JP3832057B2 - 現像ローラの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンターあるいはファクシミリの受信装置など電子写真方式を採用した装置に組み込まれる現像ローラの製造方法に関し、特に非磁性1成分現像剤による現像方式を採用した現像装置に組み込まれる現像ローラの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式を採用する装置では、感光体などの静電潜像担持体の周辺に、静電潜像担持体へ電荷を一様に供給する帯電ローラ、トナーを静電潜像担持体へ供給する現像ローラ、そしてトナー像を記録用紙に転写させる転写ローラなどの各種ローラが配置される。これら各種ローラのうち、現像ローラは最も重要なものであり、種々の特性が求められる。
【0003】
図1は、電子写真方式を採用した装置において現像装置の構成の一部を示す模式図である。現像装置は、トナー1,…を貯蔵するトナー容器2、このトナー容器2に設けられた規制ブレード3、現像ローラ4およびこの現像ローラ4の表面にトナー1,…を確実に担持させる供給ローラ5などから構成される。現像ローラ4は、SUS製やアルミニウム合金製などの導電性シャフト6の周りに、導電性弾性層7を同心円状に積層し、この導電性弾性層7の外周に表面層8を被覆して構成される。この導電性シャフト6と現像ローラの表面との間には電圧が印加される。トナー容器内2のトナー1,…は、非磁性1成分現像剤からなり、現像ローラ表面に担持され、規制ブレード3によってトナー薄層9とされる際に、接触・摩擦帯電する。そして、現像ローラ表面を感光体10の表面に接触させることにより、トナー薄層9が感光体10へ付着されて、感光体表面にトナー像11を形成する。
【0004】
このように、現像ローラの最大の役割はトナーを感光体へ搬送することである。非磁性1成分現像剤を用いる現像ローラにおいては、現像ローラ表面の電位を調整し、接触・摩擦帯電したトナーを静電気力によってその表面に吸着させるので、現像ローラの表面構造が重要な要素となり、特にその表面粗さが重要な要素となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような理由から、従来、現像ローラ表面の表面粗さを適度に調整するため、その表面に吹付加工や研磨加工などを行ってきたが、これら加工手段は、現像ローラ表面の硬度が高い場合にしか適用できず、図1に示したような感光体表面に接触して非磁性トナーを供給する現像ローラに適用することはできない。なぜならば、現像ローラの表面層には比較的柔軟な構造のものを用いるからである。それは、 現像ローラ表面の硬度が高いと規制ブレードによってトナー薄層を形成する際にトナー割れが生ずるのでこのトナー割れを防ぐため、 現像ローラと感光体とは周方向に一定の接触幅(以下、ニップ幅と呼ぶ。)をもたなければならないため、および 感光体表面を傷つけないためという理由からである。このような柔軟な表面層に吹付加工や研磨加工を行っても、必要とされる表面粗さを得ることが非常に難しいという問題がある。
【0006】
一方で、表面層の表面粗さを調整するために、界面活性剤を添加した表面層溶液を塗布して表面層を形成することもあるが、これでは成形後の界面活性剤のブリーディングが生じた場合に、感光体表面や非磁性トナーなどを汚染し、画質を悪化させる一因となるという問題もある。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑み、非磁性トナーを表面に担持して感光体表面へ供給する現像ローラにおいて、その表面粗さを調整して、感光体へのトナー供給量を充分に確保する、帯電性・耐久性に優れた現像ローラの製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため、表面粗さをコントロールする手法として、現像ローラの表面層中に微粒子を分散させれば、所定の表面粗さを得られることを見出し、本発明の現像ローラを完成するに至った。すなわち、本発明の現像ローラの製造方法は、中心軸に配された導電性シャフトの周りに弾性層、該弾性層上に表面層を同心円状に順次積層して構成される現像ローラの製造方法であって、中心軸に導電性シャフトを配し、該導電性シャフトの周りに弾性層を積層し、該弾性層上にウレタン系またはナイロン系の素材からなる微粒子、並びにシリカおよびアルミナ、またはシリカを混入し攪拌した表面層溶液を塗布し乾燥させて表面層を形成することにより、前記弾性層が50°以下のJIS A 硬度を有するとともに、前記表面層の主要成分がポリカーボネートウレタンであり、該表面層が3μm以上15μm以下の範囲内の表面粗さとなるようにウレタン系またはナイロン系の素材からなる微粒子を前記表面層に分散させ、かつ、該表面層中に前記微粒子とは別にシリカおよびアルミナ、またはシリカを含ませてなることを特徴とし、マイナス帯電トナーを使用する現像装置に用いるものである。このような方法を採用すると、表面層溶液中に微粒子が長時間均一に分散するために好ましい。なお、本発明での表面粗さとは、JISB 0601−1994に準拠した測定値(Rz)をいう。
【0009】
前記表面層の厚みが5μm以上50μm以下であり、前記表面層に含有される微粒子の平均粒径が10μm以上50μm以下であり、かつ表面層中における前記微粒子の配合量が、表面層の樹脂成分の100重量部に対して15重量部以上50重量部以下であると、前記表面粗さを前記範囲内におさめることができるとともに現像ローラ表面が硬くなりすぎて生ずるトナー割れなどを防止できるので好ましい。
