JP3824786B2 - モニタカメラ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、外からの呼び出しに応じて室内などの状況を外部でモニタすることができ、またレイアウト変更やメンテナンスを容易にした監視システムと前記監視システムに用いるモニタカメラ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の核家族化や共働き世帯の増加に伴って、家庭におけるセキュリティシステムのニーズが高まってきている。この要求に応えるため、さまざまな形態の監視システムがホームセキュリティシステムとして提供されるようになってきている。
この監視システムには、室内の状況を外部からモニタできることが不可欠であり、その構成は、家庭内に設置したセンサあるいはモニタカメラ装置などで収集した情報を遠隔地にある監視センタに伝送し、監視員が24時間体制でモニタする形態が典型的である。そして、この監視システムでは室内の状況が常にセンサやモニタカメラ装置で監視センタにおいてモニタされているため、室内での異常発生の検出率が高く安全性に優れている。その反面、監視システムの設置から運用までの全ての過程を第三者に任せてしまうため次のような様々な課題が発生する。例えば、公衆電話回線などを使用して室内の状況を常にモニタするための監視センタの規模が大きくなり、また監視員を常駐させるための費用が増大する。また、室内に配置されたモニタカメラ装置が多くなるほど、モニタされる側においてモニタカメラ装置による消費電力が増大するなどである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の監視システムおよびモニタカメラ装置では、前記のように第三者による完全管理が前提であることから、システムの設置費用・運用費用が高額になる課題があった。
【0004】
また、外出先から室内の状況を確認するためには、警備会社に連絡して状況を聞く形態になり、契約者と家庭との間に警備員が介在することになり、警備員の人件費がコストを増加させる課題があった。
【0005】
さらに、外出先から室内の状況を確認する時間や回数が制約され、契約者数が増加するに従い、警備員1人あたりが各契約者に割り当てることのできる時間が減少し、サービスが低下する恐れが生じる課題があった。
【0006】
さらに、契約者自身による状況確認が困難であり、さらに家庭内のモニタカメラ装置の配置場所の変更などの設備内容・警備内容変更が困難である課題もあった。
【0007】
さらに、モニタカメラ装置の壁面等への取り付けに専用の架台を必要とし、契約者によるレイアウト変更が容易でない課題もあった。
【0008】
さらに、家庭内に多数のモニタカメラ装置が設置される場合には、全モニタカメラ装置の消費電力も大きくなるため、システムを維持するため契約者側が直接負担する電力料金を軽減するには省電力化が図られねばならない課題があった。
【0009】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、室内の様子を外出先から簡単にモニタ可能にすることで監視コストを軽減するとともに、省電力化を実現し、システムの構築の変更、メンテナンスを容易にできる監視システムおよびモニタカメラ装置を得ることを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るモニタカメラ装置は、バス状ネットワークによりサーバヘ接続され、雑音除去・輪郭処理機能が設けられた画像前処理部を有し、画像の変化検出や画像データの圧縮についてのデータ処理を行い、前記画像の変化検出結果をもとに前記サーバとの間で前記画像の変化量が所定変化量以上の画像データの送受を選択的に行う画像データ処理部を備えるようにしたものである。
【0017】
この発明に係るモニタカメラ装置は、画像前処理部を有した人工網膜チップを備えるようにしたものである。
【0018】
この発明に係るモニタカメラ装置は、電源供給を制御する電源管理手段を備えるようにしたものである。
【0019】
この発明に係るモニタカメラ装置は、サーバからの指令により、待機時に撮像手段への電源供給を遮断する電源管理手段を備えるようにしたものである。
【0020】
この発明に係るモニタカメラ装置は、サーバからの撮像命令を待っている待ち受け期間、ネットワーク接続手段への電源を間欠的に供給する電源管理手段を備えるようにしたものである。
【0021】
