以下、図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面は理解を容易にするため一部を誇張して描いており、寸法比率等は図面に記載のものに限定されるものではない。
図1は、本実施形態に係る現像ローラの概略を示す正面図であり、図2は図1のII−II線に沿った現像ローラの断面を示す断面図であり、図3は図1のIII−III線に沿った現像ローラの断面を示す断面図である。
本実施形態に係る現像ローラ1は、軸体2と、軸体2の外周面上に設けられた円筒状の弾性層3と、弾性層3の外周面を被覆する被覆層4とを備えている。
軸体2は、特に限定されず、公知の現像ローラに用いられる軸体であってよい。軸体2は、例えば、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属で構成されていてよく、このような軸体2は「芯金」と言い換えることができる。軸体2は、導電性を有するものであってよい。
軸体2は、必ずしも金属製である必要は無く、例えば、樹脂材料で構成されていてよい。樹脂材料は、例えば、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂に導電性付与剤を配合した導電性樹脂であってよい。
軸体2は、1つの材質で構成されていてよく、2つ以上の材質から構成されていてもよい。軸体2は、例えば、芯材と、芯材の外周面を覆う外層と、から構成されていてよい。具体的には、軸体2は、例えば金属製の芯材にメッキ処理を施したものであってよい。また、軸体2は、例えば樹脂材料製の絶縁性芯材にメッキ処理を施して導電化したものであってもよい。
本実施形態において、軸体2は円柱形状を有しているが、軸体2の形状はこれに限定されない。軸体2は、例えば、円柱形状、円筒形状、多角柱状、多角筒状等であってよい。
軸体2の外周面には、弾性層3との接着性を向上させるため、洗浄処理、脱脂処理、プライマー処理等の処理が施されていてよい。
軸体2の軸線方向の長さは特に限定されず、設置される画像形成装置の形態に応じて適宜調整してよい。例えば、印字対象がA4サイズである場合、軸体2の軸線方向の長さは250〜320mmであってよく、好ましくは260〜310mmである。
軸体2の外径は特に限定されず、設置される画像形成装置の形態に応じて適宜調整してよい。例えば、軸体2の外径(外接円の直径)は、4mm〜14mmであってよく、好ましくは6mm〜10mmである。
弾性層3は、軸体2の胴体部の外周面上に設けられている。弾性層3は、ゴム弾性を有する層であってよく、ゴム弾性を有する樹脂材料から構成された層であってよい。
一態様において、弾性層3は、導電性組成物から形成されたものであってよい。すなわち、弾性層3は、導電性組成物又は導電性組成物の硬化物から構成されていてよい。導電性組成物は、例えば、ゴム成分と、導電性付与材とを含有していてよく、所望により各種添加剤を更に含有していてもよい。
導電性組成物に含まれるゴム成分としては、例えば、シリコーンゴム、シリコーン変性ゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム(エチレンプロピレンジエンゴムを含む)、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム等が挙げられる。導電性組成物は、シリコーンゴム、シリコーン変性ゴム及びウレタンゴムからなる群より選択される少なくとも1種のゴム成分を含有することが好ましく、耐熱性及び帯電特性に優れる観点からは、シリコーンゴム及びシリコーン変性ゴムからなる群より選択される少なくとも一種のゴム成分を含有することがより好ましい。ゴム成分は、液状型であってもミラブル型であってもよい。
導電性付与剤は、弾性層3に導電性を付与して電荷を逃がすことができるものであればよく、特に限定されない。導電性付与剤としては、例えば、導電性カーボン、ゴム用カーボン類、金属、金属酸化物、導電性ポリマー等の導電性粉末、イオン導電剤、変性シリコーンオイル、界面活性剤等が挙げられる。
各種添加剤としては、例えば、助剤(鎖延長剤、架橋剤等)、触媒、分散剤、発泡剤、老化防止剤、酸化防止剤、充填材、顔料、着色剤、加工助剤、軟化剤、可塑剤、乳化剤、耐熱性向上剤、難燃性向上剤、受酸剤、熱伝導性向上剤、離型剤、溶剤等が挙げられる。また、弾性層3は、後述するBN型分子化合物を更に含有していてもよい。
導電性組成物としては、例えば、付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物、付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物等を好適に用いることができる。
付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物は、例えば、(A)下記平均組成式(1)で示されるオルガノポリシロキサン、(B)充填材、及び(C)導電性材料を含有するものであってよい。
R1 nSiO(4−n)/2 …(1)
式(1)中、nは1.95〜2.05の正数を示す。また、R1は、同一又は異なっていてよい、置換又は非置換の一価の炭化水素基を示す。炭化水素基の炭素原子数は、好ましくは1〜12であり、より好ましくは1〜8である。
R1としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基及びドデシル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基及びヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基及びトリル基等のアリール基、β−フェニルプロピル基等のアラルキル基などが挙げられる。また、R1は、これらの炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基であってもよい。置換基は、例えばハロゲン原子、シアノ基等であってよい。置換基を有する炭化水素基としては、例えば、クロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられる。
