JP4002822B2 - エチレン・α−オレフィン共重合体組成物およびそのシート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エチレン・α−オレフィン共重合体組成物及びそれからなるシートに関し、詳しくは、柔軟性、変形回復性、及びオイルの耐ブリードアウト性に優れたエチレン・α−オレフィン共重合体組成物及びそのシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、農業用フィルム、壁紙、建材、遮水シート、レザー、ホース、チューブ等に用いる軟質材料の市場では、環境問題に対する配慮から、軟質ポリ塩化ビニル樹脂から他の樹脂材料への代替が検討されている。経済性、低環境負荷性からポリエチレン樹脂への代替が期待されているが、ポリエチレン系樹脂単体では、柔軟性に欠けるという問題があった。
【0003】
ポリエチレン系樹脂に対し、石油系軟化剤を用いて柔軟性を付与することは公知である。例えば、ポリエチレン系樹脂99〜80重量%に対しプロセスオイルを1〜20重量%の割合で含有することを特徴とするポリエチレン系樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この技術は、パレットストレッチフィルムの粘着層向け配合であり、オイルが作用して自己粘着性や易剥がれ性を得ることを目的としており、軟質材として使用するには、オイルのブリードアウトが問題となり難しかった。また、シートにした場合に十分な柔軟性が得られなかった。
【0004】
また、エチレン−α−オレフィン、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックとからなるブロック共重合体を水素添加してなるブロック共重合体、プロピレン系重合体、及びゴム用オイルからなり、それに、ラジカル開始剤、あるいはラジカル開始剤及び架橋助剤により架橋してなり、オイルのブリードといった問題点の発生しにくい低硬度熱可塑性エラストマー組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、この技術においても、オイルをブリードアウトさせずに柔軟性を実現するのは難しかった。また、架橋過程を含んでいるため、製造に手間がかかるという問題を有していた。
【0005】
上述の通り、従来の提案では、柔軟性とオイルのブリードアウトを両立させることは困難であった。例えば、P−タイル向け床材として用いた場合に、床表面にオイルがにじみ出し、滑りやすくなり、床上で転倒するという危険があった。また、デスクマットとして用いた場合に、表面がべた付く等の問題があった。さらに、シートやフィルムとして成形した場合に、シートやフィルムの表面にブリードがおこる等の問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−49903号公報
【特許文献2】
特開平10−287775号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、柔軟性や変形回復性に富み、耐オイルブリード性に優れたポリエチレン系樹脂組成物及びそのシートを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定の性状を有するエチレン・α−オレフィン共重合体に特定の性状を有するパラフィン系プロセスオイルを配合することにより、耐オイルブリード性に優れ、軟質性及び変形回復性の向上したポリエチレン系樹脂組成物が得られるとの知見を得て、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、(A)結晶化度[D]が1〜38wt%、MFRが0.1〜100g/10分、及びQ値が4.0以下であるエチレン・α−オレフィン共重合体40〜70重量%と、(B)重量平均分子量が200〜2000、40℃での動粘度が20〜800cSt、流動点が−40〜0℃であるパラフィン系プロセスオイル30〜60重量%とを含有する組成物であって、上記[D](wt%)と、成分(B)の成分(A)と成分(B)との合計量に対する割合[w](wt%)とが式(1)の関係を満たすことを特徴とするエチレン・α−オレフィン共重合体組成物が提供される。
−1.6484[D]+10 ≦[w]≦ −1.6484[D]+90…(1)
(但し、結晶化度は広角X線測定により求めた値、MFRは、JIS K7210−1999による値、Q値はGPCにより測定した重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)をそれぞれ示す。)
【0010】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明のエチレン・α−オレフィン共重合体組成物からなるシートが提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体組成物は、エチレン・α−オレフィン共重合体成分(A)とパラフィン系プロセスオイル成分(B)とを含有する組成物であり、組成物の構成成分、組成物の製法、組成物の用途等は以下の通りである。
