JP3947688B2 - ポリエチレン樹脂組成物及びそのシート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエチレン樹脂組成物及びそのシートに関し、詳しくは、耐熱性に優れ、柔軟性の改良されたポリエチレン樹脂組成物、その製造方法及び該ポリエチレン樹脂組成物からなる透明性に優れたシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、農業用フィルム、壁紙、建材、遮水シート、レザー、ホース、チューブ等に用いる軟質材料の市場では、環境問題に対する配慮から、軟質ポリ塩化ビニル樹脂から他の樹脂材料への代替が進められている。
このような分野における、軟質ポリ塩化ビニル樹脂の代替材料としては、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリスチレン系等の種々の熱可塑性エラストマーや、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等の汎用熱可塑性樹脂が検討されている。しかし、種々の熱可塑性エラストマーは、柔軟性に優れるものもあるが、高価なため、柔軟性を活かして広く用いるには難しい。一方、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン系樹脂等の汎用熱可塑性樹脂は、柔軟性に欠けるため広く用いるには難しかった。
【0003】
従来の触媒により製造されたポリエチレン系樹脂は、柔軟性に欠けるという問題があり、共重合量を増やし、低密度のポリエチレン(エチレン・α−オレフィン共重合体)とすることで、柔軟性を付与する試みがなされているが、ベタツキ成分が副生するため実用的な方法ではなかった。しかし、シングルサイト触媒の出現により、好ましくないベタツキ成分の副生を押さえつつ、コモノマー含量を高め、より低密度のものを製造することが可能になった。このようなポリエチレンは、ポリ塩化ビニルに可塑剤を50部以上添加した程度の柔軟性を有することが可能になった。
しかし、このようなポリエチレン樹脂は、熱可塑性エラストマーに比べて、非常に安価に製造できるが、軟質ポリ塩化ビニルや一部の熱可塑性エラストマーに比べて耐熱性、透明性が充分ではなく、例えば、文具用途、自動車内装材用途、食品包装材用途などに適用した場合、透明性不良による外観不良が、しばしば問題となり使用できる用途が限られていた。
【0004】
一方、ポリエチレン系樹脂の柔軟性改質のために、スチレン系エラストマーなどをブレンドすることは公知である。特開平11−130921号公報では、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体及び/または水添共役ジエン系重合体とエチレン−α−オレフィン共重合体からなる熱可塑性エラストマー組成物が提案されている。さらに、特開平10−158465号公報ではシングルサイト触媒で作られたポリエチレン共重合体とビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物とのブロックとの共重合体及び/またはその水添化物及びポリプロピレンからなる熱可塑性エラストマー組成物が提案されている。しかし、これらの提案によって得られるシートは、透明性が充分とは言えず、例えば、カードケース、デスクマット、シューズトレイ、食品包装など高い透明性が要求される用途に用いることは難しかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、柔軟性、耐熱性に優れ、かつ、透明性の改良されたポリエチレン樹脂組成物、及びその製造方法を提供することにあり、また柔軟性、耐熱性に優れ、かつ、透明性に優れたシートを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、特定の性状を有するエチレン・α−オレフィン共重合体と特定の熱可塑性スチレン−ジオレフィン共重合体水素添加物を用いることにより、上記発明の目的が達成されうるとの知見を得て、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、(A)密度が0.890g/cm3を超え0.930g/cm3未満、Q値(Mw/Mn)が3.5以下、FRが7未満であって、かつ、下記条件(a)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体50〜95重量%と、(B)スチレン含量が5〜60重量%の熱可塑性スチレンブロック−ブタジエンブロック−スチレンブロック共重合体水素添加物5〜50重量%とを含有し、かつ、成分(A)が連続相を構成し、成分(B)が数平均円相当粒子径1000nm以下で分散相を構成する海島構造を有し、さらに、成分(A)と成分(B)が下記条件(b)を満たすことを特徴とするポリエチレン樹脂組成物が提供される。
条件(a):成分(A)の密度[d](g/cm3)とヘキサン抽出量[W](重量%)が下記式(1)を満たす。
[W]≦−1100[d]+1011.3 …(1)
条件(b):成分(A)の密度[d](g/cm3)と成分(B)のスチレン含量[St](重量%)が下記式(2)を満たす。
640[d]−561.2<[St]<640[d]−539.2 …(2)