【0013】
前記表面層に含有される微粒子として特にpHが5以下のものを用いると、後述する理由によりトナーの帯電性を向上させるので好ましい。なお、微粒子のpHとは、JIS K 6221規格による測定値、たとえば、微粒子からなる試料1gに対して10ml(ミリリットル)の割合で蒸留水を加えたものを時計皿で覆い、15分間煮沸した後、室温まで冷却し、傾斜法または遠心分離法によりその上澄み液を除去して泥状物を残し、この泥状物中にたとえばガラス電極pH計の電極を入れて測定したpH値をいう。
【0014】
前記弾性層として、特に、
(A)分子中に少なくとも1個のアルケニル基を含み、主鎖を構成する繰り返し単位が主にオキシアルキレン単位または飽和炭化水素系単位からなる重合体と、(B)分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を含む硬化剤と、
(C)ヒドロシリル化触媒と、
(D)導電性付与剤と、
を主成分とする硬化性組成物の反応物を用いると、現像ローラに好ましい弾力性を与えることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る代表的な種々の実施例を説明する。
本発明に係る現像ローラが図1に示したような電子写真方式を採用する現像装置内に設置されることは、従来と同様である。本発明に係る現像ローラは、直径1mm〜25mm程度のSUS(ステンレス鋼)、アルミニウム合金または樹脂などからなる導電性シャフトの周りに、JIS A 硬度が50°以下の導電性弾性層が同心円状に設けられ、この導電性弾性層の外周面に、JIS B 0601−1994に準拠した測定で3μm〜15μmの範囲内の表面粗さとなるような微粒子を含有する表面層が被覆されて構成されるものである。なお、導電性弾性層と表面層との間に、現像ローラの電気抵抗を調整するための抵抗調整層、および導電性弾性層と表面層との間の接着性を高めるプライマー層などを単層または複数層含む場合もあり得る。また、表面層の形成手段として、たとえば表面層を構成する樹脂成分の粘度などに応じて、ディッピング、スプレー、ロールコートまたは刷毛塗りなどが挙げられるが、本発明はこの形成方法を特に限定するものではない。
【0019】
前記表面粗さは、表面層中に含有される微粒子によって現像ローラ表面全体に均一にされる。この表面粗さを3μm以上にすることで、現像ローラ表面にトナーを捕獲することが容易になり、捕獲されたトナーは静電気力によって現像ローラ表面に担持される。また、これら微粒子が均一に分散することにより、現像ローラ表面に凹凸部分が均一に形成されているので、接触・摩擦帯電した非磁性トナーが電位の高い凸部分に静電気力によって効率良く吸着されると考えられる。しかし、前記表面粗さが15μmを超えると、トナー薄層が不均一に形成され、画像にムラが生じるのである。
【0020】
表面粗さを3μm〜15μmの範囲内におさめるには、表面層の厚みが5μm〜50μm、特に10μm〜30μmであり、表面層に含有される微粒子の平均粒径が10μm〜50μm、特に10μm〜35μmであることが好ましく、この微粒子は、表面層の主要成分たる樹脂の100重量部に対して15重量部〜50重量部、特に15重量部〜30重量部となるように配合されることが好ましい。表面層に含有される微粒子の量が前記50重量部を超えると、表面層が硬くなりすぎるため、その表面に担持される非磁性トナーが規制部材などに押圧される際に割れやすくなる。また、この微粒子の素材としてウレタン系やナイロン系のものを用いると、表面層への微粒子の含有量が前記範囲内で比較的少量でも、現像ローラの表面粗さを3μm〜15μmにできるとともに、トナーのマイナス帯電を向上させることができる。
【0021】
また、本発明では、前記導電性弾性層を導電性シャフト上に設けた後、この導電性弾性層に特に吹付加工や研磨加工などを行う必要はない。従来、導電性弾性層形成後にその表面の粗さを吹付加工や研磨加工などにより調整することがよく行われていた。この導電性弾性層上に被覆する表面層の厚みを調整して、表面層の表面層粗さを調整することができる。しかし、本発明では、表面層の表面粗さを、表面層に含まれる微粒子で調整することができるため、導電性弾性層の表面粗さを吹付加工や研磨加工などで調整する必要がない。
【0022】
ここで、高湿度環境下でのローラ抵抗の安定性やトナーの帯電性の観点からは、pHが5以下となるように処理されたカーボンブラックやコロイダルシリカなどの微粒子を用いるのが好ましい。これら微粒子のpHは、この微粒子の表面処理の方法などによって変えることができる。このpHが5以下の微粒子を表面層に添加することで、トナーの帯電量が増加し、特に高湿度環境下でローラ抵抗の低下が防止されることが実験で確認されている。
【0023】
また、導電性弾性層の周りに表面層溶液を塗布するときから10時間以内に、その表面層溶液に、10μm〜50μmの平均粒径の微粒子を表面層の樹脂成分の100重量部に対して15重量部〜50重量部となるように配合して攪拌すると、表面層に微粒子が均一に分散されるので、効率良く非磁性トナーをその表面に担持することができる。
【0024】
また、塗布前の表面層溶液中に、シリカとアルミナとの混合物またはシリカのみを0.5%〜10%、好ましくは1%〜10%の範囲内で含むようにすると、表面層溶液中の微粒子が拡散し30時間程度の間微粒子が沈殿しなくなるため、表面層溶液の貯蔵安定性が向上するので好ましい。
【0025】
