この発明に係る導電性ローラの一実施例の導電性ローラは、図1及び図2に示されるように、軸体2と、軸体2の外周面に形成された弾性層3と、弾性層3の外周面に形成された導電性コート層4と、導電性コート層4の外周面でアミノシランカップリング剤を硬化してなるコート層5とを備えてなる。
図1及び図2に示されるように、軸体2は、良好な導電特性を有していればよく、通常、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、真鍮等で構成された所謂「芯金」と称される軸体とされる。また、軸体2は、熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂等の絶縁性芯体にメッキを施して導電化した軸体であってもよく、さらには、熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂等に導電性付与剤としてカーボンブラック又は金属粉体等を配合した導電性樹脂で形成された軸体であってもよい。軸体2は、装着される画像形成装置に応じて、適宜の直径及び軸線方向の長さに調整される。例えば、小型軽量化及び/又は高速化された画像形成装置に装着される場合には、軸体2はその直径が小さくされ、例えば、4〜10mmの直径に調整されるのがよい。
図1及び図2に示されるように、弾性層3は、軸体2の外周面で後述するゴム組成物を硬化してなる。この弾性層3は、10〜90のJIS A硬度を有しているのが好ましい。弾性層3が10〜90のJIS A硬度を有していると、例えば、導電性ローラ1を画像形成装置に装着したときに、導電性ローラ1と像担持体等の被当接体との大きなニップ幅を確保することができる。特に、導電性ローラ1を現像剤担持体例えば現像ローラとして装着すると、導電性ローラ1と像担持体との大きなニップ幅を確保して、現像剤を効率的に帯電搬送して、現像効率を向上させることができる。弾性層3のJIS A硬度は、JIS K6253に準拠して測定することができる。
弾性層3の厚さは、1mm以上であるのが好ましく、5mm以上であるのがより好ましい。一方、弾性層3の厚さの上限は、弾性層3の外径精度を損なわない限り特に制限されないが、一般に、弾性層3の厚さを厚くしすぎると、弾性層3の作製コストが上昇するから、実用的な作製コストを考慮すると、弾性層3の厚さは、30mm以下であるのが好ましく、20mm以下であるのがより好ましい。特に、小型軽量化及び/又は高速化された画像形成装置に装着される場合には、弾性層3は、例えば、3〜6mmの厚さに調整されるのがよい。
弾性層3を形成するゴム組成物は、ゴムと、導電性付与剤と、所望により各種添加剤とを含有する。前記ゴムは、特に限定されず、例えば、シリコーン若しくはシリコーン変性ゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム(エチレンプロピレンジエンゴムを含む。)、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム等のゴムが挙げられるが、シリコーン若しくはシリコーン変性ゴムが、耐熱性及び帯電特性等に優れる点で、また、ウレタンゴムが引張強さ及び耐摩耗性に優れる点で、好ましい。これらのゴムは、液状タイプであっても、ミラブルタイプであってもよく、弾性層3の成形方法、弾性層3に要求される特性等に応じて、適宜選択することができる。
前記導電性付与剤は、導電性を有していれば特に限定されず、例えば、導電性粉末、イオン導電性物質等が挙げられる。導電性粉末としては、より具体的には、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボンの他に、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン類、また、酸化チタン、酸化亜鉛、ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属、さらには、金属酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマー等が挙げられ、イオン導電性物質としては、より具体的には、例えば、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸カルシウム、塩化リチウム等の無機イオン性導電物質等が挙げられる。導電性付与剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて、弾性層3としたときに所望の体積抵抗率となるように、適宜の含有量で添加される。例えば、ゴム組成物における導電性付与剤の含有量は、前記ゴム100質量部に対して、2〜80質量部とすることができる。
前記ゴム組成物は、前記ゴム、導電性付与剤に加えて、通常、各種組成物に含有される各種添加剤を含有してもよく、各種添加剤としては、例えば、鎖延長剤及び架橋剤等の助剤、触媒、分散剤、発泡剤、老化防止剤、酸化防止剤、充填材、顔料、着色剤、加工助剤、軟化剤、可塑剤、乳化剤、耐熱性向上剤、難燃性向上剤、受酸剤、熱伝導性向上剤、離型剤、溶剤等が挙げられる。これらの各種添加剤は、通常用いられる添加剤であってもよく、用途に応じて特別に用いられる添加剤であってもよい。
ゴム組成物は、二本ローラ、三本ローラ、ロールミル、バンバリーミキサ、ドウミキサ(ニーダー)等のゴム混練り機等を用いて、前記ゴム、導電性付与剤及び所望により各種添加剤が均一に混合されるまで、例えば、数分から数時間、好ましくは5分〜1時間、常温又は加熱下で混練して、得られる。
前記ゴム組成物は、25℃において、5〜500Pa・sの粘度を有するのが好ましく、特に10〜200Pa・sの粘度を有するのが好ましい。ゴム組成物の粘度は、通常、それらに含まれる各成分の種類及び/又は配合量によって、調整することができる。また、必要により、溶剤等により、粘度を調整することもできる。
好ましく使用されるゴム組成物として、例えば、付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物及び付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物が挙げられる。
