JP4216359B2 - 改善されたしぼの保留性を有する型押シートの製造に使用するポリオレフィン組成物 - Google Patents

改善されたしぼの保留性を有する型押シートの製造に使用するポリオレフィン組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、(A)プロピレンポリマー材料材料及び(B)部分的に架橋した熱可塑性オレフィンエラストマー組成物を含むポリオレフィン組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び問題点】
ポリオレフィンに関する技術の進歩につれて、自動車への適用において、非オレフィン材料、例えばアクリロニトリル/ブタジエン/スチレン ターポリマー、塩化ビニル及びポリカーボネート等に代わり、ポリプロピレン材料、特に熱可塑性オレフィン材料(TPO)の使用が劇的に増加してきている。熱可塑性オレフィンは、オレフィンポリマー及びポリオレフィンエラストマーの架橋していない配合物である。新規な反応生成物であるTPOは、そのてざわりの柔らかさ、熱成形性並びに紫外光及び熱に対する耐性により、内装(interior trim )(例えば、ダッシュボード及びドアパネル)等の領域における使用が見出されている。
これらの部品の製造方法は以下に示す工程:(a)TPOシートを押出す又は圧延する工程、(b)押出又は圧延シートを型押し(オンライン又はオフラインで)し、型押し又は「しぼ付け」表面を生成する工程、(c)てざわりの柔らかさのために押出又は圧延シートを発泡体又は織物(fabric)に積層及び/又は接着する工程、(d)紫外線、引っ掻き傷及び傷(mar )に対する耐性を得るためにシートをトップコート又は塗装する工程、並びに(e)熱成形又は低圧射出成形によりシートから最終部品又はその他の物品を形成する工程を含む。
【0003】
米国特許第5,338,801号明細書には、(A)70〜90%のプロピレンポリマー材料並びに(B)30〜10%のオレフィンポリマー材料であって、(1)熱可塑性エラストマー及びオレフィンゴム組成物から構成される、部分的に架橋した熱可塑性オレフィンエラストマー組成物、(2)架橋していないエチレン−プロピレン−結合ジエン ターポリマーゴム(uncrosslinked ethylene-propylene-conjugated diene terpolymer rubber )、並びに(3)(B)(1)及び(B)(2)の混合物からなる群より選ばれるオレフィンポリマー材料を含むポリオレフィン組成物が記載されている。前記組成物は、物理的及び機械的特性を維持したまま、加工後の低い光沢を提供する。
TPOの重大な欠点は、シートを大きな部品、例えばダッシュボード等に熱成形した後に、型押しされたしぼ(embossed grain)を保持することができないことであった。TPOに典型的な低い溶融強度及び剪断減粘性(shear thinning)は、TPOを部品又その他の物品に形成したとき、型押した表面の喪失及び薄すぎる肉厚を生じる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明のポリオレフィン組成物は、重量基準で、
(A)40〜70%のプロピレンポリマー材料であって、本質的に、
(1)アイソタクチック指数が約80〜約99%のプロピレンホモポリマー10〜50%、又は、共重合体であって、(a)プロピレン及びエチレンの共重合体、(b)プロピレン、エチレン及びCH2 =CHRで示されるα−オレフィン(RはC2-8 の直鎖又は分岐したアルキル基である)の共重合体、並びに(c)プロピレン及び前記(1)(b)で定義したα−オレフィンの共重合体からなる群より選ばれ、プロピレンを85〜99%含み、アイソタクチック指数が80%より大きく98%までである共重合体10〜50%、