また、表面層被覆後のローラ抵抗が104 Ω〜1010Ω、好ましくは105 Ω〜108 Ωの現像ローラを用いることが、感光体にダメージを与えず、良好な画像を得る点で好ましい。ローラ抵抗が104 Ω以下であると、現像ローラ表面からリーク電流などが生じ、ローラ抵抗が1010Ω以上であると、トナーフィルミングなどが生じ易くなり、画質が低下するのである。なお、このローラ抵抗値は、現像ローラを金属プレートに水平に当てて、前記導電性シャフトの両端部の各々に500gの荷重を金属プレート方向に加えたとき、シャフトと金属プレート間に直流電圧100ボルト印加して測定される値である。
【0026】
このような現像ローラによって、トナー容器に貯蔵されている非磁性トナーが現像ローラ表面に担持され、規制ブレードによって一定の膜厚でトナー薄膜とされた後、この摩擦帯電したトナー薄膜が感光体表面の静電潜像へ付着される。このとき、供給ローラによって非磁性トナーが効率的に現像ローラへと供給される。供給ローラとしては、ウレタンなどからなる導電性発泡体などのスポンジ状のもの、あるいはアルミニウム合金などからなる金属パイプなどの導電性円筒体を使用することができる。またトナーには、たとえば着色顔料をスチレンアクリル系やポリエステル系の熱可塑性樹脂などで覆って形成した粒径10μm程度のものを用いることができる。また、本実施例での現像ローラおよび供給ローラには、直流電圧が印加されている。トナーがマイナス帯電の場合、現像ローラには−150V〜−350V、供給ローラには−200V〜−600VのDC電圧を印加するのが好ましい。さらに規制ブレードに、トナーの帯電付与を行わせるために、−150V〜−600VのDC電圧を印加することもできる。トナーがプラス帯電の場合には、現像ローラ、供給ローラおよび規制ブレードに印加される各DC電圧は前記値と絶対値が同じで逆符号の値となる。なお、DC電圧にAC電圧を重畳させて印加することもできる。
【0027】
以下、表面層の構成について説明する。表面層の主成分としてはポリカーボネートウレタンを用いることが望ましい。ポリカーボネートウレタンは、入手が容易なうえ、溶剤で希釈した後、ディッピング、スプレー塗布などで導電性弾性層上に容易に塗布することができる。
【0028】
ポリカーボネートウレタンは、ポリカーボネートポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られる化合物である。ポリカーボネートポリオールは、多価アルコールとホスゲン、クロル蟻酸エステル、ジアルキルカーボネートまたはジアリルカーボネートとの縮合によって得られる公知の材料である。ポリカーボネートポリオールの好ましいものとしては、多価アルコールとして1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオールなどを使用したものであり、その数平均分子量Mnは約300〜15,000が望ましい。ポリカーボネートポリオールは、単独で使用することが好ましいが、ポリウレタン製造用の公知の材料であるポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールあるいはポリエステル−ポリエーテルポリオールと併用することも可能である。なお、上記では、ローラの低硬度、低吸水率のバランスで好ましい例としてジアルキルジオールを挙げたが、芳香族系または脂環族系のポリオール(主にジオール)であっても構わない。
【0029】
ポリカーボネートポリオールと反応させるポリイソシアネートは、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、水添TDI、水添MDI、イソホロンジイソシアネート(IPDI)など、公知の物が使用される。入手の容易さ、コストなどのバランスからは、水添MDI、IPDIが好ましい。
【0030】
前記のような、ポリカーボネートポリオールとポリイソシアネートとを反応させてポリカーボネートウレタンを製造するには、必要に応じて鎖伸長剤を併用して、適当な溶剤の存在下、あるいは不存在下で反応させる。前記の場合の鎖伸長剤としては、多価アルコール、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミンなどの公知のものを用いることができる。
【0031】
以下、前記導電性弾性層の構成について説明する。
【0032】
導電性弾性層としては、ウレタン系またはシリコーン系などの反応性有機材料、エチレンプロピレン系ゴムもしくは熱可塑ウレタンゴムなどであって、JISA 硬度が50°以下、特にJIS A 硬度が30°以下のものを用いるのが好ましい。これにより、現像ローラに十分な弾性を与えてトナー割れを減らすとともに、十分なニップ幅を確保することができる。
【0033】
特に導電性弾性層としては、
(A)分子中に少なくとも1個のアルケニル基を含み、主鎖を構成する繰り返し単位が主にオキシアルキレン単位または飽和炭化水素系単位からなる重合体と、(B)分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を含む硬化剤と、
(C)ヒドロシリル化触媒と、
(D)導電性付与剤と、
を主成分とする硬化性組成物の反応物を使用することも好ましい。導電性弾性層がオキシアルキレン系組成物からなるときは、この組成物は硬化前には低粘度であり硬化後には低硬度であるので加工性の観点から好ましく、導電性弾性層が飽和炭化水素系組成物からなるときは、この組成物は低吸水率であるので高湿度環境下での安定性の観点から好ましい。
