JP3827856B2 - リキッドタンクの気密性能検査方法及びその装置 - Google Patents

リキッドタンクの気密性能検査方法及びその装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷媒流入孔と冷媒流出孔を有する空調装置用のリキッドタンクの気密性能検査方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図13は、リキッドタンクの一例を示す正面図であり、図14は、図13に示すものの底面図である。図13,図14に示すように、このリキッドタンク10は、車両用空調装置で使用されるものであって、底部に、冷媒流入孔11及び冷媒流出孔12が貫設され、リキッドタンク10内までは至らない2つのネジ孔13が形成され、リリーフバルブ14が配設されている。
【0003】
図15は、リキッドタンクに気密検査用治具を取り付けた状態を示す正面図である。従来、リキッドタンク10の気密性能を検査する際には、先ず、リキッドタンク10のネジ孔13を利用して、検査用治具であるカプラー20をリキッドタンク10に取り付ける。
【0004】
このカプラー20は、リキッドタンク10のネジ孔13に螺合するボルト21と、このボルト21によってリキッドタンク10に装着される本体部22よりなり、この本体部22が、リキッドタンク10の冷媒流入孔11を密閉する第1密閉部23と、リキッドタンク10の冷媒流出孔12を密閉する第2密閉部24と、第1及び第2の両密閉部23,24の少なくとも一方に設けた導入孔を介してリキッドタンク10内に連通可能な開閉弁25付きのポート26とを備えている。
【0005】
カプラー20をリキッドタンク10に取り付けた後、窒素ガスと、検査ガスであるフロンガスとの混合ガスをカプラー20のポート26を利用してリキッドタンク10内へ所定正圧で封入し、その封入したリキッドタンク10を開閉蓋付きのチャンバー内に密封し、窒素ガス雰囲気の該チャンバー内にリキッドタンクを所定時間放置し、その所定時間経過後のチャンバー内のフロンガス濃度を検出してリキッドタンク10の気密性能を検査している。
【0006】
そして、チャンバー内のフロンガス濃度を検出した後、開閉蓋を開けてチャンバー内からリキッドタンク10を取り出し、カプラー20のポート26を利用してリキッドタンク10内から前記混合ガスを回収し、カプラー20をリキッドタンク10から取り外している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、以上説明した従来の気密性能検査では、チャンバーの開閉蓋を開けてチャンバー内からリキッドタンク10を出し入れするため、チャンバーにはリキッドタンク10を把持した人間の手が入るだけの内径が必要で、チャンバーの容積がリキッドタンク10の体積と比べて必要以上に大きくなる。
【0008】
このため、従来の気密性能検査には、チャンバーが場所を取るという問題点と、リキッドタンク10を密封したチャンバー内の検査ガス濃度を適正に検出するために必要なチャンバー内でのリキッドタンク10の放置時間が長くなり、検査に時間が掛かるという問題点とがある。
【0009】
また、従来の気密性能検査には、リキッドタンク10へのカプラー20の着脱が必要なため、この着脱に人手が掛かってリキッドタンク10の検査費用が嵩むと共に、リキッドタンク10から取り外したカプラー20を再利用するためカプラー20をリキッドタンク10への取付場所へ戻す必要があり、この戻すためのコンベア等の付帯設備や人手が必要でリキッドタンク10の検査費用が嵩むという問題点もある。
【0010】
更に、従来の気密性能検査には、空調装置の冷媒用配管をリキッドタンク10に固定するためのネジ孔13を利用してカプラー20をリキッドタンク10に取り付けるため、リキッドタンク10へのカプラー20の着脱時にリキッドタンク10のネジ孔13のネジを潰してしまう恐れもある。
【0011】
そこで、本発明では、従来技術と比べて、チャンバーの容積を小さくすることができ、リキッドタンクの気密性能検査に掛かる検査費用を削減することもでき、気密性能検査時にリキッドタンクのネジ孔のネジを潰す恐れを解消することもできるリキッドタンクの気密性能検査方法及びその装置を提供することを課題としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段として、請求項1の発明では、冷媒流入孔と冷媒流出孔を有する空調装置用のリキッドタンクの気密性能検査方法であって、台座の所定位置にリキッドタンクを配置して該リキッドタンクに有底筒状のチャンバーを被せ、該チャンバーを台座に固定することにより、前記チャンバーと台座とでリキッドタンクを押圧挟持して密封すると共に、チャンバー又は台座の一方に設けた密閉部で前記冷媒流入孔と冷媒流出孔とを密閉し、該密閉部に設けた導入孔を介してリキッドタンク内を該密閉部に連なる開閉手段付きのタンク用ポートに連通させる第1行程と、前記チャンバー又は台座の少なくとも一方に設けた開閉手段付きのチャンバー用ポートを利用してチャンバー内を検査ガスを含まない清浄ガスで置換する第2行程と、前記タンク用ポートを利用してリキッドタンク内に所定正圧の検査ガスを封入する第3行程と、該封入から所定時間経過後のチャンバー内の検査ガス濃度を前記チャンバー用ポートを利用して検出する第4行程と、前記タンク用ポートを利用してリキッドタンク内の検査ガスを回収する第5行程と、前記チャンバーの台座への固定を解除してチャンバーを台座の上方へ持ち上げ、チャンバーと台座によるリキッドタンクの密封を解除してリキッドタンクを台座から取り出すと共に、少なくともチャンバー内及びチャンバー用ポート内を前記清浄ガスで清掃する第6工程とを備えている、という構成を採用している。
【0013】
このため、請求項1の発明では、チャンバー内及びチャンバー用ポート内に残留あるいは付着する検査ガスを清浄ガスで除去して、清浄ガス雰囲気のチャンバー内に密封したリキッドタンクから検査ガスがリークした場合のチャンバー内の検査ガス濃度を検出することができる。
【0014】
しかも、請求項1の発明では、第1行程において、台座の所定位置に配置したリキッドタンクに有底筒状のチャンバーを被せて該チャンバーを台座に固定することにより、チャンバーと台座とでリキッドタンクを密封し、第6行程において、チャンバーの台座への固定を解除してチャンバーを台座の上方へ持ち上げ、チャンバーと台座によるリキッドタンクの密封を解除してリキッドタンクを台座から取り出すので、チャンバー内からのリキッドタンクの出し入れの際に、リキッドタンクを把持した手をチャンバー内に出し入れする必要が無い。
【0015】
また、請求項1の発明では、チャンバーと台座とでリキッドタンクを押圧挟持して、チャンバー又は台座の一方に設けた密閉部でリキッドタンクの冷媒流入孔と冷媒流出孔を密閉し、該密閉部に設けた導入孔を介してリキッドタンク内を該密閉部に連なる開閉手段付きのタンク用ポートに連通させ、該タンク用ポートを利用してリキッドタンクへの検査ガスの封入とリキッドタンクからの検査ガスの回収とを行うので、従来技術のように検査ガスの封入及び回収用のカプラを使用する必要が無い。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1記載のリキッドタンクの気密性能検査方法であって、前記第2行程の前又は後に、前記検査用ポートを利用してリキッドタンク内の真空引きを行い、リキッドタンクが所定時間内に所定の真空度に到達しなかった場合には、少なくとも前記第3行程から前記第5行程までを省略することを特徴とするものである。
【0017】
このため、請求項2の発明では、リキッドタンクのクラック等の欠陥の有無をリキッドタンク内に検査ガスを封入する前に検出して、リキッドタンク内からチャンバー内への検査ガスの大量の漏れを未然に防止することができる。
【0018】
また、請求項2の発明では、クラック等の欠陥が無い真空状態のリキッドタンク内に検査ガスを封入することにより、その封入したリキッドタンク内の検査ガス濃度を封入前の検査ガス濃度と略同一にすることもできる。
【0019】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載のリキッドタンクの気密性能検査方法であって、前記第4行程では、前記所定時間の経過途中にチャンバー内の検査ガス濃度を少なくとも1回検出し、該検出結果が所定値以上である場合には直ちにリキッドタンク内の検査ガスを回収することを特徴とするものである。
【0020】
このため、請求項3の発明では、検査ガスのリークが大きいリキッドタンクを早めに検出して、リキッドタンク内からチャンバー内への検査ガスのリーク量の増大を抑えることができる。
【0021】
