JP3605976B2 - 現像ローラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンタ、複写装置あるいはファクシミリの受信装置などが有する現像装置に用いられる現像ローラに関し、更に詳しくは、電子写真方式による現像装置の感光体に接触または非接触で使用される非磁性現像ローラに関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のような現像ローラを搭載した電子写真方式の現像装置部は、非磁性一成分トナーが使用され、ブレード、ロールなどからなる規制部材の加圧などにより、トナーと現像ローラ表面の摩擦力によってトナーを帯電させて現像ローラの表面にトナーを担持させている。したがって、現像ローラの表面層としては、トナーをプラス帯電させたい場合には摩擦帯電列のマイナス側の材料を、また、トナーをマイナス帯電させたい場合には摩擦帯電列のプラス側の材料を選定する必要があり、前者としては、フッ素系樹脂など、後者としてはナイロン系樹脂、ウレタン系樹脂などが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような、非磁性一成分現象方式に使用される現像ローラは、ニップ幅の向上、感光体外トナーストレスなどを削減するために、ゴム状材料を主基材層とした柔軟なものを用いることが好ましい。しかしながら、柔軟なローラの場合、ブレード、ロールなどからなる規制部材の加圧などによるトナーとの摩擦帯電だけでは、現像ローラの荷電量が少なく、上記のような従来から提案されているフッ素系樹脂、ナイロン系樹脂、ウレタン系樹脂を用いただけでは良好な画像を得ることが困難である、という問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために、積極的に現像ローラ表面層の摩擦帯電列の改質を行うことを考え、柔軟なゴムローラの良好な特性を活かしたままで、現像ローラ表面層における摩擦帯電によるトナーの荷電量を上げるべく鋭意研究を重ねた結果、荷電制御剤や荷電制御微粒子を現像ローラ表面層に充填することで、柔軟な現像ローラであっても、摩擦帯電によって充分な荷電量を得ることができることを見出し、この知見に基づき、さらに研究を重ねた結果、本発明を完成させた。
【0005】
すなわち、本発明は、現像装置に用いられる現像ローラであって、導電性シャフトのまわりに、導電性弾性層を設け、外周面を表面層で被覆してなる現像ローラにおいて、前記導電性弾性層が、(A)分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰り返し単位が主にオキシアルキレン単位または飽和炭化水素単位からなる重合体、(B)分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する硬化剤、(C)ヒドロシリル化触媒、および、(D)導電性付与剤、を主成分とする硬化性導電性組成物の硬化反応物から構成されてなり、かつ、前記表面層が、アミノシランで表面処理された微粒子を含有する合成樹脂組成物から構成されてなることを特徴とする現像ローラ(請求項1)。前記アミノシランで表面処理された微粒子を、表面層を構成する合成樹脂組成物中の樹脂分100重量部に対して0.5〜10重量部添加してなることを特徴とする請求項1記載の現像ローラ(請求項2)。を内容とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の現像ローラは、直径1/12mm程度のSUS(ステンレス鋼)やアルミニウムなどの金属製シャフトのまわりに導電性弾性層が構成され、外周面を表面層で被覆したものであり、前記導電性弾性層と表面層との間に他の層を含む場合もある。この現像ローラのローラ抵抗は、シャフトの両端に500gの荷重を加えDC100V印加時に104 〜108 オーム、好ましくは105 〜108 オーム程度のものである。
【0007】
本発明に係る現像ローラにおける柔軟な導電性弾性層を構成する硬化性導電性組成物は、可塑剤なしでも低硬度(JIS A 硬度が30°以下)のゴム状硬化物が容易に得られる。
【0008】
