ、これら平板部99b及び第1補強板82が長手方向に連続的に形成されているため、荷重を軸力として充分に受け止めることができる。
【0051】
第2予備補強体99はセンターピラー100との結合部近傍における部分にのみ配設されているため、例えば長手方向全長にわたって第2予備補強体を配設する場合に比して重量を抑制することができる。
(第5実施例)
図1の自動車の車体1のサイドルーフレール80とサイドシル40をほぼサイドルーフレール80の中央部で結ぶセンターピラー100に、本発明を適用した第5実施例について説明する。
【0052】
図25は図1のL−L線に沿う断面図である。センターピラー100は、長手方向に延びる両側縁部116で互いに接合される2枚の金属板105,106からなる中空外郭体を有している。この中空外郭体は、中空形状で長手方向に延びる閉断面構造をなしている。また、中空外郭体の内部には、2枚の補強板103,104からなる予備補強体が設けられている。補強板103,104は、ともに板幅方向が側面衝突の入力方向Rとほぼ平行かつ互いに平行に長手方向へ延びている。補強板103,104は、中空外郭体の内部を横断するように対向する内面間に架け渡されており、この中空外郭体の内部を長手方向に延びる3つの空間に仕切っている。
【0053】
図26は、センターピラー100を概略的に示す側面図である。補強板103,104は、センターピラー100の長手方向中央部近傍にのみ配設されている。すなわち、センターピラー100は、補強板103,104が配設された補強部108と、補強部108の長手方向両側に位置し、補強板103,104が配設されていない2つの非補強部109,109と、により構成されている。
【0054】
このセンターピラー100は、後述する予備成形品107を液圧成形した中空成形品から製造される。図27は予備成形品107の長手方向に沿う断面図であり、図28は図27のS−S線に沿う断面図である。
【0055】
予備成形品107を成形する場合、先ず、予めU字状に折り返した形状の補強板103,104の両縁部114,115を、それぞれ金属板105,106の内面に接合し、次いで、これら補強板103,104を挟み込んだ状態で、金属板105,106の両縁部116及び前後縁部116’を全周にわたって互いに接合する。成形後の予備成形品107は、長手方向で4つの部分、すなわち、補強板103,104が配設された予備補強部140と、高圧な液体が注入される液体注入部142と、長手方向で予備補強部140と液体注入部142との間に位置し、補強板103,104が配設されていない中間部141と、長手方向で予備補強部140を挟んで中間部141の反対側に位置し、上記の中間部141と同じく補強板103,104が配設されていない予備非補強部109’と、を有している。
【0056】
図29に示すように、液体注入部142は、液体注入ノズル24を受容し得るように中空形状をなしており、このノズル24が嵌合する嵌合孔113が一方の金属板106に形成されている。液圧成形用の上型117及び下型118には、センターピラー100の外郭形状に応じたキャビティが形成されているとともに、中空形状をなす液体注入部112が嵌合する凹溝が形成されている。
【0057】
図29の破線で囲んだ部分、すなわち液体注入部142から中間部141に差し掛かる部分には、予備変形部111,112が金属板105,106にそれぞれ形成されている。これら予備変形部111,112は、上述した実施例の予備変形部と同様の形状を有しており、すなわち、金属板105,106の合わせ面に対して相似形で、かつ、図29の右側へ向けて互いに近接する湾曲形状をなしている。詳しくは、予備変形部111,112は、ノズル側では金型の内面に実質的に接触するように互いに平行に離間しており、補強板103,104側では互いに接触するように重ね合わされており、これらノズル側から補強板103,104側(図27の右側)へ向かうに従って互いに近接するように滑らかに湾曲・傾斜している。
【0058】