請求項4の発明は、冷媒流入孔と冷媒流出孔を有する空調装置用のリキッドタンクの気密性能検査装置であって、前記リキッドタンクを載置させる台座と、該台座に対して昇降自在に配設され該台座との協働でリキッドタンクを押圧挟持して密封する有底筒状のチャンバーと、該チャンバーをリキッドタンクを密封した状態で台座に解除可能に固定する固定手段と、前記チャンバー又は台座の一方に設けられチャンバーと台座によるリキッドタンクの押圧挟持によって前記冷媒流入孔と冷媒流出孔を密閉する密閉部と、該密閉部に連なり該密閉部に設けた導入孔を介してリキッドタンク内に連通可能な開閉手段付きのタンク用ポートと、前記台座又はチャンバーの少なくとも一方に設けられリキッドタンクを密封したチャンバー内に連通可能な開閉手段付きのチャンバー用ポートと、前記タンク用ポートに接続されてリキッドタンク内に所定正圧の検査ガスを封入する検査ガス供給装置と、前記チャンバー用ポートに接続されてリキッドタンクを密封したチャンバー内の検査ガス濃度を検出する検出装置と、前記タンク用ポートに接続されてリキッドタンク内の検査ガスを回収する回収装置と、リキッドタンクを密封したチャンバー内の雰囲気置換時に前記チャンバー用ポートに接続されて検査ガスを含まない清浄ガスをチャンバー内に供給すると共に、少なくともチャンバー内及びチャンバー用ポート内の清掃時に少なくともチャンバー内及びチャンバー用ポート内に前記清浄ガスを供給する清浄ガス供給装置とを備えていることを特徴とするものである。
【0022】
このため、請求項4の発明では、台座にリキッドタンクを載置し、有底筒状のチャンバーを台座に向かって降下させ、チャンバーを台座に固定手段で解除可能に固定することにより、チャンバーと台座とでリキッドタンクを押圧挟持して密封すると共に、チャンバー又は台座の一方に設けた密閉部でリキッドタンクの冷媒流入孔と冷媒流出孔とを密閉し、密閉部に設けた導入孔を介してリキッドタンク内を密閉部に連なる開閉手段付きのタンク用ポートに連通させることができる。
【0023】
そして、チャンバー又は台座の少なくとも一方に設けた開閉手段付きのチャンバー用ポートに清浄ガス供給装置を接続して、検査ガスを含まない清浄ガスをチャンバー内に供給することによりチャンバー内を清浄ガスで置換し、タンク用ポートに検査ガス供給装置を接続してリキッドタンク内に所定正圧の検査ガスを封入し、該封入から所定時間経過後のチャンバー内の検査ガス濃度を、チャンバー用ポートに検出装置を接続して検出し、タンク用ポートに回収装置を接続してリキッドタンク内の検査ガスを回収することができる。
【0024】
更に、固定手段によるチャンバーの台座への固定を解除し、チャンバーを台座の上方へ上昇させてリキッドタンクを台座から取り出し、清浄ガス供給装置により少なくともチャンバー内及びチャンバー用ポート内を清浄ガスで清掃することができる。
【0025】
従って、請求項4の発明では、チャンバー内及びチャンバー用ポート内に残留あるいは付着する検査ガスを清浄ガスで除去して、清浄ガス雰囲気のチャンバー内に密封したリキッドタンクから検査ガスがリークした場合のチャンバー内の検査ガス濃度を検出することができる。
【0026】
しかも、請求項4の発明では、有底筒状のチャンバーの台座に対する昇降によってリキッドタンクのチャンバーからの出し入れをすることができるので、チャンバー内からのリキッドタンクの出し入れの際に、リキッドタンクを把持した手をチャンバー内に出し入れする必要が無い。
【0027】
また、請求項4の発明では、チャンバーと台座とでリキッドタンクを押圧挟持して、チャンバー又は台座の一方に設けた密閉部でリキッドタンクの冷媒流入孔と冷媒流出孔を着脱自在に密閉し、密閉部に設けた導入孔を介してリキッドタンク内を密閉部に連なる開閉手段付きのタンク用ポートに連通させることができ、このタンク用ポートを利用してリキッドタンクへの検査ガスの封入とリキッドタンクからの検査ガスの回収とを行うことができるので、従来の検査装置のように検査ガスの封入及び回収用のカプラを使用する必要が無い。
【0028】
請求項5の発明は、請求項4記載のリキッドタンクの気密性能検査装置であって、前記チャンバーを前記台座に対して昇降させる昇降装置を備え、前記固定手段は、前記昇降装置によりチャンバーを台座上に降下させた状態でチャンバーを台座に押し付けてロックし、前記昇降装置によるチャンバーの上昇時にチャンバーの台座へのロックを解除する固定装置であることを特徴とするものである。
【0029】
このため、請求項5の発明では、昇降装置でチャンバーを台座に向かって降下させ、固定装置でチャンバーを台座に固定することにより、チャンバーと台座とでリキッドタンクを押圧挟持して密封すると共に、チャンバー又は台座の一方に設けた密閉部でリキッドタンクの冷媒流入孔と冷媒流出孔とを密閉して、密閉部に設けた導入孔を介してリキッドタンク内を密閉部に連なる開閉手段付きのタンク用ポートに連通させることができる。
【0030】
また、請求項5の発明では、固定装置でチャンバーの台座への固定を解除し、昇降装置でチャンバーを台座の上方へ上昇させることにより、チャンバーと台座によるリキッドタンクの密封を解除してチャンバー内からリキッドタンクを取り出すこともできる。
【0031】
請求項6の発明は、請求項4又は5記載のリキッドタンクの気密性能検査装置であって、前記密閉部が、前記台座に立設された前記冷媒流入孔用の第1密閉ピンと前記冷媒流入孔用の第2密閉ピンであり、該第1及び第2の両密閉ピンは、一方にのみ前記導入孔が設けられ、他方が、前記冷媒流入孔と冷媒流入孔の配置に応じて位置変更可能に台座に固定されていることを特徴とするものである。
【0032】
このため、請求項6の発明では、台座に位置変更可能に固定されている密閉ピンの台座への固定位置を変更することによって、冷媒流入孔と冷媒流入孔の配置が異なるリキッドタンクの気密性能検査に対応することができる。
【0033】
請求項7の発明は、請求項4〜6の何れかに記載のリキッドタンクの気密性能検査装置であって、前記タンク用ポートに接続されて前記リキッドタンク内を真空引きする真空ポンプと、該真空ポンプによって真空引きされたリキッドタンク内の真空度を検出する真空計とを備えていることを特徴とするものである。
【0034】
このため、請求項7の発明では、チャンバー内にリキッドタンクを密封した後であってリキッドタンク内に検査ガスを封入する前に真空ポンプでリキッドタンク内を真空引きし、その真空引きしたリキッドタンク内の真空度を真空計で検出して、リキッドタンクが所定時間内に所定の真空度に到達するか否かを検査することにより、リキッドタンクのクラック等の欠陥の有無をリキッドタンク内に検査ガスを封入する前に検出して、リキッドタンク内からチャンバー内への検査ガスの大量の漏れを未然に防止することができる。
【0035】
また、請求項7の発明では、真空引きの開始から所定時間内に所定の真空度に到達したリキッドタンクに対して検査ガスを封入することにより、真空状態のリキッドタンク内に検査ガスを封入して、その封入したリキッドタンク内の検査ガス濃度を封入前の検査ガス濃度と略同一にすることもできる。
【0036】
請求項8の発明は、請求項7記載のリキッドタンクの気密性能検査装置であって、前記真空計で検出した前記リキッドタンク内の真空度と、前記検出装置で検出した前記チャンバー内の検査ガス濃度とに基づきリキッドタンクを前記台座から取り出して良品と不良品とに分類する払出し装置を備えていることを特徴とするものである。
【0037】
このため、請求項8の発明では、リキッドタンクの台座からの取り出しと、リキッドタンクの良品と不良品との分類とを払出し装置で自動的に行うことができる。
【0038】
【発明の効果】
請求項1の発明では、チャンバー内及びチャンバー用ポート内に残留あるいは付着する検査ガスを清浄ガスで除去して、清浄ガス雰囲気のチャンバー内に密封したリキッドタンクから検査ガスがリークした場合のチャンバー内の検査ガス濃度を検出することができるので、リキッドタンクの気密性能を正確に検査することができる。
【0039】
しかも、請求項1の発明では、チャンバー内からのリキッドタンクの出し入れの際に、リキッドタンクを把持した手をチャンバー内に出し入れする必要が無いので、チャンバーの容積を従来のチャンバーより小さくすることができ、その結果、従来の検査方法と比べて、適正な検査に必要なチャンバー内でのリキッドタンクの放置時間を短くして検査時間を短縮することができると共に、チャンバーの占有空間を小さくすることもできる。
【0040】
また、請求項1の発明では、従来のように検査ガスの封入及び回収用のカプラを使用する必要が無いので、リキッドタンクへのカプラーの着脱に掛かる人件費を無くすことができると共に、リキッドタンクから取り外したカプラーを再利用のためにリキッドタンクへの取付場所へ戻すための人件費及びコンベア等の付帯設備を無くすこともでき、その結果、リキッドタンクの検査費用を削減することができる。
【0041】
更に、請求項1の発明では、従来技術のように検査ガスの封入及び回収用のカプラを使用する必要が無いので、リキッドタンクのネジ孔を利用してリキッドタンクにカプラーを着脱する必要も無く、従って、その着脱時に前記ネジ孔のネジを潰してしまう恐れを解消することもできる。
【0042】
請求項2の発明では、リキッドタンクからチャンバー内への検査ガスの大漏れを未然に防止することができるので、チャンバー内及びチャンバー用ポート内の検査ガスによる大規模な汚染を未然に防止し、その大規模な汚染を除去する除去作業を無くして検査効率を向上させることができる。
