JP3819554B2 - 繊維包装用フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明性、光沢性及び柔軟性に優れた繊維包装用フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
衣料品等の繊維を包装するための繊維包装用フィルムは、製品に高級感を付与する目的のために、透明感や光沢感に優れ、柔軟で風合いの良いものが求められている。このような繊維包装用フィルムとしては、従来から、軟質ポリ塩化ビニルフィルムが多用されてきた。しかしながら、軟質ポリ塩化ビニルフィルムでは、可塑剤のブリードアウトによる衛生上の問題があった。
【0003】
軟質ポリ塩化ビニルフィルムに代わるものとして、オレフィン系共重合体を用いた軟質フィルムや、オレフィン系ポリマーを主成分とするブレンドポリマーからなる軟質フィルムも提案されている。しかしながら、オレフィン系共重合体からなる軟質フィルムは、共重合段階においてα−オレフィンの含有量を高くすることが難しく、得られるフィルムが柔軟になりすぎ、適度な強度を有するように構成することが困難であった。また、オレフィン系ポリマーを主成分としてブレンドしてなるフィルムでは、ブレンドすべき複数種のポリマーを所定の配合で均一に混合することが難しく、所望とする機械的強度を備えたものを得ることが困難であるという問題があった。
【0004】
また、ポリプロピレンフィルムに柔軟性を付与するために、低結晶性又は非結晶性のポリマーであるEPR(エチレン−プロピレンゴム)等を添加する方法も知られているが、EPR等のポリプロピレンへの分散性が充分ではなく、透明性が充分でないという問題があった。
【0005】
このような問題を解決するため、特開平7−290649号公報には、ランダムポリプロピレンよりなる外層と、水添ジエン系共重合体10〜50重量%とランダムポリプロピレン90〜50重量%とよりなる中間層と、ランダムポリプロピレンよりなる内層とを順に積層してなるオレフィン系フィルムが開示されている。
【0006】
しかしながら、汎用のポリプロピレンに水添ジエン系共重合体を配合する場合、水添ジエン系共重合体をポリプロピレン100重量部に対して少なくとも10重量部以上配合しないと充分な柔軟性が得られないという問題があった。また、水添ジエン系共重合体を大量に配合した場合には、柔軟性は高められるものの、水添ジエン系共重合体が均一に分散されず、光学的特性の低下を招いたり、大量配合による水添ジエン系共重合体の低分子物のブリードによる品質の劣化が生じたりするという問題もあった。更に、一般に水添ジエン系共重合体は高価であり、コストが高くつくという問題もあった。
【0007】
特開平5−77371号公報には、(A)プロピレン含有率50重量%以上の非晶質のポリオレフィン20〜100重量%と、結晶性ポリプロピレン80〜0重量%とを含有してなる層と、(B)結晶性ポリプロピレンからなる層とを積層してなる積層フィルムが開示されている。この積層フィルムでは、透明感や光沢感に優れ、柔軟性においても優れているとされているが、柔軟性に優れるあまり、機械的強度が充分ではないという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記に鑑み、柔軟性、透明性及び光沢性に優れ、かつ充分な機械的強度を有する繊維包装用フィルムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明(本発明1)は、ビニル芳香族系エラストマーを2.5〜10重量%含有するランダムポリプロピレンよりなる外層、プロピレン及び/又はブテン−1成分含有率が50重量%以上である非晶質ポリオレフィン20〜100重量%とランダムポリプロピレン80〜0重量%とよりなる中間層、並びに、ランダムポリプロピレンよりなる内層を、順に積層してなることを特徴とする繊維包装用フィルムである。
【0010】
また請求項2記載の発明(本発明2)は、ビニル芳香族系エラストマーを2.5〜10重量%含有するランダムポリプロピレンよりなる外層、メタロセン触媒を用いて重合された線状ポリエチレン樹脂50〜100重量%とランダムポリプロピレン50〜0重量%とよりなる中間層、並びに、ランダムポリプロピレンよりなる内層を、順に積層してなることを特徴とする繊維包装用フィルムである。
【0011】
図1は、本発明1及び本発明2の繊維包装用フィルムの断面を示した模式図である。図1に示したように、上記繊維包装用フィルムは、外層1、中間層2及び内層3の3つの層から構成されており、これらの層が順次積層されてなるものである。
【0012】
本発明1の繊維包装用フィルムの外層は、ビニル芳香族系エラストマーを含有するランダムポリプロピレンよりなる。