【0013】
1.組成物の構成成分
(1)エチレン・α−オレフィン共重合体成分(A)
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体組成物において、成分(A)として用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンと炭素数3〜18のα−オレフィンとの共重合体である。炭素数3〜18のα−オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができ、単独で用いても2種以上を併用して用いても良い。なかでも炭素数3〜10、好ましくは炭素数3〜6のα−オレフィンが望ましい。
かかるエチレン・α−オレフィン共重合体の具体例としては、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・プロピレン・1−ヘキセン3元共重合体、エチレン・ブチレン・1−ヘキセン3元共重合体等が挙げられる。また、エチレン・α−オレフィン共重合体における、エチレン単位は70モル%以上が好ましく、α−オレフィン単位は30モル%以下が好ましい。エチレン単位が70モル%未満(α−オレフィン単位が30モル%を超える)であると、べた付きが生じ、取り扱い性に欠ける場合がある。
【0014】
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、次の(i)〜(iii)、さらに必要に応じて、(iv)の性質を有している共重合体である。
(i)結晶化度
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、結晶化度が1〜38wt%であり、好ましくは2〜35wt%であり、より好ましくは3〜30wt%、更に好ましくは3〜20wt%である。結晶化度が38wt%を超えると、柔軟性に劣り、また、オイルブレンド時、ブリードアウトが生じる。一方、結晶化度が1wt%未満となると、べた付き、成形品同士のブロッキングが生じるため好ましくない。
なお、ここでいう結晶化度とは、広角X線測定により、次に示すようにして作製したプレスシートを用いて求める値である。
【0015】
プレスシート作製条件
サンプルを160℃で3分間予熱し、160℃、150kgf/cm2にて1分間加圧した。その後14℃/minにて室温まで冷却し、厚さ2mmのプレスシートを得、試験片とした。
結晶化度の測定条件は次の通りである。
装置:X線回折装置 理学電機社製 ultrax18
出力:40kV−250mA
ターゲット:Cu(CuKα)
光学系:第1ピンホールコリメータ 1.0mmφ
レシービングスリット(縦幅スリット1゜ 横幅スリット1゜)
測角範囲:2θ=10〜30゜ (対称透過法)
結晶化度測定法:
2θ=10〜30゜の範囲の回折強度曲線を多重ピーク分離法により、(110)と(200)面の結晶質ピークと非晶質ハローに分離し、結晶質ピークの全積分強度(A)と非晶質ハローの積分強度(B)を用いて次式から算出した。
結晶化度(%)=(A/(A+B))×100
【0016】
(ii)MFR
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、MFRが0.1〜100g/10分、好ましくは0.3〜80g/10分、より好ましくは0.5〜50g/10分、更に好ましくは1〜10g/10分の物性を示すものが用いられる。該MFRが上記範囲を超えると、耐熱性、シートの強度が低下するため、好ましくない。また、該MFRが上記範囲未満であると樹脂圧力が高くなるため、押し出し成形性が低下するので好ましくない。
ここで、MFRは、JIS K7210−1999(190℃、21.16N)に準拠して測定する値である。
【0017】
(iii)Q値
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体のQ値は、4.0以下であり、好ましくは1.5〜3.5であり、より好ましくは2.0〜2.5である。
Q値が4.0を超えると、べた付き性が出てくるため、取り扱い性に欠け、好ましくない。
ここで、Q値とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で定義されるものである。
Q値の測定条件は次の通りである。
装置:ウオーターズ社製GPC 150C型
検出器:MIRAN 1A赤外分光光度計(測定波長、3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S 3本(カラムの較正は東ソー製単分散ポリスチレン(A500,A2500,F1,F2,F4,F10,F20,F40,F288の各0.5mg/ml溶液)の測定を行い、溶出体積と分子量の対数値を2次式で近似した。また、試料の分子量はポリスチレンとポリエチレンの粘度式を用いてポリエチレンに換算した。ここでポリスチレンの粘度式の係数はα=0.723、logK=−3.967であり、ポリエチレンはα=0.723、logK=−3.407である。)
