JP3820712B2 - 車両用交流発電機 - Google Patents

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    • H02K11/04Structural association of dynamo-electric machines with electric components or with devices for shielding, monitoring or protection for rectification
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  • Power Engineering (AREA)
  • Synchronous Machinery (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は乗用車、トラック等に搭載される車両用交流発電機に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両走行抵抗の低減や視界向上のためのスラントノーズ化や車室内居住空間の確保のニーズからエンジンルームはますます狭小化しつつあり、エンジンルーム内に熱がこもるため、車両用交流発電機をはじめとする電装品の周辺温度が上昇してきた。また、安全制御機器等の電気負荷の増加に伴い、車両用交流発電機の発電量増加が求められており、前述の通りエンジンルームの狭小化により搭載余裕がないため、発電機は体格を拡大することなく高出力化しなければならない。以上のことから、車両用交流発電機はエンジンルーム内の電装品の中でも、より一層の高温度条件下に置かれるようになってきた。一方、エンジンが小型・軽量化で且つパワーアップされたきた結果、振動が大きくなり、エンジンに搭載される車両用交流発電機に加わる振動も増大してきた。低コスト化要求はいうまでもない。
【0003】
以上のことを背景として、小型、高出力で耐熱性、耐振性に優れた車両用交流発電機を安価に提供することが求められている。
小型、高出力化については、発電の基本構成である回転子と固定子について起磁力の増加、磁気回路の改良とともに、冷却ファンの内蔵化による冷却性向上などがよく知られた手法である。一方、交流を整流に変換する整流装置については、出力上昇に伴う整流素子自体の耐熱性向上以外に、構造上、以下の課題があった。
【0004】
従来の一般的な整流装置を内蔵した車両用交流発電機の整流装置周辺部の断面図を図8、図9に示す。整流装置はフレーム100と金属板よりなるカバー101との間の部品収容室Sに収容されている。パイプリベット103には端子台104、+電位の冷却フィン105(以下、+フィンと称す)、ブッシュ106、−電位の冷却フィン107(以下、−フィンと称す)が順番に勘着され、その後パイプリベット103によってかしめ固定されて整流装置が組み付けられる。なお、+フィン105には+整流素子(図示せず)が、−フィン107には−整流素子(図示せず)が、半田付けや打ち込みなどにより固定して電気接続されている。また、図9に示すように端子台104には整流回路を形成する金属ターミナル110が一体成形されており、その一方は固定子コイルからのリード線109と電気接続され、他方では整流素子の接続部と電気接続されている。よって端子台104の成形樹脂材料にはポリフェニレンサルファイドに代表される、成形性、寸法安定性、耐熱性、耐候性、電気絶縁強度などに優れた熱可塑性樹脂が一般に用いられる。一方、両フィン間に介在するブッシュ106は、端子台104のような金属の一体成形が不要であり、両フィン間を離間させる役割のみ担う単純円筒形状であるため、フェノールに代表される比較的安価な熱硬化樹脂が用いられる。そして、フレーム100に打ち込まれたボルト102に、パイプリベット103が嵌着するように上記の整流装置を装着した後、カバー101の取り付け穴をボルト102にはめ込み、ナット108により整流装置とカバー101をフレーム100に軸方向から締着固定する。これにより、+フィン105は、−フィン107、フレーム100、ボルト102、カバー101から離間され、各々が固定保持される。
【0005】