上記ビニル芳香族系エラストマーは、ビニル芳香族化合物(A)と共役ジエン(B)とが、A−(B−A)m(mは、1以上の整数を表す。)、又は、(A−B)n(nは、1以上の整数を表す。)で表される状態で重合したブロック共重合体又はランダム共重合体であり、好ましくは、A−B−A型、A−B型である。上記ビニル芳香族系エラストマーは、上記ブロック共重合体又はランダム共重合体の水添物、又は、上記水添物と同様の構造を有する重合体であってもよい。また、イソプレンをモノマーとして含む共重合体では、イソプレンが3,4結合したものが好ましい。
【0013】
上記ビニル芳香族化合物としては特に限定されず、例えば、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1,1−ジフェニルスチレン等が挙げられ、特に、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
上記共役ジエンとしては特に限定されず、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、クロロプレン等が挙げられ、特に、1,3−ブタジエン、イソプレン及びその水添物が好ましい。
【0014】
上記ビニル芳香族系エラストマーにおいては、ビニル芳香族化合物(A)の含有量は、5〜40重量%が好ましい。5重量%未満であると、耐熱性が充分でなく、またビニル芳香族化合物によるプロピレン球晶の生成を抑制する効果が少なくなって不透明となり、40重量%を超えると、エラストマー性が低下して風合いが低下し、均一な分散性がなくなり、透明性も低下する。より好ましくは、10〜30重量%である。
【0015】
本発明1の繊維包装用フィルムの外層は、上記ビニル芳香族系エラストマーをランダムポリプロピレンに含有させてなる。
上記ランダムポリプロピレンとしては、例えば、ポリプロピレンと炭素数が2又は4〜10の直鎖状又は分岐状α−オレフィンとの共重合体が挙げられる。上記α−オレフィンは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これら2種以上のランダムポリプロピレンの混合物を用いてもよい。
【0016】
上記α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、ブテン−1、イソブテン、ペンテン−1、3−メチル−1−ブテン、ヘキセン−1、4−メチル−1−ペンテン、ネオヘキセン、ヘプテン−1、オクテン−1、デセン−1等が挙げられ、特に、エチレン、オクテン−1、デセン−1等が好ましい。
【0017】
上記ランダムポリプロピレンとして、エチレンが共重合されたものを用いる場合、エチレンの配合量が3〜4重量%であり、かつ、メルトフローレート(MFR、190℃)が0.5〜5であるものが好ましい。エチレンの配合量が3重量%未満であると、風合いが低下し、4重量%を超えると、充分な機械的強度を得ることができない。また、MFRが0.5未満であると、成膜時の表面状態が悪くなり易く透明性が低下し、5を超えると、フィルムの機械的強度が低下する。
【0018】
上記外層中の上記ビニル芳香族系エラストマーの含有量は、2.5〜50重量%が好ましい。2.5重量%未満では、添加効果が乏しく高光沢性が得られず、50重量%を超えると、フィルムの降伏強度が小さくなりすぎて機械的強度が低下し、しわの発生が起こりやすくなり、かつコスト的にも不利である。より好ましくは、2.5〜10重量%である。
【0019】
本発明1の繊維包装用フィルムの中間層は、プロピレン及び/又はブテン−1成分含有率が50重量%以上である非晶質ポリオレフィン20〜100重量%とランダムポリプロピレン80〜0重量%とよりなる。
上記非晶質ポリオレフィンは、プロピレン及びブテン−1の共重合体、又は、プロピレン及び/若しくはブテン−1と他のα−オレフィンとの共重合体である。上記非晶質ポリオレフィンにおけるブテン−1成分含有率、又は、ブテン−1及びプロピレンの合計の含有率は、50重量%以上である。上記含有率が50重量%未満であると、上記ランダムポリプロピレンとの相溶性が低下する。但し、α−オレフィンとプロピレンとブテン−1とを共重合体させる場合、プロピレンの含有量は、50重量%未満であるのが好ましい。
【0020】
上記非晶質ポリオレフィンは、沸騰n−ヘプタン不溶分、すなわち、n−ヘプタンによるソックスレー抽出不溶分が、70重量%以下、好ましくは60重量%以下のものである。沸騰n−ヘプタン不溶分が70重量%より大きいと非晶質部分の比率が少なくなり、得られるフィルムに充分な柔軟性を付与することができない。
【0021】
また、上記非晶質ポリオレフィンの数平均分子量は、好ましくは、1000〜20万である。数平均分子量が1000未満であると、機械的強度が不測し、20万を超えると、フィルムの成形が難しくなる。更に好ましくは、1500〜1万である。