(2)示差走査熱量測定(DSC)による結晶化度が約20〜約60%である、半結晶質の、本質的には直鎖状の共重合体の画分であって、該共重合体が、(a)エチレン及びプロピレンの共重合体であって、50%をこえるエチレンを含む共重合体、(b)エチレン、プロピレン及び前記(1)(b)で定義したα−オレフィンの共重合体であって、1〜10%のα−オレフィン並びに50%をこえ98%までのエチレン及びα−オレフィンを含む共重合体、並びに(c)エチレン及び前記(1)(b)で定義したα−オレフィンの共重合体であって、50%をこえ98%までのα−オレフィンを含む共重合体からなる群より選ばれ、室温又は周囲温度下、キシレンに不溶である共重合体画分3〜20%、並びに、
【0005】
(3)(a)エチレン及びプロピレンの共重合体であって、20%〜40%未満のエチレンを含む共重合体、(b)エチレン、プロピレン及び前記(1)(b)で定義したα−オレフィンの共重合体であって、1〜10%のα−オレフィンが存在し、存在するエチレン並びにα−オレフィンの量が20%〜40%未満である共重合体、並びに(c)エチレン及び前記(1)(b)で定義したα−オレフィンの共重合体であって、20%〜40%未満のα−オレフィンを含み、適宜0.5〜10%のジエンを含む共重合体からなる群より選ばれ、周囲温度下、キシレンに溶解し、極限粘度数が1.7〜3.0dl/gである共重合体画分40〜80%、
から構成されるプロピレンポリマー材料であって、全オレフィンポリマー組成物を基準とした画分(2)及び(3)の画分の総重量が約65%〜80%であり、画分(2)/(3)の重量比が約0.1〜約0.3であり、画分(2)+(3)におけるエチレン若しくはC4-8 のα−オレフィン又はそれらの組み合わせの総含量が50%未満であるプロピレンポリマー材料、並びに、
【0006】
(B)30〜60%の部分的に架橋した熱可塑性オレフィンエラストマーであって、本質的に、
(1)熱可塑性エラストマーであって、本質的に、
(a)アイソタクチック指数が90をこえるプロピレンホモポリマー20〜70%、又はエチレン及び/又はC4-8 のα−オレフィンとの結晶性プロピレン共重合体であって、プロピレン含量が85%よりも大きく、アイソタクチック指数が85%よりも大きい共重合体20〜70%、
(b)無定形のエチレン−プロピレン共重合体画分又はエチレン−ブテン共重合体画分であって、適宜1〜10%のジエンを含み、室温下でキシレンに溶解し、30〜70%のエチレンを含む共重合体30〜75%、並びに、
(c)半結晶性のエチレン−プロピレン共重合体又はエチレン−ブテン共重合体であって、室温下でキシレンに不溶で、90%をこえるエチレンを含む共重合体3〜30%、
を含む熱可塑性エラストマー20〜80重量部、並びに、
【0007】
(2)エチレン/プロピレン/ジエン ターポリマーゴムであって、1〜10%のジエン及び30〜70%のエチレンを含むターポリマーゴム20〜80重量部、
から構成される部分的に架橋した熱可塑性オレフィンエラストマー組成物、
を含む。
【0008】
【発明の実施の形態】
部分的に架橋したTPOエラストマー組成物をプロピレンポリマー組成物へ添加することにより、しぼの保留性の著しい改善及び剪断減粘性の低下を示すシート材料を製造することができる。例えば自動車のドア及び計器パネル等の大きな部品はこれらのシートから形成することができる。
特別に述べない限り、本明細書において使用する全ての割合及び百分率は重量基準である。周囲温度及び室温は約25℃である。
【0009】
本発明の組成物に使用する成分(A)はプロピレンポリマー材料であって、本質的に、
(1)10〜50%、好ましくは10〜40%、特に好ましくは20〜35%のプロピレンホモポリマーであって、アイソタクチック指数が約80〜約99%、好ましくは85〜99%であるポリマー、又は(a)プロピレン及びエチレンの共重合体、(b)プロピレン、エチレン及びCH2 =CHRで示されるα−オレフィン(RはC2-8 の直鎖又は分岐したアルキル基)の共重合体、並びに(c)プロピレン及び前記(1)(b)で定義したα−オレフィンの共重合体からなる群より選ばれる共重合体であって、プロピレンを85〜99%、好ましくは90〜99%含み、アイソタクチック指数が80%より大きく98%まで、好ましくは85〜約98%である共重合体、
