JP2003025715A - インクジェット記録用転写シート - Google Patents

インクジェット記録用転写シート

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JP2003025715A
JP2003025715A JP2001214123A JP2001214123A JP2003025715A JP 2003025715 A JP2003025715 A JP 2003025715A JP 2001214123 A JP2001214123 A JP 2001214123A JP 2001214123 A JP2001214123 A JP 2001214123A JP 2003025715 A JP2003025715 A JP 2003025715A
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JP2001214123A
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Katsuaki Arai
克明 新井
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】インク吸収性が高く発色が良好であり、各種被
転写材に転写した後の画像の堅牢性が優れるインクジェ
ット記録用転写シートを提供する。さらには、各種被転
写材に転写された画像を洗濯したり屋外で使用したりし
た場合でも、転写画像の色落ちや転写層の被転写材から
の剥がれ、転写層の破れを発生しないインクジェット記
録用転写シートを提供する。 【解決手段】支持体、保護層、転写層を順次積層した構
成とし、保護層を空隙を有しており、加熱転写後透明な
皮膜となる層で構成する。保護層に紫外線吸収剤および
/または酸化防止剤を含有させる。紫外線吸収剤および
/または酸化防止剤に、微粒子であり、加熱転写後透明
な皮膜となる性質を有する物質を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、布帛、フィルム、
金属等の被転写材上に転写により画像を形成する際に使
用される転写シートに関する。さらに詳しくは、画像形
成をインクジェット記録方式により行うインクジェット
記録用転写シートに関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式は、種々の作動
原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙などの記録
シートに付着させ、画像・文字などの記録を行なうもの
であるが、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターン
の融通性が大きい、現像−定着が不要などの特徴があ
り、漢字を含め各種図形およびカラー画像などの記録装
置として種々の用途において急速に普及している。さら
に、多色インクジェット記録方式により形成される画像
は、製版方式による多色印刷に比較して遜色のない画像
を得ることが可能である。また、作成部数が少なくて済
む用途においては、安価であることからフルカラー画像
記録分野にまで広く応用されつつある。
【0003】近年、手軽にフルカラー画像を作成できる
インクジェットプリンタを利用して、様々なメディアへ
カラープリントを行う要求が高まっている。特に、転写
方式を利用したプリント技術は、直接プリンタで印刷す
ることが困難なメディアへも画像形成が行えることから
注目されている。
【0004】これまでにも、インクジェット記録方式を
利用した転写媒体はいくつか提案されている。例えば、
特開平8−207426号公報では、インク受容層を、
熱可塑性樹脂、結晶性可塑剤及び粘着付与剤から構成す
ることで、加熱のみで貼り合わせ可能なインクジェット
記録シートを開示している。また、特開平8−2074
50号公報では、支持体と熱転写層からなるシートにお
いて、熱転写層に粒状熱可塑性高分子樹脂、多孔質無機
微粒子及びバインダを用いて、熱転写可能なインクジェ
ット記録転写媒体を開示している。さらに、米国特許第
5,501,902号明細書においても、上記構成に加
え、カチオン樹脂やインク粘度調整剤等を添加させた構
成のインクジェット用転写媒体が開示されている。しか
しながら、上記構成のインクジェット記録用転写媒体で
は、インクジェット記録による転写媒体への画像形成、
及び該転写媒体上の画像の転写に関しては十分な性能を
持つものの、各種被転写材へ転写された画像の堅牢性に
対する性能は十分なものとはいえなかった。具体的に
は、上記のような転写媒体から布帛へ転写された画像を
洗濯した場合に、インク色材の流出により画像濃度の低
下が生じていた。さらには、洗濯により、布帛へ転写さ
れた転写層が破れたり布帛から剥がれたり、さらに進む
と転写層が被転写材から脱落したりして、外観上見苦し
いものとなる問題が生じていた。
【0005】こうした洗濯堅牢性を向上させたインクジ
ェット記録用転写媒体もいくつか提案されている。例え
ば、特開平10−329415号公報では、支持体上に
離型層、転写層が順次設けられた構成とし、転写層に熱
可塑性樹脂微粒子、熱可塑性樹脂結着剤、カチオン樹
脂、無機微粒子を用い、その配合比率をある特定の範囲
に限定したり、該転写層にさらに可塑剤あるいは界面活
性剤を添加したりしたインクジェット記録用転写媒体を
開示している。しかしながら、こうした構成としても、
十分な洗濯堅牢性が得られていないのが実情である。
【0006】また、上記特開平10−329415号公
報では、転写層と離型層の間に均一皮膜からなる転写層
を設け、転写層を2層構成とする方法も開示されてい