上記非晶質ポリオレフィンは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
上記非晶質ポリオレフィンとしては、例えば、ポリブテン−1、ブテン−1/エチレン共重合体、プロピレン/ブテン−1共重合体、プロピレン/ブテン−1/エチレン三元共重合体、ブテン−1/ヘキセン−1/オクテン−1三元共重合体、ブテン−1/ヘキセン−1/4−メチルペンテン−1三元共重合体等が挙げられ、フィルムの柔軟性向上の点から、特に、プロピレン/ブテン−1共重合体が好ましい。
【0023】
本発明1の繊維包装用フィルムの中間層は、上記非晶質ポリオレフィン20〜100重量%とランダムポリプロピレン80〜0重量%とよりなる。上記ランダムポリプロピレンについては、本発明1の繊維包装用フィルムの外層の説明の項で既に詳述した。非晶質ポリオレフィンの量が20重量%未満であると、非晶質部分の割合が少なくなって得られたフィルムの柔軟性が不足する。より好ましくは、上記非晶質ポリオレフィンが25〜100重量%、更に好ましくは、50〜100重量%である。
【0024】
上記中間層の厚みは特に限定されるものではないが、その風合いを高めるために、フィルム全体の厚みの50〜90%であるのが好ましい。上記中間層の厚みが50%未満であったり、90%を超えると、風合いが低下することがある。
【0025】
本発明1の繊維包装用フィルムの内層は、ランダムポリプロピレンよりなる。上記ランダムポリプロピレンについては、本発明1の繊維包装用フィルムの外層の説明の項で既に詳述した。
【0026】
本発明1の繊維包装用フィルムにおいては、フィルムの粉塵付着を防止するために、外層、中間層及び内層のうちのいずれかの層、又は、すべての層に、帯電防止剤を添加してもよい。上記帯電防止剤としては、例えば、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、両イオン界面活性剤等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
また、製袋時の作業性の向上のためや製袋後の袋の口開き性向上のために、外層又は内層に滑剤を加えてフィルムに滑り性を付与することができる。上記滑剤としては、例えば、炭素数が12〜30の炭化水素;脂肪酸ワックス、脂肪酸アミド、天然ワックス、エステル系ワックス等の合成ワックス;炭素数が12〜30の脂肪酸の金属石鹸、炭素数が12〜30の脂肪族アルコール;シリコーン等が挙げられる。
【0028】
更に、本発明1の繊維包装用フィルムにおいては、種々の特性の改善を目的として、透明性を劣化させない範囲で、タルク、炭酸カルシウム等の無機充填剤;ガラス繊維、カーボン繊維等の強化材;熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、可塑剤、離型剤、発泡剤、ブロッキング剤等を添加することができる。
【0029】
本発明2の繊維包装用フィルムは、外層及び内層は、本発明1の繊維包装用フィルムと同一であり、中間層が、メタロセン触媒を用いて重合された線状ポリエチレン樹脂50〜100重量%とランダムポリプロピレン50〜0重量%とよりなる点のみ異なる。上記ランダムポリプロピレンについては、本発明1の繊維包装用フィルムの外層の説明の項で既に詳述した。
【0030】
上記線状ポリエチレン樹脂としては、例えば、エチレンの単独重合体、エチレンと他のα−オレフィンとの共重合体等が挙げられ、上記他のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−1−ペンテン、オクテン−1等が挙げられる。
【0031】
上記線状ポリエチレン樹脂のMFRは、0.1〜0.5が好ましく、更に好ましくは、0.6〜3である。MFRが0.1未満であると、流動性が低すぎて生産効率が悪くなり、5.0を超えると、金型から出た溶融樹脂がドローダウンして安定した製造が困難となる。
【0032】
上記線状ポリエチレン樹脂は、重合触媒として遷移金属元素等を含むメタロセン触媒を用いて重合されたものである。
上記メタロセンとは、一般に、π電子が非局在化した不飽和化合物等(以下、「リガンド」という)により遷移金属元素が挟まれた構造を有する化合物をいう。
【0033】
上記メタロセンを構成する遷移金属元素としては特に限定されず、例えば、チタン、ジルコニウム、ニッケル、パラジウム、ハフニウム、白金等の4価の遷移金属元素等が挙げられる。上記リガンドとなる化合物としては特に限定されず、例えば、シクロペンタジエン、炭化水素基、置換炭化水素基又は炭化水素基置換メタロイド基により置換されたシクロペンタジエン;シクロペンタジエンオリゴマー、インデン、炭化水素基、置換炭化水素基又は炭化水素置換メタロイド基により置換されたインデン等が挙げられる。