【0034】
これら硬化性組成物における(A)成分の重合体は、(B)成分とヒドロシリル化反応して硬化する成分であり、分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有するため、ヒドロシリル化反応が起こって高分子状になり硬化する。(A)成分に含まれるアルケニル基の数は、(B)成分とヒドロシリル化反応するという点からも少なくとも1個必要であるが、ゴム弾性の点からは、直鎖状分子の場合は、分子の両末端に2個のアルケニル基が存在し、分岐のある分子の場合には、分子末端に2個以上のアルケニル基が存在することが望ましい。(A)成分の主鎖を構成する主な繰り返し単位はオキシアルキレン単位または飽和炭化水素単位である。
【0035】
主鎖を構成する主な繰り返し単位がオキシアルキレン単位からなる重合体の場合、少量の導電性付与剤を添加するだけで体積抵抗率が108 〜109 Ωcmとなるため好ましい。また、硬化物の低硬度化の観点からも、前記繰り返し単位がオキシアルキレン単位であるオキシアルキレン系重合体、さらには、前記繰り返し単位がオキシプロピレン単位であるオキシプロピレン系重合体が好ましい。
【0036】
ここで、前記オキシアルキレン系重合体とは、主鎖を構成する単位のうち30%以上、好ましくは50%以上がオキシアルキレン単位からなる重合体をいい、オキシアルキレン単位以外に含有される単位としては、重合体製造時の出発物質として使用される、活性水素を2個以上有する化合物、たとえばエチレングリコール、ビスフェノール系化合物、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどからの単位が挙げられる。なお、オキシプロピレン系重合体の場合には、エチレンオキシド、ブチレンオキシドからなる単位との共重合体(グラフト共重合体も含む)であってもよい。
【0037】
上記のような(A)成分のオキシアルキレン系重合体の分子量としては、反応性および低硬度化のバランスをよくする観点からは、数平均分子量(Mn)で500〜50,000、さらには1,000〜40,000であることが好ましい。特に、数平均分子量5,000以上のもの、さらには5,000〜40,000であるものが好ましい。数平均分子量が500未満の場合、この硬化性組成物を硬化させた場合に充分な機械的特性(ゴム硬度、伸び率)などが得られにくくなる。一方、数平均分子量があまり大きくなりすぎると、分子中に含まれるアルケニル基1個あたりの分子量が大きくなったり、立体障害で反応性が落ちたりするため、硬化が不充分になることが多く、また、粘度が高くなりすぎて加工性が悪くなる傾向にある。
【0038】
前記オキシアルキレン系重合体が有するアルケニル基に特に制限はないが、下記一般式(1)、
【0039】
H2 C=C(R1 )− (1)
(式中、R1 は水素原子またはメチル基)
【0040】
で示されるアルケニル基が、硬化性に優れる点で特に好ましい。
【0041】
また、この硬化性組成物の特徴の1つは、低硬化性に設定しやすいことであり、この特徴を発揮させるにはアルケニル基の数は分子末端に2個以上が好ましく、(A)成分の分子量に比してアルケニル基の数が多くなりすぎると剛直になり、良好なゴム弾性が得られなくなる。
【0042】
また、(A)成分が、主鎖を構成する主な繰り返し単位が飽和炭化水素単位である重合体の場合は、低吸水率であり、電気抵抗の環境変動が小さく好ましい。この重合体の場合も、前記オキシアルキレン系重合体の場合と同様に、(B)成分とヒドロシリル化反応して硬化する成分であり、分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有するため、ヒドロシリル化反応が起こって高分子状になり硬化するものであり、(A)成分に含まれるアルケニル基の数は、(B)成分とヒドロシリル化反応するという点から少なくとも1個必要であるが、ゴム弾性の点からは、直鎖状分子の場合は、分子の両末端に2個存在することが好ましく、分岐を有する分子の場合には、分子末端に2個以上存在することが好ましい。
【0043】
前記主鎖を構成する主な繰り返し単位が飽和炭化水素単位である重合体の代表的な例としては、イソブチレン系重合体、水添イソプレン系重合体、水添ブタジエン系重合体が挙げられる。これら重合体は、共重合体などの他成分の繰り返し単位を含むものであってもかまわないが、少なくとも飽和炭化水素単位を50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上含有することが、飽和炭化水素系の、吸水率が低いという特徴を損なわないようにするうえで重要である。
【0044】
この主鎖を構成する主な繰り返し単位が飽和炭化水素単位である(A)成分の重合体の分子量としては、取り扱い易さなどの点から、数平均分子量(Mn)で500〜50,000程度、さらには1,000〜15,000程度であって、常温において液状物で流動性を有するものが加工性の点で好ましい。
【0045】
この飽和炭化水素系重合体に導入されるアルケニル基については、前記オキシアルキレン系重合体の場合と同様である。
【0046】
したがって、(A)成分としての、分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰り返し単位が飽和炭化水素系である重合体の好ましい具体例としては、両末端にアルケニル基を2個有する直鎖状の数平均分子量Mnが2,000〜15,000でMw(重量平均分子量)/Mnが1.1〜1.2のポリイソブチレン系、水添ポリブタジエン系、水添ポリイソプレン系重合体などが挙げられる。