る。しかしながら、こうした構成とすると、画像を転写
した布帛を洗濯した場合、乾燥時に均一皮膜層側からは
水分が飛ばないため、転写部分の乾燥性が悪くなり、転
写画像が水分と接触する時間が長くなるせいか、画像の
色落ち、にじみが発生しやすいという問題が生じてい
た。
【0007】さらに、転写画像が形成された各種被転写
材を屋外で使用する場合には、当然のことながら、転写
画像は太陽光、熱、あるいは酸素、オゾン等の酸化性ガ
ス等に晒されることになる。こうした影響により、転写
画像が退色して、外観上見苦しいものとなる問題があっ
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、インク吸収性が高く発色が良好であり、さらに布
帛、フィルム、金属等の各種被転写材に転写した後の画
像の堅牢性が優れるインクジェット記録用転写シートを
提供することにある。さらには、画像を転写した各種被
転写材を洗濯したり屋外で使用した場合でも、記録画像
の色落ちや転写層の破れや転写層の被転写材からの剥が
れが発生しないインクジェット記録用転写シートを提供
することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、以上のよ
うな問題点を解決するために、転写層の構成に着目し鋭
意研究を行った結果、以下の発明に至った。
【0010】支持体、保護層、転写層を順次積層したイ
ンクジェット記録用転写シートにおいて、保護層が空隙
を有しており、加熱転写後透明な皮膜となることを特徴
とするインクジェット記録用転写シートの発明である。
【0011】該保護層に紫外線吸収剤および/または酸
化防止剤を含有するインクジェット記録用転写シートの
発明である。
【0012】該紫外線吸収剤および/または該酸化防止
剤が、微粒子であり、加熱転写後透明な皮膜となる性質
を有するインクジェット記録用転写シートの発明であ
る。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明に関わるインクジェット記
録用転写シートについて詳細に説明する。本発明のイン
クジェット記録用転写シートは、支持体、保護層、転写
層を順次積層した構成である。転写層に要求される特性
は、第一にインクジェット記録用インクを良好に吸収し
発色が良好な画像を保持すること、第二に布帛、フィル
ム、金属等の被転写材に加熱等の手段により良好に接着
し、保持されていた画像が被転写材上に良好に転写され
ること、第三に被転写材上に転写された後に転写層内に
あるインク色材を強固に保持し、被転写材が水や汗等に
より濡れた場合でも色落ち、にじみを起こさないこと、
第四に洗濯や屋外放置時の風雨等の過酷な条件下でも被
転写材から剥がれたり転写層自体が破れたりしないこと
の4点である。
【0014】第一の本発明に関わるインクジェット記録
用転写シートは、支持体、保護層、転写層を順次積層し
た構成であり、保護層が空隙を有しており、加熱転写後
透明な皮膜となる層であることを特徴とする。こうした
構成とすることで、インク吸収性が高く発色が良好であ
り、さらに布帛に転写した後の画像の洗濯堅牢性に優れ
るインクジェット記録用転写シートとすることが可能と
なる。特に、画像を転写した布帛を洗濯した場合でも、
記録画像の色落ち、にじみが起こらないことが判明し
た。
【0015】本発明に係わる転写層は、少なくとも熱可
塑性樹脂微粒子およびバインダーを含有する。本発明に
関わる熱可塑性樹脂微粒子は、転写画像を形成する前
は、転写層中で皮膜化されずに微粒子の形状を維持した
まま存在している。このため、該微粒子間の空隙でイン
クを吸収、保持することが可能となる。また、転写層を
被転写材に加熱・転写する際には、該微粒子は熱により
溶融し、例えば布帛に転写する際に、これら微粒子が繊
維間に入り込み固着するため、転写層および保護層を被
転写材に転写することが可能となる。
【0016】本発明に係わる保護層は、空隙を有してお
り、加熱転写後透明な皮膜となる層である。加熱前の保
護層は空隙を有しており、インク吸収性がある。このた
め、転写層、保護層を併せたインク吸収性の設計を行う
ことができ、各層の設計の自由度が増えることになり好
ましい。また、本発明のインクジェット記録用転写シー
トを被転写材に加熱転写すると、保護層は溶融し透明な
皮膜となるため、保護層が転写画像の発色を妨げること
なく良好な発色を得ることが可能となる。さらに、本発
明のように、保護層を加熱前には空隙を有する層とした
場合は、保護層を均一皮膜層とした場合に比べ、画像を
転写した布帛を洗濯した際の画像の色落ち、にじみが起
こりにくくなることが判明した。本発明に係わる保護層
は、加熱転写時に完全に均一な皮膜とならず、部分的に
空隙を有した皮膜となるため、洗濯後の水分の乾燥が布
帛側および保護層側の両方から行われ、転写画像部に水
分が滞留しにくくなり、画像の色落ち、にじみが起こり
にくくなっていると考えられる。一方、保護層が均一皮
膜層である場合、洗濯後の乾燥の際、均一皮膜層側から
は水分が乾燥されないため、転写画像部に水分が滞留し
やすく、画像の色落ち、にじみが発生しやすいのではな
いかと考えられる。
【0017】本発明に係わる保護層は、空隙を有してお
り、加熱転写後透明な皮膜となる層であればどんな材料
で構成しても構わない。例えば、150〜250℃に加
熱された熱スタンプに0.5〜20秒間接触させた後、
常温になった場合に透明な皮膜を形成する有機物微粒子
から構成される。こうした特性を有する有機物微粒子と
しては、熱可塑性樹脂微粒子、加熱前は結晶であるが加
熱転写後非晶質のまま安定に存在する有機物微粒子等が
挙げられる。
【0018】本発明のインクジェット記録用転写シート