【0034】
上記シクロペンタジエンを置換する上記炭化水素としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、イソブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、セチル基、2−エチルヘキシル基、フェニル基等が挙げられる。
【0035】
これらのπ電子系不飽和化合物以外に、上記リガンドとして、更に、例えば、塩素、臭素等の1価のアニオンリガンド;2価のアニオンキレートリガンド、炭化水素、アルコキシド、アリールアミド等のアミド;アリールオキシド、アリールホスフィド等のホスフィド;シリル基、置換シリル基等が上記遷移金属元素に配位結合していてもよい。
【0036】
上記メタロセン触媒としては、例えば、シクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、メチルシクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−tert−ブチルアミドジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−tert−ブチルアミドハフニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−p−n−ブチルフェニルアミドジルコニウムクロリド、メチルフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−tert−ブチルアミドハフニウムジクロリド、インデニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、インデニルチタニウムトリス(ジエチルアミド)、インデニルチタニウムトリス(ジ−n−プロピルアミド)、インデニルチタニウムビス(ジ−n−ブチルアミド)、インデニルチタニウムビス(ジ−n−プロピルアミド)等が挙げられる。
【0037】
上記メタロセン化合物においては、その金属の種類や配位子の構造を変更したり、メタロセン触媒を特定の共触媒(助触媒)と組み合わせることにより、各種オレフィン重合の際の触媒としての作用をより効果的に発揮させることができる。例えば、上記メタロセン触媒に共触媒としてメチルアルミノキサン(MAO)、ホウ素系化合物等を加えた触媒系において上記重合を行ってもよい。このような共触媒を使用する場合、共触媒の使用割合は、モル比で、メタロセン化合物:共触媒=10:10万とすることが好ましく、より好ましくは1:50〜5000である。
【0038】
上記重合の重合条件については特に限定さないが、上記メタロセン触媒の存在下、例えば、不活性媒体を用いる溶液重合法、実質的に不活性媒体の存在しない塊状重合法、気相重合法等を利用することができる。重合の際の温度についても特に限定されないが、一般的には、−100〜300℃程度が好ましく、圧力は、常圧〜100kg/cm2 程度が好ましい。
【0039】
上記メタロセン触媒は、活性点の性質が均質であるという特徴を有し、各活性点が同じ活性度を備えているので、合成するポリマーの分子量、分子量分布、組成及び組成分布の均質性が高められる。従って、メタロセン触媒を用いて重合されたポリオレフィンは分子量分布が狭く、共重合体の場合には、どの分子量成分にも共重合体成分がほぼ等しい割合で導入される。
【0040】
上記メタロセン触媒を重合触媒として得られる線状ポリエチレン樹脂としては、ダウケミカル社製のアフィニティーやエンゲージ、エクソン・ケミカル社製のEXACT、三井石油化学社製のエボリュー、宇部興産社製のユメリット等が挙げられる。
【0041】
本発明2の繊維包装用フィルムの中間層は、上記線状ポリエチレン樹脂50〜100重量%とランダムポリプロピレン50〜0重量%とよりなる。上記線状ポリエチレン樹脂が50重量%未満であると、中間層が充分な柔軟性を有するものとならない。
【0042】
上記線状ポリエチレン樹脂は、上記ビニル芳香族系エラストマーを50〜0重量%含有するものであるのが好ましい。上記ビニル芳香族系エラストマーが50重量%を超えると、フィルムの降伏点強度が小さくなるため強度が弱くなり、しわが発生し易くなり、光沢が低下し、また、コストも高くつく。より好ましくは、2.5〜10重量%である。
【0043】
本発明2の繊維包装用フィルムにおいても、本発明1の場合と同様、種々の特性を改善するために、帯電防止剤や滑剤等の種々の添加剤を添加することができる。
【0044】