【0047】
また、硬化性組成物中の(B)成分は、分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物である限り特に制限はないが、分子中に含まれるヒドロシリル基の数が多すぎると硬化後も多量のヒドロシリル基が硬化物中に残存しやすくなり、ボイドやクラックの原因になるため、分子中に含まれるヒドロシリル基の数は50個以下がよい。さらには2〜30個、より好ましくは2〜20個であることが、硬化物のゴム弾性のコントロールや貯蔵安定性の点からは好ましく、さらに、硬化時の発泡を容易に防ぐ点では、20個以下、ヒドロシリル基が失活しても硬化不良が発生しにくい点では3個が好ましく、最も好ましい範囲は3〜20個である。
【0048】
なお、本発明で、前記ヒドロシリル基を1個有するとは、Siに結合するHを1個有することをいい、SiH2 の場合にはヒドロシリル基を2個有することになるが、Siに結合するHは異なるSiに結合する方が硬化性が良く、ゴム弾性の点からも好ましい。
【0049】
(B)成分の分子量は、後述する導電性付与剤((D)成分)を添加する場合の分散性やローラー加工性などの点から数平均分子量(Mn)で30,000以下であるのが好ましく、さらには20,000以下、特には15,000以下が好ましい。(A)成分との反応性や相溶性まで考慮すると300〜10,000が好ましい。
【0050】
この(B)成分に関しては、(A)成分の凝集力が(B)成分の凝集力に比べて大きいために、相溶性の点でフェニル基含有特性が重要であり、(A)成分との相溶性、入手のし易さの点でスチレン変性体などが好ましく、貯蔵安定性の点からα−メチルスチレン変性体が好ましい。
【0051】
(C)成分であるヒドロシリル化触媒としては、ヒドロシリル化触媒として使用しうるものである限り特に制限はない。白金単体、アルミナなどの単体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸(アルコールなどの錯体も含む)、白金の各種錯体、ロジウム、ルテニウム、鉄、アルミニウム、チタンなどの金属の塩化物などが挙げられる。これらの中でも、触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフイン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体が望ましい。これらの触媒は単独で使用してもよく、また2種以上併用してもよい。
【0052】
以上のような硬化性組成物中の(A)成分および(B)成分の使用割合は、(A)成分中のアルケニル基1モル当たり(B)成分中のヒドロシリル基が0.2〜5.0モル、さらには0.4〜2.5モルがゴム弾性の点から好ましい。
【0053】
また、(C)成分の使用量としては、(A)成分中のアルケニル基1モルに対して10-1〜10-8モル、さらには10-1〜10-6モル、特には10-3〜10-6モルの範囲内で用いるのが好ましい。(C)成分の使用量が10-8モルに満たないと反応が進行しない。その一方で、ヒドロシリル化触媒は、一般に高価で、また腐食性を有し、しかも水素ガスが大量に発生して硬化物が発泡してしまう性質を有しているので、10-1モルを超えて使用しない方が好ましい。
【0054】
さらに、上記のような硬化性組成物に、(D)成分として導電性付与剤を添加して導電性組成物とすれば、現像ローラとして好適である。この(D)成分の導電性付与剤としては、カーボンブラックや、金属微粉末、さらには第4級アンモニウム塩基、カルボン塩基、スルホン塩基、硫酸エステル基、リン酸エステル基などを有する有機化合物もしくは重合体、エーテルエステルアミド、もしくはエーテルイミド重合体、エチレンオキサイド−エピハロヒドリン共重合体、メトキシポリエチレングリコールアクリレートなどで代表される導電性ユニットを有する化合物、または高分子化合物などの帯電防止剤などの、導電性を付与できる化合物などが挙げられる。これらの導電性付与剤は、単独で使用しても、また2種以上を併用してもかまわない。
【0055】
(D)成分である導電性付与剤の添加量は、(A)〜(C)成分の合計量に対して30重量%以下とすることが、ゴム硬度を上げない点から好ましい。一方、均一な抵抗を得る点からは10重量%以上が好ましく、必要なゴム硬度と、硬化物の体積抵抗率が103 〜1010Ωcmになるように、その物性バランスから添加量を決めれば良い。
【0056】
さらに、上記硬化性組成物には、上記(A)〜(D)成分の他、貯蔵安定性改良剤、たとえば脂肪族不飽和結合を有する化合物、有機リン化合物、有機硫黄化合物、チッ素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物などを加えても良い。その具体例としては、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルマレート、ジメチルアセチレンカルボキシレート、2−ペンテンニトリル、2,3−ジクロロプロペン、キノリンなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。これらの中では、ポットライフおよび速硬化性の両立という点からは、チアゾール、ジメチルマレートが特に好ましい。なお、前記貯蔵安定性改良剤は、単独で用いてもよく、また2種以上併用してもよい。
【0057】