前記付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物は、(A)下記平均組成式(1)で示されるオルガノポリシロキサン、(B)充填材、及び、(C)上記(B)成分に属するもの以外の導電性材料を含有する。これらの各成分(A)〜(C)は、例えば、特開2008−058622号公報に記載の「付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物」における各成分と基本的に同様である。
(1) RnSiO(4−n)/2
(前記平均組成式(1)において、Rは、同一又は異なっていてもよい、置換又は非置換の一価炭化水素基、好ましくは炭素原子数1〜12、より好ましくは炭素原子数1〜8の一価炭化水素基であり、nは1.95〜2.05の正数である。)
前記付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物は、(D)一分子中にケイ素原子と結合するアルケニル基を少なくとも2個含有するオルガノポリシロキサンと、(E)一分子中にケイ素原子と結合する水素原子を少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、(F)平均粒径が1〜30μmで、嵩密度が0.1〜0.5g/cm3である無機質充填材と、(G)導電性付与剤と、(H)付加反応触媒とを含有する付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物が挙げられる。これらの各成分(D)〜(H)は、例えば、特開2008−058622号公報に記載の「付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物」における各成分と基本的に同様である。
図1及び図2に示されるように、導電性コート層4は、弾性層3の外周面で後述するウレタン樹脂組成物を硬化してなり、導電性を有している。導電性コート層4の導電性は、導電性ローラ1が所望の導電性を有するように、弾性層3及び後述するコート層5等に応じて調整される。導電性コート層4の導電性は、例えば、ウレタン樹脂組成物における導電性付与剤の含有量によって調整することができる。導電性コート層4は、弾性層3に含まれる低分子量成分例えばオリゴマー等が導電性ローラ1の外表面に滲出することを防止することができる。
導電性コート層4は、通常、薄層に形成されるが、この発明においては、9〜27μmの層厚(Tu)に調整される(条件(1))。導電性コート層4が前記範囲の層厚に調整されると、すなわち、導電性コート層4の厚さが条件(1)を満足すると、弾性層3を被覆するように形成された導電性コート層4によって弾性層3の導電性及び硬度を大きく損なうことがなく、導電性ローラ1としたときの所望の導電性及び硬度を実現することができる。導電性コート層4の厚さは、導電性ローラ1としたときの導電性及び硬度を所望の範囲に容易に調整することができるうえ、後述する連続印字特性を高い水準で実現することができる点で、15〜23μmに調整されているのが好ましい。
導電性コート層4を形成するウレタン樹脂組成物は、ポリウレタン調製成分と、導電性付与剤と、所望により各種添加剤とを含有する。
ポリウレタン調製成分は、ポリウレタンを形成することができる成分であればよく、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとの混合物、ポリオールとポリイソシアネートとを反応して得られるプレポリマー、及び、ポリオールとポリイソシアネートとを反応して得られるポリウレタンからなる群より選択される少なくとも1種の成分が挙げられる。
ポリオールとポリイソシアネートとの混合物における前記ポリオールは、ポリウレタンの調製に通常使用される各種のポリオールであればよく、ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールから選択された少なくとも1種のポリオールであるのが、導電性コート層4の耐摩耗性、電気安定性及び耐水性等に優れる点で、好ましい。前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール−エチレングリコール等のポリアルキレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、テトラヒドロフランとアルキレンオキサイドとの共重合ポリオール、及び、これらの各種変性体又はこれらの混合物等が挙げられる。前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、アジピン酸等のジカルボン酸とエチレングリコール等のポリオールとの縮合により得られる縮合系ポエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、及び、これらの混合物等が挙げられる。前記ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールは、1種単独でも2種以上を組み合わせて使用してもよく、また、ポリエーテルポリオールとポリエステルポリオールとを組み合わせて使用してもよい。前記ポリオールは、熱的安定性に優れる点で、ポリエステルポリオールが好ましい。前記ポリオールは、後述するポリイソシアネート等との相溶性に優れる点で、1000〜8000の数平均分子量を有するのが好ましく、1000〜5000の数平均分子量を有するのがさらに好ましい。数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレンに換算したときの分子量である。