(但し、密度はJIS K7112−1999のD法による値、Q値はGPCにより測定した重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)、FRはMFRより求めた値、数平均円相当粒子径は電子顕微鏡により求めた値をそれぞれ示す。)
【0008】
また、本発明の第2の発明によれば、成分(B)の面積平均円相当粒子径/数平均円相当粒子径比が3以下であることを特徴とする第1の発明に記載のポリエチレン樹脂組成物が提供される。
(但し、面積平均円相当粒子径及び数平均円相当粒子径は電子顕微鏡により求めた値を示す。)
【0009】
また、本発明の第3の発明によれば、(A)密度が0.890g/cm3を超え0.930g/cm3未満、Q値(Mw/Mn)が3.5以下、FRが7未満であって、かつ、下記条件(a)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体50〜95重量%と、(B)スチレン含量が5〜60重量%の熱可塑性スチレンブロック−ブタジエンブロック−スチレンブロック共重合体水素添加物5〜50重量%とを含有し、かつ、成分(A)と成分(B)が下記条件(b)を満たすポリエチレン混合物を成分(A)の融点より60〜150℃高い温度で溶融混練することにより、成分(A)が連続相を構成し、成分(B)が数平均円相当粒子径1000nm以下で分散相を構成する海島構造を有するポリエチレン樹脂組成物の製造方法が提供される。
条件(a):成分(A)の密度[d](g/cm3)とヘキサン抽出量[W](重量%)が下記式(1)を満たす。
[W]≦−1100[d]+1011.3 …(1)
条件(b):成分(A)の密度[d](g/cm3)と成分(B)のスチレン含量[St](重量%)が下記式(2)を満たす。
640[d]−561.2<[St]<640[d]−539.2 …(2)
(但し、密度はJIS K7112−1999のD法による値、Q値はGPCにより測定した重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)、FRはMFRより求めた値、数平均円相当粒子径は電子顕微鏡により求めた値をそれぞれ示す。)
【0010】
また、本発明の第4の発明によれば、成分(B)の面積平均円相当粒子径/数平均円相当粒子径比が3以下であることを特徴とする第3の発明に記載のポリエチレン樹脂組成物の製造方法が提供される。
(但し、面積平均円相当粒子径及び数平均円相当粒子径は電子顕微鏡により求めた値を示す。)
【0011】
また、本発明の第5の発明によれば、第1又は2の発明に記載のポリエチレン樹脂組成物から成形されたシートが提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、エチレン・α−オレフィン共重合体(成分(A))と熱可塑性スチレン−ジオレフィンブロック共重合体水素添加物(成分(B))とを含有する組成物であり、また、該樹脂組成物から得られる透明性に優れるシートである。各構成成分、製法、用途について説明する。
【0013】
1.ポリエチレン樹脂組成物の構成成分
(1)エチレン・α−オレフィン共重合体成分(A)
本発明のポリエチレン樹脂組成物において、成分(A)として用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンとα−オレフィンとの共重合体であって、α−オレフィンとしては、炭素数3〜18のα−オレフィンが挙げられ、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができ、単独で用いても2種以上を併用して用いても良い。なかでも炭素数3〜10、好ましくは炭素数3〜8のα−オレフィンが望ましい。
【0014】
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体の具体例としては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・プロピレン・1−ヘキセン3元共重合体等が挙げられる。
エチレン・α−オレフィン共重合体における、エチレン単位は70モル%以上が好ましく、α−オレフィン単位が30モル%以下が好ましい。エチレン単位が70モル%未満(α−オレフィン単位が30モル%を超える)と、べた付きが生じ、取り扱い性に欠け好ましくない。
【0015】
また、本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、次の(i)〜(iv)の性質を有する必要があり、さらに、(v)〜(vi)の性質を有しているものが好ましい。
【0016】
(i)密度
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、0.890g/cm3を超え、0.930g/cm3以下であり、好ましくは0.894〜0.920g/cm3であり、より好ましくは0.898〜0.915g/cm3である。密度が0.930g/cm3を超えると、柔軟性が失われる。一方、密度が0.890g/cm3以下となると、耐熱性に欠けるため好ましくない。ここでいう密度は、メルトフローレート(MFR)測定のストランドを用い、JISK7112−1999のD法(密度勾配管法)に準拠して測定した値である。
【0017】
(ii)Q値(Mw/Mn)