また、上記硬化性組成物には、加工性やコストを改善するための充填剤、保存安定剤、可塑剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料などを添加してもよい。
【0058】
【実施例】
以下、本発明に係る現像ローラの具体的な実施例1〜10と比較例1〜3とを詳細に説明した後に、これら実施例と比較例との違いを説明する。
【0059】
実施例1〜10および比較例1〜3に係る現像ローラは、直径10mmのSUS製のシャフトの周りに厚さ7.5mm程度の導電性弾性層を設け、この導電性弾性層の外周に表面層を被覆して構成されるものである。以下に、導電性弾性層と表面層の具体的な構成について説明する。
【0060】
導電性弾性層は、以下に示す弾性層1〜5の何れかを用いて前記シャフトの周りに設けられる。
【0061】
(弾性層1)
(A−1)数平均分子量Mnが8,000、分子量分布が2の末端アリル化オキシプロピレン系重合体:100重量部に対して、
(B−1)ポリシロキサン系硬化剤(SiH価0.36モル/100g):6.6重量部、
(C)塩化白金酸の10%イソプロピルアルコール溶液:0.06重量部、
(D)カーボンブラック3030B(三菱化学社製):7重量部、
を混合し、減圧(10mmHg以下で120分間)脱泡して得られた組成物を前記シャフトの周りに被覆し、金型内120℃の環境下で30分間静置して硬化させ、厚さ約7.5mmの弾性層1を作製した。JIS K 6301 A 法に準じて測定した弾性層1のみのJIS A 硬度は15°であった。
【0062】
(弾性層2)
(A−2)数平均分子量Mnが10,000、末端にビニル基を2個有するポリイソブチレン重合体:100重量部に対して、
(B−2)ポリシロキサン系硬化剤(SiH価0.97モル/100g):2.7重量部、
(C)塩化白金酸の10%イソプロピルアルコール溶液:0.06重量部、
(D)カーボンブラック3030B(三菱化学社製):7重量部、
(E)可塑剤PS−32(出光興産社製):75重量部、
を混合し、減圧(10mmHg以下で120分間)脱泡して得られた組成物を前記シャフトの周りに被覆し、金型内120℃の環境下で30分間静置して硬化させ、厚さ約7.5mmの弾性層2を作製した。JIS K 6301 A 法に準じて測定した弾性層1のみのJIS A 硬度は15°であった。
【0063】
(弾性層3)
(A−1)数平均分子量(Mn)が8,000、分子量分布が2の末端アリル化オキシプロピレン系重合体:100重量部に対して、
(B−1)ポリシロキサン系硬化剤(SiH価0.36モル/100g):6.6重量部、
(C)塩化白金酸の10%イソプロピルアルコール溶液:0.06重量部、
(D)カーボンブラック3030B(三菱化学社製):7重量部、
(F)アエロジルR972(日本アエロジル社製のシリカ):20重量部
を混合し、減圧(10mmHg以下で120分間)脱泡して得られた組成物を前記シャフトの周りに被覆し、金型内120℃の環境下で30分間静置して硬化させ、厚さ約7.5mmの弾性層3を作製した。JIS K 6301 A 法に準じて測定した弾性層3のみのJIS A 硬度は29°であった。
【0064】
(弾性層4)
ケミガムN683B(グッドイヤー社製のNBR(ブタジエンアクリロニトリルゴム))の100重量部に対して、ケッチェンブラックEC(ケッチェンブラックインターナショナル社製)を5重量部配合した組成物を用いて、射出成形法により前記シャフトの周りに厚さ約7.5mmの弾性層4を設けた。JIS K6301 A 法に準じて測定した弾性層4のみのJIS A 硬度は45°であった。
【0065】
(弾性層5)
C−4190(日本ポリウレタン社製)の100重量部に対して、4,4’−メチレンクロロアニリンを13重量部、ケッチェンブラックECを0.8重量部を混合し、減圧(10mmHg以下で120分間)脱泡して得られた組成物を前記シャフトの周りに被覆し、金型内50℃の環境下で24時間静置して硬化させ、厚さ約7.5mmの弾性層5を作製した。JIS K 6301 A 法に準じて測定したJIS A 硬度は78°であった。
【0066】
次に、表面層は、以下に示す表面層溶液1〜9の何れかを導電性弾性層の外表面にディッピングして形成される。
【0067】
(表面層溶液1)
E980(日本ミラクトラン社製のポリカーボネートウレタン)の100重量部に対して、スノーテックス(日産化学社製のコロイダルシリカでpHが3.5の微粒子)を30重量部配合したものを、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド):MEK(メチルエチルケトン)=1:1の混合溶媒で6%に希釈し、表面層溶液1を作製した。この表面層溶液1を導電性弾性層の周りにディッピングし乾燥させて厚さが約15μmの表面層を形成した。この表面層の表面粗さは5.1μm〜6.0μmであった。
【0068】
(表面層溶液2)
E980の100重量部に対して、スノーテックス(日産化学社製のコロイダルシリカでpHが3.5の微粒子)を10重量部配合したものを、DMF:MEK=1:1の混合溶媒で6%に希釈し、表面層溶液2を作製した。この表面層溶液2を導電性弾性層の周りにディッピングし乾燥させて厚さが約15μmの表面層を形成した。この表面層の表面粗さは2.1μm〜2.8μmであった。
【0069】
(表面層溶液3)
