JP5662823B2 - 電子写真機器用導電性ロール - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真機器用導電性ロールに関するものである。
従来より、電子写真方式を採用する複写機、プリンター、ファクシミリなどの電子写真機器が知られている。電子写真機器の内部には、通常、感光ドラムが組み込まれており、感光ドラムの周囲には、現像ロール、帯電ロール、転写ロール、トナー供給ロールなどの各種導電性ロールが配設されている。
この種の電子写真機器による複写や印字は、感光ドラムに原稿像を静電潜像として形成し、静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成し、トナー像を複写紙に転写することにより行われている。
感光ドラムに静電潜像を形成するには、帯電ロールにより予め感光ドラムの表面を帯電させた後、この帯電部分に光学系を介して原稿像を投射し、光の当たった部分の帯電を打ち消すことが行われている。感光ドラムの表面を帯電させる方式としては、最近では、帯電ロールを感光ドラムの表面に直接接触させて帯電させる接触帯電方式が採用されている。
また、感光ドラムにトナー像を形成するには、最近では、トナーが付着された現像ロールを感光ドラムの表面に直接接触させる接触現像方式が採用されている。この現像ロールは、トナー供給ロールにより表面に供給されたトナーを、層形成ブレードとの摩擦により帯電させ、感光ドラム表面に移す。そして、感光ドラムの表面のトナー像は、転写ロールにより複写紙上に転写される。
このように、各種導電性ロールは、相手部材と接触されて使用されることが多いため、強度や耐久性を必要とする。
この種の電子写真機器の導電性ロールとしては、軸体の外周に弾性層が形成された構成のものが知られている。弾性層の形成材料としては、次のような材料が知られている。
例えば特許文献1には、ベースゴム層の形成材料として、ジエン系ポリマーと末端にアルケニル基を有するポリマーとをヒドロシリル架橋して得られる架橋体を用いることが開示されている。
例えば特許文献2には、ベースゴム層の形成材料として、液状ブタジエンまたは液状イソプレンをヒドロシリル架橋して得られる架橋体を用いることが開示されている。
例えば特許文献3には、ベースゴム層の形成材料として、アルケニル基を有し、主鎖を構成する繰返し単位が飽和炭化水素単位またはオキシアルキレン単位からなる重合体をヒドロシリル架橋して得られる架橋体を用いることが開示されている。
特許第3248515号公報 特許第3797028号公報 特許第3543868号公報
しかしながら、上記特許文献1〜3のいずれの架橋体も、破断強度が弱く、耐久性に劣るという問題があった。そして、これらの架橋体の破断強度を確保するために、これらの架橋体に補強材をさらに添加すると、ロール表面の硬度が高くなるとともに、ロール表面が押圧された後に弾性回復しにくくなる(へたりやすくなる)という新たな問題が発生する。
本発明が解決しようとする課題は、低硬度で弾性回復率に優れるとともに、従来よりも破断強度に優れる電子写真機器用導電性ロールを提供することにある。
上記課題を解決するため本発明に係る電子写真機器用導電性ロールは、軸体と、前記軸体の外周に形成された弾性層と、を備え、前記弾性層が、下記の(A)〜(C)成分を含有する組成物の架橋体よりなることを要旨とするものである。
(A)ポリオキシアルキレン骨格、ポリエステル骨格、および、ポリカーボネート骨格から選択される少なくとも1種を有する分子構造中に、アルケニル基およびウレタン結合を有するベースポリマー
(B)ヒドロシリル架橋剤
(C)ヒドロシリル化触媒
本発明に係る電子写真機器用導電性ロールにおいては、前記組成物は、さらに導電剤を含有することが好ましい。そして、この導電剤としては、イオン導電剤であることが好ましい。さらに、前記(A)成分は、室温で液状のポリマーであることが好ましい。
そして、前記(A)成分としては、下記の一般式(1)〜(4)で表される化合物から選択された1種または2種以上よりなるものを好適に示すことができる。
Figure 0005662823
Figure 0005662823
Figure 0005662823
Figure 0005662823
但し、
A:アルケニル基
P:ポリオキシアルキレン骨格、ポリエステル骨格、または、ポリカーボネート骨格
U:ウレタン結合
X:イソシアネート残基
R:ポリオール残基
R’:3価以上のポリオール残基
a〜e:1以上の正数
本発明に係る電子写真機器用導電性ロールは、弾性層が、(A)ポリオキシアルキレン骨格、ポリエステル骨格、および、ポリカーボネート骨格から選択される少なくとも1種を有する分子構造中に、アルケニル基およびウレタン結合を有するベースポリマー、(B)ヒドロシリル架橋剤、および、(C)ヒドロシリル化触媒、を含有する組成物の架橋体よりなることから、ロール表面の硬度は低硬度であり、また、弾性回復率に優れるとともに、従来よりも破断強度に優れる。これにより、耐ヘタリ性および耐久性に優れる。
これは、ベースポリマーの分子構造中にウレタン結合を有するため、ベースポリマー同士の凝集力が高まって架橋体の破断強度が向上するためと推察される。そして、このように架橋体自体の破断強度が高いため、補強材の使用を抑えることができる結果、補強材の添加による弾性回復率の低下を抑えることができるためと推察される。
このとき、前記組成物がさらに導電剤を含有すると、低抵抗化を図ることができる。そして、この導電剤としてイオン導電剤を用いる場合には、導電剤としてのカーボンブラックの使用を抑えることができる。カーボンブラックは、補強材と同様、フィラーであり、架橋体の弾性回復率を低下させるため、この場合には、カーボンブラックの添加による弾性回復率の低下を抑えることができる。
