JP3826609B2 - シートフレーム構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、バスのフェンダ部等の斜面上に取り付けられる座席に用いて好適の、シートフレーム構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、バスの床面を極力低く設定した超低床式バス(ノンステップバス)が開発,実用化されている。このような超低床式バスでは、例えば車椅子での乗り降りが可能となり、バスの乗降性や利便性の向上を図ることができる。
ところで、一般に路線バスでは、座席はフェンダ上部にも設けられる。これは、超低床式バスでも同じであるが、超低床式バスでは床面が低くなった分だけ、相対的にこのような座席は床面から高い位置に設けられることになる。
【0003】
このため、従来の超低床式バスでは、図3(a)に示すように、フェンダ上部に設けられた座席にのみ床面から2段程度の段部(ステップ)20aが設けられている。
ここで、このような座席のシートフレーム構造の一例について簡単に説明すると、図3(a)に示すように、シートフレーム110は、フロア(床面)20又はステップ20aに固定される前脚部101と、フェンダ21に固定される後脚部102とをそなえている。また、これら前後の脚部101,102の上方には、シートクッションを支持する2本のシートクッションフレーム103,103が設けられている。
【0004】
図4に示すように、上記2本のシートクッションフレーム103,103は、左右に所定間隔をおいて平行に設けられ、これらのシートクッションフレーム103,103間に、2本のクロスパイプ104,104が接続されている。また、シートクッションフレーム103,103とクロスパイプ104,104とで囲まれた部分には、図3(a)に示すように、シートパン(座板)105が設けられている。
【0005】
また、図3(b)に示すように、シートパン105の後部には、クロスパイプ104に係合するクリップ105aが設けられ、また、図示はしないが、シートパン105の前部にも、やはりクロスパイプ104に係合するクリップが設けられており、これらのクリップ105aによりシートパン105がシートフレーム110に固定されている。
【0006】
また、シートクッションフレーム103,103には、シートバックフレーム106が結合されている。そして、シートバックフレーム106とシートクッションフレーム103,103との結合部には、シートバックフレーム106の支持剛性を高めるための補強部材107,107が取り付けられている。この補強部材107,107は、ここではシートバックフレーム106とシートクッションフレーム103との結合部の形状に沿って形成された三角形のプレート状の部材であって、シートクッションフレーム103とシートバックフレーム106との双方に溶接されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したような超低床式バスでは、床面が低いという特徴を十分に生かすべく、フェンダ上に設けられた座席のシート位置を下げて上述のステップ20aを廃止したいという要望がある。
しかしながら、従来のシートフレーム構造では、シートの取付け位置を下げようとすると、シートクッションフレーム103の後端部がフェンダ21に干渉してしまい〔図3(a)の斜線部参照〕、これ以上シート位置を下げることができないという課題がある。
【0008】
なお、シートを前方へ移動させれば、このような干渉も回避でき、シート位置を下げることができるが、居住性を考慮すると、シートクッション前端と仕切り板との間(図中のL)、又は、前方に位置する座席との間には、所定値(例えば200mm)以上の寸法を確保することが必要であり、車室内の仕切り板40等を変更することなくシート位置を下げることはできない。
【0009】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、フェンダ等の斜面に設けられるシートの取付け位置を極力低く設定できるようにした、シートフレーム構造を提供することを目的とする。
【0010】
このため、請求項1記載の本発明のシートフレーム構造は、シートクッションを支持するシートクッションフレームの後端部に、フェンダの形状に沿うように形成された後部脚部を接続し、この後部脚部とシートクッションフレームとの接続部にシートバックフレームを接合する。また、後部脚部をシートバックフレームの後方にてフェンダの上方へ傾斜させてフェンダに結合する。そして、シートバックフレームとシートクッションフレームとの接合部にはクロスメンバを接合し、このクロスメンバにシートクッションのシートパンを係合する。
【0011】
また、請求項2記載のシートフレーム構造は、後部脚部をシートクッションフレームの後方に向かって延長して一体的に形成するとともに、後部脚部のシートバックフレームの接合部より後方部分とシートバックフレームとを補強部材で連結する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面により、本発明の一実施形態にかかるシートフレーム構造について説明すると、図1はその要部構造を示す模式的な側面図、図2はその要部構成を示す模式的な斜視図である。
