JP3828707B2 - 酢酸ビニルエマルジョン接着剤及びそれを用いた紙管 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低温時でも作業性のよい酢酸ビニルエマルジョン接着剤及びそれを用いた紙管に関する。
【0002】
【従来の技術】
紙、箔、織物等のシート状物品を巻くための芯材として使用される紙管は、通常、帯状の厚紙を金属製の芯棒に螺旋状に巻き付け、その厚紙の隣接する側縁部同士を接着剤により接着して製造されている。このような紙管の製造に使用される接着剤としては、例えば、澱粉、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子の水溶液や、ポリビニルアルコールを保護コロイドとして重合された酢酸ビニルエマルジョン等を主成分とする組成物が知られている。
【0003】
酢酸ビニルエマルジョンは、接着剤、塗料、コーティング剤として広い分野で使用されている。しかし、一般的に酢酸ビニルエマルジョンは乾燥後の皮膜は強靱であるが低温造膜性が悪いため、冬季における10℃以下の雰囲気下では造膜しない。
【0004】
この問題点を解決するため、酢酸ビニルエマルジョンに、例えばジブチルフタレートのようなフタル酸エステル系可塑剤を添加することにより低温造膜性は改良できるが、酢酸ビニルエマルジョンの乾燥皮膜が柔軟化するため、紙管用として用いた場合には紙管自体の最終的な圧縮強度が不充分となる問題がある。特に冬季においては可塑剤の添加量が多くなるためこの問題は顕著に現れる。
【0005】
特開昭56−135575号公報には、エチレン−酢酸ビニル共重合体のエマルジョンをシードとし、ポリビニルアルコールを保護コロイドとして酢酸ビニルモノマーをシード重合すると低温造膜性が改良され、且つ接着強度が向上することが記載されている。しかし、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョンをシード重合すると、今度は低温時に粘度が上昇するので冬季における10℃以下の雰囲気下では作業に支障をきたすことになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を解消し、低温時に増粘することなく、冬季でも作業性のよい酢酸ビニルエマルジョン接着剤及びそれを用いた紙管を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の酢酸ビニルエマルジョン接着剤は、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン中のエチレン含有量が30〜35重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体をシードとし、ポリビニルアルコールを保護コロイドとして、酢酸ビニルモノマーがシード重合された酢酸ビニル樹脂系エマルジョン接着剤であって、酢酸ビニルモノマー100重量部に対して前記エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョンが樹脂分換算で15〜20重量部及び硫酸アルミニウム1〜5重量部配合されてなることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の紙管は、螺旋状に巻かれた帯状の厚紙の隣接する側縁部同士が、請求項1記載の酢酸ビニルエマルジョン接着剤によって接着されてなることを特徴とするものである。
【0009】
先ず、本発明の酢酸ビニルエマルジョン接着剤を詳細に説明する。
重合シードとなるエチレン−酢酸ビニル共重合及びエマルジョン
エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下「EVA」と記す)エマルジョンは、例えばポリビニルアルコール等を保護コロイドとし、ヒドロキシエチルセルロースのようなセルロース系誘導体や界面活性剤等を乳化分散剤として併用し、エチレンと酢酸ビニルモノマーとを乳化重合法により共重合して得られる。上記EVAエマルジョンは、例えば、カルボキシル基、エポキシ基、スルフォン酸基、水酸基、メチロール基、アルコキシ酸基等の官能基を有するビニルモノマーが更に共重合されたものであってもよい。
【0010】
本発明において、上記EVAエマルジョン中のエチレン含有量が30〜35重量%であることが必要である。EVAエマルジョン中のエチレン含有量が30重量%未満であると、得られる酢酸ビニルエマルジョン接着剤の最低造膜温度が充分低下しないことがあり、エチレン含有量が35重量%を超えるエマルジョンは現在市場になく、入手困難である。
【0011】
EVAエマルジョンの添加量
EVAのシード重合における上記EVAエマルジョンの添加量は、酢酸ビニルモノマー100重量部に対して樹脂換算分で15〜20重量部であることが必要である。上記EVAエマルジョンの添加量が15重量部未満であると、得られる酢酸ビニルエマルジョン接着剤の最低造膜温度が充分に低下しないことがあり、20重量部を超えると、得られる酢酸ビニルエマルジョン接着剤の乾燥皮膜の圧縮強度や接着強度が不充分になることがある。