本発明1及び本発明2の繊維包装用フィルムを構成する上記外層、中間層及び内層の各組成物を製造する際には以下のような方法をとることができる。すなわち、混練機を用い、170〜250℃、好ましくは190〜230℃で加熱溶融させた後混練し、多層押し出し成形を行うことにより上記繊維包装用フィルムを製造する。特に表面を平滑化し、結晶の生成を抑制するためにTダイ法を用いて押し出した後、40℃以下の冷却ロールを使用して冷却するのが好ましい。
上記混練機しては特に限定されず、例えば、一軸押出機、二軸押出機、バンバリミキサー、混練ロール、ブラベンダ、ニーダー等を用いることができる。
【0045】
上記製造方法をとることにより、従来からあるオレフィン系フィルム(例えば、延伸ポリプロピレン)のように入射光を一方向のみに反射することなく、高角度に反射する高光沢性のフィルムを得ることができる。特に、上記Tダイ法を用いて押し出し成形することにより、見栄え、風合いがよく、ビニロンや軟質塩化ビニルに似た、優れた外観特性(きらめき感)と感触を有する高光沢性のフィルムを得ることができる。
【0046】
【実施例】
以下に本発明の実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0047】
以下の実施例及び比較例において、外層を構成するビニル芳香族系エラストマーとして、下記の表1に示す特性のものを1種類選んで使用した。また、外層には、帯電防止剤として、ポリオキシエチレンアルキルアミンを2000ppm、滑剤として、オレイン酸アミドを2500ppm配合した。
【0048】
【表1】
【0049】
実施例1
外層として、表1に示したHSBR5重量%と、エチレンを3.8重量%含有し、MFRが1.8のランダムポリプロピレン(以下、「PPa」という)95重量%とからなる組成のもの、中間層として、ポリプロピレン/ブテン−1共重合体(プロピレン/ブテン=65%/35%、数平均分子量:6500、沸騰n−ヘプタン不溶分:5重量%)からなる非晶質ポリオレフィン(以下、「非晶質ポリオレフィンa」という)、及び、内層として、PPaをそれぞれ使用し、3層押し出しTダイ法を用いて成形した後、20℃の冷却ロールで冷却することにより、合計の厚さが40μmの繊維包装用フィルムを得た。強度(降伏点)、透明性(ヘイズ値、グロス値)、きらめき感、柔軟性(弾性率)、感触について、評価を行った。結果を表2に示した。
【0050】
実施例2
外層として、表1に示したSIPS5重量%と、エチレンを3.2重量%含有し、MFRが9のランダムポリプロピレン(以下、「PPb」という)95重量%とからなる組成物、中間層として、非晶質ポリオレフィンa、及び、内層として、PPbをそれぞれ使用し、実施例1と同様にして繊維包装用フィルムを得た後、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示した。
【0051】
実施例3
外層として、表1に示したSIPS5重量%とPPa95重量%とからなる組成物、中間層として、非晶質ポリオレフィンa、及び、内層として、PPaをそれぞれ使用し、実施例1と同様にして繊維包装用フィルムを得た後、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示した。
【0052】
実施例4
外層として、表1に示したSEPS5重量%とPPa95重量%とからなる組成物、中間層として、非晶質ポリオレフィンa50重量%とPPa50重量%とからなる組成物、及び、内層として、PPaをそれぞれ使用し、実施例1と同様にして繊維包装用フィルムを得た後、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示した。
【0053】
比較例1
外層として、PPb、中間層として、非晶質ポリオレフィンa50重量%とPPb50重量%とからなる組成物、及び、内層として、PPbをそれぞれ使用し、実施例1と同様にして繊維包装用フィルムを得た後、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示した。
【0054】
比較例2
外層として、PPa、中間層として、非晶質ポリオレフィンa10重量%とPPa90重量%とからなる組成物、及び、内層として、PPbをそれぞれ使用し、実施例1と同様にして繊維包装用フィルムを得た後、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示した。
【0055】
評価
(1)フィルム強度(降伏点)
JIS K 7113の方法により降伏点を測定し、フィルム強度を評価した。
(2)透明性(ヘイズ値、グロス値)
(a)ヘイズ値
JIS K 7105「ヘイズ」の測定方法によりヘイズ値を測定し、透明性を評価した。ヘイズ値が小さい程透明性に優れている。
(b)グロス値
JIS K 7105「グロス」の測定方法によりグロス値を測定し、透明性を評価した。グロス値が大きい程透明性に優れている。
