JP3956524B2 - 車両用交流発電機 - Google Patents

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    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗用車やトラック等に搭載される車両用交流発電機に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用交流発電機は、車両走行中にバッテリの補充電を行うとともに、エンジンの点火、照明、その他の各種電装品の電力を賄うものであり、市場競争力を維持、向上させるために、小型軽量化、高出力化、コストダウンおよび耐久性の向上は重要な課題である。
【0003】
図14は、従来の車両用交流発電機の断面図である。回転子100は、軸方向両側の隔たった位置に設けられた2つの軸受け102、104を介してフレーム110によって支持されている。また、リヤ側の軸受け104は、リヤ側のフレーム110に設けられた軸受け収容部112によって固定され、この軸受け収容部112は、スタットボルト114によってフレーム110に取り付けられている。車両用交流発電機の組付けを行う場合には、リヤフレーム110のスタッドボルト114を整流装置120に形成された取付孔に通した後に、整流装置120やその他の部品を覆うようにリヤカバー130を取り付け、このリヤカバー130を押さえるようにスタッドボルト114にナット116を通して締め付ける。
【0004】
図15は、スタッドボルト114の周辺の部分的な断面図である。図15に示すように、従来の整流装置120は、負極側の放熱板122と正極側の放熱板124とを所定間隔で重ねて配置し、これらを端子台126とともに金属製のパイプリベット128を用いて挟み込んだ構造を有している。このパイプリベット128によって形成される取付孔をスタッドボルト114に通すことにより、フレーム110に対する整流装置120の取り付けが行われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の車両用交流発電機においては、負極側の放熱板122をフレーム110に電気的に接続させる必要があるため、スタッドボルト114に負極側の放熱板122が直接接触する構造になっており、スタッドボルト114および軸受け収容部112を介して直接熱が伝わって、軸受け104の温度が高くなるという問題点があった。一般に、軸受け104は、部分的に樹脂材料やグリース等の潤滑剤を含んで構成されており、整流装置120に比べて耐熱温度が低いものが用いられるため、整流装置120から流れ込む熱によって温度が上昇することは好ましくない。
【0006】
また、上述した整流装置120は、負極側の放熱板122と正極側の放熱板124をパイプリベット128によって挟み込む構造を有するため、これら2つの放熱板122、124がリヤカバー130を介して吸い込まれる冷却風の流れに対してほとんど重なって配置されることになり、整流装置120の冷却性が悪化するという問題があった。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、軸受けの温度上昇を抑えるとともに、整流装置の冷却性を向上させることができる車両用交流発電機を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明の車両用交流発電機は、軸受け収容部を固定する固定用ボルトをフレームの反回転子側に突出させ、この固定用ボルトを用いて整流装置を固定する場合に、整流装置の正極側放熱板をフレームと電気絶縁された状態でこの固定用ボルトによって固定するとともに、この固定用ボルトとは異なる位置で負極側放熱板をフレームに固定している。負極側放熱板の熱が固定用ボルトを介して直接軸受け収容部に伝わることを防止することができるため、この軸受け収容部によって収容された軸受けの温度上昇を抑えることができる。負極側放熱板は、接地用電極として機能するフレームに電気的に接触させる必要があり、従来はともに金属材料で形成された固定用ボルトと負極側放熱板とが直接接触していたため、固定用ボルトの温度が高くなっていたが、本発明においては、固定用ボルトに負極側放熱板は直接接触しておらず、しかも正極側放熱板も樹脂等の絶縁材料を介して配置されているため、発電時の固定用ボルトの温度上昇が少なくなる。
【0009】