【0012】
保護コロイド:ポリビニルアルコール
本発明では、EVAエマルジョンをシードとして酢酸ビニルモノマーをシード重合させる際に、酢酸ビニルモノマー100重量部に対して保護コロイドとしてポリビニルアルコールを15〜35重量部添加することが必要であり、好ましくは20〜30重量部である。ポリビニルアルコールの添加量が15重量部未満であると、得られる酢酸ビニルエマルジョン接着剤の乾燥皮膜や接着強度が充分に向上しなかったり、最低造膜温度が充分に低下しないため、冬季における作業性が悪くなる。また、35重量部を超えると得られる酢酸ビニルエマルジョン接着剤の初期接着力が低下することがある。
【0013】
酢酸ビニルエマルジョン接着剤の重合
EVAエマルジョンは、例えば過酸化物や過硫酸塩等の重合触媒及び水の存在下でEVAエマルジョンをシードとし、ポリビニルアルコールを保護コロイドとして酢酸ビニルモノマーを通常のシード重合法により重合して得られる。尚、酢酸ビニルエマルジョン接着剤を構成する酢酸ビニルモノマーは、単独であってもよく、酢酸ビニルモノマーと重合可能なモノマーで共重合してもよい。
【0014】
上記酢酸ビニルモノマーと共重合可能なモノマーとしては、例えば、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート、アクリル酸が挙げられ、これらは2つ以上併用されてもよい。
【0015】
重合触媒
重合触媒は、過酸化物としては過酸化水素、過硫酸塩としては過硫酸カリウム等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2つ以上を併用してもよい。
【0016】
硫酸アルミニウム
硫酸アルミニウムは酢酸ビニルエマルジョン接着剤の低温時における粘度上昇を抑制するものであり、その添加量は酢酸ビニルモノマー100重量部に対して1〜5重量部である。硫酸アルミニウムの添加量が1重量部未満であると低温時の粘度上昇が大きく、5重量部を超えると酢酸ビニルエマルジョンがゲル化してしまうことになる。
【0017】
本発明の酢酸ビニルエマルジョン接着剤には、必要に応じて粘着付与樹脂、カップリング剤、無機もしくは有機充填剤、増粘剤、揺変性付与剤、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、消泡剤、防腐剤、防かび剤、有機溶剤等の各種添加剤の1種もしくは2種以上が添加されてもよい。
【0018】
また、本発明の酢酸ビニルエマルジョン接着剤には、可塑剤や軟化剤が添加されると、得られる接着剤の最低造膜温度は低下するものの、乾燥後の圧縮強度や接着強度が著しく低下することがあるので、可塑剤や軟化剤が添加されない方が好ましい。
【0019】
上記本発明の酢酸ビニルエマルジョン接着剤を用いて、螺旋状に巻かれた帯状の厚紙の隣接する側縁部同士が接着された紙管は、接着部分の接着強度が優れるので乾燥後の紙管自体の圧縮強度が大きい。また、冬季の低温下でも能率的に製造することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施例を説明する。
(実施例1)
攪拌機、温度計及び滴下漏斗を備えた反応器に水110重量部とポリビニルアルコール(ケン化度96mol%,重合度1700,クラレ社製,商品名「クラレPVA−617」)を20重量部仕込み、分散させて90℃で1時間溶解してから50℃まで冷却する。そこへEVAエマルジョン(エチレン含有量35重量%,クラレ社製,商品名「OM−2000」)を酢酸ビニルモノマー100重量部に対し樹脂分換算で18重量部を仕込み、攪拌後70℃まで昇温し、重合触媒である6%過酸化水素水溶液5.3重量部及び酒石酸5.2重量部とを混合して調整した規定量10.5重量部の重合開始剤のうち、規定量の20%に相当する重合開始剤と、100重量部添加する予定の酢酸ビニルモノマーのうち8重量部とを一括添加し、初期重合した。
残りの酢酸ビニルモノマーを3時間、重合触媒を3.5時間かけて滴下して重合を行い、酢酸ビニルモノマー滴下終了後90℃で1時間かけて熟成を行い冷却した。その後、硫酸アルミニウムを酢酸ビニルモノマー100重量部に対し3重量部を水に溶解して添加した。次に、水で粘度を調整し、粘度1700mPa・s、固形分38%の酢酸ビニルエマルジョン接着剤を得た。
【0021】
(実施例2)
酢酸ビニルモノマー100重量部に対して、硫酸アルミニウムを1重量部添加したこと以外は実施例1と同様にして酢酸ビニルエマルジョン接着剤を得た。
【0022】
(実施例3)
酢酸ビニルモノマー100重量部に対して、硫酸アルミニウムを5重量部添加したこと以外は実施例1と同様にして酢酸ビニルエマルジョン接着剤を得た。
【0023】
(比較例1)
酢酸ビニルモノマー100重量部に対して、硫酸アルミニウムを0.5重量部添加したこと以外は実施例1と同様にして酢酸ビニルエマルジョン接着剤を得た。
【0024】
(比較例2)