この発明に係るモニタカメラ装置は、乾電池あるいは太陽電池を用いた独立電源を備えるようにしたものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1は、この実施の形態1の監視システムの構成を示すブロック図であり、図において1はテレビジョン装置付携帯電話機(以下、TV付き携帯電話機という)、2は室内に配置されたモニタカメラ装置、3はサーバ、4は家庭内に設けられたネットワーク、5は公衆回線、6はTV付き携帯電話機1用の基地局である。なお、TV付き携帯電話機1はテレビジョン装置付携帯端末に対応する。31はサーバ3に構成されたネットワーク4への接続回路、32は各モニタカメラ装置2に対する動作命令を生成する制御部、33はモニタカメラ装置2からの画像データを蓄えるフレームメモリ、34は公衆回線5とデータ通信を行うモデム、35はTV付き携帯電話機1からのディジタルデータやダイアルトーン、音声等を解読して制御部32に指示を与える解読部、36は解読部35からの指示に応じてフレームメモリ33上の画像データを公衆回線5へ送出する転送制御部である。
【0027】
この実施の形態1の監視システムでは、家庭内に設置されたネットワーク4に、複数のモニタカメラ装置2およびネットワーク4と公衆回線5との通信を取り次ぐサーバ3を接続する。外出先に携行したTV付き携帯電話機1からサーバ3を呼び出し、複数のモニタカメラ装置2の撮像制御、TV付き携帯電話機1への画像データ転送・表示を行い、家庭内の状況を外部から必要に応じてモニタ可能にする。また、監視システムとしてのレイアウト変更が容易となるような構造や形状のモニタカメラ装置2を採用し、さらにネットワーク4への接続形態についてもレイアウト変更が容易となるように構成する。
【0028】
次に動作について説明する。
複数のモニタカメラ装置2とサーバ3はネットワーク4を構成しており、例えば同軸ケーブルや光ファイバを用いた有線通信路や、電波・赤外線を用いた無線通信路を用い、家庭内のさまざまな場所に設置されたモニタカメラ装置2とサーバ3とを接続し、画像データの授受を行えるようにする。
【0029】
サーバ3には、ネットワーク4への接続回路31、各モニタカメラ装置2に対する動作命令を生成する制御部32、各モニタカメラ装置2からの画像データを蓄えるフレームメモリ33が搭載され、ネットワーク4に接続されたモニタカメラ装置2の画像データをサーバ3上に保存することができる。
【0030】
接続回路31とフレームメモリ33は従来の監視システムに必須な機能ブロックであるが、さらに公衆回線5とデータ通信を行うモデム34と、TV付き携帯電話機1からのディジタルデータやダイアルトーン・音声等を解読して制御部32に指示を与える解読部35、解読部35からの指示に応じてフレームメモリ33上の画像データを公衆回線5に送出する転送制御部36を付加することで外出先から家庭内の状況をモニタ可能にする。
【0031】
次に、この実施の形態1の監視システムの動作手順を図2に示すフローチャートに従って説明する。
先ず、外出先のTV付き携帯電話機1から例えば自宅にあるサーバ3にダイアルする(ステップST1)。サーバ3では解読部35上でユーザの認証作業(例えば、ダイアルされた暗証番号の確認)を行う(ステップST2)。その後、ダイアルトーン・音声等でユーザがモニタカメラ装置2の指定を行うと、指定されたモニタカメラ装置2を識別し(ステップST3)、指定されたモニタカメラ装置2への撮像の開始および撮像した画像データの収集についての指示が解説部35から制御部32へ送られる(ステップST4)。この指示に基づき、制御部32からネットワーク4を介した撮像とフレームメモリ33への画像データ転送の指示が該当するモニタカメラ装置2へ与えられる(ステップST5)。この結果、前記指示が与えられたモニタカメラ装置2は撮像を開始する(ステップST6)。
【0032】
次に、転送制御部36の指示により、フレームメモリ33からモデム34および公衆回線5を通してTV付き携帯電話機1に画像データが転送される(ステップST7,ステップST8)。この転送された画像データはTV付き携帯電話機1のモニタ上に画像として表示される(ステップST9)。
このようにして、外出先から必要に応じてモニタカメラ装置2が設置された室内を外部からTV付き携帯電話機1により直接、モニタする。
【0033】
なお、ネットワーク4を構成するためには、情報の秘匿性・電波帯域の利用効率の観点からスペクトラム拡散方式を用いた無線接続が有効である。
【0034】
以上のように、この実施の形態によれば、第三者を介することなく室内の様子を外出先から直接モニタすることが可能になる。この結果、必要な場合にのみ警備や監視のための第三者の介入を求めればよく、警備会社が常時介在する場合に比べてシステム運用費等のコストを軽減できる効果がある。
【0035】
また、家庭内のさまざまな場所に設置されたモニタカメラ装置2とサーバ3とを電波・赤外線を用いた無線通信路を用いて接続した構成を採用することで、室内を監視する際のレイアウト変更が容易になる監視システムが得られる効果がある。
【0036】
実施の形態2.
