JP3816168B2 - 熱転写シート及びそれを用いた画像形成方法 - Google Patents

熱転写シート及びそれを用いた画像形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱により画像を被転写布に転写可能な熱転写シートとそれを用いた画像形成方法に関し、さらに詳しくは、被転写布に、印字性、耐洗濯性、柔軟性、風合いなどに優れた転写画像を形成することができると共に、基材シートに対する転写層の密着性が良好で、しかも熱転写後には、基材シートを容易に剥離することができる熱転写シートとそれを用いた画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱転写シートは、一般に、基材シート上に熱可塑性樹脂を含む転写層が設けられた積層構成を有している。熱転写シートの転写層面には、印刷等の手段により画像(図柄、紋様、文字等)を形成する。熱転写シートを用いて転写するには、画像を形成した転写層面を衣類やハンカチ等の被転写布に当接し、基材シート面上からアイロンやホットプレス等を用いて加熱・加圧すればよい。転写後は、転写層から基材シートを剥離する。
【0003】
従来、特公昭51−42238号公報には、水溶性またはアルカリ可溶性の繊維素誘導体やビニル重合体を転写層に用いた熱転写シートが開示されている。転写層面には、染顔料を含むインクで転写すべき図柄を印刷する。被転写布に転写層とインク図柄を転写した後、インク中の染顔料を固着処理し、次いで、転写層を溶解除去し、水洗乾燥すれば、被転写布上に染顔料のみの図柄が残る。この熱転写シートは、被転写布上に違和感のない図柄を転写することができるものの、印字濃度などの印字性が十分ではなく、耐洗濯性も不十分である。
【0004】
登録実用新案公報第30018811号には、基材シートの片面に、アクリル樹脂エマルジョンを主成分とする親水性の捺染糊を塗布した熱転写シートが提案されている。捺染糊の塗布面には、水性インクによって図柄を印刷する。この熱転写シートは、捺染糊からなる転写層の水性インキ受理性は良好であるものの、熱転写時に捺染糊が可塑化して布地に付着するため、貼付跡が目立って違和感があり、しかも耐洗濯性が十分ではない。
【0005】
特開平2−305689号公報、特開平4−187495号公報、特開平5−162469号公報などには、基材シート上に熱可塑性樹脂を主成分とする転写層を形成した転写シートが提案されている。転写層面には、溶融型熱転写インクリボンを圧着・加熱して、インク画像を溶融転写する。この熱転写シートは、被転写布に画像を転写した場合、熱可塑性樹脂からなる転写層も転写されるため、▲1▼貼付跡が目立つ、▲2▼布地の柔軟性が損なわれ、違和感が生じる、▲3▼乾燥機を用いて乾燥させると、熱可塑性樹脂が脱離して転写部以外の箇所や他の衣類に付着したり、画像部分も脱離して画像濃度が薄くなったりする、▲4▼アイロンをかける場合には、熱可塑性樹脂が溶融してアイロンに付着しないように、剥離紙を挟んで行わなければならない、などの欠点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、被転写布に、印字性、耐洗濯性、柔軟性、風合いなどに優れた転写画像を形成することができると共に、基材シートに対する転写層の密着性が良好で、しかも熱転写後には、基材シートを容易に剥離することができる熱転写シートとそれを用いた画像形成方法を提供することにある。
より具体的に、本発明の目的は、転写層の基材シートへの密着性が改善され、印字中に浮きが発生することなく、かつ、熱転写を容易に行うことができる熱転写シートとそれを用いた画像形成方法を提供することにある。
本発明者らは、前記従来技術の問題点を克服するために鋭意研究した結果、基材シート上に、水溶性熱可塑性樹脂中に非水溶性熱可塑性樹脂を分散させた樹脂組成物からなる転写層を形成した熱転写シートに想到し、先に、特許出願を行った(特願平8−79500号)。
【0007】