測定温度:140℃
注入量:0.2ml
濃度:20mg/10mL
溶媒:オルソジクロロベンゼン
流速:1.0ml/min
【0018】
(iv)FR
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体のFRは、7未満であることが好ましい。FRが7以上であると、成形品の衝撃強度が悪くなるおそれがある。
ここで、FRは、メルトフローレート(MFR)のMFR(98N)/MFR(21.16N)から計算により求めた値である。ここでいう、MFR(21.16N)は、(ii)にて求める値、MFR(98N)は、JIS−K7210−1999(190℃、98N)に準拠して測定する値である。
【0019】
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体の製造方法は、上記性状を満たす限りにおいて特に限定されるものではない。一般に、触媒の存在下にエチレンとα−オレフィンとを共重合して得られるが、触媒としては、メタロセン系触媒が好ましい。
上記メタロセン系触媒としては、特開昭58−19309号、特開昭60−35006号、特開昭60−35007号、特開昭60−35008号、特開平3−163088号の各公報、ヨーロッパ特許出願公開第420,436号明細書、米国特許第5,055,438号明細書、及び国際公開公報W091/04257号明細書に記載されている触媒、すなわち、メタロセン化合物、メタロセン化合物/アルモキサン触媒、または、例えば国際公開公報W092/07123号明細書等に開示されている様なメタロセン化合物とメタロセン化合物と反応して安定なイオンとなる化合物からなる触媒を挙げることができる。
メタロセン系触媒に使用されるメタロセン化合物としては、ジルコニウム、チタニウム、ハフニウム等のIV〜VI族遷移金属化合物、特にIV族遷移金属化合物と、シクロペンタジエンあるいはシクロペンタジエン誘導体との有機遷移金属化合物を使用することができる。
シクロペンタジエン誘導体としては、ペンタメチルシクロペンタジエン等のアルキル置換体、あるいは2以上の置換基が結合して飽和もしくは不飽和の環状置換基を構成したものを使用することができ、代表的には、インデン、フルオレン、アズレン、あるいはこれらの部分水素添加物を挙げることができる。
また、複数のシクロペンタジエンがアルキレン基、シリレン基等で結合されたものを用いることもできる。
重合方法としては、これらの触媒の存在下でのスラリー法、気相流動床法(例えば、特開昭59−23011号公報に記載の方法)や溶液法、あるいは圧力が200kg/cm2以上、重合温度が100℃以上での高圧バルク重合法等が挙げられる。
また、本発明に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、市販品から適宜選択して使用することもできる。市販品としては、例えば、日本ポリケム社製カーネル(登録商標)などを例示することができる。
【0020】
(2)パラフィン系プロセスオイル成分(B)
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体組成物において、成分(B)として用いるパラフィン系プロセスオイルは、パラフィン類、芳香族類及びナフテン類を含む混合物であるが、パラフィン鎖炭素数が全炭素数中の50重量%以上、好ましくは60重量%以上を占めるものが好ましい。
【0021】
本発明で用いるパラフィン系プロセスオイルは、次の(i)〜(iii)、好ましくは(iv)の性質を有しているプロセスオイルである。
(i)重量平均分子量
本発明で用いるパラフィン系プロセスオイルは、GPCにより測定した重量平均分子量が200〜2000、好ましくは300〜1500、より好ましくは300〜1000である。重量平均分子量が200未満であると成分(A)に馴染まず、ブリードアウトしてしまう。一方、2000を超えると成分(A)に添加しても柔軟性改良効果が見られない。
【0022】
(ii)動粘度
本発明で用いるパラフィン系プロセスオイルは、40℃での動粘度が20〜800cSt(センチストークス)、好ましくは50〜600cStである。動粘度が20cSt未満であると成分(A)によく馴染まずブリードアウトしてしまい、一方、800cStを超えると、成分(A)の十分な柔軟性改良効果が得られない。
ここで、動粘度はJIS K 2283−1993に準拠して測定する値である。
【0023】
(iii)流動点
本発明で用いるパラフィン系プロセスオイルは、流動点が−40〜0℃、好ましくは−30〜0℃である。流動点が−40℃未満であると組成物が耐寒性に欠ける。一方、0℃を超えると、成分(A)とのブレンド時に固まってしまう可能性があり、成分(A)の十分な改良効果が得られない。
ここで、流動点はJIS K 2269−1987に準拠して測定する値である。
【0024】
(iv)引火点