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体のQ値(Mw/Mn)は、3.5以下であり、好ましくは3.0〜1.5であり、より好ましくは2.5〜2.0である。Q値が3.5を超えると、べた付き性が出てくるため、取り扱い性に欠け、好ましくない。ここで、Q値とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で定義されるものである。
Q値の測定条件は次の通りである。
装置:ウオーターズ社製GPC 150C型
検出器:MIRAN 1A赤外分光光度計(測定波長、3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S 3本(カラムの較正は東ソー製単分散ポリスチレン(A500,A2500,F1,F2,F4,F10,F20,F40,F288の各0.5mg/ml溶液)の測定を行い、溶出体積と分子量の対数値を2次式で近似した。また、試料の分子量はポリスチレンとポリエチレンの粘度式を用いてポリエチレンに換算した。ここでポリスチレンの粘度式の係数はα=0.723、logK=−3.967であり、ポリエチレンはα=0.723、logK=−3.407である。)
測定温度:140℃
注入量:0.2ml
濃度:20mg/10mL
溶媒:オルソジクロロベンゼン
流速:1.0ml/min
【0018】
(iii)ヘキサン抽出量
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体のヘキサン抽出量は、密度との関係において、式(1)を満たす必要があり、
[W]≦−1100[d]+1011.3 …(1)
好ましくは、
[W]≦−1100[d]+1010.3 …(1)’
を満たし、より好ましくは、
[W]≦−1100[d]+1008.8 …(1)”
を満たす。
(式(1)〜(1)”中、[W]はヘキサン抽出量(重量%)、[d]は密度(g/cm3)を表す。)
【0019】
ヘキサン抽出量[W]が式(1)の範囲を超えると、べた付き性が出てくるため、また、成形時にシート同士のブロッキングがおこりやすくなるため好ましくない。
なお、ヘキサン抽出量の測定は、以下の方法による。インフレーション成形機にて、厚み30μmのフィルムを成形し、該フィルムを10mm×50mmに裁断した試料を5g秤量し、これをヘキサン200mlに入れ、高温用ソックスレー抽出器で8時間還流抽出した。室温まで冷却した後、抽出残分を減圧乾燥し、その重量を測定して抽出前の重量との比を求め、これをヘキサン抽出量とした。
【0020】
エチレン・α−オレフィン共重合体おいては、密度とヘキサン抽出量とには相関関係が認められ、該共重合体の密度が低くなるほど、ヘキサン抽出量は多くなる傾向がある。本発明では、密度見合いのヘキサン抽出量が少ない共重合体を用い、その臨界値として式(1)を見出したものである。一般に、メタロセン触媒で製造される共重合体は、密度見合いのヘキサン抽出量が少なく、日本ポリケム社製の「カーネル」(商標名)などが式(1)を満たす共重合体の市販品として例示できる。また、共重合体中のヘキサン抽出成分を除いても、その密度は大きく変わるものではないため、重合後の共重合体を溶媒洗浄し、ヘキサン抽出成分を減量または除去することにより、式(1)を満たす範囲の共重合体を得ることもできる。
【0021】
(iv)FR
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体のFRは、7未満であり、好ましくは6.5未満である。FRが7以上であると、成形品の衝撃強度が悪くなる。
FRは、エチレン・α−オレフィン共重合体の分子量分布、長鎖分岐の量と相関が深いことが知られている。したがって、これらの因子を調整することで、所定の物性を有するものとすることができる。ここで、FRは、メルトフローレート(MFR)のMFR(10)/MFR(2.16)から計算により求めた値である。ここでいうMFR(2.16)は、JIS−K7210−1999(190℃、2.16kg荷重)に準拠して測定した値であり、MFR(10)は、JIS−K7210−1999(190℃、10kg荷重)に準拠して測定した値である。
【0022】
(v)溶融張力(MT)
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体の溶融張力(MT)は、1.1g以下であり、好ましくは1.0g以下であり、より好ましくは0.6g以下である。MTが1.1gを超えると、透明性や衝撃強度が悪化するおそれがある。ここで、MTは、(株)東洋精機製作所製キャピログラフを使用し、ノズル径2.095mmφ、ノズル長8.00mm、設定温度190℃で、ピストン押し出し速度10.0mm/分、引き取り速度4.0m/分の条件で測定したときの、定常状態時の張力とした。
MTは、分子量、高分子量成分の存在割合、長鎖分岐の量などの因子に依存することが知られている。上述した因子においては、いずれも値が小さいほど、MTは小さくなることも知られている。したがって、本発明に好ましく用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体は、これらの因子を制御することで、所定の物性を有するものとすることができる。
【0023】
(vi)融点