上型117と下型118とにより予備成形品107を狭持した状態で、液体注入部142に高圧な液体を注入することにより、上述した実施例と同様、予備変形部111,112の部分より金属板105,106が均一に膨出変形していき、最終的には補強板103,104を含む予備補強体84を良好に変形させていくことができる。センターピラー100のU字状に曲げられた補強板103,104は、2枚の重ね合わされた金属板105,106が膨らむに従って、U字状の折り曲げ部分が開くように変形していき、最終的には図25に示すように板幅方向に直線状に延びる平板形状に成形される。
【0059】
この製造方法によって得られた中空成形品の長手方向両側を切断することにより、上記の予備補強部140が補強部108となり、上記の中間部141及び予備非補強部109’の一部がそれぞれ非補強部109,109となったセンターピラー100を得ることができる。側面衝突時には、センターピラー100に入力方向Rの荷重が作用するが、センターピラー100中央部に配設される補強板103,104が側面衝突の入力方向Rとほぼ平行に中空外郭体の内部を横断しているため、比較的上下方向に長い形状であっても、センターピラー100中央部での折れ曲がり変形を確実に防止することができ、かつ、サイドルーフレール80やサイドシル40へ荷重を良好に伝達することができる。これら補強板103,104は、特に折れ曲がり易い長手方向中央部にのみ配設されているため、例えば長手方向全長にわたって補強板103,104を配設する場合に比して、重量を抑制することができる。
(第6実施例)
図1の自動車の車体1の前端部もしくは後端部で左右方向に延びるバンパー4(4’)に本発明を適用した第6実施例について説明する。
【0060】
図30はバンパー4の上面図を示し、図31は図30のT−T線に沿う断面図である。このバンパー4は、両側縁部で互いに接合される2枚の金属板125,126からなる中空外郭体を有している。中空外郭体は、長手方向に延びる閉断面構造をなしている。この中空外郭体の内部には、この中空外郭体の互いに対向する内面を架橋する2枚の補強板123,124からなる補強体が配設されている。補強板123,124は、両側縁部がそれぞれ金属板125,126の内面に接合され、かつ、長手方向中央部にのみ配設されていて、この長手方向中央部に左右のサイドメンバ2が連結されている。補強板123,124は、その板幅方向が前面衝突の入力方向Qに沿うように設定されている。これら補強板123,124により、バンパー4の内部は長手方向に延びる3つの空間部に仕切られている。
【0061】
このバンパー4は、図32に示す予備成形品127を液圧成形により膨出変形した中空成形品から製造される。この予備成形品127の構造及び中空成形品の製造方法は上記の第5実施例とほぼ同様であり、ここでは説明を省略する。なお、上記の第1実施例と同様、略矩形断面をなすバンパー4の中空外郭体の対角線が、金型の分割面上に位置するように設定されている。
【0062】
このバンパー4では、左右のサイドメンバ2,2に接続する長手方向中央部にのみ2枚の補強板103,104が配設されているため、この長手方向中央部の剛性・強度を局所的に向上することができる。従って、ポール衝突やオフセット衝突など、バンパー4の前面側や片側から衝突入力が作用する場合に、左右のサイドメンバ2,2の間の部分で生じ易い折れ曲がり変形を確実に防止でき、これらサイドメンバ2へ荷重を良好に伝達することができる。また、補強板123,124は左右のサイドメンバ2に接続する長手方向中央部のみに形成されているため、例えば長手方向全長に補強板123,124を設ける場合に比して、重量を抑制することができる。
【0063】
以上のように具体的な実施例に基づいて本発明を説明してきたが、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変形、変更が可能である。例えば、重ね合わせる金属板や補強板の材質,板厚などは、図示された形態に限定されるものではなく、要求性能に応じて任意に設定できる。
【0064】
上記の実施例から把握し得る本発明の技術的思想について、その効果とともに列記する。
【0065】