本発明で用いるパラフィン系プロセスオイルは、引火点(COC)が好ましくは200℃以上、より好ましくは250℃以上である。引火点が200℃未満であると成形時に火災のおそれがあり、取扱い性に欠ける。
ここで、引火点はJIS K 2265−1989に準拠して測定する値である。
【0025】
(3)成分(A)と成分(B)の配合割合
本発明のポリエチレン樹脂組成物において、成分(A)と成分(B)の配合割合は、成分(A)が40〜70重量%、成分(B)が30〜60重量%であり、好ましくは成分(A)が55〜70重量%、成分(B)が30〜45重量%である。成分(B)が30重量%未満であると(成分(A)が70重量%を超えると)、十分な軟質性、変形回復性が付与できず、成分(B)が60重量%を超えると(成分(A)が40重量%未満であると)、オイルがブリードアウトしてしまう。
【0026】
また、成分(A)の結晶化度[D](wt%)と、成分(B)の成分(A)と成分(B)の合計量に対する配合割合[w](wt%)との関係は、式(1)の関係を満たし、
−1.6484[D]+10≦[w]≦−1.6484[D]+90…(1)
好ましくは、式(1)’の関係を満たし、
−1.6484[D]+15≦[w]≦−1.6484[D]+85…(1)’
より好ましくは、式(1)”の関係を満たす。
−1.6484[D]+20≦[w]≦−1.6484[D]+82…(1)”
成分(A)の結晶化度[D](wt%)と成分(B)の配合割合[w](wt%)が式(1)の関係を外れると、十分な柔軟性付与、変形回復性が付与された良質なシートが得られない。
なお、式(1)は経験的に導かれたもので、理論的な意味合いは明らかとされてはいないが、式(1)の範囲内となる成分(A)と成分(B)との組み合わせにおいては、両成分の親和性が増し、組成物としたときの分散性が高まることが原因と考えられる。
【0027】
(4)他の成分
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体組成物には、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、一般に樹脂組成物用として用いられる補助添加成分や改質剤を必要に応じて配合することもできる。そのような補助添加剤成分や改質剤としては、例えば、酸化防止剤(中でも、フェノール系、及びリン系酸化防止剤が好ましい)、アンチブロッキング剤、中和剤、熱安定剤、無機フィラー、界面活性剤、抗菌剤、顔料、粘着防止剤を挙げることができる。上記補助添加剤成分を配合する場合、上記成分(A)及び成分(B)の混合前、混合途中、あるいは混合後に、配合することができる。
【0028】
また、本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体組成物には、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等、他の熱可塑性樹脂材料、熱可塑性エラストマーを配合することもできる。上記他の樹脂材料を配合する場合、上記成分(A)及び成分(B)の混合前、混合途中、あるいは混合後に配合することができる。
【0029】
2.エチレン・α−オレフィン共重合体組成物の製造
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体組成物の製造方法は、上記(A)成分及び(B)成分を、必要に応じて、他の添加成分及び他の樹脂材料とともに、混合又は溶融混練する方法によって製造することができる。成分(B)の分散性の観点で、溶融混練する方法によって製造することが好ましい。ここで用いることができる溶融混練機としては、例えば、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー、ロールミル、単軸又は二軸等の多軸混練押出機等を挙げることができる。
【0030】
3. エチレン・α−オレフィン共重合体組成物の成形
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体組成物は、Tダイ成形、異型押出成形、圧縮成形、射出成形、インフレーション成形などの押出成形、カレンダー成形、ブロー成形、中空成形、真空成形、圧空成形等により種々の成形品、特にシート等に加工することができる。
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体組成物からなるシートは、Tダイ成形、圧縮成形、射出成形、インフレーション成形などの押出成形で製造することができる。
なお、本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体組成物からなるシートは、オルゼン曲げこわさが120kg/cm2以下が好ましく、より好ましくは20〜120kg/cm2である。オルゼン曲げこわさが120kg/cm2以下であることは、柔軟性に優れていることを示す。
ここで、オルゼン曲げこわさはJIS K7106−1995に準拠して測定する値である。
