JP3819429B2 - ペニシリウム・クリソゲナム由来のフェニルアセチル−CoAリガーゼ - Google Patents

ペニシリウム・クリソゲナム由来のフェニルアセチル−CoAリガーゼ Download PDF

Info

Publication number
JP3819429B2
JP3819429B2 JP50478297A JP50478297A JP3819429B2 JP 3819429 B2 JP3819429 B2 JP 3819429B2 JP 50478297 A JP50478297 A JP 50478297A JP 50478297 A JP50478297 A JP 50478297A JP 3819429 B2 JP3819429 B2 JP 3819429B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dna
paa
enzyme
coa ligase
coa
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP50478297A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH11508450A (ja
Inventor
グレッドヒル,リンデン
グリーブズ,フィリップ・アンドリュー
グリフィン,ジョン・パトリック
Original Assignee
スミスクライン・ビーチャム・パブリック・リミテッド・カンパニー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by スミスクライン・ビーチャム・パブリック・リミテッド・カンパニー filed Critical スミスクライン・ビーチャム・パブリック・リミテッド・カンパニー
Publication of JPH11508450A publication Critical patent/JPH11508450A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3819429B2 publication Critical patent/JP3819429B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/11DNA or RNA fragments; Modified forms thereof; Non-coding nucleic acids having a biological activity
    • C12N15/52Genes encoding for enzymes or proenzymes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/93Ligases (6)
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P37/00Preparation of compounds having a 4-thia-1-azabicyclo [3.2.0] heptane ring system, e.g. penicillin
    • C12P37/02Preparation of compounds having a 4-thia-1-azabicyclo [3.2.0] heptane ring system, e.g. penicillin in presence of phenylacetic acid or phenylacetamide or their derivatives not to be used

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Plant Pathology (AREA)
  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
  • Transition And Organic Metals Composition Catalysts For Addition Polymerization (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