(1)少なくとも長手方向に沿う両側縁部を互いに重ね合わせて接合した2枚の金属板を有し、液圧成形により上記2枚の金属板が長手方向に延びる中空外郭体へ膨出変形可能な予備成形品に関する。上記2枚の金属板の間には予備補強体が予め介装される。この予備補強体は、長手方向に沿って上記2枚の金属板の内面にそれぞれ接合されており、かつ、上記液圧成形により上記中空外郭体の内部を長手方向に延びる複数の空間に仕切る補強体へ変形可能である。
【0066】
この予備成形品を液圧成形することによって、互いに重ね合わせた2枚の金属板により中空外郭体が成形されるとともに、この中空外郭体の内部を仕切る補強体を同時に成形することができ、その製造が容易である。加えて、補強体へと変形する予備補強体は、変形前の金属板に予め接合しておくことができるので、その接合作業が容易であるとともに、補強体のレイアウト及び形状の自由度も高い。
【0067】
(2)上記補強体は、互いに交差する一対の平板部からなり、各平板部は、上記中空外郭体の互いに対向する内面に架け渡されている。従って、成形後の中空外郭体の内部が平板部によって長手方向に延びる4つの空間に仕切られた形状となり、強度・剛性に優れたものとなる。
【0068】
(3)上記予備補強体は、予めU字状に折り返された状態で上記2枚の金属板の間に介装される補強板を有し、この補強板の両側縁部が上記2枚の金属板の内面にそれぞれ接合されている。上記補強板は、上記液圧成形により上記折り返された部分が開くように変形することにより、平板形状へと変形可能である。
【0069】
(4)少なくとも長手方向に沿う両側縁部を互いに重ね合わせて接合した2枚の金属板を有し、これら2枚の金属板が液圧成形により長手方向に延びる中空外郭体へ膨出変形可能な予備成形品に関する。上記2枚の金属板の間に予め介装されるとともに、長手方向に沿って上記金属板の内面に接合された予備補強体を備える。更に、上記予備補強体が配設される予備補強部と、上記液圧成形時に高圧な液体が注入される液体注入部と、長手方向で上記補強部と上記液体注入部との間に位置する中間部と、を有し、この中間部には上記予備補強体が配設されていない。
【0070】
この予備成形品から成形される中空成形品は、中空外郭体の対向面を互いに連結する補強体により、強度・剛性に優れたものとなり、衝撃荷重を有効に分散することができる。補強体を長手方向の一部にのみ配置することも可能で、レイアウトの自由度も高い。
【0071】
(5)上記補強体は、互いに交差する一対の平板部により構成され、各平板部の両側縁部が上記中空外郭体の対向面にそれぞれ接合されている。これにより、予備成形品から得られる製品の補強性が優れたものとなる。
【0072】
(6)上記補強体は、上記交差位置で折曲するとともに互いに接合された2枚の補強板により構成されている。このように2枚の補強板が互いに接合されていると、得られる製品における補強板間で荷重を分散させることができ、補強性能に優れている。
【0073】
(7)上記予備補強体の中心と上記中間部の中心とを一致させる。この場合、液圧成形時に予備成形品の液体注入部へ高圧な液体を注入し、この予備成形品を所定の中空形状へと膨出変形させていく過程で、予備補強体を適正に変形させていくことができる。
【0074】
(8)互いに重ね合わせた第1金属板及び第2金属板の周縁部を互いに接合して予備成形品を形成し、この予備成形品を上型と下型の間に狭持した状態で、この予備成形品の液体注入部に高圧な液体を注入して中空成形品を膨出成形する中空成形品の液圧成形方法に関する。上記第1,第2金属板の間に予め予備補強体を介装しておく。上記予備成形品は、上記予備補強体が配設された予備補強部と、上記液体注入部と、上記予備補強部と上記液体注入部との間に位置し、上記予備補強体が配設されていない中間部と、を有している。
【0075】