特に、負極側放熱板は、固定用ボルトよりも径方向外側においてフレームに固定することが望ましい。一般に、フレームの径方向外側の方が径方向内側よりも温度が低いため、この負極側放熱板を接触させる位置をより径方向外側とすることにより、整流装置の冷却性を高めることができる。
【0010】
また、負極側放熱板と正極側放熱板とを回転子の回転軸方向に沿って部分的に重ねて配置することが望ましい。これらの放熱板を重ねることにより、それぞれの放熱板の面積を広く設定することができるため、整流装置の冷却性をさらに高めることができる。
【0011】
また、負極側放熱板と正極側放熱板とを部分的に重ねて配置する場合に、それぞれの放熱板の整流素子取付面を対向させることが望ましい。負極側放熱板と正極側放熱板との間に、それぞれに取り付けられた整流素子が配置されることになるため、これらの放熱板で端子台を挟み込むようして整流装置の組付けを行うことができ、組み付け作業が容易になる。
【0012】
また、端子台の一部に突起部を形成しておいて、負極側放熱板の一部に形成された固定用孔にこの突起部を挿入することにより、端子台に対する負極側放熱板の固定を行うことが望ましい。整流装置をフレームに組み付けた後においては負極側放熱板がフレームに直接固定されるが、整流装置をフレームに組み付けるまでは、作業性の向上を図るためにも端子台と負極側放熱板とを何らかの方法で仮止めしておく必要がある。この仮止めを端子台の突起部を負極側放熱板の固定用孔に挿入するだけで行うことができるため作業性がよく、組み付け行程の簡略化が可能になる。特に、この突起部の端部を加熱によって変形させることにより、あるいはこの突起部の外径を負極側放熱板の固定用孔の内径よりも大きくすることにより、確実に端子台に負極側放熱板を固定することができる。
【0013】
また、正極側放熱板と端子台とを重ねた状態でパイプリベットに通し、このパイプリベットの端部をかしめることによってこれらの組付けを行うことが望ましい。正極側放熱板と端子台の組付けが容易になるとともに、パイプリベットの中空部分にフレームの固定用ボルトを挿入して整流装置の組付けを行うことができるため、整流装置の位置決めが容易になる。また、パイプリベットの両端面において組み付け時の荷重を受けることができるため、端子台等の端面の変形を防止することができる。特に、正極側放熱板は、フレームと電気絶縁した状態で組み付けられるため、フレームやリヤカバー等と正極側放熱板との間には、端子台あるいは別の絶縁部材を介在させる必要があり、通常これらは金属材料に比べると柔らかい樹脂材料で形成されているため、加圧方向の長さの経年変化が生じるが、この加圧部分にパイプリベットを用いることにより、この部分の長さの経年変化を防止することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した一実施形態の車両用交流発電機について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図1は、車両用交流発電機の全体構成を示す図である。また、図2は図1に示した車両用交流発電機をリヤ側から見た図であり、リヤカバーをはずした状態が示されている。本実施形態の車両用交流発電機1は、固定子2、回転子3、フレーム4、5、整流装置6、ブラシ装置7、電圧調整器8、リヤカバー9等を含んで構成されている。
【0016】
固定子2は、固定子鉄心22と、三相の固定子巻線23と、固定子鉄心22と固定子巻線23との間を電気絶縁するインシュレータ24とを備えている。
【0017】
回転子3は、絶縁処理された銅線を円筒状かつ同心状に巻き回した界磁巻線31を、それぞれが6個の爪部を有するポールコア32によって、回転軸33を通して両側から挟み込んだ構造を有している。また、フロント側のポールコア32の端面には、フロント側から吸い込んだ冷却風を軸方向および径方向に吐き出すための冷却ファン35が溶接等によって取り付けられている。同様に、リヤ側のポールコア32の端面には、リヤ側から吸い込んだ冷却風を径方向に吐き出すための冷却ファン36が溶接等によって取り付けられている。また、回転軸33のリヤ側端部近傍には、界磁巻線31の両端に電気的に接続された2つのスリップリング37、38が形成されており、これらのスリップリング37、38を介してブラシ装置7から界磁巻線31に対して給電が行われる。
【0018】
フレーム4、5は、固定子2および回転子3を収容しており、回転子3が回転軸33を中心に回転可能な状態で支持されているとともに、回転子3のポールコア32の外周側に所定の隙間を介して配置された固定子2が固定されている。これらのフレーム4、5は、固定子鉄心22の軸方向端面から突出した固定子巻線23に対向した部分に冷却風の吐出窓41、51を有し、軸方向端面に吸入窓42、52を有している。