【0043】
また、請求項2の発明では、真空状態のリキッドタンク内に検査ガスを封入することにより、その封入したリキッドタンク内の検査ガス濃度を封入前の検査ガス濃度と略同一にすることができるので、リキッドタンクを密封したチャンバー内の検査ガス濃度を検出することによって、リキッドタンクからリークする検査ガスのリーク速度(単位はg/年)の算出精度が向上し、リキッドタンクの良否をより正確に判断することもできる。
【0044】
請求項3の発明では、検査ガスのリークが大きいリキッドタンクを早めに検出して、リキッドタンクからチャンバー内への検査ガスのリーク量の増大を抑えることができるので、チャンバー内及びチャンバー用ポート内の洗浄を通常の洗浄工程のみで行うことができ、特別な洗浄作業を無くして検査効率を向上させることができる。
【0045】
請求項4の発明では、チャンバー内及びチャンバー用ポート内に残留あるいは付着する検査ガスを清浄ガスで除去して、清浄ガス雰囲気のチャンバー内に密封したリキッドタンクから検査ガスがリークした場合のチャンバー内の検査ガス濃度を検出することができるので、リキッドタンクの気密性能を正確に検査することができる。
【0046】
しかも、請求項4の発明では、チャンバー内からのリキッドタンクの出し入れの際に、リキッドタンクを把持した手をチャンバー内に出し入れする必要が無いので、チャンバーの容積を従来のチャンバーより小さくすることができ、その結果、従来の検査装置と比べて、適正な検査に必要なチャンバー内でのリキッドタンクの放置時間を短くして検査時間を短縮することができると共に、チャンバーの占有空間を小さくすることもできる。
【0047】
また、請求項4の発明では、従来の検査装置のように検査ガスの封入及び回収用のカプラを使用する必要が無いので、リキッドタンクへのカプラーの着脱に掛かる人件費を無くすことができると共に、リキッドタンクから取り外したカプラーを再利用のためにリキッドタンクへの取付場所へ戻すための人件費及びコンベア等の付帯設備を無くすこともでき、その結果、リキッドタンクの検査費用を削減することができる。
【0048】
更に、請求項4の発明では、従来の検査装置のように検査ガスの封入及び回収用のカプラを使用する必要が無いので、リキッドタンクのネジ孔を利用してリキッドタンクにカプラーを着脱する必要も無く、従って、その着脱時に前記ネジ孔のネジを潰してしまう恐れを解消することもできる。
【0049】
請求項5の発明では、昇降装置でチャンバーを台座に向かって降下させ、固定装置でチャンバーを台座に固定することにより、チャンバーと台座とでリキッドタンクを押圧挟持して密封すると共に、チャンバー又は台座の一方に設けた密閉部でリキッドタンクの冷媒流入孔と冷媒流出孔とを密閉して、密閉部に設けた導入孔を介してリキッドタンク内を密閉部に連なる開閉手段付きのタンク用ポートに連通させることができるので、チャンバーと台座によるリキッドタンクのセットが容易である。
【0050】
また、請求項5の発明では、固定装置でチャンバーの台座への固定を解除し、昇降装置でチャンバーを台座の上方へ上昇させることにより、チャンバーと台座によるリキッドタンクの密封を解除してチャンバー内からリキッドタンクを取り出すことができるので、チャンバー内からのリキッドタンクの取り出しも容易である。
【0051】
請求項6の発明では、台座に位置変更可能に固定されている密閉ピンの台座への固定位置を変更することによって、冷媒流入孔と冷媒流入孔の配置が異なるリキッドタンクの気密性能検査に対応することができるので、前記配置が異なるリキッドタンクの気密性能を検査することができる。
【0052】
請求項7の発明では、リキッドタンクからチャンバー内への検査ガスの大漏れを未然に防止することができるので、チャンバー内及びチャンバー用ポート内の検査ガスによる大規模な汚染を未然に防止し、その大規模な汚染を除去する除去作業を無くして検査効率を向上させることができる。
【0053】
また、請求項7の発明では、真空状態のリキッドタンク内に検査ガスを封入して、その封入したリキッドタンク内の検査ガス濃度を封入前の検査ガス濃度と略同一にすることができるので、リキッドタンクを密封したチャンバー内の検査ガス濃度を検出することによって、リキッドタンクからリークする検査ガスのリーク速度(単位はg/年)の算出精度が向上し、リキッドタンクの良否をより正確に判断することもできる。
【0054】
請求項8の発明では、リキッドタンクの台座からの取り出しと、リキッドタンクの良品と不良品との分類を払出し装置で自動的に行うことができるので、前記取り出しと分類とを正確かつ確実に行うことができ、リキッドタンクの製造ライン等で大量のリキッドタンクに対して気密性能検査を行う場合には、その気密性能検査に掛かる人件費を削減して、検査費用を削減することもできる。
【0055】
【発明の実施の形態】
図1は、請求項4〜8記載の各発明を併せて実施した実施の形態の一例を示す平面図である。なお、以下に行う説明では、リキッドタンクに関しては、従来技術の項で既に説明した図13,図14図示のリキッドタンク10と同一であるので、リキッドタンク10と同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0056】
図1に示すように、リキッドタンク10の気密性能検査装置1は、回転駆動装置によって所定時間毎に回転角度30度づつ時計回りに回転駆動される円形のターンテーブル30を備え、このターンテーブル30の上面の外周縁部分におけるターンテーブル30を30度の等角度で12分割した各部位に、リキッドタンク10を載置させる台座40がそれぞれ取り付けられている。
【0057】
また、この気密性能検査装置1は、ターンテーブル30の上面における各台座40より中心側の部位に、ターンテーブル30の上面から垂直に延びるレール51を備えた摺動装置50がレール51を台座40側へ向けて放射状に配設され、各摺動装置50のレール51に、摺動部材52がレール51に沿って摺動自在に取り付けられ、各摺動部材52に、有底筒状のチャンバー60が開口部を下に向けて取り付けられて、各チャンバー60が台座40に対して昇降自在に配設されている。
【0058】
なお、図1の各符号S1〜S12は、台座40が間欠的に停止するターンテーブル30の停止位置を示しており、以下、各停止位置S1〜S12をそれぞれ第1ステージ〜第12ステージと呼ぶこととする。
【0059】
ターンテーブル30の第3ステージS3の外側には第1ステーションST1が配設され、第4ステージS4の外側には第2ステーションST2が配設され、第5ステージS5の外側には第3ステーションST3が配設され、第6ステージS6の外側には第4ステーションST4が配設され、第7ステージS7の外側には第5ステーションST5が配設され、第10ステージS10の外側には第6ステーションST6が配設され、第11ステージS11の外側には第7ステーションST7が配設され、第12ステージS12の外側には、第8ステーションST8と、良品のリキッドタンク10用のシューター71及び不良品のリキッドタンク10用のシューター72を備えた払出し装置70とが配設されている。
【0060】
図2は、図1に示すもののX−X線断面を示す説明図である。図2に示すように、ターンテーブル30の第3ステージS3の下方には、摺動部材52と共にチャンバー60を下降させる第1シリンダ装置A1が配設され、第12ステージS12のターンテーブル30の下方には、摺動部材52と共にチャンバー60を上昇させる第2シリンダ装置A2が配設されている。
【0061】
そして、ターンテーブル30における各摺動部材52の下方に位置する部位には、第1及び第2の両シリンダ装置A1,A2のロッドA1a,A2aが昇降するための昇降孔31が貫設されている。従って、チャンバー60を台座40に対して昇降させる昇降装置2は、摺動装置50,第1及び第2の両シリンダ装置A1,A2を備えている。
【0062】
図3は、昇降装置を示す斜視図であり、図4は、図3に示すもののチャンバーを固定した状態を示す斜視図である。図3,図4に示すように、摺動装置50は、レール51を支持する支持部材53の一方の側面の上方部位に、摺動部材52と共にチャンバー60を保持する保持部54を備えている。
【0063】
この保持部54は、支持部材53に固定された固定部材54aに、回転軸54bがその軸方向をターンテーブル30の半径方向に一致させて回転自在に保持され、この回転軸54bのターンテーブル30中心側の端部に、該端部から上方へ向かう第1アーム部材54cが固定され、回転軸54bのターンテーブル30外周側の端部に、該端部から上方へ向かう第2アーム部材54dが固定され、第1アーム部材54cの上端部がスプリング54eを介して支持部材53に連結され、このスプリング54eの弾撥力によって第1及び第2の両アーム部材54c,54dがほぼ垂直に状態保持されている。
【0064】
そして、第2アーム部材54dのレール51側の側面には、チャンバー60を摺動部材52にボルト固定するための矩形の取付部材61を係止するフック部54fが形成され、このフック部54fは、第2アーム部材54dのレール51側の側面の下端から上方へ向かってレール51側へ徐々に突出した傾斜面54gと、水平な上端面54hとを備えている。