(A)オルガノポリシロキサンは、分子鎖末端が、トリメチルシリル基等のトリアルキルシリル基、ジメチルビニルシリル基等のジアルキルアラルキルシリル基、ジメチルヒドロキシシリル基等のジアルキルヒドロキシシリル基、トリビニルシリル基等のトリアラルキルシリル基などで封鎖されていることが好ましい。
(A)オルガノポリシロキサンは、分子中に2つ以上のアルケニル基を有することが好ましい。(A)オルガノポリシロキサンは、R1のうち0.001〜5モル%(より好ましくは0.01〜0.5モル%)のアルケニル基を有することが好ましい。(A)オルガノポリシロキサンが有するアルケニル基としてはビニル基が特に好ましい。
(A)オルガノポリシロキサンは、例えば、オルガノハロシランの1種若しくは2種以上を共加水分解縮合することによって、又は、シロキサンの3量体若しくは4量体等の環状ポリシロキサンを開環重合することによって得ることができる。(A)オルガノポリシロキサンは、基本的には直鎖状のジオルガノポリシロキサンであってよく、一部分岐していてもよい。また、(A)オルガノポリシロキサンは、分子構造の異なる2種又はそれ以上の混合物であってもよい。
(A)オルガノポリシロキサンは、25℃における粘度100cSt以上であることが好ましく、100000〜10000000cStであることがより好ましい。また、(A)オルガノポリシロキサンの重合度は、例えば100以上であってよく、好ましくは3000以上であり、100000であってよく、好ましくは10000以下である。
(B)充填材としては、例えばシリカ系充填材が挙げられる。シリカ系充填材としては、例えば、煙霧質シリカ、沈降性シリカ等が挙げられる。
シリカ系充填材としては、R2Si(OR3)3で示されるシランカップリング剤で表面処理された、表面処理シリカ系充填材を好適に用いることができる。ここで、R2は、ビニル基又はアミノ基を有する基であってよく、例えば、グリシジル基、ビニル基、アミノプロピル基、メタクリロキシ基、N−フェニルアミノプロピル基、メルカプト基等であってよい。R3はアルキル基であってよく、例えばメチル基、エチル基等であってよい。シランカップリング剤は、例えば信越化学工業株式会社製の商品名「KBM1003」、「KBE402」等として、容易に入手できる。表面処理シリカ系充填材は、定法に従って、シリカ系充填材の表面をシランカップリング剤で処理することにより得ることができる。表面処理シリカ系充填材としては、市販品を用いてもよく、例えば、J.M.HUBER株式会社製の商品名「Zeothix 95」等が挙げられる。
シリカ系充填材の配合量は、(A)オルガノポリシロキサン100質量部に対して11〜39質量部であることが好ましく、15〜35質量部であることがより好ましい。また、シリカ系充填材の平均粒子径は、1〜80μmであることが好ましく、2〜40μmであることがより好ましい。なお、シリカ系充填材の平均粒子径は、レーザー光回折法による粒度分布測定装置を用いて、メジアン径として測定できる。
(C)導電性材料は、弾性層3に導電性を付与できるものであればよく、上述した導電性付与剤であってよい。(C)導電性材料としては、カーボンブラックが好ましい。(C)導電性材料は2種以上を併用してもよい。(C)導電性材料の配合量は、(A)オルガノポリシロキサン100質量部に対して、例えば2〜80質量部であってよい。
付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物は、(A)〜(C)以外の添加剤を更に含有していてよい。添加剤としては、例えば、助剤(鎖延長剤、架橋剤等)、触媒、分散剤、発泡剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料、着色剤、加工助剤、軟化剤、可塑剤、乳化剤、耐熱性向上剤、難燃性向上剤、受酸剤、熱伝導性向上剤、離型剤、溶剤等が挙げられる。
添加剤の具体例としては、(A)オルガノポリシロキサンより重合度の低いジメチルシロキサンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、シラノール、ジフェニルシランジオール及びα,ω−ジメチルシロキサンジオール等の両末端シラノール基封止低分子シロキサン、シラン等の分散剤が挙げられる。また、添加剤の具体例としては、オクチル酸鉄、酸化鉄、酸化セリウム等の耐熱向上剤が挙げられる。また、添加剤としては、接着性、成形加工性等を向上させるための各種カーボンファンクショナルシラン、各種オレフィン系エラストマー等を用いてもよい。
付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物は、例えば、(D)分子中に2つ以上のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンと、(E)分子中にケイ素原子と結合する水素原子を2つ以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、(F)充填材と、(G)導電性付与剤と、(H)付加反応触媒と、を含有していてよい。
(D)オルガノポリシロキサンとしては、下記平均組成式(2)で示される化合物が好適である。
R4 aSiO(4−a)/2 …(2)
式(2)中、aは1.5〜2.8の正数を示し、好ましくは1.8〜2.5、より好ましくは1.95〜2.05である。また、R4は、同一又は異なっていてよい、置換又は非置換の一価の炭化水素基を示す。但し、一分子中のR4のうち少なくとも2つはアルケニル基である。炭化水素基の炭素原子数は、好ましくは1〜12であり、より好ましくは1〜8である。