(2)3〜20%、好ましくは7〜15%の半結晶質の、本質的には直鎖状の共重合体画分であって、示差走査熱量測定(DSC)による結晶化度が約20〜約60%であり、(a)エチレン及びプロピレンの共重合体であって、50%をこえるエチレンを含む共重合体、(b)エチレン、プロピレン及び前記(1)(b)で定義したα−オレフィンの共重合体であって、1〜10%のα−オレフィン並びに50%をこえ98%まで、好ましくは80〜95%のエチレン及びα−オレフィンを含む共重合体、並びに(c)エチレン及び前記(1)(b)で定義したα−オレフィンの共重合体であって、50%をこえ98%まで、好ましくは80〜95%のα−オレフィンを含む共重合体からなる群より選ばれ、室温又は周囲温度下、キシレンに不溶である共重合体画分、並びに、
【0010】
(3)40〜80%、好ましくは50〜70%の共重合体画分であって、(a)エチレン及びプロピレンの共重合体であって、20%から40%未満、好ましくは20〜38%、特に好ましくは25〜38%のエチレンを含む共重合体、(b)エチレン、プロピレン及び前記(1)(b)で定義したα−オレフィンの共重合体であって、1〜10%、好ましくは1〜5%のα−オレフィンが存在し、存在するエチレン並びにα−オレフィンの量が20%〜40%未満である共重合体、並びに(c)エチレン及び前記(1)(b)で定義したα−オレフィンの共重合体であって、20%〜40%未満、好ましくは20〜38%、特に好ましくは25〜38%のα−オレフィンを含み、適宜0.5〜10%、好ましくは1〜5%のジエンを含んでいる共重合体からなる群より選ばれ、周囲温度下、キシレンに溶解し、極限粘度数が1.7〜3.0dl/gである共重合体画分、
から構成されるプロピレンポリマー材料であって、オレフィンポリマー組成物中のエチレン単位若しくはα−オレフィン単位の総量又はオレフィンポリマー組成物中にエチレン及びα−オレフィンが存在するときには、エチレン及びα−オレフィンの総量が15〜35%であり、全オレフィンポリマー組成物を基準とした画分(2)及び(3)の総量が好ましくは65%〜80%であり、画分(2)/(3)の重量比が好ましくは0.1〜約0.3であり、画分(2)+(3)中のエチレン若しくはC4-8 のα−オレフィン又はそれらの組み合わせの総量が50%未満、好ましくは20〜45%であるプロピレンポリマー材料である。
【0011】
成分(A)のプロピレンポリマー材料は、DSCによって決定され、120℃よりも高い温度に存在する、少なくとも1つの融点のピーク及びガラス転移(vitreous transition )に比例し、−10℃〜−35℃の範囲の温度に存在する少なくなくとも1つのピークを有する。更に、これらの材料は、150MPa未満、一般的には20〜100MPaの曲げ弾性率、10〜20MPaの降伏点引張強さ、400%をこえる破断点伸び、75%の伸び率における20%〜50%の残留伸び、20〜35のショアーD硬度、40%未満、好ましくは35%未満の曇り度を有し、アイゾッド衝撃試験を−50℃で行ったとき破損(脆性の衝撃破損)しない。成分(A)は、全組成物の40〜60%、好ましくは40%〜50%の量で存在する。
成分(A)は、少なくとも2段階の重合方法で製造することができ、該重合方法は、はじめにプロピレン、プロピレン及びエチレン若しくはα−オレフィン、又はプロピレン、エチレン及びα−オレフィンを重合することにより成分(A)(1)を形成する工程、続くエチレン及びプロピレン若しくはα−オレフィン、又はプロピレン、エチレン及びα−オレフィン、並びに適宜ジエンを含む混合物を重合し、成分(2)及び(3)を形成する工程からなる。
【0012】
重合は、液相、気相又は別々の反応器を用いた液相−気相において行うことができ、これらは全てバッチ又は連続的に行うことができる。例えば、希釈剤として液体プロピレンを使用した成分(A)(1)の重合、並びにプロピレンの部分的な脱気を除く中間段階なしの、気相中における成分(2)及び(3)の重合を行うことが可能である。プロピレンポリマー材料の製造は、米国特許出願5,212,246号により詳細に記載されており、記載された製造方法は参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0013】
本発明の成分(B)は部分的に架橋した熱可塑性オレフィンエラストマー組成物であって、本質的に、
(1)20〜80重量部の熱可塑性エラストマーであって、本質的に、