【0031】
4.エチレン・α−オレフィン共重合体組成物の用途
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体組成物は、柔軟性、変形回復性、オイルの耐ブリード性に優れるので、食品包装材、機械、電気部品の容器、文具、OA機器、家電製品、自動車部品、包装容器、チューブ、ホース、床材、フィルム、シートなどの材料として用いることができる。
【0032】
【実施例】
以下に本発明を実施例で説明する。これらの実施例及び比較例は、本発明をさらに具体的に説明するためのものであり、本発明は実施例の範囲のみに限定されるものではない。実施例及び比較例における物性の評価方法、使用したエチレン・α-オレフィン共重合体及びプロセスオイル、及び評価に用いるシートの作成方法を以下に示す。
【0033】
1.物性の評価
物性測定時に用いた試験片は特に断りのない限り、ペレット状配合物を用いて、金型温度:160℃、圧力:150kgf/cm2、冷却速度:14℃/minで作製した厚み2mmのプレスシートを用いた。
(1)オルゼン曲げこわさ:JIS K7106−1995 「片持ちばりによるプラスチックの曲げこわさ試験方法」に準拠して行った。ただし、曲げ角度目盛指針が10°のときの荷重目盛指針指示値(%)のみを採用し、JIS K7106−1995中に与えられた式に代入することにより、曲げこわさ値を決定した。
(2)硬さ:JIS K 6301−1995に記載の方法で行った。
(3)変形回復性:次に示すような方法で、引張ヒステリシスを測定することにより、求めた。
縦80mm×横10mm×厚み2mmのシート試験片を作製し、チャック間距離が25mmになるように、引張試験機のつかみ具に設置した。引張速度500mm/minでチャック間距離が50mmになるまで引っ張り、即、500mm/minで応力が0になるまで戻した。変形回復性はそのときに得られたヒステリシスカーブより求めた。ヒステリシスカーブが引っ張る前の歪み0の位置まで戻ったときを引張ヒステリシス0%とした。すなわち、該値が小さい程、変形回復性に優れるということになる。
(4)オイルのブリード試験1:組成物の縦50mm×横50mm×厚み2mmのプレスシートを作製し、そのシートをそのまま一週間放置して、シート表面を目視で確認した。
○:オイルのブリードアウトが見られない。
×:オイルのブリードアウトが見られる。
なお、プレスシート作製直後から、オイルのブリードアウトが確認される場合も「×」とし、×の場合は、良好なシートが得られなかったと判断し、物性の評価は行わなかった。
(5)オイルのブリード試験2:組成物の縦50mm×横50mm×厚み2mmのプレスシートを作製し、そのシートの中心線を二つに折り曲げたまま一週間放置した。一週間放置後の折り曲げ部位を目視で判断した。
○:オイルのブリードアウトが見られない。
×:オイルのブリードアウトが見られる。
【0034】
2.実施例、比較例で用いた成分(A)及び成分(B)
(1)成分(A)
成分(A)として、製造例1〜3に示す方法で製造したエチレン・α−オレフィン共重合体(PE−1〜PE−3)を用いた。それぞれの物性値を表1に示す。
製造例1
(1)触媒の調製
特表平7−508545号公報に記載された方法で触媒を調製した。すなわち、錯体ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ハフニウムジメチル2.0ミリモルに、トリペンタフルオロフェニルホウ素を上記錯体に対して等モル加え、トルエンで10リットルに希釈して触媒溶液を調製した。
(2)重合
内容積1.5リットルの撹拌式オートクレーブ型連続反応器を反応器内の圧力を130MPaに保ち、エチレンと1−ヘキセンとの混合物を1−ヘキセンの組成が73重量%となるように40kg/時の割合で原料ガスを連続的に供給した。また、上記触媒溶液を連続的に供給し、重合温度が127℃を維持するようにその供給量を調整した。1時間あたりのポリマー生産量は約2.1kgであった。反応終了後、MFR(2.16)が3.5g/10分、結晶化度が18.7wt%、Q値が2.0であるエチレン・1−ヘキセン共重合体(PE−1)を得た。
【0035】
製造例2
重合時の1−ヘキセンの組成を77重量%にし、重合温度を105℃に代えた以外は製造例1と同様の製法で触媒調整及び重合を行った。1時間あたりのポリマー生産量は約1.8kgであった。反応終了後、MFR(2.16)が1.0g/10分、結晶化度が4.0wt%、Q値が2.3であるエチレン・1−ヘキセン共重合体(PE−2)を得た。
【0036】
製造例3
重合時の1−ヘキセンの組成を63重量%にし、重合温度を144℃に代えた以外は製造例1と同様の製法で触媒調整及び重合を行った。1時間あたりのポリマー生産量は約2.4kgであった。反応終了後、MFR(2.16)が3.5g/10分、結晶化度が36.9wt%、Q値が2.3であるエチレン・1−ヘキセン共重合体(PE−3)を得た。
【0037】
【表1】
【0038】
(2)成分(B)
成分(B)として、表2に示すプロセスオイルを用いた。