R4としては、上記R1として例示した基と同じ基が例示できる。また、一分子中のR4のうち少なくとも2つがアルケニル基であり、それ以外のR4はアルキル基であることが好ましい。アルケニル基はビニル基であることが好ましく、アルキル基はメチル基であることが好ましい。また、R4のうち、例えば90%以上がアルキル基(好ましくはメチル基)であってよい。(D)オルガノポリシロキサンにおけるアルケニル基の含有量は、例えば、1.0×10−6〜5.0×10−3mol/gであってよく、5.0×10−6〜1.0×10−3mol/gであることが好ましい。
(D)オルガノポリシロキサンは、25℃で液状であることが好ましく、25℃における粘度が100〜1000000mPa・s(より好ましくは200〜100000mPa・s)であることが好ましい。また、(D)オルガノポリシロキサンの平均重合度は100〜800であることが好ましく、150〜600であることがより好ましい。
(E)オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、下記平均組成式(3)で示される化合物が好適である。
R5 bHcSiO(4−b−c)/2 …(3)
式(3)中、bは0.7〜2.1の正数を示し、cは0.001〜1.0の正数を示し、b+cは0.8〜3.0である。また、R5は、同一又は異なっていてよい、置換又は非置換の一価の炭化水素基を示す。炭化水素基の炭素原子数は、好ましくは1〜10である。なお、R5としては、上記R1として例示した基と同じ基が例示できる。
(E)オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、ケイ素原子に結合した水素原子(Si−H)を一分子中に2つ以上有しており、3つ以上有していることが好ましい。また、(E)オルガノハイドロジェンポリシロキサンが一分子中に有する、ケイ素原子に結合した水素原子の個数は、200以下であってよく、100以下であってもよい。
(E)オルガノハイドロジェンポリシロキサンにおいて、ケイ素原子に結合した水素原子の含有量は、0.001〜0.017mol/gであることが好ましく、0.002〜0.015mol/gであることがより好ましい。
(E)オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、(CH3)2HSiO1/2単位とSiO4/2単位とから成る共重合体、及び、(CH3)2HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C6H5)SiO3/2単位とから成る共重合体等が挙げられる。
(E)オルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、(D)オルガノポリシロキサン100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましく、0.3〜20質量部であることがより好ましい。また、(D)オルガノポリシロキサンのアルケニル基に対する、(E)オルガノハイドロジェンポリシロキサンのSi−Hのモル比は、0.3〜5.0であることが好ましく、0.5〜2.5であることがより好ましい。
(F)充填材は、例えば、無機質充填材であってよい。付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物に(F)充填材を配合することで、圧縮永久ひずみが低くなり、体積抵抗率が経時で安定し、且つ十分なローラ耐久性が得られる。
(F)充填材の平均粒子径は、好ましくは1〜30μmであり、より好ましくは2〜20μmである。(F)充填材の平均粒子径が1μm以上であると、体積抵抗率の経時変化が一層抑制される傾向がある。また、(F)充填材の平均粒子径が30μm以下であると、耐久性に一層優れる弾性層3が得られる傾向がある。なお、(F)充填材の平均粒子径は、レーザー光回折法による粒度分布測定装置を用いて、メジアン径として測定できる。
(F)充填材の嵩密度は、好ましくは0.1〜0.5g/cm3であり、より好ましくは0.15〜0.45g/cm3である。(F)充填材の嵩密度が0.1g/cm3以上であると、圧縮永久ひずみをより低くすることができ、体積抵抗率の経時変化が一層抑制される傾向がある。また、(F)充填材の嵩密度が0.5g/cm3以下であると、耐久性に一層優れる弾性層3が得られる傾向がある。なお、(F)充填材の嵩密度は、JIS K 6223の見かけ比重の測定方法に基づいて求めることができる。
(F)充填材としては、例えば、珪藻土、パーライト、マイカ、炭酸カルシウム、ガラスフレーク、中空フィラー等が挙げられる。これらの中でも、(F)充填材としては、珪藻土、パーライト及び発泡パーライトの粉砕物を好適に用いることができる。
(F)充填材の配合量は、(D)オルガノポリシロキサン100質量部に対して5〜100質量部であることが好ましく、10〜80質量部であることがより好ましい。
(G)導電性付与剤は、弾性層3に導電性を付与できるものであればよく、特に限定されない。(G)導電性付与剤は、例えば、上述した導電性付与剤であってよい。(G)導電性付与剤としては、例えば、導電性カーボン、ゴム用カーボン類、金属、金属酸化物、導電性ポリマー等の導電性粉末、イオン導電剤等が好適に用いられる。
(G)導電性付与剤の配合量は、(D)オルガノポリシロキサン100質量部に対して1〜100質量部であることが好ましく、2〜80質量部であることがより好ましい。
(H)付加反応触媒は、(D)オルガノポリシロキサンと(E)オルガノハイドロジェンポリシロキサンとの付加反応を活性化できる触媒であればよい。(H)付加反応触媒としては、例えば、白金族元素を有する触媒が挙げられる。白金族元素を有する触媒としては、例えば、白金系触媒(例えば、白金黒、塩化第二白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等)、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒等が挙げられる。
