JP2002219862A - インクジェット記録用転写シート - Google Patents

インクジェット記録用転写シート

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JP2002219862A
JP2002219862A JP2001018697A JP2001018697A JP2002219862A JP 2002219862 A JP2002219862 A JP 2002219862A JP 2001018697 A JP2001018697 A JP 2001018697A JP 2001018697 A JP2001018697 A JP 2001018697A JP 2002219862 A JP2002219862 A JP 2002219862A
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Katsuaki Arai
克明 新井
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】インク吸収性が高く発色が良好であり、各種被
転写材に転写した後の画像の堅牢性が優れるインクジェ
ット記録用転写シートを提供する。さらには、各種被転
写材に転写された画像を洗濯したり屋外で使用したりし
た場合でも、転写画像の色落ちや転写層の被転写材から
の剥がれ、転写層の破れを発生しないインクジェット記
録用転写シートを提供する。 【解決手段】支持体、転写層を順次積層した構成とし、
該転写層に中空粒子を含有させる。中空粒子がカチオン
性であると好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、布帛、フィルム、
金属等の被転写材上に転写により画像を形成する際に使
用される転写シートに関する。さらに詳しくは、画像形
成をインクジェット記録方式により行うインクジェット
記録用転写シートに関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式は、種々の作動
原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙などの記録
シートに付着させ、画像・文字などの記録を行なうもの
であるが、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターン
の融通性が大きい、現像−定着が不要などの特徴があ
り、漢字を含め各種図形およびカラー画像などの記録装
置として種々の用途において急速に普及している。さら
に、多色インクジェット記録方式により形成される画像
は、製版方式による多色印刷に比較して遜色のない画像
を得ることが可能である。また、作成部数が少なくて済
む用途においては、安価であることからフルカラー画像
記録分野にまで広く応用されつつある。
【0003】近年、手軽にフルカラー画像を作成できる
インクジェットプリンタを利用して、様々なメディアへ
カラープリントを行う要求が高まっている。特に、転写
方式を利用したプリント技術は、直接プリンタで印刷す
ることが困難なメディアへも画像形成が行えることから
注目されている。
【0004】これまでにも、インクジェット記録方式を
利用した転写媒体はいくつか提案されている。例えば、
特開平8−207426号公報では、インク受容層を、
熱可塑性樹脂、結晶性可塑剤及び粘着付与剤から構成す
ることで、加熱のみで貼り合わせ可能なインクジェット
記録シートを開示している。しかしながら、こうした構
成のインクジェット記録シートはインク受理層のインク
吸収性が不十分であり、インク溢れを起こし良好な画像
が得られなかった。また、特開平8−207450号公
報では、支持体と熱転写層からなるシートにおいて、熱
転写層に粒状熱可塑性高分子樹脂、多孔質無機微粒子及
びバインダを用いて、熱転写可能なインクジェット記録
転写媒体を開示している。さらに、米国特許第5,50
1,902号明細書においても、上記構成に加え、カチ
オン樹脂やインク粘度調整剤等を添加させた構成のイン
クジェット用転写媒体が開示されている。しかしなが
ら、上記構成のインクジェット記録用転写媒体では、イ
ンクジェット記録による転写媒体への画像形成について
は十分な性能を持つものの、該転写媒体上の画像を各種
被転写材へ転写される場合に、多孔性無機微粒子が加熱
接着成分を吸収してしまうせいか接着性に劣りやすくな
る問題があった。具体的には、上記のような転写媒体か
ら布帛へ転写された画像を洗濯した場合に、布帛へ転写
された転写層が破れたり布帛から剥がれたり、さらに進
むと転写層が被転写材から脱落したりして、外観上見苦
しいものとなる問題が生じていた。