ポリオールとポリイソシアネートとの混合物における前記ポリイソシアネートは、ポリウレタンの調製に通常使用される各種イソシアネートであればよく、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。ポリイソシアネートは、貯蔵安定性に優れ、反応速度を制御しやすい点で、芳香族ポリイソシアネートであるのが好ましい。芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイシシアネート(XDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(トリレンジイソシアネートとも称する。TDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)等が挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルナンジイソシアネートメチル、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、水添MDI、等が挙げられる。ポリイソシアネートは、500〜2000の分子量を有するのが好ましく、700〜1500の分子量を有するのがさらに好ましい。ポリイソシアネートとして、前記ポリイソシアネートのイソシアネート基をブロック剤でブロックしたブロックポリイソシアネートを用いることもできる。
ポリオールとイソシアネートとの混合物における混合割合は、特に限定されないが、通常、ポリオールに含まれる水酸基(OH)と、イソシアネートに含まれるイソシアネート基(NCO)とのモル比(NCO/OH)が0.7〜1.15であるのが、得られるポリウレタンにおける所望の架橋度等を実現することができる点で、好ましい。このモル比(NCO/OH)は、ポリウレタンの加水分解を防止することができる点で、0.85〜1.10であるのがより好ましい。ただし、実際には、作業環境、作業上の誤差を考慮して前記適正モル比3〜4倍相当量配合してもよい。
ポリオールとイソシアネートとの混合物には、ポリオール及びイソシアネートに加えて、ポリオールとイソシアネートとの反応に通常使用される助剤、例えば、鎖延長剤、架橋剤等を併用してもよい。鎖延長剤、架橋剤としては、例えば、グリコール類、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン及びアミン類等が挙げられる。
前記プレポリマー及び前記ポリウレタンは、前記ポリオールと前記ポリイソシアネートとを反応して得られるプレポリマー及びポリウレタンであればよく、それらの分子量等も特に限定されない。プレポリマー及びポリウレタンは、所望により前記助剤等の存在下、ワンショット法又はプレポリマー法等によって、ポリオールとポリイソシアネートとを反応して、得られる。
前記ポリウレタン調製成分は、ポリオールとポリイソシアネートとの混合物であるのが好ましく、特に、ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールから選択された少なくとも1種のポリオールとポリイソシアネートとの混合物であるのが特に好ましい。すなわち、前記組成物は、ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールから選択された少なくとも1種のポリオールと、ポリイソシアネートとの混合物を含有するのが特に好ましい。
図1及び図2に示されるように、コート層5は、導電性コート層4の外周面でアミノシランカップリング剤を硬化してなる。コート層5は、通常、薄層に形成されるが、この発明においては、1.5〜4.5μmの層厚(Ts)に調整されるのが好ましい(条件(3))。コート層5が前記範囲の層厚に調整されると、すなわち、コート層5の厚さが条件(3)を満足すると、導電性ローラ1としたときの所望の導電性及び硬度を実現することができる。コート層5の厚さ(Ts)は、導電性ローラ1としたときの導電性及び硬度を所望の範囲に容易に調整することができるうえ、後述する連続印字特性を極めて高い水準で実現することができる点で、2〜3.5μmに調整されているのが好ましい。
コート層5を形成するアミノシランカップリング剤は、例えば、式(1) R1−SiR2 mR3 (3−m) (式(1)において、R1はアミノ基含有基であり、R2は有機基であり、R3は加水分解性基であり、mは0〜2の整数である。)で示されるアミノシランカップリング剤が挙げられる。前記式(1)におけるアミノ基含有基R1は、級数に関係のないアミノ基を含有する基であればよく、例えば、アミノアルキル基及びアミノアリール基、並びに、これらの水素原子がアルキル基等で置換されたアルキルアミノアルキル基及びアルキルアミノアリール基、アリールアミノアルキル基及びアリールアミノアリール基等が挙げられる。前記アミノアルキル基及び前記アミノアリール基の炭素数は、特に限定されず、例えば、1〜30であるのが好ましく、2〜29であるのがより好ましい。なお、アミノ基の水素原子を置換する前記アルキル基、前記アリール基等の炭素数は特に限定されないが、1〜12であるのが好ましい。アミノ基含有基R1は、複数のアミノ基を有してもよく、1級、2級及び3級のアミノ基が混在していてもよい。
前記有機基R2は、例えば、炭素数1〜30の、アルキル基及びアリール基等が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。前記加水分解性基R3は、水分の存在下でSi−R3結合が容易に加水分解しうる基であればよく、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基等の加水分解性置換基が挙げられる。これらの中でも、入手が容易である点で、アルコキシ基であるのが好ましく、アルコキシ基として、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられる。前記mは、0〜2の整数であり、アミノシランカップリング剤の硬化速度が速く、所望の特性を発揮することができる点で、0又は1であるのが好ましく、0であるのが特に好ましい。
1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を有するアミノシランカップリング剤としては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトシキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトシキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−モノブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、トリメトキシシリル−3−プロピルフェニルアミン及びトリメトキシシリル−3−プロピルベンジルアミン等が挙げられる。