(H)付加反応触媒の配合量は、触媒量であってよい。例えば、(H)付加反応触媒の配合量は、白金族元素量が、(D)オルガノポリシロキサン及び(E)オルガノハイドロジェンポリシロキサンの合計質量に対して0.5〜1000質量ppmとなる量であることが好ましく、1〜500質量ppmとなる量であることがより好ましい。
付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物は、(D)〜(H)以外の添加剤を更に含有していてよい。添加剤としては、例えば、助剤(鎖延長剤、架橋剤等)、発泡剤、分散剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料、着色剤、加工助剤、軟化剤、可塑剤、乳化剤、耐熱性向上剤、難燃性向上剤、受酸剤、熱伝導性向上剤、離型剤、希釈剤、反応性希釈剤、溶剤等が挙げられる。
添加剤の具体例としては、低分子シロキサンエステル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、シラノール、フェニルシランジオール等の分散剤が挙げられる。また、添加剤の具体例としては、オクチル酸鉄、酸化鉄、酸化セリウム等の耐熱向上剤が挙げられる。また、添加剤としては、接着性、成形加工性等を向上させるための各種カーボンファンクショナルシラン、各種オレフィン系エラストマー等を用いてもよい。また、添加剤としては、難燃性を付与させるハロゲン化合物等を用いてもよい。
付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物の25℃における粘度は、5〜500Pa・sであることが好ましく、5〜200Pa・sであることがより好ましい。
弾性層3の厚さは特に限定されず、例えば0.1〜6mmであってよく、1〜4mmであってもよい。なお、本明細書における厚さは、現像ローラ1の軸線方向に垂直な方向の厚さを示す。
弾性層3の外径は特に限定されず、例えば6mm〜25mmであってよく、7mm〜21mmであってよい。
弾性層3の外周面には、被覆層4との接着性向上等の目的で、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、エキシマ処理、UV処理、イトロ処理、フレーム処理等の表面処理が施されていてよい。
弾性層3の形成方法は特に限定されない。例えば、弾性層3は、押出成形、LIMS成形等の方法で形成されてよい。また、弾性層3は、軸体2上に形成された弾性体の研削・研磨等によって形成してもよい。
被覆層4は、弾性層3上に設けられ、弾性層3の外周面を被覆している。被覆層4は、弾性層3の外周面の全てを被覆している必要はなく、印字機能に不具合の無い範囲で弾性層3を被覆していればよい。
被覆層4は、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分及び有機チタン化合物を含有する樹脂原料の硬化物から構成されている。
樹脂原料の硬化物は、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分の重合体であるウレタン樹脂を含んでいる。これにより被覆層4が緩衝性に優れるものとなり、現像ローラ1の印字特性(例えば、印字濃度の安定性)が向上する。
ポリオール成分は、ヒドロキシル基を2つ以上有する化合物である。ポリオール成分としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリアクリルポリオール等が挙げられる。ポリオール成分はこれらの1種であってよく2種以上であってもよい。
ポリエステルポリオールは、分子内に2つ以上のエステル結合と2つ以上のヒドロキシル基を有していてよい。ポリエステルポリオールは、例えば、ジカルボン酸とポリオールとの縮合反応物であってよい。ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタルさん等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。ポリオールとしては、例えば、ヘキサンジオール、ブタンジオール等のジオール、2,4−ブタントリオール等のトリオールが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールは、分子内に2つ以上のカーボネート結合と2つ以上のヒドロキシル基を有していてよい。ポリカーボネートポリオールは、例えば、上述のジオールとカーボネート化合物との縮合反応物等が挙げられる。カーボネート化合物としては、例えば、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、アルキレンカーボネート等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールは、分子内に2つ以上のエーテル結合と2つ以上のヒドロキシル基を有していてよい。ポリエーテルポリオールとしては、例えば、多価アルコールにポリエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを付加重合させた重合体等が挙げられる。ポリカプロラクトンポリオールは、ポリカプロラクトン骨格と2つ以上のヒドロキシル基を有していてよい。
ポリアクリルポリオールは、アクリル系モノマー由来の繰り返し単位と2つ以上のヒドロキシル基とを有していてよい。アクリル系モノマーは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、アクリルアミド等であってよい。第一の樹脂成分の柔軟性が向上する観点からは、ポリアクリルポリオールのTgは−70℃〜10℃であることが好ましく、−70℃〜−10℃であることがより好ましい。
