JP2002060405A - 酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの製造方法 - Google Patents

酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの製造方法

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JP2002060405A
JP2002060405A JP2000252311A JP2000252311A JP2002060405A JP 2002060405 A JP2002060405 A JP 2002060405A JP 2000252311 A JP2000252311 A JP 2000252311A JP 2000252311 A JP2000252311 A JP 2000252311A JP 2002060405 A JP2002060405 A JP 2002060405A
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Takayuki Konishi
孝幸 小西
Tatsuo Hayazaki
達夫 早崎
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粘度の温度依存性が低いので低温時において
も粘度の上昇が少なく、且つ、最低造膜温度が十分に低
いので低温造膜性に優れ、従って冬季においても優れた
作業性や初期接着力を発現し得る酢酸ビニル樹脂系エマ
ルジョンの製造方法を提供する。 【解決手段】 塩化第二鉄の存在下、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体エマルジョン中のエチレン−酢酸ビニル共
重合体をシード(種子)とし、ポリビニルアルコールを
保護コロイドとして酢酸ビニルモノマーをシード重合す
る酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの製造方法であって、
酢酸ビニルモノマー100重量部に対して、上記塩化第
二鉄0.08〜1.2重量部を酢酸ビニルモノマーの重
合反応開始前に添加することを特徴とする酢酸ビニル樹
脂系エマルジョンの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酢酸ビニル樹脂系
エマルジョンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、酢酸ビニル樹脂系エマルジョ
ンは、接着剤、塗料、コーティング剤等として広く用い
られている。例えば、紙、箔、織物等のシート状物品を
巻くための芯棒として使用される紙管は、通常、厚紙を
金属芯棒に螺旋状に巻き回して、その厚紙に隣接する側
縁部同士を接着剤により接着することによって製造され
ている。このような紙管の製造に使用される接着剤とし
ては、例えば、澱粉、ポリビニルアルコール等の水溶性
高分子の水溶液や、例えばポリビニルアルコールを保護
コロイドとして乳化重合された酢酸ビニル樹脂系エマル
ジョン等を主成分とする接着剤組成物が知られている。
【0003】しかし、一般的に酢酸ビニル樹脂系エマル
ジョンは、乾燥後の皮膜強度は強靱であるものの、低温
時における造膜性が悪いため、例えば冬季における10
℃以下の雰囲気下では容易に造膜せず、初期接着力の発
現が遅くなったり、作業に支障を来すという問題点があ
る。
【0004】このような問題点に対応するため、例え
ば、特許第2624741号公報では、酢酸ビニル樹脂
系エマルジョンにジブチルフタレート(DBP)のよう
なフタル酸エステル系可塑剤を添加することにより、酢
酸ビニル樹脂系エマルジョンの最低造膜温度(MFT)
を低下させて、低温造膜性を改良する方法が開示されて
いる。
【0005】しかし、可塑剤を添加すると、酢酸ビニル
樹脂系エマルジョンの最低造膜温度は確かに低下し、低
温造膜性は改良されるものの、乾燥皮膜が柔軟化するた
め、例えば紙管用として用いた場合、紙管の例えば圧縮
強度のような機械的強度や接着強度が不十分になるとい
う問題点がある。特に冬季においては可塑剤の添加量が
相対的に多くなるため、この問題点はより顕著となる。
【0006】そこで、例えば、特公昭60−31349
号公報では、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョ
ン中のエチレン−酢酸ビニル共重合体をシードとし、ポ
リビニルアルコールを保護コロイドとして酢酸ビニルモ
ノマーをシード重合した酢酸ビニル樹脂系エマルジョン
接着剤が開示されている。
【0007】エチレン−酢酸ビニル共重合体をシードと
し、ポリビニルアルコールを保護コロイドとして得られ