【0019】
整流装置6は、三相の固定子巻線23によって発生する三相交流電圧を整流して直流電流を得るためのものである。また、リヤカバー9は、フレーム5の外側に取り付けられた整流装置6、ブラシ装置7および電圧調整器8を覆うように取り付けられ、これらを異物から保護する。フレーム5および整流装置6の詳細構造については後述する。
【0020】
上述した構造を有する車両用交流発電機1は、ベルト等を介してプーリ20にエンジン(図示せず)からの回転力が伝えられると回転子3が所定方向に回転する。この状態で回転子3の界磁巻線31に外部から励磁電圧を印加することにより、ポールコア32のそれぞれの爪部が励磁され、固定子巻線23に三相交流電圧を発生させることができ、整流回路6の出力端子からは所定の直流電力が取り出される。
【0021】
次に、フレーム5および整流装置6の詳細形状およびフレーム5に対する整流装置6の取り付け構造について説明する。図3は、本実施形態の車両用交流発電機の部分的な拡大断面図であり、フレーム5の一部の断面構造と、整流装置6の断面構造が示されている。
【0022】
図1、図2、図3に示すように、フレーム5のほぼ中央には、回転子3のリヤ側に取り付けられた軸受け39を収容するとともにこの軸受け39の外周部分の周方向の移動を拘束する軸受け収容部43が設けられている。この軸受け収容部43は、3本の固定用ボルトとしてのスタッドボルト44によってフレーム5の回転軸方向の一方の端面に固定されている。また、これら3本のスタッドボルト44は、フレーム5の回転軸方向の他方の端面側に突出しており、この突出部分を利用して整流装置6の組み付けが行われる。
【0023】
また、整流装置6は、回転軸方向に所定の間隔を有する負極側放熱板62および正極側放熱板63と、これらの間に配置された端子台61と、負極側放熱板62に取り付けられた複数個(例えば4個)の負極側整流素子65と、正極側放熱板63に取り付けられた複数個(例えば4個)の正極側整流素子66とを含んで構成されている。
【0024】
負極側放熱板62は、リヤカバー9の内径にほぼ等しい外径寸法の円弧形状を有しており、所定の間隔で円周方向に沿った4箇所に負極側整流素子65が半田付けや溶着等による接合によって取り付けられている。4つの負極側整流素子65の反接合面からは配線用リード線68が延びており、この配線用リード線68が端子台61から露出した配線用電極69に溶接等によって接合されている。
【0025】
正極側放熱板63は、負極側放熱板62の外径よりも小さな外径寸法の円弧形状を有しており、所定の間隔で円周方向に沿った4箇所に正極側整流素子66が半田付けや溶着等による接合によって取り付けられている。4つの正極側整流素子66の反接合面からは配線用リード線が延びており、この配線用リード線が端子台61から露出した配線用電極69に溶接等によって接合されている。また、正極側放熱板63の外径は、負極側放熱板62の内径よりも大きく設定されており、正極側放熱板63と負極側放熱板62が回転軸方向に沿って部分的に重複して配置されている。
【0026】
上述した負極側整流素子65と正極側整流素子66は、互いに接近した位置に配置されたもの同士を1組として全体で4組が設けられており、それぞれの組に含まれる1つの負極側整流素子65と1つの正極側整流素子66が端子台61の内外に設けられた共通の配線用電極69に接合されている。また、この配線用電極69は、固定子巻線23から引き出された引出線にネジ止め等によって接続されており、固定子巻線23の4本の引出線(三相巻線の各相の端部から引き出された3本の引出線と三相巻線の各相を結線した中性点から引き出した引出線)のそれぞれが、各組に対応した4つの配線用電極69のそれぞれに1対1に対応して結線が行われる。
【0027】
図4は、端子台61の詳細形状を示す図であり、端子台61単体をリヤ側からみた平面形状が示されている。図4において、配線用電極69−1aおよび配線用電極69−1bが反時計回り方向の端部に配置された1組の負極側整流素子65と正極側整流素子66に対応しており、これらの近傍に設けられた配線用電極69−1cとともに端子台61の内部で共通に結線されている。同様に、配線用電極69−2aおよび配線用電極69−2bが反時計回り方向の端部から2番目に配置された1組の負極側整流素子65と正極側整流素子66に対応しており、これらの近傍に設けられた配線用電極69−2cとともに端子台61の内部で共通に結線されている。配線用電極69−3aおよび配線用電極69−3bが時計回り方向の端部から2番目に配置された1組の負極側整流素子65と正極側整流素子66に対応しており、これらの近傍に設けられた配線用電極69−3cとともに端子台61の内部で共通に結線されている。配線用電極69−4aおよび配線用電極69−4bが時計回り方向の端部に配置された1組の負極側整流素子65と正極側整流素子66に対応しており、これらの近傍に設けられた配線用電極69−4cとともに端子台61の内部で共通に結線されている。