は、家庭等において手軽に画像形成・被転写材への転写
が行えることが好ましい。つまり、汎用のインクジェッ
トプリンターで転写層に画像を記録した後、家庭用アイ
ロン等で布帛等に簡便に転写層を転写できることが好ま
しい。この点から、保護層あるいは転写層で使用される
熱可塑性樹脂微粒子の最低製膜温度、保護層で使用され
る有機物微粒子の融点は、60℃以上200℃以下のも
のが好ましく、より好ましくは70℃以上180℃以
下、さらに好ましくは80℃以上150℃以下である。
最低製膜温度あるいは融点が60℃よりも低いと、保管
時に熱可塑性樹脂微粒子あるいは有機物微粒子が溶融皮
膜化し、本来有していたインク吸収性が失われる恐れが
ある。また、塗工の際の乾燥は熱可塑性樹脂微粒子の最
低製膜温度以下あるいは有機物微粒子の融点以下の温度
で行う必要があるため、製造効率が低下する。最低製膜
温度あるいは融点が200℃よりも高いと、転写する際
に高いエネルギーを必要とし、被転写材への転写が行い
にくくなる。
【0019】本発明に係わる保護層あるいは転写層で使
用される熱可塑性樹脂微粒子としては、非水溶性の熱可
塑性樹脂からなる微粒子であればいずれのものも使用す
ることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリイソブチレン、酸化ポリエチレン、ポリ酢酸ビ
ニル、ポリビニルアセタール、ポリ(メタ)アクリル
酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリアクリル酸
誘導体、ポリアクリル酸アミド、ポリエーテル、ポリエ
ステル、ポリカーボネート、セルロース系樹脂、ポリア
クリルニトリル、ポリイミド、ポリアミド、ポリ塩化ビ
ニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、チオコー
ル、ポリスルフォン、ポリウレタン、ポリブタジエン、
その他これらの樹脂の単量体の共重合物が挙げられる。
中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(メタ)
アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ酢
酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリウレタ
ン、ポリアミド、ポリブタジエン及びこれらの共重合物
が好ましく用いられる。
【0020】インク色材は転写層に主に保持されて、保
護層にまで到達する比率が少ない方が、太陽光、熱、酸
化性ガスに晒されるインク色材の比率が少なくなり、画
像耐候性の観点から好ましい。つまり、転写層はインク
吸収を主に担う層であり、転写層で使用される熱可塑性
樹脂微粒子の粒径は、インク吸収性、画像鮮明性の点か
ら、0.5μm以上50μm以下、より好ましくは1μ
m以上20μm以下、さらに好ましくは3μm以上15
μm以下である。粒径が0.5μmより小さいと、熱可
塑性樹脂微粒子間の空隙が小さくなり十分なインク吸収
性が得られにくい。粒径が50μmより大きいと、画像
解像度が低くなり鮮明な画像が得られにくい。
【0021】保護層は転写層ほどインク吸収性は必要と
されず、被転写材に加熱転写後、洗濯・乾燥時に適度に
水分が透過する層であれば良い。保護層で使用される熱
可塑性樹脂微粒子あるいは有機物微粒子の粒径は、転写
層で使用される熱可塑性樹脂微粒子の粒径と同等か、そ
れよりも小さいことが好ましい。具体的には、20nm
以上50μm以下が好ましく、より好ましくは50nm
以上10μm以下、さらに好ましくは100nm以上5
μm以下である。
【0022】本発明に係わる保護層には、有機物微粒子
およびその他の成分を支持体に固着させるためにバイン
ダーを配合することができる。本発明に係わる保護層あ
るいは転写層で使用されるバインダーとしては、例え
ば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酢
酸ビニル、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロ
ース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、シリル変
性ポリビニルアルコール等;スチレン−ブタジエン共重
合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の
共役ジエン系共重合体ラテックス;アクリル酸エステル
及びメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体、アク
リル酸及びメタクリル酸の重合体又は共重合体等のアク
リル系重合体ラテックス;エチレン酢酸ビニル共重合体
等のビニル系重合体ラテックス;或いはこれらの各種重
合体のカルボキシル基等の官能基含有単量体による官能
基変性重合体ラテックス;メラミン樹脂、尿素樹脂等の
熱硬化合成樹脂系等の水性接着剤;ポリメチルメタクリ
レート、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、
塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラ
ール、アルキッド樹脂等の合成樹脂系接着剤が挙げら
れ、1種以上で使用される。これらのうち、耐水性の観
点から非水溶性のラテックス系バインダーが好ましい。
【0023】バインダーの比率は、熱可塑性樹脂微粒子
あるいは有機物微粒子100部に対し1部以上40部以
下であることが好ましく、より好ましくは2部以上20