(3)きらめき感
フィルムの表面を目視により観察し、以下の3段階の評価基準で評価した。
◎:特に光沢に優れたきらめき感を有する
○:ビニロンのようなきらめき感を有する
△:延伸ポリプロピレンのような光沢感を有する
×:全く光沢感を有さない
(4)柔軟性(弾性率)
JIS K 7113に準じた方法により弾性率を測定し、柔軟性を評価した。
(5)触感
フィルムの風合い及びしわの発生し易さを以下の4段階の評価基準で官能評価した。
4:軟らかく、触感は良好であり、しわの発生が少ない
3:軟らかく、触感は良好であるが、しわが発生し易い
2:やや硬い
1:硬く、しゃりしゃり感が残る
【0056】
【表2】
【0057】
実施例5
外層として、表1に示したHSBRを5重量%とPPa95重量%とからなる組成物、中間層として、メタロセン触媒の存在下、エチレンとオクテン−1とを共重合させることにより得られた線状ポリエチレン樹脂(オクテン−1含有量:7.5重量%、密度:0.915g/cm3 、MFR:1.0)(以下、線状ポリエチレン樹脂aという)、及び、内層として、PPaをそれぞれ使用し、実施例1と同様にして繊維包装用フィルムを得た後、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示した。
【0058】
実施例6
外層として、表1に示したSIPS5重量%とPPb95重量%とからなる組成物、中間層として、線状ポリエチレン樹脂a85重量%とPPb15重量%とからなる組成物、及び、内層として、PPbをそれぞれ使用し、実施例1と同様にして繊維包装用フィルムを得た後、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示した。
【0059】
実施例7
外層として、表1に示したSEPS5重量%とPPa95重量%とからなる組成物、中間層として、線状ポリエチレン樹脂a、及び、内層として、PPaをそれぞれ使用し、実施例1と同様にして繊維包装用フィルムを得た後、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示した。
【0060】
実施例8
外層として、表1に示したSIPS5重量%とPPb95重量%とからなる組成物、中間層として、線状ポリエチレン樹脂a85重量%とPPb15重量%とからなる組成物95重量%と、表1に示したSIPSを5重量%とを含有する組成のもの、及び、内層として、PPbをそれぞれ使用し、実施例1と同様にして繊維包装用フィルムを得た後、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示した。
【0061】
比較例3
外層として、表1に示したHSBR5重量%とPPa95重量%とからなる組成物、中間層として、線状ポリエチレン樹脂a40重量%とPPa60重量%とからなる組成物、及び、内層として、PPaをそれぞれ使用し、実施例1と同様にして繊維包装用フィルムを得た後、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示した。
【0062】
比較例4
外層として、PPa、中間層として、線状ポリエチレン樹脂a、及び、内層として、PPaをそれぞれ使用し、実施例1と同様にして繊維包装用フィルムを得た後、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示した。
【0063】
【表3】
【0064】
【発明の効果】
本発明の繊維包装用フィルムは、上述の構成よりなるので、透明性、光沢性及び柔軟性に優れ、かつ充分な機械的強度を有し、衣料品等の繊維を包装するフィルムとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の繊維包装用フィルムの断面を示す模式図。
【符号の説明】
1 外層
2 中間層
3 内層
Claims (2)
- ビニル芳香族系エラストマーを2.5〜10重量%含有するランダムポリプロピレンよりなる外層、プロピレン及び/又はブテン−1成分含有率が50重量%以上である非晶質ポリオレフィン20〜100重量%とランダムポリプロピレン80〜0重量%とよりなる中間層、並びに、ランダムポリプロピレンよりなる内層を、順に積層してなることを特徴とする繊維包装用フィルム。
- ビニル芳香族系エラストマーを2.5〜10重量%含有するランダムポリプロピレンよりなる外層、メタロセン触媒を用いて重合された線状ポリエチレン樹脂50〜100重量%とランダムポリプロピレン50〜0重量%とよりなる中間層、並びに、ランダムポリプロピレンよりなる内層を、順に積層してなることを特徴とする繊維包装用フィルム。
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