【0028】
また、正極側放熱板63は、スタッドボルト44に対応して設けられた貫通孔に端子台61の円筒部71を挿入するとともに、反挿入側から円筒形状のインシュレータ64を取り付けた後に、円筒部71の中空部に金属製のパイプリベット67を通してこのパイプリベット67の一方端をかしめることにより、端子台61に対して固定される。したがって、正極側放熱板63とパイプリベット67との間には端子台61あるいはインシュレータ64が介在するため、整流装置6をスタッドボルト44に通してリヤカバー9でその外側を覆った後にナットでこれらを締め付けて組付けを行った場合であっても、正極側放熱板63とスタットボルト44、リヤカバー9およびフレーム5との間の良好な電気絶縁が保たれる。また、組み付け時の締め付け力は、金属製のパイプリベット67の両端面に加わることになるため、この締め付け力が長期間にわたって加わることによる端子台61やインシュレータ64の加圧方向の寸法の経年変化を防止することができる。
【0029】
また、負極側放熱板62は、フレーム5の端面に形成された取付面53に直接接触させた状態で組み付けられており、円弧形状の隔たった2箇所においてネジ72によって締め付け固定されている。この取付面53は、フレーム5のリヤ側端面から軸方向に突出する突出部の先端に形成されている。取付面53は、スタッドボルト44よりも、径方向の外側に位置している。フレーム5のリヤ側端面における取付面53の位置は、軸受け収容部43よりも、フレーム5の円筒状の外周壁に近い位置である。取付面53の位置は、フレーム5のリヤ側端面と円筒状外周壁との角部に近接している。この角部には、冷却風の窓51が開設されており、冷却風によって角部においては比較的高い放熱性が得られる。この取付面53には、負極側放熱板62のみが熱伝達可能に、直接接触して固定されている。取付面53からフレームに伝達された熱は、この取付面53の近傍だけでほぼ完全に放熱される。このフレーム5の取付面53は、負極側放熱板63の表面と面接触可能な平坦面である。負極側放熱板62の外周近傍、すなわち径方向外側に偏奇して2箇所に取付孔76が設けられている。これら取付孔76をフレーム5の取付面53のほぼ中央に形成されたネジ孔54に合わせてネジ72によって締め付けることにより、フレーム5に対する負極側放熱板62の固定を行う。同時に、金属材料で形成されたフレーム5の一部と負極側放熱板62の一部とを面接触させることにより、負極側放熱板62の冷却と、これらの間の良好な電気的導通が可能になる。
【0030】
図5は、フレーム5の平面図であり、整流装置6の取付面の詳細形状が示されている。フレーム5のリヤ側端面には、円筒状外周壁510につながる外側リング部512と、軸受け収容部43が設けられるボス部514と、それらの間をつないで放射状に伸びる4本のリブ部516とが形成されている。これら4本のリブ部516の間には、4つの吸入窓52が開設されている。上述した3本のスタッドボルト44のそれぞれは、リブ部516に配置されている。また、負極側放熱板62が接触する取付面53のそれぞれは、外側リング部512に配置されており、吸入窓52の径方向外側に位置している。したがって、この取付面53は、いずれもリブ部516の径方向外側への延長線上には位置していない。また、外側リング部512には、固定子2からの引出線が貫通配置される小開口518(図5においては4箇所)が開設されており、すべての取付面53のリブ部516側にはいずれかの小開口518が位置している。
【0031】
フレーム5は上述した形状を有しているため、整流装置6の負極側放熱板62から取付面53に伝達された熱は、ほとんどフレーム5のリヤ側端面の外側リング部512で放熱される。取付面53が、吸入窓52の径方向外側に位置することで、放熱性が高められ、リブ部513への伝熱量が低減される。さらに、小開口518が外側リング部512からリブ部516への伝熱経路の断面積を絞るため、伝熱量が低減される。なお、スタッドボルト44の位置を、さらに径方向内側へ、すなわちボス部514寄りに変更してもよい。また、吸入窓52の開設範囲のほぼ中央上に、取付面53を配置するようにしてもよい。