ポリオール成分の数平均分子量は、被覆層4の柔軟性が向上すること、及び、加工性が良好になることから、100〜14000であることが好ましく、500〜11000であることがより好ましく、500〜6000であることが更に好ましい。なお、本明細書中、数平均分子量は、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算の値を示す。
ポリイソシアネート成分は、イソシアネート基(−NCO)を2以上有する化合物である。ポリイソシアネート成分としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、その他のポリイソシアネートなどが挙げられる。
現像ローラ1では、被覆層4を構成する樹脂原料に有機チタン化合物が配合されていることで、トナーとの摩擦帯電が生じやすく、電荷の蓄積によって印字濃度が上昇しやすい。このため、現像ローラ1では、高温高湿環境下での印字濃度低下が抑制され、高温高湿環境下でも良好な印字特性を維持できる。また、現像ローラ1では、被覆層4を構成する樹脂原料に有機チタン化合物が配合されていることで、被覆層4における電荷の逃げが早くなり、過剰帯電が抑制される。このため、現像ローラ1では、低温低湿環境下での過剰帯電による印字ムラが抑制され、低温低湿環境下でも良好な印字特性を維持できる。
樹脂原料の硬化物は有機チタン化合物由来の構造を有しており、当該構造が被覆層4の表面に均一に分布していることで上記効果が顕著に得られていると考えられる。有機チタン化合物由来の構造は、例えば、有機チタン化合物と樹脂原料中の他の成分とが反応して形成された構造であってよい。また、有機チタン化合物由来の構造は、例えば、上述のウレタン樹脂と化学的に結合していてよい。
なお、樹脂原料に有機チタン化合物に代えて酸化チタンを配合しても上述の効果は得られない。この理由は、酸化チタンでは、被覆層表面において樹脂分が酸化チタンを被覆してしまうこと、樹脂原料中での分散性に劣るため被覆層の表面に均一に分布させることが困難であること等にあると考えられる。
樹脂原料における有機チタン化合物の含有量は、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分の合計量100質量部に対して、例えば0.1質量部以上であってよく、好ましくは0.3質量部以上であり、より好ましくは0.5質量部以上である。これにより上述の効果がより顕著に奏される。また、樹脂原料における有機チタン化合物の含有量は、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分の合計量100質量部に対して、例えば5質量部以下であってよく、好ましくは4質量部以下であり、より好ましくは3質量部以下である。これにより、現像ローラの帯電を調整しやすくなり、より精細な印字特性を得られやすくなる。また、未反応物のブリードによる印字不具合が抑制され、印字特性がより向上する傾向がある。
有機チタン化合物としては、チタン原子に結合する有機基を有する化合物であればよい。有機基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、キレート型配位子等が挙げられる。
有機チタン化合物としては、例えば、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシド、チタンブトキシドダイマー、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシド、テトラ−tert−ブチルチタネート、テトラステアリルチタネート、チタニウムイソプロポキシオクチレングリコレート等のチタンアルコキシド;
チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムジ−2−エチルヘキソキシ−ビス(2−エチル−3−ヒドロキシヘキソキシド)、ドデシルベンゼンスルホン酸チタン化合物、リン酸チタン化合物、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、チタンアミノエチルアミノエタノレート、ジ−n−ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン等のチタンキレート化合物;
トリ−n−ブトキシチタンモノステアレート、ジイソプロポキシチタンジステアレート、チタニウムステアレート、(2−n−ブトキシカルボニルベンゾイルオキシ)トリブトキシチタン、n−ブチルリン酸エステルチタン等のチタンアシレート;
などが挙げられる。
また、有機チタン化合物としては、有機チタン変性ポリマー、有機チタンオリゴマー等を用いてもよい。有機チタン変性ポリマーとしては、例えば、有機チタン変性ポリエチレンイミン等が挙げられる。また、有機チタンオリゴマーとしては、例えば、チタンアルコキシドの縮合重合体(チタンテトライソプロポキシドのオリゴマー、チタンテトラノルマルブトキシドのオリゴマー等)が挙げられる。
被覆層4を構成するための樹脂原料は、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分を重合させるための重合触媒を更に含有していてよい。重合触媒は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との重合反応の触媒として機能するものであればよく、特に限定されない。
重合触媒としては、例えば、ジブチルスズラウレート、ジオクチルスズラウレート等のスズ系触媒;ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等のジルコニウム系触媒などが挙げられる。