(a)20〜70%、好ましくは20〜50%のプロピレンホモポリマーであって、アイソタクチック指数が90、好ましくは98%をこえるホモポリマー、又はエチレン及び/又はC4-8 のα−オレフィンとの結晶性プロピレン共重合体であって、プロピレン含量が85%よりも大きく、アイソタクチック指数が85%よりも大きい共重合体、
(b)30〜75%、好ましくは30〜50%の無定形のエチレン−プロピレン共重合体画分又はエチレン−ブテン共重合体画分であって、適宜1〜10%、好ましくは1〜5%のジエンを含み、室温下でキシレンに溶解し、20〜70%のエチレンを含む共重合体、並びに、
(c)3〜30%、好ましくは5〜20%の半結晶性のエチレン−プロピレン共重合体又はエチレン−ブテン共重合体であって、室温下でキシレンに不溶で、75%、好ましくは85%をこえるエチレンを含む共重合体、
から構成される熱可塑性エラストマー組成物、並びに、
(2)20〜80重量部のエチレン/プロピレン/ジエン ターポリマーゴムであって、1〜10%のジエン及び30〜70%のエチレンを含むターポリマーゴム、
から構成される熱可塑性オレフィンエラストマー組成物である。
【0014】
本発明の組成物中、成分(B)は30〜60%、好ましくは30〜55%、特に好ましくは30〜50%の量で存在する。
本発明のポリオレフィン組成物の成分(A)及び(B)の製造において有用なC4 〜C10のα−オレフィンは、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1及びオクテン−1を含む。
ジエンが存在する場合、ジエンは、典型的にはブタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン又はエチリデンノルボルネンである。
成分(B)は、過酸化物硬化系であって、有機過酸化物並びにポリ(1,2−ブタジエン)及びフラン誘導体から選ばれる少なくとも1種の架橋剤を含む系を、成分(B)(1)(a)、(b)及び(c)並びに(B)(2)からなる混合物に添加し、得られた混合物を混練している間、硬化条件に付し、所望の動的な部分的硬化(dynamic partial cure)を達成することにより製造する。
好ましくは、成分(B)(1)(a)、(b)及び(c)は、少なくとも2つの段階からなる方法で、1つの反応器又は一連の反応器中で形成する。前記方法は、プロピレンを重合し成分(a)を形成する工程、次いで成分(a)及び第一工程において使用した触媒の存在下、エチレン及びプロピレン又はエチレン及びブテンを重合させ、成分(b)及び(c)を形成する工程からなる。重合は、液相、気相又は液相−気相中で行うことができる。代わりに、成分(a)、(b)及び(c)をそれぞれ別に製造し、溶融混練又は溶融配合により混合することができる。
【0015】
「部分的に硬化した」という用語は、シクロヘキサン中において少なくとも80%かつ94%をこえない、ゲル含量に関する硬化度を意味する。好ましくは、ゲル含量は85〜92%である。ゲル含量の百分率は、約100mlのシクロヘキサン中に3.8cm×1.91cm×0.203cm(1.5''×0.75''×0.080'')の秤量した試験片を約23℃で48時間浸漬した後、サンプルを取り出し、定量になるまで、真空乾燥器中、80℃で(約72時間)乾燥することにより測定した。「ゲル%」は以下に示す式:
ゲル%=((ゴムの初期重量−抽出したゴム重量)/サンプル中のゴムの初期重量)×100%
により計算する。
部分的に硬化した熱可塑性エラストマーの製造は、米国特許第5,196,462号により詳細に記載されており、記載された方法は参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0016】
本発明の成分(A)及び(B)の配合及び溶融配合は、開放形ロール機、密閉式ミキサー(バンバリー式又はホーク(Haake )式ミキサー)及び一軸スクリュー押出機又は二軸スクリュー押出機で行うことができる。
本発明のポリオレフィン組成物は、その他の通常の添加剤、例えば抗酸化剤、安定化剤、例えばパラフィン系及びナフテン系油等のエキステンダー油、例えばCaCO3 、タルク、酸化亜鉛等の充填剤又は難燃剤等を含むことができる。