この液圧成形方法によれば、液体注入部と予備補強部との間に予備補強体が配設されていない中間部を設けているため、上記液体注入部へ高圧な液体を注入すると、先ず液体注入部に近い中間部から徐々に変形していき、続いて予備補強部が変形していくこととなる。つまり、先ず中間部において第1,第2金属板が中空形状に変形し、この変形に追従するように予備補強部の中間部寄りの部分の第1,第2金属板が中空形状へと変形し、これら金属板の形状変化に追従するように、予備補強体を良好に変形させることができる。従って、予備補強体(補強体)により仕切られる複数の空間の形状がばらつくことなく適正に形成され、これら空間に作用する均等な液圧により金属板を適正に膨出変形させていくことができる。このように、2枚の金属板を中空形状に膨出変形する中空成形時に、断面を複数に仕切る補強体を同時に成形することが可能となり、高強度の中空成形品を容易に製造することができる。また、上記の予備補強部から成形される補強部と、上記の中間部からなる非補強部と、を併せ持った製品の提供も容易に可能となる。
【0076】
(9)上記予備成形品は、上記第1金属板に形成される第1予備変形部と、上記第2金属板に形成される第2予備変形部と、を有している。上記第1予備変形部と第2予備変形部とは、上記2枚の金属板の合わせ面、すなわち上型と下型の合わせ面に対して相似形をなし、かつ、上記液圧注入部から上記予備補強部へ向かうに従って互いに近接していく形状となっている。この場合、高圧な液体を液圧注入部へ注入すると、先ず第1予備変形部及び第2予備変形部がスムーズに中空形状へと変形していくため、変形のばらつきや不均一化を更に確実に防止することができる。
【0077】
(10)上記中空成形品の長手方向に直交する断面形状が矩形をなしており、この矩形の対角線上に、上記上型と下型の分割面を配置させる。言い換えると、互いに接合される金属板のフランジ状をなす両側縁部を、上型と下型の分割面に沿って配置する。これにより、液圧成形により金属板が徐々に膨出変形していくに従って、上述したフランジ状の両側縁部を金型のキャビティ内へスムーズに導き入れることができ、金属板の膨出変形を良好に行わせることができる。
【0078】
(11)上記予備補強体は1枚以上の補強板により構成されている。例えば、一枚の補強板からなる第1の予備補強体と、複数枚の補強板からなる第2の予備補強体と、を1つの予備成形品の長手方向で異なる位置に設けることもできる。
【0079】
(12)上記予備補強体が2枚の補強板により構成され、これら2枚の補強板は、長手方向に沿う交差位置で互いに接合されている。この場合、液圧成形後の中空成形品の内部が2枚の補強板により上下左右に仕切られることとなり、上下・左右のどちらの方向にも高強度な中空成形品を提供できる。
【0080】
(13)上記交差位置は、上記液圧成形後には上記中空成形品のほぼ中央に配置される。この場合、上記2枚の補強板により内部が4つの均等な空間に仕切られた中空成形品を得ることが可能となる。
【0081】
(14)上記2枚の補強板は、その板幅方向で互いにオフセットして接合される。この場合、例えば中空成形品の断面が長方形状の場合であっても、上記2枚の補強板により中空成形品の断面を上下・左右方向に均等に仕切ることができる。
【0082】
(15)上記2枚の補強板の板幅方向の長さが互いに異なる。これら2枚の補強板により、成形後の中空成形品の断面を上下・左右に必要な大きさに仕切ることができる。
【0083】
(16)上記の液圧成形方法により得られる自動車の車体構造部材として、上記予備補強部から成形される補強部と、上記中間部から成形される非補強部と、を備えたサイドメンバを得ることができる。前面衝突時には、まず非補強部が変形することにより衝撃を吸収し、残る衝撃を補強部が受けることになる。この補強部は、内部が補強体により仕切られており、その断面内に稜線が多いため、上記の非補強部に比して高強度であり、高い反力を得ることができる。このように、主として非補強部により衝突時の初期反力を抑えつつ、主として補強部により高い反力を得ることができ、全体として衝突エネルギ−の吸収効率を効果的に高めることができる。
【0084】
(17)上記の液圧成形方法によって製造される自動車の車体構造部材として、上記補強体が互いに交差する一対の平板部からなるサイドシルを得ることができる。一方の平板部をフロアのクロスメンバに沿うように配設することにより、サイドシルへの側面衝突の荷重をフロアのクロスメンバへ確実に伝達することができる。他方の平板部を車両上下方向に沿うように配設することにより、車両の自重が作用する上下方向に対しても高い剛性を有するサイドシルを提供することができる。