る酢酸ビニル樹脂系エマルジョンは、可塑剤を添加する
ことなく、確かに低温造膜性が改良され、初期接着力の
発現が速くなると共に、接着強度も向上する。
【0008】しかし、エチレン−酢酸ビニル共重合体を
シードとして得られる酢酸ビニル樹脂系エマルジョン
は、粘度の温度依存性が高く、低温時に粘度が大幅に上
昇するため、例えば冬季における10℃以下の雰囲気下
では、作業性が悪くなり、作業に支障を来すという問題
点がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来の問題点に鑑み、粘度の温度依存性が低いので低温
時においても粘度の上昇が少なく、且つ、最低造膜温度
が十分に低いので低温造膜性に優れ、従って冬季におい
ても優れた作業性や初期接着力を発現し得る酢酸ビニル
樹脂系エマルジョンの製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の酢酸ビ
ニル樹脂系エマルジョンの製造方法は、塩化第二鉄の存
在下で、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン中
のエチレン−酢酸ビニル共重合体をシード(種子)と
し、ポリビニルアルコールを保護コロイドとして酢酸ビ
ニルモノマーをシード重合する酢酸ビニル樹脂系エマル
ジョンの製造方法であって、酢酸ビニルモノマー100
重量部に対して、上記塩化第二鉄0.08〜1.2重量
部を酢酸ビニルモノマーの重合反応開始前に添加するこ
とを特徴とする。
【0011】本発明の製造方法においては、酢酸ビニル
モノマーをシード重合させるためのシード(種子)とし
てエチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、「EVA」と
記す)からなるエチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジ
ョン(以下、「EVAエマルジョン」と記す)が用いら
れる。
【0012】上記EVAエマルジョンは、例えば、ポリ
ビニルアルコール等を保護コロイドとし、ヒドロキシエ
チルセルロースのようなセルロース系誘導体や界面活性
剤等を乳化分散剤として併用し、エチレンと酢酸ビニル
モノマーとを通常の乳化重合法により共重合して得られ
る。
【0013】また、上記EVAエマルジョンは、例えば
カルボキシル基、エポキシ基、スルフォン酸基、水酸
基、メチロール基、アルコキシル基等の官能基を有する
ビニルモノマーがさらに共重合されたものであっても良
い。
【0014】上記EVAエマルジョン中のEVAのエチ
レン含有量は、特に限定されるものではないが、30〜
37重量%であることが好ましい。EVAのエチレン含
有量が30重量%未満であると、得られる酢酸ビニル樹
脂系エマルジョンの最低造膜温度が十分に低下しないこ
とがあり、また、EVAのエチレン含有量が37重量%
を超えるEVAエマルジョンは製造安定性が悪いからで
ある。
【0015】また、酢酸ビニルモノマーのシード重合時
における上記EVAエマルジョンの添加量は、特に限定
されるものではないが、酢酸ビニルモノマー100重量
部に対して、EVAエマルジョンがEVA換算で15〜
20重量部であることが好ましい。酢酸ビニルモノマー
100重量部に対するEVAエマルジョンの添加量がE
VA換算で15重量部未満であると、得られる酢酸ビニ
ル樹脂系エマルジョンの最低造膜温度が十分に低下しな
いことがあり、逆に酢酸ビニルモノマー100重量部に
対するEVAエマルジョンの添加量がEVA換算で20
重量部を超えると、得られる酢酸ビニル樹脂系エマルジ
ョンの乾燥皮膜の機械的強度や接着強度が不十分となる
ことがある。
【0016】本発明の製造方法においては、酢酸ビニル
モノマーをシード重合させるための保護コロイドとして
ポリビニルアルコール(以下、「PVA」と記す)が用
いられる。
【0017】上記PVAとしては、特に限定されるもの
ではないが、平均重合度が1400〜2000のものが
好ましく、鹸化度が94モル%以上のものが好ましい。
【0018】また、酢酸ビニルモノマーのシード重合時
における上記PVAの添加量は、特に限定されるもので
はないが、酢酸ビニルモノマー100重量部に対して、
PVAが15〜35重量部であることが好ましく、より
好ましくは20〜30重量部である。酢酸ビニルモノマ
ー100重量部に対するPVAの添加量が15重量部未
満であると、得られる酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの
最低造膜温度が十分に低下しないため冬季における作業
性が悪くなったり、乾燥皮膜の機械的強度や接着強度が
効果的に向上しないことがあり、逆に酢酸ビニルモノマ