しぼの保留性の評価は主観性の高いものである。なぜなら、この特性自身を測定する標準的な試験法が存在しないからである。最終部品の審美的な外見が、試験片の許容性(specimen acceptability)の決定における、現在の工業基準である。
【0017】
オレフィンポリマー材料の相対的なしぼの保留性を評価するために、肉眼で見た、型押シートから製造した熱形成したサンプル試料の外見を、現在の工業基準、すなわち塩化ビニル(PVC)及びPVCとアクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)の配合物の圧縮永久歪値(compression set value )と比較した。PVC及びPVC/ABS配合物は共に良好なしぼの保留性を有していた。ASTM−395、方法Bに従い、圧縮永久歪を、標準的な条件下、すなわち100℃(212゜F)で22時間圧縮した後のポリマーが維持した圧縮状態に対する百分率を測定した。例えば、100%の圧縮永久歪とは、サンプルを圧縮したとき、100%圧縮された状態のままであり、最初の寸法を回復しないサンプルを意味する。逆に言えば、0%の圧縮永久歪を有するサンプルは、最初の寸法の100%リバウンドする。圧縮永久歪値が小さければ小さい程、材料は最初の形状をより良好に維持する。PVCは80、PVC/ABS配合物は78の圧縮永久歪値を有する。種々の材料の圧縮永久歪値の測定より、圧縮永久歪値が85%以下の場合、自動車部品において許容しうるしぼの保留性を有する材料を得ることができると結論づけた。
【0018】
【実施例】
実施例1
本実験は、種々の量のプロピレンポリマー材料及び部分的に架橋した熱可塑性エラストマー組成物を共に混合したときの、圧縮永久歪値及びしぼの保留性に対する影響を示している。
各サンプルを、6.4cm(2.5'')(30:1 L/D)一軸スクリュー押出機中、得られた融解温度が232〜260℃(450〜500゜F)である232〜260℃(450〜500゜F)のバレル温度で配合し、ペレットにした。軸は混合部分(mixing section)を備えており、これにより適当な溶融配合を保証した。配合工程より得たポリマーのペレットを、24.1cm(9.5'')のシート押出ダイを備えた、3.8cm(1.5'')(30:1 L/D)一軸スクリュー押出機を用いて、0.040''のフラットシートを形成した。バレル温度は232〜274℃(450〜525゜F)であり、得られた溶融温度は260〜279℃(500〜535゜F)であった。
【0019】
各シートを、加熱したカーバープレス(heated Carver press )を使用し、18×16四方のメッシュスクリーン(mesh scrren )を用いて型押しした。上部及び下部の定盤を121℃(250゜F)に加熱した。スクリーンパターン(screen pattern)を、10トンで10秒間、シートへ埋め込んだ。
型押シートを、プラグアシスト熱成形を用いて直径7.6cm(3'')、深さ5.1cm(2'')の円筒に成形した。プラグ及びモールドを共に38℃(100゜F)に加熱した。熱成形工程の条件は、各配合物間の最高の状態での比較ができるように、各シート配合物について最適化した。しぼの保留性を、熱成形後に型押部品を肉眼で検査することにより測定した。主要な基準として型押パターンの保留及び肉厚(wall thinning )を用いて、各配合物の熱成形部品を同じ場所で比較し、最高から最低に順位をつけた。
【0020】
成分(A)は以下に示す組成:
(1)100重量部プロピレンポリマー材料であって、(a)プロピレン−エチレンランダム共重合体であって、3.3%のエチレン含量及びキシレン不溶性画分により定義されるアイソタクチック指数94を有する共重合体33%、(b)〜83%のエチレンを含む、半結晶質のエチレン−プロピレン共重合体画分8.3%及び(c)〜22%のエチレンを含む、無定形のエチレン−プロピレン共重合体画分58.7%からなるプロピレンポリマー、
(2)プロピレンポリマー材料100部あたり(pph)0.2部のTinuvin123安定化剤(Chiba−Geigy社より商業的に入手)、