そして、(A)成分が室温で液状のポリマーである場合には、より一層、架橋体を低硬度にできる。
本発明の電子写真機器用導電性ロールの周方向断面図である。
次に、本発明の電子写真機器用導電性ロール(以下、導電性ロールということがある。)について、図を参照しつつ、詳細に説明する。導電性ロールは、電子写真方式を採用する複写機、プリンター、ファクシミリなどの電子写真機器に組み込まれる現像ロール、帯電ロール、転写ロール、トナー供給ロールなどの各種導電性ロールであり、電子写真機器の内部に組み込まれる感光ドラムの周囲に配設されるものである。
図1は、一実施形態に係る導電性ロール10を表す周方向断面図である。図1に示すように、導電性ロール10は、軸体12と、軸体12の外周に形成された弾性層14と、を備えている。弾性層14は、(A)ベースポリマーと、(B)ヒドロシリル架橋剤と、(C)ヒドロシリル化触媒と、を含有する組成物の架橋体よりなる。
(A)ベースポリマーは、ポリオキシアルキレン骨格、ポリエステル骨格、および、ポリカーボネート骨格から選択される少なくとも1種を有する分子構造中に、アルケニル基およびウレタン結合を有するものからなる。すなわち、(A)ベースポリマーは、その分子構造中に、ポリオキシアルキレン骨格、ポリエステル骨格、および、ポリカーボネート骨格から選択される少なくとも1種と、アルケニル基と、ウレタン結合と、を有している。(A)ベースポリマーがこれらの骨格を有することにより、極性を高めて低抵抗にしやすい。
(A)ベースポリマーは、ポリオキシアルキレン骨格、ポリエステル骨格、および、ポリカーボネート骨格からなる群の中では、1種のみ(例えば、これらの中ではポリオキシアルキレン骨格のみ)を有するものであっても良いし、2種以上を有するものであっても良い。
(A)ベースポリマーがポリエステル骨格やポリカーボネート骨格を有する場合には、架橋体の破断強度を高める効果も有する。これは、ポリエステル骨格やポリカーボネート骨格は、ポリオキシアルキレン骨格と比べて凝集力が高いため、ベースポリマー同士の凝集力が高まって架橋体の破断強度が向上するためと推察される。
ポリオキシアルキレン骨格は、繰返し単位がオキシアルキレン単位よりなる。ポリオキシアルキレン骨格としては、具体的には、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレン、ポリオキシブチレン、または、これらの単量体のランダム、ブロック共重合骨格などを挙げることができる。ポリオキシアルキレン骨格としては、柔軟性に優れるなどの観点から、より好ましくはポリオキシプロピレン骨格である。オキシアルキレン単位の繰返し単位数としては、特に限定されるものではないが、加工性に優れるなどの観点から、5〜1000の範囲内であることが好ましい。
ベースポリマーの分子構造中におけるポリオキシアルキレン骨格の数としては、特に限定されるものではない。ポリオキシアルキレン骨格は、例えば、ベースポリマーの分子構造中に1つのみ有していても良いし、2つ以上有していても良い。ポリオキシアルキレン骨格を2つ以上有する場合には、異なる種類のポリオキシアルキレン骨格(例えば、ポリオキシプロピレン骨格およびポリオキシエチレン骨格の両方など)をベースポリマーの分子構造中に有していても良い。また、異なる繰返し単位数のポリオキシアルキレン骨格(例えば、繰返し単位数が25のポリオキシプロピレン骨格および繰返し単位数が50のポリオキシプロピレン骨格の両方など)をベースポリマーの分子構造中に有していても良い。
ポリエステル骨格としては、脂肪族のポリエステル骨格、脂環族のポリエステル骨格、芳香族のポリエステル骨格を挙げることができる。また、ポリエステル骨格中に、脂肪族部位、脂環族部位、芳香族部位のうちの2種以上の部位を合わせて含んだポリエステル骨格を挙げることができる。
ポリエステル骨格としては、柔軟性を高めやすいなどの観点から、脂肪族部位を含むポリエステル骨格であることが好ましい。脂肪族部位を含むポリエステル骨格中に含まれるアルキル鎖の炭素数としては、特に限定されるものではないが、より柔軟性を高めるなどの観点から、2以上であることが好ましい。より好ましくは4以上である。一方、アルキル鎖の炭素数の上限としては、高強度にしやすいなどの観点から、20以下、より好ましくは12以下が好ましい。
ポリエステル骨格は、直鎖状であっても良いし、分岐していても良い。柔軟性に優れるなどの観点から、より好ましくは直鎖状である。例えば、ポリエステル骨格がジカルボン酸とジオールとの縮合物により構成される場合には、直鎖状のポリエステル骨格が形成される。ポリエステル骨格がトリカルボン酸以上のポリカルボン酸か、トリオール以上のポリオールから得られる場合には、分岐状のポリエステル骨格が形成される場合がある。
ベースポリマーの分子構造中におけるポリエステル骨格の数としては、特に限定されるものではない。ポリエステル骨格は、例えば、ベースポリマーの分子構造中に1つのみ有していても良いし、2つ以上有していても良い。ポリエステル骨格を2つ以上有する場合には、異なる種類のポリエステル骨格(例えば、互いに炭素数の異なるポリエステル骨格など)をベースポリマーの分子構造中に有していても良い。
ポリカーボネート骨格としては、脂肪族のポリカーボネート骨格、脂環族のポリカーボネート骨格、芳香族のポリカーボネート骨格を挙げることができる。また、ポリカーボネート骨格中に、脂肪族部位、脂環族部位、芳香族部位のうちの2種以上の部位を合わせて含んだポリカーボネート骨格を挙げることができる。
ポリカーボネート骨格としては、柔軟性を高めやすいなどの観点から、脂肪族部位を含むポリカーボネート骨格であることが好ましい。脂肪族部位を含むポリカーボネート骨格中に含まれるアルキル鎖の炭素数としては、特に限定されるものではないが、より柔軟性を高めるなどの観点から、2以上であることが好ましい。より好ましくは4以上である。一方、アルキル鎖の炭素数の上限としては、高強度にしやすいなどの観点から、20以下、より好ましくは12以下が好ましい。