3級アミノ基を有するアミノシランカップリング剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ジプロピルアミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ジオクチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ジブチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ジブチルアミノプロピルジメチルモノメトキシシラン、N,N−ジメチルアミノフェニルトリメトキシシラン、トリメトキシシリル−3−プロピルモルホリン、トリメトキシシリル−3−プロピルピペリジン、トリメトキシシリル−3−プロピルイミダゾール等が挙げられる。
なお、3級アミノ基を有するアミノシランカップリング剤は、3級アミノ基を予め有している前記アミノシランカップリング剤であってもよく、また、1級及び/又は2級のアミノ基を有するアミノシランカップリング剤のアミノ基の水素原子を前記アルキル基、前記アルケニル基、前記アリール基等で置換してなるアミノシランカップリング剤であってもよい。前記アミノ基の水素原子を置換することのできる化合物として、例えば、エポキシ基含有化合物、エポキシ基を含有するシランカップリング剤等が挙げられる。前記エポキシ基含有化合物としては、例えば、炭素数1〜10のアルキルグリシジルエーテル等が挙げられる。前記エポキシ基を含有するシランカップリング剤としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。分子量が増大しても分子量に対する加水分解性基の割合が大きく低下しない点で、エポキシシランカップリング剤が好ましい。
このような3級アミノ基を有するアミノシランカップリング剤としては、例えば、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトシキシシランからなる群より選択される少なくとも一種のアミノシランカップリング剤と、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン及び3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランからなる群より選択される少なくとも一種のエポキシシランカップリング剤とから成るアミノシランカップリング剤が挙げられる。なお、3級アミノ基を含有するシランカップリング剤としては、例えば、アミノシランカップリング剤とエポキシシランカップリング剤とから得られる、商品名「KBP43」(信越化学工業株式会社製)等が挙げられる。
前記1級及び/又は2級のアミノ基を有するアミノシランカップリング剤と前記エポキシ基を含有する化合物との反応は、前記アミノ基における水素原子と前記エポキシ基とのモル比(水素原子の合計モル数/エポキシ基のモル数)が1以上となる割合で、実施される。
弾性層3の外周面に前記導電性コート層4及びコート層5を備えた導電性ローラ1において、導電性コート層4の厚さ(Tu)とコート層5の厚さ(Ts)とは、条件(1)及び条件(2)5.0≦(Tu/Ts)≦9.5を満たすように、調整されている。導電性コート層4の厚さ及びコート層5の厚さが条件(1)及び(2)満足すると、導電性ローラ1を所望量の現像剤を搬送するのに適した導電性に調整することができると共に、導電性ローラ1の表面状態を所望量の現像剤を搬送するのに適した表面粗さに調整することができ、所望量の現像剤を搬送する搬送特性と所望の帯電量に現像剤を帯電させる帯電特性とを高い水準で両立することができる。その結果、導電性ローラ1は高い連続印字特性を発揮することができる。したがって、導電性ローラ1は、画像の高精細化、印刷速度の高速化及び/又は小型軽量化された画像形成装置に装着されたときに所望の高精細な画像を形成することに貢献することができる。より一層高い連続印字特性を発揮することができる点で、導電性コート層4の厚さとコート層5の厚さとが満足する条件(2)は、6.0≦(Tu/Ts)≦9.5であるのが好ましい。
また、導電性コート層4の厚さ(Tu)とコート層5の厚さ(Ts)とは、条件(1)、条件(2)に加えて前記条件(3)を満たすように、調整されるのが好ましい。すなわち、導電性コート層4の厚さは9〜27μmの範囲内から選択され、コート層5の厚さは1.5〜4.5μmの範囲内から選択され、かつ、導電性コート層4の厚さとコート層5の厚さとの比(Tu/Ts)が5.0〜9.5の範囲内となるように、調整されるのが好ましい。導電性コート層4の厚さ及びコート層5の厚さが条件(1)、(2)及び(3)を満足すると、導電性ローラ1を所望量の現像剤を搬送するのに適した導電性に調整することができると共に、導電性ローラ1の表面状態を所望量の現像剤を搬送するのにより一層適した表面粗さに調整することができ、所望量の現像剤を搬送する搬送特性と所望の帯電量に現像剤を帯電させる帯電特性とをより一層高い水準で両立することができる。その結果、導電性ローラ1は極めて高い連続印字特性を発揮することができる。したがって、前記条件(1)〜(3)を満足する導電性ローラ1は、画像の高精細化、印刷速度の高速化及び/又は小型軽量化された画像形成装置に装着されたときに所望の高精細な画像を形成することに大きく貢献することができる。
この発明において、導電性コート層4及びコート層5の厚さは、導電性ローラ1の軸線に垂直な平面で導電性ローラ1を切断した切断面における導電性コート層4及びコート層5をそれぞれ、走査電子顕微鏡によって、複数点観測し、測定された複数の値を算術平均値して、求めることができる。
導電性ローラ1は、30〜80のJIS A硬度を有しているのが好ましい。導電性ローラ1が30〜80のJIS A硬度を有していると、導電性ローラ1と被当接体との接触面積を大きくすることができ、また、反発弾性及び圧縮永久ひずみが優れる。導電性ローラ1と被当接体との接触面積が向上し、反発弾性及び圧縮永久ひずみを所望のように向上させることができる点で、JIS A硬度は、40〜70であるのがより好ましく、45〜60であるのが特に好ましい。JIS A硬度は、JIS K6301に準拠して測定することができる。