樹脂原料における重合触媒の含有量は、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分の合計量100質量部に対して、例えば0.01質量部以上であってよく、0.03質量部以上であることが好ましい。また、重合触媒の含有量は、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分の合計量100質量部に対して、例えば0.5質量部以下であってよく、0.2質量部以下であることが好ましい。
被覆層4を構成するための樹脂原料は、導電性付与剤を更に含有していてよい。
本実施形態においては、導電性付与剤としてイオン導電剤を好適に用いることができる。被覆層4にイオン導電剤を配合することで、被覆層4上における電荷減衰が速やかに進行し、残留電位の蓄積によるトナーフィルミングの発生等が十分に抑制される。これにより、現像ローラ1の印字特性が一層向上する。
イオン導電剤としては、4級アンモニウム塩、リチウム塩、カリウム塩、イオン系界面活性剤(エーテル変性シリコーンオイル等)等が挙げられる。
樹脂原料におけるイオン導電剤の含有量は、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分の合計量100質量部に対して、例えば0.1質量部以上であることが好ましく、0.2質量部以上であることがより好ましい。イオン導電剤の含有量を多くすることで被覆層4における電荷減衰がより速やかに進行しやすくなる傾向がある。また、イオン導電剤の含有量は、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分の合計量100質量部に対して、例えば5質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがより好ましい。イオン導電剤の含有量を少なくすることで被覆層4の強度が向上する傾向がある。
また、本実施形態においては、導電性付与剤として、ヒドロキシ基を有する有機ホウ素化合物及び三級アミン化合物の反応生成物である分子化合物(以下、BN型分子化合物ともいう。)を好適に用いることもできる。被覆層4にBN型分子化合物を配合することで、被覆層4上における電荷減衰が速やかに進行し、残留電位の蓄積によるトナーフィルミングの発生等が十分に抑制される。これにより、現像ローラ1の印字特性が一層向上する。
一態様において、BN型分子化合物は、有機ホウ素化合物が有するヒドロキシ基と三級アミン化合物が有する三級アミノ基との間の相互作用(クーロン力)によって、有機ホウ素化合物と三級アミン化合物とが結合された分子化合物であってよい。このとき、有機ホウ素化合物のヒドロキシ基は、酸素原子がホウ素原子に配位していてよく、これにより水素原子が正の電荷(δ+)を有していてよい。これにより三級アミノ基との相互作用がより顕著に現れる。
また一態様において、有機ホウ素化合物は、ヒドロキシ基から水素イオン(H+)が脱離し、残った酸素アニオンがホウ素原子に配位することで、ホウ素原子を中心とするアニオンを形成してよい。また、三級アミン化合物は、有機ホウ素化合物のヒドロキシ基から脱離した水素イオン(H+)と結合して、窒素原子を中心とするカチオンを形成してよい。すなわち、BN型分子化合物は、有機ホウ素化合物由来のカチオンと三級アミン化合物由来のアニオンとを有するイオン対構造を有していてよい。
BN型分子化合物は、上述した相互作用による構造を有する分子化合物とイオン対構造を有する分子化合物との混合物であってもよい。また、これらの構造は、被覆層4の帯電状態によって転換されてよい。具体的には、例えば、相互作用による構造は、静電気の発生下において電荷移動遷移を起こし、イオン対構造に転換されてよい。このような転換によって、被覆層4における電荷減衰が速やかに進行すると考えられる。
有機ホウ素化合物は、炭素原子数8以上のアルキル基を有することが好ましく、炭素原子数17以上のアルキル基を有することが更に好ましい。このような有機ホウ素化合物を用いることで、BN型分子化合物の分散性が向上し、被覆層4における電荷減衰効果がより顕著に奏される。これらのアルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状であってよく、直鎖状であることが好ましい。これらのアルキル基の炭素原子数は30以下であってよく、24以下であってもよい。
有機ホウ素化合物としては、例えば、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立に、アルカンジイル基、又は、アルカンジイル基中の−CH2−で表される部分構造の一つ若しくは複数が−O−、−CO−若しくは−COO−で置換された基を示す。
アルカンジイル基は、例えば、−CH2−CH(R3)−で表される基であってよい。R3は、アルキル基、又は、アルキル基中の−CH2−で表される部分構造の一つ若しくは複数が−O−、−CO−若しくは−COO−で置換された基を示す。R3の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基、ヘプタデシルカルボニルオキシメチル基等が挙げられる。
有機ホウ素化合物中のR3の少なくとも一つは、炭素原子数が8以上であることが好ましく、17以上であることがより好ましい。これにより、BN型分子化合物の分散性が向上し、被覆層4における電荷減衰効果がより顕著に得られる傾向がある。また、このR3の炭素原子数は、例えば30以下であってよく、24以下であってもよい。
三級アミン化合物は、炭素原子数8以上のアルキル基を有することが好ましく、炭素原子数17以上のアルキル基を有することが更に好ましい。このような三級アミン化合物を用いることで、BN型分子化合物の分散性が向上し、被覆層4における電荷減衰効果がより顕著に奏される。これらのアルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状であってよく、直鎖状であることが好ましい。これらのアルキル基の炭素原子数は30以下であってよく、24以下であってもよい。