部以下、さらに好ましくは4部以上15部以下である。
バインダーの比率が1部より少ないと、熱可塑性樹脂微
粒子等を十分に接着することができず、プリンター搬送
時に転写層および保護層が支持体から剥がれるといった
トラブルが生じやすい。40部より多いと微粒子間の空
隙をバインダーが埋めることになり、インク吸収性が悪
化しやすい。
【0024】本発明に係わる保護層あるいは転写層には
カチオン樹脂を含有することができる。カチオン樹脂と
しては2級アミン、3級アミン、4級アンモニウム塩な
どが挙げられる。これらのカチオン樹脂は、水性インク
の染料分である水溶性直接染料や水溶性酸性染料中のス
ルホン酸基、カルボキシル基などと不溶な塩を形成する
ため、保護層にて染料を捕獲し色彩性の向上させたり、
不溶な塩の形成により水の滴下や吸湿によるインクの流
れ出しや滲み出しを抑制し耐水性を向上させることがで
きる。
【0025】本発明において、保護層あるいは転写層に
はさらに、有機・無機の顔料、界面活性剤、硬膜剤、可
塑剤、着色染料、着色顔料、顔料分散剤、消泡剤、レベ
リング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節
剤、離型剤、発泡剤などの公知の各種添加剤を添加する
こともできる。
【0026】本発明に関わる保護層の塗工量は、固形分
換算で1g/m2以上20g/m2以下であることが好まし
く、より好ましくは2g/m2以上15g/m2以下、さら
に好ましくは4g/m2以上10g/m2以下である。塗工
量が1g/m2よりも少ないと、保護層を設けた効果が小
さく、洗濯後の転写画像の破れ等の問題を発生しやす
い。塗工量が20g/m2を超えると、転写画像の発色が
低下しやすい。
【0027】本発明に関わる転写層の塗工量は、固形分
換算で10g/m2以上100g/m2以下であることが好
ましく、より好ましくは15g/m2以上50g/m2
下、さらに好ましくは20g/m2以上40g/m2以下で
ある。塗工量が10g/m2よりも少ないと、転写層のイ
ンク吸収性が不十分となり良好な画像が得られ難く、ま
た転写層の被転写材への転写性が悪化しきれいな転写画
像が得られ難い。塗工量が100g/m2を超えると、転
写層の柔軟性が失われやすい。
【0028】本発明に関わる支持体としては、プリンタ
ーでの搬送が可能で、熱転写に対して必要な耐熱性を有
していれば、いずれの支持体でも使用できる。例えば、
紙、不織布、フィルム等が使用可能である。具体的に
は、上質紙、クラフト紙、クレープ紙、エンボス紙等の
紙類、不織布、綿布等の布帛、ポリエチレンテレフタレ
ートやポリエチレンナフタレートのようなポリエステル
樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィ
ン樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、アク
リル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポ
リイミド樹脂、セロハン、セルロイド等の樹脂フィル
ム、また、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレ
フィン樹脂で紙を被覆(ラミネート)した支持体等が挙
げられる。また、転写層の支持体から被転写材への剥離
性を向上させるために、支持体上に公知の方法で表面剥
離処理を行う等は何ら問題ない。
【0029】支持体上に表面剥離処理をする方法の一例
として、支持体上に離型層を設ける方法が挙げられる。
離型層の形成材料としては、熱溶融性材料として、例え
ば、カルナウバワックス、パラフィンワックス、マイク
ロクリスタリンワックス、カスターワックス等のワック
ス類、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ステ
アリン酸アルミニウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸
バリウム、ステアリン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、メチ
ルヒドロキシステアレート、グリセロールモノヒドロキ
システアレート等の高級脂肪酸あるいはその金属塩、エ
ステル等の誘導体、ポリアミド系樹脂、石油系樹脂、ロ
ジン誘導体、クマロン−インデン樹脂、テルペン系樹
脂、ノボラック系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリブテン、酸化ポリオレフィン
等のオレフィン系樹脂、ビニルエーテル系樹脂等が挙げ
られる。また、この他に、シリコーン樹脂、フルオロシ
リコーン樹脂、フルオロオレフィンビニルエーテルター
ポリマー、パーフルオロエポキシ樹脂、パーフルオロア
ルキル基を側鎖に持つ熱硬化型アクリル樹脂、フッ化ビ
ニリデン系硬化型樹脂等も用いられる。
【0030】本発明のインクジェット記録用転写シート
を作製するために、支持体の一方の面に保護層、転写層
を順次設ける必要がある。その手段としては、各種ブレ
ードコーター、ロールコーター、エアーナイフコータ
ー、バーコーター、ロッドブレードコーター、ショート
ドウェルコーター、コンマコーター、ダイコーター、リ
バースロールコーター、キスコーター、カーテンコータ
ー、エクストルージョンコーター、ゲートロールコータ
ー、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、な
どの塗工装置を用いることが出来る。
【0031】本発明のインクジェット記録用転写シート
は、市販の汎用プリンターを使用して転写層に画像を形
成し、転写層の画像を加熱等の手段によって被転写体に