【0085】
(18)上記の液圧成形方法によって製造される自動車の車体構造部材として、上記補強体が互いに交差する一対の平板部からなるフロントピラーを得ることができる。一方の平板部を略垂直方向に沿って配設することにより、縦方向の曲げモーメントに対する剛性に優れ、かつ、他方の平板部を略水平方向に沿って配設することにより、横方向の曲げモーメントに対する剛性にも優れ、更に、これら平板部を互いに交差させた形状で長手方向に延設することにより、軸方向にも潰れ難い高強度なフロントピラーを得ることができる。
【0086】
(19)上記の液圧成形方法によって製造される自動車の車体構造部材として、サイドルーフレールを得ることができる。好ましくは、上記補強体は、上記サイドルーフレールの前部に配設される第1補強体と、上記サイドルーフレールの中央部に配設される第2補強体と、により構成されている。上記第1補強体は、上記サイドルーフレールの内部を略垂直方向に仕切っており、上記第2補強体は、互いに交差する一対の平板部より構成され、上記サイドルーフレールの内部を略垂直方向と略水平方向とに仕切っている。この場合、センターピラーから伝達される側面衝突の荷重を、上記の第2補強体を介して両側のサイドルーフレールを結ぶボールーフへ伝達し易くなる。また、フロントピラーから伝達される前面衝突の荷重を軸力として確実に受け止めることができ、この荷重に対する強度が向上する。更に、センターピラーとの結合部近傍にのみ、平板部が交差する第2補強体を配設しているため、長手方向全長にわたって第2補強体を形成する場合に比して、重量を抑制することができる。
【0087】
(20)上記の液圧成形方法によって製造される自動車の車体構造部材として、上記補強体が車体の幅方向に沿うように配設されたセンターピラーを得ることができる。特に、センターピラーのほぼ中央部の必要な範囲にのみ、側面衝突の入力方向に沿う補強体を設けることにより、軽量かつ高強度で、その側突荷重をサイドルーフレールやサイドシルへ確実に伝達し得るセンターピラーを得ることができる。
【0088】
(21)上記の液圧成形方法によって製造される自動車の車体構造部材として、上記補強体が車体前後方向に沿って配設されたバンパーを得ることができる。特に、バンパーのうち、サイドメンバが接続される長手方向中央部にのみ、上記補強体を配設することにより、比較的軽量でありながら、ポール衝突やオフセット衝突など、バンパーの前面側あるいは片側から衝突入力があったとしても、バンパーの長手方向中央部の折れ曲がり変形を確実に抑制し、上記のサイドメンバへ荷重を確実に伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動車の車体を簡略的示す側面図。
【図2】本発明の第1実施例に係るフロントサイドメンバを示す斜視図。
【図3】図2のX−X線に沿う断面図。
【図4】上記第1実施例に係る予備成形品の長手方向に沿う断面対応図。
【図5】図4の予備成形品の成形手順を示し、図4のA−A線に沿う断面対応図。
【図6】上記第1実施例に係る金型及び予備成形品の液圧成形前の断面図。
【図7】図6のB−B線に沿う断面対応図。
【図8】上記第1実施例に係る金型及び予備成形品の液圧成形後の断面図。
【図9】上記第1実施例に対する他の例を示す断面図。
【図10】上記第1実施例に対する更に他の例を示す断面図。
【図11】本発明の第2実施例に係るサイドシルを示す図1のC−C線に沿う断面図。
【図12】上記第2実施例に係る予備成形品を長手方向に沿って切断した断面図。
【図13】図12のD−D線に沿う断面図。
【図14】本発明の第3実施例に係るフロントピラーを示す図1のE−E線に沿う断面図。
【図15】上記第3実施例の予備成形品を長手方向に沿って切断した断面図。
【図16】図15のF−F線に沿う断面図。
【図17】自動車の車体の上面図。
【図18】本発明の第4実施例に係るサイドルーフレール80を示す図1のG−G線に沿う断面図。