酢酸ビニルモノマー100重量部に対して、硫酸アルミニウムを8重量部添加したこと以外は実施例1と同様にして酢酸ビニルエマルジョン接着剤を得た。
【0025】
(比較例3)
硫酸アルミニウムを添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして酢酸ビニルエマルジョン接着剤を得た。
【0026】
性能評価
実施例1〜3及び比較例1〜3で得た酢酸ビニルエマルジョン接着剤の30℃及び5℃における粘度を、BH型粘度計を用いて10rpmの条件で測定した。
その結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【発明の効果】
本発明の酢酸ビニルエマルジョン接着剤は以上の通りであり、乾燥皮膜や接着強度が効果的に向上し、硫酸アルミニウム1〜5重量部が配合されているので最低造膜温度が充分に低下し、低温時に増粘することなく、冬季でも優れた作業性が得られるものである。
また、本発明の酢酸ビニルエマルジョン接着剤を用いて製造された紙管は、圧縮強度が高いので全体として丈夫であり、冬季の低温下でも能率よく製造することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、低温時でも作業性のよい酢酸ビニルエマルジョン接着剤及びそれを用いた紙管に関する。
【0002】
【従来の技術】
紙、箔、織物等のシート状物品を巻くための芯材として使用される紙管は、通常、帯状の厚紙を金属製の芯棒に螺旋状に巻き付け、その厚紙の隣接する側縁部同士を接着剤により接着して製造されている。このような紙管の製造に使用される接着剤としては、例えば、澱粉、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子の水溶液や、ポリビニルアルコールを保護コロイドとして重合された酢酸ビニルエマルジョン等を主成分とする組成物が知られている。
【0003】
酢酸ビニルエマルジョンは、接着剤、塗料、コーティング剤として広い分野で使用されている。しかし、一般的に酢酸ビニルエマルジョンは乾燥後の皮膜は強靱であるが低温造膜性が悪いため、冬季における10℃以下の雰囲気下では造膜しない。
【0004】
この問題点を解決するため、酢酸ビニルエマルジョンに、例えばジブチルフタレートのようなフタル酸エステル系可塑剤を添加することにより低温造膜性は改良できるが、酢酸ビニルエマルジョンの乾燥皮膜が柔軟化するため、紙管用として用いた場合には紙管自体の最終的な圧縮強度が不充分となる問題がある。特に冬季においては可塑剤の添加量が多くなるためこの問題は顕著に現れる。
【0005】
特開昭56−135575号公報には、エチレン−酢酸ビニル共重合体のエマルジョンをシードとし、ポリビニルアルコールを保護コロイドとして酢酸ビニルモノマーをシード重合すると低温造膜性が改良され、且つ接着強度が向上することが記載されている。しかし、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョンをシード重合すると、今度は低温時に粘度が上昇するので冬季における10℃以下の雰囲気下では作業に支障をきたすことになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を解消し、低温時に増粘することなく、冬季でも作業性のよい酢酸ビニルエマルジョン接着剤及びそれを用いた紙管を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の酢酸ビニルエマルジョン接着剤は、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン中のエチレン含有量が30〜35重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体をシードとし、ポリビニルアルコールを保護コロイドとして、酢酸ビニルモノマーがシード重合された酢酸ビニル樹脂系エマルジョン接着剤であって、酢酸ビニルモノマー100重量部に対して前記エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョンが樹脂分換算で15〜20重量部及び硫酸アルミニウム1〜5重量部配合されてなることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の紙管は、螺旋状に巻かれた帯状の厚紙の隣接する側縁部同士が、請求項1記載の酢酸ビニルエマルジョン接着剤によって接着されてなることを特徴とするものである。
【0009】
先ず、本発明の酢酸ビニルエマルジョン接着剤を詳細に説明する。
重合シードとなるエチレン−酢酸ビニル共重合及びエマルジョン
エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下「EVA」と記す)エマルジョンは、例えばポリビニルアルコール等を保護コロイドとし、ヒドロキシエチルセルロースのようなセルロース系誘導体や界面活性剤等を乳化分散剤として併用し、エチレンと酢酸ビニルモノマーとを乳化重合法により共重合して得られる。上記EVAエマルジョンは、例えば、カルボキシル基、エポキシ基、スルフォン酸基、水酸基、メチロール基、アルコキシ酸基等の官能基を有するビニルモノマーが更に共重合されたものであってもよい。