ベースポリマーの分子構造中におけるポリカーボネート骨格の数としては、特に限定されるものではない。ポリカーボネート骨格は、例えば、ベースポリマーの分子構造中に1つのみ有していても良いし、2つ以上有していても良い。ポリカーボネート骨格を2つ以上有する場合には、異なる種類のポリカーボネート骨格(例えば、互いに炭素数の異なるポリカーボネート骨格など)をベースポリマーの分子構造中に有していても良い。
アルケニル基は、(B)ヒドロシリル架橋剤とヒドロシリル化反応する部分である。これにより、ベースポリマーは、架橋・硬化して架橋体となる。アルケニル基としては、アリル基(CH=CH−CH−)、ビニル基(CH=CH−)、イソプロペニル基、3−ブテニル基、2−メチル−2−プロペニル基などを挙げることができる。
アルケニル基は、ベースポリマーの主鎖の末端に存在していても良いし、ベースポリマーの主鎖から分岐する側鎖に存在していても良いし、その両方に存在していても良い。ベースポリマーの主鎖の末端に存在するアルケニル基は、ヒドロシリル架橋剤との反応性に優れ、ベースポリマーの硬化を速くできる点で好ましい。ベースポリマーの側鎖に存在するアルケニル基は、ベースポリマーの主鎖に架橋点を形成でき、ベースポリマーの弾性回復率を向上させる点で好ましい。
ベースポリマーの分子構造中におけるアルケニル基の数としては、特に限定されるものではないが、耐へたり性に優れるなどの観点から、2つ以上であることが好ましい。アルケニル基の数が2つ以上の場合、よりゴム弾性に優れるなどの観点から、アルケニル基は、分子構造中の両末端に存在していることが好ましい。
ウレタン結合(−OC(O)−NH−)は、分子間で互いに水素結合を形成することができるため、ベースポリマー同士の凝集力を高めて、架橋体の破断強度を向上するなどの機能を有するものと推察される。ベースポリマーの分子構造中におけるウレタン結合の数としては、特に限定されるものではないが、破断強度および柔軟性のバランスに優れるなどの観点から、2〜40の範囲内であることが好ましい。
ベースポリマーの分子構造中には、上記各構成要素以外に、他の構成要素が含まれていても良い。他の構成要素としては、例えば、イソシアネート残基や、ポリオール残基、アルキル鎖などを挙げることができる。イソシアネート残基は、ウレタン結合を形成するためのウレタン反応によりベースポリマーの分子構造中に取り込まれたイソシアネート化合物に由来する構造部分であり、ポリオール残基は、反応によりベースポリマーの分子構造中に取り込まれたポリオールに由来する構造部分である。
このようなベースポリマーは、架橋体を低硬度にしやすいなどの観点から、室温で液状であることが好ましい。また、この観点から、ベースポリマーの数平均分子量としては、500〜50000の範囲内であることが好ましい。
ポリオキシアルキレン骨格を有するベースポリマーは、例えば、1)アルケニル基を有するポリオキシアルキレンとイソシアネートとのウレタン反応による方法、2)ポリオキシアルキレンとイソシアネートとの反応により末端にイソシアネート基を有するウレタン化合物を合成し、このウレタン化合物とアルケニル基を有するポリオールとをウレタン反応させる方法、3)アルケニル基を有するイソシアネートとポリオキシアルキレンとのウレタン反応による方法、などの方法により製造することができる。
2)の方法においては、ポリオキシアルキレンとジイソシアネートとの反応により、ジイソシアネート過剰下で、両末端にイソシアネート基を有するウレタン化合物を得ることができる。この際、ポリオキシアルキレンとジイソシアネートのモル比を変更することにより、ウレタン化合物の分子鎖の長さ(繰り返し単位数)を調整することができる。ウレタン化合物の分子鎖を長くする(繰り返し単位数を増やす)と、ベースポリマー中に占めるポリオキシアルキレン骨格の割合が増加する方向に働くため、ベースポリマーの柔軟性を高めて低硬度にする方向に働きやすい。
ポリエステル骨格を有するベースポリマーおよびポリカーボネート骨格を有するベースポリマーについても、ポリオキシアルキレン骨格を有するベースポリマーと同様の方法により製造することができる。
イソシアネートとしては、イソシアネート基を1つ有するイソシアネートであっても良いし、イソシアネート基を2つ有するジイソシアネートであっても良い。また、イソシアネート基を3つ以上有するイソシアネートであっても良い。より好ましくは、ベースポリマーの製造における分子構造の制御および加工性に優れるなどの観点から、ジイソシアネートである。
イソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、MDIの多量体であるMDIヌレート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)、MDIやポリメリックMDIの混合物であるクルードMDI(c−MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、TDIの多量体であるTDIヌレート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、2,6−ナフタレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネートジフェニルエーテル、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、HDIの多量体であるHDIヌレート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの水添化物、m−キシレンジイソシアネートの水添化物のような脂肪族、脂環族ジイソシアネート、またはこれらを尿素化、ビュレット化、アロファネート化、カルボジイミド化、ウレタン化などした変性体などが挙げられる。これらは1種または2種以上併用しても良い。これらのうち、MDI、TDI、p−フェニレンジイソシアネートが好ましい。