【0005】こうした洗濯堅牢性を向上させたインクジ
ェット記録用転写媒体もいくつか提案されている。例え
ば、特開平10−329415号公報では、転写層に熱
可塑性樹脂微粒子、熱可塑性樹脂結着剤、カチオン樹
脂、無機微粒子を用い、その配合比率をある特定の範囲
に限定したり、該構成にさらに可塑剤あるいは界面活性
剤を添加したり、転写層を2層構成としたりしたインク
ジェット記録用転写媒体を開示している。しかしなが
ら、転写層に無機微粒子を配合した構成では、十分な洗
濯堅牢性が得られていないのが実情である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、インク吸収性が高く発色が良好であり、さらに布
帛、フィルム、金属等の各種被転写材に転写した後の画
像の堅牢性が優れるインクジェット記録用転写シートを
提供することにある。特に、布帛等に転写された画像を
洗濯した場合でも、記録画像の色落ちや転写層の破れや
転写層の被転写材からの剥がれが発生しないインクジェ
ット記録用転写シートを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、以上のよ
うな問題点を解決するために、転写層の配合について鋭
意研究を行った結果、以下の発明に至った。
【0008】支持体、転写層を順次積層したインクジェ
ット記録用転写シートにおいて、転写層が中空粒子を含
有することを特徴とするインクジェット記録用転写シー
トの発明である。
【0009】中空粒子がカチオン性であると好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明に関わるインクジェット記
録用転写シートについて詳細に説明する。本発明のイン
クジェット記録用転写シートは、支持体、転写層を順次
積層した構成である。転写層に要求される特性は、第一
にインクジェット記録用インクを良好に吸収し発色が良
好な画像を保持すること、第二に布帛、フィルム、金属
等の被転写材に加熱等の手段により良好に接着し、保持
されていた画像が被転写材上に良好に転写されること、
第三に被転写材上に転写された後に転写層内にあるイン
ク色材を強固に保持し、被転写材が水や汗等により濡れ
た場合でも色落ちを起こさないこと、第四に洗濯や屋外
放置時の風雨等の過酷な条件下でも被転写材から剥がれ
たり転写層自体が破れたりしないことの4点である。
【0011】本発明に関わるインクジェット記録用転写
シートは、転写層が中空粒子を含有することを特徴とす
る。本構成とすることにより、転写層のインク吸収性が
向上し、該インクジェット記録シートの転写層側にイン
クジェット記録した際の画像の発色、および被転写材に
転写層を転写した後の画像の発色が良好になることが判
明した。おそらく、中空粒子の空隙部はインク中の溶剤
のみを吸収し、インク色材は中空粒子表面に留まってい
るため、転写層のインク吸収性が向上し、記録画像の発
色が良好になるものと思われる。また、中空粒子を転写
層に配合することにより、布帛等の被転写材に転写層を
加熱転写した場合に、転写層が過度に被転写材に浸透す
ることを防止し、被転写材表面に転写層の皮膜が形成さ
れるため、転写後の画像の発色が良好になるものと考え
られる。さらには、インクジェット記録用転写シートの
転写層をTシャツ等の布帛に転写した後、該布帛を洗濯
あるいは屋外の風雨に晒した際にも、転写層が布帛から
剥がれたり転写層が破れたりすることが起こりにくくな
ることが判明した。おそらく、中空粒子は無機微粒子と
違い、有機物から構成されているため多少なりとも接着
能を有しており、被着体との接着に寄与している点、粒
子自体がインク溶剤等の低粘度成分以外にはほとんど吸
収性を示さず、加熱転写時に加熱接着成分を吸収して接
着性を阻害することがない点、等の理由で、布帛との接
着性が良好となり、洗濯あるいは風雨といった過酷な状
況下でも、転写層が布帛から剥がれたり転写層が破れた
りすることが起こりにくくなっているものと考えられ
る。
【0012】本発明において中空粒子とは、殻部と気体
充満部とから構成され、殻部内部に空隙を有している中
空状の粒子を指す。本発明における中空粒子の形状は特
に限定されず、真球状、扁平状、不定形等の各種形状を
取っていても構わないが、中空粒子の空隙部はインク中
の溶剤を吸収する役割をするため、ある程度の空隙を有
していることが好ましく、そうした点から真球状である
ことが好ましい。また、本発明における中空粒子は、支
持体へ転写層を塗工・乾燥する際の熱により変形、破壊
されないものが望ましい。中空粒子が変形、破壊すると
期待したインク吸収性向上の効果が得られにくい。
【0013】中空粒子の殻部を構成する材料としては、
例えば、スチレン系重合体、アクリル系重合体、スチレ