【0010】
本発明において、上記EVAエマルジョン中のエチレン含有量が30〜35重量%であることが必要である。EVAエマルジョン中のエチレン含有量が30重量%未満であると、得られる酢酸ビニルエマルジョン接着剤の最低造膜温度が充分低下しないことがあり、エチレン含有量が35重量%を超えるエマルジョンは現在市場になく、入手困難である。
【0011】
EVAエマルジョンの添加量
EVAのシード重合における上記EVAエマルジョンの添加量は、酢酸ビニルモノマー100重量部に対して樹脂換算分で15〜20重量部であることが必要である。上記EVAエマルジョンの添加量が15重量部未満であると、得られる酢酸ビニルエマルジョン接着剤の最低造膜温度が充分に低下しないことがあり、20重量部を超えると、得られる酢酸ビニルエマルジョン接着剤の乾燥皮膜の圧縮強度や接着強度が不充分になることがある。
【0012】
保護コロイド:ポリビニルアルコール
本発明では、EVAエマルジョンをシードとして酢酸ビニルモノマーをシード重合させる際に、酢酸ビニルモノマー100重量部に対して保護コロイドとしてポリビニルアルコールを15〜35重量部添加することが必要であり、好ましくは20〜30重量部である。ポリビニルアルコールの添加量が15重量部未満であると、得られる酢酸ビニルエマルジョン接着剤の乾燥皮膜や接着強度が充分に向上しなかったり、最低造膜温度が充分に低下しないため、冬季における作業性が悪くなる。また、35重量部を超えると得られる酢酸ビニルエマルジョン接着剤の初期接着力が低下することがある。
【0013】
酢酸ビニルエマルジョン接着剤の重合
EVAエマルジョンは、例えば過酸化物や過硫酸塩等の重合触媒及び水の存在下でEVAエマルジョンをシードとし、ポリビニルアルコールを保護コロイドとして酢酸ビニルモノマーを通常のシード重合法により重合して得られる。尚、酢酸ビニルエマルジョン接着剤を構成する酢酸ビニルモノマーは、単独であってもよく、酢酸ビニルモノマーと重合可能なモノマーで共重合してもよい。
【0014】
上記酢酸ビニルモノマーと共重合可能なモノマーとしては、例えば、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート、アクリル酸が挙げられ、これらは2つ以上併用されてもよい。
【0015】
重合触媒
重合触媒は、過酸化物としては過酸化水素、過硫酸塩としては過硫酸カリウム等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2つ以上を併用してもよい。
【0016】
硫酸アルミニウム
硫酸アルミニウムは酢酸ビニルエマルジョン接着剤の低温時における粘度上昇を抑制するものであり、その添加量は酢酸ビニルモノマー100重量部に対して1〜5重量部である。硫酸アルミニウムの添加量が1重量部未満であると低温時の粘度上昇が大きく、5重量部を超えると酢酸ビニルエマルジョンがゲル化してしまうことになる。
【0017】
本発明の酢酸ビニルエマルジョン接着剤には、必要に応じて粘着付与樹脂、カップリング剤、無機もしくは有機充填剤、増粘剤、揺変性付与剤、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、消泡剤、防腐剤、防かび剤、有機溶剤等の各種添加剤の1種もしくは2種以上が添加されてもよい。
【0018】
また、本発明の酢酸ビニルエマルジョン接着剤には、可塑剤や軟化剤が添加されると、得られる接着剤の最低造膜温度は低下するものの、乾燥後の圧縮強度や接着強度が著しく低下することがあるので、可塑剤や軟化剤が添加されない方が好ましい。
【0019】
上記本発明の酢酸ビニルエマルジョン接着剤を用いて、螺旋状に巻かれた帯状の厚紙の隣接する側縁部同士が接着された紙管は、接着部分の接着強度が優れるので乾燥後の紙管自体の圧縮強度が大きい。また、冬季の低温下でも能率的に製造することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施例を説明する。
(実施例1)
攪拌機、温度計及び滴下漏斗を備えた反応器に水110重量部とポリビニルアルコール(ケン化度96mol%,重合度1700,クラレ社製,商品名「クラレPVA−617」)を20重量部仕込み、分散させて90℃で1時間溶解してから50℃まで冷却する。そこへEVAエマルジョン(エチレン含有量35重量%,クラレ社製,商品名「OM−2000」)を酢酸ビニルモノマー100重量部に対し樹脂分換算で18重量部を仕込み、攪拌後70℃まで昇温し、重合触媒である6%過酸化水素水溶液5.3重量部及び酒石酸5.2重量部とを混合して調整した規定量10.5重量部の重合開始剤のうち、規定量の20%に相当する重合開始剤と、100重量部添加する予定の酢酸ビニルモノマーのうち8重量部とを一括添加し、初期重合した。