【0032】
このように、本実施形態の車両用交流発電機は、整流装置6に含まれる負極側放熱板62をフレーム5の径方向外側の部位に直接接触させており、負極側放熱板62からスタッドボルト44に直接熱が伝わらないため、スタッドボルト44を用いて取り付けられた軸受け収容部43、さらにはこの軸受け収容部43に収容される軸受け39の温度上昇を抑えることができる。
【0033】
また、負極側放熱板62よりも温度が上昇する正極側放熱板63を吸入空気の流れに対して上流側に配置できるため、温度が上昇していない新鮮な吸入空気によってこの正極側放熱板63を効率よく冷却することができる。また、フレーム5は、一般には径方向内側よりも径方向外側の方が温度が低いため、この温度が低い部分に負極側放熱板62を加圧接触させることにより、負極側放熱板62を効率よく冷却することができる。
【0034】
特に、負極側放熱板62の外径をリヤカバー9等の他の部品との接触状態を考慮することなく大きく設定し、負極側放熱板62の面積を大きくすることができる。この場合には、負極側放熱板62とリヤカバー9との間の隙間を通して冷却風が流れにくくなるため、図6に示すように、リヤカバー9の側面の一部であって、負極側放熱板62とフレーム5の間に対応する位置に、矢印で示した冷却風の吸入窓91を形成することが望ましい。
【0035】
また、負極側放熱板62と正極側放熱板63とを回転軸方向に沿って部分的に重ねることにより、それぞれの放熱板62、63の面積を大きくすることができ、整流装置6の冷却性をさらに高めることができる。しかも、2つの放熱板62、63のそれぞれの整流素子取付面を互いに対向させることにより、図6に示すように、これらの間に配置された端子台61に各整流素子64、65の配線用リード線を集めることができるため、組み付け性の向上が可能になる。
【0036】
図7は、上述した車両用交流発電機に用いられる整流装置6の変形例を示す断面図であり、図3に示した整流装置6に対応する断面構造が示されている。また、図8は図7に示した整流装置6Aに含まれる端子台61Aの形状を示す図である。これらの図に示すように、端子台61Aの4つの腕部73のほぼ中央であって負極側放熱板62Aに対応する面に合計4つの突起部74が形成されている。また、負極側放熱板62Aには、これら4つの突起部74が形成された位置に対応して、4つの固定用孔としての貫通孔75が形成されている。突起部74の外径は、貫通孔75の内径よりも若干大きく設定されており、突起部74を弾性変形の範囲内で貫通孔74に加圧挿入することにより、あるいは弾性変形の範囲を越えて塑性変形の範囲で加圧挿入することにより、端子台61Aに対する負極側放熱板62Aの取付固定が行われる。
【0037】
フレーム5に整流装置6を組み付けた後は、図2に示したように負極側放熱板62がネジ72によってフレーム5に固定されるが、組み付け前の状態においては、負極側放熱板62を何らかの方法で端子台61等に固定することが望ましい。端子台61Aに設けられた突起部74を負極側放熱板62Aに設けられた貫通孔75に加圧挿入することによって行うことにより、この固定を容易に行うことができ、作業性の改善が可能になる。
【0038】
図9は、端子台61Aに設けられた突起部の詳細形状を示す側面図である。また、図10は図9に示した突起部をその先端方向から見た平面図である。これらの図に示すように、端子台61Aに設けられた突起部74は、その横断面形状が非円形に形成されている。この突起部74を負極側放熱板62Aの貫通孔75に加圧挿入する際に、突起部74の外周部分の一部のみが貫通孔75の内周面に当接するため、塑性変形が生じやすくなり、端子台61Aに対する負極側放熱板62Aの取付固定を少ない加圧力で行うことができ、作業性をさらに向上させることができる。なお、単純な円柱形状の突起部74を用いるようにしてもよい。
【0039】
また、図11に示すように、負極側放熱板62Aの貫通孔75に突起部74あるいは単純な円柱形状の突起部を挿入した後に、その先端部分を加熱によって変形させることにより、端子台61Aに対する負極側放熱板62Aの固定をより強固なものとすることができる。