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体の融点は、50〜130℃が好ましく、より好ましくは60〜120℃である。融点が50℃未満であると実用上の耐熱性が充分でなく、130℃を超えると硬くなりすぎ、軟質分野で用いるには適さない。
ここで、融点は、DSC(示差走査熱量計)を用いて測定した値で、一旦、170℃まで100℃/分で昇温した後、10℃/分で−10℃まで下降させ、170℃まで10℃/分で昇温させ測定した。融点は最後に昇温させたときの最大ピーク温度とした。
【0024】
上記エチレン・α−オレフィン共重合体の製造は、メタロセン触媒により製造されたものが好ましい。
上記メタロセン系触媒は、特開昭58−19309号、特開昭60−35006号、特開昭60−35007号、特開昭60−35008号、特開平3−163088号の各公報、ヨーロッパ特許出願公開第420,436号明細書、米国特許第5,055,438号明細書、及び国際公開公報W091/04257号明細書に記載されている触媒、すなわち、メタロセン触媒、メタロセン/アルモキサン触媒、または、例えば国際公開公報W092/07123号明細書等に開示されている様なメタロセン化合物とメタロセン触媒と反応して安定なイオンとなる化合物からなる触媒を挙げることができる。
【0025】
メタロセン系触媒に使用されるメタロセン化合物としては、ジルコニウム、チタニウム、ハフニウム等のIV〜VI族遷移金属化合物、特にIV族遷移金属化合物と、シクロペンタジエンあるいはシクロペンタジエン誘導体との有機遷移金属化合物を使用することができる。
シクロペンタジエン誘導体としては、ペンタメチルシクロペンタジエン等のアルキル置換体、あるいは2以上の置換基が結合して飽和もしくは不飽和の環状置換基を構成したものを使用することができ、代表的には、インデン、フルオレン、アズレン、あるいはこれらの部分水素添加物を挙げることができる。
また、複数のシクロペンタジエンがアルキレン基、シリレン基等で結合されたものを用いることもできる。
助触媒としては、有機アルミニウムあるいはメタロセン触媒と反応して安定なイオンとなる化合物を用いることができ、一般にアルモキサンが使用される。
【0026】
重合方法としては、これらの触媒の存在下でのスラリー法、気層流動床法(例えば、特開昭59−23011号公報に記載の方法)や溶液法、あるいは圧力が200kg/cm2以上、重合温度が100℃以上での高圧バルク重合法等が挙げられる。
【0027】
また、本発明に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、市販品から適宜選択して使用することもできる。市販品としては、例えば、日本ポリケム社製の「カーネル」(商標名)などを例示することができる。
【0028】
(2)熱可塑性スチレン−ジオレフィン共重合体水素添加物成分(B)
本発明で用いられる成分(B)は、熱可塑性スチレン−ジオレフィン共重合体水素添加物であり、そのスチレン含量は5〜60重量%、好ましくは10〜50重量%、より好ましくは20〜40重量%である。スチレン含量が5重量%未満であると、透明性改良効果が顕著に見られず好ましくない。また、60重量%を超えると、成分(A)との親和性が著しく低下するので、分散性が低下したり、柔軟性が著しく低下するため好ましくない。
【0029】
熱可塑性スチレン−ジオレフィン共重合体水素添加物とは、熱可塑性スチレン−ジオレフィン共重合体を水添したものである。熱可塑性スチレン−ジオレフィン共重合体水素添加物は、ブロック共重合体であっても、ランダム共重合体であってもよい。好ましくはブロック共重合体である。
【0030】
上記熱可塑性スチレン−ジオレフィンブロック共重合体水素添加物においては、スチレンブロックをSTY、ジオレフィンブロック水素添加物をDENと表すと、STY−DEN、STY−DEN−STY、DEN−STY−DEN−STY、STY−DEN−STY−DEN−STYなどの構造を有する共重合体が挙げられる。
【0031】
ジオレフィンの水素添加物ブロックを構成する単量体としては、ブタジエン、イソプレン、ビニル化ポリイソプレンの水素添加物等が挙げられ、これらは単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
【0032】
スチレンブロックとジオレフィンブロックとのブロック共重合体の水素添加物の具体例としては、例えば、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物、スチレン−イソプレンブロック共重合体の水素添加物、スチレン−ビニル化ポリイソプレンブロック共重合体の水素添加物が挙げられる。これらは、単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
【0033】
スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物は、シェルジャパン(株)より「クレイトンG」として、また、旭化成工業(株)より「タフテック」の商品名で販売されている。スチレン−イソプレンブロック共重合体の水素添加物は、(株)クラレより「セプトン」の商品名で販売されている。スチレン−ビニル化ポリイソプレンブロック共重合体の水素添加物は、(株)クラレより「ハイブラー」の商品名で販売されている。これらの商品群より適宜選択して用いてもよい。