転写し、被転写体に画像を形成する目的で使用される。
用いる色材も特に限定されるものではなく、従来公知の
染料インク及び顔料インクを用いることができる。
【0032】第二の本発明に係わるインクジェット記録
用転写シートは、保護層が紫外線吸収剤および/または
酸化防止剤を含有することを特徴とする。こうした構成
とすることで、インク吸収性が良好であり、画像を転写
した布帛を洗濯した際の画像の色落ち、にじみが起こり
にくくなるばかりか、布帛等に転写された画像を太陽
光、熱、酸素、オゾン等の酸化性ガス等に晒される屋外
で使用した場合でも画像の退色が起こらず、屋外使用適
性を有するインクジェット記録用転写シートとすること
が可能となる。屋外使用時の画像の退色を抑制するため
に、転写層中に、紫外線吸収剤および/または酸化防止
剤といった耐候性向上材料を添加することもできるが、
こうした構成の場合、耐候性向上材料とインク色材が転
写層中で同一レベルの場所にあり、耐候性向上材料が太
陽光、熱、酸化性ガス等のインク色材への攻撃を完全に
防御できず、その効果は不十分であった。本発明の構成
の場合、耐候性向上材料を含有する保護層が、主にイン
ク色材を定着している転写層全面を太陽光、熱、酸化性
ガス等から保護しており、転写層に形成された画像を退
色させることがなく、良好な耐候性が得られるものと考
えられる。
【0033】保護層に含有させる紫外線吸収剤および/
または酸化防止剤は、微粒子であり、加熱転写後透明な
皮膜となる性質を有すると好ましい。保護層が常温で液
体である紫外線吸収剤および/または酸化防止剤を含有
した構成では、画像を転写した布帛を洗濯した際に、上
記薬剤が水中に流れだし、洗濯回数の増加に伴い耐候性
向上効果が低下しやすい。また、紫外線吸収剤および/
または酸化防止剤が結晶等の微粒子であり、加熱転写後
不透明な皮膜となる、あるいは元の結晶状態に戻る性質
を有している場合、被転写材に転写された保護層は透明
性が低下し、保護層に邪魔されて主に転写層に定着され
ているインク色材の視認性が悪化し、発色性が低下しや
すい。このため、こうした性質を有する紫外線吸収剤お
よび/または酸化防止剤を保護層に使用する場合には、
添加量を制限して、転写画像の発色性と耐候性のバラン
スを取る必要があり、耐候性の向上には限界がある。
【0034】一方、保護層に含有させる紫外線吸収剤お
よび/または酸化防止剤が、微粒子であり、加熱転写後
透明な皮膜となる物質である場合、被転写材に転写され
た保護層は透明であり、主に転写層に定着されているイ
ンク色材の視認性を妨害することがないため、発色性は
保たれる。この結果、保護層中に含有させる紫外線吸収
剤および/または酸化防止剤の添加量に制約がなく、耐
候性向上を図ることが可能となるのである。
【0035】本発明に係わる紫外線吸収剤としては、ベ
ンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フ
ェニル系、シアノアクリレート系、ヒンダードアミン系
等の紫外線吸収剤が挙げられ、酸化防止剤としては、モ
ノフェノール系、ビスフェノール系、高分子型フェノー
ル系等のフェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、
リン系酸化防止剤等が挙げられる。また、微粒子であ
り、加熱転写後透明な皮膜となる紫外線吸収剤および/
または酸化防止剤として、加熱前は結晶であるが加熱後
常温となった場合に非晶質のまま安定に存在する有機物
微粒子が挙げられる。具体的には、紫外線吸収剤とし
て、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェ
ニル)ベンゾトリアゾール(融点103℃)、2−
[3′,5′−ジ−t−アミル−2′−ヒドロキシフェ
ニル]ベンゾトリアゾール(融点80℃)、2−(3′
−t−ブチル−5′−メチル−2′−ヒドロキシフェニ
ル)−5−クロロベンゾトリアゾール(融点138
℃)、2−[3′,5′−ジ−t−ブチル−2′−ヒド
ロキシフェニル]ベンゾトリアゾール(融点152
℃)、2−[3′,5′−ジ−t−ブチル−2′−ヒド
ロキシフェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール(融
点154℃)、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−
ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−
ベンゾトリアゾール(融点137℃)等、酸化防止剤と
して、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−
ブチルフェノール)(融点120℃)、トリエチレング
リコールビス〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ
−5−メチルフェニル)プロピオネート〕(融点77
℃)、1,6−ヘキサンジオールビス〔3−(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート〕(融点104℃)、2,2−チオ−ジエチレンビ
ス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート〕(融点63℃)、ペンタエリ
スリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(融点1
15℃)、3,9−ビス〔2−〔3−(3−t−ブチル
−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニロ
キシ〕−1,1−ジメチルエチル〕−2,4,8,10
−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン(融点12
5℃)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t
−ブチルフェノール)(融点120℃)、1,1,3−
トリス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチル
フェニル)ブタン(融点186℃)、2,4−ジ−t−
ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシベンゾエート(融点195℃)等が挙げられるが、
これらの物質に限定されるわけではない。
【0036】保護層に含有される紫外線吸収剤および/
または酸化防止剤の比率は特に限定されないが、好まし
くは、保護層の全乾燥固形分に占める紫外線吸収剤およ
び/または酸化防止剤の比率が1%以上99%以下であ
り、さらに好ましくは10%以上95%以下、特に好ま
しくは25%以上90%以下である。紫外線吸収剤およ
び/または酸化防止剤の比率が1%より少ないと耐候性
向上効果が小さくなりやすく、99%を超えると効果が
飽和しやすい。
【0037】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳しく説明する
が、本発明の内容は実施例に限られるものではない。
【0038】転写層塗液 熱可塑性樹脂微粒子としてエチレン−酢酸ビニルエマル
ジョン(粒径7μm)100部、バインダーとしてスチ
レン−アクリル系エマルジョン10部、カチオン樹脂と
してポリアミド・エピクロロヒドリン樹脂7部を用い、
これを調液し、固形分濃度35%とした。
【0039】保護層塗液1 熱可塑性樹脂微粒子としてアクリル系エマルジョン(粒
径100nm)100部、バインダーとしてスチレン−
アクリル系エマルジョン10部を用い、これを調液し、
固形分濃度30%とした。
【0040】保護層塗液2 熱可塑性樹脂微粒子としてアクリル系エマルジョン(粒
径100nm)100部、バインダーとしてスチレン−
アクリル系エマルジョン10部、常温で液体の酸化防止
剤としてイソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート10部を用
い、これを調液し、固形分濃度30%とした。
【0041】保護層塗液3 熱可塑性樹脂微粒子としてアクリル系エマルジョン(粒
径100nm)100部、バインダーとしてスチレン−
アクリル系エマルジョン10部、常温で粉末結晶であり
加熱後常温となった場合に結晶状態に戻る酸化防止剤と
してオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(粒径1μm、
融点50℃)10部を用い、これを調液し、固形分濃度
30%とした。
【0042】保護層塗液4 熱可塑性樹脂微粒子としてアクリル系エマルジョン(粒
径100nm)100部、バインダーとしてスチレン−
アクリル系エマルジョン10部、常温で粉末結晶であり
加熱後透明な皮膜となる酸化防止剤として3,9−ビス
〔2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−
メチルフェニル)プロピオニロキシ〕−1,1−ジメチ
ルエチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ
〔5,5〕ウンデカン(粒径1μ、融点125℃)10
部を用い、これを調液し、固形分濃度30%とした。
【0043】保護層塗液5 常温で粉末結晶であり加熱後透明な皮膜となる酸化防止
剤として3,9−ビス〔2−〔3−(3−t−ブチル−
4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニロキ
シ〕−1,1−ジメチルエチル〕−2,4,8,10−
テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン(粒径1μ、
融点125℃)100部、バインダーとしてスチレン−
アクリル系エマルジョン10部を用い、これを調液し、
固形分濃度30%とした。
【0044】保護層塗液6 常温で粉末結晶であり加熱後透明な皮膜となる紫外線吸
収剤として2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチ
ルフェニル)ベンゾトリアゾール(粒径1μ、融点10
3℃)100部、バインダーとしてスチレン−アクリル
系エマルジョン10部を用い、これを調液し、固形分濃
度30%とした。
【0045】保護層塗液7 常温で粉末結晶であり加熱後透明な皮膜となる紫外線吸
収剤として2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチ
ルフェニル)ベンゾトリアゾール(粒径1μ、融点10
3℃)50部、常温で粉末結晶であり加熱後透明な皮膜
となる酸化防止剤として3,9−ビス〔2−〔3−(3
−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)
プロピオニロキシ〕−1,1−ジメチルエチル〕−2,
4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカ
ン(粒径1μ、融点125℃)50部、バインダーとし
てスチレン−アクリル系エマルジョン10部を用い、こ
れを調液し、固形分濃度30%とした。
【0046】保護層塗液8 溶剤系のエチレン−酢酸ビニル共重合体溶液をそのまま
使用した。