本発明は、ペニシリン生合成に関与する中間体からのペニシリン合成に有用な酵素に関する。本発明はまた該酵素の調製法および該酵素をコードするDNAに関する。
ペニシリンGの生化学的経路は、文献に開示されている[クイーナー(Queener)(1990)アンチマイクロバイアル・エージェンツ・アンド・ケモセラピー(Antimicrobial Agents and Chemotherapy)34(6)、943−948;マーティン(Martin)(1992)ジャーナル・オブ・インダストリアル・マイクロバイオロジー(J.Industrial Microbiol)9、73−90;ルエンゴ(Luengo)(1995)ジャーナル・オブ・アンチバイオティクス(J.Antibiotics)48(11)、1195−1212]。その経路は発酵プロセスにおける収率(力価)の増加を目的とする多くの研究の課題であった。
フェニルアセテート(PAA)およびフェノキシアセテート(POA)はリガーゼ酵素(たとえば、PAA−CoAリガーゼ)によりペニシリウム・クリソゲナムにおける対応するCoAチオエステルに活性化される。これらのチオエステルを次にPAAの場合はペニシリンG、POAの場合はペニシリンVの生合成に用いる。PAA−CoAリガーゼはしたがってこれらの市販の重要な治療用抗生物質の生合成において必須であると考えられる。
PAA−CoAリガーゼ活性を有するシュードモナス・プチダ由来の酵素は硫酸アンモニウム沈降およびDEAE−セファセルカラムからの塩化カリウム溶出を含む精製工程において単離されている[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)、267(2)、7084−7090(1990)]。酵素は分子量が48kDa+/−1kDであり、pH最適値は8.2であり、PAA異化に関与する。
ヒドロキサメート法[540nmでフェニルアセチル−ヒドロキサメートまたはフェノキシアセチル−ヒドロキサメートを検出する比色検定]によるピー・クリソゲナム由来のPAA−CoAリガーゼ活性を有する酵素を試験する試みが、コゲカーおよびデシュパンド(Kogekar & Deshpande)(1983)インダストリアル・ジャーナル・オブ・バイオケミストリー・アンド・バイオフィジックス(Ind.J.Biochem.Biophys.)20、208−212およびブランナーおよびローア(Brunner & Rohr)(1975)メソッズ・イン・エンザイモロジー(Methods Enzymol.)43、476−481]により報告されているが;他の研究者[マルチネス−ブランコ(Martinez−Blanco)ら、(1992)ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)267(8)、5474−5481]はたんぱく質は精製されなかったか、または活性は詳しく特質化されなかったという見解である。さらに、後者の著者らは報告されている手順によっては酵素を見いだせなかった。
WO96/10085(Gist Brocades、1996年4月4日公開)はペニシリン経路で作用するPAA CoAリガーゼを単離するこれらや他の試みを論評している。WO96/10085において、アシル−CoA酵素シンテターゼはパンラブズ(USA)に保持されているペニシリウム・クリソゲナムB10株から得られると記載されている。酵素に起因する特定の性質としては、以下のものがあげられる:分子量約50kDa(ゲル濾過により測定)、pH最適値 pH8ないし8.5(pH7またはそれ以下では低活性)、最適温度40℃、pI7.25以上。重要なことには、酵素は硫酸アンモニウム沈降により精製できる。これはかなり広範囲にわたる特異性を有する(すなわち、Mg2+、ATP、CoASH、およびフェノキシ酢酸、フェニル酢酸、アジピン酸またはヘキサン酸からそれぞれフェノキシアセチル−補酵素A、フェニルアセチル−補酵素A、アジピル−補酵素Aおよびヘキサノイル−補酵素Aの形成を触媒できるが、酢酸に対して著しい活性を示さない)。また、酵素は還元剤により安定化されるといわれている。高濃度の硫酸アンモニウムまたはグリセロールも酵素を安定化する。開示された方法により得られる酵素活性について純度は表示されておらず、その酵素についての配列またはN−末端配列もわからず、対応するDNAは特質化されないかまたはその配列がわからない。
このような努力にもかかわらず、ペニシリウム種においてin vivoで作用する真のPAA−CoAリガーゼ酵素についてはほとんど知られていない。原因となる酵素は一次代謝において関与すると考えられる[スミス(Smith)ら(1990)バイオテクノロジー(Biotechnology)8、39−41]。マルチネス−ブランコ(Martinez−Blanco)ら[(1992)、前掲]は1つの可能な酵素の候補である、アセチルCoAシンテターゼを選択し、アセチルCoAシンテターゼ活性に基づいてこれをピー・クリソゲナムから精製した。彼らはアセテートのCoA誘導体の形成に加えて、アセチルCoAシンテターゼはin vitroで数種の脂肪酸(C2−C8)およびいくつかの芳香族分子(PAAを含む)を活性化できることを説明することができた。
アセチルCoAシンテターゼ遺伝子は配列化されていて[国際特許WO92/07079、ゴウカ(Gouka)ら、アプライド・マイクロバイオロジー・アンド・バイオテクノロジー(Appl.Microbiol.Biotechnol.)38、514−519、マルチネス−ブランコ(Martinez−Blanco)ら(1993)ジーン(Gene)130、265−270]、真菌由来の他のアセチルCoAシンテターゼと相同性を有することが判明している。しかし、フルオロ酢酸により選択されたこの遺伝子における突然変異はペニシリン産生レベルを変更しないようであり(国際特許WO92/07079)、このことはin vivoで別の酵素が実際にPAAの活性化の原因となることを示唆する。
本発明において、PAA−CoAリガーゼ活性の直接的試験は特定の精製手順とともに開発され、これにより真のPAA−CoAリガーゼであると考えられているものの精製およびそれに続くクローニングが可能になった。本発明により単離される酵素は前記アセチルCoAシンテターゼについて異なるN−末端アミノ酸配列を有し、多くの異なる性質(たとえば、分子量)を有し、異なる酵素が現在のところこの役割について原因となるあらゆる酵素から単離されていることを意味する。本発明において単離された酵素に特徴的な性質は、基質としてCoASHについての絶対的依存性を包含し、コゲカーおよびデシュパンド(Kogekar & Deshpande)[(1983)前掲]により単離されている酵素はCoASHがない条件下で試験された。単離されたたんぱく質間のこのような、または他の違い(たとえば、最適pHおよび以下の実施例において示す他の特性)は、本発明の酵素は従来技術において記載されているいずれの酵素とも異なることを示す。本研究は純粋な形態の酵素PAA CoAリガーゼのペニシリウム種からの初めての単離であると考えられる。特に、SKI C−末端ペプチドの存在は、ペニシリン生合成における実際の役割を有するこの酵素と一致する。分子量が異なり、本発明の酵素はWO96/10085のものと違って硫酸アンモニウム沈降および塩化物塩に対して感受性であるという点で、本発明の酵素は前記のWO96/10085のものと異なっている。
したがって、本発明は、ペニシリウム・クリソゲナムから、菌糸を培養し、収穫し、音波処理し、細胞片を除去し、超音波処理物をアニオン交換クロマトグラフィー、づづいて疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーを行い、基質を溶出し、活性クロマトグラフィーフラクションをPAAおよび補酵素A依存性検定を用いて検出するゲル濾過クロマトグラフィーにより分画することにより得られるPAA−CoAリガーゼ活性を有する酵素を提供する。
酵素は好ましくは精製された形態であり、有利には実質的に純粋な形態である。本発明の酵素は見掛けの分子量が63kDa(SDS PAGEによる)である。
好ましくは、酵素はN−末端アミノ酸配列:VFLPPKESGQLDPを包含する。
特に、酵素は、図1/配列番号1のアミノ酸配列を含む。
本発明の別の態様において、ペニシリウム種を培養し、続いて抽出し、活性フラクションをPAAおよびCo−A依存性検定を用いて検出する精製を行うことによるPAA−CoAリガーゼ活性を有する酵素の調製法が提供される。特に、ペニシリウム種はピー・クリソゲナムであり、菌糸を音波処理によって処理し、続いてアニオン交換、疎水性相互作用、アフィニティーおよびゲル濾過クロマトグラフィーにより分画して、純度を約1000倍増加させる。
酵素はin vitro生物変換に、たとえば、アシル−CoA:6−APAアシルトランスフェラーゼと混合した場合のCoAエステル合成またはペニシリン合成に用いることができる。in vitro生物変換は全細胞、無細胞抽出物、透過性化細胞または微生物からの単離酵素またはこれらの固定化形態のいずれかを用いて行うことができる。
生物変換を全細胞を用いて行う場合、微生物は増殖培養、静止培養、洗浄菌糸、固定化細胞またはプロトプラストの形態である。
無細胞抽出物を用いる場合、これらは適当には剪断および/または化学的または酵素的溶解または他の破壊法、好ましくは音波処理により産生され、所望によりその後細胞片を除去してもよく、溶液中に酵素活性が残る。
酵素は適当には以下の実施例にしたがって、野生型NRRL1951を含む市販のピー・クリソゲナム株を用いて調製する。他の適当なピー・クリソゲナム株は、高ペニシリン産生株、たとえばBW1901株を包含する[EMBO J.9(3)、741−747(1990)ディー・ジェイ・スミス(D.J.Smith)ら]。
酵素は微生物を通常の方法で、特に好気性条件下で、適当な液体または半固体培地中で培養することにより調製する。培養条件は、5ないし50℃、好ましくは25ないし30℃の範囲の温度で、3ないし9の範囲のpH、好ましくは6ないし8、最も好ましくは7.2である。
酵素は単離され、精製された形態、部分的に精製された形態、不純な状態で得られたまま、破砕細胞調製物からの濾液として、粗細胞ホモジネートなどとして用いられる。最適には、たとえば出発物質または酵素の破壊を触媒するかもしれない他の酵素を除くために酵素を少なくとも精製する。
最適には、酵素はたとえば不溶性支持物質に対してポウェル(Powell)[マイクロバイアル・エンザイムズ・アンド・バイオテクノロジー(Microbial Enzymes and Biotechnology)フォガーティおよびケリー(Fogarty & Kelly)編p369−394]により議論されている方法などにより固定されている。これにより収率および処理量が増加する利点が得られる。