【図19】上記第4実施例に係るサイドルーフレール80を適用した車両を簡略的に示す側面図。
【図20】図19のH−H線に沿う断面図。
【図21】図19のI−I線に沿う断面図。
【図22】上記第4実施例に係る予備成形品を長手方向に沿って切断した断面図。
【図23】図22のJ−J線に沿う断面図。
【図24】図22のK−K線に沿う断面図。
【図25】本発明の第5実施例に係るセンターピラーを示す図1のL−L線に沿う断面図。
【図26】上記第5実施例のセンターピラーを適用した車両を簡略的に示す側面図。
【図27】上記第5実施例に係る予備成形品を長手方向に沿って切断した断面図。
【図28】図27のS−S線に沿う断面図。
【図29】上記第5実施例に係る金型及び予備成形品を長手方向に沿って切断した断面図。
【図30】本発明の第6実施例に係るフロントバンパーを簡略的に示す上面図。
【図31】図30のT−T線に沿う断面図。
【図32】上記第6実施例に係る予備成形品を示す断面図。
【符号の説明】
2…サイドメンバ(車体構造部材)
4…バンパー(車体構造部材)
7,8…補強板
9…補強部
10…非補強部
11,12…金属板
13…交差位置
17,18…予備変形部
21,22…金型
23…分割面
34…予備補強部
35…中間部
36…液体注入部
37…補強体
37a,37b…平板部
40…サイドシル(車体構造部材)
62…フロントピラー(車体構造部材)
80…サイドルーフレール(車体構造部材)
100…センターピラー(車体構造部材)
Claims (21)
- 少なくとも長手方向に沿う両側縁部を互いに重ね合わせて接合した2枚の金属板を有し、液圧成形により上記2枚の金属板が長手方向に延びる中空外郭体へ膨出変形可能な予備成形品において、
上記2枚の金属板の間に予め介装される予備補強体を有し、
この予備補強体は、長手方向に沿って上記2枚の金属板の内面にそれぞれ接合されており、かつ、上記液圧成形により上記中空外郭体の内部を長手方向に延びる複数の空間に仕切る補強体へ変形可能であり、
上記補強体は、互いに交差する一対の平板部からなり、各平板部は、上記中空外郭体の互いに対向する内面に架け渡されていることを特徴とする予備成形品。 - 上記補強体は、上記互いに交差する位置で折曲するとともに互いに接合される2枚の補強板により構成されている請求項1に記載の予備成形品。
- 上記補強板の両側縁部が、一方の金属板の折曲する2つの側壁の内面にそれぞれ接合されている請求項2に記載の予備成形品。
- 少なくとも長手方向に沿う両側縁部を互いに重ね合わせて接合した2枚の金属板を有し、液圧成形により上記2枚の金属板が長手方向に延びる中空外郭体へ膨出変形可能な予備成形品において、
上記2枚の金属板の間に予め介装される予備補強体を有し、
この予備補強体は、長手方向に沿って上記2枚の金属板の内面にそれぞれ接合されており、かつ、上記液圧成形により上記中空外郭体の内部を長手方向に延びる複数の空間に仕切る補強体へ変形可能であり、
更に、上記予備補強体は、予めU字状に折り返された状態で上記2枚の金属板の間に介装される補強板を有し、この補強板の両側縁部が、上記2枚の金属板の互いに接合される両側縁部の中間位置で、各金属板の内面にそれぞれ接合されており、
上記補強板は、上記液圧成形により上記折り返された部分が拡開するように直線状に変形可能であることを特徴とする予備成形品。 - 少なくとも長手方向に沿う両側縁部を互いに重ね合わせて接合した2枚の金属板を有し、これら2枚の金属板が液圧成形により長手方向に延びる中空外郭体へ膨出変形可能な予備成形品において、
上記2枚の金属板の間に予め介装されるとともに、長手方向に沿って上記金属板の内面に接合された予備補強体を備え、
かつ、上記予備補強体が配設される予備補強部と、上記液圧成形時に高圧な液体が注入される液体注入部と、長手方向で上記補強部と上記液体注入部との間に位置する中間部と、を有し、この中間部には上記予備補強体が配設されていないことを特徴とする予備成形品。 - 上記補強体は、長手方向に延びる交差位置で互いに交差する一対の平板部により構成され、各平板部の両側縁部が上記中空外郭体の対向面にそれぞれ接合されいる請求項5に記載の予備成形品。