ポリオキシアルキレンとしては、ポリオキシプロピレン(ポリプロピレングリコール)、ポリオキシエチレン(ポリエチレングリコール)、ポリオキシブチレン(ポリブチレングリコール)、または、これらの単量体のランダム、ブロック共重合体などを挙げることができる。
アルケニル基を有するポリオキシアルキレンとしては、ポリプロピレングリコールアリルエーテル、ポリエチレングリコールアリルエーテル、ポリエチレン/プロピレングリコールアリルエーテルなどを挙げることができる。
ポリオキシアルキレンあるいはアルケニル基を有するポリオキシアルキレンの数平均分子量としては、ベースポリマーを低硬度にできる、ベースポリマーの流動性・取り扱い性に優れるなどの観点から、200〜40000の範囲内であることが好ましい。より好ましくは500〜10000の範囲内である。
ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセロールなどを挙げることができる。
アルケニル基を有するポリオールとしては、エチレングリコールモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールモノアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、グリセリンモノアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテルなどを挙げることができる。アルケニル基を有するポリオールが分子構造中に2個以上の水酸基を有する場合には、ベースポリマーの側鎖にアルケニル基を導入できる。
ポリエステル骨格に由来するポリエステルとしては、ポリエステルポリオールなどを挙げることができる。また、ポリカーボネート骨格に由来するポリカーボネートとしては、ポリカーボネートポリオールなどを挙げることができる。ポリエステル骨格に由来するポリエステルやポリカーボネート骨格に由来するポリカーボネートの数平均分子量としては、ベースポリマーを低硬度にできる、ベースポリマーの流動性・取り扱い性に優れるなどの観点から、200〜40000の範囲内であることが好ましい。より好ましくは500〜10000の範囲内である。
このようなベースポリマーとしては、例えば、下記の一般式(1)〜(4)に表されるものを示すことができる。ベースポリマーとしては、これらのうちの1種よりなるものであっても良いし、これらのうちから選択される2種以上よりなるものであっても良い。
Figure 0005662823
Figure 0005662823
Figure 0005662823
Figure 0005662823
但し、
A:アルケニル基
P:ポリオキシアルキレン骨格、ポリエステル骨格、または、ポリカーボネート骨格
U:ウレタン結合
X:イソシアネート残基
R:ポリオール残基
R’:3価以上のポリオール残基
a〜e:1以上の正数
R:ポリオール残基としては、特に限定されるものではないが、2〜4価のポリオールの残基であることが好ましい。2価のポリオールとしては、上記するように、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン/プロピレングリコールなどを挙げることができる。3価のポリオールとしては、上記するように、トリメチロールプロパン、グリセリンなどを挙げることができる。4価のポリオールとしては、上記するように、ペンタエリスリトールなどを挙げることができる。
R’:3価以上のポリオール残基は、3価以上のポリオールの残基である。3価以上のポリオール残基としては、特に限定されるものではないが、3〜4価のポリオールの残基であることが好ましい。3価のポリオールとしては、上記するように、トリメチロールプロパン、グリセリンなどを挙げることができる。4価のポリオールとしては、上記するように、ペンタエリスリトールなどを挙げることができる。
a〜eは、繰り返し単位数を表すものである。a〜dに示す繰り返し単位数が増えると、ベースポリマー中に占めるポリオキシアルキレン骨格の割合が増加する方向に働くため、ベースポリマーの柔軟性を高めて低硬度にする方向に働きやすい。d〜eに示す繰り返し単位数が増えると、側鎖のアルケニル基の数が増加する方向に働くため、弾性回復率を高めやすい。
Pがポリオキシアルキレン骨格の場合を例に挙げると、式(1)のポリマーは、例えば、ジイソシアネートと、末端にアルケニル基を有するポリオキシアルキレンと、をウレタン反応させることにより製造できる。
Pがポリオキシアルキレン骨格の場合を例に挙げると、式(2)のポリマーは、例えば、ジイソシアネートとポリオキシアルキレンとをウレタン反応させて、両末端にイソシアネート基を有するウレタン化合物を得た後、このウレタン化合物と末端にアルケニル基を有するポリオールとをウレタン反応させることにより製造できる。
Pがポリオキシアルキレン骨格の場合を例に挙げると、式(3)のポリマーは、例えば、ジイソシアネートとポリオキシアルキレンとをウレタン反応させて、両末端にイソシアネート基を有するウレタン化合物を得、このウレタン化合物とアルケニル基を有する2価以上のポリオールとをウレタン反応させて、末端あるいは側鎖にアルケニル基を有し、一方の末端にイソシアネート基を有し、他方の末端に2価以上のポリオール由来のヒドロキシル基を有するウレタン化合物を得、このウレタン化合物と、上記両末端にイソシアネート基を有するウレタン化合物と同じウレタン化合物と、をウレタン反応させた後、得られた化合物を末端にアルケニル基を有するポリオールとウレタン反応させることにより製造できる。