ン−アクリルニトリル共重合体、スチレン−アクリロニ
トリル−ブタジエン共重合体等のスチレン−アクリル系
共重合体、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、
ポリ塩化ビニリデン樹脂、ビニル系共重合体、尿素ホル
マリン樹脂等が挙げられる。これらのうち、スチレン−
アクリル系共重合体が好ましく用いられるが、特にこれ
らに限定されるものではない。
【0014】本発明において、中空粒子はカチオン性で
あると好ましい。インクジェット記録で用いられる水性
インク中の染料分である水溶性直接染料や水溶性酸性染
料は、スルホン酸基、カルボキシル基などを有しており
アニオン性となっている。カチオン性の中空粒子を転写
層に配合することで、該中空粒子がこれらの染料分と不
溶な塩を形成し、インクジェット記録した場合の色彩性
を向上させたり、水の滴下や吸湿によるインクの流れだ
しや滲みだしを抑制し耐水性を向上させたりすることが
可能となる。
【0015】中空粒子の粒径は特に限定されないが、転
写層のインク吸収性向上、転写画像の発色性向上、被着
体との接着性向上およびそれに伴う洗濯堅牢性・屋外耐
性向上の点から0.02μ以上10μm以下のものが好
ましく使用される。より好ましくは0.05μm以上6
μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上3μm以下
である。粒径が0.02μmより小さいと、被着体との
接着性が良好となり、洗濯堅牢性・屋外耐性も良好とな
るが、中空粒子内部の空隙が小さくなりインク吸収性向
上・画像発色向上の効果が小さくなりやすい。粒径が1
0μmよりも大きいと、中空粒子の接着能はそれほど大
きくないため、該中空粒子は接着阻害成分となりやす
く、転写層を被転写材に転写した際の接着性に劣りやす
い。また、中空粒子の空隙率は5%以上85%以下であ
ることが好ましく、より好ましくは10%以上70%以
下、さらに好ましくは20%以上60%以下である。空
隙率が5%より小さいとインク吸収性向上の効果が小さ
くなりやすい。空隙率が85%よりも大きいと、中空粒
子の殻部が熱や圧により変形、破壊しやすくなる。
【0016】本発明のインクジェット記録用転写シート
における転写層は、中空粒子以外の成分として少なくと
も熱可塑性樹脂微粒子およびバインダーを含有すること
ができる。本発明に関わる熱可塑性樹脂微粒子は、加熱
前は微粒子の形状を有している点では中空粒子と同様で
あるが、内部に空隙がない点、加熱により容易に変形・
皮膜化する点で中空粒子と異なるものである。該熱可塑
性樹脂微粒子は、本発明のインクジェット記録用転写シ
ートの転写層を被着体に加熱転写する際に、被着体への
転写層の接着という点で主要な働きをする成分である。
熱可塑性樹脂微粒子は転写画像を形成する前は、転写層
中で皮膜化されずに微粒子の形状を維持したまま存在し
ている。このため、該微粒子間の空隙でインクを吸収、
保持することが可能となる。また、転写層を被転写材に
加熱・転写する際には、該微粒子は熱により溶融し、例
えば布帛に転写する際に、これら微粒子が繊維間に入り
込み固着するため、転写層を支持体から被転写材に転写
することが可能となる。
【0017】熱可塑性樹脂微粒子の粒径は、インク吸収
性、画像鮮明性の点から、0.2μm以上50μm以
下、より好ましくは1μm以上20μm以下、さらに好
ましくは3μm以上15μm以下である。粒径が0.2
μmより小さいと、熱可塑性樹脂微粒子間の空隙が小さ
くなり十分なインク吸収性が得られにくい。粒径が50
μmより大きいと、画像解像度が低くなり鮮明な画像が
得られにくい。
【0018】本発明のインクジェット記録用転写シート
は、家庭等において手軽に画像形成・被転写材への転写
が行えることが好ましい。つまり、汎用のインクジェッ
トプリンターで転写層に画像を記録した後、家庭用アイ
ロン等で布帛等に簡便に転写層を転写できることが好ま
しい。この点から、熱可塑性樹脂微粒子の最低製膜温度
は60℃以上200℃以下のものが好ましく、より好ま
しくは70℃以上180℃以下、さらに好ましくは80
℃以上150℃以下である。最低製膜温度が60℃より
も低いと、保管時に熱可塑性樹脂微粒子が融着・皮膜化
し、本来有していたインク吸収性が失われる恐れがあ
る。また、塗工の際の乾燥は最低製膜温度以下の温度で
行う必要があるため、製造効率が低下する。最低製膜温
度が200℃よりも高いと、転写する際に高いエネルギ
ーを必要とし、被転写材への転写が行いにくくなる。
【0019】熱可塑性樹脂微粒子としては、非水溶性の
熱可塑性樹脂からなる微粒子であればいずれのものも使
用することができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリイソブチレン、酸化ポリエチレン、ポリ酢
酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリ(メタ)アクリ
ル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリアクリル
酸誘導体、ポリアクリル酸アミド、ポリエーテル、ポリ
エステル、ポリカーボネート、セルロース系樹脂、ポリ
アクリルニトリル、ポリイミド、ポリアミド、ポリ塩化
ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、チオコー
ル、ポリスルフォン、ポリウレタン、ポリブタジエン、
その他これらの樹脂の単量体の共重合物が挙げられる。
中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(メタ)
アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ酢
酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリウレタ
ン、ポリアミド、ポリブタジエン及びこれらの共重合物
が好ましく用いられる。
【0020】熱可塑性樹脂微粒子と中空粒子との配合比
率は、熱可塑性樹脂微粒子100部に対し中空粒子を
0.1部以上30部以下配合することが好ましく、より
好ましくは0.5部以上20部以下、さらに好ましくは
1部以上15部以下である。中空粒子が0.1部よりも
少ないとインク吸収性および画像発色性の向上、さらに
は洗濯堅牢性向上の効果が少なく、30部よりも多いと
転写層を被転写材に加熱転写した場合の転写層と被転写
材間の接着性に劣りやすくなり、具体的には被転写材に
布帛を使用した際の洗濯堅牢性に劣りやすくなる。
【0021】本発明において転写層で使用されるバイン
ダーは、転写層中の熱可塑性樹脂微粒子、中空粒子等の
物質を支持体上に固着する目的で使用される。バインダ
ーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニ
ルピロリドン、酢酸ビニル、酸化澱粉、エーテル化澱
粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセ
ルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、
大豆蛋白、シリル変性ポリビニルアルコール等;スチレ
ン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタ
ジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス;
アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体
又は共重合体、アクリル酸及びメタクリル酸の重合体又
は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス;エチレン
酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス;或
いはこれらの各種重合体のカルボキシル基等の官能基含
有単量体による官能基変性重合体ラテックス;メラミン
樹脂、尿素樹脂等の熱硬化合成樹脂系等の水性接着剤;
ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン樹脂、不飽和
ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマ
ー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の合成樹
脂系接着剤が挙げられ、1種以上で使用される。これら
のうち、耐水性の観点から非水溶性のラテックス系バイ
ンダーが好ましい。
【0022】バインダーのガラス転移温度は、熱可塑性
樹脂微粒子、中空粒子等を支持体に固着するという点、
熱転写時に布帛等の被転写材へ浸透・接着させるという
点、および被転写材に転写された転写層に柔軟性を与
え、洗濯や屋外使用に耐えられる強度を持たせるという
点から、−50℃以上50℃以下であることが好まし
く、より好ましくは−30℃以上40℃以下、さらに好
ましくは−20℃以上30℃以下である。
【0023】バインダーの比率は、熱可塑性樹脂微粒子
100部に対し1部以上40部以下であることが好まし
く、より好ましくは2部以上20部以下、さらに好まし
くは4部以上15部以下である。バインダーの比率が1
部より少ないと、熱可塑性樹脂微粒子等を十分に接着す
ることができず、プリンター搬送時に転写層が支持体か