【0034】
上記熱可塑性スチレン−ジオレフィンランダム共重合体の水素添加物において、ジオレフィンの水素添加物ブロックを構成する単量体としては、ブタジエン、イソプレン、ビニル化ポリイソプレン等が挙げられ、これらは単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
【0035】
スチレンとジオレフィンとのランダム共重合体の水素添加物の具体例としては、スチレンブタジエンランダム共重合体の水素添加物、スチレン−イソプレンランダム共重合体の水素添加物、スチレン−ビニル化ポリイソプレンランダム共重合の水素添加物が挙げられ、これらは、単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
【0036】
スチレン−ブタジエンランダム共重合体の水素添加物は、JSR(株)より「ダイナロン」の商品名で販売されている。
【0037】
さらに、熱可塑性スチレン−ジオレフィンブロック共重合体の水素添加物と熱可塑性スチレン−ジオレフィンランダム共重合体の水素添加物を混合して使用することもできる。ポリエチレン樹脂組成物の性能を損なわない範囲で、ポリエチレン樹脂組成物の全重量のうち10重量%以下が熱可塑性スチレン−ジオレフィンブロック共重合体樹脂、スチレン−ブタジエンブロック共重合体エラストマー、スチレン−イソプレンブロック共重合体のエラストマー、スチレン−ビニル化ポリイソプレン共重合体、スチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂、スチレン−ブタジエンランダム共重合体エラストマー、スチレン−イソプレンランダム共重合体のエラストマー、スチレン−ビニル化ポリイソプレンランダム共重合体のエラストマーとなるようにして用いることもできる。
【0038】
(3)成分(A)と成分(B)の関係
本発明のポリエチレン系樹脂組成物は、上記(A)成分と(B)成分を含む組成物であるが、次の条件(b)を満たす必要がある。
条件(b):成分(A)の密度[d](g/cm3)と成分(B)のスチレン含量[St](重量%)が下記式(2)の関係を満たし、
640[d]−561.2<[St]<640[d]−539.2 …(2)
好ましくは、式(2)’を満たし、
640[d]−558.2<[St]<640[d]−539.2 …(2)
’
より好ましくは、式(2)”を満たす。
640[d]−555.2<[St]<640[d]−541.2 …(2)
”
【0039】
スチレン含量[St](重量%)が式(2)の関係を外れると、十分な透明改良効果が見られない。
なお、式(2)は経験的に導かれたもので、理論的意味合いは明らかとされてはいないが、式(2)の範囲内となる成分(A)と成分(B)との組合せにおいては、両成分の親和性が増し、組成物としたときの分散性が高まることや、各成分の屈折率が近づき散乱が減少するためと考えられる。
【0040】
(4)成分(A)と成分(B)の配合割合
本発明のポリエチレン樹脂組成物の成分(A)と成分(B)の配合割合は、成分(A)50〜95重量%に対して、成分(B)が5〜50重量%となるようにする。好ましくは成分(A)60〜90重量%に対して、成分(B)が10〜40重量%である。成分(A)が95重量%を超過すると、得られるポリエチレン樹脂組成物の十分な透明改良効果が見られない。成分(B)が50重量%を超過すると、ポリエチレン樹脂組成物からなるシートの圧縮永久歪み等が悪くなり好ましくない。
【0041】
(5)他の添加成分
本発明のポリエチレン樹脂組成物には、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、一般に樹脂組成物用として用いられる補助添加成分や改質剤を必要に応じて配合することもできる。そのような補助添加剤成分や改質剤としては、例えば、酸化防止剤(中でも、フェノール系、及びリン系酸化防止剤が好ましい)、アンチブロッキング剤、中和剤、熱安定剤、無機フィラー、界面活性剤、抗菌剤、顔料、粘着防止剤を挙げることができる。上記補助添加剤成分を配合する場合、上記成分(A)及び成分(B)の混合前、混合途中、あるいは混合後に、配合することができる。
【0042】
(6)他の樹脂材料
また、本発明のポリエチレン樹脂組成物には、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等、他の熱可塑性樹脂材料を配合することもできる。上記他の樹脂材料を配合する場合、上記成分(A)及び成分(B)の混合前、混合途中、あるいは混合後に、配合することができる。
【0043】
2.ポリエチレン樹脂組成物の製造
本発明のポリエチレン樹脂組成物の製造方法は、上記(A)成分及び(B)成分を、必要に応じて、他の添加成分及び他の樹脂材料とともに、混合又は溶融混練する方法によって製造することができる。成分(B)の分散性の観点で、溶融混練する方法によって製造することが好ましい。ここで用いることができる溶融混練機としては、例えば、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー、ロールミル、単軸又は二軸等の多軸混練押出機等を挙げることができる。混練温度は、成分(A)の融点より60〜150℃高い樹脂温度で行うことが好ましい。混練温度が上記の範囲未満であると、成分(B)の分散不良がおこり、好ましくなく、上記の範囲を超えると、成分(A)の分解が始まり好ましくない。