残りの酢酸ビニルモノマーを3時間、重合触媒を3.5時間かけて滴下して重合を行い、酢酸ビニルモノマー滴下終了後90℃で1時間かけて熟成を行い冷却した。その後、硫酸アルミニウムを酢酸ビニルモノマー100重量部に対し3重量部を水に溶解して添加した。次に、水で粘度を調整し、粘度1700mPa・s、固形分38%の酢酸ビニルエマルジョン接着剤を得た。
【0021】
(実施例2)
酢酸ビニルモノマー100重量部に対して、硫酸アルミニウムを1重量部添加したこと以外は実施例1と同様にして酢酸ビニルエマルジョン接着剤を得た。
【0022】
(実施例3)
酢酸ビニルモノマー100重量部に対して、硫酸アルミニウムを5重量部添加したこと以外は実施例1と同様にして酢酸ビニルエマルジョン接着剤を得た。
【0023】
(比較例1)
酢酸ビニルモノマー100重量部に対して、硫酸アルミニウムを0.5重量部添加したこと以外は実施例1と同様にして酢酸ビニルエマルジョン接着剤を得た。
【0024】
(比較例2)
酢酸ビニルモノマー100重量部に対して、硫酸アルミニウムを8重量部添加したこと以外は実施例1と同様にして酢酸ビニルエマルジョン接着剤を得た。
【0025】
(比較例3)
硫酸アルミニウムを添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして酢酸ビニルエマルジョン接着剤を得た。
【0026】
性能評価
実施例1〜3及び比較例1〜3で得た酢酸ビニルエマルジョン接着剤の30℃及び5℃における粘度を、BH型粘度計を用いて10rpmの条件で測定した。
その結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【発明の効果】
本発明の酢酸ビニルエマルジョン接着剤は以上の通りであり、乾燥皮膜や接着強度が効果的に向上し、硫酸アルミニウム1〜5重量部が配合されているので最低造膜温度が充分に低下し、低温時に増粘することなく、冬季でも優れた作業性が得られるものである。
また、本発明の酢酸ビニルエマルジョン接着剤を用いて製造された紙管は、圧縮強度が高いので全体として丈夫であり、冬季の低温下でも能率よく製造することができる。
Claims (2)
- エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン中のエチレン含有量が30〜35重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体をシードとし、ポリビニルアルコールを保護コロイドとして、酢酸ビニルモノマーがシード重合された酢酸ビニル樹脂系エマルジョン接着剤であって、酢酸ビニルモノマー100重量部に対して前記エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョンが樹脂分換算で15〜20重量部及び硫酸アルミニウム1〜5重量部配合されてなることを特徴とする酢酸ビニルエマルジョン接着剤。
- 螺旋状に巻かれた帯状の厚紙の隣接する側縁部同士が、請求項1記載の酢酸ビニルエマルジョン接着剤によって接着されてなることを特徴とする紙管。
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JP2000070721A JP3828707B2 (ja) | 2000-03-14 | 2000-03-14 | 酢酸ビニルエマルジョン接着剤及びそれを用いた紙管 |
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JP2000070721A JP3828707B2 (ja) | 2000-03-14 | 2000-03-14 | 酢酸ビニルエマルジョン接着剤及びそれを用いた紙管 |
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JP2001262100A JP2001262100A (ja) | 2001-09-26 |
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JP2007246729A (ja) * | 2006-03-16 | 2007-09-27 | Aica Kogyo Co Ltd | 接着剤組成物 |
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CN109764192A (zh) * | 2019-03-11 | 2019-05-17 | 江苏振栋精密材料科技有限公司 | 一种内覆不锈钢的镀锌水管的制造方法 |
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- 2000-03-14 JP JP2000070721A patent/JP3828707B2/ja not_active Expired - Fee Related
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