図1(a)及び図2に示すように、シートフレーム10は、前脚部1とシートクッションフレーム3とクロスパイプ4とクロスメンバ4aとシートバックフレーム6と補強部材7とをそなえている。
【0013】
このうち、図1(a)に示すように、前脚部1の下端は床面20に固定されており、また、その上端はシートクッションフレーム3に接続されている。また、図2では省略しているが、前脚部1は、2本のシートクッションフレーム3,3に対応して左右各1本づつ設けられており、このような2本の前脚部1によりシートフレーム10の前部が車体側に支持される構造となっている。
【0014】
また、上記2本のシートクッションフレーム3,3は、矩形の閉断面を有する角パイプにより形成され、左右に所定間隔をおいて互いに平行に設けられている。また、これらのシートクッションフレーム3,3間には、クロスパイプ4及びクロスメンバ4aがそれぞれ接続されている。そして、これらシートクッションフレーム3,3と、クロスパイプ4と、クロスメンバ4aとにより、略井桁状の座面フレームが形成されている。
【0015】
さらに、図1(a)に示すように、シートクッションフレーム3,3の後方は車体のフェンダ21の形状に沿って上方に湾曲して延長されており、このシートクッションフレーム3,3の後方部分が、フェンダ21に結合されることにより、シートフレーム10の後部が車体側に支持される構造となっている。つまり、本発明のシートフレーム構造では、シートクッションフレーム3,3の後方部分が後部脚部3a,3aとして機能するようになっているのである。なお、この実施形態では、シートクッションフレーム3は、略L字型のブラケット22を介してフェンダ21に固定されるようになっている。
【0016】
また、シートクッションフレーム3にはシートバッククッション31を支持するためのシートバックフレーム6が溶接等により結合されている。また、シートバックフレーム6は、ここではシートクッションフレーム3,3と同様に矩形の断面を有する角パイプにより形成され、図2に示すように、下方に開口するような略コ字形状に形成されている。なお、シートバックフレーム6は、シートクッションフレーム3が上方に湾曲し始める位置近傍(シートクッションフレーム3と後部脚部3aとの接続部近傍)において、シートクッションフレーム3に接合されている。
【0017】
また、クロスメンバ4aは、従来のクロスパイプに代えて設けられたものであり、図示するような板状の部材により形成されている。具体的には、クロスメンバ4aは、シートバックフレーム6とシートクッションフレーム3,3との接続部分において、これらの両フレーム3,6の形状に沿うように屈曲して形成されており、各フレーム3,6に溶接等により結合されている。
【0018】
また、クロスメンバ4aよりも前方に設けられたクロスパイプ4は、従来のクロスパイプ(図3及び図4の符号104参照)と同様に中空の丸パイプにより形成されている。
一方、シートクッションフレーム3,3とクロスパイプ4とクロスメンバ4aとで囲まれた部分には、図1(a)に示すように、シートクッション30を支持するためのシートパン(座板)5が係合されている。
【0019】
このシートパン5の前部には、従来と同様にクロスパイプ4と係合するクリップ(図示省略)が形成され、また、図1(b)に示すように、シートパン5の後部には、下方に向けて突出した爪部5aが形成されている。また、図2に示すように、クロスメンバ4aの爪部5aに対応した位置には穴部4bが形成されており、これらの爪部5a及び穴部4bにより、シートパン5の後部がクロスメンバ4aに係止されるようになっている。なお、シートパン5は本実施形態では樹脂部材により形成されており、上述したクリップ及び爪部5aは、シートパン5と一体に形成されている。
【0020】
さらに、図1(a)及び図2に示すように、シートクッションフレーム3とシートバックフレーム6との接合部には、シートバックフレーム6の支持剛性を高めるための補強部材7(図2では、2つの補強部材7のうち一方のみ示す)が取り付けられている。この補強部材7は、従来のものと略同様に三角形に形成されたプレート状の部材であって、シートクッションフレーム3とシートバックフレーム6との双方に溶接されている。
【0021】
本発明の一実施形態としてのシートフレーム構造は、上述のように構成されているので、フェンダ21等の斜面にシートを設置する場合でも、従来よりもシート位置を低く設定することができるようになる。すなわち、図3(a)に示すように、従来のシートフレーム構造を適用してシート位置を低くしようとすると、図中斜線で示す部分がフェンダ21と干渉してしまい、シート位置を前進させることなくシート位置を低くすることができなかった。これに対して、本発明のシートフレーム構造によれば、シートクッションフレーム3が、その後方でフェンダ21の形状に沿って湾曲しているため、図1(a)に示すように、図中斜線で示すような部分をなくすことができ、フェンダ21との干渉を回避してシート位置を低く設定することができるようになる。
【0022】
したがって、このようシートフレーム構造を超低床式バス(ノンステップバス)のフェンダ上部に設けられる座席に適用した場合には、シート前方に仕切り板〔図3(a)の符号40参照〕などがあっても、シート前端から仕切り板又は前方に位置するシートまで従来と同様の寸法を確保しながら、シート位置を低く設定することができるのである。また、これにより、従来より設けられていたステップ〔図3(a)の符号20a参照〕を廃止することができ、より一層の利便性の向上を図ることができる利点がある。