- 上記予備補強体の中心と上記中間部の中心とを一致させた請求項5又は6に記載の予備成形品。
- 互いに重ね合わせた第1金属板及び第2金属板の周縁部を互いに接合して予備成形品を形成し、この予備成形品を上型と下型の間に狭持した状態で、この予備成形品の液体注入部に高圧な液体を注入して中空成形品を膨出成形する中空成形品の液圧成形方法において、
上記第1,第2金属板の間に予め予備補強体を介装し、
かつ、上記予備成形品は、上記予備補強体が配設された予備補強部と、上記液体注入部と、上記予備補強部と上記液体注入部との間に位置し、上記予備補強体が配設されていない中間部と、を有することを特徴とする液圧成形方法。 - 上記予備成形品は、上記第1金属板に形成される第1予備変形部と、上記第2金属板に形成される第2予備変形部と、を有し、
上記第1予備変形部と第2予備変形部とは、上記2枚の金属板の合わせ面に対して相似形をなし、かつ、上記液体注入部から上記予備補強部へ向かうに従って互いに近接する形状である請求項8に記載の液圧成形方法。 - 上記中空成形品の長手方向に直交する断面形状が矩形をなしており、この矩形の対角線上に、上記上型と下型の分割面を配置する請求項8に記載の液圧成形方法。
- 上記予備補強体が、1枚以上の補強板により構成される請求項8〜10のいずれかに記載の液圧成形方法。
- 上記予備補強体が2枚の補強板により構成され、これら2枚の補強板は、長手方向に沿う交差位置で互いに接合されている請求項8〜10のいずれかに記載の液圧成形方法。
- 上記交差位置は、上記液圧成形後には上記中空成形品のほぼ中央に配置される請求項12に記載の液圧成形方法。
- 上記2枚の補強板は、その板幅方向で互いにオフセットして接合されている請求項12又は13に記載の液圧成形方法。
- 上記2枚の補強板の板幅方向の長さが互いに異なる請求項11又は12に記載の液圧成形方法。
- 請求項11〜15のいずれかに記載の液圧成形方法によって製造される自動車の車体構造部材であって、かつ、上記予備補強部から成形される補強部と、上記中間部から成形される非補強部と、を備えたサイドメンバであることを特徴とする車体構造部材。
- 請求項11〜15のいずれかに記載の液圧成形方法によって製造される自動車の車体構造部材であって、かつ、上記補強体が互いに交差する一対の平板部からなるサイドシルであり、一方の平板部は、フロアのクロスメンバに沿うように配設され、他方の平板部は、車両上下方向に沿うように配設されることを特徴とする車体構造部材。
- 請求項11〜15のいずれかに記載の液圧成形方法によって製造される自動車の車体構造部材であって、かつ、上記補強体が互いに交差する一対の平板部からなるフロントピラーであり、一方の平板部は略垂直方向に沿って配設され、他方の平板部は略水平方向に沿って配設されることを特徴とする車体構造部材。
- 請求項11〜15のいずれかに記載の液圧成形方法によって製造される自動車の車体構造部材であって、この車体構造部材がサイドルーフレールであり、
上記補強体は、上記サイドルーフレールの前部に配設される第1補強体と、上記サイドルーフレールの中央部に配設される第2補強体と、により構成され、
上記第1補強体は、上記サイドルーフレールの内部を略垂直方向に仕切り、上記第2補強体は、互いに交差する一対の平板部より構成され、上記サイドルーフレールの内部を略垂直方向と略水平方向とに仕切ることを特徴とする自動車の車体構造部材。 - 請求項11〜15のいずれかに記載の液圧成形方法によって製造される自動車の車体構造部材であって、かつ、上記補強体が車体の幅方向に沿うように配設されたセンターピラーであることを特徴とする自動車の車体構造部材。
- 請求項11〜15のいずれかに記載の液圧成形方法によって製造される自動車の車体構造部材であって、かつ、上記補強体が車体前後方向に沿って配設されたバンパーであることを特徴とする自動車の車体構造部材。
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