生物変換を全細胞を用いて行う場合、適当なインキュベーション培地は、1リットルの脱イオン水pH6.5またはpH調節を行った水系中媒質:KH2PO42g、K2HPO4 1.5g、KCl 0.2g、MgCl2・6H2O 0.2g、Na2SO4・10H2O 0.22g、グルコース1.0gを含む。
生物変換を無細胞抽出物を用いて行う場合、インキュベーション培地は適当な緩衝液を含む。基質に加えて、酵素反応混合物は1またはそれ以上の他の補助因子、たとえば金属イオンまたは安定化剤、たとえばチオールを含んでもよい。
生物変換は適当には水性培地中で行い、反応混合物を適当にはpH4ないし10、より好ましくは6ないし10、好ましくは9.0付近に維持する。pHを適当には緩衝液を用いるか、または好ましくは酸性または塩基性滴定液の添加により調節する。反応の温度は一般に5ないし50℃、好ましくは22ないし45℃、最も好ましくは30ないし37℃の範囲でなければならない。別法として、反応は有機溶媒中または有機溶媒、たとえばアセトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)の存在下で行うことができる。
反応時間は、反応物質の濃度などの因子および補助因子、温度およびpHに依存する。反応完了後、生成物を通常の方法により単離できる。初回精製は好都合にはクロマトグラフィー段階を含む。
さらに別の態様において、本発明はまた本発明のPAA−CoAリガーゼをコードするDNAを提供する。前記たんぱく質をコードする遺伝子は図2に示すDNAフラグメント内に位置する。特に、DNAは実質的に図3/配列番号 2に示すDNA配列を含む。
図2において、アガロースゲル電気泳動により行ったサイズ実験により測定されたDNAのキロ塩基対(kb)の単位でのおよその長さを示す。該図はDNA上に存在するあらゆる制限部位を示すものではないと理解される。
本発明のDNAは天然に存在する自然な状態ではなく、単離されたかまたは実質的に純粋な形態であると理解される。前記DNAが前記本発明の態様のいずれかにしたがったヌクレオチド欠失、置換、添加またはDNAからの逆位を含む標準的技術により誘導される場合に、本発明は図示した制限部位の正確な配置を有しなくてもよいDNA配列を包含すると理解される。
好ましくは、本発明のDNAはピー・クリソゲナム由来のものである。しかし、本発明はまた特にピー・クリソゲナム以外の生物を産生し、その配列は図示した制限部位の配置を有しないが、好ましくは高厳密性条件下、図2に図示したDNAまたはそのサブフラグメントとハイブリッド形成し、PAA−CoAリガーゼまたはPAA−CoAリガーゼ活性を有する酵素をコードする他の適当な生物由来のDNA配列も包含する(高厳密性条件は、たとえば実施例18において説明するようなものである)。
本発明はまた、適当な宿主生物におけるこのようなDNAを含むベクター、好ましくはPAA−CoAリガーゼを発現するための発現ベクターを提供する。このような発現ベクターの具体例は、pBK−CMV(ストラタジーンより購入)であり、本発明においてはイー・コリにおける発現用に用いる。本発明において、PAA−CoAリガーゼのcDNA挿入物(=pPEN09、図2)はイー・コリにおける発現についての好ましいベクターである。
本発明のDNAおよびこれを含有するベクターは工業的活動の多くの分野で用いられる。これはまた前記ベクターで形質転換された宿主微生物およびこれらが発現する酵素に適用される。たとえば、DNAは関連するかまたはオーバーラップするピー・クリソゲナム(NRRL1951)および同様の構造および特異性を有する酵素を産生する他の微生物上に存在する全細胞性DNA遺伝子を同定し、単離するためのハイブリダイゼーションプローブとして用いられる。
前記DNAを含有する組換えベクターは、より大量のペニシリンを合成する遺伝子修飾された微生物の産生において適当な宿主中に形質転換された場合に有用である。
適当な生物においてPAA−CoAリガーゼの活性の量を増加させることは非常に有利である。遺伝子伝達のプロセスにより組換えベクターも新規またはハイブリッド抗生物質の生成において用いることができる[たとえば、ディー・エイ・ホプウッド(D.A.Hopwood)ら、ネイチャー(Nature)、1985、314、642−644参照]。本発明のDNAによりコードされる酵素を、たとえば無細胞系において、特に適当な固体支持体上に固定した場合に、公知の抗生物質を天然の前躯体から、または新規抗生物質を「不自然な」前駆体からたとえば化学合成により調製するのに用いてもよい。
本発明のDNAまたはそのフラグメント(必ずしも完全遺伝子を保持していなくてもよい)を、組換えDNA技術または自然の組換えプロセスのいずれかにより、ハイブリッド酵素の合成を行い得るハイブリッド遺伝子を産生する生合成に関与する遺伝子のフラグメントと合する。このような酵素を前記プロセスに類似のプロセスによる新規抗生物質の産生において用いてもよい。
本発明のDNAはまた部位指定突然変異法[前記のものと類似の方法で、たとえばジー・ウィンター(G.Winter)ら、ネイチャー(Nature)、1982、299、756−758;またはゾラー(Zoller)およびスミス(Smith)、ニュークレイック・アシッズ・リサーチ(Nucleic Acids Research)、1982、10、6487−6500]の公知の技術により修飾して特定の突然変異および/または欠失を受けたDNAを得る。突然変異DNAを用いて適当な宿主微生物からのペニシリンの収率(または力価)を増加させることができる。
突然変異DNAはまた遺伝子伝達により新規またはハイブリッド抗生物質を得るために用いることができ、また前記のと類似のプロセスにより新規抗生物質を産生するのに用いられる突然変異酵素(ムテイン)の産生に用いることもできる。突然変異DNAはまた適当な生物の他の発酵性、たとえばPAA耐性、修飾基質を変更するのにも用いられる。
以下の実施例で本発明を説明する。
実施例1 ピー・クリソゲナム発酵
ペニシリン・クリソゲナム(スミスクライン・ビーチャムBW1901株)の胞子を、100ml震盪フラスコ中15mlのPVS培地(35g/lコーンスティープリカー、15g/lグルコース、5g/lCaCO3、8ml/lナタネ油、NaOHでpH5.9に調節)に接種した。培養物を48時間26℃で軌道震盪(230rpm)しながら増殖させてから、全ブロスのうち1mlを採取し、100mlの震盪フラスコ中10mlのC5培地(35g/lコーンスティープリカー、85g/lラクトース、10g/lCaCO3、10g/lNaH2PO4、8g/l(NH42SO4、4g/l MgSO4・7H2O、4g/l Na2SO4,6ml/lナタネ油、6g/lフェノキシ酢酸、NaOHでpH6.0に調節)に移した。この培養物を次に55時間26℃で軌道震盪(230rpm)しながら増殖させてから菌糸を収穫した。
実施例2 PAA−CoAリガーゼの検定、精製およびウェスタンブロッティングに関するピー・クリソゲナムからのたんぱく質抽出物の調製
実施例1に記載したようにして培養した55h C5震盪フラスコから得た菌糸を、ガラスマイクロファイバーフィルター(ワットマンGF/A)を通して濾過することにより収穫した。菌糸塊を300mlの0.9%(w/v)塩化ナトリウム(4℃)で洗浄し、フィルターからかき取り、10mlリガーゼ検定緩衝液(50% グリセロール中30mM Tris−HClpH9.0、1mMジチオトレイトール、100μg/ml PefablocTM)中に添加した。菌糸を次に氷上で音波処理し[ウルトラソニックW−385型音波処理器(電力設定5、サイクル速度5秒、50%反復使用)を用いて、3×15バースト]、次に菌糸片を遠心分離(18000×g、4℃、30分)によりペレット化した。上清を貯蔵用にマイナス70℃で凍結するか、またはPAA−CoAリガーゼ検定、精製またはウェスタンブロッティングに直ちに用いた(実施例7)。
実施例3 PAA−CoAリガーゼについてのin vitro検定
抽出物またはカラムフラクション中のPAA−CoAリガーゼの存在を証明するために、20μlをプラスチック製エッペンドルフ試験管中0.1Mフェニル酢酸の50mM Tris−HCl pH7.5(20μl)中溶液、0.1M ATPナトリウム(10μl)、0.2M塩化マグネシウム(10μl)、0.02M補酵素Aナトリウム(10μl)および0.015Mジチオトレイトール(10μl)と混合した。試験管を渦巻き状に攪拌し(5秒)、30℃の水浴中に15分間入れた。メタノール(100μl)を混合物に添加し、試験管を遠心分離(14K、1分)して、たんぱく質を沈殿させた。上清フラクションをHPLCによりPAA−CoAの存在について分析した(実施例4)。試験の各セット中、ピー・クリソゲナム震盪フラスコ発酵(実施例1)から調製した抽出物をPAA−CoA標準とともに正の対照として分析した。
実施例4 検定上清のHPLC分析
PAA−CoAリガーゼ検定(実施例3)から得た上清サンプルをウォーターズLCM1HPLCシステムを用いてPAA−CoAの存在に関して分析した。サンプル(100μl)をラジアルパックC18圧縮カラムに室温で2.5ml/分の流速で、0.2Mリン酸ナトリウムpH5.4(緩衝液A)の移動相を用いて一定組成で0ないし4分注入した。この後、0.16Mリン酸ナトリウムを含有する100%緩衝液BpH5.4の40%アセトニトリル中直線勾配で溶出した(4ないし10分)。緩衝液Bをさらに2分間100%に維持し、次に系を次回注入の準備のために100%Aに戻すために直線勾配を用いて再平衡化した(12ないし13分)。ピークを260nmで検出し、PAA−CoAの保持時間は12分であった。陽性サンプルはPAA−CoA標準とともに同時溶出されるピークを有するもので、フォトダイオードアレースペクトロメーターにより測定すると標準と同じUV吸収スペクトルを示した。
実施例5 PAA−CoAリガーゼの精製
酵素活性は非常に不安定であることが判明しているので注意を要した。硫酸アンモニウムを用いて酵素を沈殿させる試みは、得られた物質中に活性が見られなかったので失敗であった。このことはそれ自体WO96/10085(Gist−Brocades)に記載されているものと本発明の酵素を区別するものとなる。特記しないかぎり、以下の手順を4℃で30mM Tris−HCl、4mM DTT、4mM EDTA、5mM MgCl2および20%グリセロール(v/v)を含有する緩衝液pH9.0を用いて行った。分離はファーマシアハイロードシステムTMを用いて行った。実施例1と同様にして調製した無細胞抽出物(500ml)をゆっくり4℃で解凍した。抽出物を次に5M NaOHを用いて氷上で撹拌しながらpH9.0に調節した。この攪拌抽出物に、あらかじめ3lの水、続いて1lの緩衝液Cで洗浄した275gのQ−セファロースファーストフロー(ファーマシア製品)イオン交換媒体を添加した。この混合物を1.5時間氷上で攪拌した。スラリーを減圧下でさらにガラス焼結物上50gの洗浄したQ−セファロース樹脂を通して濾過した。樹脂を次にさらに100mlの緩衝液Cで洗浄し、乾燥させて、PAA−CoAリガーゼを含有する600mlの透明抽出物を得た。硫酸アンモニウム(92.4g、すなわち準沈降レベル)を添加し、溶液を氷上で1時間攪拌し、続いて濾過した(0.45μmフィルター、ミリポア、HA型)。