(3)0.2pphの2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、
(4)0.2pphのChimassorb 119光安定化剤(Chiba−Geigy社より商業的に入手)及び、
(5)0.2pphのIrganox B−225抗酸化剤(2,2−bis[[3−[3,5−bis(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンプロパノエート及びトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィートを50/50の配合で使用)(Chiba−Geigy社より商業的に入手)
を含む組成物であった。
【0021】
成分(B)は、以下に示す組成:
(1)熱可塑性エラストマーであって、(i)35%のプロピレンホモポリマーであって、キシレン不溶性画分により定義されるアイソタクチック指数97.5を有するホモポリマー、(ii)半結晶質エチレン−プロピレン共重合体であって、室温下でキシレンに不溶性である共重合体6.9%、及び(iii)無定形のエチレン−プロピレン共重合体ゴムであって、室温下でキシレンに可溶性である共重合体ゴム58.1%から構成されるエラストマー42.6%、
(2)エチレン/プロピレン/エチリデンノルボルネン ターポリマーゴムであって、69%のエチレン及び4%のエチリデンノルボルネンを含み、かつ125℃におけるムーニー粘度が60ML(1+4)であるターポリマーゴム(Enichem社より商業的に入手)18.65%、
(3)6.4%のCaCO3
(4)1.86%のZnO、
(5)0.32%のテトラキス(メチレン(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ヒドロシンナメート)メタン、
(6)0.16%の4,4' −チオ−ビス−(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、
(7)21.31%のパラフィン油、
(8)粘土中の50%の活性なペルオキシドとして添加する、1.49%の2,5−ジメチル−2,5−t−ブチル−ペルオキシヘキサン、
(9)0.8%のStruktol TR 016(脂肪酸塩及びエステルの混合物、Struktol Companyより商業的に入手)、
(10)シリカ中の65%の活性ポリブタジエンとして添加する、5.34%ポリブタジエン、及び、
(11)1.07%のメルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、
を含む組成物であった。
【0022】
【表1】
Figure 0004216359
【0023】
前記のデータは、プロピレンポリマー材料(成分(A))が過剰に存在(>70%)すると、しぼの保留性が劣ることを示している。部分的に架橋した熱可塑性オレフィンエラストマー(成分(B))が過剰に存在(>60%)すると、しぼの保留性が不十分になる。
本明細書に開示された本発明のその他の特徴、利点及び態様は、前記の開示を読んだ後の当業者にとって容易に明らかになるだろう。このことに関して、本発明の特定の態様がかなり詳細に記載されているけれども、本明細書に記載しかつ請求した本発明の精神及び範囲から離れることなく、これらの態様を改変及び修飾することができる。

Claims (10)

  1. ポリオレフィン組成物であって、重量基準で以下に示す組成:
    (A)40〜60%のプロピレンポリマー材料であって、本質的に、
    (1)室温下でキシレン不溶性%により定義されるアイソタクチック指数が80〜99%のプロピレンホモポリマー10〜50%、又は、共重合体であって、(a)プロピレン及びエチレンの共重合体、(b)プロピレン、エチレン及びCH2=CHRで示されるα−オレフィン(RはC2-8の直鎖又は分岐したアルキル基である)の共重合体、並びに(c)プロピレン及び前記(1)(b)で定義したα−オレフィンの共重合体からなる群より選ばれ、プロピレンを85〜99%含み、室温下でキシレン不溶性%により定義されるアイソタクチック指数が80%より大きく98%までである共重合体10〜50%、