前記実施の形態1で説明した監視システムでは、呼び出しの頻度にもよるがサーバ3やモニタカメラ装置2が動作する時間はかなり少なく、ほとんどの時間は待機状態となる。従って、サーバ3やモニタカメラ装置2の待機電力、特に台数の多いモニタカメラ装置2の待機電力を削減することは非常に重要である。
この実施の形態2の監視システムは、この点に留意したモニタカメラ装置2の構成を採用したものである。
【0037】
図3は、モニタ終了時に不要な電源供給を削減する機能を付加したモニタカメラ装置2の構成を示すブロック図である。図3において、21は撮像部、22はネットワーク接続部(ネットワーク接続手段)、23は電源部、24は電源管理部(電源管理手段)、25はスイッチ(電源管理手段)である。
【0038】
この実施の形態2の監視システムでは、撮像部21、ネットワーク接続部22からなる従来のモニタカメラ装置の構成に加え、電源供給を制御する電源管理部24を付加した。図3の構成例では、サーバ3の制御部32からネットワーク4およびネットワーク接続部22を介して送られた電源切断命令により、待機時にスイッチ25を用いて撮像部21の電源供給を切断し、待機電力を削減する。例えば、典型的なCCD(Charge Coupled Device)を撮像部に用いた場合、電源の切断により1W程度の電力削減が可能となる。
【0039】
また、モニタカメラ装置2の撮像指示から撮像開始までに1〜2秒の時間遅れを許容すれば、さらに待機電力の削減が可能になる。
図4は、このような待機電力の削減を可能にしたモニタカメラ装置102の構成を示すブロック図である。図4において図3と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。図4において、26は電源管理部24に設けられたインターバルタイマ、27は同様にパルス発生器である。125は電源部23からの電力供拾をオン/オフするスイッチ(電源管理手段)である。
【0040】
このモニタカメラ装置102の特徴は、サーバ3からの撮像命令を待っている間(待ち受け期間)、ネットワーク接続部22への電源をスイッチ125により間欠的に供給し、ネットワーク接続機能を維持するための平均的な電力を削減することにある。間欠的な電源供給は、インターバルタイマ26とパルス発生器27を利用して図5に示すような時間間隔T、時間幅Wのパルスを発生させ、時間幅Wの期間だけスイッチ125を閉成することで実現する。これにより、ネットワーク接続部22の平均消費電力はもとの値のW/Tまで減少する。このとき、時間間隔Tの期間がモニタカメラ装置102の非応答期間となり、モニタカメラ装置102の撮像指示から撮像開始までの応答時間を規定する。他方、時間幅Wは、サーバ3からの命令を判断するために必要な時間で規定される。典型的な値では、時間間隔Tが1秒、さらにサーバ3からの命令長を1Kbitとし、1Mbpsの通信速度で送ったと仮定すると時間幅Wは0.001秒、従ってW/Tは1/1000となり大幅な待機電力削減が実現できる。
【0041】
例えば、平均的な家屋(数10m2 )をカバーする無線装置をネットワーク接続部22として利用した場合を考えると、平均待機電力は500mW程度あるので、これが平均して0.5mW程度まで低下することになる。このため、図3に示す電力削減の構成と図4に示す待機電力の削減の構成を組み合わせればサブmWレベルの待機電力が期待でき、1次電池や2次電池を用いた長時間動作(1Ahの電池で数10日〜数100日)も可能になる。また、太陽電池による不定期充電でも十分動作させることができる。
【0042】