【0044】
上記のようにして製造された本発明のポリエチレン樹脂組成物は、成分(A)が連続層を構成し、成分(B)が成分(A)中で粒子状を形成して分散している海島構造を有している。成分(B)の粒子は、数平均円相当粒子径が1000nm以下が好ましく、より好ましくは700nm以下であり、特に好ましくは500nm以下である。数平均円相当粒子径が1000nmを超えると、材料の均一性が損なわれ、十分な耐熱効果が得られない。
【0045】
また、成分(B)粒子は、(面積平均円相当粒子径/数平均円相当粒子径)が3以下であるように成分(A)中に分散していることが好ましい。面積平均円相当粒子径が1000nmを超えると、または(面積平均円相当粒子径/数平均円相当粒子径)が3を超えると、材料の均一性が損なわれ、十分な耐熱効果が得られない。
ここで、(面積平均円相当粒子径/数平均円相当粒子径)の値は、成分(B)が成分(A)中へ分散するときの分散性の度合を表している。大きいほど、不均一になる。
なお、数平均円相当粒子径、面積平均円相当粒子径は、透過電子顕微鏡観察により得られる測定値をもとに、それぞれ、次の式(3)及び式(4)のように定義される。
【0046】
【数1】
【0047】
透過電子顕微鏡観察に用いる試料は、プレスシートを四酸化ルテニウムで処理することにより電子染色した超薄に作製される。観察画像においては、コントラストの違いにより成分(A)と成分(B)とを区別することが可能である。観察画像における分散している個々の成分(B)の面積を求め、円相当粒子径を測定する。観察画像においては、数平均円相当粒子径、面積平均円相当粒子径の数値のばらつきを減らすために、少なくとも100個の分散粒子の観測が必要である。
【0048】
3.ポリエチレン樹脂組成物の成形
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、Tダイ成形、異型押出成形、圧縮成形、射出成形、インフレーション成形などの押出成形、ブロー成形、カレンダー成形、真空成形、圧空成形等により種々の成形品に加工することができる。
本発明のポリエチレン樹脂組成物からなるシートは、Tダイ成形、圧縮成形、射出成形、インフレーション成形などの押出成形やカレンダー成形等により製造することができる
【0049】
4. ポリエチレン樹脂組成物の用途
本発明のポリエチレン樹脂組成物の用途としては、食品包装材、機械、電気部品の容器、文具、OA機器、家電製品、自動車部品、自動車用内装品、包装容器、チューブ、ホース、フィルム、シートなどが挙げられる。具体的には、文具としては、デスクマット、カードケース等が挙げられ、自動車用内装品としては、シューズトレイ等が挙げられる。
【0050】
【実施例】
以下に本発明を実施例で説明する。これらの実施例及び比較例は、本発明をさらに具体的に説明するためのものであり、本発明は実施例の範囲のみに限定されるものではない。実施例及び比較例における物性の評価方法及び用いたエチレン・α−オレフィン共重合体の製造法は、以下に示す通りである。
【0051】
1.物性の評価
物性測定時に用いた試験片は特に断りのない限り、ペレット状配合物を用いて、金型温度:160℃、圧力:150kgf/cm2、冷却速度:14℃/minで作製した厚み2mmのプレスシートを用いた。
【0052】
(1)密度:JIS K7112−1999のD法(密度勾配管法)に準拠して測定した。
(2)ヘキサン抽出量:前述の条件で測定した。
(3)Q値:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で、前述の条件で測定した。
(4)MT:前述の条件で測定した。
(5)MFR:JIS−K7210−1999(190℃、2.16kg荷重及び10kg荷重)に準拠して測定した。
(6)融点:DSC(示差走査熱量計)を用いて、前述の条件で測定した。
(7)ヘイズ:2mm厚のシートを用い、JIS K7105−1981に準拠して測定した。この値が小さいほど、透明性に優れていることを示す。
(8)圧縮永久歪み:JIS K6301−1995「加硫ゴム物理試験方法」に準拠して測定した。
(9)引張衝撃強度:JIS K 7160−1996に記載のB法を参考にし、測定した。具体的には、下記に示す事項以外は、基本的にB法に従い測定を行った。
(i)使用した振り子式衝撃試験機の特性
振り下ろす前の位置エネルギー:20kgcm
衝撃速度:3.4m/s
クロスヘッド質量:65g
(ii)試験片
JIS K 7160記載の4形試験片
(iii)引張衝撃強度(T)の計算法
T=(E1−E)/(a×b)
ただし、T:引張衝撃強さ(kgcm/cm2)
E1:引張衝撃エネルギー(kgcm)
E:摩擦損失エネルギー(kgcm)
a:試験片の幅の狭い部分の厚さ(cm)
b:試験片の平行部の最小幅(cm)
(10)数平均円相当粒子径:透過電子顕微鏡(JEM−1230;日本電子製)で、プレスシートの厚さ方向の断面を50000倍の倍率で観察して求めた。なお、加速電圧は120KVとした。
【0053】
2.実施例、比較例で用いた成分(A)及び成分(B)
(1)成分(A)
成分(A)として、表1に示すエチレン・α−オレフィン共重合体を用いた。
【0054】
【表1】
【0055】
製造例1