三級アミン化合物としては、例えば、下記式(2)で表される化合物が挙げられる。
式(2)中、R4、R5及びR6はそれぞれ独立に、アルキル基、又は、アルキル基中の−CH2−で表される部分構造の一つ若しくは複数が−O−、−CO−、−COO−若しくは−NHCO−で置換された基を示す。
R4、R5及びR6の少なくとも一つは、炭素原子数が8以上であることが好ましく、17以上であることがより好ましい。これにより、BN型分子化合物の分散性が向上し、被覆層4における電荷減衰効果がより顕著に得られる傾向がある。この炭素原子数は、例えば30以下であってよく、24以下であってもよい。
また、R4、R5及びR6の少なくとも一つは、炭素原子数が1〜11であることが好ましく、1〜6であることがより好ましく、1〜3であることが更に好ましい。これにより、有機ホウ素化合物との反応性が向上し、BN型分子化合物の安定性が向上する傾向がある。
R4、R5及びR6の少なくとも一つは、−NHCO−で表される基を有することが好ましい。言い換えると、R4、R5及びR6の少なくとも一つは、アルキル基中の−CH2−で表される部分構造の一つ若しくは複数が−NHCO−で置換された基であることが好ましい。
三級アミン化合物の具体例としては、例えば、R3及びR4がそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基、1−メチル−2−ヒドロキシエチル基であり、R3が−R7−NHCO−R8で表される基である化合物が挙げられる。R7はアルカンジイル基を示し、R8はアルキル基を示す。R7のアルカンジイル基は、炭素原子数2〜6のアルカンジイル基であることが好ましく、より好ましくはエチレン基又はプロパンジイル基である。R8のアルキル基は、炭素原子数が8以上であることが好ましく、12以上であることがより好ましく、17以上であることが更に好ましい。R8のアルキル基の炭素原子数は、例えば30以下であってよく、24以下であってもよい。
BN型分子化合物としては、市販品を用いてもよく、例えば、株式会社ボロン研究所製「ビオミセル BN−105」、「ビオミセル BN−1300」、「ビオミセル BN−77」等が挙げられる。
樹脂原料におけるBN型分子化合物の含有量は、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分の合計量100質量部に対して、例えば0.2質量部以上であることが好ましく、0.3質量部以上であることがより好ましく、0.5質量部以上であることが更に好ましい。BN型分子化合物の含有量を多くすることで被覆層4における電荷減衰がより速やかに進行しやすくなる傾向がある。また、BN型分子化合物の含有量は、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分の合計量100質量部に対して、例えば10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましい。BN型分子化合物の含有量を少なくすることで被覆層4の強度が向上する傾向がある。
樹脂原料は上記以外の導電性付与剤を含有していてもよい。上記以外の導電性付与剤としては、例えば、導電性カーボン、ゴム用カーボン類、金属、金属酸化物、導電性ポリマー等の導電性粉末、変性シリコーンオイル、界面活性剤等が挙げられる。
被覆層4は、フィラーを含有していてよい。すなわち、樹脂原料はフィラーを更に含有していてよい。本実施形態において、フィラーは、表面粗さ調製用粒子ということもできる。
被覆層4に配合されるフィラーの平均粒子径は、好ましくは0.1〜20μmであり、より好ましくは1〜15μmである。被覆層4にこのようなフィラーを配合することで、外周面の表面粗さを、容易に適切な範囲に調整することができる。現像ローラ1の外周面の表面粗さを調整することで、トナー搬送性が向上し、一層優れた印字特性が得られる。なお、フィラーの平均粒子径は、レーザー光回折法による粒度分布測定装置を用いて、メジアン径として測定できる。
被覆層4の表面粗さ(Rz)は、例えば、1〜20μmであることが好ましく、1〜15μmであることがより好ましい。なお、本明細書中、被覆層4の表面粗さ(Rz)は、JIS−1994に規定の方法で測定される十点平均粗さを示す。被覆層4の表面粗さは、例えば、配合するフィラーの種類、配合量等により容易に調整することができる。
被覆層4に配合されるフィラーの種類は特に限定されず、公知のフィラーから適宜選択して使用できる。例えばフィラーは、シリカ、球状樹脂粒子、金属酸化物等であってよい。
樹脂原料におけるフィラーの含有量は、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分の合計量100質量部に対して、例えば0.1〜50質量部であってよく、1〜40質量部であることがより好ましい。
樹脂原料は上記以外の添加剤を更に含有していてよい。例えば、樹脂原料は、シランカップリング剤、潤滑剤、分散剤等の添加剤を更に含有していてよい。
被覆層4は樹脂原料の硬化物から構成されており、被覆層4の形成方法は特に限定されない。例えば、被覆層4は、樹脂原料を弾性層3上に配置し、加熱等により樹脂原料を硬化させることで形成してよい。樹脂原料は、例えば、溶媒で希釈して弾性層3上に塗布されてよい。溶媒は、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分を溶解可能な溶媒であることが好ましく、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン等であってよい。
被覆層4の厚さは特に限定されず、例えば0.5〜30μmであってよく、好ましくは1〜20μmである。