導電性ローラ1、特にコート層5は、4.5〜7.0μmの表面粗さRzを有しているのが好ましい。導電性ローラ1が4.5〜7.0μmの表面粗さRzを有していると、例えば、導電性ローラ1を現像剤担持体として使用する際に、現像剤を所望のように担持して像担持体に所望のように供給することができ、現像剤の搬送特性が向上する。表面粗さRzは4.8〜6.7μmであるのが特に好ましい。表面粗さRzは、JIS B 0601―1984(十点平均粗さ)に準じ、先端半径2μmの測定プローブを備えた表面粗さ計(商品名「590A」、株式会社東京精密製)に、コート層5を備えた導電性ローラ1をセットし、測定長2.4mm、カットオフ波長0.8mm、カットオフ種別ガウシアンにより、少なくとも3点における表面粗さ測定し、これらの平均値を表面粗さRzとする。
導電性ローラ1、特にコート層5は、0.5〜2.0μmの算術平均粗さRaを有しているのが好ましい。算術平均粗さRaが前記範囲内にあると、現像剤を所望のように担持して被当接体に所望のように供給することができ、現像剤の搬送特性が向上する。この効果がより優れる点で、算術平均粗さRaは、0.7〜1.5μmであるのがより好ましく、0.8〜1.2μmであるのが特に好ましい。算術平均粗さRaは、JIS B 0601−1984(算術平均粗さ)に準じ、先端半径2μmの測定プローブを備えた表面粗さ計(商品名「590A」、株式会社東京精密製)に、導電性ローラ1をセットし、測定長2.4mm、カットオフ波長0.8mm、カットオフ種別ガウシアンにより、少なくとも3点における表面粗さ測定し、これらの算術平均値を算術平均粗さRaとする。
導電性ローラ1、特にコート層5は、測定面積4mm2における表面光沢度が2.5〜5.0であるのが好ましい。導電性ローラ1が2.5〜5.0の前記表面光沢度を有すると、印字濃度の低下、画像のかすれ及びかぶり等を防止する帯電特性を効果的に発揮して、高品質の画像を形成することができる。コート層5の機能を高い水準でバランスよく発揮させることができる点で、表面光沢度は3.0〜4.5であるのが特に好ましい。前記表面光沢度は、例えば、前記ウレタン樹脂組成物に含有される各成分の種類及び配合量、導電性コート層4又はコート層5の形成方法、及び、後述する弾性層3の表面粗さ等を適宜選択することにより、容易に所望の値に調整することができる。ここで、表面光沢度は、DIN 67530による黒色ガラス標準板の反射指数1.567を光沢度100としたときに、この光沢度100に対する割合である。表面光沢度は、コート層5の表面における4mm2、すなわち、2×2mmを測定面積として、測定される。表面光沢度の測定面積をこのように極小面積とすることによって、コート層5全表面の表面光沢度を代表する表面光沢度を高精度で測定することができる。この発明において、表面光沢度は極小面積を測定するから、表面光沢度の測定に当っては、コート層5の表面をそのまま測定してもよく、また、コート層5を導電性ローラ1から切り出して、平面状態にして測定してもよい。表面光沢度は、コート層5における表面の複数個所、例えば、コート層5の周方向に等間隔で4箇所及びコート層5の長手方向に等間隔で5箇所、合計20箇所をそれぞれ測定し、これらの算術平均値とする。表面光沢度を測定する際の入射角はコート層5の表面に対して60°である。表面光沢度の測定には、例えば、商品名「極小面積測定用光沢計 155−SO」(Sheen Instruments Ltd製)等を用いることができる。
導電性ローラ1は、102〜109Ωの電気抵抗率を有していることが好ましい。導電性ローラ1が102〜109Ωの電気抵抗値を有していると導電性ローラ1の帯電特性に優れる。例えば、画像形成装置における現像剤担持体(例えば、図3参照。)の一例である現像ローラとして導電性ローラ1を使用する場合には、現像剤を所望のように帯電させることができるから、現像剤を確実に担持することができ、担持した現像剤を像担持体に所望のように確実に供給することができる。現像剤の担持及び供給をより一層高い水準で所望のように達成することができる点で、電気抵抗値は、103〜109Ωであるのがより好ましく、104〜108Ωであるのが特に好ましい。導電性ローラ1の電気抵抗値は、電気抵抗計(商品名:ULTRA HIGH RESISTANCE METER R8340A、株式会社アドバンテスト製)を用い、導電性ローラ1を水平に置き、5mmの厚さ、30mmの幅、及び、導電性ローラ1全体を載せることのできる長さを有する金メッキ製板を電極とし、500gの荷重を導電性ローラ1における軸体2の両端それぞれに支持させた状態にして、軸体2と電極との間にDC100Vを印加し、1秒後の電気抵抗計の値を読みとり、この値を電気抵抗値とする方法により、測定することができる。前記電気抵抗値は、弾性層3に含まれる導電性付与剤の含有量を調整することによって、前記範囲内に調整することができる。
導電性ローラ1は、その現像剤付着量が約0.4〜1.1mg/cm2であるのが好ましく、0.8〜1.1mg/cm2であるのが特に好ましい。導電性ローラ1が前記範囲の現像剤付着量を有している場合には、導電性ローラ1を現像ローラとして使用したときに、像担持体に所定量の現像剤を供給することができ、十分な印字濃度で画像を形成することができる。ここで、現像剤付着量は、20℃、相対湿度50%の環境下において、導電性ローラ1を画像形成装置(商品名「JUSTIO HL−4040CN」、ブラザー工業株式会社製、解像度1200dpi相当)に装着して、黒ベタ印字を5枚行った後、黒ベタ印字を強制的に停止させて、導電性ローラ1を画像形成装置から取り出し、導電性ローラの表面に付着した現像剤を、断面積0.25cm2の吸引口を有する吸引式小型帯電量測定装置、例えば、商品名「210HS q/M METER」(トレックジャパン株式会社製)で吸引し、吸引回収した現像剤の質量を測定し、単位面積当りの質量に換算することによって、測定することができる。