触媒の調整を、特開昭61−130314号公報に記載された方法で実施した。すなわち、錯体エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド2.0ミリモルに、東洋ストウファー社製メチルアルモキサンを上記錯体に対し1000モル倍加え、トルエンで10リットルに希釈して、触媒溶液を調整した。次に、得られた触媒溶液を用い、以下の方法で重合を行った。
内容積1.5リットルの撹拌式オートクレーブ型連続反応器に、エチレンと1−ヘキセンとの混合物を、1−ヘキセンの組成が76重量%となるように供給し、反応器内の圧力を1300kg/cm2に保ち、195℃の温度で反応を行った。反応終了後、MFRが3.5g/10分、密度が0.908g/cm3、Q値が2.0、MTが0.5g、FRが6.1であるエチレン・1−ヘキセン共重合体(PE−1)を得た。
【0056】
製造例2
重合時の1−ヘキセンの組成を82重量%に、重合温度を180℃に代えた以外は製造例1と同様の製法で触媒調整及び重合を行い、MFRが3.5g/10分、密度が0.898g/cm3、Q値が2.3、MTが0.5g、FRが6.0であるエチレン・1−ヘキセン共重合体(PE−2)を得た。
【0057】
製造例3
重合時の1−ヘキセンの組成を89重量%に、重合温度を160℃に代えた以外は製造例1と同様の製法で触媒調整及び重合を行い、MFRが3.5g/10分、密度が0.880g/cm3、Q値が2.3、MTが0.5g、FRが6.0であるエチレン・1−ヘキセン共重合体(PE−3)を得た。
【0058】
製造例4
重合触媒として、TiCl4、トリエチルアルミニウムを用いる以外は、製造例1と同様の製法で重合を行い、MFRが3.4g/10分、密度が0.905g/cm3、Q値が3.8、MTが0.8g、FRが7.6であるエチレン・1−ヘキセン共重合体(PE−4)を得た。
【0059】
(2)成分(B)
成分(B)として、表2に示すスチレン−ジオレフィン共重合体水素添加物又はスチレン−ジオレフィン共重合体を用いた。
【0060】
【表2】
【0061】
実施例1
PE−1を70重量%と、SEBS−1を30重量%ドライブレンドし、これを次に40mmφの単軸押出機にて、温度220℃で溶融混練し、ポリエチレン樹脂組成物を得た。得られたポリエチレン樹脂組成物の物性を測定した。その結果を表3に示す。
【0062】
実施例2
PE−1とSEBS−1との配合比を90重量%:10重量%とした以外は、実施例1と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を得、物性を測定した。その結果を表3に示す。
【0063】
実施例3
PE−1に代えて、PE−2を使用した以外は、実施例1と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を得、物性を測定した。その結果を表3に示す。
【0064】
実施例4
SEBS−1に代えて、SEBS−2を使用した以外は、実施例1と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を得、物性を測定した。その結果を表3に示す。
【0065】
実施例5
PE−1とSEBS−2との配合比を 90重量%:10重量%とした以外は実施例4と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を得、物性を測定した。その結果を表3に示す。
【0066】
比較例1
SEBS−1に代えて、SEBS−3を使用した以外は、実施例1と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を得、物性を測定した。その結果を表4に示す。
【0067】
比較例2
SEBS−1に代えて、SEBS−3を使用した以外は、実施例3と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を得、物性を測定した。その結果を表4に示す。
【0068】
比較例3
PE−1に代えて、PE−3を使用した以外は、実施例1と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を得、物性を測定した。その結果を表4に示す。
【0069】
比較例4
PE−1に代えて、PE−5を使用した以外は、実施例1と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を得、物性を測定した。その結果を表4に示す。
【0070】
比較例5
ポリエチレン樹脂組成物の製造において、溶融混練する代わりに、ドライブレンドする以外は、実施例1と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を得、物性を測定した。その結果を表4に示す。
【0071】
比較例6
SEBS−1に代えて、SBS−1を使用した以外は、実施例1と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を得、物性を測定した。その結果を表4に示す。
【0072】
比較例7
PE−1に代えて、PE−4を使用した以外は、実施例1と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を得、物性を測定した。その結果を表4に示す。