現像ローラ1は、上記以外の構成を更に備えていてよい。例えば、現像ローラ1は、軸体2と弾性層3との間、及び/又は、弾性層3と被覆層4との間に、接着強度を向上させるための接着層を更に備えていてよい。
本実施形態に係る現像ローラ1は、画像形成装置における現像剤担持体として、好適に用いることができる。本実施形態において、画像形成装置における現像ローラ1以外の構成は特に限定されない。現像ローラ1は、公知の様々な画像形成装置における現像剤担持体として好適に用いることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
無電解ニッケルメッキ処理が施された軸体(SUM22製、直径10mm、長さ275mm)をエタノールで洗浄し、その表面にシリコーン系プライマー(商品名「プライマーNo.16」、信越化学工業製)を塗布した。プライマーを塗布した軸体を、ギヤオーブンを用いて150℃の温度にて10分焼成処理した後、常温にて30分以上冷却し、軸体の外周面にプライマー層を形成した。
次いで、弾性層を形成するためのシリコーンゴム組成物を次のように調製した。
すなわち、両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(重合度300)100質量部、BET比表面積が110m2/gである疎水化処理されたヒュームドシリカ(日本アエロジル社製、R−972)1質量部、平均粒子径が6μm、嵩密度が0.25g/cm3である珪藻土(オプライトW−3005S、中央シリカ製)40質量部、及び、アセチレンブラック(デンカブラックHS−100、デンカ製)5質量部をプラネタリーミキサーに入れ、30分撹拌した後、3本ロールに1回通した。これを再度プラネタリーミキサーに戻し、架橋剤として、両末端及び側鎖にSi−H基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン(重合度17、Si−H量0.0060mol/g)2.1質量部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.1質量部、白金触媒(Pt濃度1%)0.1質量部、及び、ポリエーテル変性シリコーンオイル(商品名「KF−644」、信越化学工業製)0.9質量部を添加し、30分撹拌して混練して、付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物を調製した。
調製した付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物を用いた液体射出成形により、軸体の外周面上にゴム材料からなる弾性体を成形した。なお、液体射出成形では、付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物を150℃で10分間加熱して硬化させ、弾性層を形成した。
次いで、被覆層を形成するための樹脂原料を次のように調製した。
すなわち、アクリルポリオール28質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート(商品名「デュラネートE402−B80B」、旭化成製)17質量部、ジブチルスズジラウレート(昭和化学製)0.02質量部、小径シリカ(平均粒子径4.4μm、商品名「ACEMATT OK−607」、エボニックデグサ製)4質量部、イオン導電剤(商品名「EF−N112」、三菱電子化成マテリアル製)0.1質量部、有機チタン化合物(商品名「TC−750」、マツモトファインケミカル製)3質量部、及び、酢酸ブチル(溶媒)30質量部を混合して、樹脂原料を得た。
調製した樹脂原料を弾性層の外周面にスプレーコーティング法によって塗布し、160℃で30分間加熱して、厚さ7μmの被覆層を形成した。
以上の方法で、実施例1の現像ローラA−1を作製した。
画像形成装置C610dn2(型番、沖データ社製)を用意し、この画像形成装置の現像ローラを作製した現像ローラA−1に差し替えて、実施例1の画像形成装置を得た。得られた画像形成装置を用いて、以下の方法で印字特性の評価を行った。評価結果は表1に示すとおりとなった。
<印字特性の評価>
作製した現像ローラを装着した画像形成装置を用い、下記(i)〜(iii)の条件下でそれぞれ複数のA4用紙に幅202mm、長さ288mmのベタ画像を印字し、印字濃度、画像均一性、及びドラムカブリの有無を評価した。
(i)温度10℃、湿度22%RH
(ii)温度23℃、湿度55%RH
(iii)温度30℃、湿度80%RH
印字濃度の評価は、X−Rite社製の508分光濃度計を用いてベタ画像の印字濃度を測定することにより行った。測定された印字濃度が1.4以上である場合をA、1.4未満である場合をCとして評価した。
画像均一性の評価は、1枚目の印字濃度と8000枚目の印字濃度とを比較することで行った。具体的には、1枚目のベタ画像と8000枚目のベタ画像の濃度段差率が、0.9を超える場合をA、0.8〜0.9である場合をB、0.8未満である場合をCとして評価した。
(実施例2)
被覆層の形成に際して、イオン導電剤に代えて、「ビオミセル BN−1300」(ヒドロキシ基を有する有機ホウ素化合物及び三級アミン化合物の反応生成物である分子化合物、ボロン研究所製)1質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして現像ローラを作製し、画像形成装置に装着した。この画像形成装置を用いて、実施例1と同様にして印字特性の評価を行った。評価結果は表1に示すとおりとなった。
(比較例1)
有機チタン化合物に代えて酸化チタン粉末(R−5N、堺化学工業製)3質量部を配合したこと以外は、実施例1と同様にして現像ローラを作製し、画像形成装置に装着した。この画像形成装置を用いて、実施例1と同様にして印字特性の評価を行った。評価結果は表1に示すとおりとなった。