導電性ローラ1は、現像ローラとして使用される場合には、現像剤に、約10〜60μC/gの帯電量又は約−60〜−10μC/gの帯電量を付与することができることが好ましい。導電性ローラ1が前記範囲の帯電量、好ましくは、約15〜50μC/gの帯電量又は約−50〜−15μC/gの帯電量、特に好ましくは、約35〜50μC/gの帯電量又は約−50〜−35μC/gの帯電量を現像剤に付与することができる場合には、導電性ローラ1を現像ローラとして使用したときに、所望の帯電量に帯電された現像剤を像担持体に供給することができ、高品質な画像を形成することができる。ここで、現像剤の帯電量は、20℃、相対湿度50%の環境下において、導電性ローラ1を画像形成装置(商品名「JUSTIO HL−4040CN」、ブラザー工業株式会社製、解像度1200dpi相当)に装着して、黒ベタ印字を5枚行った後、黒べた印字を強制的に停止させて、導電性ローラ1を画像形成装置から取り出し、導電性ローラの表面に付着した現像剤を、断面積0.25cm2の吸引口を有する吸引式小型帯電量測定装置、例えば、商品名「210HS Q/M METER」(トレックジャパン株式会社製)によって、測定することができる。
導電性ローラ1は、当接体例えば現像剤担持体に当接又は圧接した状態で画像形成装置に装着される。このときの導電性ローラ1と当接体とのニップ幅は、通常、導電性ローラ1の周方向長さが0.1〜5mmとなるように調整される。
この発明に係る導電性ローラは、例えば、以下の方法により製造することができる。まず、定法に従って前記材料から軸体2を作製し、所望により、その外周面にプライマー等が塗布される。次いで、軸体2の外周面に前記ゴム組成物を公知の成形方法によって加熱硬化して、弾性層3が形成される。成形方法としては、例えば、押出成形による連続加硫、プレス、インジェクションによる型成形等、特に制限されない。このようにして形成された弾性層3は、所望により、その表面が研磨、研削されて、外径及び表面状態等が調整される。所望により、弾性層3の外周面にプライマー等が塗布される。
このようにして形成された弾性層3の外周面に前記ウレタン樹脂組成物が塗工され、次いで、塗工されたウレタン樹脂組成物を加熱硬化させて、導電性コート層4が形成される。ウレタン樹脂組成物の塗工は、例えば、塗布法、ディッピング法、スプレーコーティング法等の公知の塗工方法によって行われ、このようにして塗工されたウレタン樹脂組成物を加熱硬化する方法は、ウレタン樹脂組成物の硬化に必要な熱を加えられる方法であればよく、例えば、ウレタン樹脂組成物が塗工された弾性層3等を加熱器で加熱する方法等が挙げられる。ウレタン樹脂組成物を加熱硬化させる際の加熱温度は、例えば、140〜170℃、特に150〜160℃、加熱時間は15〜60分間、特に30〜45分間であるのが好ましい。
このようにして形成された導電性コート層4の外周面にアミノシランカップリング剤が塗工され、次いで、塗工されたアミノシランカップリング剤を加熱硬化させて、コート層5が形成される。アミノシランカップリング剤の塗工は、例えば、アミノシランカップリング剤を含有する溶液を塗工する塗布法、前記溶液に弾性層3を浸漬するディッピング法等の公知の塗工方法によって、行われる。アミノシランカップリング剤は、そのまま塗工してもよいし、揮発性溶媒にアミノシランカップリング剤を溶解した塗工液を塗工してもよい。この塗工液は、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤、酢酸エステル等のエステル系溶剤等に、アミノシランカップリング剤を溶解又は懸濁させた塗工液が挙げられ、アミノシランカップリング剤の濃度は、例えば、0.1〜100質量%とすることができる。アミノシランカップリング剤を加熱硬化させる際の加熱温度は、例えば、100〜150℃、特に110〜130℃、加熱時間は10分〜2時間、特に20〜50分であるのが好ましい。
この導電性ローラ1は、軸体2の外周面に、弾性層3、導電性コート層4及びコート層5をこの順で備えてなり、導電性コート層4とコート層5とが条件(1)及び(2)を満足するから、搬送特性と帯電特性とを高い水準で両立することができ、高い連続印字特性を発揮することができる。したがって、この導電性ローラ1は、画像形成装置に装着されると、所望の高精細な画像を形成することに貢献することができる。特に、この導電性ローラ1は、画像の高精細化、印刷速度の高速化及び/又は小型軽量化された画像形成装置に装着されると、所望の高精細な画像を形成することに貢献することができる。
すなわち、高い水準の帯電特性が要求される高精細化された画像形成装置に導電性ローラ1を現像ローラとして装着すると、所定量の現像剤を電気的及び物理的に搬送することによって、所望の高精細な画像を形成することがきる。また、現像ローラが高速で回転する高速化された画像形成装置に導電性ローラ1を現像ローラとして装着すると、所定量の現像剤を電気的及び物理的に搬送することによって、所望の高精細な画像を形成することができる。さらに、現像ローラが小型軽量化(例えば直径が小さく)される小型軽量化された画像形成装置に導電性ローラ1を現像ローラとして装着すると、所定量の現像剤を電気的及び物理的に搬送することによって、所望の高精細な画像を形成することがきる。
この発明に係る導電性ローラは、画像形成装置用の導電性ローラ、例えば、帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラ等として、好適に用いられる。特に、現像剤の担持及び供給に深く関与する現像ローラとして、好適に用いられる。
また、この発明に係る導電性ローラが装着される画像形成装置としては、各色の現像ユニットを備えたカラー画像形成装置(タンデム型、4サイクル型)等、特に制限されずに、挙げることができる。好適には、この発明に係る導電性ローラは、所望量の現像剤を搬送する搬送特性と所望の帯電量に現像剤を帯電させる帯電特性とを高い水準で両立することができ、その結果、高い連続印字特性を発揮することができるから、画像の高精細化、印刷速度の高速化及び/又は小型軽量化された画像形成装置に用いられる。印刷速度が高速化された画像形成装置としては、例えば、複数の現像ユニットを配列してなるタンデム型カラー画像形成装置等が挙げられる。小型軽量化された画像形成装置としては、例えば、各部材が小型軽量化された画像形成装置、現像ユニットを水平方向に配列してなるタンデム型カラー画像形成装置等が挙げられ、より具体的には、外径が20mm以下の導電性ローラを備えている画像形成装置等が挙げられる。
この発明に係る導電性ローラを現像剤担持体として装着したタンデム型カラー画像形成装置の一例を、図3を参照して、説明する。図3に示される画像形成装置は、像担持体に現像された現像剤像を記録体に直接転写する直接転写方式のタンデム型カラー画像形成装置である。