しかし、周囲温度が高く、高出力のため更に整流素子温度が高くなる整流装置の温度環境条件下において、上述のように軸方向に熱可塑性樹脂の端子台104を締着固定している場合、時間経過と共に樹脂の粘弾性的性質による歪みの増加であるクリープ現象が発生し、言い替えれば樹脂が締着方向に収縮して、その結果、ナット108がゆるむ。よって、整流装置の固定力が低下して振動が高まり、整流素子の破損や固定子コイルからのリード線109の断線などにより発電異常に至る。近年の外部振動の増大している環境においては、上記の発電異常が更に発生しやすいのはいうまでもない。また、部品点数や組み付け工数が多く、製造コストの低減が難しい構造でもあった。
【0006】
これを解決するために、特開平6−133509号公報によれば、図10に示したように、フレーム50に−整流素子53を圧入などにより固定して−フィンを廃止し、カバー51を樹脂製とし、+フィン55の取り付け穴周辺にブッシュ54が配置される。このブッシュ54は+フィン55とフレーム50を所定の間隔で離間し、+フィン55の取り付け穴の内周面を全面に渡り被覆して、+フィン55とボルト52間の絶縁を確保している。よって、ブッシュ54をフレーム50とカバー51間でナットにより挟持するだけで+フィン55を固定でき、多数の部品をパイプリベットで強力にかしめる必要がないので、ブッシュ54の高温環境下でのクリープ現象を抑止して耐振性を向上させるとともに、部品点数の低減、組み付け工数の格段の削減を可能としている。また、ブッシュ54の取り付け穴内周部に円筒状の鋼鉄製スリーブ53を樹脂一体成形し、振動や熱ストレスに対して更に耐久強度を上げている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特開平6−133509号公報の方法では、ブッシュ54には整流回路を形成する金属ターミナル60が一体成形されるので、材料には従来の端子台と同様に、ポリフェニレンサルファイドに代表される、成形性、寸法安定性、耐熱性、耐候性、電気絶縁強度などに優れた熱可塑性樹脂が用いられる。しかも、ブッシュ54は+フィン55を取り囲むように配置されるので、カバー51をナット58にて軸方向に締着するにあたり、−フィンが無くなったにも拘わらず、締着部の熱可塑性樹脂部の軸方向長さは従来と同等以上の長さとなるので、クリープによる歪み量はかえって増加する。また、樹脂製のカバー51には、フレーム50との当接部51aにおいて径方向にしめしろを持たせるなどして密閉性と固着性を確保するための可とう性を必要とし、且つ材料使用量が多いことより、比較的安価な熱可塑性であるナイロン樹脂を一般に使用し、このカバー51の取り付け穴座面を介して軸方向に締着固定がなされている。以上より、樹脂のクリープ現象によるナット58のゆるむ危険性は依然として残る。更に、フレーム50に−整流素子を圧入などにより固定しているため、整流装置近傍のフレーム50の吸入通風窓の面積が減少するので+フィン55の温度が上昇し、このフィンを取り囲んでいるブッシュ54の温度も当然ながら上昇する。よって、樹脂クリープには更に不利となり、ナット58がゆるみ易くなる。また、鋼鉄製スリーブ53が一体成形されているが、初期のナット58の過大な締め付けや過大振動による樹脂割れには効果があるものの、ナット58はカバー51を介してブッシュ54を軸方向に締着しているので、熱可塑性樹脂のクリープ現象によりブッシュ54やカバー51の軸方向寸法が短縮すればナット58はやはりゆるむ。
【0008】
また、部品点数の削減については、図8に示した−フィン107、および両フィン間の絶縁ブッシュ106を削減できる。しかし、ブッシュ54は、整流回路を形成する複数の金属ターミナル60や金属スリーブ53を一体成形し、かつ取り付け穴近傍で完全に+フィン55を取り囲んで電気絶縁を確実にする必要があるため、各取り付け穴ごとに個別に作らねばならない。なぜなら、複数のブッシュを一体化しようすると、成形が複雑となり型費や工数が増加するのみならず、+フィン55へのブッシュ54の組み付けが至難となるからである。以上により、図8の整流装置において1体で作られた端子台104に対し、ブッシュ54は各取り付け穴ごとに個別に作るため、部品点数の削減はわずかでしかない結末となる。また、ブッシュ54は、金属ターミナル60や金属スリーブ53の一体成形のため、ポリフェニレンサルファイドなどの高価な熱可塑性樹脂を使用するため、安価なフェノールなどの熱硬化性樹脂を組み合わせて使っていた図8に示した構造に比べ、材料費も増加する。以上のことから、製造コストの低減も難しい。