ー100重量部に対するPVAの添加量が35重量部を
超えると、得られる酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの初
期接着力が低下することがある。
【0019】本発明の製造方法においては、酢酸ビニル
モノマーのシード重合時に、酢酸ビニルモノマー100
重量部に対して、塩化第二鉄(FeCl3 )0.08〜
1.2重量部を酢酸ビニルモノマーの重合反応開始前に
添加することが必要である。
【0020】酢酸ビニルモノマーに対して、その重合反
応開始前に塩化第二鉄を添加することにより、粘度の温
度依存性が低く、低温時においても粘度の上昇が少ない
酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを得ることができる。
【0021】酢酸ビニルモノマー100重量部に対する
塩化第二鉄の添加量が0.08重量部未満であると、得
られる酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの低温時における
粘度上昇抑制効果を十分に得られなくなり、逆に酢酸ビ
ニルモノマー100重量部に対する塩化第二鉄の添加量
が1.2重量部を超えると、得られる酢酸ビニル樹脂系
エマルジョンの安定性が悪くなって、低温時にゲル化を
起こす。
【0022】また、酢酸ビニルモノマーに対する塩化第
二鉄の添加を酢酸ビニルモノマーの重合反応中に行う
と、得られる酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの安定性が
悪くなって、低温時にゲル化を起こす。また、酢酸ビニ
ルモノマーに対する塩化第二鉄の添加を酢酸ビニルモノ
マーの重合反応終了後に行うと、得られる酢酸ビニル樹
脂系エマルジョンの低温時における粘度上昇抑制効果を
十分に得られなくなる。
【0023】本発明の製造方法による酢酸ビニル樹脂系
エマルジョンは、水を重合溶媒とし、上記塩化第二鉄の
存在下で、例えば過酸化物や過硫酸塩等の重合触媒を共
存させて、前記EVAエマルジョン中のEVAをシード
とし、前記PVAを保護コロイドとして、酢酸ビニルモ
ノマーをシード重合することにより得られる。
【0024】好ましくは、EVAエマルジョンに酢酸ビ
ニルモノマーの一部を添加し、次いで塩化第二鉄水溶液
を添加した後に、重合触媒の一部を添加することにより
初期シード重合反応を開始させ、次いで残りの酢酸ビニ
ルモノマーを連続的にもしくは間歇的に滴下すると同時
に、残りの重合触媒を添加してシード重合反応を行う。
【0025】上記酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを構成
する酢酸ビニル樹脂は、酢酸ビニルモノマーの単独重合
体であっても勿論良いし、酢酸ビニルモノマーと該酢酸
ビニルモノマーと共重合可能な重合性モノマーとの共重
合体であっても良い。
【0026】上記酢酸ビニルモノマーと共重合可能な重
合性モノマーとしては、特に限定されるものではない
が、例えば、n−ブチル(メタ)アクリレートや2−エ
チルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート、(メ
タ)アクリル酸等が挙げられる。これらの酢酸ビニルモ
ノマーと共重合可能な重合性モノマーは、単独で用いら
れても良いし、2種類以上が併用されても良い。尚、こ
こで言う、例えば(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸
またはメタクリル酸を意味する。
【0027】また、重合触媒として用いられる過酸化物
としては、特に限定されるものではないが、例えば、過
酸化水素等が挙げられる。また、重合触媒として用いら
れる過硫酸塩としては、特に限定されるものではない
が、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫
酸アルミニウム等が挙げられる。これら重合触媒として
用いられる過酸化物や過硫酸塩は、単独で用いられても
良いし、2種類以上が併用されても良く、また、酒石
酸、蟻酸、蓚酸等の還元剤が併用されても良い。
【0028】本発明の製造方法による酢酸ビニル樹脂系
エマルジョンには、本発明の課題達成を阻害しない範囲
で必要に応じて、粘着性付与樹脂、カップリング剤、無
機もしくは有機充填剤、増粘剤、揺変性付与剤、着色
剤、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、光安定剤、
紫外線吸収剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤、有機溶剤等の
各種添加剤の1種もしくは2種以上を添加しても良い。
【0029】また、本発明の製造方法による酢酸ビニル
樹脂系エマルジョンには、可塑剤や軟化剤等の柔軟化剤
は添加しない方が好ましい。可塑剤や軟化剤等の柔軟化
剤を添加すると、得られる酢酸ビニル樹脂系エマルジョ
ンの最低造膜温度は低下するものの、乾燥後の機械的強
度や接着強度が著しく低下することがある。
【0030】(作用)本発明の製造方法によれば、EV
Aエマルジョン中のEVAをシード(種子)とし、PV
Aを保護コロイドとして酢酸ビニルモノマーをシード重
合する酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの製造方法におい
て、特定量の酢酸ビニルモノマーに対して、特定量の塩
化第二鉄を酢酸ビニルモノマーの重合反応開始前に添加
するので、粘度の温度依存性が低く、低温時においても
粘度の上昇が少ない酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを簡
便且つ容易に得ることができる。
【0031】また、上記酢酸ビニル樹脂系エマルジョン
は、EVAエマルジョン中のEVAをシード(種子)と
し、PVAを保護コロイドとして得られるので、可塑剤
や軟化剤等の柔軟化剤を添加しなくとも、最低造膜温度
が十分に低く、低温造膜性に優れる。
【0032】即ち、本発明の製造方法による酢酸ビニル
樹脂系エマルジョンは、低温時においても粘度の上昇が
少なく、且つ、低温造膜性にも優れるので、冬季におい
ても優れた作業性や初期接着力を発現し得るものであ
る。
【0033】
【実施例】本発明をさらに詳しく説明するため以下に実
施例を挙げるが、本発明はこれら実施例のみに限定され
るものではない。尚、実施例中の「部」は「重量部」を
意味する。
【0034】(実施例1)攪拌機、還流冷却管、温度計
及び滴下漏斗を備えた反応器に、水110部、PVA
(商品名「クラレPVA−617」、平均重合度170
0、鹸化度96モル%、クラレ社製)20部を仕込み、
分散させ、90℃で1時間溶解してPVAの水溶液を得
た。このPVA水溶液を50℃まで冷却し、これにEV
Aエマルジョン(商品名「OM−2000」、EVAの
エチレン含有量35重量%、クラレ社製)を、酢酸ビニ
ルモノマー100部に対して、EVA換算で18部とな
るように仕込み、攪拌後70℃まで昇温した。次に、酢
酸ビニルモノマー100部の内の8重量%を添加した
後、酢酸ビニルモノマー100部に対する塩化第二鉄の
添加量が0.3部となるように塩化第二鉄水溶液を添加
し、さらに、重合触媒(過酸化水素及び酒石酸)の所定
量の内の20重量%を添加して、初期シード重合反応を
開始させた。次いで、酢酸ビニルモノマー100部の内
の92重量%を3時間かけて滴下すると共に、重合触媒
(過酸化水素及び酒石酸)の所定量の内の80重量%を
3.5時間かけて滴下して、シード重合反応を行った。
酢酸ビニルモノマーの滴下終了後、90℃で1時間熟成
を行い、冷却、水による粘度調整等の工程を経て、固形
分38重量%の酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを作製し
た。
【0035】(実施例2)酢酸ビニルモノマー100部
に対する塩化第二鉄の添加量を0.1部としたこと以外
は実施例1の場合と同様にして、酢酸ビニル樹脂系エマ
ルジョンを作製した。
【0036】(実施例3)酢酸ビニルモノマー100部
に対する塩化第二鉄の添加量を1部としたこと以外は実
施例1の場合と同様にして、酢酸ビニル樹脂系エマルジ
ョンを作製した。
【0037】(比較例1)酢酸ビニルモノマー100部
に対する塩化第二鉄の添加量を0.07部としたこと以
外は実施例1の場合と同様にして、酢酸ビニル樹脂系エ
マルジョンを作製した。
【0038】(比較例2)酢酸ビニルモノマー100部
に対する塩化第二鉄の添加量を2部としたこと以外は実
施例1の場合と同様にして、酢酸ビニル樹脂系エマルジ
ョンを作製した。
【0039】(比較例3)塩化第二鉄(塩化第二鉄水溶
液)の添加を重合触媒(過酸化水素及び酒石酸)の所定
量の内の80重量%の滴下と同時に行ったこと、即ち、
重合反応中に行ったこと以外は実施例1の場合と同様に
して、酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを作製した。
【0040】(比較例4)塩化第二鉄(塩化第二鉄水溶
液)の添加を重合反応終了後に行ったこと以外は実施例
1の場合と同様にして、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン
を作製した。
【0041】(比較例5)塩化第二鉄(塩化第二鉄水溶
液)を添加しなかったこと以外は実施例1の場合と同様
にして、酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを作製した。
【0042】BH型回転粘度計を用いて、回転数10r
pmの条件で、実施例1〜実施例3及び比較例1〜比較
例5で得られた酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの30℃
及び5℃における粘度を測定した。また、下式により粘
度比を算出した。その結果は表1に示すとおりであっ
た。但し、比較例2及び比較例3で得られた酢酸ビニル
樹脂系エマルジョンは、5℃においてゲル化していたの
で、5℃における粘度は測定できなかった。従って粘度
比の算出もできなかった。 〔粘度比の算出式〕 粘度比(倍)=5℃の粘度/30℃の粘度
【0043】
【表1】
【0044】表1から明らかなように、本発明の製造方
法による実施例1〜実施例3の酢酸ビニル樹脂系エマル
ジョンは、30℃における粘度と比較して5℃における
粘度の上昇が少なく、粘度比も低かった。
【0045】これに対し、酢酸ビニルモノマー100重
量部に対する塩化第二鉄の添加量が0.08重量部未満
(0.07重量部)であった比較例1の酢酸ビニル樹脂
系エマルジョン及び塩化第二鉄(塩化第二鉄水溶液)の
添加を重合反応終了後に行った比較例4の酢酸ビニル樹
脂系エマルジョンは、30℃における粘度と比較して5
℃における粘度の上昇が大きく、粘度比も高かった。
【0046】また、シード重合時に塩化第二鉄を添加し
なかった比較例5の酢酸ビニル樹脂系エマルジョンは、
30℃における粘度と比較して5℃における粘度の上昇
が極めて大きく、粘度比も極めて高かった。
【0047】さらに、酢酸ビニルモノマー100重量部
に対する塩化第二鉄の添加量が1.2重量部を超えてい
た(2重量部)比較例2の酢酸ビニル樹脂系エマルジョ
ン及び塩化第二鉄(塩化第二鉄水溶液)の添加を重合反
応中に行った比較例3の酢酸ビニル樹脂系エマルジョン
は、低温時における安定性が悪く、5℃においてゲル化
していた。
【0048】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の製造方法に
よれば、粘度の温度依存性が低いので低温時においても
粘度の上昇が少なく、且つ、最低造膜温度が十分に低い
ので低温造膜性に優れ、従って冬季においても優れた作
業性や初期接着力を発現し得る酢酸ビニル樹脂系エマル
ジョンを簡便且つ容易に得ることができる。
【0049】また、本発明の製造方法で得られた酢酸ビ
ニル樹脂系エマルジョンは、上記優れた性能を発現する
ので、例えば紙管用のような接着剤、塗料、コーティン
グ剤等として好適に用いられる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化第二鉄の存在下で、エチレン−酢酸
    ビニル共重合体エマルジョン中のエチレン−酢酸ビニル
    共重合体をシード(種子)とし、ポリビニルアルコール
    を保護コロイドとして酢酸ビニルモノマーをシード重合
    する酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの製造方法であっ
    て、酢酸ビニルモノマー100重量部に対して、上記塩
    化第二鉄0.08〜1.2重量部を酢酸ビニルモノマー
    の重合反応開始前に添加することを特徴とする酢酸ビニ
    ル樹脂系エマルジョンの製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006143851A (ja) * 2004-11-18 2006-06-08 Konishi Co Ltd 酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの製造方法、および該製造方法により調製された酢酸ビニル樹脂系エマルジョン、並びに水性接着剤

Cited By (2)

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JP2006143851A (ja) * 2004-11-18 2006-06-08 Konishi Co Ltd 酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの製造方法、および該製造方法により調製された酢酸ビニル樹脂系エマルジョン、並びに水性接着剤
JP4675087B2 (ja) * 2004-11-18 2011-04-20 コニシ株式会社 酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの製造方法、および該製造方法により調製された酢酸ビニル樹脂系エマルジョン、並びに水性接着剤

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