【0040】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。上述した実施形態の整流装置6では、負極側放熱板62と正極側放熱板63とを端子台61を挟んで配置したが、図12、図13に示すように、負極側および正極側の2種類の放熱板を端子台の一方の面に並べて配置するようにしてもよい。図12に示す整流装置は、端子台161の反フレーム側の面に負極側放熱板162と正極側放熱板163を並べて配置した場合であって、フレーム5の径方向外側の部位において負極側放熱板162がフレーム5に直接接触している。また、図13に示す整流装置は、端子台261の反フレーム側の面に負極側放熱板262と正極側放熱板263を並べて配置した場合であって、負極側放熱板262をフレーム5の外周近傍に端子台261を介して取付固定している。いずれの場合も、負極側放熱板162、262から軸受け収容部を固定するために用いられるスタッドボルトに熱が直接伝わることを防止することができるため、軸受けの温度上昇を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の車両用交流発電機の全体構成を示す図である。
【図2】図1に示した車両用交流発電機をリヤ側から見た図である。
【図3】フレームと整流装置の部分的な拡大断面図である。
【図4】整流装置に含まれる端子台の形状を示す図である。
【図5】リヤ側のフレームの平面図である。
【図6】リヤカバーを通して流れ込む冷却風の流れを示す図である。
【図7】整流装置の変形例を示す図である。
【図8】図7に示した整流装置に含まれる端子台の形状を示す図である。
【図9】図8に示した端子台に設けられた突起部の詳細形状を示す側面図である。
【図10】図8に示した端子台に設けられた突起部の詳細形状を示す平面図である。
【図11】端子台に負極側放熱板を固定する他の方法を示す図である。
【図12】整流装置の他の例を示す断面図である。
【図13】整流装置の他の例を示す断面図である。
【図14】従来の車両用交流発電機の断面図である。
【図15】図14に示した車両用交流発電機に含まれるスタッドボルト周辺の部分的な断面図である。
【符号の説明】
1 車両用交流発電機
2 固定子
3 回転子
4、5 フレーム
6 整流装置
9 リヤカバー
61 端子台
62 負極側放熱板
63 正極側放熱板
64 インシュレータ
65 負極側整流素子
66 正極側整流素子

Claims (7)

  1. 軸受け収容部を固定する固定用ボルトが反回転子側に突出したフレームと、前記固定用ボルトを用いて前記フレームに固定される整流装置とを有する車両用交流発電機において、
    前記整流装置は、前記フレームに電気絶縁された状態で前記固定用ボルトによって固定される正極側放熱板と、前記固定用ボルトと異なる位置で前記フレームに固定される負極側放熱板と、前記正極側放熱板と前記負極側放熱板のそれぞれに取り付けられた整流素子と固定子との間の配線用電極が含まれる端子台とを備え、
    前記負極側放熱板を前記固定用ボルトよりも径方向外側で、かつ該負極側放熱板の径方向外側に偏奇した位置で前記フレームに固定することを特徴とする車両用交流発電機。
  2. 請求項1において、
    前記正極側放熱板と前記負極側放熱板とを回転子の回転軸方向に沿って部分的に重ねて配置することを特徴とする車両用交流発電機。
  3. 請求項2において、
    前記正極側放熱板の整流素子取付面と前記負極側放熱板の整流素子取付面とを対向させることを特徴とする車両用交流発電機。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、
    前記端子台の前記負極側放熱板への対向面の一部に形成された突起部を、前記負極側放熱板に形成された固定用孔に挿入することにより、前記端子台に対して前記負極側放熱板の固定を行うことを特徴とする車両用交流発電機。
  5. 請求項4において、
    前記突起部の端部を加熱によって変形させることにより、前記端子台に対して前記負極側放熱板の固定を行うことを特徴とする車両用交流発電機。
  6. 請求項4において、
    前記突起部の外径が前記固定用孔の内径よりも大きく設定されており、前記固定用孔に前記突起部を加圧挿入することにより、前記端子台に対して前記負極側放熱板の固定を行うことを特徴とする車両用交流発電機。
  7. 請求項1〜6のいずれかにおいて、
    少なくとも前記正極側放熱板と前記端子台とをパイプリベットを通して重ねた状態でこのパイプリベットの端部をかしめることにより、前記正極側放熱板と前記端子台との組付けを行うことを特徴とする車両用交流発電機。
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