前記硬化性組成物における(A)成分の重合体は、前記(B)成分とヒドロシリル化反応して硬化する成分であり、分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有するため、ヒドロシリル化反応が起って高分子状になり硬化する。(A)成分に含まれるアルケニル基の数は、(B)成分とヒドロシリル化反応するという点から少なくとも1個必要であるが、ゴム弾性の点からは、直鎖状分子の場合は、分子の両末端に2個のアルケニル基が存在し、分岐のある分子の場合には、分子末端に2個以上のアルケニル基が存在することが望ましい。(A)成分の主鎖を構成する主な繰り返し単位はオキシアルキレン単位または飽和炭化水素単位であるが、主鎖を構成する主な繰り返し単位がオキシアルキレン単位からなる重合体の場合、(D)成分である導電性付与剤の少量の添加で硬化物の体積抵抗が108 〜109 Ωcmとなるため好ましい。
【0009】
前記(A)成分の好ましい組成としては、硬化物の低硬度化の観点から、主鎖を構成する主な繰り返し単位がオキシアルキレン単位であるオキシアルキレン系重合体、さらには、主鎖を構成する主な繰り返し単位がオキシプロピレン単位であるオキシプロピレン系重合体が好ましい。
【0010】
ここで、前記オキシアルキレン系重合体とは、主鎖を構成する単位のうち30%以上、好ましくは50%以上がオキシアルキレン単位からなる重合体をいい、オキシアルキレン単位以外に含有される単位としては、重合体製造時の出発物質として使用される、活性水素を2個以上有する化合物、例えば、エチレングリコール、ビスフエノール系化合物、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどからの単位が挙げられる。なお、オキシプロピレン系重合体の場合には、エチレンオキシド、ブチレンオキシドなどからなる単位との共重合体(グラフト共重合体も含む。)であってもよい。
【0011】
上記のような(A)成分のオキシアルキレン系重合体の分子量としては、反応性および低硬度化のバランスをよくする観点から、数平均分子量(Mn)で500〜50,000、さらには1,000〜40000であることが好ましい。特に、数平均分子量5,000以上のもの、さらには5,000〜40,000であるものが好ましい。数平均分子量が500未満の場合、この硬化性組成物を硬化させた場合に充分な機械的特性(ゴム硬度、伸び率)などが得られ難くなる。一方、数平均分子量があまり大きくなりすぎると、分子中に含まれるアルケニル基1個あたりの分子量が大きくなったり、立体障害で反応性が落ちたりするため、硬化が不充分になることが多く、また粘度が高くなりすぎて加工性が悪くなる傾向にある。
【0012】
前記オキシアルキレン系重合体が有するアルケニル基に特に制限はないが、下記一般式(1)、
【0013】
【化1】
(式中、R1 は水素原子またはメチル基)
【0014】
で示されるアルケニル基が硬化性に優れる点で特に好ましい。
【0015】
前記のようなアルケニル基を導入する前のオキシアルキレン系重合体は、アルキレンオキシドの通常の重合法(苛性アルカリを用いるアニオン重合法)や、この重合体を原料とした鎖延長反応法によって得ることができる。また、高分子量で分子量分布が狭く官能基を有するオキシアルキレン系重合体は、特開昭61−197631号公報、特開昭61−215622号公報、特開昭61−215623号公報、特開昭61−218632号公報、特公昭46−27250号公報および特公昭59−15336号公報などに記載された方法などによって得ることができる。
【0016】
また、この硬化性組成物の特徴の1つは、低硬度化に設定しやすいことであり、この特徴を発揮させるにはアルケニル基の数は分子末端に2個以上が好ましく、(A)成分の分子量に比してアルケニル基の数が多くなりすぎると剛直になり、良好なゴム弾性が得られにくくなる。
【0017】
(A)成分の代表例として、例えば、下記の構造式(2)、構造式(3)、構造式(4)、構造式(5)で表されるものが挙げられる。
【0018】
【化2】
(式中、R2 は水素原子またはメチル基、R3 は炭素数1〜20の2価の炭化水素基で、少なくとも1個のエーテル基が含まれていてもよく、好ましくはアルキレン基、R4 はオキシアルキレン重合体残基であり、bは1以上の整数)
【0019】
【化3】
(式中、R5 は水素原子またはメチル基、R6 は炭素数1〜20の2価の炭化水素基で、少なくとも1個のエーテル基が含まれていてもよく、好ましくはアルキレン基、R7 はオキシアルキレン重合体残基であり、bは1以上の整数)
【0020】
【化4】
(式中、R8 は水素原子またはメチル基、R9 はオキシアルキレン重合体残基であり、bは1以上の整数)
【0021】
【化5】