【0039】
【表2】
【0040】
3.シートの作製方法
成分(A)を120℃に設定した各6インチ径の二本ロールにて融解させた後、それに成分(B)を加え、引き続きロール上で溶融混練した。シートは溶融混練の結果得られた組成物をプレス成形することにより得た。
【0041】
実施例1
成分(A)としてPE−1を70重量%、成分(B)としてオイル−1を30重量%を用い、シート作製方法に従って、ポリエチレン樹脂組成物を得た。得られたポリエチレン樹脂組成物の物性を測定した。その結果を表3に示す。
【0042】
実施例2
PE−1を60重量%、オイル−1を40重量%に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を得、物性を測定した。その結果を表3に示す。
【0043】
実施例3
成分(B)として、オイル−2を用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を得、物性を測定した。その結果を表3に示す。
【0044】
実施例4
成分(B)として、オイル−3を用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を得、物性を測定した。その結果を表3に示す。
【0045】
実施例5
成分(B)として、オイル−3を用いたこと以外は実施例2と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を得、物性を測定した。その結果を表3に示す。
【0046】
実施例6
成分(A)として、PE−2を用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を得、物性を測定した。その結果を表3に示す。
【0047】
比較例1
成分(A)として、PE−3を用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を得た。その結果を表3に示す。
【0048】
比較例2
PE−1を30重量%、オイル−1を70重量%に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を得た。その結果を表3に示す。
【0049】
比較例3
PE−3を90重量%、オイル−1を10重量%に変更した以外は比較例1と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を得、物性を測定した。その結果を表3に示す。
【0050】
比較例4
成分(B)として、オイル−4を用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を得た。その結果を表3に示す。
【0051】
【表3】
【0052】
表3より明らかなように、本発明のポリエチレン組成物は、柔軟性(オルゼン曲げ)及び変形回復性(引張ヒステリシス)に優れている。一方、前記式(1)の関係を満たさないエチレン・α−オレフィン共重合体を用いると成分(B)がブリードアウトしてしまい、良好なシートが得られない(比較例1)。成分(B)の量が多すぎると、ブリードアウトしてしまう(比較例2)。オイル量を減らすとブリードアウトしない良好なシートが得られるが、柔軟性が得られない(比較例3)。パラフィン系オイルの代わりに、芳香族系オイルを用いると相溶性に欠け、成分(B)のブリードアウトが見られ、好ましくない(比較例4)。
【0053】
【発明の効果】
本発明の組成物は、柔軟性を損なうことなく耐熱性を向上させたポリエチレン樹脂組成物であるため、その利用価値は極めて大きい。特に、耐熱性が必要な軟質ポリ塩化ビニルの代替材料として、食品包装材、機械、電気部品の容器、文具、OA機器、家電製品、自動車部品、包装容器、チューブ、ホース、床材、フィルム、シートなどの用途に有効に利用できる。
Claims (2)
- (A)結晶化度[D]が1〜38wt%、MFRが0.1〜100g/10分、及びQ値が4.0以下であるエチレン・α−オレフィン共重合体40〜70重量%と、(B)重量平均分子量が200〜2000、40℃での動粘度が20〜800cSt、流動点が−40〜0℃であるパラフィン系プロセスオイル30〜60重量%とを含有する組成物であって、上記[D](wt%)と、成分(B)の成分(A)と成分(B)との合計量に対する割合[w](wt%)とが式(1)の関係を満たすことを特徴とするエチレン・α−オレフィン共重合体組成物。
−1.6484[D]+10 ≦[w]≦ −1.6484[D]+90…(1)
(但し、結晶化度は広角X線測定により求めた値、MFRは、JIS K7210−1999による値、Q値はGPCにより測定した重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)をそれぞれ示す。) - 請求項1記載のエチレン・α−オレフィン共重合体組成物からなるシート。
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