PAA−CoAリガーゼ抽出物(700ml)を1ml/分であらかじめ1lの緩衝液D(緩衝液Cについて140g/lの硫酸アンモニウムを含む)で準備したフェニルーセファロース6ファーストフロー低置換カラム(ファーマシア製品、12cm×2.6cm直径)にかけた。カラムを次に230mlの緩衝液Dで0.8ml/分で洗浄し、100%緩衝液Dから100%緩衝液Cへの直線勾配で238mlを0.8ml/分で溶出した。5.5mlのフラクションを集め、実施例3に記載したようにしてPAA−CoAリガーゼ活性について試験した。活性フラクション、41ないし49をプールすると50mlになり、これを0.5ml/分であらかじめ50mlの緩衝液Cで洗浄した5mlハイトラプTMブルーアフィニティーカラム(ファーマシア製品)にかけた。カラムを15mlの緩衝液Cで洗浄し、100%緩衝液Cから100%緩衝液Eへの直線勾配を用いて25mlについて0.5ml/分で溶出した。緩衝液Eは緩衝液Cについてフェニル酢酸を添加して、最終濃度を0.5Mとし、これを固体NaOHを用いてpH9.0に再調節したものである。天然の基質を用いたアフィニティーカラムからの溶出を用いて精製選択性を増加させ、得られたフラクション中の酵素活性を測定できるようにする。NaCl溶出は、この塩が酵素活性を抑制したので失敗であった。対照的に、WO96/10085に記載されている酵素はKCl中に溶出された場合に安定であるようであった。
活性フラクション21、22および23をプールすると6mlになり、これをあらかじめ緩衝液F(緩衝液Cについて、5M HClでpH7.5に調節)中で平衡化したセファクリルS−200高性能寸法排除カラム(ファーマシア製品、64cm×2.6cm直径)で0.25ml/分で分離した。活性フラクション54ないし65をプールすると11mlになり、これを遠心限外濾過(セントリコン、10000MWカットオフ、アミコン製品)により60μlに濃縮した。SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動による寸法排除カラムからのフラクションの分析(実施例6)から、63kDaのたんぱく質の強度がPAA−CoAリガーゼ活性と相関することが明らかになった。ウェスタンブロッティング(実施例6)を精製を完了させ、PAA−CoAリガーゼのN−末端アミノ酸配列決定を可能にするために用いた。
実施例6 PAA−CoAリガーゼたんぱく質のウェスタンブロッティング
N−末端アミノ酸配列化用物質を得るために、精製たんぱく質(60μl、実施例5)を0.5M Tris−HClpH6.8(10ml)、ドデシル硫酸ナトリウム(2g、超純粋)、2−メルカプトエタノール(1ml)、グリセロール(10ml)、蒸留脱イオン水(7ml)および0.1%ブロモクロロフェノールブルー(2ml)を含有する等容積のSDS−PAGEサンプル緩衝液と混合した。この混合物を10分間沸騰させ、室温に冷却した。アリコート(5、15および20μl)を製造業者の手順を用いて調製したバイオ−ラドミニプロティーンII電気泳動セルに注入した10%ポリアクリルアミドゲル(4%スタッキングゲル)にかけた。電気泳動を、0.025M Tris、0.192Mグリシンおよび0.1%w/vドデシル硫酸ナトリウム(超純粋)を含有する電極緩衝液中で200Vで45分間行い、その後ポリアクリルアミドゲルをエレクトロブロッティング緩衝液(10mM3−[シクロヘキシルアミノ]−1−プロパンスルホン酸、pH11、10%メタノール中)に5分間添加した。ポリアクリルアミドゲル中のたんぱく質をアプライド・バイオシステムズの方法にしたがってバイオ−ラド・ミニトランス−ブロット電気泳動移動セルを用いてアプライド・バイオシステムズ・プロブロットTM固定化膜に移した。ブロッティング完了時に、膜をアプライド・バイオシステムズ法の染色法を用いてクーマシーブルーR−250で染色した。63kDaでのたんぱく質バンドを膜から切り取り、この物質をN−末端アミノ酸配列決定に用いた(実施例7)。
実施例7 N−末端アミノ酸配列化
N−末端アミノ酸配列を、アプライド・バイオシステムズ(ABI)477Aパルスト・リキッド・シーケンサーを用いてブロットしたたんぱく質(実施例6)から得た。配列を標準的エドマン化学を用いて得、ABI120Åナロウボアクロマトグラフィーを用いて放出されたPTH−標識アミノ酸を同定した。精製PAA−CoAリガーゼたんぱく質の分析の結果、以下の配列を得た:V−F−L−P−P−K−E−S−G−Q−L−D−P
実施例8 PAA−CoAリガーゼN−末端ペプチドの合成
63kDaPAA−CoAリガーゼたんぱく質から決定されたN−末端アミノ酸配列(実施例7)をペプチドの合成に用いた。これはペプタイド・アンド・プロテイン・リサーチ・コンサルタンツ(Washington Singer Laboratories,University of Exeter,Perry Road,Exeter,Devon EX4 4QG,UK)により50mgのフリーなペプチドとして合成された。12mgをSMCC(スクシニミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート)を用いてマレイミド活性化BSA(牛血清アルブミン)と接合させ、2.5mgをMBS(m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)を用いてマレイミド活性化OVA(卵白アルブミン)と接合させた。
実施例9 63kDaPAA−CoAリガーゼたんぱく質のN−末端由来のペプチドに対するポリクローナル抗体の産生
BSAと接合したペプチド(実施例8)を63kDaPAA−CoAリガーゼたんぱく質に対して特異的なウサギポリクローナル抗体の産生に用いた。ペプチド−BSA接合体(375μg/ml)を濾過滅菌し(0.2μmフィルター)、1mlの滅菌溶液を2mlの非潰瘍性フロインド完全アジュバント(ブライアン・モリス・インターナショナル製品、Guildford UK)とよく混合した。合計0.8mlのこの混合物(100μgのペプチド−BSA接合体)をニュージーランドシロウサギ(約10週齢)に4つの異なる注射部位で皮下投与した。さらに、初回免疫の28および58日後に、非潰瘍性フロインド不完全アジュバントを用いる以外は前記のようにして免疫を施した。試験血サンプルを初回免疫の42および72日後に辺縁耳静脈より採取して、抗体価および特異性を酵素結合抗体免疫吸着検定(実施例10)を用いて評価した。
実施例10 抗体価および63kDaPAA−CoAリガーゼに対する特異性を確認するための酵素結合抗体免疫吸着検定(ELISA)
抗体価の測定
96ウェル平底マイクロタイタープレート(Nunc MaxiSorpTM)をリン酸緩衝塩溶液pH7.2(8g/l塩化ナトリウム、0.2g/l塩化カリウム、1.44g/lオルトリン酸二水素ナトリウム、0.24g/lオルトリン酸二水素カリウム、pH7.2)中PAA−CoAリガーゼペプチド−OVA接合体(200μl/ウェル、0−10μg/ml)でコートした。コートしたマイクロタイタープレートを4℃で約18時間インキュベートし、その後、プレートをダイナテクMRWプレートウォッシャーを用いて洗浄緩衝液(10mM Tris、0.15M塩化ナトリウム、0.02%アジ化ナトリウム、0.05%Tween20 pH7.2)で4回洗浄した。この洗浄法を特記しないかぎり手順の残り全部にわたって用いた。ブロッキング緩衝液(1.56g/lオルトリン酸二水素ナトリウム、8.8g/l塩化ナトリウム、0.2g/lフィコール400、0.2g/lポリビニル−ピロリドン、シグマより入手した0.5%ウシガンマグロブリン、pH7.4、200μl/ウェル)をプレートに添加し、37℃でダイナテク・バリシェーカー・インキュベーターで1時間インキュベートした。その後のすべての37℃でのインキュベーションを、この方法を用いて行った。プレートを4回洗浄し、検定緩衝液(50mM Tris、150mM塩化ナトリウム、1mM塩化マグネシウム、0.5%BSA、0.25%牛ガンマグロブリン、0.02アジ化ナトリウム、pH7.4)中に希釈したウサギポリクローナル抗体(100μl/ウェル、0−1:500000希釈)をプレートに添加し、37℃でインキュベートした。プレートを洗浄後、アマーシャムより入手した抗ウサギIgGビオチニル化抗体(100μl/ウェル、1:5000検定緩衝液中希釈)をプレートに添加し、37℃でインキュベートした。プレートを洗浄し、アマーシャムより入手したストレプタビジンアルカリホスファターゼ接合体(100μl/ウェル、検定緩衝液中1:2000希釈)をプレートに添加し、37℃でインキュベートした。プレートを洗浄後、0.1Mグリシン緩衝液(7.51g/lグリシン、203mg/l塩化マグネシウム、136mg/l塩化亜鉛、pH10.4)中に溶解したp−ニトロフェニルホスフェート(シグマ製品、1mg/ml)をプレートに添加し(100μl/ウェル)、37℃で30分間インキュベートした。水酸化ナトリウム(2M、50μl/ウェル)を次にプレートに添加し、各ウェルの吸光度を405nmでアントス・ラブテック・プレート・リーダーを用いて測定した。1:500000と1:1000000の間の抗体価が得られた。
抗体特異性の測定
ウサギポリクローナル抗体が未接合PAA−CoAリガーゼペプチドと反応することを証明するために、ウサギポリクローナル抗体を用いるインキュベーション段階に修飾を加えて前記のようにしてELISAを行った。抗体を検定緩衝液中1:100000−1:400000に希釈し、50μlの希釈した抗体を、2−メルカプトエタノール(0.01%、v/v)を含有する検定緩衝液中に調製した50μlの未接合ペプチド(0−20μg/ml)を入れたウェルに添加した。OVA−ペプチド接合体と抗体反応性の50%抑制は未接合ペプチド濃度が約2μg/mlで達成された。
実施例11 ペニシリウム・クリソゲナム、イー・コリおよび精製たんぱく質サンプル由来の抽出物におけるウェスタンブロットによるPAA−CoAリガーゼに対する抗体特異性の測定