    (2)示差走査熱量測定(DSC)による結晶化度が約20〜約60%である、半結晶質の、本質的には直鎖状の共重合体の画分であって、該共重合体が、(a)エチレン及びプロピレンの共重合体であって、50%をこえるエチレンを含む共重合体、(b)エチレン、プロピレン及び前記(1)(b)で定義したα−オレフィンの共重合体であって、1〜10%のα−オレフィン並びに50%をこえ98%までのエチレン及びα−オレフィンを含む共重合体、並びに(c)エチレン及び前記(1)(b)で定義したα−オレフィンの共重合体であって、50%をこえ98%までのα−オレフィンを含む共重合体からなる群より選ばれ、室温下、キシレンに不溶である共重合体画分3〜20%、並びに、
    (3)(a)エチレン及びプロピレンの共重合体であって、20%〜40%未満のエチレンを含む共重合体、(b)エチレン、プロピレン及び前記(1)(b)で定義したα−オレフィンの共重合体であって、1〜10%のα−オレフィンが存在し、存在するエチレン並びにα−オレフィンの量が20%〜40%未満である共重合体、並びに(c)エチレン及び前記(1)(b)で定義したα−オレフィンの共重合体であって、20%〜40%未満のα−オレフィンを含む共重合体からなる群より選ばれ、室温下、キシレンに溶解し、極限粘度数が1.7〜3.0dl/gである共重合体画分40〜80%、から構成されるプロピレンポリマー材料であって、全オレフィンポリマー組成物を基準とした画分(2)及び(3)の画分の総重量が65%〜80%であり、画分(2)/(3)の重量比が0.1〜0.3であり、画分(2)+(3)におけるエチレン若しくはC4-8のα−オレフィン又はそれらの組み合わせの総含量が50%未満であるプロピレンポリマー材料、並びに、
    (B)60〜40%の部分的に架橋した熱可塑性オレフィンエラストマー組成物であって、本質的に、
    (1)熱可塑性エラストマーであって、本質的に、
    (a)室温下でキシレン不溶性%により定義されるアイソタクチック指数が90をこえるプロピレンホモポリマー20〜70%、又はエチレン及び/又はC4-8のα−オレフィンとの結晶性プロピレン共重合体であって、プロピレン含量が85%よりも大きく、室温下でキシレン不溶性%により定義されるアイソタクチック指数が85%よりも大きい共重合体20〜70%、
    (b)無定形のエチレン−プロピレン共重合体画分又はエチレン−ブテン共重合体画分であって、室温下でキシレンに溶解し、30〜70%のエチレンを含む共重合体30〜75%、並びに、
    (c)半結晶性のエチレン−プロピレン共重合体又はエチレン−ブテン共重合体であって、室温下でキシレンに不溶で、90%をこえるエチレンを含む共重合体3〜30%、を含む熱可塑性エラストマー20〜80重量部、並びに、
    (2)エチレン/プロピレン/ジエン ターポリマーゴムであって、1〜10%のジエン及び30〜70%のエチレンを含むターポリマーゴム20〜80重量部、から構成される部分的に架橋した熱可塑性オレフィンエラストマー組成物、
    を含む組成物。
  2. 成分(B)の量が50〜30%である請求項1記載の組成物。
  3. 成分(A)(1)がプロピレン/エチレン共重合体であり、成分(A)(2)がエチレン/プロピレン共重合体であり、成分(A)(3)がエチレン/プロピレン共重合体である請求項1記載の組成物。
  4. 成分(B)(1)(a)がプロピレンホモポリマーであり、(B)(1)(b)がエチレン/プロピレン共重合体であり、(B)(1)(c)がエチレン/プロピレン共重合体である請求項1記載の組成物。
  5. 請求項1記載の組成物を含む型押シート。
  6. 請求項2記載の組成物を含む型押シート。
  7. 請求項3記載の組成物を含む型押シート。
  8. 請求項4記載の組成物を含む型押シート。
  9. 共重合体(A)(3)(c)が0.5〜10%のジエンを更に含む、請求項1に記載の組成物。
  10. 無定形のエチレン−プロピレン共重合体画分又はエチレン−ブテン共重合体画分(B)(1)(b)が1〜10%のジエンを更に含む、請求項1に記載の組成物。
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