(式中、R10は水素原子またはメチル基、R11は炭素数1〜20の2価の炭化水素基で、少なくとも1個のエーテル基が含まれていてもよく、好ましくはアルキレン基、R12はオキシアルキレン重合体残基であり、bは1以上の整数)
【0022】
次に、(A)成分が、主鎖を構成する主な繰り返し単位が飽和炭化水素単位である重合体の場合について説明する。この重合体の場合も、前記のオキシアルキレン系重合体の場合と同様に、(B)成分とヒドロシリル化反応して硬化する成分であり、分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有するため、ヒドロシリル化反応が起こって高分子状になり硬化するものであり、(A)成分に含まれるアルケニル基の数は、(B)成分とヒドロシリル化反応するという点から少なくとも1個必要であるが、ゴム弾性の点からは、直鎖状分子の場合、分子の両末端に2個存在することが好ましく、分岐を有する分子の場合には、分子末端に2個以上存在することが好ましい。
【0023】
前記(A)成分の主鎖を構成する主な繰り返し単位が飽和炭化水素単位である重合体の代表的な例としては、イソブチレン系重合体、水添イソプレン系重合体、水添ブタジエン系重合体が挙げられる。これら重合体は、共重合体などの他成分の繰り返し単位を有するものであってもかまわないが、少なくとも飽和炭化水素単位を50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上含有することが、飽和炭化水素系の、吸水率が低いという特徴を損なわないようにするうえで重要である。
【0024】
この主鎖を構成する主な繰り返し単位が飽和炭化水素単位である(A)成分の重合体の分子量としては、取扱やすさなどの点から、数平均分子量(Mn)で500〜50,000程度、さらには1,000〜15,000程度であって、常温において液状物で流動性を有するものが加工性の点で好ましい。
【0025】
この飽和炭化水素系重合体に導入されるアルケニル基については、前記オキシアルキレン系重合体の場合と同様である。
【0026】
したがって、(A)成分としての、分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する主な繰り返し単位が飽和炭化水素系である重合体の好ましい具体例としては、両端末にアルケニル基を2個有する直鎖状の数平均分子量(Mn)が2,000〜15,000でMw/Mnが1.1〜1.2のポリイソブチレン系、水添ポリブタジエン系、水添ポリイソプレン系重合体などが挙げられる。
【0027】
また、この硬化性導成物中の(B)成分は、分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物であるかぎり特に制限はないが、分子中に含まれるヒドロシリル基の数が多すぎると硬化後も多量のヒドロシリル基が硬化物中に残存しやすくなり、ボイドやクラックの原因になるため、分子中に含まれるヒドロシリル基の数は50個以下がよい。さらには、分子中に含まれるヒドロシリル基の数は2〜30個、より好ましくは2〜20個であることが、硬化物のゴム弾性のコントロールや貯蔵安定性の点から好ましく、硬化時の発泡を容易に防ぐ点では、20個以下、ヒドロシリル基が失活しても硬化不良が発生しにくい点では3個が好ましく、最も好ましい範囲は3〜20個である。
【0028】
なお、本発明で、前記ヒドロシリル基を1個有するとは、Siに結合したHを1個有することをいい、SiH2 の場合にはヒドロシリル基を2個有することになる。ただし、Siに結合するHは異なるSiに結合する方が硬化性が良く、ゴム弾性の点からも好ましい。
【0029】
(B)成分の分子量は、導電性付与剤((D)成分)の分散性やローラー加工性などの点から、数平均分子量(Mn)で30000以下であるのが好ましく、さらには20,000以下、特には15,000以下が好ましい。(A)成分との反応性や相溶性まで考慮すると300〜10,000が好ましい。
【0030】
(B)成分の具体例としては、下記の構造式(6)〜(8)で表されるような、分子の末端にヒドロシリル基含有環状シロキサンを有するものが挙げられる。
【0031】
【化6】
(n=5〜12の整数、m=2〜4の整数)
【0032】
【化7】
(m=2〜4の整数)
【0033】
【化8】
(m=2〜4の整数)
【0034】
上記の構造式(6)〜(8)で表されるものの場合は、比較的低分子の両末端にヒドロシリル基含有環状シロキサンが存在しているが、高分子の末端や、さらには分岐を有する高分子の末端にヒドロシリル基含有環状シロキサンが存在しているものであってもよい。
【0035】
また、(B)成分の他例としては、下記の構造式(9)〜(11)に示されるように、鎖状、環状のポリオルガノハイドロジェンシロキサン(ポリオキシアルキレン変性体、スチレン変性体、オレフィン変性体などを含む)が挙げられる。
【0036】
【化9】
(n、nは整数で、10≦m+n≦50、2≦m、0≦n、R13はメチル基、分子量が100〜10,000のポリオキシアルキレン基または炭素数2〜20の炭化水素基で1個以上のフェニル基を含有してもよい。R13が複数個含まれる場合、これらは同じである必要はない)
【0037】
【化10】
(n、nは整数で、10≦m+n≦50、2≦m、0≦n、R14はメチル基、分子量が100〜10,000のポリオキシアルキレン基または炭素数2〜20の炭化水素基で1個以上のフェニル基を含有してもよい。R14が複数個含まれる場合、これらは同じである必要はない)
【0038】
【化11】
【0039】
(n、nは整数で、3≦m+n≦20、2≦m≦19、0≦n≦18、R15はメチル基、分子量が100〜10,000のポリオキシアルキレン基または炭素数2〜20の炭化水素基で1個以上のフェニル基を含有してもよい。R15が複数個含まれる場合、これらは同じである必要はない)
【0040】
この(B)成分に関しては、(A)成分の凝集力が(B)成分の凝集力に比べて大きいために、相溶性の点でフェニル基含有変性が重要であり、(A)成分との相溶性、入手のしやすさの点でスチレン変性体などが好ましく、貯蔵安定性の点からα−メチルスチレン変性体が好ましい。
【0041】
(C)成分であるヒドロシリル化触媒としては、ヒドロシリル化触媒として使用しうるものである限り特に制限はない。白金単体、アルミナなどの単体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸(アルコールなどの錯体も含む)、白金の各種錯体、ロジウム、ルテニウム、鉄、アルミニウム、チタンなどの金属の塩化物などが挙げられる。これらの中でも、触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体が望ましい。これらの触媒は単独で使用しても良く、また2種以上併用してもよい。
【0042】
(D)成分の導電性付与剤としては、カーボンブラックや、金属微粉末、さらには第4級アンモニウム塩基、カルボン酸基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基などを有する有機化合物もしくは重合体、エーテルエステルアミド、もしくはエーテルイミド重合体、エチレンオキサイド−エピハロヒドリン共重合体、メトキシポリエチレングリコールアクリレートなどで代表される導電性ユニットを有する化合物、または高分子化合物などの帯電防止剤などの、導電性を付与できる化合物などが挙げられる。これらの導電性付与剤は、単独で使用しても、また2種以上を併用してもよい。
【0043】
以上のような硬化組成物中の(A)成分および(B)成分の使用割合は、(A)成分中のアルケニル基1モル当たり(B)成分中のヒドロシリル基が0.2〜5.0モル、さらには0.4〜2.5モルがゴム弾性の点から好ましい。
【0044】
また、硬化性組成物中の(C)成分の使用量としては、(A)成分中のアルケニル基1モルに対して10−1〜10−8モル、さらには10−1〜10−6モル、特には10−3〜10−6モルの範囲で用いるのが好ましい。(C)成分の使用量が(A)成分中のアルケニル基1モルに対して10−8モルに満たないと反応が進行しない。その一方で、ヒドロシリル化触媒は、一般に高価で腐食性を有し、しかも水素ガスが大量に発生して硬化物が発泡してしまう性質を有しているので、(A)成分中のアルケニル基1モルに対して10−1モルを超えて用いない方が好ましい。
【0045】
さらに、硬化性導電性組成物中の(D)成分である導電性付与剤の添加量は、(A)〜(C)成分の合計量に対して30重量%以下であり、硬化物の体積抵抗が103 〜1010Ωcmになるように加えられる。
【0046】
次に本発明の現像ローラにおける表面層について説明する。表面層を構成する合成樹脂組成物の主な樹脂成分については、前記のような導電性弾性層の柔軟な変形に追従できるかぎり特に規定はない。ただ、感光体と接触式の現像ローラの場合には、感光体を汚染しないことも条件となる。この表面層を構成する合成樹脂組成物の主成分としては、架橋密度が低く柔軟なウレタン系樹脂、フッ素ゴム系樹脂が具体例として挙げられる。
【0047】
本発明に係る現像ローラでは、上記のような合成樹脂組成物から構成される表面層に、荷電制御剤または荷電制御微粒子を含有することを特徴としている。この場合に現像ローラの表面層に充填する荷電制御剤や荷電制御微粒子としては、トナーをマイナスに帯電させたい場合は、電子供与性化合物を、また、トナーをプラスに帯電させたい場合には、電子吸引性化合物を用いることが好ましい。具体的には、トナーをマイナスに帯電させたい場合は、電子供与性化合物である、ニグロシンなどのアジン化合物、トリアミノフェニルメタン、4級アンモニウム塩などのカチオン染料、フェナジンなどのアジン染料系化合物などの荷電制御剤や、アミノシランで表面処理した微粒子やナイロン微粒子などの荷電制御微粒子が好ましい例として挙げられ、これらの中でも、前記ニグロシンなどのアジン化合物、トリアミノフェニルメタン、4級アンモニウム塩などのカチオン染料からなる荷電制御剤が好ましく、特に、ニグロシンの場合は、高湿度環境下でもブリードしないうえ、帯電効率に優れているので好ましい。また、トナーをプラスに帯電させたい場合には、電子吸引性化合物である、金属のサリチル酸配位化合物、アゾ系配位化合物などの荷電制御微粒子が特に好ましい例として挙げられる。
【0048】
前記のような荷電制御剤や荷電制御微粒子の添加量は、表面層を構成する樹脂組成物中の樹脂分100重量部に対して0.5〜10重量部、好ましくは1〜5重量部である。荷電制御剤や荷電制御微粒子の添加量が0.5重量部未満では帯電量をコントロールできない場合がある。10重量部以上添加すると表面層が硬くなるなどの弊害が生ずる。硬度、コスト等のバランスを考慮すると1〜5重量部が最も好ましい。
【0049】
これらの帯電制御剤や帯電制御微粒子を樹脂に添加するには、帯電制御剤の場合には溶剤に溶解して使用し、一方、荷電制微粒子の場合にはサンドミルなどで樹脂中に分散させて使用する。
【0050】
なお、前記のような表面層を構成する樹脂成分と充填剤としての荷電制御剤または荷電制御微粒子からなる組成物は、その粘度に応じて、DIP、スプレー、ロールクオータなどで現像ローラの主基材層である導電性弾性層の表面に塗布され、乾燥(一部硬化)させて導電性弾性層の表面に表面層を形成する。
【0051】
【実施例】
下記に示すの2種類の導電性弾性層と、6種類の表面層とを、表1に示すように組み合わせて、直径10mmのSUS製シャフトのまわりに、厚さ7.5mmの導電性弾性層を設け、その外周面を表面層で被覆して実施例1〜4、および比較例1〜4の現像ローラを作製した。これら実施例および比較例の現像ローラを、クロベタ画像について目視評価を実施し、結果を表1に示した。なお、実施例1、2、3および比較例1、3、4はトナ一をマイナス帯電させる10枚機(約10枚/分)のプリンター、実施例4および比較例2はトナーをプラス帯電させる10枚機のプリンターの所定の現像ローラ位置にセットし、前記の画像評価を実施した。また、これら実施例および比較例の現像ローラを、市販の6枚機のプリンターの所定の現像ローラ位置にセットし、5時間連続使用後の粒径5μm以下のトナー量を調べた。結果を表1に示した。
【0052】
(導電性弾性層1)
(A−1)数平均分子量(Mn)8,000、分子量分布2の末端アリル化ポリオキシプロピレン系重合体:100重量部に対して、
(B−1)ポリシロキサン系硬化剤(SiH価0.36モル/100g):6.6重量部、
(C−1)塩化白金酸の10%イソプロピルアルコール溶液:0.06重量部、
(D)カーボンブラック3030B(三菱化学製):7重量部、
を混合し、減圧(10mmHg以下、120分)脱泡した。得られた組成物を10mm径のSUS製シャフトの周りに被覆し、金型内120℃の環境下で30分間静置して硬化させ、厚さ7.5mmのゴム弾性体からなる導電性弾性層を作製した。JIS K 6301 A法に記載された方法に準じて測定した導電性弾性層のJIS A 硬度は約15°であった。
【0053】
(導電性弾性層2)
グッドイヤー社製のケミガムN683B(結合アクリロニトリル量33%、ムーニー粘度28のNBR系ゴム):100重量部に対して、ケッチェンブラックECを5重量部配合した組成物を用いて、インジェクション法により、導電性弾性層1と同サイズのローラを作製した。このローラにおける導電性弾性層のJIA A 硬度は約78°であった。
【0054】
(導電性弾性層3)
(A−2)数平均分子量(Mn)8,000のポリプロピレングリコール(PPG)の両端末にイソホロンジイソイアネート(IPDI)をジブチルスズラウレート触媒を用い80℃で2時間反応させて得た、イソシアネート末端のプレポリマー(23℃、4rpmで350P):100重量部、
(B−2)数平均分子量(Mn)2,400のポリオキシプロピレントリオール(PPT):20重量部、
(C−2)スズ系触媒:0.01重量部、
および、
(D)カーボンブラック3030B:7重量部、
からなる硬化性組成物を用いて、導電性弾性層1の場合と同様にして、80℃、4時間で硬化させ、導電性弾性層1と同サイズのローラを作製した。このローラにおける導電性弾性層のJIA A 硬度は約40°であった。
【0055】
(表面層1)
ハイムレンNPU−5(大日精化製のエーテル型ウレタン溶液)をインプロピルアルコール:トルエン=1:1の混合溶媒で4倍に希釈した溶液を導電性弾性層表面にDIP塗布し、オーブンで80℃1時間乾燥、硬化させた。
【0056】
(表面層2)
セフラルソフトG180Y(セントラル硝子製のフッ素ゴム溶液)をメチルエチルケトンで3倍に希釈した溶液を導電性弾性層表面にDIP塗布し、オーブンで80℃、1時間乾燥、硬化させた。
【0057】
(表面層3)
前記表面層1と同じ樹脂成分100重量部に対して、BONTRON N−01(オリエント化学製、ニグロシンベースのアジン化合物)を3重量部添加した以外は表面層1と同様にした。
【0058】
(表面層4)
前記表面層1と同じ樹脂成分100重量部に対して、アエロジルRA200(H本アエロジル製、表面アミノシラン処理のシリカ)を1重量部添加した以外は表面層1と同様にした。
【0059】
(表面層5)
表面層1と同じ樹脂成分100重量部に対して、SP−500(東レ製、ナイロン微粒子)を3重量部添加した以外は表面層1と同様にした。
【0060】
(表面層6)
表面層2と同じ樹脂成分100重量部に対して、BONTRON S−34(オリエント化学製、アゾ系化合物の金属錯体)を3重量部添加した以外は表面層2と同様にした。
【0061】
【表1】
【0062】
実施例1〜実施例4と比較例1、比較例2との比較から、表面層に荷電制御剤や荷電制御微粒子を充填することで、良好な画像濃度を得ることができることが分かる。また、比較例3、4では表面層に荷電制御剤や荷電制御微粒子を充填しても、画像ムラが発生し、トナーの割れも多く、特に、比較例4ではJIS A硬度が40°と柔軟な弾性層であるにもかかわらず、画像ムラが発生し、また、トナーの割れも多い。これに対し、本発明の硬化性組成物を用いて弾性層を構成してなる実施例1では、画像ムラもなく、また、トナーの割れも少ない。
【0063】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る現像ローラによれば、その表面層は、規制部での摩擦帯電のみでも良好な画像濃度を可能とする。また、その導電性弾性層は、柔軟でトナー割れも少なく画像ムラが小さい。したがって、本発明の現像ローラは、トナー割れが少なく、かつ良好な画像が得られる。
Claims (2)
- 現像装置に用いられる現像ローラであって、導電性シャフトのまわりに、導電性弾性層を設け、外周面を表面層で被覆してなる現像ローラにおいて、前記導電性弾性層が、(A)分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰り返し単位が主にオキシアルキレン単位または飽和炭化水素単位からなる重合体、(B)分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する硬化剤、(C)ヒドロシリル化触媒、および、(D)導電性付与剤、を主成分とする硬化性導電性組成物の反応硬化物から構成されてなり、かつ、前記表面層が、アミノシランで表面処理された微粒子を含有する合成樹脂組成物から構成されてなることを特徴とする現像ローラ。
- 前記アミノシランで表面処理された微粒子を、表面層を構成する合成樹脂組成物中の樹脂分100重量部に対して0.5〜10重量部添加してなることを特徴とする請求項1記載の現像ローラ。
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-
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