【0009】
本発明は、上記の従来の問題点を解決するもので、耐熱性、耐振性を向上させ、コスト性にも優れた車両用交流発電機を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために本発明の発電機は、カバーに設けられた熱硬化性樹脂製のブッシュによって軸方向の取り付けボルトと+フィンの取り付け穴の内周面を絶縁し、また上記ブッシュを介して整流装置をフレームに締着固定したものである。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、フレームの外部に固定される整流装置と、前記フレームに固定され前記整流装置を囲覆する樹脂製のカバーとを備える車両用交流発電機において、前記整流装置は、+電位のフィンと−電位のフィンとを有し、前記+電位のフィンは軸方向に前記カバーに近接配置され、前記−電位のフィンは軸方向に前記フレームに近接配置され、前記両フィンは所定幅の隙間を介して軸方向に重ねられ、前記整流装置を前記フレームに固定する金属製の締結部材は、前記フィンの取り付け穴及び前記カバーの取り付け穴を貫通し、前記+電位のフィンの取り付け穴と前記締結部材との間には+電位のフィンの取り付け穴の内周面を被覆するようにほぼ円筒状の熱硬化性樹脂よりなるブッシュが配置され、前記ブッシュは、前記整流装置の方向へ突出するように、前記樹脂カバーに固定されていることを特徴としている。
【0012】
これにより、絶縁を確保しつつ軸方向の締着固定力を受けるブッシュを、熱可塑性樹脂に比べクリープ現象が抑止される熱硬化性樹脂で作るため、高温環境下においてボルトのゆるみが防止され、よって外部振動の増加に対しても耐久性が増す。また、安価なフェノール材を使えるので、材料費を低減できるとともに、カバーに固定されているので組み付けも容易となることより、製造コストを低減できる。
【0013】
また、前記ブッシュは前記+電位のフィンの取り付け穴よりも大なる径方向断面を持つつば部を有し、前記つば部の軸方向端面が前記整流装置の+電位のフィンに当接され、前記金属製の締結部材によって前記フレームの軸方向に締着固定されていることを特徴としている。これにより、整流装置の軸方向の締着固定にあたり、熱硬化性樹脂製のブッシュを確実に介在させて用いることにより、+フィンの絶縁を確保しつつ、樹脂のクリープ現象による変形が抑止され、ボルトのゆるみを防止できるので、耐熱性、耐振性が強化される。
【0014】
さらに、前記ブッシュは、熱可塑性樹脂よりなる前記樹脂カバーに固定されているので、整流装置を囲覆するに適した機械的特性の樹脂カバーを採用でき、コスト低減を図ることができる。請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の車両用交流発電機において、前記ブッシュの前記樹脂カバー側の端面が、前記樹脂カバーの反整流装置側の表面に露出していることを特徴としている。これにより、カバーを軸方向に固定している面も熱硬化性樹脂となるので、熱可塑性樹脂製のカバーを介在させて軸方向に締着固定している従来の方法に比べ、カバーの締着座面のクリープ現象による変形が抑止され、ボルトのゆるみを防止できる。
【0015】
請求項に記載の発明によれば、請求項に記載の車両用交流発電機において、前記表面露出部の最大内接円径は締着圧接する前記締結部材のナット、あるいはボルトの軸方向圧接座面の最小外接円径より大であることを特徴としている。これにより、ナットやボルトの締結部材を使って整流装置やカバーをフレームに締着固定する時に、締結部材は確実にカバーに固定された熱硬化性樹脂であるブッシュと軸方向に当接する。よって、樹脂のクリープ現象による変形が抑止され、ボルトのゆるみを防止できる。
【0016】