ペニシリウム・クリソゲナム震盪フラスコ培養(BW1901およびBW1900A−ランダム突然変異プログラム由来の株)、イー・コリJM109から調製した抽出物および精製PAA−CoAリガーゼたんぱく質のサンプルを、膜をクーマシーブルーで染色しない以外は実施例6に記載したようにウェスタンブロットに付した。ブロットした膜をブロッキング緩衝液(1.56g/lオルトリン酸二水素ナトリウム、8.8g/l塩化ナトリウム、0.2g/lフィコール400、0.2g/lポリビニルピロリドン、0.5%ウシガンマグロブリン、pH7.4)に添加し、約18時間4℃でインキュベートした。膜を次に実施例9に記載したようにして調製し、あらかじめ試験緩衝液(50mM Tris、150mM塩化ナトリウム、1mM塩化マグネシウム、0.5% BSA、0.25%ウシガンマグロブリン、pH7.4)中に1:100に希釈したウサギポリクローナル抗体とともにインキュベーション(室温、60分)する前に4回洗浄緩衝液(10mM Tris、0.15M塩化ナトリウム、0.05%Tween20、pH7.2)で洗浄した。さらに4回洗浄緩衝液中で洗浄した後、膜をロバ抗ウサギIgGホースラディッシュペルオキシダーゼ接合体とともにインキュベートし(バイオ−ラド製品、検定緩衝液中1:2000、60分、室温)、続いてさらに4回洗浄緩衝液中で洗浄した。膜を次にペルオキシダーゼ基質(バイオ−ラドホースラディッシュペルオキシダーゼ接合体基質キット)とともに10分間室温でインキュベートした後、ブロットを蒸留脱イオン水中で洗浄することにより反応を停止させた。陽性PAA−CoAリガーゼたんぱく質サンプルは約63kDaにバンドを有するもので、これは精製PAA−CoAリガーゼバンドとともに移動した。イー・コリJM109たんぱく質抽出物においては63kDaで正のバンドは検出されなかった。
実施例12 ペニシリウム・クリソゲナムcDNAバンクの構築
ペニシリウム・クリソゲナムのcDNAバンク(スミスクライン・ビーチャムBW1901株)はストラタジーンのZAPエクスプレスTMcDNA合成キットの使用説明書にしたがって構築した。RNAをBW1901株から以下のようにして単離した。2つのワットマンGF/A9.0cmガラスマイクロファイバーフィルターを通して濾過することにより菌糸を収穫する前に実施例1に記載したようにしてBW1901株を40時間増殖させた。菌糸を蒸留水で処理した100mlのDEPC(ピロ炭酸ジエチル)処理蒸留水で洗浄した。菌糸を次にDEPC処理乳鉢および乳棒を用いて液体窒素中で粉砕した。凍結粉末化菌糸を10mlの溶液G(4Mチオシアン酸グアニジニウム、50mM Tris・HCl、pH7.5、25mM EDTA)を入れた50mlの遠心管に移した。粉末を溶液G中に再懸濁し、氷上で15分間放置した。菌糸片を17500×gで4℃で20分間ペレット化した。上清を別の50ml遠心管中に集め、RNAをチョモチンスキー(Chomoczynski)およびサッチ(Sacchi)[(1987)アナリティカル・バイオケミストリー(Analytical Biochemistry)、156−159]の様にして抽出した。全RNAから、polyA+RNAを、CPラボラトリーズ・ミニ−オリゴ(dT)セルローススピンカラムキットを製造業者の指示通りに用いることより単離した。polyA+RNAをサムブルック(Sambrook)ら(1989)モレキュラ・クローニング゛、ア・ラボラトリー・マニュアル(Molecular Cloning,A Laboratory Manual)(第2版)の通りにしてゲル電気泳動により分析した。polyA+RNAのアリコート(5μg)をとり、ストラタジーンのZAPエクスプレスTMcDNA合成プロトコルにしたがってEcoRI制限部位によりcDNAの5’末端で、XhoI制限部位により3末端で並べられた二本鎖cDNAを合成するのに用いた。このように合成したcDNAを次に製造業者の指示にしたがってcDNA合成キットを備えたストラタジーンセファクリルS−400スピンカラムを通すことにより寸法分画した。寸法分画されたcDNAをストラタジーンインストラクションマニュアルのようにλZAPエクスプレスのXhoIおよびEcoRIアーム中に結紮した。結紮されたλDNAを次にストラタジーンギガパックIIゴールドパッケージングキットを製造業者の方法通りに用いることによりパッケージした。得られたcDNAファージをプレーティングアウトし、8時間インキュベートすることにより増幅した。250000以上の独立クローンが得られ、ファージをNuncプレートあたり20mlのSM培地(0.1M NaCl、0.01M MgSO4、0.05M Tris−HCl pH7.5、0.01%ゼラチン)中に溶出させ、分割し、サムブルック(Sambrook)ら[(1989)前掲]の通りに貯蔵した。
実施例13 cDNAバンクのイムノスクリーニング
実施例12からのλZAPエクスプレスcDNAを実施例9のようにして調製した抗体を用いて63kDaPAA−CoAリガーゼたんぱく質を発現したクローンについてスクリーンした。cDNAバンクをサムブルック(Sambrook)ら[(1989)前出]の通りにスクリーンした。λZAPエクスプレスバンクを適当な希釈度でイー・コリXL1ブルーMRF’株に感染させた。感染したバクテリアを4時間、10mM MgSO4、0.2%マルトースおよび5mM IPTG(cDNA挿入物の発現を誘発するため)を含有するルリアアガロース上で37℃で増殖させ、その後ニトロセルロース(ハイボンド−Cスーパー、アマーシャム製品)上に積層し、一夜37℃でインキュベートした。フィルターを1/1000希釈度で一次ウサギ抗体(実施例9)を用いてイムノスクリーンし、二次抗体、ヤギ抗ウサギIgGアルカリホスファターゼ接合抗体(シグマ製品A−8025)を1/2000の希釈度で用いた。陽性クローンの局在化を、シグマ(製品B−5655)より購入し、製造業者の指示にしたがって使用したBCIP/NBT錠剤(5ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェート/ニトロブルーテトラゾリウム)を用いて行った。24個の陽性クローンを同定し、コア化し、SM緩衝液(5.8g/l NaCl、2g/l MgSO4・7H2O、50mM Tris−HCl、pH7.5,0.01%ゼラチン)中に再懸濁し、より低いプラーク濃度で陽性シグナルが単一のプラークとして同定されるまで再スクリーンした。
実施例14 陽性クローンのサブクローニング
イムノスクリーン(実施例13)から同定した陽性λZAPエクスプレスcDNAクローンをExAssistヘルパーファージおよびストラタジーンにより提供された切除法を用いてプラスミドpBKCMV誘導体として切除した。プラスミドクローンを次に成長させ(カナマイシン選択)、サムブルック(Sambrook)ら[(1989)前掲]の通りに「ミニプレップ(mini-prepped)」した。得られたプラスミドをクローンのcDNA挿入物の大きさを特質化するためにXbaI/SstI二重消化により分析した。cDNA挿入物の大きさは700bpないし2.8kbの範囲であり、最大のグループ(12グループ)は2.0kbの大きさの挿入を有した。プラスミドをSau3A(4塩基対カッター)で消化して、類似の制限パターンに基づいてクローンのグループ分けを確認した。このようにして、共通の制限消化パターンに基づいてクローンを6グループに分けた。各グループからの代表的クローンをウェスタン分析により63kDaPAA−CoAリガーゼたんぱく質の産生について、また酵素活性について試験した。
実施例15 ウェスタンブロッティングを用いた陽性cDNAクローンの証明
ルリアブロス+カナマイシン(50μg/ml)、IPTG(5mM)中で25℃で増殖させたイー・コリクローンの一夜培養物を採取し、等容積のSDS−PAGEサンプル緩衝液を添加し、続いて沸騰させ、実施例6のように電気泳動させることにより代表的切除イムノスクリーン陽性クローンからのたんぱく質抽出物を調製した。たんぱく質を次にウェスタンブロットに付して63kDaPAA−CoAリガーゼたんぱく質の存在を確認した(実施例11)。抗ウサギIgGアルカリホスファターゼ接合体を用い(試験緩衝液中1:2000の希釈度)、ホスファターゼ基質が錠剤形態のBCIP/NBT(シグマ製品)であり、製造業者の指示にしたがって使用する以外は膜の免疫染色を実施例11のように行った。クローンの1グループ(cDNA挿入物の大きさが2.0kb)は63kDaたんぱく質を有することが確認された(BW1901対照と同時移動した)。
実施例16 リガーゼ活性についてのイー・コリクローンの試験
イー・コリ細胞(実施例15のようにして増殖)を含有するブロスを冷蔵したデンレイ遠心機中、4000×g、4℃で7分間遠心分離して細胞をペレット化した。上清を捨て、細胞を元のブロス体積の半分でリガーゼ検定緩衝液(実施例2)中に再懸濁した。細胞を氷上で冷却した後、音波処理して細胞を破砕した。音波処理の条件は、アポロ・エレクトロニクス・ソニケーターで出力5、50%反復使用、氷上で7分かけて30バーストであった。抽出物は直ちに使用するか、あるいは使用するまで−80℃で貯蔵した。pAA−CoAリガーゼ活性を40μlの抽出物を用い、反応混合物を60分間30℃でインキュベートする以外は実施例3に記載した検定法を用いて証明した。検定上清中のPAA−CoAの存在を実施例4に記載したHPLCを用い、スペクトル分析用ウォーターズ996フォトダイオードアレーディテクターを加えて証明した。PAA−CoAリガーゼ活性をクローン6.6(cDNA挿入の大きさが2.0kbであるグループの代表)において検出し、産生されたPAA−CoAをPAA−CoA標準に対するダイオードアレー分析により確認した。
実施例17 PAA−CoAリガーゼクローンの5’DNAの配列
クローン6.6(=pPEN109)を「マキシ−プレップ(maxi-prepped)」し、サムブルック(Sambrook)ら[(1989)前掲]の通りにCsCl勾配によりDNAを精製した。pPEN09の制限地図を一重および二重酵素消化を行うことにより調製した(図2)。このクローンをCruachemより、購入したプライマー(5’−ACAGGAAACAGCTATGACCTTG−3’)を用い、ファーマシアのT7シーケンシングキットを用いて添付の製造業者の使用説明書にしたがって配列化した。以下に示したcDNA挿入物の5’末端の配列は、cDNAのN−末端での翻訳されたアミノ酸配列がすでに得られたペプチド配列(実施例6)と出発メチオニン(ペプチド配列には存在しない)以外は対応することを示す。
Figure 0003819429
pPEN09の残りを7−デアザdGTPを含有する標準的ジデオキシヌクレオチド終止反応を用いて配列決定した。[35S]dATPを標識として用いた。配列化反応を8M尿素を含有する6%ポリアクリルアミドウェッジゲル上で分析した[ザンガー(Sanger)ら(1977)PNAS74、5463−5467;チェン(Chen)およびシーバーグ(Seeburg)(1985)DNA4、165−170]。T7およびT3の両末端からExoIIIおよびS1ヌクレアーゼを用いて繰り込み欠失を生じさせた[ヘニコフ(Henikoff)(1984)ジーン(Gene)24、351−359]。欠失クローンをアガロースゲル上電気泳動によりDNA配列化について寸法選択した。選択されたクローンはpPEN09として配列化される。内部配列化プライマーを必要に応じて合成した。cDNA挿入物の完全配列を図3に示す。翻訳されたたんぱく質配列を図1に示す。