この熱転写シートは、転写層のインク受理性が良好で、文字や図柄などの画像をワードプロセッサーで印刷し、アイロンを用いて布に転写すれば、容易に奇麗なプリントされたTシャツ、ハンカチ等の被転写布が得られるため、極めて利便性に富むものである。被転写布に転写後、水洗すれば余分な樹脂部分が洗い流されるため、貼付跡が目立たず、ゴワゴワ感もなく布地の柔軟性が保持され、風合いの良好な被転写布が得られる。ワードプロセッサーからの画像は、熱転写時に非水溶性樹脂によって強固に布に固定されるため、耐洗濯性が良好で、乾燥機による乾燥を繰り返し行っても画像部分の脱離がない。被転写布に直接アイロンをかけることも可能である。
【0008】
しかし、市販のワードプロセッサーのプリンターには、曲率の高い(径の小さい)搬送ロールを使用している機種があり、印字の際に、熱転写シートがこのようなロールに沿って曲げられ、また、圧着ロールによって圧接されると、転写層が基材シートから僅かに浮く場合があった。その結果、転写層が浮いた部分は空気層のため白くなって商品価値を損ねたり、転写層が基材シートから剥れ易くなったり、熱転写シートがプリンターの圧着ロールに巻き付くなどのトラブルが発生するおそれがあった。また、この熱転写シートは、経時により、転写層が部分的に剥離する場合があった。
【0009】
基材シートと転写層との間の密着性を改善するために、各層に対する接着性に優れたプライマー層を設けることが考えられるが、それによって、熱転写後に基材シートの剥離が困難になったり、転写後の水洗によるプライマー層や余分な樹脂部分の除去が困難になると、前記熱転写シート本来の転写性が損なわれることになる。
そこで、本発明者らは、さらに研究を行った結果、水溶性または水分散性の熱可塑性樹脂をプライマー層に使用すれば、ワードプロセッサーのプリンターで印字しても転写層の浮きが発生せず、かつ、転写性も良好な熱転写シートが得られることを見いだした。
本発明は、これらの知見に基づいて、完成するに至ったものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、基材シート上に、熱可塑性樹脂からなるインク受理性を有する転写層が設けられた層構成を有し、該転写層の表面に熱転写性インクにより形成した画像を被転写布に熱転写するための熱転写シートであって、基材シート上に、水溶性または水分散性の熱可塑性樹脂からなり、転写層との接着強度が基材シートとの接着強度よりも大きく、かつ、熱転写後の被転写布の水洗によって除去可能なプライマー層を介して、水溶性熱可塑性樹脂中に非水溶性熱可塑性樹脂を分散させた樹脂組成物からなるインク受理性を有する転写層が積層されていることを特徴とする熱転写シートが提供される。
また、本発明によれば、基材シート上に、水溶性または水分散性の熱可塑性樹脂からなり、転写層との接着強度が基材シートとの接着強度よりも大きく、かつ、熱転写後の被転写布の水洗によって除去可能なプライマー層を介して、水溶性熱可塑性樹脂中に非水溶性熱可塑性樹脂を分散させた樹脂組成物からなるインク受理性を有する転写層が積層されている熱転写シートを用いて、該転写層の表面に熱転写性インクからなる画像を形成し、次いで、該転写層の表面に形成した画像をプライマー層及び転写層と共に被転写布に熱転写した後、プライマー層から基材シートを剥離し、そして、該被転写布を水洗して、非水溶性熱可塑性樹脂によって該被転写布に固着された転写画像を残存させることを特徴とする熱転写シートを用いた画像形成方法が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の熱転写シート1は、基材シート2上にプライマー層3が設けられ、その上に転写層4が設けられた層構成を有している。図2に示すように、転写層4は、水溶性熱可塑性樹脂5中に非水溶性熱可塑性樹脂6を分散させた樹脂組成物から形成されている。
この熱転写シート1を用いて、被転写布に画像を転写させるには、熱溶融転写方式のプリンターを有するワードプロセッサー等を用いて、図3に示すように、熱転写シート1の転写層4の表面に、熱転写性インクからなる所望の画像7を鏡像パターンにて形成させ、次に、図4に示すように、熱転写シート1の転写層4の表面と被転写布8とを重ね合わせて、基材シート2の上からアイロンやホットプレス等の熱源9を用いて加熱・加圧し、被転写布8上に転写層4とインク画像7とを接着させる。
【0012】