【0047】実施例1 支持体として市販の剥離紙を使用し、剥離紙の表面剥離
処理面に、保護層塗液1をコンマコーターを用いて乾燥
後の塗工量が10g/m2となるように塗布、60℃の熱
風により乾燥した。こうして得た保護層の上に、転写層
塗液をコンマコーターを用いて乾燥後の塗工量が25g
/m2となるように塗布、60℃の熱風により乾燥して本
発明のインクジェット記録用転写シートを得た。
【0048】実施例2 実施例1において、保護層塗液1を保護層塗液2に変更
した以外は、実施例1と同様にして本発明のインクジェ
ット記録用転写シートを得た。
【0049】実施例3 実施例1において、保護層塗液1を保護層塗液3に変更
した以外は、実施例1と同様にして本発明のインクジェ
ット記録用転写シートを得た。
【0050】実施例4 実施例1において、保護層塗液1を保護層塗液4に変更
した以外は、実施例1と同様にして本発明のインクジェ
ット記録用転写シートを得た。
【0051】実施例5 実施例1において、保護層塗液1を保護層塗液5に変更
した以外は、実施例1と同様にして本発明のインクジェ
ット記録用転写シートを得た。
【0052】実施例6 実施例1において、保護層塗液1を保護層塗液6に変更
した以外は、実施例1と同様にして本発明のインクジェ
ット記録用転写シートを得た。
【0053】実施例7 実施例1において、保護層塗液1を保護層塗液7に変更
した以外は、実施例1と同様にして本発明のインクジェ
ット記録用転写シートを得た。
【0054】比較例1 支持体として市販の剥離紙を使用し、剥離紙の表面剥離
処理面に、転写層塗液をコンマコーターを用いて乾燥後
の塗工量が25g/m2となるように塗布、60℃の熱風
により乾燥してインクジェット記録用転写シートを得
た。
【0055】比較例2 転写層塗液にさらに、常温で粉末結晶であり加熱後透明
な皮膜となる酸化防止剤として3,9−ビス〔2−〔3
−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェ
ニル)プロピオニロキシ〕−1,1−ジメチルエチル〕
−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウ
ンデカン(粒径1μ、融点125℃)10部を添加し
た。こうして得た転写層塗液を用いた以外は、比較例1
と同様にしてインクジェット記録用転写シートを得た。
【0056】比較例3 実施例1において、保護層塗液1を保護層塗液8に変更
した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録
用転写シートを得た。
【0057】「評価」 1)インク吸収性 実施例及び比較例で作製した転写シートをA4判に断裁
した後、転写シートの転写層側にインクジェットプリン
ター(セイコーエプソン製PM−750C)でブラッ
ク、シアン、マゼンタ、イエローの各色100%、およ
びブルー(シアンとマゼンタの混色)、グリーン(シア
ンとイエローの混色)、レッド(マゼンタとイエローの
混色)の各色200%のベタ印字を行った。各転写シー
トのインク吸収性を以下の基準で判定した。 ◎:各色ともインクのにじみが全く見られず、インク吸
収性が良好である。 ○:200%のベタ印字部では色によってややインクの
にじみが見られるが、許容できるレベルである。100
%のベタ印字部のインク吸収性は良好である。 △:200%のベタ印字部では各色ともにインクのにじ
みが見られる。100%印字ではインクのにじみが見ら
れないため、用途によっては使用可能なレベルである。 ×:200%ベタ印字部では明確なインクのにじみが見
られる。100%ベタ印字部についても色によってはイ
ンクのにじみが見られ、使用不能である。
【0058】実施例及び比較例で作製した転写シートを
A4判に断裁した後、転写シートの転写層側にインクジ
ェットプリンター(セイコーエプソン製PM−750
C)でブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色1
00%のベタ印字を行った。印字後、綿100%の白色
Tシャツ上に転写シートの転写層側を密着させ、約20
0℃に加熱したアイロンを、転写シートの支持体側から
接触させて転写を行った。この際、転写シートの各場所
とアイロンとの接触時間がほぼ10秒間程度になるよう
に、アイロンを移動させながら転写を行った。転写シー
トが十分に冷めた後、支持体を剥離し転写画像を得た。
こうして得た転写画像について下記の評価を行った。 2)印字濃度 転写画像の各色の印字濃度をマクベスRD919を用い
て測定した。値は大きい方が印字濃度が高く印字性が良
好であることを示す。 3)洗濯堅牢性 前記方法で作製した転写画像を有するTシャツを、洗濯
機に入れ30℃のぬるま湯で30分間攪拌した。その後
風乾した。こうした洗濯作業を1回行った場合と、5回
行った場合とについて、転写画像の色落ち、転写層の外
観、耐光性、耐オゾン性を判定した。 (a)色落ち ◎:印字濃度の低下、色のにじみが全く見られない。 ○:印字濃度がやや低下しているが、色のにじみは見ら
れない。 ×:印字濃度の低下がはっきり認められる、あるいは色
のにじみが認められる。 (b)転写層の外観 ◎:転写層のTシャツからの剥がれ、転写層自体の破れ
が全くなく良好。 ○:転写層のTシャツからの剥がれ、転写層自体の破れ
は認められないが、転写層がTシャツから少し浮いた箇
所があり皺の発生が認められる。 ×:転写層のTシャツからの剥がれ、転写層自体の破れ
が認められる。 (c)耐光性 前記方法で作製した転写画像を有するTシャツを、キセ
ノンアークフェードメーター、アトラス製Ci−35f
を用い、ブラックパネル温度63℃、相対湿度65%R