PAA−CoAリガーゼたんぱく質の推定アミノ酸配列のナショナル・バイオメディカル・リサーチ・ファンデーション・プロテイン・シーケンス・データベース(NBRF−PIR)およびSWISS−PROTプロテイン・シーケンス・データ・バンク(SWISS−PROT)DNASTARソフトウェアとの比較から、ジャガイモからの4−クマレート−CoAリガーゼとよく一致した。DNASTARメガラインプログラム(クラスター法)を用いてPAA−CoAリガーゼたんぱく質およびジャガイモ4−クマレート−CoAリガーゼを整列させた。配列間距離の分析から2つのたんぱく質間のアミノ酸の25%類似性が明らかになった。真菌(ペニシリウム、アスペルギルス、ニューロスポラおよび酵母)由来のアセチルCoAシンテターゼとの同様の比較では15%の類似性しか見られなかった。
PAA−CoAリガーゼたんぱく質の最後の3つのアミノ酸はセリン−リシン−イソロイシンである。このアミノ酸配列はC−末端微小体攻撃シグナル(CMTS)に関するコンセンサスに適合し、同じアミノ酸はハンセヌラ多形性カタラーゼたんぱく質の攻撃に必須であると考えられる[ディディオン(Didion)およびロッゲンカンプ(Roggenkamp)(1992)FEBSレターズ(FEBS Lett.)303(2−3)、113−116]。SKI C−末端トリペプチドはまたニューロスポラ・クラッサにおける微小体に対してたんぱく質を攻撃することができる[デゾイサ(de Zoysa)およびコンナートン(Connerton)カレント.ジェネティクス(Curr.Genet.)26、430−437]。ACTFたんぱく質により行ったペニシリン生合成の最終工程[PAA−CoA(PAA−CoAリガーゼの生成物)を使用]はピー・クリソゲナム中の微小体に局在化している[ミュラー(Muller)ら(1991)EMBO J.10(2)489−495]。ACTFたんぱく質もまた、微小体の攻撃に必要なCMTSを有する(EP0488180A2)。PAA−CoAリガーゼたんぱく質がCMTSを有するということは、ペニシリン生合成における役割と一致している。
実施例18 PAA−CoAリガーゼcDNAプローブとのゲノムDNAのハイブリダイゼーション
ペニシリウム・クリソゲナム野生型NRRL1951、BW1900A、BW1901を含む多くの株由来のゲノムDNAを以下のようにして単離した。株を実施例1のように成長させ、40時間後にワットマンGF/Aガラスマイクロファイバーフィルターを通した濾過により収穫した。液体窒素中で凍結させる前に菌糸を0.9M NaClですすいだ。菌糸を液体窒素中で粉砕して微粉末にし、粉末を溶液G(実施例12)中に再懸濁して氷上に15分間放置した。菌糸片を17500×g、4℃で20分間ペレット化した。上清を別の50ml遠心管中に集め、DNAをフェノール/クロロホルムpH8.0で抽出し、クロロホルムで抽出し、サムブルック(Sambrook)ら[(1987)前掲]のようにエタノール沈降させた。核酸を10M Tris・HCl pH8.0、1mM EDTA中に再懸濁し、RNAをサムブルック(Sambrook)ら[(1989)前掲]のとおりにRNアーゼ処理により除去した。ゲノムDNAをBamHIで消化し、消化物を電気泳動させ、サムブルック(Sambrook)ら[(1989)前掲]のようにハイボンドN膜(アマーシャム製品)上にブロットした。膜を以下のようにしてpPEN09由来のcDNA挿入物とハイブリッド形成させた:膜を6×SSC、1%SDS、6%PEG6000、100μg/ml変性フラグメント化ニシン精子DNA中60℃で6時間予備ハイブリッド形成させた。この後、標識した、変性cDNAフラグメント(アマーシャム・メガプライムキットおよび32P−dCTPを製造業者の指示通りに用いる)をハイブリダイゼーション溶液に添加し、ハイブリダイゼーションを60℃で一夜続けた。膜を65℃で2×SSC 0.1%SDS中で30分間(2回)洗浄した。膜をサムブルック(Sambrook)ら[(1989)前掲]のようにオートラジオグラフにかけた。結果は、cDNAプローブとハイブリッド形成したすべてのペニシリウム株(野生型NRRL1951を含む)から1つの共通な8kb BamHIフラグメントが見いだされた。
実施例19 λEMBL3バンクの構築
白金耳1杯分の胞子を50mlのACM培地(20g/l麦芽エキス、1g/lバクトペプトン、20g/lグルコース)中に接種し、震盪しながら25℃でインキュベートすることにより、ピー・クリソゲナムスミスクライン・ビーチャムBW1900A株の震盪フラスコ培養物を調製した。40時間増殖後、ワットマンGF/Aガラスマイクロファイバーフィルターを通した濾過により菌糸を収穫し、0.9M NaCl中ですすいだ。菌糸を次に10mg/mlノボザイム(ノボ・バイオラブズ、ノボ・インダストリー、デンマーク)を含有する0.9M NaCl中に再懸濁し、25℃で2時間インキュベートした。4000×gで10分間遠心分離してプロトプラストをペレット化する前にコットンウールフィルターを通すことによりプロトプラストを菌糸片から精製した。4Mチオシアン酸グアニジニウム、50mM Tris・HCl pH7.5、25mM EDTAを添加してプロトプラストを溶解させる前に、プロトプラストを0.9M NaClで2回すすいだ。遠心分離により粉砕片を除去し、染色体DNAを含有する上清を等容積の8M LiClに添加し、穏やかに混合し、−20℃で30分間貯蔵した。たんぱく質およびRNAの一部を遠心分離(10000×g、4℃、10分)によりペレット化し、染色体DNAを含有する上清をエタノール沈降させた。染色体DNAをSau3Aで部分的に消化し、フラグメント化染色体DNAを サムブルック(Sambrook)ら[(1989)前掲]のようにスクロース密度勾配上寸法分画した。10kbより大きなSau3Aフラグメントを含有するフラクションをプールし、λEMBL3バンクの構築に用いた。Sau3Aゲノムフラグメントをプロメガより入手したλEMBL3BamHIアームと結紮した。結紮したλDNAをプロメガパッケージーンキットを用いてパッケージした。次にイー・コリLE392株細胞を感染させることによりパッケージしたλDNAを増幅し、プラークを菌叢上にプレートアウトし、8時間37℃でサムブルックら(Sambrook)[(1989)前掲]のようにインキュベートした。約18000の独立クローンを得た。ファージをSM緩衝液中に溶出させ、適当に貯蔵した[サムブルック(Sambrook)ら(1989)前掲]。
実施例20 PAA−CoAリガーゼのゲノムDNAのクローニング
cDNAクローン6.6から、cDNA挿入物を含有するSstI−XbaIフラグメント(図2)をサムブルック(Sambrook)ら[(1989)前掲]のようなプラークハイブリダイゼーション(条件は実施例18と同様)によりλEMBL3バンク(実施例19において調製)をプローブするのに用いた。一次スクリーンから、多くの一次陽性物を同定し、これらを採取し、低希釈度で二次スクリーンに用いた。プラークハイブリダイゼーションを繰り返し、個々のプラークはPAA−CoAリガーゼcDNAプローブとハイブリッド形成することが確認された。これらのλEMBLクローンを取り出し、増幅した。λEMBLクローンをBamHI、EcoRIまたはSalIのうちの1つおよびすべての対になる組み合わせとBW1900A株由来のゲノムDNAの単一の消化物とともに消化した。消化物を電気泳動に付し、ブロットし、サザンハイブリダイゼーションにより特質化し、全PAA−CoAリガーゼ遺伝子を含有する制限フラグメントを同定した。6.5kbEcoRIフラグメントをλEMBLクローンの一部(染色体DNA消化物においてみられるのと同じ大きさのフラグメント)から採取し、pIJ2925中にサブクローンした[ジー・アール・ジャンセン(G.R.Janssen)およびエム・ジェイ・ビブ(M.J.Bibb)(1993)ジーン(Gene)124(1)133−134]。ゲノムDNAの制限地図を図4に示す。
実施例21 ピー・クリソゲナムBW1901株のPAA−CoAリガーゼでの形質転換
pIJ2925における6.5kbEcoRIサブクローン(実施例20、=pAMX131)をピー・クリソゲナムBW1901株のプロトプラストを同時に形質転換する[ティルバーン(Tilburn)ら(1984)ジーン(Gene)26、205−221の方法]ためにp3SR2由来の直線状amdSフラグメントとともに用いた[ハインズ(Hynes)ら(1983)モレキュラ・アンド・セルラー・バイオロジー(Mol.Cel.Biol.)3、1430−1439]。形質転換体をアセタミドを利用する能力について選択した。形質転換体を次にPenV価についてスクリーンした。多くの形質転換体は、BW1901対照に比べて高いレベルのPenVを有し(再試験で最高111%)、このことは恐らく、両プラスミドの一体化を意味する。このような結果は、ペニシリン生合成におけるこのクローンの役割を支持するものである。
配列表
(1)一般情報
(i)出願人
(A)名称:スミスクライン・ビーチャム・パブリック・リミテッド・カンパニー
(B)通り名:ニューホライゾン・コート
(C)都市名:ブレンフォード
(D)州名:ミドルセックス
(E)国名:英国
(F)郵便番号(ZIP):TW8 9EP
(G)電話番号:0181 975 3314
(H)テレックス番号:0181 975 3688
(ii)発明の名称:ペニシリウム・クリソゲナム由来のフェニルアセチル−CoAリガーゼ
(iii)配列の数:3
(iv)コンピューター・リーダブル・フォーム
(A)媒体形式:フロッピー・ディスク
(B)コンピューター:IBM PC コンパチブル
(C)基本ソフトウェアー:PC−DOS/MS−DOS
(D)ソフトウェアー:パテントイン・リリース#1.0、バージョン#1.30(EPO)
(2)配列番号1についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)鎖の長さ:578アミノ酸
(B)鎖の型:アミノ酸
(C)鎖の数:不明
(D)トポロジー:不明
(ii)分子の型:たん白質
(iii)ヒポテチカル:有
(iv)アンチセンス:無
(vi)起源:
(A)生物:ペニシリウム・クリソゲナム
(B)株:BW1901
(xi)配列番号1:
Figure 0003819429
Figure 0003819429
Figure 0003819429
(2)配列番号2についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)鎖の長さ:1976塩基対
(B)鎖の型:核酸
(C)鎖の数:二本
(D)トポロジー:不明
(ii)分子の型:cDNA
(iii)ヒポテチカル:無
(iv)アンチセンス:無
(vi)起源:
(A)生物:ペニシリウム・クリソゲナム
(B)株:BW1901
(xi)配列番号2:
Figure 0003819429
Figure 0003819429
Figure 0003819429