式(3)のポリマーは、d=1の場合には、上記両末端にイソシアネート基を有するウレタン化合物と同じウレタン化合物と、アルケニル基を有する2価以上のポリオールと、末端にアルケニル基を有する1価のポリオールと、をウレタン反応させることによっても製造できる。
Pがポリオキシアルキレン骨格の場合を例に挙げると、式(4)のポリマーは、例えば、ジイソシアネートとアルケニル基を有する2価以上のポリオールとをウレタン反応させて、末端あるいは側鎖にアルケニル基を有し、一方の末端にイソシアネート基を有し、他方の末端に2価以上のポリオール由来のヒドロキシル基を有するウレタン化合物を得、このウレタン化合物と、上記両末端にイソシアネート基を有するウレタン化合物と同じウレタン化合物と、をウレタン反応させた後、得られた化合物を末端にアルケニル基を有するポリオールとウレタン反応させることにより製造できる。
(B)ヒドロシリル架橋剤は、(A)ベースポリマーのアルケニル基とヒドロシリル化反応して(A)ベースポリマーを架橋・硬化する成分である。(B)ヒドロシリル架橋剤は、その分子構造中にヒドロシリル基(SiH基)を有する。ヒドロシリル架橋剤の分子構造中におけるヒドロシリル基の数としては、特に限定されるものではないが、硬化速度に優れる、安定性に優れるなどの観点から、2〜50の範囲内であることが好ましい。分子構造中にヒドロシリル基を2以上有する場合には、ヒドロシリル基は異なるSiに存在することが好ましい。
(B)ヒドロシリル架橋剤としては、ヒドロシリル基を有するポリシロキサンなどを挙げることができる。ポリシロキサンは、鎖状のものでも良いし、環状のものでも良い。このようなポリシロキサンとしては、例えば、下記の一般式(5)〜(7)に表されるものを示すことができる。このようなポリシロキサンとしては、これらのうちの1種よりなるものであっても良いし、これらのうちから選択される2種以上よりなるものであっても良い。
Figure 0005662823
式(5)中、Rは炭素数2〜20の炭化水素基またはフェニル基を示し、Rは炭素数1〜20の炭化水素基を示す。Rは水素原子またはメチル基を示し、互いに同一であっても異なっていても良い(ただし、mが0のときは水素原子を示す)。また、mは0または正数、nは0または正数、pは0または正数で、2≦m+n+p≦200である。
Figure 0005662823
式(6)中、Rは炭素数2〜20の炭化水素基またはフェニル基を示す。Rは水素原子またはメチル基を示し、互いに同一であっても異なっていても良い(ただし、mが0のときは水素原子を示す)。Rは炭素数1〜20の炭化水素基を示し、互いに同一であっても異なっていても良い。また、mは0または正数、nは1以上の正数、pは0または正数、qは0または正数で、1≦m+n+p+q≦200である。
Figure 0005662823
式(7)中、Rは炭素数2〜20の炭化水素基またはフェニル基を示し、Rは炭素数1〜20の炭化水素基を示す。また、mは2以上の正数、nは0または正数、pは0または正数で、2≦m+n+p≦50である。
(B)ヒドロシリル架橋剤の数平均分子量としては、取り扱い性に優れるなどの観点から、200〜30000の範囲内であることが好ましい。
(B)ヒドロシリル架橋剤の配合量は、(A)ベースポリマー中のアルケニル基1モル当たり、(B)成分中のヒドロシリル基が0.2〜5.0モルの範囲内であることが好ましい。より好ましくは0.4〜2.5モルの範囲内である。
(C)ヒドロシリル化触媒は、(B)ヒドロシリル架橋剤のヒドロシリル化反応を促進する触媒として機能する。(C)ヒドロシリル化触媒としては、例えば、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール・アルデヒド・ケトンなどとの錯体、白金/ビニルシロキサン錯体、白金/オレフィン錯体、白金/ホスファイト錯体、アルミナ・シリカ・カーボンブラックなどの担体に白金を担持させたものなどを挙げることができる。これらは単独で用いることもできるし、2種以上併用することもできる。
(C)ヒドロシリル化触媒の配合量は、(A)ベースポリマー中のアルケニル基の数にもよるが、(A)ベースポリマー100質量部に対し、0.001〜1質量部の範囲内であることが好ましい。より好ましくは、(A)ベースポリマー100質量部に対し、0.01〜0.5質量部の範囲内である。
弾性層の組成物中には、(A)〜(C)成分の他に、必要に応じて、他の成分を含有していても良い。他の成分としては、例えば、導電剤、遅延剤、充填材、増量材、補強材、加工助剤、加硫促進剤、架橋助剤、酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、顔料、シリコーンオイル、助剤、界面活性剤などの各種添加剤を挙げることができる。導電剤を含有する場合には、導電性ロール10の低抵抗化を図ることができる。導電剤としては、カーボンブラックやイオン導電剤などを挙げることができる。イオン導電剤としては、過塩素酸塩、第4級アンモニウム塩、ホウ酸塩、イオン液体などを挙げることができる。
弾性層14は、発泡体であっても良いし、中実体であっても良い。弾性層14の厚みは、0.1〜10mmの範囲内にあることが好ましい。より好ましくは、1〜5mmの範囲内である。
弾性層14の形成材料の硬度(タイプA硬度)としては、10〜50の範囲内にあることが好ましい。弾性層14の形成材料の硬度は、これをシート成形したものをJIS K 6253に準じて測定した硬度である。また、弾性層14の形成材料の体積抵抗率としては、高画質化などの観点から、1×10〜1×1010Ω・cmの範囲にあることが好ましい。
弾性層14においては、ベースポリマーがポリオキシアルキレン骨格を有するため、導電性ロール10の低抵抗化を図ることができる。また、ベースポリマーがポリオキシアルキレン骨格を有することから、イオン導電剤のみ、あるいは、主にイオン導電剤を用い、カーボンブラックの使用を抑える(低減する)ことができる。これにより、カーボンブラックの添加による弾性回復率の低下を抑えることができる。
軸体12としては、導電性シャフトなどを挙げることができる。導電性シャフトとしては、金属製の中実体、金属製の円筒体、あるいは、これらにめっきが施されたものなどを挙げることができる。金属の種類としては、アルミニウム、ステンレスなどを挙げることができる。軸体12の外周面には、弾性層14との間の接着性を向上させるなどの目的で、接着剤やプライマなどを塗布しても良い。接着剤やプライマなどには、必要に応じて、導電化を行うことができる。
導電性ロール10においては、弾性層14の外周に、1層以上の被覆層を備えていても良い。被覆層の主材料としては、例えば、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、アクリルフッ素樹脂、ブチラール樹脂(PVB)、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素ゴム、フッ素樹脂、フッ素ゴムとフッ素樹脂の混合物、シリコーン樹脂、ニトリルゴム、ウレタンゴム等を挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、2種以上併せて用いても良い。なかでも、耐摩耗性の点で、ウレタン樹脂が好ましい。被覆層の材料には、主材料の他に、導電剤、可塑剤、レベリング剤などを含んでいても良い。被覆層の厚みとしては、1〜100μmの範囲内であることが好ましい。
以上の構成よりなる導電性ロールは、弾性層が、(A)ポリオキシアルキレン骨格を有する分子構造中に、アルケニル基およびウレタン結合を有するベースポリマー、(B)ヒドロシリル架橋剤、および、(C)ヒドロシリル化触媒、を含有する組成物の架橋体よりなることから、ロール表面の硬度は低硬度であり、また、弾性回復率に優れるとともに、従来よりも破断強度に優れる。これにより、耐ヘタリ性および耐久性に優れる。そして、このように架橋体自体の破断強度が高いため、補強材の使用を抑えることができる結果、補強材の添加による弾性回復率の低下を抑えることができる。
次に、本発明の導電性ロールの製造方法について説明する。
まず、軸体12の外周に弾性層14を形成する。より具体的には、例えば、成形用金型の中空部に軸体12をセットし、成形用金型と軸体12との間の空隙部に弾性層の形成材料を注型して加熱架橋させた後、成形用金型から脱型することにより、軸体12の外周に弾性層14を形成する。また、必要に応じて、弾性層14の外周に1層以上の被覆層を形成する。より具体的には、ロールコーティング法、スプレーコーティング法、ディッピング法などにより被覆層の形成材料を塗布した後、これを乾燥し、必要に応じて加熱架橋処理することにより、ゴム弾性層14の外周に被覆層を形成する。以上により、現像ロール10が得られる。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(ベースポリマー<1>の合成)
ポリプロピレングリコールアリルエーテル(日油社製、ユニセーフPKA5014、数平均分子量1500)100質量部を合成釜に投入し、これを攪拌しながら80℃、30分の条件にて減圧脱水した後、イソシアネート(MDI、日本ポリウレタン工業社製、ミリオネートMT)8.4質量部をさらに添加し、窒素気流中でこれらを攪拌混合しながら80℃、3時間の条件にて加熱反応させることにより、下記の式(8)に示す構造のベースポリマー<1>を合成した。式(8)に示す構造は、一般式(1)に分類される。
Figure 0005662823
(ベースポリマー<2>の合成)
ポリプロピレングリコール<1>(三洋化成工業社製、サンニックスPP2000、数平均分子量2000)100質量部を合成釜に投入し、これを攪拌しながら80℃、30分の条件にて減圧脱水した後、イソシアネート(MDI、日本ポリウレタン工業社製、ミリオネートMT)25.0質量部をさらに添加し、窒素気流中でこれらを攪拌混合しながら80℃、3時間の条件にて加熱反応させた。その後、エチレングリコールモノアリルエーテル10.2質量部をさらに添加し、窒素気流中でこれらを攪拌混合しながら100℃、2時間の条件にて加熱反応させることにより、下記の式(9)に示す構造のベースポリマー<2>を合成した。式(9)に示す構造は、一般式(2)に分類される。一般式(2)において、a=1である。
Figure 0005662823
(ベースポリマー<3>、<4>の合成)
ベースポリマー<2>の合成において、ポリプロピレングリコール<1>に代えてポリプロピレングリコール<2>(三洋化成工業社製、サンニックスPP3000、数平均分子量3000)を用い、エチレングリコールモノアリルエーテルに代えて表1に記載のアリルエーテルをそれぞれ用いた点以外は、ベースポリマー<2>と同様にして、下記の式(10)、(11)に示す構造のベースポリマー<3>、<4>をそれぞれ合成した。各成分の配合割合は、表1に示す通りである。表1に記載のアリルエーテルには、それぞれ試薬を用いた。式(10)、式(11)に示す構造は、一般式(2)に分類される。一般式(2)において、式(10)に示す構造はa=1であり、式(11)に示す構造はa=2である。
Figure 0005662823
Figure 0005662823
(ベースポリマー<5>の合成)
ポリプロピレングリコール<1>に代えて、ポリエステルポリオール(クラレ社製、P−2010、数平均分子量2000)を用いた以外はベースポリマー<2>と同様にして、下記の式(12)に示す構造のベースポリマー<5>を合成した。式(12)に示す構造は、一般式(2)に分類される。一般式(2)において、式(12)に示す構造はa=1である。
Figure 0005662823
(ベースポリマー<6>の合成)
ポリプロピレングリコール<1>に代えて、ポリカーボネートポリオール(クラレ社製、P−2090、数平均分子量3000)を用いた以外はベースポリマー<2>と同様にして、下記の式(13)に示す構造のベースポリマー<6>を合成した。式(13)に示す構造は、一般式(2)に分類される。一般式(2)において、式(13)に示す構造はa=1である。
Figure 0005662823
(ベースポリマー<7>の合成)
エチレングリコールモノアリルエーテル10.2質量部に代えて、エチレングリコールモノアリルエーテル5.1質量部とグリセリンモノアリルエーテル3.3質量部との混合物を用いた以外はベースポリマー<2>と同様にして、下記の式(14)に示す構造のベースポリマー<7>を合成した。式(14)に示す構造は、一般式(3)に分類される。一般式(3)において、式(14)に示す構造はb〜d=1である。
Figure 0005662823
(ベースポリマー<8>の合成)
ポリプロピレングリコール<1>に対するイソシアネートおよびエチレングリコールモノアリルエーテルの配合比を表2に記載の配合比に変えた以外はベースポリマー<2>と同様にして、下記の式(15)に示す構造のポリマーとベースポリマー<2>との混合物からなるベースポリマー<8>を合成した。式(15)に示す構造は、一般式(2)に分類される。一般式(2)において、式(15)に示す構造はa=2である。
Figure 0005662823
これらのベースポリマー<1>〜<8>の配合組成および配合割合を表1に示した。
Figure 0005662823
(実施例1)
(弾性層組成物の調製)
ベースポリマー<1>100質量部と、下記の式(16)に示す構造のヒドロシリル架橋剤9.8質量部と、ヒドロシリル化触媒(関東化学社製、ヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物)0.1質量部と、遅延剤(東京化成工業社製、1−エチニル−1−シクロヘキサノール)0.05質量部と、カーボンブラック(ライオン社製、ケッチェンブラックEC300J)5質量部と、を常温、30分の条件にて攪拌・混合した後、減圧脱泡して弾性層組成物を調製した。
Figure 0005662823
(被覆層組成物の調製)
ウレタン樹脂(日本ポリウレタン工業社製、ニッポラン5196)100質量部と、カーボンブラック(電気化学工業社製、デンカブラックHS100)40質量部とをメチルエチルケトンに混合・分散させた混合液を調製した。この混合液に粗さ形成材としてのウレタン粒子(根上工業社製、U−600T)20質量部とメチルエチルケトンをさらに加えて混合した後、イソシアネート(日本ポリウレタン工業社製、コロネートL)45質量部を加えて混合することにより、被覆層組成物を調製した。
(導電性ロールの作製)
導電性シャフト(φ6mm、SUS304製)をセットした金型内に弾性層組成物を充填した後、130℃、30分間の条件にて加熱架橋を行った。その後、脱型することにより、導電性シャフトの外周面に沿って弾性層が形成されたロール体(外径10mm、弾性層の厚さ2mm)を得た。次いで、ロール体の外周面にロールコート機を用いて被覆層組成物を塗工し、これを180℃、60分の条件にてオーブン架橋することにより、厚さ10μmの被覆層を弾性層の外周面に形成して、実施例1の導電性ロールを作製した。
(実施例2〜4、6〜7)
弾性層組成物の調製において、ベースポリマー<1>に代えてベースポリマー<2>〜<6>をそれぞれ用いた点以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜4、6〜7の導電性ロールを作製した。
(実施例5、8〜9)
弾性層組成物の調製において、ベースポリマー<1>に代えてベースポリマー<4>、<7>〜<8>を用い、カーボンブラックに代えてイオン導電剤<1>(関東化学社製、過塩素酸リチウム)あるいは下記のイオン導電剤<2>(オクチルトリメチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)を用いた点以外は、実施例1と同様にして、実施例5、8〜9の導電性ロールを作製した。
<イオン導電剤<2>の調製>
オクチルトリメチルアンモニウムクロリドとビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムを水系溶媒に添加し、室温で4時間攪拌することにより、イオン導電剤<2>を調製した。
(比較例1〜2)
弾性層組成物の調製において、ベースポリマー<1>に代えてポリプロピレングリコールジアリルエーテル(日油社製、ユニセーフPKA5018、数平均分子量3000)を用いた点以外は、実施例1と同様にして、比較例1の導電性ロールを作製した。また、弾性層組成物の調製において、ベースポリマー<1>に代えてポリプロピレングリコールジアリルエーテルを用い、さらに補強材(日本アエロジル社製、アエロジル200)を配合した点以外は、実施例1と同様にして、比較例2の導電性ロールを作製した。
このようにして得られた各弾性層組成物の配合組成および配合割合を表2に示した。そして、このようにして得られた各弾性層組成物を用い、下記の測定方法に従い、シート物性(硬度、弾性回復率、破断強度、体積抵抗率)を測定した。また、このようにして得られた各導電性ロールを用い、下記の測定方法および評価基準に従い、製品特性(耐久性、セット性)の評価を行った。これらの結果を表2に併せて示した。
(シート成形)
弾性層組成物を130℃、30分の条件にてプレス成形し、厚さ2mmのシートを作製した。
(硬度)
弾性層組成物をシート成形して得られたシートの硬度(タイプA)を、JIS K 6253に準じて測定した。
(弾性回復率)
ISO14577−1に準拠し、微小硬度計(Fischer社製、マイクロスコープHS100)を用いて、弾性層組成物をシート成形して得られたシート表面を下記の測定条件にて測定し、ηIT[%]を求めた。すなわち、微小硬度計を用いて、試験荷重を一定にして、材料表面に圧子を押し込むと、押し込み仕事中に示されるくぼみの全機械的仕事量Wtotalは、くぼみの塑性変形仕事量Wplastとしてごく一部だけ消費される。試験荷重の除荷時に、残りの部分は、くぼみの弾性戻り変形仕事Welastとして開放される。この機械的仕事をW=∫Fdhと定義とすると、その関係は以下の通りである。
ηIT[%]=Welast/Wtotal
但し、Wtotal=Welast+Wplast
<測定条件>
圧子:対面角度136°の四角垂型ダイヤモンド圧子
初期荷重:0mN
押込み最大荷重:20mN(定荷重)
最大荷重到達時間:0.25〜10sec
最大荷重保持時間:30sec
抜重時間:0.25〜10sec
(破断強度)
JIS K6251に準拠し、弾性層組成物をシート成形して得られたシートで形成した3号ダンベル試験片を用いて、弾性層組成物の破断強度を測定した。
(体積抵抗率)
弾性層組成物をシート成形して得られたシートの表面上に銀ペーストで10mm四方の電極を描き(ガード電極付き)、一方、シートの反対側の面に対抗電極を設け、電極間をJIS K 6911に記載の方法に準じて100V印加したときの体積抵抗率を測定した。
(耐久性評価)
作製した導電性ロールを現像ロールとして評価機(ヒューレットパッカード社製、レーザープリンタHP CLJ3505)に組み付け、HH環境下(32.5℃×85%RH)で画像出しを10000枚(A4サイズ)行った後、導電性ロールを取り出し、弾性層の破壊の有無を目視で観察した。この耐久試験前の状態と比べて弾性層の形態に変化がない場合を(○)とし、弾性層にちぎれやひび割れが確認された場合を(×)とした。
(セット性評価)
作製した導電性ロールを現像ロールとして評価機(ヒューレットパッカード社製、レーザープリンタHP CLJ3505)用トナーカートリッジに組み付け、湿熱環境(40℃×95%RH)にて3日間放置した後、導電性ロールをトナーカートリッジから取り出し、真円度・円筒形状測定機(東京精密社製、Rondcom60A)にて導電性ロールの真円度を測定し、測定された形状結果から変形量を求めた。変形量(ヘタリ量)が8μm以下の場合を(○)とし、変形量が8μmを超える場合を(×)とした。
Figure 0005662823
比較例1は、弾性層の材料がポリプロピレングリコールジアリルエーテルをヒドロシリル架橋したものであり、分子構造中にウレタン結合を有していないため、低硬度で弾性回復率に優れることからセット性は良好であったものの、破断強度に劣り、耐久性に劣っていた。比較例2は、比較例1の材料中にさらに補強材を配合して強度の向上を図ったが、これにより、硬度が高くなり、また、弾性回復率が低下してセット性が悪化した。
これに対し、実施例は、弾性層が低硬度で弾性回復率に優れ、セット性が良好であるとともに、破断強度にも優れ、耐久性に優れていることが確認できた。
実施例5,8,9は、カーボンブラックに代えてイオン導電剤を用いており、他の実施例と比べてさらに弾性回復率に優れることが確認できた。また、これらのうち、実施例8は、側鎖にアルケニル基を有するベースポリマーを用いているため、実施例5,9と比べてさらに弾性回復率に優れることが確認できた。
実施例6,7は、ポリエステル骨格あるいはポリカーボネート骨格を有するベースポリマーを用いているため、ポリオキシアルキレン骨格を有するベースポリマーを用いた実施例と比べて破断強度が高いことが確認できた。これは、ポリエステル骨格あるいはポリカーボネート骨格が、ポリオキシアルキレン骨格より凝集力が高いためであると推察される。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
10 電子写真機器用導電性ロール
12 軸体
14 弾性層

Claims (4)

  1. 軸体と、前記軸体の外周に形成された弾性層と、を備え、
    前記弾性層が、下記の(A)〜(C)成分を含有する組成物の架橋体よりなり、前記(A)成分が室温で液状のポリマーであることを特徴とする電子写真機器用導電性ロール。
    (A)ポリオキシアルキレン骨格、ポリエステル骨格、および、ポリカーボネート骨格から選択される少なくとも1種を有する分子構造中に、アルケニル基およびウレタン結合を有するベースポリマー
    (B)ヒドロシリル架橋剤
    (C)ヒドロシリル化触媒
  2. 前記組成物は、さらに導電剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真機器用導電性ロール。
  3. 前記導電剤がイオン導電剤であることを特徴とする請求項2に記載の電子写真機器用導電性ロール。
  4. 前記(A)成分が、下記の一般式(1)〜(4)で表される化合物から選択された1種または2種以上よりなることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の電子写真機器用導電性ロール。
    Figure 0005662823
    Figure 0005662823
    Figure 0005662823
    Figure 0005662823
    但し、
    A:アルケニル基
    P:ポリオキシアルキレン骨格、ポリエステル骨格、または、ポリカーボネート骨格
    U:ウレタン結合
    X:イソシアネート残基
    R:ポリオール残基
    R’:3価以上のポリオール残基
    a〜e:1以上の正数
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