請求項に記載の発明によれば、請求項からのいずれかに記載の車両用交流発電機において、前記ブッシュは、前記樹脂カバーとの固定部において、前記締結部材を軸中心とする円周方向に係止部を有することを特徴としている。これにより、ナットやボルトの締結部材を使って整流装置やカバーをフレームに締着固定する時に、カバーに固定されたブッシュと締結部材の座面との当たり部においてブッシュの回動を防止できる。即ち、整流装置、カバーの固定を更に強固に確実に実施できる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1からのいずれかに記載の車両用交流発電機において、前記ブッシュのつば部には略円筒状の金属体が貫入固定されていることを特徴としている。これにより、熱硬化性樹脂よりなるブッシュの軸方向強度が更に増し、クリープ現象の抑止と相まって、更にボルトのゆるみ防止と耐振性の向上、また、初期の過大締め付けによるブッシュの割れも防止できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の車両用交流発電機を図に示す各実施形態に基づいて説明する。
〔第一の実施形態〕
図1から図4はこの発明を適用した第一の実施形態を示したもので、図1は車両用交流発電機の主要部断面、図2は本実施形態の整流装置やカバー周辺の組み付け状態の部分拡大図、図3はブッシュを一体成形したカバーの斜視図、図4はブッシュの正面図および断面図を示している。
【0020】
車両用交流発電機1は、電機子として働く固定子2と界磁として働く回転子3と、前記回転子と固定子を支持するフロントフレーム5とリアフレーム4とを有す。回転子3は、シャフト6と一体になって回転するもので、2組のランデル型ポールコア31、冷却ファン32、フィールドコイル33、スリップリング34等によって構成され、シャフト6に連結されたプーリ7を介して、自動車に搭載された走行用のエンジン(図示せず)により回転駆動される。この時、スリップリング34を通じてフィールドコイル33に通電することにより、固定子コイル21に交流起電力が生じ、これをリード線19により整流装置10に導き、全波整流して直流を出力する。
【0021】
整流装置10は、複数対の+と−の整流素子(図示せず)を冷却フィン15、17に半田付けや機械プレスなどにより電気接続し、全波整流のブリッジ回路を形成している。−電位の冷却フィン17は、リアフレーム4側にリアフレーム4と当接する部分を有するよう配置される。+フィン15は、−フィン17とほぼ平行にカバー11側へ配置される。整流回路を形成するための金属ターミナルが樹脂でインサート成形された端子台14は両フィン間を離間させて絶縁しており、前記の金属ターミナルは一方で固定子コイルからのリード線19と電気接続され、他方では整流素子の接続部と電気接続されている。端子台14は、上記の複数対の整流回路を形成する金属ターミナルをすべて一体成形されている。端子台14の材料にはポリフェニレンサルファイドに代表される、成形性、寸法安定性、耐熱性、耐候性、電気絶縁強度などに優れた熱可塑性樹脂を用いている。なお、図1では、リアフレーム4が−フィン17に当接し吸入通風窓4aが無い部位の断面を示しているが、取り付け部以外の断面においては−フィンが全面当接することなく、従来構造と同様にリアフレーム4の吸入通風窓4aの面積が確保されて形成されている。
【0022】
両フィン15、17及び端子台14には複数箇所のフレーム4への取り付け穴が各々同軸上に形成され(図2には1カ所のみ表示)、リアフレーム4に打ち込まれた複数の取り付け用ボルト12に上記の−フィン17の取り付け穴が嵌着するように整流装置10が装着される。その後、カバー11の取り付け穴をボルト12にはめ込み、ナット18により整流装置10とカバー11をリアフレーム4に軸方向から締着固定する。この時、カバー11はナイロン樹脂に代表される安価な熱可塑性樹脂よりなり、あらかじめ熱硬化性樹脂で成形された図4に示す円筒状のブッシュ16が、図3に示すようにカバー11の取り付け穴として整流装置方向に突出するようにインサート成形により固定されている。これにより、ブッシュ16の円筒部16aはボルト12と+フィン取り付け穴および端子台取り付け穴の間に配置される。また、ブッシュ16は図4に示すように、+フィン15の取り付け穴よりも大きい径方向断面を持つ中間つば部16bと、カバー側端面にナット18の締め付け座面として露出した端面16dを持つ端面つば部16cを有し、ナット18の締め付けにより上記の中間つば部16bの端面16eが前記整流装置の+フィン15を軸方向に押接し、+フィン15、端子台14、−フィン17をリアフレーム4に締着固定している。なお、中間つば部16bが+フィン15を軸方向に当接するため、ブッシュ16の整流子方向端は図2に示すように−フィン17には達していない。また、図4に示すように前記端面つば部16c、及び中間つば部16bの外周には直線部16g、16kが形成されているので、ナット18を締め付ける時にカバー11にインサート成形されたブッシュ16が回動することが防止される。更に、ブッシュ16の端面つば部16cの最大内接円径がナット座面の最小外接円径より大に設定されているので、確実にナット18は熱硬化性樹脂部を軸方向に押接できる。