図3に示されるように、画像形成装置10は、四種の現像ユニットB、C、M及びYに装備された像担持体11B、11C、11M及び11Yを転写搬送ベルト6上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置であり、したがって、現像ユニットB、C、M及びYが転写搬送ベルト6上に直列に配置されている。画像形成装置10において、この発明に係る導電性ローラが前記現像剤担持体としての現像ローラとして装着されている。
図3に示されるように、現像ユニットBは、静電潜像が形成される回転可能な像担持体11Bと、像担持体11Bに当接若しくは圧接して又は所定の間隔を置いて設けられ、像担持体11Bを帯電させる帯電手段12Bと、像担持体11Bの上方に設けられ、像担持体11Bに静電潜像を形成する露光手段13Bと、像担持体11Bに当接若しくは圧接して又は所定の間隔を置いて設けられ、像担持体11Bに一定の層厚で現像剤22Bを供給し、静電潜像を現像する現像手段20Bと、像担持体11Bの下方に転写搬送ベルト6を介して当接又は圧接するように設けられ、現像された静電潜像を像担持体11Bから転写搬送ベルト6で搬送される記録体16上に転写する転写手段14Bと、記録体16に転写されず像担持体11Bに残留した現像剤22B等を除去するクリーニング手段15Bとを備えている。図3に示されるように、現像ユニットBにおける像担持体11Bと転写手段14Bとは、二本の支持ローラ42に張架された転写搬送ベルト6を介して当接又は圧接している。そして、記録体16は、転写搬送ベルト6により、像担持体11Bと転写手段14Bとの当接部を通過するように、搬送される。この転写搬送ベルト6は記録体16を搬送すると共に、転写手段14Bと協働して像担持体11Bに現像された静電潜像を転写する。像担持体11B、帯電手段12B、露光手段13B、転写手段14B及びクリーニング手段15Bは、従来公知のものを適宜選択して使用することができる。
図3に示されるように、前記現像手段20Bは、像担持体11Bに対向する位置に開口部を有し、現像剤22Bを収納する筐体21Bと、筐体21Bの開口部に、像担持体11Bに当接若しくは圧接して又は所定の間隔を置いて設けられ、像担持体11Bに現像剤22Bを一定の層厚で供給する回転可能な現像剤担持体23Bと、現像剤担持体23Bの上方に設けられ、現像剤担持体23Bに当接又は圧接して現像剤22Bの層厚を規制すると共に、摩擦帯電により現像剤22Bを帯電させる現像剤規制部材24Bとを備えている。現像剤担持体23Bとしてこの発明に係る導電性ローラの一例である導電性ローラ1が採用され、現像剤規制部材24Bとして従来公知のものが適宜選択されて使用されている。前記現像剤22Bは、摩擦により帯電可能で、記録体16に定着可能な現像剤であれば、乾式現像剤でも湿式現像剤でもよく、また、非磁性現像剤でも磁性現像剤でもよい。現像ユニットBは、筐体21B内に黒色現像剤を収納している。
図3に示されるように、現像ユニットC、M及びYは、現像ユニットBと同様に構成されている。現像ユニットC、M及びYはそれぞれ、筐体21C、21M及び21Y内に、シアン現像剤22C、マゼンタ現像剤22M及び黄色現像剤22Yを収納している。
図3に示されるように、画像形成装置10の底部には、記録体16として複数枚の記録体を積層収容するカセット41が設置され、カセット41内の記録体は給紙ローラ等によって1枚ずつ送り出されて、転写搬送ベルト6上に搬送される。
図3に示されるように、画像形成装置10における記録体16の搬送方向下流には、記録体16に転写された各種現像剤(静電潜像)を定着させる定着手段30が配置されている。定着手段30は、例えば、発熱可能な定着ローラを備えた熱ローラ定着装置、オーブン定着器等の加熱定着装置、加圧可能な定着ローラを備えた圧力定着装置等を用いることができる。図3に示されるように、画像形成装置10は、定着ベルト36を備えた定着装置が定着手段30として配置されている。この定着装置は、図3にその断面が示されるように、記録体16を通過させる開口部35を有する筐体34内に、定着ローラ31と、定着ローラ31の近傍に配置された無端ベルト支持ローラ33と、定着ローラ31及び無端ベルト支持ローラ33に巻き掛けられた定着ベルト36と、定着ローラ31に対して対向配置された加圧ローラ32とを備え、定着ベルト36を介して定着ローラ31と加圧ローラ32とが、互いに当接又は圧接するように、回転自在に支持されて成る圧力熱定着装置である。無端ベルト支持ローラ33は、画像形成装置に通常用いられるローラであればよく、例えば、弾性ローラ等が用いられる。定着ローラ31、無端ベルト支持ローラ33及び加圧ローラ32はそれぞれ、加熱体(図示しない。)が内蔵され、加圧ローラ32はスプリング等の付勢手段(図示しない。)によって、定着ベルト36を介して定着ローラ31に圧接している。定着ベルト36と加圧ローラ32との圧接された間を記録体16が通過することにより、加圧と同時に加熱され、記録体16に転写された現像剤42(静電潜像)を定着させることができる。
画像形成装置10は、次にように作用する。まず、現像ユニットBの像担持体11Bが、帯電手段12Bにより一様に帯電され、露光手段13Bにより画像が露光されて、像担持体11Bの表面に静電潜像が形成される。一方、現像手段20Bにおいて、現像剤担持体23B及び現像剤規制部材24Bにより、黒色現像剤22Bが所望の層厚に規制され、所望のように帯電される。そして、この黒色現像剤22Bが現像剤担持体23Bから像担持体11Bに供給され、像担持体11Bに形成された静電潜像が現像されて、現像剤像として可視化される。次いで、この現像剤像が、像担持体11Bと転写手段14Bとの間に転写搬送ベルト6により搬送される記録体16上に、転写される。このようにして、現像剤像が記録体16上に黒像に顕像化される。次いで、現像ユニットBと同様にして、現像ユニットC、M及びYによって、現像剤像が黒像に顕像化された記録体16に、それぞれシアン像、マゼンタ像及び黄色像が重畳され、カラー像が顕像化される。次いで、カラー像が顕像化された記録体16は、搬送手段により定着手段30に搬送され、定着ローラ31と加圧ローラ32との定着ベルト36を介した当接部又は圧接部を通過するときに加熱及び/又は加圧されて、転写されたカラー像が永久画像として定着される。このようにして、記録体16にカラー画像を形成することができる。