Hの環境下で30時間の光照射を行った。光照射前後の
マゼンタインクの色差を測定した。色差は、L***
(CIE1976)に従って光照射前後のサンプルの色
を測定した結果を基に、下記数1で規定することができ
る。色差が大きいほど、色劣化が生じていることを示
し、色差が3.0以下であれば実用上問題ないレベルと
判断できる。 (d)耐オゾン性 前記方法で作製した転写画像を有するTシャツを、オゾ
ン導入口および排出口の付いたガラス容器中に入れ、三
菱電機製オゾナイザーOS−1にて発生させたオゾンを
15分間連続して導入した。この時のオゾン濃度は約8
0ppmであった。オゾン処理前後のマゼンタインクの
色差を測定した。色差の測定法は耐光性試験に準ずる。
【0059】
【数1】 △E={(△L*2+(△a*2+(△b*21/2 ここで、△Eは色差、△L*、△a*、△b*は、各々光
照射前後のL*、a*、b*の差である。
【0060】
【表1】
【0061】表1から明らかなように、支持体、保護
層、転写層を順次積層した構成であり、保護層が空隙を
有しており、加熱転写後透明な皮膜となる本発明のイン
クジェット記録用転写シートは、インク吸収性、転写画
像の発色性が良好で、かつ、洗濯後の画像の色落ち、転
写層の剥がれや破れがなく洗濯堅牢性にも優れる。保護
層が紫外線吸収剤および/または酸化防止剤を含有する
実施例2〜7では、上記特性に加え、耐光性、耐オゾン
性が良好であり、耐候性が向上しており好ましい。保護
層に、微粒子であり、加熱転写後透明な皮膜となる性質
を有する紫外線吸収剤および/または酸化防止剤を配合
した実施例4〜7では、転写画像の発色、耐候性が良好
となりより好ましく、さらに実施例5〜7のように、保
護層の紫外線吸収剤および/または酸化防止剤を増やし
た場合には、耐候性が非常に良好となり、特に好ましい
実施形態となる。
【0062】一方、保護層を設けていない比較例1、2
では耐光性、耐オゾン性に劣り、耐候性がなく、複数回
の洗濯により転写層の剥がれや破れが発生する。均一皮
膜である保護層を設けた比較例3では、インク吸収性に
劣り、洗濯後に転写画像の色落ちが発生し好ましくな
い。
【0063】
【発明の効果】第一の本発明のインクジェット記録用転
写シートは、支持体、保護層、転写層を順次積層した構
成であり、保護層が空隙を有しており、加熱転写後透明
な皮膜となる層であることを特徴とする。本構成とする
ことで、インク吸収性が高く発色が良好であり、さらに
画像が転写された布帛を洗濯した際に、転写画像の色落
ちやにじみ、転写画像の剥がれや破れがなく、洗濯堅牢
性に優れるインクジェット記録用転写シートとすること
が可能となる。第二の本発明のインクジェット記録用転
写シートは、保護層が紫外線吸収剤および/または酸化
防止剤を含有することを特徴とする。こうした構成とす
ることで、上記特性に加え、転写画像の耐光性、耐オゾ
ン性が良好であり、太陽光、熱、あるいは酸素、オゾン
等の酸化性ガス等に晒される屋外での使用適性を有する
インクジェット記録用転写シートとすることが可能とな
る。特に、紫外線吸収剤および/または酸化防止剤が、
微粒子であり、加熱転写後透明な皮膜となる性質を有す
ると、被転写材に転写された保護層は透明であり、主に
転写層に定着されているインク色材の視認性を妨害する
ことがないため、発色性は保たれる。この結果、保護層
中に含有させる紫外線吸収剤および/または酸化防止剤
の添加量を増やすことができ、耐候性向上を図ることが
可能となり好ましい。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体、保護層、転写層を順次積層した
    インクジェット記録用転写シートにおいて、該保護層が
    空隙を有しており、加熱転写後透明な皮膜となることを
    特徴とするインクジェット記録用転写シート。
  2. 【請求項2】 該保護層に紫外線吸収剤および/または
    酸化防止剤を含有する請求項1記載のインクジェット記
    録用転写シート。
  3. 【請求項3】 該紫外線吸収剤および/または該酸化防
    止剤が、微粒子であり、加熱転写後透明な皮膜となる性
    質を有する請求項2記載のインクジェット記録用転写シ
    ート。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011173430A (ja) * 2004-01-28 2011-09-08 Eastman Kodak Co インクジェット記録要素
JP2017105035A (ja) * 2015-12-08 2017-06-15 キヤノンファインテック株式会社 転写材、記録物、それらの製造装置および製造方法
JP2017105148A (ja) * 2015-04-03 2017-06-15 キヤノンファインテック株式会社 転写材、記録物、記録物の製造方法、画像記録装置及び記録物の製造装置

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JP2011173430A (ja) * 2004-01-28 2011-09-08 Eastman Kodak Co インクジェット記録要素
JP2017105148A (ja) * 2015-04-03 2017-06-15 キヤノンファインテック株式会社 転写材、記録物、記録物の製造方法、画像記録装置及び記録物の製造装置
JP2017105035A (ja) * 2015-12-08 2017-06-15 キヤノンファインテック株式会社 転写材、記録物、それらの製造装置および製造方法

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