【0023】
以上の実施形態により、絶縁を確保しつつ軸方向の締着固定力を受けるブッシュ16を熱硬化性樹脂で作るため高温環境下での樹脂のクリープ現象とそれに伴うナット18のゆるみが防止されるので、高出力化や車両環境変化による高温化や振動増加に対応できる耐熱性、耐振性に優れた車両用交流発電機を提供できる。また、安価なフェノール材を使えるので、材料費が低減できるとともに、カバー11にインサート成形により固定されるので組み付けも容易となり、以上より製造コストを低減できる。
【0024】
〔その他の実施形態〕
第一の実施形態では、ブッシュ16は熱硬化性樹脂によってのみ成形されているが、図5のようにつば部に略円筒状の金属体16fを貫入固定してもよい。ブッシュ16を成型時に同時にインサート成形してもよいし、成形後にしめしろを持たせて嵌合させて固定してもよい。これにより、ブッシュの軸方向強度が更に増し、クリープ現象の抑止と相まって、更にボルトのゆるみ防止と耐振性の向上、また初期におけるナットの過大締め付けに対してもブッシュの割れを防止できる。またインサート成形される上記の金属体16fは、図6に示すように円筒を一部欠いたロール形状でもよいし、図7に示すように+フィン15との当接面につばを持つ形状としても、同様の効果を得ることができる。
【0025】
第一の実施形態では、+フィン15の取り付け穴よりも大きい径方向断面を持つ中間つば部16bの端面16eが前記整流装置の+フィン15を軸方向に押接しているが、全周に渡って押接するつば形状でなくとも、+フィン15の軸方向押さえができるのであれば、図11に示すように部分的に軸方向押さえ部16jを持つものでもかまわない。この場合、ブッシュ16の材料使用量を低減できる。
【0026】
第一の実施形態では、ブッシュ16はあらかじめ成形され、カバー11を成形する時にカバー11の取り付け穴として整流装置方向に突出するようにインサート成形されて固定されているが、図12に示すように、端面つば部16cの穴16hとカバー11の突起11aとを組合せ後、熱かしめによって両者を固定してもよい。あるいは、固定力が確保される溶剤や接着剤による接合でもよい。これにより、インサート成形が不要となるので、型構造の簡単化、作業工程の簡便化により、安価な設備で対応できる。
【0027】
第一の実施形態では、端面つば部16c、及び中間つば部16bの外周には直線部を形成することによりカバー11にインサート成形されたブッシュの回動防止がなされているが、外周部が非円周形状であれば、例えば楕円形状や多角形形状であっても同様の効果を得ることができる。あるいは、外周部が円周形状であっても、端面つば部16cの外周近くに軸方向の穴を形成すれば、インサート成形の時にこの穴にカバー11の樹脂が充填されて、同様の効果を得ることができる。
【0028】
第一の実施形態では、ブッシュ16は端面つば部16cを設けているが、中間つば部16bの最大内接円径をナット座面の最小外接円径より大に設定し、外周に回動防止用の係止部が設けられていれば、図13に示すように中間つば部16bのみの構成でよい。
第一の実施形態では、ブッシュ16とカバー11は別体であるが、図14に示すように、複数のブッシュ16とカバーの一部を同一の熱硬化性樹脂により一体成形してサブカバー111を作り、サブカバー111と残部のカバー112を、上述した各種固定方法のいずれかを使って固定してもよい。この場合、各ブッシュ間の位置精度が高まるので、カバー11の組み付け工程での不良を大幅に低減できるとともに、複数のブッシュ16を一体化できるので部品点数が減ることにより、生産コストを低減できる。
【0029】
また、ブッシュ16とカバー11をすべて熱硬化性樹脂を使って一体成形すれば、部品点数が更に減り、生産工数を低減できる。