次いで、熱転写シート1の基材シート2を剥離すると、図5に示すように、インク画像7と転写層4とプライマー層3とが被転写布8上に残る。これを水洗すると、プライマー層3と転写層中の水溶性熱可塑性樹脂5が洗い流されて除去されるが、同時に、水溶性熱可塑性樹脂5中に分散している非水溶性熱可塑性樹脂6の殆どが除去される。しかし、非水溶性熱可塑性樹脂6の一部は、熱転写時に溶融してインク画像7及び被転写布に固着する。したがって、水洗後には、図6に示すように、インク画像7は、残存する非水溶性熱可塑性樹脂6により被転写布8上に強固に固着される。なお、必要に応じて、水洗工程を省略し、図5に示す状態で被転写布を使用することもできる。この場合、洗濯によりバインダー層3と転写層4が除去され、図6に示す被転写布8が得られることになる。
【0013】
ところで、本発明の熱転写シートをワードプロセッサーのプリンターで印字する場合、例えば、図7に示すように、熱転写シート1は、溶融型熱転写インクリボン10とサーマルヘッド11からなる印字部でインク画像が溶融転写され、次いで、搬送ロール12と圧着ロール13の間を折り曲げられるようにして搬送される。熱転写シートがプライマー層を持たない場合には、プリント時に、図8に示すように、転写層4と基材シート2の間に空気14が入り、転写層4が基材シート2から僅か浮くことがある。また、転写層の浮きが熱転写シートの周辺部にあると、搬送ロール12と圧着ロール13に挟まれた場合、転写層の浮いた部分が更に拡大し、場合によっては、圧着ロールに巻き付く場合がある。これに対して、本発明の熱転写シートは、基材シートと転写層との間の密着性に優れ、浮きを生じることがない。
【0014】
基材シート
本発明で使用する基材シートとしては、ポリエステル、ポリカーボネート等のプラスチックスフィルム;上質紙、アート紙、コート紙、グラシン紙、模造紙、水溶性紙等のセルロース繊維紙が挙げられるが、樹脂組成物からなる転写層を保持する機能を有し、かつ、アイロンやホットプレス等による加熱に対して耐熱性のあるシート状のものであれば、上記基材シートに限定されない。
基材シートには、必要に応じて、剥離処理、マット処理等の表面処理を行ってもよい。基材シートの厚さについては、特に限定されないが、基材強度やプリンター内での搬送性等の観点から、通常、50〜200μm程度である。
【0015】
プライマー層
本発明において、プライマー層に使用する水溶性または水分散性の熱可塑性樹脂としては、一般に、5〜40℃程度の温度範囲において結晶性を有せず、柔軟性のあるもので、熱転写時の加熱温度(120〜180℃)で溶融または軟化して転写層と溶融一体化し、溶融時または冷却時の転写層との接着強度が基材シートとの接着強度よりも大きいものであることが好ましい。水溶性または水分散性の熱可塑性樹脂としては、ガラス転移温度が5〜40℃の範囲にあっても、この温度範囲で実際には結晶化せず、かなり曲げても基材シートから浮いたり剥がれたりしないものであれば使用することができる。
【0016】
5〜40℃程度の温度範囲で結晶する水溶性または水分散性の熱可塑性樹脂をプライマー層として使用すると、塗工直後は基材シートとの密着性が良好であっても、時間の経過とともに結晶化が進み、基材シートとの密着が低下し易い。
結晶性の水溶性または水分散性の熱可塑性樹脂であっても、適当な可塑剤を添加すると、上に述べた条件を満たすことができるものであれば、プライマーとして使用することができる。しかし、経時変化での可塑剤の分離や浸み出し等を考慮すれば、非結晶性の熱可塑性樹脂を使用するのが望ましい。
【0017】
このプライマー層として使用される水溶性または水分散性の熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度60℃以下、融点180℃以下、溶融粘度(180℃、剪断速度100/sec)1,000〜100,000ポイズの特性を有するものであることが好ましいが、これらのものに限定されない。
プライマー層を形成する具体的な樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリアミド、繊維素誘導体(ヒドロキシプロピルセルロース等)が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコールが特に好ましい。
【0018】
転写層
本発明では、水溶性熱可塑性樹脂中に非水溶性熱可塑性樹脂を分散させた樹脂組成物から転写層を形成する。
(水溶性熱可塑性樹脂)