【0073】
比較例8
PE−1とSEBS−1との配合比を10重量%:90重量%とした以外は、実施例1と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を得、物性を測定した。その結果を表4に示す。
【0074】
【表3】
【0075】
【表4】
【0076】
表3及び4より明らかなように、本発明のポリエチレン組成物は、成分(A)単体よりも透明性に優れている。一方、条件(b)を満たさないポリエチレン樹脂組成物は、透明性に劣り(比較例1〜3)、FRの大きい成分(A)を用いた組成物は、引張衝撃強度に劣り(比較例4、比較例7)、溶融混練の代わりにドライブレンドした組成物は、数平均円相当粒子径が大きくなり海島構造とならず、透明性に劣り(比較例5)、成分(B)として水添物を用いない場合は、透明性に劣り(比較例6)、式(1)を満たさない成分(A)を用いた組成物は、引張衝撃強度に劣り(比較例7)、成分(A)の配合割合が少なすぎる組成物は、成分(B)が島となる海島構造にならず、また、圧縮永久歪み率が悪くなる(比較例8)。
【0077】
【発明の効果】
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、ポリエチレン系樹脂の耐熱性を著しく減少させることなく透明性を改良するため、その利用価値は極めて大きい。
特に、透明性が必要な軟質ポリ塩化ビニルの代替材料として、食品包装材、機械、電気部品の容器、文具、OA機器、家電製品、自動車部品、包装容器、チューブ、ホース、フィルム、シートなどの用途に有効に利用できる。
Claims (5)
- (A)密度が0.890g/cm3を超え0.930g/cm3未満、Q値(Mw/Mn)が3.5以下、FRが7未満であって、かつ、下記条件(a)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体50〜95重量%と、(B)スチレン含量が5〜60重量%の熱可塑性スチレンブロック−ブタジエンブロック−スチレンブロック共重合体水素添加物5〜50重量%とを含有し、かつ、成分(A)が連続相を構成し、成分(B)が数平均円相当粒子径1000nm以下で分散相を構成する海島構造を有し、さらに、成分(A)と成分(B)が下記条件(b)を満たすことを特徴とするポリエチレン樹脂組成物。
条件(a):成分(A)の密度[d](g/cm3)とヘキサン抽出量[W](重量%)が下記式(1)を満たす。
[W]≦−1100[d]+1011.3 …(1)
条件(b):成分(A)の密度[d](g/cm3)と成分(B)のスチレン含量[St](重量%)が下記式(2)を満たす。
640[d]−561.2<[St]<640[d]−539.2 …(2)
(但し、密度はJIS K7112−1999のD法による値、Q値はGPCにより測定した重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)、FRはMFRより求めた値、数平均円相当粒子径は電子顕微鏡により求めた値をそれぞれ示す。) - 成分(B)の面積平均円相当粒子径/数平均円相当粒子径比が3以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリエチレン樹脂組成物。
(但し、面積平均円相当粒子径及び数平均円相当粒子径は電子顕微鏡により求めた値を示す。) - (A)密度が0.890g/cm3を超え0.930g/cm3未満、Q値(Mw/Mn)が3.5以下、FRが7未満であって、かつ、下記条件(a)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体50〜95重量%と、(B)スチレン含量が5〜60重量%の熱可塑性スチレンブロック−ブタジエンブロック−スチレンブロック共重合体水素添加物5〜50重量%とを含有し、かつ、成分(A)と成分(B)が下記条件(b)を満たすポリエチレン混合物を成分(A)の融点より60〜150℃高い温度で溶融混練することにより、成分(A)が連続相を構成し、成分(B)が数平均円相当粒子径1000nm以下で分散相を構成する海島構造を有するポリエチレン樹脂組成物の製造方法。
条件(a):成分(A)の密度[d](g/cm3)とヘキサン抽出量[W](重量%)が下記式(1)を満たす。
[W]≦−1100[d]+1011.3 …(1)
条件(b):成分(A)の密度[d](g/cm3)と成分(B)のスチレン含量[St](重量%)が下記式(2)を満たす。
640[d]−561.2<[St]<640[d]−539.2 …(2)
(但し、密度はJIS K7112−1999のD法による値、Q値はGPCにより測定した重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)、FRはMFRより求めた値、数平均円相当粒子径は電子顕微鏡により求めた値をそれぞれ示す。) - 成分(B)の面積平均円相当粒子径/数平均円相当粒子径比が3以下であることを特徴とする請求項3に記載のポリエチレン樹脂組成物の製造方法。
(但し、面積平均円相当粒子径及び数平均円相当粒子径は電子顕微鏡により求めた値を示す。) - 請求項1又は2に記載のポリエチレン樹脂組成物から成形されたシート。
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