【0065】
図5は、第12ステージでの昇降装置の作用を説明する説明図であって、(a)はシリンダ装置のロッドの上昇途中の状態を示し、(b)はロッドの下降途中の状態を示している。図5に示すように、昇降装置2の第2シリンダ装置A2は、そのロッドA2aの先端がチャンバー60の取付部材61には当接するが摺動装置50の保持部54の第2アーム部材54dには当接しない位置に配設されている。
【0066】
このため、第12ステージS12では、昇降装置2は、第2シリンダ装置A2のロッドA2aが上昇し、ロッドA2aの先端がチャンバー60の取付部材61に当接してチャンバー60を摺動部材52と共にレール51に沿って上昇させ、チャンバー60の取付部材61が第2アーム部材54dのフック部54fの傾斜面54gに当接して、第1及び第2の両アーム部材54c,54dを回転軸54bを中心に回動させ、チャンバー60の取付部材61が第2アーム部材54dのフック部54fの上端を通過した時点でスプリング54eにより第1及び第2の両アーム部材54c,54dが初期位置に復帰する。
【0067】
この後、第2シリンダ装置A2のロッドA2aが降下し、チャンバー60の取付部材61が第2アーム部材54dのフック部54fの上端面54hで支持されて、摺動装置50の保持部54によりチャンバー60が台座40上方の上昇位置で保持される。なお、第2シリンダ装置A2のロッドA2aは、シリンダ内に収納されて、最終的にはターンテーブル30より下方に配置される。
【0068】
従って、ターンテーブル30の第12ステージS12に続く第1及び第2の両ステージS1,S2では、チャンバー60は、摺動装置50の保持部54によって前記上昇位置で保持されたままとなる。なお、この上昇位置では、チャンバー60の開口部は、台座40上に載置されたリキッドタンク10の上端より上方に位置している。
【0069】
図6は、第3ステージでの昇降装置の作用を説明する説明図であって、(a)はシリンダ装置のロッドの上昇途中の状態を示し、(b)はロッドの下降直後の状態を示している。図6に示すように、昇降装置2の第1シリンダ装置A1は、そのロッドA2aの先端が、摺動装置50の第2アーム部材54dのフック部54fの傾斜面54gに当接しフック部54fによるチャンバー60の取付部材61の係止を解除して取付部材61に当接する位置に配設されている。
【0070】
このため、第3ステージでは、昇降装置2は、第1シリンダ装置A1のロッドA1aが上昇し、ロッドA1aの先端が摺動装置50の第2アーム部材54dのフック部54fの傾斜面54gに当接して第1及び第2の両アーム部材54c,54dを回転軸54bを中心に回動させ、第2アーム部材54dのフック部54fによるチャンバー60の取付部材61の係止を解除した状態でロッドA1aの先端面がチャンバー60の取付部材61に当接する。
【0071】
この後、第1シリンダ装置A1のロッドA1aと共にチャンバー60及び摺動部材52がレール51に沿って降下し、チャンバー60が開口部を台座40によって塞がれた状態で台座40上に載置され、ロッドA1aが第1シリンダ装置A1のシリンダ内に収納されてターンテーブル30より下方に配置される。
【0072】
図7は、チャンバーを示す断面図である。図7に示すように、有底筒状のチャンバー60は、その開口部を囲む底面に、台座40に押し付けられてチャンバー60内を密閉するOリング62が配設され、頂部の上面側に、密閉状態のチャンバー60内の圧力が所定圧以上になるとチャンバー60の密閉状態を開放するリリーフ弁63と、チャンバー60内に連通可能なチャンバー用ポート64とが配設されている。
【0073】
このチャンバー用ポート64は、その先端に開閉手段としての開閉弁64aを備え、この開閉弁64aは、弁座にスプリング等の弾性体で押し付けられた弁体64bの一部がチャンバー用ポート64の先端から突出している。このため、この弁体64bをニードル等で開閉弁64aの奥部へ押し込んで開閉弁64aを開けることにより、チャンバー用ポート64を介してチャンバー60内を外部と連通させることができる。
【0074】
チャンバー60の頂部の下面側には、台座40と協働してリキッドタンク10を押圧挟持する押圧部65が配設され、この押圧部65は、リキッドタンク10の頂部と係合する係合部材65aと、チャンバー60の頂部にボルト固定される固定部材65bと、係合部材65aと固定部材65bとを連結し係合部材65aを伸縮自在に支持する合成ゴム等の弾性部材65cよりなっている。
【0075】
また、チャンバー60は、図3に図示されているように、その下端部の左右両側に、後述する台座40の固定部材と係合する係合ボルト66が高さ調整可能に配設されている。
【0076】
図8は、台座を示す斜視図である。図8に示すように、台座40には、リキッドタンク10の冷媒流入孔11を密閉する第1密閉ピン41と、リキッドタンク10の冷媒流出孔12を密閉する第2密閉ピン42と、リキッドタンク10を支持する3本の支持ピン43とが立設されている。
【0077】
第1密閉ピン41は、リキッドタンク10の冷媒流入孔11に挿入される先端部41aと、冷媒流入孔11の内径より大径でチャンバー60の押圧部65と協働してリキッドタンク10を押圧挟持する支持部41bと、支持部41bの下端に突設された固定用のネジ部と、軸心に沿って貫設された導入孔41cとを備え、先端部41aと支持部41bとの境界の段差面には、リキッドタンク10を押圧挟持した際にリキッドタンク10の冷媒流入孔11をその開口縁で密閉するOリング41dが取り付けられている。
【0078】
そして、第1密閉ピン41は、ねじ部が台座40のネジ孔に螺着されて該ネジ孔を密閉した状態で台座40に固定されており、台座40の前面に設けられ台座40を介して第1密閉ピン41に連なるタンク用ポート44に導入孔41dが連通している。
【0079】
第2密閉ピン42は、リキッドタンク10の冷媒流出孔12に挿入される先端部42aと、冷媒流出孔12の内径より大径でチャンバー60の押圧部65と協働してリキッドタンク10を押圧挟持する支持部42bと、支持部42bの下端に突設された固定用の保持部とを備え、保持部が台座40の保持孔に着脱自在に嵌合されて台座40に抜き差し自在に固定されており、先端部42aと支持部42bとの境界の段差面には、リキッドタンク10を押圧挟持した際にリキッドタンク10の冷媒流出孔12をその開口縁で密閉するOリング42dが取り付けられている。
【0080】
なお、第1及び第2の両密閉ピン41,42は、その先端部41a,42aが軟質の合成樹脂製の保護部材で覆われている。このため、両密閉ピン41,42の先端部41a,42aでリキッドタンク10の冷媒流入孔11及び冷媒流出孔12を傷つけるのを防止することができる。
【0081】
3本の支持ピン43は、台座40の上面から突出しリキッドタンク10を支持する支持部43aと、この支持部43aの下端に突設された固定用の保持部よりなり、支持部43aの長さが第1及び第2の両密閉ピン41,42の支持部41b,42bの長さと略同一とされ、保持部が台座40の保持孔に着脱自在に嵌合されて台座40に抜き差し自在に固定されている。
【0082】
なお、各支持ピン43の保持部は第2密閉ピン42の保持部と同一形状とされ、従って、台座40の各支持ピン43用の保持孔も第2密閉ピン42用の保持孔と同一形状とされている。このため、各支持ピン43と第2密閉ピン42とは、台座40への固定箇所が互いに交換可能とされている。
【0083】
しかも、台座40における第2密閉ピン42及び各支持ピン43の配置は、形状が略同一で冷媒流入孔11と冷媒流出孔12の配置が異なる各種リキッドタンク10において冷媒流入孔11を一致させた場合の冷媒流出孔12の配置に対応している。
【0084】
従って、この気密性能検査装置1では、各支持ピン43と第2密閉ピン42との間で台座40への固定位置を変更することによって、形状が略同一で冷媒流入孔11と冷媒流出孔12の配置が異なる各種リキッドタンク10の気密性能検査を行うことができる。
【0085】
台座40の前面には、第1密閉ピン41の導入孔41cを介してリキッドタンク10内に連通可能なタンク用ポート44と、リキッドタンク10を密封した状態のチャンバー60内に連通可能なチャンバー用ポート45とが設けられており、台座40の上面中央部には、チャンバー用ポート45に連通する開口部45cが開口している。
【0086】
台座40のタンク用ポート44及びチャンバー用ポート45は、その先端に開閉手段としての開閉弁44a,45aを備えている。なお、この開閉弁44a,45aは、既に説明したチャンバー60のチャンバー用ポート64の開閉弁64aと同一の構造を有しており、先端から弁体44b,45bの一部が突出している。
【0087】
台座40の両側面には、リキッドタンク10を密封した状態でチャンバー60を台座40に固定する固定部材46が回動自在に取り付けられており、この固定部材46は、台座40への取付部から台座40の前面側へ突出する第1腕部46aと、その第1腕部46aの基部から上方へ突出する第2腕部46bと、その第2腕部46bの先端から台座40の後面側へ突出しチャンバー60の係合ボルト66と係脱自在に係合する第3腕部46cとを備え、第1及び第2の両腕部46a、46bの先端部に、ローラー46dが回転自在に取り付けられている。
【0088】
図9は、第3ステージにおけるチャンバーの台座への固定を示す説明図である。なお、図9においては、チャンバー60のリリーフ弁63及びチャンバー用ポート64は図示を省略している。
【0089】
図9に示すように、ターンテーブル30の第3ステージS3の外側に配設された第1ステーションST1には、チャンバー60を台座40に押し付ける押圧装置80と、固定部材46の第2腕部46bのローラ46dに当接して固定部材46を回動させ固定部材46の第3腕部46cをチャンバー60の係合ボルト66に係合させる固定用のシリンダ装置A3とが設けられている。
【0090】
この押圧装置80は、第1ステーションST1に回動自在に取り付けられたシリンダ装置81と、このシリンダ装置81のロッド81aの先端に設けられた倍力機構部82と、この倍力機構部82に取り付けられてチャンバー60を押圧する長さ調整可能な押圧ボルト83とを備えている。
【0091】
押圧装置80の倍力機構部82は、シリンダ装置81のロッド81aの先端と、その先端よりターンテーブル30寄りに位置する第1ステーションST1の取付部84との間に配設された逆く字状の第1部材82aと、この第1部材82aと押圧ボルト83とを連結する第2部材82bとを備えている。
【0092】
第1部材82aは、一端が、シリンダ装置81のロッドの先端に回動自在に取り付けられ、他端が、第1ステーションST1の取付部84に固定ピン84aにより回動自在に取り付けられている。第2部材82bは、一端が、取付部84に固定ピン83aにより回動自在に取り付けられ、中央部位が第1部材82aの取付部84寄りの部位に固定され、他端に、押圧ボルト83が長さ調整可能に取り付けられている。
【0093】
この押圧装置80では、回動軌跡Kに沿ってシリンダ装置81のロッド81aの先端が上昇すると、倍力機構部82の第1部材82aが第1ステーションST1の取付部84の固定ピン84aを回動中心として回動し、この第1部材84aの回動に伴い第2部材82bが固定ピン84aを回動中心として回動し、この第2部材82bの回動に伴い押圧ボルト83がチャンバー60の頂部の上面に当接してチャンバー60を台座40に押し付ける。
【0094】
このとき、シリンダ装置81により第1部材82aに作用する力は、てこの原理により第2部材82bで増大されて押圧ボルト83に伝達され、押圧ボルト83を介してチャンバー60を台座40に押し付け、チャンバー60の底面に配設したOリング62によりチャンバー60内にリキッドタンク10を密封すると共に、チャンバー60の押圧部65と台座40の第1及び第2の両密閉ピン41,42並びに支持ピン43とでリキッドタンク10を押圧挟持し、第1及び第2の両密閉ピン41,42のOリング41d,42dでリキッドタンク10の冷媒流入孔11及び冷媒流出孔12を密閉する。
【0095】
この状態で、固定用のシリンダ装置A3により固定部材46が回動し、固定部材46の第3腕部46cがチャンバー60の係合ボルト66と係合して、チャンバー60をリキッドタンク10を密封した状態で台座40に固定する。
【0096】
この後、押圧装置80は、シリンダ装置81が回動しながらシリンダ装置81のロッド81aがシリンダ内に収納され、倍力機構部82の第1及び第2の両部材82a,82bが取付部84の固定ピン84aを中心に回動して、押圧ボルト83が二点鎖線で示す待機位置に移動する。
【0097】
図10は、第12ステージにおけるチャンバーと台座との固定解除を示す説明図である。なお、図10においては、チャンバー60のリリーフ弁63及びチャンバー用ポート64は図示を省略している。
【0098】
図10に示すように、ターンテーブル30の第12ステージS12の外側に配設された第8ステーションST8には、チャンバー60を台座40に押し付ける押圧装置80と、固定部材46の第1腕部46aのローラ46dに当接して固定部材46を回動させ固定部材46の第3腕部46cとチャンバー60の係合ボルト66との係合を解除する固定解除用のシリンダ装置A3とが設けられている。
【0099】
なお、第8ステーションST8の押圧装置80は、既に説明した第1ステーションST8の押圧装置80と同一のものであるので、その説明を省略する。
【0100】
第12ステージS12では、第8ステーションST8の押圧装置80によりチャンバー60が台座40に押し付けられた状態で、固定解除用のシリンダ装置A4により固定部材46の第3腕部46cとチャンバー60の係合ボルト66との係合が解除されて、チャンバーの台座への固定が解除され、押圧装置80のリンダ装置81のロッド81aがシリンダ内に収納されて、押圧ボルト83が二点鎖線で示す待機位置に移動する。
【0101】
従って、この気密性能検査装置1では、チャンバー60を台座40に解除可能に固定する固定手段である固定装置3は、第1及び第8の両ステーションST1,ST8に配設された押圧装置80,各台座40に配設された固定部材46,固定用及び固定解除用の両シリンダ装置A3,A4並びにチャンバー60の係合ボルト66によって構成されている。
【0102】
図11は、ターンテーブルの第12ステージの外側に設けられたリキッドタンク用の払出し装置を示す正面図である。図11に示すように、この払出し装置70は、ターンテーブル30の外に配設されリキッドタンク10を良品と不良品に分類する良品用及び不良品用の両シューター71,72と、第12ステージS12の台座40からリキッドタンク10を取り出して両シューター71,72の上方まで運び該上方でリキッドタンク10を落下させる搬出装置73とを備えている。
【0103】
この搬出装置73は、ターンテーブル30の上方に配設されてターンテーブル30の外からターンテーブル30の第12ステージS12の台座40近傍の上方まで延びるレール部材74を備え、このレール部材74に、シリンダ装置75によって駆動される摺動部材76が摺動自在に取り付けられ、この摺動部材76に、リキッドタンク10を把持し或いはその把持を解除する開閉自在の2本のアーム77aを備えた把持装置77と、その把持装置77を昇降自在に支持する支持装置78とが取り付けられている。
【0104】
第12ステージS12において、固定装置3によりチャンバー60の台座40への固定が解除され、昇降装置2によりチャンバー60が台座40上方の上昇位置で保持された後、払出し装置70は、シリンダ装置75により摺動部材76と共に支持装置78及び把持装置77がレール部材74に沿って台座40近傍位置まで摺動し、把持装置77の2本のアーム77aが開いた状態で支持装置78により把持装置77が降下して、両アーム77a間にリキッドタンク10が配置され、両アーム77aが閉じ両アーム77aでリキッドタンク10を把持した状態で支持装置78により把持装置77が上昇してリキッドタンク10を台座40から取り外す。
【0105】
この後、シリンダ装置75により摺動部材76と共に支持装置78及び把持装置77がレール部材74に沿ってリキッドタンク10の投下位置まで摺動し、この投下位置で把持装置77の両アーム77aが開いてリキッドタンク10を良品用又は不良品用の何れか一方のシューター71,72上に投下する。なお、リキッドタンク10を良品用又は不良品用の何れのシューター71,72に投下するかは、リキッドタンク10の気密性能検査の結果に基づいて図示を省略したコントローラが判断する。
【0106】
すなわち、このコントローラは、リキッドタンク10の気密性能検査の結果が良好な場合には、シリンダ装置75により摺動部材76を良品用の停止位置まで摺動させて、リキッドタンク10を良品用のシューター71上に投下させ、リキッドタンク10の気密性能検査の結果が不良な場合には、シリンダ装置75により摺動部材76を不良品用の停止位置まで摺動させて、リキッドタンク10を不良品用のシューター72上に投下させる。
【0107】
ここで、第1〜第8の各ステーションST1,ST2,ST3,ST4,ST5,ST6,ST7,ST8について説明する。第1ステーションST1には、既に説明した押圧装置80、台座40の左右両側に配設された固定部材46を回動させる2台の固定用のシリンダ装置A3以外に、図1,図2に示すように、リキッドタンク10を密封したチャンバー60のチャンバー用ポート64に対しシリンダ装置A5で進退してチャンバー用ポート64に着脱自在かつ気密に接続される第1接続ポートP1と、台座40の前面に配設されたチャンバー用ポート45に対しシリンダ装置A6で進退してチャンバー用ポート45に着脱自在かつ気密に接続される第2接続ポートP2が配設されている。
【0108】
図1に示すように、第2ステーションST2には、台座40の前面に配設されたタンク用ポート44に対しシリンダ装置A7で進退してタンク用ポート44に着脱自在かつ気密に接続される接続ポートP3が配設され、第3ステーションST3には、台座40のタンク用ポート44に対しシリンダ装置A8で進退してタンク用ポート44に着脱自在かつ気密に接続される接続ポートP4が配設されている。
【0109】
第4ステーションST4には、台座40の前面に配設されたチャンバー用ポート45に対しシリンダ装置A9で進退してチャンバー用ポート45に着脱自在かつ気密に接続される接続ポートP5が配設され、第5ステーションST5には、台座40のタンク用ポート44に対しシリンダ装置A10で進退してタンク用ポート44に着脱自在かつ気密に接続される接続ポートP6が配設されている。
【0110】
第6ステーションST6には、台座40のチャンバー用ポート45に対しシリンダ装置A11で進退してチャンバー用ポート45に着脱自在かつ気密に接続される接続ポートP7が配設され、第7ステーションST7には、台座40のタンク用ポート44に対しシリンダ装置A12で進退してタンク用ポート44に着脱自在かつ気密に接続される接続ポートP8が配設されている。
【0111】
図1,図2に示すように、第8ステーションST8には、既に説明した押圧装置80、台座の左右両側に配設された固定部材46を回動させる2台の固定解除用のシリンダ装置A4以外に、昇降装置2により上昇位置に保持されたチャンバー60のチャンバー用ポート64に対しシリンダ装置A13で進退してチャンバー用ポート64に着脱自在かつ気密に接続される第1接続ポートP9と、台座40のチャンバー用ポート45に対しシリンダ装置A14で進退してチャンバー用ポート45に着脱自在かつ気密に接続される第2接続ポートP10が配設されている。
【0112】
なお、全ての接続ポートP1,P2,P3,P4,P5,P6,P7,P8,P9,P10は、その先端に、台座40のタンク用ポート44,台座40のチャンバー用ポート45又はチャンバー60のチャンバー用ポート64に気密に接続された状態でタンク用ポート44又はチャンバー用ポート45,64の開閉弁44a,45a,64aの弁体44b,45b,64bに当接して該弁体44b,45b,64bを開閉弁44a,45a,64aの奥部へ押し込みタンク用ポート44又はチャンバー用ポート45,64と連通するニードルを備えている。
【0113】
図12は、気密検査装置の配管を示す配管図である。図10に示すように、第1ステーションST1の第1接続ポートP1には、検査ガスであるフッ素ガスを含まない清浄ガスとしての窒素ガスを供給する清浄ガス供給装置4に電磁弁B1を介して接続可能な清浄ガス配管が配管されている。この電磁弁B1は、常時は接続ポートP1と清浄ガス供給装置4との接続を遮断しており、必要に応じて接続ポートP1と清浄ガス供給装置4とを接続する。なお、第1ステーションST1の第2接続ポートP2は、その後端が開放されている。
【0114】
第2ステーションST2の接続ポートP3には、電磁弁B2を介して真空ポンプ5に接続可能な真空配管が配管されており、この真空配管には、ピラニー真空計90が取り付けられている。電磁弁B2は、常時は接続ポートP3と真空ポンプ5との接続を遮断しており、必要に応じて接続ポートP6と検査ガス回収装置7とを接続する。
【0115】
第3ステーションST3の接続ポートP4には、検査ガスであるフッ素ガスを窒素ガスと混合させた混合ガスを供給する検査ガス供給装置6に電磁弁B3を介して接続可能な検査ガス配管が配管されている。この電磁弁B3は、常時は接続ポートP4と検査ガス供給装置6との接続を遮断しており、必要に応じて接続ポートP4と検査ガス供給装置6とを接続する。
【0116】
第4ステーションST4の接続ポートP5には、検査ガスであるフッ素ガスの濃度を検出する第1検出装置8に電磁弁B4を介して接続可能な検査用配管が配管されている。この電磁弁B4には清浄ガス供給装置4からの清浄ガス配管も配管されており、電磁弁B4は、常時は第1検出装置8と清浄ガス供給装置4とを接続して第1検出装置8を窒素ガスで清掃し、必要に応じて接続ポートP5と第1検出装置8とを接続する。
【0117】
第5ステーションST5の接続ポートP6には、検査ガスと窒素ガスとの混合ガスを回収する検査ガス回収装置7に電磁弁B5を介して接続可能なガス回収配管が配管されている。この電磁弁B5は、常時は接続ポートP6と検査ガス回収装置7との接続を遮断しており、必要に応じて接続ポートP6と検査ガス回収装置7とを接続する。
【0118】
第6ステーションST6の接続ポートP7には、検査ガスであるフッ素ガスの濃度を検出する第2検出装置9に電磁弁B6を介して接続可能な検査用配管が配管されている。この電磁弁B6には清浄ガス供給装置4からの清浄ガス配管も配管されており、電磁弁B6は、常時は第2検出装置9と清浄ガス供給装置4とを接続して第2検出装置9を窒素ガスで清掃し、必要に応じて接続ポートP7と第2検出装置9とを接続する。なお、第2検出装置9は、第1検出装置8と比べて検出レンジが狭く、検査素ガスの濃度をより精密に検出することができる。
【0119】
第7ステーションST7の接続ポートP8には、検査ガス回収装置7に電磁弁B7を介して接続可能なガス回収配管が配管されている。この電磁弁B7は、常時は接続ポートP8と検査ガス回収装置7との接続を遮断しており、必要に応じて接続ポートP8と検査ガス回収装置7とを接続する。
【0120】
なお、検査ガス回収装置7と検査ガス供給装置6とは互いに配管で接続されており、検査ガス回収装置7で回収した前記混合ガスをその混合比率を調整した上で検査ガス供給装置7により再利用できるようになっている。
【0121】
第8ステーションST8の第1及び第2の両接続ポートP9,P10には、清浄ガス供給装置4に電磁弁B8を介して接続可能な清浄ガス配管が配管されている。この電磁弁B8は、常時は両接続ポートP9,P10と清浄ガス供給装置4との接続を遮断しており、必要に応じて両接続ポートP9,P10と清浄ガス供給装置4とを接続する。
【0122】
以上説明した気密性能検査装置1を使用してリキッドタンク10の気密性能を検査する気密性能検査方法について以下に説明する。先ず、ターンテーブル30の第1ステージS1において、台座40の第1密閉ピン41の先端部41aをリキッドタンク10の冷媒流入孔11に挿入させ、台座40の第2密閉ピン42の先端部42aをリキッドタンク10の冷媒流出孔12に挿入させて、台座40の所定位置にリキッドタンク10をセットする。
【0123】
このセットがターンテーブル30の間欠駆動時間内にうまく行われなかった場合には、ターンテーブル30の第2ステージS2で対処するか、あるいは、気密性能検査装置1を緊急停止させて対処する。なお、第1及び第2の両ステージS1,S2では、チャンバー60は摺動装置50の保持部54によって台座40上方の上昇位置に保持されている。
【0124】
ターンテーブル30の第3ステージS3では、ターンテーブル30の下方に配設された第1シリンダ装置A1によりチャンバー60を前記上昇位置から台座40上に降下させてリキッドタンク10にチャンバー60を被せ、第1ステーションST1の押圧装置80でチャンバー60を台座40に押し付け、第1ステーションST1の固定用のシリンダ装置A3で台座40の固定部材46を回動させてチャンバー60を台座40に固定する。
【0125】
この固定により、チャンバー60と台座40とでリキッドタンク10を押圧挟持して密封し、台座40の第1密閉ピン41でリキッドタンク10の冷媒流入孔11を密閉すると共に、台座40の第2密閉ピン42でリキッドタンク10の冷媒流出孔12を密閉し、第1密閉ピン41の導入孔41cを介してリキッドタンク10内を台座40のタンク用ポート44に連通させる。
【0126】
この後、ターンテーブル30の第3ステージS3では、第1ステーションST1の第1接続ポートP1をチャンバー60のチャンバー用ポート64に接続し、第1ステーションST1の第2接続ポートP2を台座40のチャンバー用ポート45に接続して、チャンバー60のチャンバー用ポート45からチャンバー60内に清浄ガス供給装置4からの窒素ガスを流入させると共に、この流入した窒素ガスを台座40のチャンバー用ポート45から流出させ、所定時間経過後に第1及び第2の両接続ポートP1,P2とチャンバー用ポート64,45との接続を解除して、チャンバー60内の雰囲気を窒素ガスで置換する。
【0127】
ターンテーブル30の第4ステージS4では、第2ステーションST2の接続ポートP3を台座40のタンク用ポート44に接続して、真空ポンプ5でリキッドタンク10内を真空引きし、リキッドタンク10内の真空度をピラニー真空計90で検出する。
【0128】
そして、所定時間内にリキッドタンク10が3トール以下の真空度に到達しなかった場合には、以下に説明する第5,6,7,10及び11の各ステージS5,S6,S7,S10,S11での検査工程を全て省略し、第12ステージS12において払出し装置70によりリキッドタンク10を不良品として搬出する。
【0129】
ターンテーブル30の第5ステージS5では、第3ステーションST3の接続ポートP4を台座40のタンク用ポート44に接続して、検査ガス供給装置6から供給される検査ガスと窒素ガスとの混合ガスをリキッドタンク10内に封入する。なお、この混合ガスの圧力はゲージ圧で約17気圧に設定されている。
【0130】
ターンテーブル30の第6ステージS6では、第4ステーションST4の接続ポートP5を台座40のチャンバー用ポート45に接続し、チャンバー60内の検査ガス(フッ素ガス)濃度を第1検出装置8で検出して、リキッドタンク10の気密性能の粗検査を行う。
【0131】
第1検出装置8での検出結果が所定値以上である場合には、第7ステージS7において第5ステーションST5の接続ポートP6を台座40のタンク用ポート44に接続し、検査ガス回収装置7によってリキッドタンク10内の混合ガスを回収する。そして、以下に説明する第10及び11の両ステージS10,S11での検査工程を省略し、第12ステージS12において払出し装置70によりリキッドタンク10を不良品として搬出する。
【0132】
第1検出装置8での検出結果が所定値以下である場合には、第7ステージS7では何も行わず、第7ステージS7は、続く第8及び第9の両ステージS8,S9と共に、リキッドタンク10内からチャンバー60内への検査ガスの所定リーク時間を確保するために使用される。
【0133】
ターンテーブル30の第10ステージS10では、第6ステーションST6の接続ポートP7を台座40のチャンバー用ポート45に接続し、チャンバー60内の検査ガス(フッ素ガス)濃度を第2検出装置9で検出して、リキッドタンク10の気密性能の本検査を行う。
【0134】
第2検出装置9での検出結果が所定値以上である場合には、第12ステージS12において払出し装置70によりリキッドタンク10を不良品として搬出し、第2検出装置9での検出結果が所定値以下である場合には、第12ステージにおいて払出し装置70によりリキッドタンク10を良品として搬出する。
【0135】
ターンテーブル30の第11ステージS11では、第7ステーションST7の接続ポートP8を台座40のタンク用ポート44に接続し、検査ガス回収装置7によってリキッドタンク10内の混合ガスを回収する。
【0136】
ターンテーブル30の第12ステージS12では、第8ステーションST8の押圧装置80でチャンバー60を台座40に押し付け、第8ステーションST8の固定解除用のシリンダ装置A4で台座40の固定部材46を回動させて台座40へのチャンバー60の固定を解除し、ターンテーブル30の下方に配設した第2シリンダ装置A2でチャンバー60を台座40の上方へ持ち上げて、摺動装置50の保持部54でチャンバー60を保持する。
【0137】
この後、第12ステージS12では、第8ステーションST8の第1接続ポートP9をチャンバー60のチャンバー用ポート64に接続し、このチャンバー用ポート64からチャンバー60内に清浄ガス供給装置4からの窒素ガスを流入させて、チャンバー60内及びチャンバー60のチャンバー用ポート64内を窒素ガスで清掃すると共に、第8ステーションST8の第2接続ポートP10を台座40のチャンバー用ポート45に接続し、このチャンバー用ポート45内に清浄ガス供給装置4からの窒素ガスを流入させて、台座40のチャンバー用ポート45内も窒素ガスで清掃する。
【0138】
また、第12ステージS12では、窒素ガスによるチャンバー60内及び両チャンバー用ポート45,64内の清掃と平行して、払出し装置70によるリキッドタンク10の台座40からの取り出し,リキッドタンク40の良品と不良品との分類及び搬出も行う。
【0139】
以上説明したリキッドタンク10の気密性能検査方法及びその装置1では、チャンバー60内及びチャンバー用ポート45,64内に残留あるいは付着した検査ガスを窒素ガスで清掃して取り除き、しかも、窒素ガス雰囲気のチャンバー内に密封したリキッドタンク10から検査ガスがリークした場合のチャンバー60内の検査ガス濃度を、清浄ガスで洗浄した検出器で検出することができるので、リキッドタンク10の気密性能を正確に検査することができる。
【0140】
また、リキッドタンク10の気密性能検査方法及びその装置1では、リキッドタンク10を把持した人の手をチャンバー60内に出し入れする必要が無いので、チャンバー60の容積を従来のチャンバーより小さくすることができ、その結果、従来技術と比べて、適正な検査に必要なチャンバー60内でのリキッドタンク10の放置時間を短くして検査時間を短縮することができると共に、チャンバー60の占有空間を小さくすることもできる。
【0141】
また、リキッドタンク10の気密性能検査方法及びその装置1では、検査用治具である図15図示のカプラ22を使用する必要がないので、リキッドタンク10のネジ孔13を利用してリキッドタンク10にカプラ22を着脱する必要も無く、従って、この着脱の際にリキッドタンク10のネジ孔13のネジを潰す恐れを解消することもできる。
【0142】
また、リキッドタンク10の気密性能検査方法及びその装置1では、カプラ22を使用する必要がないので、リキッドタンク10へのカプラー22の着脱に掛かる人件費を無くすことができると共に、リキッドタンク10から取り外したカプラー22をリキッドタンク10への取付場所へ戻すための人件費及びコンベア等の付帯設備を無くすことができ、その結果、従来技術と比べてリキッドタンク10の検査費用を削減することもできる。
【0143】
また、リキッドタンク10の気密性能検査方法及びその装置1では、リキッドタンク10内に検査ガスを封入する前にリキッドタンク10の真空引きを行ってリキッドタンク10の真空度を検出するので、リキッドタンク10のクラック等の欠陥をリキッドタンク10内への検査ガス封入前に発見して、リキッドタンク10内からチャンバー60内への検査ガスの大量の漏れによるチャンバー60内及びチャンバー用ポート45,64内の大規模な検査ガス汚染を未然に防止し、その大規模な検査ガス汚染を除去する除去作業を無くして、検査効率を向上させることもできる。
【0144】
また、リキッドタンク10の気密性能検査方法及びその装置1では、真空状態のリキッドタンク10内に検査ガスを封入するので、リキッドタンク10内の検査ガス濃度を検査ガス供給装置6から供給される検査ガス濃度と略同一にすることができ、従って、リキッドタンク10を密封したチャンバー60内の検査ガス濃度を検出することにより、リキッドタンク10からの検査ガスのリーク速度(単位はg/年)の算出精度が向上し、リキッドタンク10の良否をより正確に判断することもできる。
【0145】
ところで、リキッドタンク10の気密性能検査方法及びその装置1では、リキッドタンク10を密封したチャンバー60内の検査ガス濃度を、第10ステージS10において第2検出装置9で検出する前に第6ステージS6において第1検出装置8で検出し、第6ステージS6での検出結果が所定値以上の場合には第7ステージS7においてリキッドタンク10内の検査ガスを回収する。
【0146】
このため、検査ガスのリークが大きいリキッドタンク10を早めに検出して、リキッドタンク10内からチャンバー60内への検査ガスのリーク量の増大を阻止することができ、従って、チャンバー60内及びチャンバー用ポート45,64内の窒素ガスによる清掃を第12ステージS12での清掃のみで完了させることができ、第12ステージS12での清掃以上の清掃作業を無くして検査効率を向上させることができる。
【0147】
加えて、リキッドタンク10の気密性能検査装置1では、昇降装置2でチャンバー60を台座40上に降下させ、固定装置3でチャンバー60を台座40に固定することにより、チャンバー60と台座40とでリキッドタンク10を押圧挟持して密封すると共に、台座40に設けた第1及び第2の両密閉ピン41,42でリキッドタンク10の冷媒流入孔11と冷媒流出孔12とを密閉して、第1密閉ピン41に設けた導入孔41cを介してリキッドタンク10内を台座40のタンク用ポート44に連通させることができるので、チャンバー60と台座40によるリキッドタンク10のセットが容易である。
【0148】
また、リキッドタンク10の気密性能検査装置1では、固定装置3でチャンバー60の台座40への固定を解除し、昇降装置2でチャンバー60を台座40の上方の上昇位置に保持することにより、チャンバー60と台座40によるリキッドタンク10の密封を解除してチャンバー60内からリキッドタンク10を取り出すことができるので、チャンバー60内からのリキッドタンク10の取り出しも容易である。
【0149】
また、リキッドタンク10の気密性能検査装置1では、第12ステージS12において払出し装置70により、リキッドタンク10の台座40からの取り出しと、リキッドタンク10の良品・不良品の分類とを自動的に行うことができるので、前記取り出し及び分類を正確かつ確実に行うことができ、リキッドタンク10の製造ライン等で大量のリキッドタンク10に対して気密性能検査を行う場合には、その気密性能検査に掛かる人件費を削減して、検査費用を削減することもできる。
【0150】
更に、リキッドタンク10の気密性能検査装置1では、第2密閉ピン42と支持ピン43との台座40への固定位置を交換することにより、冷媒流入孔11と冷媒流出孔12の配置が異なるリキッドタンク10に対応することができるので、冷媒流入孔11と冷媒流出孔12の配置が異なるリキッドタンク10の気密性能検査を行うこともできる。
【0151】
なお、以上説明したリキッドタンク10の気密性能検査方法及びその装置1は、車両用空調装置で使用されるリキッドタンク10用のものであるが、本発明に係るリキッドタンクの気密性能検査方法及びその装置は、車両用空調装置で使用されるリキッドタンク10用のものに限定されず、一般の空調装置で使用されるリキッドタンク用のものであっても良いのは勿論のことである。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項4〜8記載の各発明を併せて実施した実施の形態の一例を示す平面図である。
【図2】図1に示すもののX−X線断面を示す説明図である。
【図3】図1に示すものの昇降装置を示す斜視図である。
【図4】図3に示すもののチャンバーを固定した状態を示す斜視図である。
【図5】図1に示すものの第12ステージでの昇降装置の作用を示す説明図であって、(a)はロッドの上昇途中の状態を示し、(b)はロッドの下降途中の状態を示している。
【図6】図1に示すものの第3ステージでの昇降装置の作用を示す説明図であって、(a)はロッドの上昇途中の状態を示し、(b)はロッドの下降直後の状態を示している。
【図7】図1に示すもののチャンバーを示す断面図である。
【図8】図1に示すものの台座を示す斜視図である。
【図9】図1に示すものの第3ステージでのチャンバーの固定を示す説明図である。
【図10】図1に示すものの第12ステージでのチャンバーの固定解除を示す説明図である。
【図11】図1に示すものの払出し装置を示す正面図である。
【図12】図1に示すものの配管を示す配管図である。
【図13】リキッドタンクを示す正面図である。
【図14】図13に示すものの底面図である
【図15】図13に示すものに検査用治具を取り付けた状態を示す正面図である
【符号の説明】
1 気密性能検査装置
2 昇降装置
3 固定装置(固定手段)
4 清浄ガス供給装置
5 真空ポンプ
6 検査ガス供給装置
7 回収装置
8 第1検出装置(検出装置)
9 第2検出装置(検出装置)
10 リキッドタンク
11 リキッドタンクの冷媒流入孔
12 リキッドタンクの冷媒流出孔
40 台座
41 第1密閉ピン(密閉部)
42 第2密閉ピン(密閉部)
41c 導入孔
44a,45a,64a 開閉弁(開閉手段)
44 タンク用ポート
45,64 チャンバー用ポート
60 チャンバー
70 払出し装置
90 ピラニー真空計(真空計)

Claims (8)

  1. 冷媒流入孔(11)と冷媒流出孔(12)を有する空調装置用のリキッドタンクの気密性能検査方法であって、
    台座(40)の所定位置にリキッドタンク(10)を配置して該リキッドタンク(10)に有底筒状のチャンバー(60)を被せ、該チャンバー(60)を台座(40)に固定することにより、前記チャンバー(60)と台座(40)とでリキッドタンク(10)を押圧挟持して密封すると共に、チャンバー(60)又は台座(40)の一方に設けた密閉部(41,42)で前記冷媒流入孔(11)と冷媒流出孔(12)とを密閉し、該密閉部(41)に設けた導入孔(41c)を介してリキッドタンク(10)内を該密閉部(41)に連なる開閉手段(44a)付きのタンク用ポート(44)に連通させる第1行程と、
    前記チャンバー(60)又は台座(40)の少なくとも一方に設けた開閉手段(45a,64a)付きのチャンバー用ポート(45,64)を利用してチャンバー(60)内を検査ガスを含まない清浄ガスで置換する第2行程と、前記タンク用ポート(44)を利用してリキッドタンク(10)内に所定正圧の検査ガスを封入する第3行程と、該封入から所定時間経過後のチャンバー(60)内の検査ガス濃度を前記チャンバー用ポート(45)を利用して検出する第4行程と、前記タンク用ポート(44)を利用してリキッドタンク(10)内の検査ガスを回収する第5行程と、
    前記チャンバー(60)の台座(40)への固定を解除してチャンバー(60)を台座(40)の上方へ持ち上げ、チャンバー(60)と台座(40)によるリキッドタンク(10)の密封を解除してリキッドタンク(10)を台座(40)から取り出すと共に、少なくともチャンバー(60)内及びチャンバー用ポート(45,64)内を前記清浄ガスで清掃する第6工程とを備えていることを特徴とするリキッドタンクの気密性能検査方法。
  2. 請求項1記載のリキッドタンクの気密性能検査方法であって、前記第2行程の前又は後に、前記タンク用ポート(44)を利用してリキッドタンク(10)内の真空引きを行い、リキッドタンク(10)が所定時間内に所定の真空度に到達しなかった場合には、少なくとも前記第3行程から前記第5行程までを省略することを特徴とするリキッドタンクの気密性能検査方法。
  3. 請求項1又は2記載のリキッドタンクの気密性能検査方法であって、前記第4行程では、前記所定時間の経過途中にチャンバー(10)内の検査ガス濃度を少なくとも1回検出し、該検出結果が所定値以上である場合には直ちにリキッドタンク(10)内の検査ガスを回収することを特徴とするリキッドタンクの気密性能検査方法。
  4. 冷媒流入孔(11)と冷媒流出孔(12)を有する空調装置用のリキッドタンクの気密性能検査装置であって、
    前記リキッドタンク(10)を載置させる台座(40)と、該台座(40)に対して昇降自在に配設され該台座(40)との協働でリキッドタンク(10)を押圧挟持して密封する有底筒状のチャンバー(60)と、該チャンバー(60)をリキッドタンク(10)を密封した状態で台座(40)に解除可能に固定する固定手段(3)と、前記チャンバー(60)又は台座(40)の一方に設けられチャンバー(60)と台座(40)によるリキッドタンク(10)の押圧挟持によって前記冷媒流入孔(11)と冷媒流出孔(12)を密閉する密閉部(41,42)と、該密閉部(41)に連なり該密閉部(41)に設けた導入孔(41c)を介してリキッドタンク(10)内に連通可能な開閉手段(44a)付きのタンク用ポート(44)と、前記台座(40)又はチャンバー(60)の少なくとも一方に設けられリキッドタンク(10)を密封したチャンバー(60)内に連通可能な開閉手段(45a,64a)付きのチャンバー用ポート(45,64)と、前記タンク用ポート(44)に接続されてリキッドタンク(10)内に所定正圧の検査ガスを封入する検査ガス供給装置(6)と、前記チャンバー用ポート(45)に接続されてリキッドタンク(10)を密封したチャンバー(60)内の検査ガス濃度を検出する検出装置(8,9)と、前記タンク用ポート(44)に接続されてリキッドタンク(10)内の検査ガスを回収する回収装置(7)と、リキッドタンク(10)を密封したチャンバー(60)内の雰囲気置換時に前記チャンバー用ポート(45,64)に接続されて検査ガスを含まない清浄ガスをチャンバー(60)内に供給すると共に、少なくともチャンバー(60)内及びチャンバー用ポート(45,64)内の清掃時に少なくともチャンバー(60)内及びチャンバー用ポート(45,64)内に前記清浄ガスを供給する清浄ガス供給装置(4)とを備えていることを特徴とするリキッドタンクの気密性能検査装置。
  5. 請求項4記載のリキッドタンクの気密性能検査装置であって、前記チャンバー(10)を前記台座(40)に対して昇降させる昇降装置(2)を備え、前記固定手段(3)は、前記昇降装置(2)によりチャンバー(60)を台座(40)上に降下させた状態でチャンバー(60)を台座(40)に押し付けてロックし、前記昇降装置(2)によるチャンバー(60)の上昇時にチャンバー(60)の台座(40)へのロックを解除する固定装置(2)であることを特徴とするリキッドタンクの気密性能検査装置。
  6. 請求項4又は5記載のリキッドタンクの気密性能検査装置であって、前記密閉部(41,42)が、前記台座(40)に立設された前記冷媒流入孔(11)用の第1密閉ピン(41)と前記冷媒流入孔(12)用の第2密閉ピン(42)であり、該第1及び第2の両密閉ピン(41,42)は、一方にのみ前記導入孔(41c)が設けられ、他方が、前記冷媒流入孔(11)と冷媒流入孔(12)の配置に応じて位置変更可能に台座(40)に固定されていることを特徴とするリキッドタンクの気密性能検査装置。
  7. 請求項4〜6の何れかに記載のリキッドタンクの気密性能検査装置であって、前記タンク用ポート(44)に接続されて前記リキッドタンク(10)内を真空引きする真空ポンプ(5)と、該真空ポンプ(5)によって真空引きされたリキッドタンク(10)内の真空度を検出する真空計(90)とを備えていることを特徴とするリキッドタンクの気密性能検査装置。
  8. 請求項7記載のリキッドタンクの気密性能検査装置であって、前記真空計(90)で検出した前記リキッドタンク(10)内の真空度と、前記検出装置(8,9)で検出した前記チャンバー(60)内の検査ガス濃度とに基づきリキッドタンク(10)を前記台座(40)から取り出して良品と不良品とに分類する払出し装置(70)を備えていることを特徴とするリキッドタンクの気密性能検査装置。
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