セフラルソフトG180Y(セントラル硝子社製のフッ化ビニリデン)の100重量部に対して、スノーテックス(日産化学社製のコロイダルシリカでpHが3.5の微粒子)を30重量部配合したものを、DMF:MEK=1:1の混合溶媒で6%に希釈し、表面層溶液3を作製した。この表面層溶液3を導電性弾性層の周りにディッピングし乾燥させて厚さが約7μmの表面層を形成した。この表面層の表面粗さは5.6μm〜7.6μmであった。
【0070】
(表面層溶液4)
E980の100重量部に対して、スノーテックスの代わりにMA−100(三菱化学社製のカーボンブラックでpHが3.5の微粒子)を20重量部配合したものを、DMF:MEK=1:1の混合溶媒で6%に希釈し、サンドミル(回転数が1000rpm)で1時間混練して表面層溶液4を作製した。この表面層溶液4を導電性弾性層の周りにディッピングし乾燥させて厚さが約12μmの表面層を形成した。この表面層の表面粗さは5.6μm〜6.6μmであった。
【0071】
(表面層溶液5)
E980の100重量部に対して、平均粒径15μmのウレタン粒子(セイカセブンUP0904/大日精化社製)を20重量部配合したものを、DMF:MEK=1:1の混合溶媒で6%に希釈し、回転数が1000rpmで1時間混練したものを、8時間静置して表面層溶液5を作製した。この表面層溶液5を導電性弾性層の周りにディッピングし80℃で乾燥させて厚さが約20μmの表面層を形成した。この表面粗さは、6.2μm〜8.1μmであった。
【0072】
(表面層溶液6)
E980の100重量部に対して、平均粒径15μmのウレタン粒子(セイカセブンUP0904/大日精化社製)を20重量部配合したものを、DMF:MEK=1:1の混合溶媒で6%に希釈し、回転数が1000rpmで1時間混練したものを、12時間静置して表面層溶液6を作製した。この表面層溶液6を導電性弾性層の周りにディッピングし80℃で乾燥させて厚さが約20μmの表面層を形成した。この表面粗さは、2.1μm〜2.9μmであった。なお、表面層溶液5の作製方法とは、サンドミルで1時間混練後の静置時間のみが異なる。
【0073】
(表面層溶液7)
E980の100重量部に対して、平均粒径30μmのウレタン粒子(セイカセブンUP0902/大日精化社製)を20重量部配合したものを、DMF:MEK=1:1の混合溶媒で6%に希釈し、回転数が1000rpmで1時間混練したものを、8時間静置して表面層溶液7を作製した。この表面層溶液7を導電性弾性層の周りにディッピングし80℃で乾燥させて厚さが約40μmの表面層を形成した。この表面粗さは、14μm前後であった。なお、表面層溶液5の作製方法とは、分散させるウレタン粒子の平均粒径のみが異なる。
【0074】
(表面層溶液8)
E980の100重量部に対して、SP−500(東レ社製のナイロン粒子)を30重量部配合したものを、DMF:MEK=1:1の混合溶媒で6%に希釈し、回転数が1000rpmで1時間混練したものを、1時間静置して表面層溶液8を作製した。この表面層溶液9を導電性弾性層の周りにディッピングし乾燥させて厚さが約12μmの表面層を形成した。その表面粗さは4.2〜5.1μmであった。
【0075】
(表面層溶液9)
E980の100重量部に対して、平均粒径15μmのウレタン粒子(セイカセブンUP0904/大日精化社製)を20重量部、シリカを1重量部、アルミナを0.3重量部配合したものを、DMF:MEK=1:1の混合溶媒で6%に希釈し、回転数が1000rpmで1時間混練したものを、24時間静置して表面層溶液9を作製した。この表面層溶液9を導電性弾性層の周りにディッピングし乾燥させて厚さが約30μmの表面層を形成した。その表面粗さは、7.0μm〜8.3μmであった。
【0076】
表1に示すように、弾性層1〜5とこれら弾性層上に塗布する表面層溶液1〜9とを組合わせた現像ローラを作製し、実施例1〜10および比較例1〜3とした。なお、表1に記載の弾性層の硬度とは、JIS K 6301 A 法に準じて測定した弾性層のみのJIS A 硬度をいい、表面粗さ(μm)とは、JIS B 0601−1994に準拠した測定値(Rz)をいう。たとえば実施例1の現像ローラは、弾性層1の上に表面層溶液1をディッピングしたものであって、その導電性弾性層の硬度が15°であり、表面粗さが5.1μm〜6.0μmの範囲内にある。これら実施例および比較例を同一の現像装置に組み込み、この現像装置をプリンターに設置して印字テストを行った。
【0077】
【表1】
【0078】
印字テストによる評価は、現像ローラのトナー帯電性、トナー搬送性およびトナー劣化の程度の3点について行った。この評価結果は表1に示されている。トナー帯電性については、具体的には黒ベタで印字するときの100枚目のマクベス濃度で評価した。一般にマクベス濃度の値が高ければトナー帯電性が良いとされる。本評価テストでは、マクベス濃度の値が、1.35以上を◎、1.30以上1.35未満を○で示した。
【0079】
また、トナー搬送性については、105枚目の黒ベタでの印字中にプリンターを停止させて、現像ローラ表面に形成されたトナー薄層の単位面積当りの重量(mg/cm2 )(以下、トナー搬送量と呼ぶ。)で評価した。トナー搬送量は、0.5mg/cm2 以上であるとき好ましいと評価される。
【0080】
そしてトナー劣化の程度については、規制ブレードにより形成されたトナー薄層内における粒径が5μm以下のトナーの割合を、現像装置の5時間稼動後と稼動前とで測定し、5時間稼動後と稼動前との測定値の差(%)で評価したのである。これは、現像ローラ表面が規制ブレードや感光体表面と接触することにより生ずるトナー割れの程度を測るものである。トナー割れが進行してトナーが微粉化が進むと、トナーフィルミングなどが生じ易くなる。