ら剥がれるといったトラブルが生じやすい。40部より
多いと熱可塑性樹脂微粒子間の空隙をバインダーが埋め
ることになり、インク吸収性が悪化しやすい。
【0024】本発明の転写層にはカチオン樹脂を含有す
ることができる。カチオン樹脂としては2級アミン、3
級アミン、4級アンモニウム塩などが挙げられる。これ
らのカチオン樹脂は、水性インクの染料分である水溶性
直接染料や水溶性酸性染料中のスルホン酸基、カルボキ
シル基などと不溶な塩を形成するため、転写層にて染料
を捕獲し色彩性の向上させたり、不溶な塩の形成により
水の滴下や吸湿によるインクの流れだしや滲みだしを抑
制し耐水性を向上させることができる。
【0025】本発明の転写層には、被転写材へ転写した
後の転写層に、柔軟性、透明性、被転写材との接着性を
付与することを目的に、可塑剤を添加することができ
る。特に、転写層の柔軟性を向上させることは、転写層
の強度アップにつながり、洗濯した場合あるいは屋外放
置の際に風雨に晒された場合でも、転写層の破れが起こ
りにくくなる。
【0026】本発明において、転写層にはさらに、界面
活性剤、硬膜剤、着色染料、着色顔料、紫外線吸収剤、
酸化防止剤、顔料分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐
剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤、離型剤、発
泡剤などの公知の各種添加剤を添加することもできる。
また、転写層を2層以上の異なる層とする等のことは何
ら問題なく行うことができる。
【0027】本発明に関わる転写層の塗工量は、固形分
換算で10g/m2以上100g/m2以下であることが好
ましく、より好ましくは15g/m2以上50g/m2
下、さらに好ましくは20g/m2以上40g/m2以下で
ある。塗工量が10g/m2よりも少ないと、転写層のイ
ンク吸収性が不十分となり良好な画像が得られにくく、
また転写層の被転写材への転写性が悪化しきれいな転写
画像が得られにくい。塗工量が100g/m2を超える
と、転写層の柔軟性が失われやすい。
【0028】本発明に関わる支持体としては、プリンタ
ーでの搬送が可能で、熱転写に対して必要な耐熱性を有
していれば、いずれの支持体でも使用できる。例えば、
紙、不織布、フィルム等が使用可能である。具体的に
は、上質紙、クラフト紙、クレープ紙、エンボス紙等の
紙類、不織布、綿布等の布帛、ポリエチレンテレフタレ
ートやポリエチレンナフタレートのようなポリエステル
樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィ
ン樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、アク
リル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポ
リイミド樹脂、セロハン、セルロイド等の樹脂フィル
ム、また、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレ
フィン樹脂で紙を被覆(ラミネート)した支持体等が挙
げられる。また、転写層の支持体から被転写材への剥離
性を向上させるために、支持体上に公知の方法で表面剥
離処理を行う等は何ら問題ない。
【0029】支持体上に表面剥離処理をする方法の一例
として、支持体上に離型層を設ける方法が挙げられる。
離型層の形成材料としては、熱溶融性材料として、例え
ば、カルナウバワックス、パラフィンワックス、マイク
ロクリスタリンワックス、カスターワックス等のワック
ス類、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ステ
アリン酸アルミニウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸
バリウム、ステアリン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、メチ
ルヒドロキシステアレート、グリセロールモノヒドロキ
システアレート等の高級脂肪酸あるいはその金属塩、エ
ステル等の誘導体、ポリアミド系樹脂、石油系樹脂、ロ
ジン誘導体、クマロン−インデン樹脂、テルペン系樹
脂、ノボラック系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリブテン、酸化ポリオレフィン
等のオレフィン系樹脂、ビニルエーテル系樹脂等が挙げ
られる。また、この他に、シリコーン樹脂、フルオロシ
リコーン樹脂、フルオロオレフィンビニルエーテルター
ポリマー、パーフルオロエポキシ樹脂、パーフルオロア
ルキル基を側鎖に持つ熱硬化型アクリル樹脂、フッ化ビ