Claims (11)

  1. ペニシリウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenum)から、その菌糸を培養し、収穫し、音波処理し、細胞片を除去し、音波処理物をアニオン交換クロマトグラフィーで、つづいて疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーで基質を溶出し、ゲル濾過クロマトグラフィー(ここに活性クロマトグラフィーフラクションをPAAおよび補酵素A依存性検定を用いて検出する)により分画することにより得られる、配列番号2のDNA配列によりコードされる、フェニルアセチル補酵素A(PAA−CoA)リガーゼ活性を有する、見掛けの分子量がSDSpageによると63kDである、単離されたポリペプチド
  2. V−F−L−P−P−K−E−S−G−Q−L−D−Pのアミノ酸配列をN−末端に含む請求項記載のポリペプチド
  3. 配列番号1に示すアミノ酸配列からなる請求項1または2記載のポリペプチド
  4. 請求項1ないしのいずれかで定義したポリペプチドをコードするDNA。
  5. 図2または4に示すような制限部位の配置を有する請求項記載のDNA。
  6. 配列番号2のDNA配列からなる請求項記載のDNA。
  7. 高厳密性条件下で請求項4、5または6に記載のDNAとハイブリッド形成するDNA。
  8. 適当な宿主生物においてPAA−CoAリガーゼ活性を有する酵素を発現するための請求項4ないし7のいずれか1つに記載のDNAを含むベクター。
  9. 請求項4ないし7のいずれか1つに記載のDNAを含む形質転換された宿主。
  10. 請求項9に記載の形質転換された宿主の、ペニシリンを産生するため、あるいはペニシリン産生生物の力価を増加させるための使用。
  11. 請求項1に記載のポリペプチドの調製法であって、ペニシリウム・クロソゲナムPVS培地にて26℃で48時間、つづいてC5培地にて26℃で55時間培養し、続いてリガーゼ検定緩衝液を用いて抽出し、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分子量が63kDの蛋白を精製(ここに、活性フラクションをPAAおよび補酵素A依存性検定により検出する)することからなる方法。
JP50478297A 1995-06-30 1996-06-26 ペニシリウム・クリソゲナム由来のフェニルアセチル−CoAリガーゼ Expired - Fee Related JP3819429B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
GB9513403.7 1995-06-30
GBGB9513403.7A GB9513403D0 (en) 1995-06-30 1995-06-30 Novel product
PCT/EP1996/002799 WO1997002349A1 (en) 1995-06-30 1996-06-26 PHENYLACETYL-CoA LIGASE FROM PENICILLIUM CHRYSOGENUM