【0023】
また、シートクッションフレーム3を後方に向かって延長して、後部脚部3aをシートクッションフレーム3に一体的に形成することにより、部品点数が減少し、コストや重量の低減を図ることができる。また、シートクッションフレーム3とシートバックフレーム6とを補強部材で連結しているため、シートフレーム10の全体の剛性も向上する。
【0024】
なお、本発明のシートフレーム構造は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の変形が可能である。たとえば、上記シートパン5は樹脂性のものに限定されるものではなく、従来と同様に板金を加工して形成してもよい。
【0025】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1記載の本発明のシートフレーム構造によれば、従来の構造を大幅に変更することなく、且つ、簡単な構成で、フェンダ等の斜面に設けられるシートの取付け位置を極力低く設定できるという利点がある。特に、超低床式バスに本シートフレーム構造を適用した場合には、シートクッション前端と仕切り板との間、又は前方に位置するシートとの間に、従来と同様の寸法を確保でき、居住性を損なうことなくシートの取付け位置を低く設定できるという利点がある。また、車両床面と座席との間のステップを廃止することができ、超低床式バスの利便性が一層向上する。
【0026】
また、請求項2記載の本発明のシートフレーム構造によれば、後部脚部をシートクッションフレームの後方に向かって延長して一体的に形成することにより、部品点数が減少してコストや重量を低減することができるという利点がある。また、後部脚部のシートバックフレームの接合部より後方部分とシートバックフレームとを補強部材で連結することにより、シートフレーム全体の剛性の向上を図ることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の一実施形態にかかるシートフレーム構造の要部構成を示す模式的な側面図であって、(b)は(a)のA部を拡大して示す図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかるシートフレーム構造の要部構成を示す模式的な斜視図である。
【図3】(a)は従来のシートフレーム構造の一例を示す模式的な側面図であって、(b)は(a)のB部を拡大して示す図である。
【図4】従来のシートフレーム構造の一例を示す模式的な斜視図である。
【符号の説明】
3 シートクッションフレーム
3a 後部脚部
4a クロスメンバ
5 シートパン
6 シートバックフレーム
7 補強部材
30 シートクッション
31 シートバッククッション
Claims (2)
- シートクッションを支持するシートクッションフレームと、
該シートクッションフレームの後端部に接続されフェンダの形状に沿うように形成された後部脚部と、
該後部脚部と該シートクッションフレームとの接続部から立設したシートバックフレームと、
該シートバックフレームと該シートクッションフレームとの接合部に固着され、該シートクッションのシートパンを係合するクロスメンバとをそなえ、
該後部脚部が、該シートクッションフレームに連続して形成されるとともに、該シートバックフレームの後方にて該フェンダの上方へ傾斜し該フェンダに結合されている
ことを特徴とする、シートフレーム構造。 - 該後部脚部が、該シートクッションフレームを後方に向かって延長することにより該シートクッションフレームに一体的に形成されるとともに、
該後部脚部の該シートバックフレームとの接合部より後方部分と該シートバックフレームとが補強部材で連結されている
ことを特徴とする、請求項1記載のシートフレーム構造。
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Applications Claiming Priority (1)
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ID=13662968
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JP07847299A Expired - Lifetime JP3826609B2 (ja) | 1999-03-23 | 1999-03-23 | シートフレーム構造 |
Country Status (1)
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Families Citing this family (1)
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-
1999
- 1999-03-23 JP JP07847299A patent/JP3826609B2/ja not_active Expired - Lifetime
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