ニリデン系硬化型樹脂等も用いられる。
【0030】本発明のインクジェット記録用転写シート
を作製するために、支持体の一方の面に転写層を設ける
必要がある。その手段としては、各種ブレードコータ
ー、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコー
ター、ロッドブレードコーター、ショートドウェルコー
ター、コンマコーター、ダイコーター、リバースロール
コーター、キスコーター、カーテンコーター、エクスト
ルージョンコーター、ゲートロールコーター、グラビア
コーター、マイクログラビアコーター、などの塗工装置
を用いることが出来る。
【0031】本発明のインクジェット記録用転写シート
は、市販の汎用プリンターを使用して転写層に画像を形
成し、転写層の画像を加熱等の手段によって被転写体に
転写し、被転写体に画像を形成する目的で使用される。
用いる色材も特に限定されるものではなく、従来公知の
染料インク及び顔料インクを用いることができる。
【0032】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳しく説明する
が、本発明の内容は実施例に限られるものではない。
【0033】転写層塗液の調製 熱可塑性樹脂微粒子としてエチレン−酢酸ビニルエマル
ジョン(ケミパールV−200;三井化学製)100
部、アニオン性中空粒子(ローペイクHP−1055:
粒径1.0μm、空隙率55%;ローム・アンド・ハー
ス製)10部、バインダーとしてスチレン−アクリル系
エマルジョン(GD41;日本エヌエスシー製)10
部、カチオン樹脂としてポリアミド・エピクロロヒドリ
ン樹脂(WS547;日本PMC製)10部を用い、こ
れを調液し、固形分濃度35%とした。
【0034】実施例1 支持体として市販の剥離紙を使用し、剥離紙の表面剥離
処理面に、転写層塗液の調製で得た塗液をコンマコータ
ーを用いて乾燥後の塗工量が25g/m2となるように塗
布、60℃の熱風により乾燥して本発明のインクジェッ
ト記録用転写シートを得た。
【0035】実施例2 転写層塗液の調製で使用したアニオン性中空粒子をカチ
オン中空粒子(VT1112:粒径1.0μ、空隙率5
0%;日本ゼオン製)に変更した。こうして得た転写層
塗液を使用した以外は実施例1と同様にして本発明のイ
ンクジェット記録用転写シートを得た。
【0036】実施例3 転写層塗液の調製で使用したアニオン性中空粒子をカチ
オン中空粒子(SX452(A)−02:粒径0.14
μ、空隙率13%;JSR製)に変更した。こうして得
た転写層塗液を使用した以外は実施例1と同様にして本
発明のインクジェット記録用転写シートを得た。
【0037】比較例1 転写層塗液の調製で使用したアニオン性中空粒子を配合
しなかった。こうして得た転写層塗液を使用した以外は
実施例1と同様にしてインクジェット記録用転写シート
を得た。
【0038】比較例2 転写層塗液の調製で使用したアニオン性中空粒子をシリ
カに変更した。こうして得た転写層塗液を使用した以外
は実施例1と同様にしてインクジェット記録用転写シー
トを得た。
【0039】比較例3 転写層塗液の調製で使用したアニオン性中空粒子を炭酸
カルシウムに変更した。こうして得た転写層塗液を使用
した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用
転写シートを得た。
【0040】比較例4 転写層塗液の調製で使用したアニオン性中空粒子を中空
でない有機顔料であるメラミン樹脂微粒子に変更した。
こうして得た転写層塗液を使用した以外は実施例1と同
様にしてインクジェット記録用転写シートを得た。
【0041】「評価」 1)インク吸収性 実施例及び比較例で作製した転写シートをA4判に断裁
した後、転写シートの転写層側にインクジェットプリン
ター(セイコーエプソン製PM−750C)でブラッ
ク、シアン、マゼンタ、イエローの各色100%、およ
びブルー(シアンとマゼンタの混色)、グリーン(シア
ンとイエローの混色)、レッド(マゼンタとイエローの
混色)の各色200%のベタ印字を行った。各転写シー
トのインク吸収性を以下の基準で判定した。 ◎:各色ともインクのにじみが全く見られず、インク吸
収性が良好である。 ○:200%のベタ印字部では色によってややインクの
にじみが見られるが、許容できるレベルである。100
%のベタ印字部のインク吸収性は良好である。 ×:200%ベタ印字部では明確なインクのにじみが見
られる。100%ベタ印字部についても色によってはイ
ンクのにじみが見られ、インク吸収性に劣る。
【0042】2)印字濃度 実施例及び比較例で作製した転写シートをA4判に断裁
した後、転写シートの転写層側にインクジェットプリン
ター(セイコーエプソン製PM−750C)でブラッ
ク、シアン、マゼンタ、イエローの各色100%のベタ
印字を行った。印字後、綿100%の白色Tシャツ上に
転写シートの転写層側を密着させ、約200℃に加熱し
たアイロンを転写シートの支持体側から接触させて転写
を行った。転写シートが十分に冷めた後、支持体を剥離
し転写画像を得た。こうして得た転写画像の各色の印字
濃度をマクベスRD919を用いて測定した。値は大き
い方が印字濃度が高く印字性が良好であることを示す。 3)洗濯堅牢性 前記印字濃度の評価で作製した転写画像を有するTシャ
ツを、洗濯機に入れ30℃のぬるま湯で30分間攪拌し
た。その後風乾した後、転写画像の色落ち、転写層の外
観を目視で判定した。 (a)色落ち ◎:印字濃度の低下、色のにじみが全く見られない。 ○:印字濃度がやや低下しているが、色のにじみは見ら
れない。 ×:印字濃度の低下がはっきり認められる、あるいは色
のにじみが認められる。 (b)転写層の外観 ◎:転写層のTシャツからの剥がれ、転写層自体の破れ
が全くなく良好。 ○:転写層のTシャツからの剥がれ、転写層自体の破れ
は認められないが、転写層がTシャツから少し浮いた箇
所があり皺の発生が認められる。 ×:転写層のTシャツからの剥がれ、転写層自体の破れ
が認められる。
【0043】4)屋外放置試験 実施例及び比較例で作製した転写シートをA4判に断裁
した後、転写シートの転写層側にインクジェットプリン
ター(セイコーエプソン製PM−750C)にてイラス
トの印字を行った。印字後、ポリエステル製の布に転写
シートの転写層側を密着させ、約200℃に加熱したア
イロンを転写シートの支持体側から接触させて転写を行
った。転写シートが十分に冷めた後、支持体を剥離し転
写画像を得た。こうした得た転写画像を有する布を用
い、小旗を作製した。この小旗を屋外に1週間放置し、
画像部の色落ち、転写層の外観を以下の基準で判定し
た。 (a)画像部の色落ち ◎:濃度の変化はほとんど見られず、元の鮮明な画像を
維持している。 ○:若干濃度は低下してはいるものの、実用上問題がな
い。 ×:大きな濃度の低下が見られ、実用上問題がある。 (b)転写層の外観 ◎:転写層の剥がれ・破れがなく、皺の発生もほとんど
見られない。 ○:転写層の剥がれ・破れはないが、やや皺が発生して
いる。 ×:転写層が剥がれ・破れが認められる。あるいは、酷
い皺が多数発生しており、外観上見苦しい。
【0044】
【表1】
【0045】表1から明らかなように、転写層に中空粒
子を含有させた本発明のインクジェット記録用転写シー
トは、転写層のインク吸収性および転写画像の発色性に
優れ、洗濯堅牢性も良好であり、さらには屋外適性も有
している。特に、中空粒子がカチオン性である実施例
2、3は、転写画像の発色がさらに向上し、洗濯や屋外
使用時の色落ちが全くなく好ましい。一方、転写層に中
空粒子を含有しない比較例1、転写層に炭酸カルシウム
を配合した比較例3、中空でない熱硬化性有機顔料を配
合した比較例4では、転写画像の発色に劣り、洗濯時や
屋外使用時に、転写層に皺が発生したり転写層が剥がれ
たりして外観上見苦しくなる。転写層にシリカを配合し
た比較例2は、インクの吸収性は良好であるが、画像の
発色・洗濯堅牢性に劣り、また屋外使用適性もない。
【0046】
【発明の効果】本発明のインクジェット記録用転写シー
トは、転写層が中空粒子を含有することを特徴とする。
本構成とすることにより、転写層のインク吸収性が高
く、転写層にインクジェット記録した後、被転写材に転
写層を転写した際の画像の発色が良好で、かつ、洗濯や
屋外使用時にも転写画像の色落ち、転写層の被転写材か
らの剥がれ、転写層の破れ等を起こらなくすることが可
能となる。特に、中空粒子がカチオン性であると転写画
像の発色がさらに良好となり好ましい。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体、転写層を順次積層したインクジ
    ェット記録用転写シートにおいて、転写層が中空粒子を
    含有することを特徴とするインクジェット記録用転写シ
    ート。
  2. 【請求項2】 該中空粒子がカチオン性である請求項1
    記載のインクジェット記録用転写シート。
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JP2008183904A (ja) * 2004-06-24 2008-08-14 Hewlett-Packard Development Co Lp 中空ビーズを含有する可融性インクジェット記録材料、当該記録材料を用いたシステム、並びに当該記録材料を用いる方法
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