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11508450A JPH11508450A (ja) 1999-07-27
JP3819429B2 true JP3819429B2 (ja) 2006-09-06

Family

ID=10776961

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP50478297A Expired - Fee Related JP3819429B2 (ja) 1995-06-30 1996-06-26 ペニシリウム・クリソゲナム由来のフェニルアセチル−CoAリガーゼ

Country Status (17)

Country Link
US (1) US6245524B1 (ja)
EP (1) EP0835316B1 (ja)
JP (1) JP3819429B2 (ja)
KR (1) KR100455054B1 (ja)
CN (1) CN1145699C (ja)
AT (1) ATE239081T1 (ja)
AU (1) AU6417396A (ja)
DE (1) DE69627856T2 (ja)
DK (1) DK0835316T3 (ja)
ES (1) ES2198493T3 (ja)
GB (1) GB9513403D0 (ja)
HK (1) HK1010213A1 (ja)
MX (1) MX9800212A (ja)
PL (2) PL188190B1 (ja)
PT (1) PT835316E (ja)
SI (1) SI0835316T1 (ja)
WO (1) WO1997002349A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
ATE290084T1 (de) 1994-09-28 2005-03-15 Dsm Ip Assets Bv Verfahren zur herstellung von beta lactam antibiotika durch mikroorganismen mit erhoehter ligaseaktivitaet
ES2108651B1 (es) 1996-03-18 1998-07-16 Antibioticos Sa Procedimiento para incrementar la produccion de penicilina g (bencilpenicilina) en penicillium chrysogenum mediante la expresion del gen pcl.
ES2220176B1 (es) * 2002-05-27 2006-02-16 Universidad De Extremadura Nuevo enzima protelotico, procedimiento para su obtencion y aplicaciones.

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
ATE290084T1 (de) * 1994-09-28 2005-03-15 Dsm Ip Assets Bv Verfahren zur herstellung von beta lactam antibiotika durch mikroorganismen mit erhoehter ligaseaktivitaet

Also Published As

Publication number Publication date
DE69627856D1 (de) 2003-06-05
PL324225A1 (en) 1998-05-11
SI0835316T1 (en) 2003-12-31
DK0835316T3 (da) 2003-08-25
PL186765B1 (pl) 2004-02-27
AU6417396A (en) 1997-02-05
CN1145699C (zh) 2004-04-14
JPH11508450A (ja) 1999-07-27
GB9513403D0 (en) 1995-09-06
KR100455054B1 (ko) 2005-01-17
ATE239081T1 (de) 2003-05-15
WO1997002349A1 (en) 1997-01-23
EP0835316B1 (en) 2003-05-02
EP0835316A1 (en) 1998-04-15
HK1010213A1 (en) 1999-06-17
KR19990028533A (ko) 1999-04-15
DE69627856T2 (de) 2004-03-11
ES2198493T3 (es) 2004-02-01
MX9800212A (es) 1998-04-30
US6245524B1 (en) 2001-06-12
CN1194002A (zh) 1998-09-23
PL188190B1 (pl) 2004-12-31
PT835316E (pt) 2003-08-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CZ53294A3 (en) Novel biological process for preparing 7-adca
JPS6371183A (ja) ホスフィノトリシン耐性遺伝子及びその使用
JP3095391B2 (ja) クラスター状生合成遺伝子を用いた二次代謝産物生産増加法
WO2017057730A1 (ja) ヒドロキシ-l-ピペコリン酸の製造方法
KR0171897B1 (ko) 7-아미노세펨 화합물 또는 그 염류의 제조 방법
US5108918A (en) Method for identifying and using biosynthetic genes for enhanced production of secondary metabolites
US6706501B1 (en) Polynucleotide encoding a propionibacterium linoleate isomerase and uses thereof
JP3819429B2 (ja) ペニシリウム・クリソゲナム由来のフェニルアセチル−CoAリガーゼ
JPH02167078A (ja) 二次代謝産物生産増加のための生合成遺伝子又は制御遺伝子の単離法及び使用法
AU3798900A (en) Novel proteins related to gaba metabolism
US5882883A (en) Process for the production of secondary metabolites
US5652132A (en) Oxido reductase enzyme system obtainable from P. chrysogenum, the set of genes encoding the same and the use of oxido reductase enzyme systems or genes encoding the same for increasing antibiotic production
JPH11512930A (ja) グルコース抑制の修飾法
JPH10506287A (ja) 強いリガーゼ活性を有する微生物を用いるβ−ラクタム系抗生物質の製造法
WO2001042436A2 (en) Genes involved in cyclododecanone degradation pathway
US6815189B1 (en) Gene from acremonium chrysogenum encoding a protein with cephalosporin C acetylhydrolase activity and methods of use of such gene
JPH0253488A (ja) ウリカーゼのdna配列および製法
MXPA98000212A (en) Fenilacetil-coa ligasa from penicillium chrysoge
JP3549551B2 (ja) S.セレビシエのリボフラビンシンテターゼ活性をコードするdna化合物および組換えdna発現ベクター
JP3658323B2 (ja) トレハロースシンターゼ蛋白質、遺伝子、プラスミド、微生物、及びトレハロースの製造方法
EP1675946A1 (en) Process for producing penicillin
US5753435A (en) Oxido reductase enzyme system obtainable from P. chrysogenum, the set of genes encoding the same and the use of oxido reductase enzyme systems or genes encoding the same for increasing antibiotic production
JP2000515008A (ja) アスペルギルス属のポルホビリノーゲン合成酵素およびこれをコードする核酸
PL174984B1 (pl) Nowy proces biologiczny wytwarzania kwasu 7-aminodezacetoksycefalosporanowego (kwasu 7-ADC)

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050906

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20051205

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20060130

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060306

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060530

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060615

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100623

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110623

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees