JP3549551B2 - S.セレビシエのリボフラビンシンテターゼ活性をコードするdna化合物および組換えdna発現ベクター - Google Patents

S.セレビシエのリボフラビンシンテターゼ活性をコードするdna化合物および組換えdna発現ベクター Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、組換え宿主細胞におけるサッカロミセス・セレビシエのリボフラビンシンテターゼ活性の発現をコードしかつ制御し、ならびにビタミンB2を生産する生物体中のこのビタミン収率を改善することのできるDNA化合物および組換えDNA発現ベクターに関する。
【0002】
【従来の技術】
リボフラビンまたはビタミンB2は、たとえばフラビン・アデニン・ジヌクレオチド(FAD)またはフラビンモノヌクレオチド(FMN)のような、炭水化物の酵素的酸化に必要な補酵素の前生成物である。従って、リボフラビンはすべての生物体における根本的物質代謝にとり不可欠である。植物および多数の微生物はリボフラビンを合成する。しかし、高等動物はリボフラビンを生産しない。不十分なリボフラビン量は、高等動物において脱毛、皮膚炎、視力障害および発育障害を生じうる。
【0003】
さらに、リボフラビンは、牛乳、卵、脂肪分の少ない肉、肝臓、腎臓、野菜、穀物、殊に酵母中に含まれている栄養物であり、その際酵母は最も豊富なリボフラビン源である(The Merck”,第9版(1976年),Windholg等,Merck & Co.,第1064頁)。
【0004】
リボフラビンは、工業的には、米国特許第2807611号(Merck;1957年)に記載されているようにリボースから化学合成によるか、または糸状菌エレモテシウム・アッシュビィ(Eremothecium ashbyii)またはアッシュビヤ・ゴッシピィ(Ashbya gossypii)(The Merck Index,supra)の発酵によって製造することができる。さらに、ニワトリおよびウシ類の飼育用のリボフラビン濃縮物は、米国特許第2876169号(Grain Processing Corp.,1959年)に記載されているように、発酵法によって製造することができる。
【0005】
バチルス・スブチリス(Bacillus subtillis)の突然変異体からの大量のリボフラビンの製造は下記の特許に記載された:
−米国特許第3900386号(Enei等,1975年)。ここには、アザグアニンおよびアザキサンチンとの接触によって選択される、バチルス・スブチリスの突然変異体が記載されている。
【0006】
−フランス国特許第2546907号(Stepanov等,1984年)。ここには、Rib−オペロンのコピーを含有するプラスミド(Riboflavin−Operon)で形質転換された、バチルス・スブチリスの突然変異体が記載されている。このオペロンの性質の根本的な改善は、モロゾフ(Morozov等)(Mol.Genet.Mik.Virusol.,no 12:14(1985年))およびチキウダス(Chikiudas等)(Dikl.Akad.Nauk.,第5版,ソ連邦 298:997(1988年))により記載されている。これらは本明細書に引用される。
【0007】
ヨーロッパ特許出願EP0405370号(F.Hoffmann,La Roche AG,1991年)には、その染色体DNA中にS.セレビシエ(S.Cerevisiae)Rib−オペロンの組込まれかつ拡張されたコピーを含有する、E.コリ(E.coli)およびB.スブチリスのリボフラビン過剰生産菌株が記載されている。
【0008】
これらの方法を用いて良好な結果を得ることができるが、若干の研究者は、細菌中のタンパク質を発現する際の低い正確さ、ならびに細菌は、タンパク質のグリコシル化を達成することができないという事実に基づき、大量のリボフラビンを表現する酵母突然変異体を見出すことを試みた。それで、米国特許第4794081号(Kawai等,1988年)には、プリンをベースとする、リボフラビン生産性S.セレビシエ突然変異体が記載されている。この特許も、同様に本明細書に引用される。
【0009】
【発明の構成】
本発明は、なかんずく、S.セレビシエのリボフラビンシンテターゼ活性をコードするDNA化合物に関する。この酵素(E.C.2.5.1.9)は、6,7−ジメチル−8−リビチル−ルマジンからのリボフラビンの製造反応を触媒する。この反応は、ビタミンB2およびたとえばFMNまたはFADのような他のフラビン誘導体化合物の生合成の際の臨界過程である。
【0010】
これらのDNA化合物には、S.セレビシエから単離され、リボフラビンシンテターゼ活性を制御する、組換えDNA発現ベクターの製造に適当である、リボフラビンシンテターゼ活性をコードする新規DNA配列が属する。これらのベクターは、S.セレビシエ中のリボフラビンシンテターゼ活性の発現を高度に制御し、これは本発明による発現ベクターで変換されたS.セレビシエの粗製細胞抽出物が、何らかの活性化前処理なしに、高いリボフラビンシンテターゼ活性を示すという事情から認められる。従って、本発明による発現ベクターは、高いリボフラビンシンテターゼ活性を得るための有効な手段である。さらに、本発明による高いリボフラビンシンテターゼ活性は、6,7−ジメチル−8−リビチル−ルマジン以外のルマジンの縮合のためならびに新規フラビンの生成のために適当である。
【0011】
本発明による、リボフラビンシンテターゼ活性をコードするDNA化合物は、酵母、細菌および糸状菌(Candida guillermondii,Candida flarerii,Eremothecium ashbiiおよびAshbya gossypii等)のような他の生物体中でのリボフラビンの生産の際の効率および収率を増加する他の発現ベクター製造のため容易に変更することができる。
【0012】
リボフラビンシンテターゼ活性をコードする、S.セレビシエからの本発明によるDNA化合物は単離されたが、このDNAは、多数の宿主細胞中でのリボフラビンシンテターゼ活性の発現を制御するベクターの製造のために使用することができる。すべてのリボフラビン生産性生物体は同じ前駆物質、即ち6,6−ジメチル−8−リビチル−ルマジンを使用するので、リボフラビンシンテターゼ活性をコードする本発明によるDNA化合物は、すべてのリボフラビン生産性生物体におけるリボフラビン発酵の効率および収率を改善する他のベクターの製造のために使用することができる。
【0013】
本発明によるリボフラビンシンテターゼ活性をコードするDNA化合物は、S.セレビシエのゲノムDNAから誘導され、リボフラビンシンテターゼ活性をコードするゲノムDNAの発現を調節する、転写および翻訳の活性化配列と一緒に単離された。本発明は、S.セレビシエおよび近縁の生物体中の遺伝子の発現を制御するのに使用することのできる、これらの転写および翻訳の新規活性化配列を包含する。
【0014】
次に、本発明の対象を要約する。
【0015】
本発明の第1の対象は、S.セレビシエのリボフラビンシンテターゼ活性をコードするDNA化合物である。これらのDNA化合物は、(i)専らコーディング領域を包含し、ならびに(ii)このコーディング領域を、遺伝子のコーディング領域内のコーディング鎖の3′末端に存在するリボフラビンシンテターゼ遺伝子の配列または調節シグナルと一緒に包含する。これらの調節性3′−配列が、S.セレビシエのリボフラビンシンテターゼ遺伝子の転写およびポリアデニル化およびRNAプロセシングの終端を決定する。発現ベクター(表現すべき遺伝子のコーディング鎖の3′−末端における)中の適当な位置にこれらシグナルの存在は、ベクターによってコードされた生成物の発現を高める。これらすべての配列は新規であって、本発明の重要な成分である。これらの配列は遺伝コードの縮退に基づき、リボフラビンシンテターゼ活性のアミノ酸配列をコードすることのできるすべてのヌクレオチド配列、ならびに本発明によるリボフラビンシンテターゼ活性をコードするDNAの遺伝的変異型であるすべての配列を包含し、その際これらの変異型は、同じかまたは類似の活性を有することができかつ本発明による化合物との相同性に基づいて得ることのできる、本発明によるDNAの等価物であってもよい。
【0016】
本発明の第2の対象は、リボフラビンシンテターゼ活性をコードするアミノ酸を有する本発明によるDNA化合物、ならびに幾つかのアミノ酸が他の官能的に等しいアミノ酸によって置換されている、同様にこのリボフラビンシンテターゼ活性を有するか、または重要でない配列が欠けているが、自然の配列と類似の活性を有するアミノ酸配列である。
【0017】
本発明の第3の対象は、リボフラビンシンテターゼ活性の発現を制御する組換えDNA発現ベクター、ならびにその製造方法である。これらの発現ベクターは、リボフラビンシンテターゼ活性をコードするDNA化合物を適当なベクター中へ組込むことによって製造することができる。これらの発現ベクターは、発現を制御しかつ酵母、糸状菌および細菌におけるリボフラビン製造を有効に高めるように構成されていてもよい。
【0018】
本発明の第4の対象は、発現ベクターで形質転換された組換え微生物であり、その際この発現ベクターはリボフラビンシンテターゼ活性をコードする本発明によるDNA化合物を含有する。このベクターで形質転換することのできる微生物としては、それぞれの種類のすべてのリボフラビン生産性ならびに非生産性微生物が適当である。これらの組換え微生物の製造方法は本発明の別の対象である。本発明の第5の対象は、リボフラビンシンテターゼ活性をコードする本発明によるDNA化合物を含有する発現ベクターで形質転換された微生物の培養によるリボフラビンシンテターゼ活性の生産方法であり、その際この培養は、遺伝子の発現を可能にする条件下で実施される。リボフラビンシンテターゼ活性は、精製するかまたは精製せずに、直接に粗製細胞抽出物から使用することができる。
【0019】
本発明の第6の対象は、このビタミンを製造する微生物のリボフラビン生産を増加する方法である。このためには、リボフラビン生産性微生物中へ、リボフラビンシンテターゼ活性をコードする本発明によるDNA化合物が組込まれる。これらの微生物はとくに種々の種類の酵母、糸状菌および細菌である。
【0020】
本発明の第7の対象は、6,7−ジメチル−リビチルルマジンから、本発明によるDNA化合物によってコードされたリボフラビンシンテターゼ活性の使用下にリボフラビンを製造する方法である。この方法は、単離された純合成酵素の使用下またはこの酵素を含有する粗製細胞抽出物の使用下に、溶液中ならびに酵素または細胞を適当な担体に固定することによって実施することができる。
【0021】
最後に、本発明のもう1つの対象は、基質として本発明によるリボフラビンシンテターゼから識別しうる、6,7−ジメチル−リビチルルマジン以外のルマジンを使用する、新規フラビンまたはフラビン誘導体(天然のフラビンまたはフラビン誘導体は含まない)の製造方法である。
【0022】
下記に、これらすべての対象を詳述する。
【0023】
図1および2は、プラスミドYEp352の機能および制限地図(1A)ならびに遺伝子RIB5のサブクローニング(1B)を示す。図3は、プラスミドpJR235の機能および制限地図を示す。
【0024】
図4〜6は、プラスミドpJR298の構成(図4)、遺伝子置換による遺伝子RIB5の破壊(図5)および野生菌株JC2aのKpnl(MATαhis−Δ1 leu2−3 leu2−112 ura3−52)(系列1)および2つの置換菌株AJ52およびAJ53(MATαhis−Δ1 leu2−3leu2−112 ura3−52 rib5−11)(RIB5::URA)(系列2および3)で発酵させたゲノムDNAのサザンブロッティング(図6)を示す。フィルターは、α−32Pで標識し、フラグメントKpnI−KpnI3bから誘導されたゾンデでハイブリッド形成した。
【0025】
図7および8は、組換えPCRによる融合遺伝子PGK−RIB5の構造(図7)ならびにプラスミドpJR376の機能および制限地図(図8)を示す。
【0026】
図9は、菌株JM101/pTrc99−A(系列1,2,3および4)ならびにJM101/pJR380の、IPTGで誘導された細胞抽出物(系列3,4,7および8)または誘導されなかった細胞抽出物(系列1,2,5および6)の可溶性画分(系列1,3,5および7)ならびに不溶性画分(系列2,4,6および8)が分析された、クーマシー・ブルー(Coomasie Blau)で染色された14%のポリアクリルアミド・SDSゲル中での、E.コリ中のリボフラビンシンテターゼ、Rib5−タンパク質の発現を示す(図A)。図Bは、Rib5に対する特異的抗体の使用下に、プレートA上に置かれたゲル中で分析された抽出物の可溶性および不溶性画分のウエスタンブロッティングを示す。図10は、S.セレビシエ中のリボフラビンシンテターゼの精製および特性表示を示す。図Aは、イオン交換カラム(Mono Q HR5/5)中の総タンパク抽出物からのFPLCによる精製を示す。線形NaCl勾配(不連続系列)を使用し、かつ種々の1ml画分を、Rib5タンパク質の存在に関し、ウエスタンブロッティング(上部)および特異的リボフラビンシンテターゼ活性(連続系列)により分析した。図Bは、SDS−ポリアクリルアミドゲル中での電気泳動を示す:系列1、S.セレビシエの総タンパク抽出物;系列2、FPLCによって精製したリボフラビンシンテターゼ、系列3、精製したリボフラビンシンテターゼのウエスタンブロッティング。
【0027】
図11は、自然条件下でのリボフラビンシンテターゼの分子量決定を示す。
【0028】
添付図面の図1〜8に示した機能および制限地図は、ここで扱われる組換えDNAのベクターの概略図である。地図の制限フラグメントの広がりはベクターの制限フラグメントの広がりに比例するが、フラグメント間の距離は地図において算出される距離とは若干相違する。制限フラグメントに対する指示は完全ではないので、特定のベクター中には、地図に示されているよりも多くのフラグメントが存在しうる。
【0029】
A. 定義
本発明を明確にしかつ良好な理解のために、下記に若干の概念を定義する:
DNA化合物:DNA分子およびDNA配列、ならびにその遺伝産物をコードするために必要なすべての情報を保持するフラグメント(転写および翻訳を活性化するその配列を含む)、ならびにこのDNA中に含有されている情報の発現の調節シグナル。本発明においては、ところどころ表現“本発明によるDNA化合物”は、本発明によるリボフラビンシンテターゼ活性をコードするDNA配列が考えられている意味で使用する。
【0030】
RIB5:サッカロミセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)のリボフラビンシンテターゼ活性をコードするDNA。
【0031】
URA3:サッカロミセス セレビシエのオロチジン−5′−ホスフェート−デカルボキシラーゼをコードするDNA。
【0032】
生合成のリボフラビン遺伝子:一次物質代謝産物のリボフラビンへの変換法における反応に必要な活性をコードするDNAセグメント。
【0033】
リボフラビン生産性生物体:専らではないが、サッカロミセス、カンジダ(Candida)、バチルス(Bacillus)、エレモテシウム(Eremothecium)およびアッシュビヤ(Ashbya)を含めリボフラビンを生産するかまたは発現の際にリボフラビンを生産する遺伝子を含有する生物体。
【0034】
ApR:アンピシリンに対する抵抗を伝達する遺伝子。
【0035】
Sac DNA:サッカロミセス セレビシエのDNA。
【0036】
クローニング:組換えDNAのクローニングベクター中へのDNAセグメントの組込みゲノム ゲノテク(Genomische Genothek):大体において当該生物体の全ゲノムを表わすDNAセグメントがクローニングされている、組換えDNAのクローニングベクターの束。
【0037】
ハイブリッド形成:完全または部分的な塩基対であってもよい、2つの相補性1本鎖DNA分子の2本鎖DNA分子への対合法。
【0038】
リボフラビンシンテターゼ:6,7−ジメチル−8−リビチル−ルマジンからのリボフラビン生成を触媒する酵素。
【0039】
組換えDNA−発現ベクター:科学的または工業的に重要なポリペプチドをコードするDNAセグメントの発現を制御するための、転写および/または翻訳を活性化する配列を包含する、(専らではないが)プラスミドを含む自律性複製または組込み手段。
【0040】
制限フラグメント:1つまたは幾つかの制限酵素の作用によって得られる直鎖DNA分子。
【0041】
形質転換細胞:形質転換を受けた受容宿主細胞。
【0042】
形質転換:エルブ型を変えて受容細胞への変換を生じる、受容宿主細胞中へのDNAの組込み。
【0043】
転写の活性化配列:DNA転写を促進するDNA配列。
【0044】
翻訳の活性化配列:ARNmへの転写の際ARNmのタンパク質への翻訳を惹起するDNA配列。
【0045】
B. S.セレビシエのリボフラビンシンテターゼ活性をコードするDNA化合物
本発明の第1の対象は、S.セレビシエのリボフラビンシンテターゼをコードするDNA化合物である。その製造のためには、動原体ベクターYCp50中のS.セレビシエGRF88のゲノムDNAのゲノム・ゲノテク(ATCCにNo.37415で寄託された)を使用し、これをS.セレビシエの菌株AJ10のrib5−10の突然変異を例2による形質転換によって相補することのできる配列の立証するために試験した。非機能性リボフラビンシンテターゼ活性をコードする配列に影響を与えるrib5−10突然変異が非機能性リボフラビンシンテターゼの合成を決定し、この突然変異の担体菌株中の6,7−ジメチル−8−リビチル−ルマジン媒地中でのリボフラビン栄養素要求性および蓄積を生じる。ゲノムゲノテク中の一連のベクターは、rib5−10突然変異を相補し、リボフラビン不含最小培地中でのこれらベクターの担体菌株AJ10の形質転換細胞の成長を可能にすることのできた、S.セレビシエの組込まれたDNA−フラグメントを含有していた。例2による遺伝的破壊および配列決定は、ベクターの少なくとも1つは、遺伝子RIB5を担持しかつS.セレビシエ中のリボフラビンシンテターゼ活性をコードするDNAフラグメントを組込んで含有していたことを示す。次いで、S.セレビシエのRIB5遺伝子を、C.コリのJM101菌株の形質転換のために使用されたプラスミドpJR235(Yanish−Perron等,1985年,Gene 33:103)の形成下にクローニングした。E.コリの形質転換細胞JM101/pJR235は、NCIMBにおいてNCIMB No.40480で寄託された。図3は、プラスミドpJR235の機能および制限地図を示す。
【0046】
S.セレビシエのリボフラビンシンテターゼ遺伝子のコーディング配列は、プラスミドpJR235の制限フラグメントKpnI−PstI 2.2kbから単離することができる。この制限フラグメントおよびコーディング配列はヌクレオチドの配列決定によって特性表示された。引き続き、リボフラビンシンテターゼ活性をコードするDNA配列が、S.セレビシエの遺伝子中のコーディング領域の3′−末端をフランキングするDNA部分(SEQ ID NO1)と一緒に示される。2本鎖DNA分子のコーディング鎖または“センス”鎖の配列のみが示される。これは、左から右へ5′→3′方向に記入されている。ヌクレオチド配列を番号付けする場合、番号はDNA配列に沿って出現する。各DNA配列の列の直接下方には、アミノ末端方向で左から右へ→末端カルボキシル、DNAによりコードされるリボフラビンシンテターゼのアミノ酸基配列が示される。各アミノ酸基はそれをコードするヌクレオチドトリプレットの下方に出現する。アミノ酸基の配列を番号付けする場合、番号はアミノ酸基の配列(SEQ ID NO2)の下方に出現する。
【0047】
ここで、記号は次のものを表わす:A デオキシアデニル、G デオキシグアニル、C デオキシシチジル、T チミジル、ALA アデニン基、ARG アルギニン基、ASN アルパラギン基、ASP アルパラギン酸基、CYS システイン基、GLN グルタミン基、GLU グルタミン酸基、GLY グリシン基、HIS ヒスチジン基、ILE イソロイシン基、LEU ロイシン基、LYS リジン基、MET メチオニン基、PHE フェニルアラニン基、PRO プロリン基、SER セリン基、THR スレオニン基、TRP トリプトファン基、TYR チロシン基およびVAL バリン基。
【0048】
専門家は、ここで示したDNA配列は本発明の重要な部分であることを知っている。遺伝コードの縮退(これにより停止シグナルおよびアミノ酸基の大多数は1以上のコドンによってコードされている)に基づき、上記に示したリボフラビンシンテターゼのアミノ酸配列は、多数のDNA配列によってコードすることができる。これらのいずれか一方のDNA配列が本発明によるアミノ酸配列をコードするので、本発明は同様にこれらいずれか一方の配列をも包含する。
【0049】
リボフラビンシンテターゼのコーディング配列は、慣例の方法でまたは完全に保護されたデオキシリボヌクレオシドを使用してホスホルアミデート法によって合成することができる。これらの合成法は良く知られており、ボーケージュ(Beaucage)等(1981年,Tetrahedron Letters 22:1859)の方法に従って実施することができる。DNA配列は、たとえばアプライド・バイオシステムズ社のモデル(Applied Biosystems Model)380A(Foster City,CA,USA)の自動的DNA合成装置を用いて製造することができる。
【0050】
上記の、リボフラビンシンテターゼのDNAコーディング配列のほかに、本発明によるリボフラビンシンテターゼをコードするDNA配列の遺伝的変異型が出現しうる。これらの遺伝的変異型は、天然に出現する型の遺伝的多様性を表わし、ヌクレオチドおよびアミノ酸基の配列の、本発明による化合物との本質的相同性を示すことができる。これらは完全に同じ活性を有しないとしても、何らかの方法で、本発明において示した類似のヌクレオチド配列とは識別しうる。これらの遺伝的変異型は本発明による化合物の等価物であり、本発明によるリボフラビンシンテターゼのコーディングDNA配列との相同性に基づき得ることができる。
【0051】
B.1 転写および翻訳の活性化配列
本発明は、リボフラビンシンテターゼのアミノ酸配列をコードするだけではなく、S.セレビシエ中でのリボフラビンシンテターゼの発現の調節に必要な、転写および翻訳の活性化配列をもコードする、完全な機能的DNA配列のクローニングに基づく。同時に、本発明によるリボフラビンシンテターゼ遺伝子は、コーディング領域に続く、転写の終結に責任がありかつDNAのプロセシング−およびポリアデニル化シグナルを提供する配列を含有する。これらの制御要素5′および3′は本発明の重要なアスペクトである。pJR235遺伝子≒0.20kbは、S.セレビシエのゲノム中で、リボフラビンシンテターゼをコードするDNAに先行するゲノムDNAに含有されているので、pJR235プラスミドは必然的に、S.セレビシエのリボフラビンシンテターゼ遺伝子の転写および翻訳の活性化配列を含有する。
【0052】
転写および翻訳の、多数の活性化配列は、リボソームRNAをコードする若干の配列は、コーディング領域に先行しない活性化配列によって活性化されるが、活性化すべきDNAの前でコードされている。この点で、コーディング領域に“先行する”というのは、リボフラビンシンテターゼをコードするDNAのコーディング鎖の5′−末端の5′方向のDNAに関する。pJR235プラスミド中にコードされている、S.セレビシエの転写および翻訳の活性化配列は、リボフラビンシンテターゼをコードするDNAの発現を制御するために、正しい位置に存在する。pJR235の構成において、リボフラビンシンテターゼをコードするDNAのコーディング鎖の5′−末端には、プラスミドpJR235中のリボフラビンシンテターゼ遺伝子の転写および翻訳の活性化配列に影響しうる欠失も挿入も組込まれておらず、その際この活性化配列は、pJR235プラスミド中のリボフラビンシンテターゼをコードするDNAの傍に存在する、直接に先行する制限フラグメントKpnI−NdeI中に単離することができる。位置NdeIは、リボフラビンシンテターゼタンパク質のアミノ酸18および19をコードするので、リボフラビンシンテターゼのアミノ末端端部のコーディング領域も同様にこのフラグメントKpnI−NdeI中に含有されている。上記の≒0.20kbのフラグメントKpnI−NdeIを含有する各制限フラグメントは、必然的に、本発明による転写および翻訳の活性化配列をも含有する。次に、pJR235中のコードされた、S.セレビシエの転写および翻訳の活性化配列のDNA配列を記載する。この配列は、化学的に合成し、pJR235プラスミドから単離するか、またはpJR235プラスミドまたはS.セレビシエのゲノム総DNAから、ポリメラーゼ連鎖反応によって増幅することができる。pJR235プラスミド中の活性化配列の配向を明らかにするため、制限フラグメントを、制限酵素KpnIに典型的でありかつ翻訳の開始コドンをも包含する、1本鎖の重複DNA配列として表わす。
【0053】
サッカロミセス・セレビシエのDNA配列
pJR235プラスミド中にコードされた、転写および翻訳の活性化配列(SEQ ID NO3)
【0054】
【表1】
Figure 0003549551
【0055】
“TAC”は、リボフラビンシンテターゼのアミノ末端メチオニン基をコードする5′−ATG−3′に対して相補的である。
【0056】
転写および翻訳の活性化配列は、S.セレビシエまたは類似の生物体中のそれぞれ任意のDNA配列中で発現の制御のために使用することができる。S.セレビシエ中のリボフラビンシンテターゼ遺伝子の転写プロモーターは、種々のタンパク質形のコーディング領域に融合することができる。転写および翻訳5′−ATGの開始コドンの前にある5′−配列は、たとえば制限に適当な部位、たとえばNdelまたはNcolをつくるためにS.セレビシエのプロモーターを重要なタンパク質のコーディング領域と融合するためポリメラーゼ連鎖反応によって拡張および変更することができる。
【0057】
タンパク質のコーディング領域は、同様に、結合を可能にする2つの和合性末端を含有するように適合することができる。このために、タンパク質のコーディング領域により、異なる戦略が適用される。S.セレビシエ プロモーターと重要なタンパク質のコーディング領域との融合は、例3に示した方法に従いポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって行なうこともできる。例3には、S.セレビシエのリボフラビンシンテターゼのコーディング領域と、S.セレビシエのPGK遺伝子の転写プロモーターおよび翻訳の活性化配列との融合記録を記載する。類似の方法によって、S.セレビシエのリボフラビンシンテターゼのコーディング領域を各任意の生物体の転写プロモーターおよび翻訳の活性化配列と結合することができる。
【0058】
本発明は、リボフラビンシンテターゼ活性をコードするDNAの発現を制御する際の転写および翻訳の特定の活性化配列に制限されていない。本発明は、S.セレビシエ中のリボフラビンシンテターゼ活性の発現のために転写および翻訳の任意の活性化配列を使用することを包含する。S.セレビシエ中の転写および翻訳の多数の活性化配列は公知でありかつS.セレビシエ中のリボフラビンシンテターゼ活性を制御するために使用することができる。これら転写および翻訳の活性化配列は、たとえば、全部ではないが、PGK、TPI、ADCl、ENOl、GALlおよびGAPの転写および翻訳の活性化配列を包含する。種々の自律性複製配列および上記に例示した、転写および翻訳の活性化配列のほかに、他の生物体の転写および翻訳の自律性複製配列および活性化配列を、リボフラビンシンテターゼ活性をコードする本発明のDNA化合物と結合して、自律性複製配列および活性化配列が活動することのできる宿主細胞中のリボフラビンシンテターゼ活性の発現を制御する発現ベクターを形成することができる。S.セレビシエは試験管内での使用のための、リボフラビンシンテターゼ製造のための適当な宿主であるが、S.セレビシエ以外の宿主細胞中のリボフラビンシンテターゼ活性の発現を制御する発現ベクターも、殊に他の生物体中のリボフラビンの効力および生産能力を増加したい場合には使用することができる。若干のリボフラビン生産性生物体は、ビタミンB2製造工業において使用される。この生物体のビタミンB2生産能力は、発酵の間生合成制限酵素の濃度を高めることにより高め、有効にすることができる。
【0059】
B.2 S.セレビシエのリボフラビンシンテターゼ遺伝子の制御配列
pJR235プラスミドも同様に、S.セレビシエのリボフラビンシンテターゼ遺伝子の3′−制御配列を包含する。一般に、mRNAの転写、ポリアデニル化およびプロセシングの終結に責任のある、遺伝子のコーディング領域の停止コドンに続く配列は、≒500bpの領域内でコードされている。従って、リボフラビンシンテターゼのカルボキシ末端端部をコードするDNAを包含する≒1.4kbのScal−PstIフラグメントは、S.セレビシエのリボフラビンシンテターゼ遺伝子のmRNAの転写、ポリアデニル化およびプロセシングの終結シグナルをも含有する。pJR235プラスミド中の転写の終結配列はこれら遺伝的構造中の転写終結を可能にするため、他の組換え遺伝子構造に接合することができる。
【0060】
組換えDNA発現ベクター中の与えられたDNA配列の発現は、表現すべきコーディング領域のコーディング鎖の3′−末端に、転写、ポリアデニル化およびRNAm−プロセシングの終結シグナルを挿入することによって高めることができる。本発明は、S.セレビシエおよび近縁の宿主生物体中の組換えDNAベクターの任意の遺伝生成物中での発現を高めるために使用することのできる、転写、ポリアデニル化およびmRNAプロセシングの終結シグナルを提供する。
【0061】
本発明によるDNA化合物は、発現ベクターが複製または組込まれ、かつリボフラビンシンテターゼ活性の発現のため転写および翻訳の活性化配列が使用される各任意の宿主細胞中でのリボフラビンシンテターゼの発現を制御する発現ベクターの構成に使用することができる。付加的に、本発明によるDNA化合物は、S.セレビシエのリボフラビンシンテターゼ活性をコードするため、および本発明によるリボフラビンシンテターゼの遺伝的変異型をコードする、S.セレビシエ以外の菌株の相同DNA化合物の単離のために使用することができる。従って本発明は、リボフラビンシンテターゼ活性をコードする、プラスミドpJR235およびpJR376(下記に記載する)中のリボフラビンシンテターゼをコードする相同のDNA化合物をも包含する。
【0062】
C. S.セレビシエのリボフラビンシンテターゼ活性の発現を制御する組換えDNA発現ベクター
S.セレビシエのリボフラビンシンテターゼ活性をコードする本発明によるDNA化合物は、この発現を制御する発現ベクターの構成のために使用することができる。それでたとえばpJR235−プラスミドは、E.コリK12JM101/pJR235から例1に記載した方法に従って単離することができる。このpJR235−プラスミドからは、非常に有用な制限フラグメント、たとえば全RIB5−遺伝子を含有する2.2kbのKpnI−PstI、またはアミノ末端端部を除く全遺伝子を含有する1.4kbのNdeI−StuI−フラグメントを得ることができる。pJR235−プラスミドは、S.セレビシエ中のリボフラビンシンテターゼ活性の発現を広範に制御するpJR376の符号を有するプラスミドの構成のための基礎として使用された。pJR376−プラスミドは、リボフラビンシンテターゼのコーディング配列からなる2.2kbの合成DNA−フラグメントを、S.セレビシエのグリコール性酵素3−ホスホグリコール酸キナーゼ(PGK)(Hitzeman等,1982年,Nucleic Acids Res.,10:7791頁)の遺伝子プロモーターの発現下に、E.コリおよびS.セレビシエ中での該プラスミドの自律的複製を可能にする配列を含有する、YEp352−プラスミドに類似のマルチコピープラスミド、ならびにE.コリ中のアンピシリン抵抗を伝達するβ−ラクタマーゼ遺伝子、およびオロチジン−5′ホスフェートのデカルボキシラーゼをコードしかつE.コリおよびS.セレビシエ中のこの栄養要求性遺伝標識の選択を可能にするS.セレビシエのURA3−遺伝子中へ接合することによって得られる。添付図面の図1および2は、YEp352−プラスミドの機能および制限地図を示す。大体において、PGK−遺伝子はS.セレビシエ中に発現する最も有効な遺伝子の1つであるので、その転写物ならびにコードしたタンパク質は、全転写物および細胞タンパク質の5%にまでに達する。PGK−プロモーターは、種々の真核タンパク質の高度に有効な発現ベクターを生産するように操作することができる(Tuite等,1982年,EMBO J. 1:63;Derynck等,1983年,Nucleic Acid Res., 11:1819;Mellor等,1983年,Gene 24:1;Wood等,1985年,Nature(ロンドン)314:446;Rothsteien等,1984年,Nature(ロンドン)308:662およびAdams等,1987年,Nature(ロンドン)329:68)。
【0063】
pJR376−プラスミドは、塩基対の位置−580〜−1のPGK−プロモーターを包含し、その際番号付けは位置1として翻訳の開始コドン5′−ATG−3′のデソキンアデノシルヌクレオチドではじまり、該プロモーターはpJR235−プラスミドのリボフラビンシンテターゼ遺伝子のコーディング配列の発現を制御する。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の使用による遺伝的融合の構成は、ヨン(Yon)等(Nucleic Acids Res.,17:4895,1989年)により記載されている。プラスミドpJR376の構成記録は、例3に詳細に記載されている。
【0064】
SD−Ura培地中でリボフラビンシンテターゼは、菌株S.セレビシエのプラスミドpJR366担持細胞によって、高度に全細胞タンパク質の2%までの大きさに発現される。S.セレビシエ形質転換菌株AJ53/pJR376の細胞抽出物は、6,7−ジメチル−8−リビチル−ルマジンのリボフラビンへの形質転換を触媒することができるが、菌株S.セレビシエAJ53の細胞抽出物はこの形質転換を触媒することはできない。この転換反応の試験法は、例4Cに記載されている。プラスミドpJR376は、S.セレビシエ中で大量のリボフラビンシンテターゼを生産するための有効な機構を、しかも全細胞タンパク質の約1%程度に利用しうる。この理由からおよびS.セレビシエの培養は、リボフラビンを天然に生産する他の生物体の培養よりも費用がかからないので、S.セレビシエ/pJR376形質転換細胞は、リボフラビンシンテターゼの製造のために、他の組換えないかまたは“天然”のリボフラビンシンテターゼ生産細胞よりも経済的かつ有効に使用することができる。本発明によるS.セレビシエ/pJR376形質転換細胞は高度にリボフラビンシンテターゼを生産するので、S.セレビシエのゲノムによりコードされたリボフラビンシンテターゼをほぼ純粋な形で単離することができる。例示したリボフラビンシンテターゼの精製記録は、例4Cに記載されている。
【0065】
上記に既述したように、リボフラビンシンテターゼをコードする本発明によるDNA化合物は、発現ベクターの構成のために使用することができる。これらのリボフラビンシンテターゼ発現ベクターを用いて、リボフラビンをリボフラビンシンテターゼにより触媒される反応により製造する宿主細胞を形質転換する場合、細胞内のリボフラビンシンテターゼの濃度が増加する。
【0066】
非形質転換宿主細胞中でのリボフラビン生合成の制限因子がリボフラビンシンテターゼ活性である限り、このリボフラビンシンテターゼ発現ベクターを含有する宿主細胞は、非形質転換細胞よりも多量のリボフラビンを生産する。
【0067】
形質転換された宿主細胞の細胞内部でのリボフラビンシンテターゼの濃度を高めるベクターは、次の要素を含有していなければならない:1)リボフラビンシンテターゼ活性をコードするDNA化合物;2)形質転換すべき細胞中で活動しうるだけでなく、リボフラビンシンテターゼをコードするDNAを制御するための正しい位置および定位を有する、転写および翻訳の活性化配列;3)宿主細胞中のベクターを保持する複製および組込み機能。ベクターまたはDNAフラグメントの組込み頻度は、宿主細胞によりコードされる活性に依存する。しかし、ベクターまたはDNAフラグメント中の特定のDNA配列(たとえば組込みを促進するファージおよびウィルスの配列ならびに宿主細胞のゲノムDNAの相同配列)の存在は組込みを容易にすることがしばしば確認される。
【0068】
リボフラビンシンテターゼ発現ベクターはもちろん、このベクターを含有する宿主細胞の選択を可能にする選択可能な要素をも含有しうる。しかし、これらの選択可能な要素は、ベクターまたはDNAフラグメントを宿主細胞の染色体DNA中へ組込む場合には、不要であるかまたは望ましくない。
【0069】
本発明によるリボフラビンシンテターゼ発現ベクターは、特定の選択可能な遺伝標識に制限されていない。専門家は、リボフラビンシンテターゼ発現ベクターを使用する場合には多くの選択可能な標識が適当であることを承知している。これらの選択可能な標識は、栄養要求性選択遺伝子、たとえばleu2−菌株中の選択可能なLEU2−遺伝子(Hinnen等,1978年,Proc.Natl.Acad.Sci.,米国75:1929)、his2−菌株中の選択可能なHIS3−遺伝子(Struhl 1982年,Nature 300:284)ならびにtrpl−菌株中の選択可能なTRPl遺伝子(Hitzemann等,1980年,J.Biol.Chem.,255:12073);優位選択を可能にする遺伝子、たとえば銅抵抗を与えるCUPl−遺伝子(Henderson等,1985年,Curr.Genet.,9:133)ならびに抗生物質抵抗を与える遺伝子、たとえばG418、Tn601中の選択可能な遺伝標識(TimenezおよびDavies,Nature、287:869,1980頁)、ヒグロマイシン、プラスミドpIT123中の選択可能な遺伝標識(Kaster等,Curr.Genet.,8:353,1983年)を包含する。
【0070】
若干の本発明によるプラスミドは、リボフラビン生産細胞中のリボフラビンシンテターゼ活性濃度を高めるのに適当である。プラスミドpJR235は、S.セレビシエの完全なリボフラビンシンテターゼ遺伝子を含有するので、プラスミドpJR235でのS.セレビシエの形質転換はリボフラビンシンテターゼ遺伝子のコピー数の増加を形成し、これが細胞内部の酵素濃度の増加をもたらす。
【0071】
S.セレビシエのリボフラビンシンテターゼ遺伝子は、アッシュビヤ・ゴッシピィ(Ashbya gossypii)およびエレモテシウム・アッシュビィ(Eremothecium ashbii)中で機能することから出発する。従って、プラスミドpJR235の組込みによるA.ゴッシピィおよびE.アッシュビィの形質転換はリボフラビンシンテターゼ遺伝子のコピー数の増加、ひいては細胞内部における酵素濃度の増加を生じる。しかし、S.セレビシエのリボフラビンシンテターゼをコードする本発明による配列は、エレモテシウムおよびアッシュビヤから誘導される転写および翻訳の活性化配列を、とくにこれら生物体に定められた組換え遺伝子の構成のために制御することもできる。
【0072】
S.セレビシエの本発明による発現ベクターは、ここに記載した特殊なベクターに制限されていない。本発明は、S.セレビシエの各任意の発現プラスミドまたはS.セレビシエ中のリボフラビンシンテターゼの発現を制御する各ベクターを包含する。従って、本発明は、S.セレビシエ中の機能性複製単位、たとえばプラスミド2μの複製原単位および他の自律性複製配列を使用するリボフラビンシンテターゼ発現ベクターを包含する。また、本発明はプラスミドベクターに制限されておらず、本発明は、リボフラビンシンテターゼ活性を表現しかつゲノム中でのウィルスによる複製または組込みを使用し、例3に記載したように、宿主細胞中に維持する発現ベクターまたはDNA化合物をも包含する。
【0073】
D. リボフラビンシンテターゼ活性をコードするDNA化合物を含有する発現ベクターで変換された組換え微生物
本発明の別の対象は、リボフラビンシンテターゼ活性をコードする本発明によるDNA化合物を含有する発現ベクターで変換された組換え微生物である。これらの形質転換細胞は、適当な宿主細胞中へ本発明による発現ベクターを接合し、引き続きこの細胞を、宿主細胞の染色体DNA中への組込みまたはこの細胞中での複製に適当である条件下で培養し、ならびに形質転換細胞を選択することによって得られる。適当な宿主細胞は、酵母、細菌または糸状菌のような各リボフラビン生産性または非生産性微生物である。とくに、これらの微生物は、サッカロミセス、エシェリキア、カンジダ、エルモテシウムおよびアッシュビヤ属に属するが、他の属の微生物も本発明による発現ベクターで変換することができる。これら宿主細胞の形質転換に適当な条件は、形質転換すべき細胞の種類に依存しかつ専門家に良く知られている。この点で、次の文献を引用する:Maniatis等,1982年,Molecular Cloning:A laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,ニューヨークおよびYeast Genetics,Eds:J.F.T.Spencer,Dorothy M.SpencerおよびA.R.M.Smith,Springer出版(1983年)、これには微生物用の通常の形質転換技術が記載されている。
【0074】
本発明の望ましい実施形ではE.コリJM101/pJR235の形質転換細胞が製造され、これは、NCIMBにおいてNo.NCIMB40480で寄託された。
【0075】
E. S.セレビシエのリボフラビンシンテターゼ活性の製造
本発明のもう1つの重要な対象は、S.セレビシエ リボフラビンシンテターゼ活性の製造方法である。この方法は大体において、本発明による発現ベクターで形質転換された、S.セレビシエのリボフラビンシンテターゼをコードするDNA化合物を含有する生物体の培養を実施することを要旨とし、その際この培養は、組込まれる遺伝子の発現に適当な条件下に行なわれる。これらの条件は、形質転換される微生物の種類に依存し、既に従前に挙げた条件の範囲内に存在しうる。
【0076】
リボフラビンシンテターゼ活性は、精製することができるか、または精製せずに直接、この酵素を含有する粗製細胞抽出物から使用することができる(例4)。
【0077】
既述したように、本発明はS.セレビシエ リボフラビンシンテターゼ遺伝子のコーディング配列ならびにS.セレビシエ中のこの遺伝子の発現を制御する一連の発現ベクターを利用する。S.セレビシエ中でのリボフラビンシンテターゼの生産は高い発現速度および酵素の簡単な単離を可能にするので、これは新規フラビン化合物を製造するための新規ルマジン誘導体の試験管内縮合を触媒するのに使用することができる。S.セレビシエ、カンジダ・グリエルモンジ(Candida guilliermondii)、カンジダ・フラレリ(Candida flarerii)、エレモセシウム・アッシュビィ(Eremothecium ashbyii)、アッシュビヤ・ゴッシピィ(Ashbya gossypii)および他のリボフラビン生産性生物体を、重要な宿主細胞中でのリボフラビンシンテターゼの発現を制御する本発明による発現ベクターで形質転換すると、形質転換された細胞中に高いビタミン含量が生じる。
【0078】
リボフラビンシンテターゼは、例4に記載したように、細胞不含系中で6,7−ジメチル−8−リビチル−ルマジンからリボフラビンを製造するために使用することができる。リボフラビンは天然のビタミンであるだけではなく、たとえばFMNおよびFADのような他の重要な補助因子の製造用出発物質である。リボフラビンシンテターゼの別の重要な使用分野は、本発明によるリボフラビンシンテターゼに関し新規フラビン誘導体の製造のために認めることのできる種々の6,7−ジメチル−8−リビチル−ルマジン化合物の縮合である。
【0079】
F. 6,7−ジメチル−8−リビチル−ルマジンからのリボフラビンの製造
本発明のもう1つの重要な対象は、6,7−ジメチル−8−リビチルルマジンからのリボフラビンの製造方法である。この方法は、大体において、6,7−ジメチル−8−リビチル−ルマジン含有溶液を、本発明によるS.セレビシエ リボフラビンシンテターゼと一緒にすることを要旨とする。このシンテターゼは、精製された形で、ならびに既述したように、このシンテターゼを含有する粗製細胞抽出物の使用により精製せずに使用することができる。この方法は、溶液中でまたは酵素またはシンテターゼ含有細胞を適当な担体に固定することにより実施することができる。
【0080】
この方法は、
−pH 6.5〜7.5
−温度 30℃〜40℃で
−はじめに10μg/溶液1mlの酵素の最低濃度を用いて実施することができる。
【0081】
精製された酵素または粗製細胞抽出物からの酵素を結合することのできる固体担体材料としては、この種の方法に常用のもの、たとえばカラゲナン、セファロース(SIGMA)または他の適当な担体が挙げられる。
【0082】
本発明の望ましい実施形においては、リボフラビンは6,7−ジメチル−8−リビチル−ルマジンから細胞不含の系中で製造される(例4)。
【0083】
G. 新規フラビンの製造
本発明のもう1つの重要な対象は、本発明によるリボフラビンシンテターゼの使用下に、この酵素により基質と認識することのできる、6,7−ジメチル−8−リビチル−ルマジン以外のルマジン誘導体から新規フラビンまたはフラビン誘導体を製造する方法である。
【0084】
リボフラビンシンテターゼは、単離した純粋な形でまたは粗製細胞抽出物で使用することができ、この方法は溶液で、ならびに純粋な酵素またはこの酵素を含有する細胞抽出物の細胞を、適当な固体担体に固定することにより、上述した形で実施することができる。
【0085】
細胞抽出物リボフラビン生産性生物体は、天然物でない(天然に産出されない)フラビンを合成するために使用することができる。本発明による発現ベクターは、新規フラビンまたはフラビン誘導体製造のため天然に出現しないルマジンの試験管内縮合のために使用することができ、粗製細胞抽出物中のリボフラビンシンテターゼを製造する有効かつ廉価な方法を提供する。リボフラビンシンテターゼの担体として適当である天然物でないルマジン誘導体の探索は、基質として天然物でないルマジン誘導体を受容するリボフラビンシンテターゼ突然変異体の探索によって完成することができる。本発明は、これらのリボフラビンシンテターゼ突然変異体を探索するための出発物質を提供する。
【0086】
本発明を次の実施例につき説明するが、該例は本発明を明らかにするだけで、制限するものではない。
【0087】
【実施例】
例1
E.コリK12JM101/pJR235の培養およびプラスミドpJR235の製造
1.A. E.コリK12JM101/pJR235の培養
NCIMBにNo.40480で寄託されているE.コリK12JM101/pJR235凍結乾燥物は、下記方法において接種培地として使用することができる。
【0088】
LB培地(1lあたりトリプトン10g、NaCl 10gおよび酵母エキス5g)1l(アンピシリン100μm/lを含有する)に、E.コリK12JM101/pJR235接種培養物を接種し、37℃で通気下に、590mn(O.D.590)における光学密度が≒1になるまでインキュベートした。次いで、培養物にクロラムフェニコール150mgを加え、インキュベーションを16時間続けた。クロラムフェニコールの添加はタンパク合成、それと共にあとでの細胞分裂を阻止するが、プラスミドの複製は妨げない。
【0089】
1.B. プラスミドpJR235の製造
例1Aにより製造した培養物を、4℃で5分間、ソルバル(Sorvall)GSAロータ(Du Pont Co. Biotechnology Systems,ウィルミントン在、DE19880−0024)中で6000r.p.m.で遠心分離した。生じた上澄みは捨て、細胞沈殿物をTES緩衝液(トリス−HCl 10mM,pH=7.5;NaCl 10mMおよびADTA 1mM)40ml中で洗浄し、沈殿させた。上澄みを再び捨て、細胞沈殿物をドライアイスおよびエタノール含有浴中で凍結し、引き続き再び解凍した。解凍した細胞沈殿物を改めて、サッカロース25%およびEDTA50mMからなる溶液10mlに懸濁させた。引き続き、この溶液に、リゾチーム5mg/ml、EDTA0.25M 3ml、pH=8.0、ならびにリボヌクレアーゼA100μlからなる溶液を混合し、次いでこれを15分間氷中でインキュベートとした。リゾチームで処理した細胞に、溶解液(10%のTriton−X 100 3ml、EDTA 0.25M 75ml、pH=8.0、トリス−HCl 1M15ml、pH=8.0および水7mlを混合することにより製造)3mlを添加し、混合した後、生じた溶液を15分間氷中でインキュベートした。凍結乾燥した細胞を、ドライアイス・エタノール浴中で凍結し、引き続き再び解凍した。
【0090】
細胞廃棄物は、SW27−ロータ(Beckman,7360 Lincoln.Ave.,Lincolnwood,IL60646)中で25000r.p.m.で40分遠心分離し、緩衝したフェノールで抽出することにより溶液から除去した。
【0091】
CsCl約30.44gおよび臭化エチジウム50mg/mlからなる溶液約1mlを上記溶液に加え、引き続き溶液を40mlにし、超遠心機Vti50(Beckman)の管に入れた。管を密封し、溶液をロータVTi50中、42000r.p.m.で遠心分離した。生成したプラスミドの、紫外線で可視性にした横盤を単離し、管およびロータTi57に入れ(容積適合は、CsCl 0.761g/mlを含有するTESを用いて実施した)、50000r.p.m.で16時間遠心分離した。プラスミド横盤(Plasmidquerscheibe)を改めて単離し、臭化エチジウムを除去するため、食塩で飽和したイソプロパノールで抽出し、TES緩衝液で1:3に希釈した。引き続き、溶液に2容のエタノールを加え、次にこれを夜どおし−20℃でインキュベートした。プラスミドDNAを、ロータSS34(Du Pont Co., Biotechnology Systems, Wilmington,DE 19880−0024)中で10000r.p.m.で溶液を15分間遠心分離することにより沈殿させた。
【0092】
こうして得られたプラスミドDNA pJR235(≒1mg)を、TE緩衝液(トリス−HCl 10mM,pH=8.0およびEDTA 1mM)1mlに再懸濁させ、−20℃で保存した。
【0093】
添付図面の図3にはプラスミドpJR235の機能および制限地図が示されている。
【0094】
例2
S.セレビシエの遺伝子RIB5のクローニングおよび分析
リボフラビンシンテターゼをコードする、S.セレビシエのRIB5−遺伝子を含有するDNA−フラグメントの一般的製造方法は、劣性のrib5−10突然変異体を機能的に相補することのできる、S.セレビシエのゲノムライブラリーからクローンを単離することを要旨とする。rib5−突然変異体が、S.セレビシエ中のリボフラビンシンテターゼをコードするRIB5−遺伝子に影響を及ぼし、この突然変異を含有する菌株は、リボフラビン不含培地中で成長不能になる。
【0095】
2. リボフラビンシンテターゼをコードする遺伝子中の影響されたrib5−突然変異体
rib5突然変異の頻度を上げるために、突然変異原エチルメタンスルホネート(30μl/ml)(EMS;Sigma)を使用した。突然変異誘発をS.セレビシエの菌株SI502(MATa his−3−Δ1 leu2−3 leu2−112 ura3−52)の細胞中で常法に従って実施した(Lawrence,C.W.Guide Yeast Genetics and Molecular Biology 所属、Methods Enzymol.,194:273,1991年)。リボフラビンを補足(20μg/ml)したYPD培地中に突然変異誘発した細胞2×10を接種し、引き続きリボフラビンなしの完全な合成培地(SC−rib)中で複製した後、リボフラビン不含培地中で成長できない栄養要求性突然変異体を検出し、選択した(Sherman,F.Guide Yeast Genetics and MolecularBiology 所属、Methods Enzymol.,194:1,1991年)。rib5−突然変異体を、リボフラビンに対し栄養要求性の突然変異体のうち、6,7−ジメチル−8−リビチル−ルマジンを培地中で蓄積する能力につき確認した。RIB5−遺伝子のクローニングのために、突然変異体AJ10(MATa his−3−Δ1 leu2−3 leu2−112 rib5−10 ura3−52)を選択した。
【0096】
2.B. RIB5−を含有するプラスミドpJR211の単離
RIB5−遺伝子を有しかつS.セレビシエの菌株AJ10のrib5−10突然変異を完成することのできるプラスミドの単離のために、動原体プラスミドYCp50中でS.セレビシエGRF88(ATCCからATCC No.37415で得られた)からのDNAを使用した。実際に、酢酸リチウムで処理することによって得た、S.セレビシエの菌株AJ10の能力細胞を、例1Bに記載した方法と類似に、YCp50中の遺伝子のDNA65μgと共にインキュベートした。反応混合物を、ベクターYCp50中に含有されている遺伝標識URA3および遺伝子ライブラリーのプラスミド中に含有されている単離すべきRIB5−遺伝標識の二重選択を実施するため、リボフラビンもウラシルも含有していなかった完全な合成培地中へ接種した。合計13000と評価された形質転換細胞(Phenotyp Ura)から、ウラシルおよびリボフラビン不含培地(Phenotyp Ura,Rib)中で成長しうる3つのクローンを得た。その担体がこの3つの形質転換細胞であったプラスミドを、細菌中での形質転換により回収し、制限酵素を用いて特性決定した(StrathernおよびGuide,Yeast Genetics and Molecular Biology,Methods Enzymol.,194:319,1991年)。この3つのプラスミドは同じ制限モデルを有し、そのうちの1つpJR211を別の分析のために選択した。ベクターYCp50および組込まれた≒13kbのDNAフラグメントからなるプラスミドpJR211は、菌株AJ10中へ組込む場合、同じ効率でrib5−10およびura3−52突然変異を完成することができる。
【0097】
2.C. RIB5−遺伝子のサブクローニングおよびプラスミドpJR235の構成
RIB5−遺伝子を含有する最小のDNA−フラグメントを限定するために、プラスミドpJR211のフラグメント≒13kbの一連の制限酵素の地図を作製し、種々の低位フラグメントを単離し、エピソームベクターYEp352に結合した。生じたプラスミドを、rib5−突然変異を完成する能力を調べ、それから、RIB5−遺伝子がフラグメントKpnI−PstI≒2.2kb中に含まれていたことが明らかになった。ベクターYEp352およびサブクローニングに使用されたフラグメントの機能および制限地図は、添付図面の図1に示されている。フラグメントKpnI−PstIをプラスミドpJR235の生成下にベクターYEp352中にクローニングし、該プラスミドの制限および機能地図は添付図面の図3に示されている。
【0098】
2.D. 遺伝子RIB5の完全な欠失を有する菌株の構成
RIB5−遺伝子のコーディング領域の大部分の安定な遺伝的欠失を有するS.セレビシエ菌株を構成するために、1工程の遺伝的破壊法(Rothstein,R.Recombinant DNA,Part C,Methods Enzymol.,101:202,1983年)を使用した。この方法は、酵母の反応の間ゲノム中の相同配列と直接に相互作用することにより組換えを刺戟する自由端を有するDNA分子の組換え能力を基礎としている。こうして、重要な遺伝子中で破壊が試験管内で形成されるので、遺伝子の配列は選択可能な標識の1つによって置換される(たとえばURA3)。試験管内で形成される破壊は、図4および5に示したように、あとで反応の間ゲノム配列の置換のために使用される。この構成の1例を次に記載する。
【0099】
図4が示すように、プラスミドpJR214は差当りNcolで消化して末端をポリメラーゼIのクレノウフラグメントで処理することにより平滑にし、引き続きBamHIおよびフラグメントBamHI−Ncol≒2kbで消化し、RIB5−遺伝子の5′−末端をフランキングし、アガロースゲル中で精製し、ブルースクリプト(Bluescript)KSベクター(Stratagene,La Jolla,CA,USA)に結合し、BamHIおよびSmaIで消化し、E.コリJM101に形質転換した。組換えプラスミドを選択し、pJR278と命名した。同様にして、RIB5−遺伝子の3′末端をフランキングするプラスミドpJRの14のフラグメントKpnI−PstI≒0.8kbを差当りPUCl 9にサブクローニングし(Yanisch−Perron等,Gene 33:103,1985年;New England Biolabs,ボストン,MA 米国およびBethesda Research Laboratories,Maryland,米国で入手)、これからフラグメントとしてHindIII−KpnI≒0.8kbを除去し、あらかじめHindIIIおよびKpnIで消化したpJR278に結合し、E.コリJM101に形質転換した。
【0100】
組換えプラスミドを選別し、pJR297と命名した。最後に、S.セレビシエの機能URA3−遺伝子(Botstein等,Gene 8:17,1979年)を含有するHindIII−HindIIIフラグメント≒1.1kbを、pJR298プラスミドの生成下に、pJR297にクローニングした。KpnIでのpJR298の消化は、RIB5遺伝子の5′および3′末端をフランキングする配列からフランキングされるURA3−遺伝子からなる≒1.9のフラグメントを遊離する。このフラグメントを精製し、DNA7μgをリボフラビンに対し原栄養体菌株S.セレビシエJC2a(MATαhis 3Δl leu2−112 ura3−52)の転換のために使用した。形質転換は、形質転換細胞の選択のために、転換の際に使用したDNAフラグメントが構成されていたウラシル不含培地SC−uraにクリーム状に固まった。
【0101】
さらに、得られたUra形質転換細胞17のうち2つはRib表現型であり、これはここでは天然のRIB5遺伝子が試験管内欠失によって置換されていたことを示す。引き続き、この菌株に溶解した、RIB5遺伝子AJ53(MATαhis 3Δl leu2−3 leu2−112 rib5−Δ11:URA3 ura3−52)の分裂を、サザンハイブリッド形成(図3)およびrib5突然変異体による完成によって確認した。
【0102】
例3
RIB5遺伝子の転写変更因子でのプラスミドおよびS.セレビシエ菌株の構成既述したように、RIB5−遺伝子のプロモーターを、この生合成遺伝子の構成のための大きい発現を可能にするプロモーターによって代えることは非常に有益でありうる。この形質転換体を含有するプラスミドは、大量のリボフラビンを生産する酵母株の製造のために使用することができる。
【0103】
RIB5−遺伝子のヌクレオチド配列ならびに酵母中へ強く表現可能で、3−ホスホグリセレートキナーゼPGKをコードする構成遺伝子のプロモーターを知ったことによって、PGK遺伝子プロモーターによるRIB5−遺伝子のコーディング領域を、ヤン(Yon)等(Nucleic Acids Res.,17:4895,1989年)により記載された方法に従いポリメラーゼ連鎖反応によって調節する調節が計画された。
【0104】
融合PGK−RIB5を含有するDNAフラグメントの製造のため、4つのヌクレオチドをアプライドバイオシステムス(Applied Biosystems)社のModel380A(Foster City,CA,米国)の自動DNA合成装置中で合成し、引き続きメーカーにより記載されたようにゲル電気泳動によって精製した。このプライマーのヌクレオチド配列およびその明細は次のとおりである:
【0105】
【表2】
Figure 0003549551
【0106】
プライマーAは、PGK−遺伝子のコーディング鎖のヌクレオチド配列(ヌクレオチド−580〜−620,Hitzeman等(Nucleic Acids Res.,10:7791,1982年)による番号付けした)に相同である(ヌクレオチド8〜28)。さらに、このプライマーは、その5′末端に、制限酵素Ncol(ヌクレオチド1〜6)およびBamHI(ヌクレオチド5〜10)の認識塩基の配列を有する。プライマーBはPGK−遺伝子のコーディング鎖のヌクレオチド配列(ヌクレオチド−17〜+13)に対して相補的である。プライマーCは、そのヌクレオチド1〜15が、PGK−遺伝子コーディング鎖のヌクレオチド配列(ヌクレオチド−12〜+3)およびRIB5遺伝子のコーディング鎖のヌクレオチド配列(ヌクレオチド+1〜+15、上記に記載したように番号付けした)に相同である。プライマーDは、RIB5−遺伝子のコーディング鎖のヌクレオチド配列(ヌクレオチド+738〜+755)に対して相補的である。
【0107】
トリス−HCl,pH=7.3 10mM;KCl 50mM,MgCl 2mM、各デソキシヌクレオチド三リン酸80nM、各プライマー[AとB、CとDまたはAとD]50pmol、下記に記載したようなDNA型50ngおよびTaqポリメラーゼ0.5単位からなる反応混合物100μlを製造した。反応は、DNAサーマルサイクラー(DNA Thermal Cycler)(Perkin−Elmer Cetus,Norwalk,CT,USA)中で30サイクル宛実施した。各サイクルは、94℃で1分の熱作用による変性工程を包含し、これに55℃で2.5分間のDNAに対するプライマーのリアニーリングおよび72℃で2.5分間のTaqポリメラーゼによる連鎖延長工程が続く。反応混合物に対し、制限酵素反応前にクロロホルムで1回抽出した1滴の鉱油を加えた。
【0108】
プライマーAおよびBならびにS.セレビシエX2180−1Aの野生型菌株(この菌株はYeast Genetic Stock Center,カリフォルニア大学、Berkely,CA,米国で入手することができる)のゲノムDNAを含有しかつPhilipsen等(Guide Yeast Genetics and Molecular Biology 所属、Methods Enzymol.,194:169,1991年)により記載された方法に従って製造した第1の反応混合物中に、PGK−遺伝子プロモーター(nt−580〜+3)を含有しかつさらに遠位の5′−末端にNcolおよびBamHIの認識配列を有しているDNAフラグメントを複製した。
【0109】
プライマーCおよびDならびにプラスミドpJR235のDNAを含有する第2の反応生成物においては、RIB5−遺伝子(nt+1〜+755)のコーディング領域が複製されていて、さらにヌクレオチド+1に相当する末端にPGK遺伝子に相当する配列(nt−12〜+3)を有していた。
【0110】
プライマーAおよびD、ならびにさきの2つの反応において複製された2つのフラグメントに相当する精製されたDNA(各フラグメントの250ng)を含有する第3の反応混合物においては、RIB5−遺伝子のコーディング領域(nt+1〜+755)を有するPGK−遺伝子プロモーターの配列(nt−580〜+3)が、図4Aに示したように存在するDNA−フラグメントが複製されていた。
【0111】
この反応生成物をアガロースゲル中で精製し、BamHIで消化し、BamHIおよびSmaIで消化したYEp352−ベクターをクローニングし、これによってプラスミドpJR376が生成した(図8)。引き続き、複製反応後は欠陥のない遺伝的融合PGK−RIB5の正しいヌクレオチド配列を順列決定によって確認した。
【0112】
例4
リボフラビンシンテターゼの特性表示
4.A. E.コリ中でのRIB5タンパク質の発現
E.コリ中でのリボフラビンシンテターゼの発現のために、合成trcプロモーターを有するベクターpTrc99Aを使用した(Amann等,Gene 69:301,1988年。このベクターは、Pharmacia LKB Biotechnology(Uppsala,Schweden)で入手できる)。trcプロモーターの制御下にRIB5遺伝子のコーディング配列を調節するために、あらかじめカドワキ等(Gene 76:161,1989年)により記載された方法による突然変異誘導によって、RIB5遺伝子のコーディング配列の開始コドン5′−ATG−3′のまわりに制限部位Ncolを形成した。このために、プライマーとして2つのオリゴヌクレオチドを使用した:E,制限部位Ncolの形成のためおよびD,さきに例3Aに記載したものに一致する。これらのオリゴヌクレオチドを、アプライド・バイオシステムス社のモデル380A(Foster City,CA,米国)のDNA合成装置中で製造した。その配列は次のとおりである:
【0113】
【表3】
Figure 0003549551
【0114】
100μlの容積を有するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(トリスHCl 10mM,pH7.3;KCl 50mM,MgCl 2mM、個々のデソキシヌクレオチド三リン酸それぞれ80nM,プライマーDおよびEそれぞれ50pmol,プラスミドpJR235のDNA50ngおよびTaqポリメラーゼ(Kit Gene Amp,Perkin−Elmer Cetus)0.5単位含有)において、開始コドン5′−ATG−3′中に制限部位Ncolを有するRIB5遺伝子の変更配列を含有するDNA−フラグメントを複製した。このフラグメントをアガロースゲル中で精製し、NcoIで消化し、あらかじめNcoI−SamIで消化したpTrc99A−ベクターに結合し、E.コリJM101に形質転換した。組換えプラスミドを選択し、pJR380と命名した。
【0115】
E.コリ中のS.セレビシエのRIB5−遺伝子の発現のために、プラスミドpJR380で形質転換したE.コリJM101細胞を16時間NZYAmP100−培地中で成長させ(カゼイン加水分解物1%、NaCl 0.5%、酵母エキス0.5%、MgSO 0.2%およびアンピシリン100μg/ml)、それをイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)1mMで2時間誘発した。発現プラスミドpJR380で形質転換した細胞は、pTrc99A−ベクターで形質転換したものよりも緩慢に成長した。IPTGで誘発後、発現プラスミドpJR380を含有する細胞は停止するまで成長した。この形質転換細胞の検鏡は、光屈折性細粒(封入体と呼ばれる)を細胞極中に含有しておりかつ大量の不溶性異物タンパク質を含有する形態学に典型的である伸長細胞の出現を示した(Sharma,S.K.,1986年,Separation Sci. Technol.,21:701〜726,1986年)。
【0116】
引き続き、細胞を遠心分離することによって取得し、溶菌緩衝液中に改めて懸濁させ、超音波により分解し、細胞抽出物を、サムブルック(Sambrook)等により記載された方法(1989年,Molecular cloning,A laboratory manual.,Cold spring Harbor,New York,Cold spring Harbor Laboratory Press)に従い、4℃および12000r.p.m.で15分遠心分離することによって可溶性画分と不溶性画分に分けた。
【0117】
これらの画分を変性条件下での電気泳動によって分析し、ゲルをクーマシーブルーで染色した。可溶性画分では正常バンドに対し付加的バンドは出現しなかったが、発現プラスミドpJR380で変換された細胞の不溶性画分は、クローニングRIB5−遺伝子のコーディング領域の誘導重量に一致する約24kDaの分子量の強いバンドを示した(図5)。この結果は、E.コリ中のRIB5−タンパク質は、タンパク質の大部分が不溶性の酵素不活性の形で存在しかつその抽出のためにデタージェントまたは変性剤の使用が必要であるときでも、高度に表現することができる。
【0118】
4.B. ポリクローナル抗体anti Rib5の製造および精製
E.コリJM101中に表現される不活性Rib5−タンパク質は、下記に記載するように、ポリクローナル抗体製造の際免疫原として使用するために好適である。発現プラスミドpJR380で形質転換し、IpTGで誘導した、例4Aに記載したように製造した細胞250mlからの、Rib5−タンパク質を含有する不溶性沈殿物を、蒸留水20mlで洗浄し、0.1Mトリス・HCl(pH=8.5)4mlおよび尿素3Mに溶解した。混合物を4℃、12000r.p.m.で15分遠心分離し、尿素を0.1Mトリス・HClへの透析により除去した。タンパク質99%の純粋なRib5−タンパク質(測光により決定)(図9−A)合計5mgが得られた。
【0119】
前免疫血清(Praeimmu−Serum)を得るためあらかじめ採血したニュージーランドウサギを、100mMのトリス・HCl(pH8.5)0.5mlおよび100℃で3分変性し、完全なフロイントアジュバント(Hoechst−Behring)で乳化したSDS2%中のRib5−タンパク質100μgを皮下注射した。引き続き、ウサギを全部2週間更新用量で接種し、初期免疫化から6週間後に、免疫血清を得るために採血した。
【0120】
抗体を、E.コリJM101中に表現されるRib5−タンパク質をAffi−ゲル 10−Matrix(Bio Rad,Richmond,CA)に結合して含有していたカラム中でのアフィニティー・クロマトグラフィーにより、メーカーの指示に従って精製した。カラムを、Staph緩衝液(NaHPO1.6μM,NaHPO・7HO 1.1μM,Triton X1001%,SDS 0.1%,NaN 0.1%,NaCl 0.1M,デソキシナトリウムコレート 0.5%)で徹底的に洗浄し、引き続き0.2Mグリセリン(pH2.2)20容量で溶離し、溶離液を直ちに1Mトリス・HCl(pH=8.8)1/9容量で中和し、0.1%アジドの存在で4℃で保存した。これらの抗体がE.コリの総タンパク質のウエスタンブロッティングで検出された場合、適当な大きさのポリペプチドとの反応が観察された。クーマシーブルーで染色されたゲルにおけるように、ウエスタンブロッティングにより検出されたRib5−タンパク質の大部分は不溶の形で存在していた(図9−B)。
【0121】
4.C. S.セレビシエのリボフラビンシンテターゼの精製
リボフラビンシンテターゼは、2分子の6,7−ジメチル−8−リビチル−ルマジンからのリボフラビン−および5−アミノ−6−リビチル−アミノ−2,4(1H,3H)−ピリミジンジオン分子の生成を触媒する。この酵素は、幾つかの微生物および植物中に見出され、アッシュビヤ・ゴッシピィ(Ashbya gossypii)、エシェリキア・コリおよびホウレンソウの半精製製剤が製造された。酵母からのリボフラビンシンテターゼは、精製法が非常に費用がかかりかつ面倒であるにも拘らず、既に約5000回精製された(Plaut,G.W.E等,Biochemistry 9:771〜785,1970年)。
【0122】
低級微生物(高フラビン生産性子のう菌を含む)の細胞抽出物中のリボフラビンシンテターゼ含量は僅かであり、これがその精製および特性表示を困難にする。従って、酵素の簡単で再現可能な精製法ならびに酵素活量によらない別の検出法を使用することが望ましい。
【0123】
S.セレビシエのリボフラビンシンテターゼの精製のために、YPD培地中のOD600=1.5〜2.0を有する野生型菌株X2180−1aの細胞の培養液250mlからの、ミカエリ(Michaeli)等(EMBO J.,10:3045,1989年)の方法による細胞抽出物を製造した。得られた細胞抽出物1ml(タンパク質≒5mg/ml)を、あらかじめトリス・HCl緩衝液(pH=7.5)20mMで平衡にしたイオン交換カラムMonoQ HR−5/5(pharmacia)を使用してFPLCクロマトグラフィーによって分別した。保持されたタンパク質を、NaCl 0〜0.5Mの連続的勾配法で溶離し、画分1mlを、例4Bからの方法によって得られたanti−Rib5−抗体を用いるウエスタンブロッティングによって分析した。anti−Rib5−抗体は画分22(250mMのNaCl濃度に一致)中に溶離した約24kDaのポリペプチドと特異的に反応した。このポリペプチドの分子量は、クローニング遺伝子のコーディング領域のヌクレオチド配列の誘導重量と一致する。
【0124】
同様に、イオン交換クロマトグラフィー前の画分を、バッシャー(Bacher)等により記載された方法(Methods Enzymol,122:192,1986年)によりリボフラビンシンテターゼ活性を調べた。試験混合物は実際に、リン酸カリウム(pH=7)50mM、NaHSO 10mM、6,7−ジメチル−8−リビチル−ルマジン(PlautおよびHarveyにより記載された方法(Methods Enzymol,18B:515〜538,1971年)により合成)0.6mMおよび試験すべき画分150μl(全容量1ml中)を含有していた。反応混合物を暗所中で1時間37℃でインキュベートした。インキュベーション時間の初めと終りに、試料を採取し、タンパク質をトリクロル酢酸15%の添加により沈殿させた。
【0125】
合成リボフラビンの量は、470nmにおける光学密度の増加(470nmにおけるリボフラビンのモル吸光=9300)から計算し、比活性は毎時タンパク質1mgあたり生成したリボフラビンnmolで表わした。結果は、リボフラビンシンテターゼ活性はNaCl濃度250mMで溶離した画分22において最大を示し、その際これはanti−Rib5−抗体と反応したポリペプチド中に確認されたと同じ画分である。
【0126】
画分22中に存在するタンパク質を変性条件下で電気泳動により分析し、ゲルを銀で染色する(Morrisey,Anal.Biochem.,117:507,1981年)場合、抽出物の総タンパク質の99%以上に達しかつ約24kDaの分子量を有する単1つの大きいバンドが出現し、これはクローニング遺伝子のコーディング領域のヌクレオチド配列の誘導された分子量と一致する(図10−B)。
【0127】
4.D. S.セレビシエのリボフラビンシンテターゼの特性表示
4.D.1 リボフラビンシンテターゼのアミノ末端端部の配列決定
真核生物の生物体中では、ポリペプチドへのmRNAの有効な翻訳の後、しばしば成熟ポリペプチド製造のためあとでの修飾が必要である。Rib5−タンパク質がそのアミノ末端端部に何らかの変化を有するか否かを確認するためおよび本発明により提案された出発コドン(ORF中の相中の最初のATG)が実際にRib5−タンパク質に使用された出発コドン(ORF中の相中の最初のATG)と一致することを立証するために、Rib5−タンパク質のアミノ末端端部を配列決定した。例4Cによる方法に従いイオン交換クロマトグラフィーによって精製したRib5−タンパク質5μgを、アクリルアミド14%を含有するゲル中で変性条件下での電気泳動にかけ、マツダイラの方法(J.Biol.Chem.,262:10035,1987年)に従いジフルオロポリビニリデン膜PVDF(Inmobilon−P,Millipore Corporation,Bedford,MA)上へ移した。
【0128】
移した後、膜を20%エタノールで濡らし、Rib5−タンパク質に一致する、照射により可視的になったバンドを切取り、アプライド・バイオシステムズ社のModel 470のタンパク質シークエンサー(Protein−Sequencer)(ガス相シークエンサー)(Foster City, Ca,米国)中で配列決定した。最初の8つの分析したアミノ酸基の配列:NH−Met−Phe−Thr−Gly−Ile−Val−Glu−Cys−・・・・・−COOHは、クローニング遺伝子のヌクレオチド配列から誘導されたアミノ酸配列と同じであり、これは本発明の範囲内で提案された出発コドン(ORF中の相中の最初のATG)は適正なものであることおよびRib5−タンパク質、リボフラビンシンテターゼはそのアミノ末端端部に変化を有しないことを指摘する。
【0129】
4.D.2 自然条件下でのリボフラビンシンテターゼの分子量測定
リボフラビンシンテターゼが自然条件下でモノマーの形またはマルチマーの形で存在するか否かを確認するために、Rib5−タンパク質の分子量を自然条件下で測定した。例4Cにより精製したRib5−タンパク質(0.5μg)を4%〜20%のポリアクリルアミド勾配のゲル(Bio−Rad,Richmond,CA)中でトリス−グリシン緩衝液(トリス25mM,グリシン150mM)中、4℃、25mAで12時間、チログロブリン(Tiroglobulin)(669kDa)、フェリチン(Ferritin)(440kDa)、カタラーゼ(232kDa)、ラクテートデヒドロゲナーゼ(140kDa)およびウシ血清アルブミン(67kDa)からの自然の遺伝標識と一緒に分析した。
【0130】
電気泳動の終結後、ゲルを銀で染色し、自然条件下のRib5−タンパク質の分子量をアンデルセン(Andersen)等(FEBSLett.,20:199,1971年)により記載された方法に従って評価した。結果(図11)は、Rib5−タンパク質は非変性条件下では約72kDaの分子量を有することを示し、これはリボフラビンシンテターゼは自然の状態では3つの同じRib5−ポリペプチド−サブユニットからなるマルチマーであることを意味する。この結果は、デービス(Davies)およびスターク(Stark)により記載された方法(Proc.Natl.Acad.Sci.,米国 66:651,1970年)に従いジメチルスベルイミデートの存在における架橋実験によって確認された。
【0131】
例5
リボフラビンシンテターゼの製造速度
リボフラビンシンテターゼの製造は、S.セレビシエの野生型菌株およびリボフラビンシンテターゼに対しコードするRIB5−遺伝子の種々の修飾体の担体菌株において測定された。野生型菌株X2180−1Aの定常相における培養のタンパク質抽出物、RIB5−遺伝子の完全な欠失の担体、AJ113、形質転換細胞AJ53、RIB5−遺伝子を含有するマルチコピープラスミドpJR235の担体、ならびにAJ112、形質転換細胞AJ53、遺伝的融合PGK−RIB5を含有するマルチコピープラスミドpJR376の担体を、例4Cによる方法に従ってそのリボフラビンシンテターゼ活量につき分析した。下記に第I表に記載した結果が得られた。
【0132】
Figure 0003549551
第I表につき、マルチコピープラスミド中のRIB5−遺伝子の存在は野生型菌株中のリボフラビンシンテターゼ活性の少なくとも20倍上昇を前提とすると約言することができる。この活性は、強表現プロモーター、たとえばPGK−遺伝子のプロモーターの使用によってなお付加的に高めることができ、これは菌株AJ112が野生型菌株よりも80倍高いリボフラビンシンテターゼ活性を有することとなる。
【0133】
微生物の寄託
E.コリJM101/pJR235の形質転換細胞は、1992年3月17日にナショナル・コレクションズ・オブ・インダストリアル・アンド・マリン・バクテリア・リミテッド(National Collections of Industrial and Marine Bacteria Limited(Aberdeen (Schottland,Grossbritanien)のNCIMB)にNCIMB No.40480で寄託された。
【0134】
配列記録
(1) 一般的情報:
(i) 出願人
(A) 名称 :BASF Aktiengesellschaft
(B) 町名 :Carl−Bosch−Strasse 38
(C) 都市名:Ludwigshafen
(E) 国名 :Bundesrepublik Dentschla
nd
(F) 郵便番号:D−6700
(G) 電話 :0621/6048526
(H) テレファックス:0621/6043123
(I) テレックス:1762175170
(ii) 本願表題:DNA化合物およびS.セレビシエのリボフラビンシンテターゼ活性をコーディングする組換えDNA−発現ベ
クター
(iii) 配列の数:8
(iv) コンピュータ読取り可能な形:
(A) データ担体:フロッピィ・ディスク
(B) コンピュータ:IMB PC Compatible
(C) オープンシステム:PC−DOS/MS−DOS
(D) ソフトウェア:
(2) SEQに対する情報ID NO:1:
(i) 配列特性:
(A) 長さ :1439塩基対
(B) 種類 :核酸
(C) 鎖の形:2本
(D) トポロジー:線形
(ii) 分子の種類:DNS(ゲノム)
(iii) 仮定:なし
(iii) アンチセンス:なし
(vi) 原出所:
(A) 生物体:サッカロミセス・セレビシエ
(ix) 特徴:
(A) 名称/符号:CDS
(B) 位置:1. .717
(xi) 配列の記述:SEQ ID NO:1:
【0135】
【表4】
Figure 0003549551
【0136】
【表5】
Figure 0003549551
【0137】
【表6】
Figure 0003549551
GTCAAACCAA TTGGTGAGTA CGTAACCATA GCACA
(2) SEQ ID NO:4に対する情報:
(i) 配列特性:
(A) 長さ :塩基対28
(B) 種類 :核酸
(C) 鎖の形:1本鎖
(D) トポロジー:線形
(ii) 分子の種類:DNS(ゲノム)
(vii) 直接の出所:
(B) クローン:プライマーA
(xi) 配列記述:SEQ ID NO:4:
CCATGGATCC CTCCTTCTTG AATTGATG
(2) SEQ ID NO:5に対する情報:
(i) 配列特性:
(A) 長さ :塩基対20
(B) 種類 :核酸
(C) 鎖の形:1本鎖
(D) トポロジー:線形
(ii) 分子の種類:DNS(ゲノム)
(vii) 直接の出所:
(B) クローン:プライマーB
(xi) 配列の記述:SEQ ID NO:5:
CATTGTTTTT ATATTTGTTG
(2) SEQ ID NO:6に対する情報:
(i) 配列特性:
(A) 長さ :塩基対27
(B) 種類 :核酸
(C) 鎖の形:1本鎖
(D) トポロジー:線形
(ii) 分子の種類:DNS(ゲノム)
(vii) 直接の出所:
(B) クローン:プライマーC
(xi) 配列の記述:SEQ ID NO:6:
AATATAAAAA CAATGTTTAC TGGTATT
(2) SEQ ID NO:7に対する情報:
(i) 配列特性:
(A) 長さ :塩基対18
(B) 種類 :核酸
(C) 鎖の形:1本鎖
(D) トポロジー:線形
(ii) 分子の種類:DNS(ゲノム)
(vii) 直接の出所:
(B) クローン:プライマーD
(xi) 配列の記述:SEQ ID NO:7:
GAAACCTATT TATGACGA
(2) SEQ ID NO:8に対する情報:
(i) 配列特性:
(A) 長さ :塩基対20
(B) 種類 :核酸
(C) 鎖の形:1本鎖
(D) トポロジー:線形
(ii) 分子の種類:DNS(ゲノム)
(vii) 直接の出所:
(B) クローン:プライマーE
(xi) 配列の記述:SEQ ID NO:8:
ATAGCACCAT GGCTACTGGT
【図面の簡単な説明】
【図1】プラスミドYEp352の機能および制限地図。
【図2】遺伝子RIB5のサブクローニングを示す図。
【図3】プラスミドpJR235の機能および制限地図。
【図4】プラスミドpJR298の構成を示す図。
【図5】遺伝子置換による遺伝子の破壊を示す図。
【図6】野生菌株および置換菌株で発酵したゲノムDNAのサザンブロッティング図。
【図7】組換えPCRによる遺伝子融合PGK−RIB5の構成を示す図。
【図8】プラスミドpJR376の機能および制限地図。
【図9】E.コリ中でのリボフラビンシンテターゼの発現を示すもので、Aは染色したポリアクリルアミド・SDSゲル中で誘導または非誘導細胞抽出物の可溶性または不溶性画分の分析を示す図、Bは上記抽出物の可溶性または不溶性画分のウエスタンブロッティング図。
【図10】S.セレビシエ中のリボフラビンシンテターゼの精製および特性表示を示し、Aは全タンパク抽出物からのFPLCによる分析図、BはそのSDS−ポリアクリルアミドゲル中での電子泳動による分析図。
【図11】天然条件下でのリボフラビンシンテターゼの分子量決定を示す図。
【符号の説明】
図2:
(a) プラスミド
(b) rib5−10−突然変異の相補
図4:
(a) Ncolによる消化
(b) クレノウフラグメントでの処理
(c) BamHIによる消化
(d) フラグメントBamHI−NcolIK 1.6kbの精製
(e) KpnIおよびPstIによる消化
(f) 結合
(g) KpnIおよびHindIIIによる消化
(h) BamHIおよびSmaIによる消化
(i) HindIIIによる消化
図10A:
(a) 比活性(B2 nモル/mg)
(b) 画分数
(c) NaCl(M)

Claims (2)

  1. (a)サッカロミセス・セレビシエからのリボフラビンシンテターゼ活性をコードする、SEQ ID No1のDNA化合物、または
    (b)上記化合物の遺伝的変異型であり、リボフラビンシンテターゼ活性を表現する配列、
    を有する発現ベクターを用いて宿主細胞を形質転換することにより、宿主細胞中のリボフラビン合成における収率を上昇させる方法。
  2. サッカロミセス・セレビシエからのリボフラビンシンテターゼを発現させることのできる発現ベクターで宿主細胞を形質転換することによるリボフラビンの組換えによる製造法において、好適な発現ベクター中で
    (a)リボフラビンシンテターゼ活性をコードする、SEQ ID No1のDNA化合物、または
    (b)上記化合物の遺伝的変異型であり、リボフラビンシンテターゼ活性を表現する配列
    をクローニングすることを特徴とする、組換えによるリボフラビンの製造法。
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