この独立電源でも動作するという性質は、電源配線が不要でレイアウト変更が容易な監視システムを構成する上で重要である。無線通信路を利用した監視システムでは、ネットワーク4の構成方式を工夫することによって、通信時の消費電力を削減し、さらに動作時間を延長することができる。
【0043】
以下、通信時の消費電力を削減し、さらに動作時間を延長可能にする前記ネットワークの構成方式について説明する。
図6は、サーバ3とモニタカメラ装置a,b,c・・・とを無線によるネットワークを介し、動作時間を延長可能にする前記ネットワークの構成方式を示す説明図である。図6において、T1,T2,T3は自モニタカメラ装置が撮像した画像データをサーバ3へ送信し、また自モニタカメラ装置が前記サーバ3との間で制御用の各種情報を送受する機能を有し、さらに他のモニタカメラ装置が送信した当該他のモニタカメラ装置が撮像した画像データおよび前記他のモニタカメラ装置が前記サーバ3との間で無線により送受する制御用の各種情報を中継する機能を有した中継手段である。
【0044】
例えば、図6の(a)に示すように、サーバ3までの通信距離がぞれぞれr,2r,3rの3台のモニタカメラ装置a,b,cをサーバに直接、1対1接続した構成を考えた場合、全てのモニタカメラ装置がサーバ3と通信するためには、サーバ3の場所での最小電界強度が等しくなるように離れたモニタカメラ装置ほど大きな送信出力を持たねばならない。
【0045】
図6の(a)の構成では、モニタカメラ装置cに必要とされる送信電力をモニタカメラ装置aの送信電力の9倍(距離の2乗の逆数)にする必要がある。これに対し、図6の(b)のように各モニタカメラ装置が他のモニタカメラ装置の情報を中継する構成にすれば、どのモニタカメラ装置も隣りのモニタカメラ装置までの通信(この例では距離rの通信)に限定でき、モニタカメラ装置ごとの消費電力をより均一化できる。
【0046】
例えば、各モニタカメラ装置a,b,cが1回ずつ送信した場合、サーバ3との1対1接続ではp:4p:9pという消費電力比になるのに対し、前記中継を考慮すると3p:2p:1pという消費電力比まで綬和される。
【0047】
また、モニタカメラ装置の電池交換などのメンテナンスについても、図6の(b)の中継ネットワーク構成では利点がある。例えば、図6の(a)のサーバ3との1対1接続では、遠距離にあるモニタカメラ装置ほど大きな送信電力を必要とし、「距離の2乗に比例して電池寿命が短く」なってしまう。通常のモニタシステムでは、遠距離にあるモニタカメラ装置は戸外や離れなどのあまり人が行かない(つまり電池交換が容易でない)場所にあるので、このような性質はユーザにとって煩わしいことである。他方、各モニタカメラ装置が他のモニタカメラ装置の情報を中継すれば、サーバ3に近いモニタカメラ装置が遠いモニタカメラ装置の通信を頻繁に中継するため、サーバ3に近いほど通信頻度が増して、「距離に反比例して電池寿命が短く」なる。これは、遠距離にあるモニタカメラ装置ほどメンテナンスしなくとも良いという利点になる。
【0048】
以上のように、この実施の形態2によれば、消費電力を削減できるモニタカメラ装置が得られ、またサーバ3に近いモニタカメラ装置が、より遠い位置に配置された他のモニタカメラ装置の情報を中継可能な構成にすることで、全モニタカメラ装置で消費する電力の総和を抑制できる監視システムが得られる効果がある。
さらに、各モニタカメラ装置の電力供給に電池などを使用する場合、電池交換の頻度などの観点から、メンテナンス容易な監視システムが得られる効果がある。
【0049】
実施の形態3.