本発明において使用する水溶性熱可塑性樹脂としては、天然高分子としてプルラン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の繊維素誘導体等;合成高分子としてポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリエステル、ポリジオキソラン等が挙げられるが、特に好ましいのは、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリエステルである。
【0019】
水溶性熱可塑性樹脂には、溶融粘度低下剤として、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトール、マンニトール等の多価アルコール類、及びその変性物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類、及びその変性物;ソルビタン脂肪酸エステル等の界面活性剤;マレイン酸、及びその変性物等を添加することができる。
【0020】
本発明に用いられる水溶性熱可塑性樹脂成分としては、上記樹脂に限定されるものではなく、融点または軟化点が200℃以下、好ましくは30〜150℃の水溶性樹脂であれば好適に使用することができ、要求される特性により、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
転写層に用いる水溶性熱可塑性樹脂は、熱転写シートが保存時や使用時にブロッキングを起こさないようにするために、5〜40℃の温度範囲で結晶性を示すものが好ましい。水溶性熱可塑性樹脂が結晶性であると、基材シートとの密着性が低下するが、本発明では、プライマー層を配しているので、基材シートに対する密着性を高めつつ、耐ブロッキング性を高めることができる。
【0021】
(非水溶性熱可塑性樹脂)
本発明で使用する非水溶性熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン;ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂;熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
本発明で使用する非水溶性熱可塑性樹脂は、上記樹脂に限定されるものではなく、融点または軟化点が200℃以下、好ましくは30〜150℃の非水溶性熱可塑性樹脂であれば好適に使用することができ、要求される特性により、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、非水溶性熱可塑性樹脂は、ペレット、粉末、溶液等の任意の形状のものを使用することができるが、分散性を高めるために、微粒子またはエマルジョンなどとして用いることもできる。
【0022】
(転写層用樹脂組成物)
転写層を形成する樹脂組成物中の各樹脂成分の配合割合は、水溶性熱可塑性樹脂が、通常55.0〜99.5重量%、好ましくは60.0〜97.0重量%、より好ましくは70.0〜95.0重量%であり、非水溶性熱可塑性樹脂が、通常0.5〜45.0重量%、好ましくは3.0〜40.0重量%、より好ましくは5.0〜30.0重量%である。
【0023】
非水溶性熱可塑性樹脂の配合割合が低すぎると、堅牢性や耐洗濯性などが低下し、逆に、高すぎると、非水溶性熱可塑性樹脂が水溶性熱可塑性樹脂のマトリックス中に微細に分散することが難しくなり、転写層の水洗による除去操作が困難となったり、あるいは非水溶性熱可塑性樹脂の残存率が高くなりすぎて、非転写布の柔軟性や風合いが損なわれる等の不都合を生じるおそれがある。
【0024】
水溶性熱可塑性樹脂中に非水溶性熱可塑性樹脂を分散させた樹脂組成物を作成するには、これらの各樹脂成分を水または有機溶剤に溶解または分散させて混合する方法や、溶融ブレンドする方法などがある。水または有機溶剤を用いた場合には、基材シート上に塗工した後、乾燥させる。これらの方法により、水溶性熱可塑性樹脂マトリックス中に非水溶性熱可塑性樹脂が分散した樹脂組成物が得られる。
【0025】
本発明の樹脂組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で、必要に応じて、各種の改質剤や添加剤を配合することができる。これらの配合剤の具体例としては、例えば、顔料、染料等の着色剤、ロジン系やテルペン系等の粘着付与剤、炭酸カルシウム、シリカ、タルク等の無機充填剤、有機充填剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を挙げることができる。これらの配合剤は、適宜必要量を添加することができる。
【0026】
本発明の樹脂組成物を含む転写層の厚さについては、特に限定されるものではないが、通常、15〜100μm、好ましくは20〜80μm程度である。転写層の厚さが薄すぎると、加熱転写時に被転写布の繊維に対する接着性が低下し、堅牢性や耐洗濯性が損なわれやすく、逆に、厚すぎると、製造方法が限定されたり、製造コストが嵩む等の不都合が生じるおそれがある。
熱転写シート間のブロッキングを防止し、画像形成用プリンター内での搬送性を向上させるため、あるいは、インク受理性を損なわず、かつ、インクリボンの走行性を保持させるため、転写層の画像形成面にマット処理等の凹凸処理を施すことができる。
【0027】
熱転写シート
本発明の熱転写シートを製造するには、先ず、プライマー層に使用する水溶性または水分散性の熱可塑性樹脂を水または有機溶剤に溶解ないしは分散し、この液を基材シートに塗工する。水溶性または水分散性の熱可塑性樹脂を基材シート上に溶融塗工してもよい。プライマー層の厚さは、通常1μm〜10μm程度であり、好ましく1〜5μmである。
転写層を形成するする方法としては、水溶性熱可塑性樹脂と非水溶性熱可塑性樹脂と所望により各種配合剤とを、水または有機溶剤に溶解ないしは分散させてプライマー層を設けた基材シートに塗工する方法、Tダイからシート状に溶融押し出して基材シートに塗工する方法等が挙げられるが、当該樹脂組成物の性能を損なわない方法であれば、特定の方法に限定されるものではない。
【0028】
本発明の熱転写シートは、印字性が良好であり、一般に使用されている熱転写方式のプリンターを備えたワードプロセッサー等を用いて、転写層面に容易かつ鮮明に印刷することができる。本発明の熱転写シートは、被転写布へ熱転写し、基材シートを剥離した後、水洗すると、プライマー層、及び転写層中の水溶液熱可塑性樹脂成分が除去されるため、貼付跡が目立たず、柔軟性を損なわない画像が得られる。水洗により、転写層中に分散している非水溶性熱可塑性樹脂成分の多くも除去される。水洗後、被転写布上には、実質的に非水溶性熱可塑性樹脂成分の一部のみが残されるが、この残存する非水溶性熱可塑性樹脂成分によって画像を形成するインクの被転写布への固着性が高められ、堅牢性が高く、耐洗濯性が良好な画像が得られる。すなわち、転写層の表面部分に存在する非水溶性熱可塑性樹脂は、熱転写時に溶融して、インク画像及び非転写布に固着する。
【0029】
被転写布としては、シャツ、下着、布地など所望のものを使用することができる。本発明の熱転写シートは、一般のワードプロセッサーに付属するプリンターにより印字(文字、絵など)することができ、しかも家庭用アイロンなどで簡単に被転写布に転写させることができる。転写後には、水洗または洗濯することにより、余分な樹脂部分が溶解除去される一方、印字部分が脱落することなく強固に固着し、非常に柔軟で、風合いが良好な布類を得ることができる。
【0030】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。なお、以下の例において、部は、重量部を表す。
[実施例1]
(プライマー層用水溶性熱可塑性樹脂溶液)
ポリビニルアルコール(1*) 5部
水 95部
上記溶液を、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(未処理PETフィルム)に厚さ5μm(乾燥時)になるように塗工し、プライマー層を設けた転写用基材シートを得た。
(転写層用樹脂組成物)
水溶性飽和ポリエステル樹脂(2*) 100部
水溶性飽和ポリエステル樹脂(3*) 20部
EVAエマルジョン (4*) 51.4部
水 70部
上記組成物を、プライマー層を設けた基材シートに厚さ55μm(乾燥時)になるよう塗工した。このシートをA4サイズにカットし、ワードプロセッサー用熱転写シートとした。
このようにして得られた熱転写シートの転写層面に、市販の熱転写方式のプリンターを備えたワードプロセッサーを用いて、鏡像文字にて任意の文字を印字した。印字の濃度は濃く、インク受理性に優れていた。また、基材シートからの転写層の浮きは全く見られなかった。
この印字した熱転写シートを、家庭用アイロンで温度を中温に設定し木綿生地上に約20秒間程度加熱・加圧した。シートが冷えてから基材シートを剥がしたところ、プライマー層からきれいに剥がれた。転写後、水洗してプライマー層及び転写層を水洗除去したところ、柔軟性、耐洗濯性のある鮮明な被転写布が得られた。すなわち、被転写布の柔軟性及び風合いには、違和感はなかった。また、通常の洗濯(乾燥機を使用した乾燥を含む)を連続20回行った後にも、濃い印字濃度を保持していた。
【0031】
[実施例2]
(プライマー層用水溶性熱可塑性樹脂溶液)
水分散性熱可塑性樹脂(5*) 5部
水 95部
この溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、厚さ1μmのプライマー層を有する基材シートを得た。
(転写層用樹脂組成物)
ポリビニルアルコール(6*) 100部
ポリエチレングルコール(7*) 200部
低密度ポリエチレン微粒子(*8) 100部
水 100部
上記組成物を用いて、実施例1と同様にして厚さ45μmの転写層をもつ熱転写シートを得た。同様にしてワードプロセッサーのプリンターで印字したが、シート端部の剥がれや転写層の浮き等は全く見られなかった。
この印字した熱転写シートを、家庭用アイロンで温度を中温に設定し木綿生地上に約20秒間程度加熱・加圧した。シートが冷えてから基材シートを剥がしたところ、プライマー層からきれいに剥がれた。転写後、水洗してプライマー層及び転写層を水洗除去したところ、柔軟性、耐洗濯性のある鮮明な被転写布が得られた。すなわち、被転写布の柔軟性及び風合いには、違和感はなかった。また、通常の洗濯(乾燥機を使用した乾燥を含む)を連続20回行った後にも、濃い印字濃度を保持していた。
【0032】
[実施例3]
(プライマー層用水溶性熱可塑性樹脂溶液)
ポリビニルピロリドン(9*) 4.5部
グリセリン 0.5部
水 95部
上記溶液を、厚さ3μmになるように、厚さ75μmPETフィルム基材シート上に塗工して、プライマー層のある基材シートを得た。
(転写層用樹脂組成物)
ポリエチレンオキサイド(10*) 100部
ポリエチレングルコール(11*) 150部
熱可塑性エラストマー(12*) 62.5部
水 75部
上記組成物を用いて、実施例1と同様にして厚さ50μmの転写層をもつ熱転写シートを得た。同様にしてワードプロセッサーのプリンターで印字したが、シート端部の剥がれや転写層の浮き等は全く見られなかった。
この印字した熱転写シートを、家庭用アイロンで温度を中温に設定し木綿生地上に約20秒間程度加熱・加圧した。シートが冷えてから基材シートを剥がしたところ、プライマー層からきれいに剥がれた。転写後、水洗してプライマー層及び転写層を水洗除去したところ、柔軟性、耐洗濯性のある鮮明な被転写布が得られた。すなわち、被転写布の柔軟性及び風合いには、違和感はなかった。また、通常の洗濯(乾燥機を使用した乾燥を含む)を連続20回行った後にも、濃い印字濃度を保持していた。
【0033】
[比較例1]
実施例1において、プライマー層を設けることなく、転写層用樹脂組成物をそのまま基材シート上に塗工して熱転写シートを得た。得られた熱転写シートは、外見上はプライマー層のあるものと見分けがつかなかった。これをワードプロセッサーのプリンターで印字してみると、印字部分には、浮きや剥がれは見られなかったが、圧着ロールの当たった部分は僅かに浮きが生じ、空気層のため白く見えた。
【0034】
[比較例2]
実施例2において、プライマー層を設けることなく、転写層用樹脂組成物をそのまま基材シートに塗工して熱転写シートを得た。得られた熱転写シートは、外見上はプライマー層のあるものと見分けがつかなかった。これを挟みで切ると、シートの周辺部分で転写層が部分的に剥離しているところがあった。部分的に剥離した転写層を指で引っ張ると、転写層が破れながら剥離した。従って、一部剥離した熱転写シートをワードプロセッサーのプリンターに入れて印字すると、圧着ロールに巻き付くおそれがある。
【0035】
[比較例3]
実施例3において、プライマー層を設けることなく、実施例3と同様に基材シートに塗工して熱転写シートを得た。
塗工直後に得たA4サイズの熱転写シートにワードプロセッサーのプリンターで印字したところ、問題はなかったが、2週間保存後の熱転写シートに印字しようとしたところ、シートの周辺部の一部で転写層が浮いている部分があった。周辺部の転写層の浮いていないシートを選び、ワードプロセッサーのプリンターで印字したところ、圧着ロールの当たった部分は浮いており白く見えた。
【0036】
これらの実施例及び比較例で使用した各成分は、次のとおりである。
(*1)PVA SMR−30M、信越科学(株)製
(*2)ポリエスターWR−930、日本合成化学工業(株)製
(*3)ポリエスターWR−901、日本合成化学工業(株)製
(*4)スミカフレックス、住友化学(株)製
(*5)AQ14000、イーストマンケミカル(株)製
(*6)バオゲンPP−15、第一工業製薬(株)製
(*7)PEG4000N、三洋化成工業(株)製
(*8)フロービーズLE−1080、住友精化(株)製
(*9)P.V.P.K−30,G.A.F.(株)製
(*10)PEO−1、住友精化(株)製
(*11)PEG4000N、三洋化成(株)製
(*12)ケミパールV−200、三井石油化学工業(株)製
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、印字性、耐洗濯性、柔軟性、風合いなどに優れた転写画像を形成することができる熱転写シートとそれを用いた画像形成方法が提供される。さらに、本発明のプライマー層のある熱転写シートは、保存中及び印字中に転写層が浮いたり剥がれたりすることがなく、また、きれいに確実に転写できるようになったため、製品の安定性が大幅に向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の熱転写シートの斜視図である。
【図2】図2は、本発明の熱転写シートの断面図である。
【図3】図3は、本発明の熱転写シートの転写層面に、熱転写方式により画像を印刷した時の断面図である。
【図4】図4は、本発明の熱転写シートの転写層を被転写布上へ転写する方法を示す説明図である。
【図5】図5は、本発明の熱転写シートを被転写布に転写後、基材シートを剥離した時の断面図である。
【図6】図6は、本発明の熱転写シートを被転写布に転写後、基材シートを剥離し、次いで、水洗して転写層を溶解除去した時の断面図である。
【図7】図7は、ワードプロセッサーのプリンターで印字している時の説明図である。
【図8】図8は、転写層の一部が浮いた時の説明図である。
【符号の説明】
1:熱転写シート
2:基材シート
3:プライマー層
4:転写層
5:水溶性熱可塑性樹脂
6:非水溶性熱可塑性樹脂粒子
7:転写画像
8:被転写布
9:アイロンなどの熱源
10:熱転写インクリボン
11:サーマルヘッド
12:搬送ロール
13:圧着ロール
14:空気が入った浮き部分

Claims (2)

  1. 基材シート上に、熱可塑性樹脂からなるインク受理性を有する転写層が設けられた層構成を有し、該転写層の表面に熱転写性インクにより形成した画像を被転写布に熱転写するための熱転写シートであって、基材シート上に、水溶性または水分散性の熱可塑性樹脂からなり、転写層との接着強度が基材シートとの接着強度よりも大きく、かつ、熱転写後の被転写布の水洗によって除去可能なプライマー層を介して、水溶性熱可塑性樹脂中に非水溶性熱可塑性樹脂を分散させた樹脂組成物からなるインク受理性を有する転写層が積層されていることを特徴とする熱転写シート。
  2. 基材シート上に、水溶性または水分散性の熱可塑性樹脂からなり、転写層との接着強度が基材シートとの接着強度よりも大きく、かつ、熱転写後の被転写布の水洗によって除去可能なプライマー層を介して、水溶性熱可塑性樹脂中に非水溶性熱可塑性樹脂を分散させた樹脂組成物からなるインク受理性を有する転写層が積層されている熱転写シートを用いて、該転写層の表面に熱転写性インクからなる画像を形成し、次いで、該転写層の表面に形成した画像をプライマー層及び転写層と共に被転写布に熱転写した後、プライマー層から基材シートを剥離し、そして、該被転写布を水洗して、非水溶性熱可塑性樹脂によって該被転写布に固着された転写画像を残存させることを特徴とする熱転写シートを用いた画像形成方法。
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