画像形成装置10によれば、現像剤担持体23B、23C、23M及び23Yとしての現像ローラとして、この発明に係る導電性ローラの一例である導電性ローラ1が装着されているから、これらの現像ローラはいずれも、高い連続印字特性を発揮することができ、その結果、例えば、連続して形成されたてもカラー画像にかすれ及びかぶりが実質的に発生することがなく、所望の高精細な画像を形成することができる。
この発明に係る導電性ローラは、前記した実施例に限定されることはなく、本願発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。例えば、導電性ローラ1は、筒状をなしていればその形状は特に限定されず、図1に示されるように、その外径が軸線方向の一方の端部から他方の端部にかけて略同一とされる所謂ストレート形状とされてもよく、その軸線方向の中央部における外径がその両端部における外径よりも小さな所謂逆クラウン形状とされてもよく、また、その軸線方向の中央部における外径がその両端部における外径よりも大きな所謂クラウン形状とされてもよい。
また、導電性ローラ1は、軸体2の外周面に、弾性層3、導電性コート層4及びコート層5が他の層を介することなく順次積層されているが、この発明においては、軸体と弾性層との間、弾性層と導電性コート層との間、導電性コート層とコート層との間に、密着性、追従性等を向上させる、プライマー層、接着剤層等を設けることもできる。
導電性ローラ1における導電性コート層4及びコート層5はいずれも一層とされているが、この発明において、導電性コート層及びコート層は複数層とされてもよい。
画像形成装置10は、電子写真方式の画像形成装置とされているが、この発明において、画像形成装置は電子写真方式には限定されず、例えば、静電方式の画像形成装置であってもよい。
(実施例1)
無電解ニッケルメッキ処理が施された軸体2(SUM22製、直径7.5mm、長さ281.5mm)をトルエンで洗浄し、その表面にシリコーン系プライマー(商品名「プライマーNo.16」、信越化学工業株式会社製)を塗布した。プライマー処理した軸体を、ギヤオーブンを用いて、150℃の温度にて10分焼成処理した後、常温にて30分以上冷却し、軸体2の表面にプライマー層を形成した。
次いで、両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(D)(重合度300)100質量部、BET比表面積が110m2/gである疎水化処理されたヒュームドシリカ(日本アエロジル株式会社製、R−972)1質量部、平均粒径6μm、嵩密度が0.25g/cm3である珪藻土(F)(オプライトW−3005S、北秋珪藻土株式会社製)40質量部、及び、アセチレンブラック(G)(デンカブラックHS−100、電気化学工業株式会社製)5質量部をプラネタリーミキサーに入れ、30分撹拌した後、3本ロールに1回通した。これを再度プラネタリーミキサーに戻し、架橋剤として、両末端及び側鎖にSi−H基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン(E)(重合度17、Si−H量0.0060mol/g)2.1質量部、反応制御剤として、エチニルシクロヘキサノール0.1質量部、及び、白金触媒(H)(Pt濃度1%)0.1質量部を添加し、15分撹拌して混練して、付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物を調製した。調製した付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物を液体射出成形により前記軸体2の外周面に成形した。この成形体を、成形体の軸線方向の各端部から中央部に向かってほぼ同じ割合で徐々に外径が小さくなる逆クラウン形状に研磨して、端部の外径20.1mm、中央部の外径20mmの弾性層3を形成した。
次いで、ポリイソシアネート(商品名「ダイプラコートEN」、大日精化工業株株式会社製)20質量部と、ポリエステルポリオール(商品名「ダイプラコートSO」、大日精化工業株式会社製)100質量部(モル比(NCO/OH=1))と、導電性付与剤(商品名「旭サーマル」、旭カーボン株式会社製)5質量部とを含有するウレタン樹脂組成物を調製した。
弾性層3の外周面に、ウレタン樹脂組成物をスプレーコーティング法によって一回塗布した後に150℃で30分間加熱して、導電性コート層4を形成した(導電性コート層4の層厚(Tu)は15.7μmであった。)。この導電性コート層4の外周面に、3級アミノ基を含有するアミノシランカップリング(商品名「KBP43」、信越化学工業株式会社製)を、スプレーコーティング法によって一回塗布した後に150℃で30分間加熱して、コート層5を形成した(コート層5の層厚(Ts)は2.4μmであった。)。このようにして、導電性ローラを製造した。
(実施例2及び3並びに比較例1〜5)
導電性コート層4の厚さ(Tu)及び/又はコート層5の厚さ(Ts)を第1表に記載の厚さに調整した以外は、実施例1と同様にして、導電性ローラを製造した。
このようにして製造した各導電性ローラにおいて、算術平均粗さRa及び表面粗さRz、表面光沢度及び電気抵抗率を前記方法に従って評価した。その結果を表に示す。
(連続印字評価)
次いで、各導電性ローラそれぞれを4本準備し、図3に示されるタンデム型カラー画像形成装置(商品名「JUSTIO HL−4040CN」、ブラザー工業株式会社製)において、現像剤担持体23B、23C、23M及び23Yとして、配設した。なお、現像剤及び現像剤規制部材は、このタンデム型カラー画像形成装置に付属の現像剤及び現像剤規制部材を用いた。
導電性ローラを装着した前記タンデム型カラー画像形成装置内の環境を、温度20℃、相対湿度50%に調整して、しばらく静置した。その後、この環境を維持したまま、カラー印刷モードにてカラー画像(A4サイズの記録体16の左肩位置にカラーで11ポイントの文字「あ」1字を印字)100枚を連続して印刷した。印刷した画像を目視で評価してカラー画像にかすれ、かぶりの有無を確認した。評価は、すべてのカラー画像にかすれもかぶりも確認できなかった場合又は少数のカラー画像に許容可能な程度のわずかなかすれ又はかぶりが確認できた場合を「○」、多数のカラー画像に許容できない程のかすれ及び/又はかぶりが確認できた場合を「×」とした。その結果を第1表に示す。