また、家庭用モニタシステムに対する要望として、人がいないはずの場所に移動物体が存在したり、人がいるはずの場所にいないといったような異常を認識し、外出先のTV付き携帯電話機を呼び出して報告する機能が望まれている。さらに、通信コストを抑えるために、情報量の多い画像データを圧縮して転送する機能も望まれている。しかし、単なる撮像とデータ転送機能だけを持つモニタカメラ装置を用いてこれら機能を実現しようとすると、図7の(a)に示すような構成のサーバ3を有した監視システムの構成では、サーバ3の画像データ処理部50に全てのモニタカメラ装置の画像データが集中し、モニタカメラ装置が多くなる程、応答速度が低下してしまう。また、異常の有無や画像の要・不要にかかわらず全モニタカメラ装置の画像データをサーバ3に転送するため、より通信速度の速いネットワーク4が必要となる。例えば、128×128ピクセル・8ビット階調(白黒)程度の画像データでも0.1Mbのサイズがあり、安価な無線/有線ネットワーク(通信速度数100Kbps)では(1秒当たり2〜3枚分のデータのみを扱うような)小規模なシステムしか構成できない。
【0050】
この問題に対しては、図7の(b)に示すようにサーバ3の画像データ処理部50をモニタカメラ装置側に画像データ処理部50a,50b,50cとして移し、各モニタカメラ装置で画像データの分散処理を行うことで、より少ない情報(例えば、異常の有無や圧縮された画像データ)に変換してからサーバ3へ送るとができ、サーバ3の画像データ処理部50に全てのモニタカメラ装置の画像データが集中し、モニタカメラ装置が多くなる程、応答速度が低下してしまう問題を解決できる。
【0051】
図7の(b)に示す構成の監視システムを実現するためのモニタカメラ装置103を図8に示す。図8において図3および図4と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。図8において、50a(50b,50c)は各モニタカメラ装置に設けられた画像データ処理部、51は画像前処理部、52はメモリ、53は動き認識部である。
画像データ処理部50は、撮像結果の前処理(雑音除去・輪郭処理など)を行う画像前処理部51と、1回分の撮像結果を保持するメモリ52、および動き認識部53を有し、連続する画像の動きを求め、異常の有無の判断用データ203を出力する機能を実現している。
【0052】
次に、画像データ処理部50の動作を説明する。
先ず、1回目の撮像結果を画像前処理部51で処理した後、メモリ52に取り込む。続いて一定の期間が経過した後、2回目の撮像結果を画像前処理部51を介して動き認識部53へ入力する。この際、メモリ52上の1回目の撮像結果も同時に呼び出し、動き認識部53へ入力する。動き認識部53では、入力された2つの画像の画素ごとの差分絶対値を計算し、さらにその計算結果の和(1回目の2次元画像行列をx[i][j]、2回目をy[i][j]としたときの、m=Σij|x[i][j]−y[i][j]|を計算する。
この差分絶対値和mは、1回目と2回目の画像の動きが大きいほど大きな値となるので、移動物体の有無を判断するための判断用データ203として流用できる。
【0053】
従って、先ず、各モニタカメラ装置ごとに画像データの差分絶対値和による前記判断用データ203を求め、サーバ3に送り、その値に基づいて動きの大きな画像データだけを選択的にモニタすることで、各モニタカメラ装置とサーバ3間、サーバ3とTV付き携帯電話機1間の転送データ量を削減することが可能になる。
【0054】
結果として、より安価な(つまり回線速度の遅い)ネットワーク4を使用できる監視システムが得られる。
【0055】
なお、上記以外の画像処理・認識処理に関しても、モニタカメラ装置側で局所的に処理することで同様の効果を得ることができるので、画像データ処理部50の実現方法としては汎用プロセッサあるいはFPGAなどのプログラマブルデバイスを用い、複数の処理をプログラムあるいは結線情報で選択できるように構成するようにしてもよい。
【0056】
また、撮像機能と前処理機能(雑音除去・輪郭処理など)を一括処理できる人工網膜チップ(三菱電気株式会社の登録商標)を用いると、画像データ処理部50の構成が簡単になり、余ったチップ面積をメモリの増設や、別の認識処理手段の搭載に割り振ることができる。
【0057】
図9は、この人工網膜チップを用いた移動物体検出機能付きのモニタカメラ装置104の一例を示すブロック図である。図9において図8と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。図9において、501は人工網膜チップを用いた場合の画像データ処理部、502は人工網膜チップ、502aは画像前処理部、502bは撮像部である。
【0058】
以上のように、この実施の形態3によれば、各モニタカメラ装置ごとに画像データの差分絶対値和による前記判断用データ203を求め、この判断用データ203に基づいて動きの大きな画像データだけをサーバ3が選択的にモニタすることにより、各モニタカメラ装置とサーバ3間、サーバ3とTV付き携帯電話機1間の転送データ量を削減できるモニタカメラ装置が得られる効果がある。
【0059】
また、人工網膜チップ502側で雑音除去・輪郭処理が行えるため、画像デー夕処理部501はメモリ52と動き認識部53だけを有していればよく、画像デタ処理部501を簡略化できるモニタカメラ装置が得られる効果がある。
【0060】
実施の形態4.
また、レイアウト変更が容易で誰にでも扱える監視システムを構成するためには、モニタカメラ装置の形状も工夫する必要がある。図10は、このようなモニタカメラ装置の構成を示す構造図である。図10において、60はモニタカメラ装置2の取付面、61はレンズ、62は上蓋、63は底板、64,65,66は無線I/Fチップ、撮像素子、電源回路などを構成する素子である。
【0061】
このモニタカメラ装置2では、壁面などへの取付面の縦寸法および横寸法を高さよりも大きくし、壁面などへの取り付けを簡単にする。
取付面側にはシールを貼付し、従来必要とされていた専用の架台やネジ止めを不要にし、誰でも簡単に着脱可能に構成する。
また、図11には、さらに太陽電池や乾電池を同一筐体中に形成することで独立電源によるモニタカメラ装置の動作を可能にして、さらにレイアウト変更が容易な監視システムを構成できるモニタカメラ装置を示す構造図である。
図11において、67は乾電池あるいは太陽電池を用いた前記独立電源である。
【0062】
なお、前記モニタカメラ装置を構成する際には、撮像部(CCD、CMOSセンサ、人工網膜チップなど)・画像データ処理部・ネットワーク接続部(無線インタフェースなど)を個別のデバイスで構成するのではなく、同一半導体基板上に集積し、単一チップ化することが望ましい。
【0063】
これにより、デバイス間の外部配線負荷を駆動しなくてもすみ、より低消費電力のモニタカメラ装置を構成できる。また、モニタカメラ装置の製造に関してもデバイス間配線用の基板を省略し部品点数を少なくできるので、アセンブリコストを抑制できるモニタカメラ装置が得られる効果がある。
【0070】
【発明の効果】
この発明によれば、バス状ネットワークによりサーバと接続され、雑音除去・輪郭処理機能が設けられた画像前処理部を有し、画像の変化検出や画像データの圧縮についてのデータ処理を行い、前記画像の変化検出結果をもとに前記サーバとの間で前記画像の変化量が所定変化量以上の画像データの送受を選択的に行う画像データ処理部を備えるように構成したので、前記サーバにおいて画像データを処理する際の負荷が軽減できる効果がある。
【0071】
この発明によれば、画像前処理部を有した人工網膜チップを備えるように構成したので、データ処理を行うための構成を簡略化できる効果がある。
【0072】
この発明によれば、電源供給を制御する電源管理手段を備えるように構成したので、消費電力を削減できる効果がある。
【0073】
この発明によれば、サーバからの指令により、待機時に撮像手段への電源供給を遮断する電源管理手段を備えるように構成したので、前記撮像手段による消費電力の削減を前記サーバから制御できる効果がある。
【0074】
この発明によれば、サーバからの撮像命令を待っている待ち受け期間、ネットワーク接続手段への電源を間欠的に供給する電源管理手段を備えるように構成したので、前記ネットワーク接続手段による消費電力を削減できる効果がある。
【0075】
この発明によれば、乾電池あるいは太陽電池を用いた独立電源を備えるように構成したので、電配線や電池交換などが不要になり、また配置替えも容易になり、機能性を向上できる効果がある。
【0079】
この発明によれば、スペクトラム拡散方式を用いてサーバとの間を無線接続するように構成したので、情報の秘匿性・電波帯域の利用効率が向上する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1の監視システムの構成を示すブロック図である。
【図2】 この発明の実施の形態1の監視システムの動作手順を示すフローチャートである。
【図3】 この発明の実施の形態2の監視システムにおけるモニタ終了時に不要な電源供給を削減する機能を付加したモニタカメラ装置の構成を示すブロック図である。
【図4】 この発明の実施の形態2の監視システムにおける待機電力の削減を可能にしたモニタカメラ装置の構成を示すブロック図である。
【図5】 この発明の実施の形態2の監視システムにおいてネットワーク接続機能を維持して平均的な電力を削減するインターバルタイマとパルス発生器の動作を示す波形図である。
【図6】 この発明の実施の形態2の監視システムにおいて通信時の消費電力を削減し、さらに動作時間を延長可能にするネットワーク構成方式を示す説明図である。
【図7】 この発明の実施の形態3の監視システムにおける各モニタカメラ装置での画像データの分散処理を示す説明図である。
【図8】 この発明の実施の形態3の監視システムにおける各モニタカメラ装置の構成を示すブロック図である。
【図9】 この発明の実施の形態3の監視システムにおける人工網膜チップを用いた各モニタカメラ装置の構成を示すブロック図である。
【図10】 この発明の実施の形態4の監視システムにおけるモニタカメラ装置の構成を示す構造図である。
【図11】 この発明の実施の形態4の監視システムにおけるモニタカメラ装置の構成を示す構造図である。
【符号の説明】
1 TV付き携帯電話機(テレビジョン装置付携帯端末)、2,102,103,104,a,b,c モニタカメラ装置、3 サーバ、4 ネットワーク、22 ネットワーク接続部(ネットワーク接続手段)、24 電源管理部(電源管理手段)、25,125 スイッチ(電源管理手段)、50,50a,50b,50c,501 画像データ処理部、51,502a 画像前処理部、67 独立電源、502 人工網膜チップ、T1,T2,T3 中継手段。
Claims (6)
- ネットワークによりサーバと接続され、制御用の各種情報および撮像した画像データの送受を前記サーバとの間で行うモニタカメラ装置において、
前記ネットワークは、モニタカメラ装置が複数接続されたバス状ネットワークであり、
雑音除去・輪郭処理機能が設けられた画像前処理部を有し、画像の変化検出や画像データの圧縮についてのデータ処理を行い、前記画像の変化検出結果をもとに前記サーバとの間で前記画像の変化量が所定変化量以上の画像データの送受を選択的に行う画像データ処理部を備えていることを特徴とするモニタカメラ装置。 - 画像前処理部を有した人工網膜チップを備えていることを特徴とする請求項1記載のモニタカメラ装置。
- 電源供給を制御する電源管理手段を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のモニタカメラ装置。
- 電源管理手段は、
サーバからの指令により、待機時に撮像手段への電源供給を遮断することを特徴とする請求項3記載のモニタカメラ装置。 - 電源管理手段は、
サーバからの撮像命令を待っている待ち受け期間、ネットワーク接続手段への電源を間欠的に供給することを特徴とする請求項3または請求項4記載のモニタカメラ装置。 - 乾電池あるいは太陽電池を用いた独立電源を備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載のモニタカメラ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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