【0081】
表1によれば、実施例1〜4および比較例1では、表面層溶液1を共通に用いているため表面粗さは同じ範囲内にあるが、弾性層の構造が互いに異なる。実施例1〜4,比較例1の順にその弾性層の硬度が高くなるに従って、トナー搬送量が低下しトナー劣化が大きくなっていることが分かる。また、実施例1〜4に対して比較例1は、トナー劣化の大きさの点で少なくとも10%以上の差で劣っており、またトナー帯電性の点でも劣っている。したがって、本実施例では、弾性層の硬度が45°以下であってこの硬度が小さい程に、現像ローラのトナー搬送性およびトナー帯電性の点で有利となることが分かる。
【0082】
また、実施例5〜10および比較例2,3では、弾性層の構造が共通しているため弾性層の硬度は同じだが、表面層の構造が異なるため表面粗さが異なる。実施例5を除いて、実施例6,7,8,9,10、比較例2(または比較例3)の順にその表面粗さが小さくなるに従って、トナー搬送量も小さくなっている。また、実施例5〜10に対して比較例2,3は、トナー搬送量において最小で0.15mg/cm2 、最大で0.89mg/cm2 もの差で劣っており、また、比較例2,3のトナー搬送量は0.5mg/cm2 以下である。したがって、本実施例では、表面粗さが4.2μm〜14μmの範囲内であることが、トナー搬送量の点で有利となることが分かる。
【0083】
以上、本実施例においては、弾性層の硬度が45°以下であって表面粗さが4.2μm〜14μmの範囲内にある現像ローラは、トナー帯電性、トナー搬送性およびトナー劣化の程度の点で極めて効果的である。
【0084】
【発明の効果】
上記のように本発明の製造方法により得られた現像ローラは、弾性層が50°以下のJIS A 硬度を有するとともに、表面層が3μm以上15μm以下の範囲内の表面粗さとなるように微粒子を前記表面層に分散させた構成を有するので、トナーの帯電量およびトナーの搬送量を増加させ、トナーの劣化も減少するので、極めて良好な画像を得ることができる。また、本発明の現像ローラの製造方法によれば、弾性層を積層後に前記弾性層の表面を吹付加工または研磨加工することなく、弾性層上に上記した微粒子を含めた表面層を積層しても、トナーの帯電量やトナーの搬送量の減少、ローラ抵抗の低下などの現像ローラの特性を低下させることがないので、低コストの現像ローラを得ることができる。さらに、表面層溶液を塗布する前の10時間以内に表面層溶液中に上記した微粒子を混入して攪拌すると、表面層溶液中の微粒子が沈殿することなく分散したまま、この表面層溶液が弾性層上に塗布されるので、表面層中に微粒子が均一に分散し、その表面粗さを均一にできる現像ローラを得ることができる。さらにまた、上記した微粒子を混入した表面層溶液中に、シリカおよびアルミナ、またはシリカを混入し攪拌すると、表面層溶液中の微粒子が拡散し長時間微粒子が沈殿しないので、表面層溶液の貯蔵安定性が向上し、長時間後に表面層溶液を弾性層上に塗布してもその表面粗さを均一にできる現像ローラを得ることができる。
【0085】
また、表面層に添加する微粒子のpHを5以下にすると、トナー帯電性を向上させることができ、特に高湿度環境下でのローラ抵抗の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】現像装置の構成の一部を示す模式図である。
【符号の説明】
1 トナー
2 トナー容器
3 規制ブレード
4 現像ローラ
5 供給ローラ
6 導電性シャフト
7 導電性弾性層
8 表面層
9 トナー薄層
10 感光体
11 トナー像
Claims (4)
- 中心軸に配された導電性シャフトの周りに弾性層、該弾性層上に表面層を同心円状に順次積層して構成される現像ローラの製造方法であって、
中心軸に導電性シャフトを配し、該導電性シャフトの周りに弾性層を積層し、該弾性層上にウレタン系またはナイロン系の素材からなる微粒子、並びにシリカおよびアルミナ、またはシリカを混入し攪拌した表面層溶液を塗布し乾燥させて表面層を形成することにより、
前記弾性層が50°以下のJIS A 硬度を有するとともに、前記表面層の主要成分がポリカーボネートウレタンであり、該表面層が3μm以上15μm以下の範囲内の表面粗さとなるようにウレタン系またはナイロン系の素材からなる微粒子を前記表面層に分散させ、かつ、該表面層中に前記微粒子とは別にシリカおよびアルミナ、またはシリカを含ませてなることを特徴とし、マイナス帯電トナーを使用する現像装置に用いる現像ローラの製造方法。 - 表面層の厚みが5μm以上50μm以下であり、前記表面層に含有される微粒子の平均粒径が10μm以上50μm以下であり、かつ表面層中における前記微粒子の配合量が、表面層の樹脂成分の100重量部に対して15重量部以上50重量部以下である請求項1記載の現像ローラの製造方法。
- 表面層に含有される微粒子のpHが5以下である請求項1または請求項2に記載の現像ローラの製造方法。
- 前記弾性層が、(A)分子中に少なくとも1個のアルケニル基を含み、主鎖を構成する繰り返し単位が主にオキシアルキレン単位または飽和炭化水素系単位からなる重合体と、(B)分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を含む硬化剤と、(C)ヒドロシリル化触媒と、(D)導電性付与剤と、を主成分とする硬化性組成物の反応物から構成される請求項1〜3の何れか1項に記載の現像ローラの製造方法。
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