第一の実施形態では、リアフレーム4に打ち込まれた複数の取り付け用ボルト12に整流装置、ブッシュ付カバー11をナット18を用いて締着固定しているが、フレーム4にねじ穴を設け、カバー11側から取り付け穴にボルトを貫通させて締着固定してもよい。この場合、部品点数および組み付け工数を減らすことにより製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の実施形態の車両用交流発電機の主要部断面図である。
【図2】第一実施形態における整流装置およびカバー周辺の締着固定部の断面図である。
【図3】ブッシュが固定されたカバーの外観斜視図である。
【図4】第一の実施形態におけるブッシュを示し、(a)は正面図、(b)は断面図である。
【図5】ほぼ円筒形状の金属体が貫入固定されたブッシュを示し、(a)は正面図、(b)は断面図である。
【図6】金属体が貫入固定されたブッシュを示し、(a)は正面図、(b)は断面図である。
【図7】金属体が貫入固定されたブッシュの断面図である。
【図8】従来の整流装置およびカバー周辺の締着固定部の一例を示す断面図である。
【図9】従来の整流装置、カバー周辺の締着固定部および固定子コイルリードとの接続の一例を示す断面図である。
【図10】従来の整流装置及びカバー周辺の締着固定部の他の例を示す断面図である。
【図11】他の実施形態におけるブッシュの正面図である。
【図12】他の実施形態におけるブッシュとカバーとの固定方法の説明用の断面図である。
【図13】他の実施形態におけるブッシュを示し、(a)は正面図、(b)は断面図である。
【図14】他の実施形態におけるサブカバーとカバーの説明用の正面図である。
【符号の説明】
1 車両用交流発電機
2 固定子
3 回転子
4 リアフレーム
5 フロントフレーム
10 整流装置
11 カバー
12 ボルト
14 端子台
15 +フィン
16 ブッシュ
16a 円筒部
16b 中間つば部
16c 端面つば部
16d カバー側端面
16e 中間つば部端面
16f 金属体
16g 外周直線部
17 −フィン
18 ナット
19 リード線

Claims (5)

  1. フレームの外部に固定される整流装置と、前記フレームに固定され前記整流装置を囲覆する樹脂製のカバーとを備える車両用交流発電機において、
    前記整流装置は、+電位のフィンと−電位のフィンとを有し、前記+電位のフィンは軸方向に前記カバーに近接配置され、前記−電位のフィンは軸方向に前記フレームに近接配置され、前記両フィンは所定幅の隙間を介して軸方向に重ねられ、
    前記整流装置を前記フレームに固定する金属製の締結部材は、前記フィンの取り付け穴及び前記カバーの取り付け穴を貫通し、
    前記+電位のフィンの取り付け穴と前記締結部材との間には+電位のフィンの取り付け穴の内周面を被覆するようにほぼ円筒状の熱硬化性樹脂よりなるブッシュが配置され、
    前記ブッシュは、前記整流装置の方向へ突出するように、前記樹脂カバーに設けられていると共に、
    前記ブッシュは前記+電位のフィンの取り付け穴よりも大なる径方向断面を持つつば部を有し、前記つば部の軸方向端面が前記整流装置の+電位のフィンに当接され、前記金属製の締結部材によって前記フレームの軸方向に締着固定されており、
    前記ブッシュは、熱可塑性樹脂よりなる前記樹脂カバーに固定されていることを特徴とする車両用交流発電機。
  2. 請求項において、
    前記ブッシュの前記樹脂カバー側の端面が、前記樹脂カバーの反整流装置側の表面に露出していることを特徴とする車両用交流発電機。
  3. 請求項において、
    前記表面露出部の最大内接円径は締着圧接する前記締結部材のナット、あるいはボルトの軸方向圧接座面の最小外接円径より大であることを特徴とする車両用交流発電機。
  4. 請求項からのいずれかにおいて、
    前記ブッシュは、前記樹脂カバーとの固定部において、前記締結部材を軸中心とする円周方向に係止部を有することを特徴とする車両用交流発電機。
  5. 請求項1からのいずれかにおいて、
    前記ブッシュのつば部には略円筒状の金属体が貫入固定されていることを特徴とする車両用交流発電機。
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