JPH11277994A - 熱転写シート - Google Patents

熱転写シート

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JPH11277994A
JPH11277994A JP10100545A JP10054598A JPH11277994A JP H11277994 A JPH11277994 A JP H11277994A JP 10100545 A JP10100545 A JP 10100545A JP 10054598 A JP10054598 A JP 10054598A JP H11277994 A JPH11277994 A JP H11277994A
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JP
Japan
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resin layer
layer
water
thermoplastic resin
thermal transfer
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JP10100545A
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English (en)
Inventor
Yoshio Kishimoto
芳男 岸本
Tadao Maki
忠雄 牧
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Nichiban Co Ltd
Original Assignee
Nichiban Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 印字性、耐洗濯性、柔軟性、風合い等に優れ
ると共に、耐水性及び保存安定性に優れ、さらには、水
洗工程を経ることなく画像の熱転写が可能な熱転写シー
トを提供すること。 【解決手段】 基材シート上に熱可塑性樹脂からなる中
間樹脂層(B)と非水溶性熱可塑性樹脂を主成分とする
表面樹脂層(A)とがこの順で配置され、かつ、基材シ
ートと中間樹脂層(B)との間の剥離力が中間樹脂層
(B)と表面樹脂層(A)との間の剥離力よりも大きい
熱転写シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加熱圧着により、
被転写布にインク画像等を転写可能な熱転写シートに関
し、さらに詳しくは、印字性、耐洗濯性、柔軟性、風合
い等に優れると共に、耐水性及び保存安定性に優れ、さ
らには、水洗工程を経ることなく画像の熱転写が可能な
熱転写シートに関する。
【0002】
【従来の技術】熱転写シートは、基材シート上に熱可塑
性樹脂などからなる転写層が設けられた積層構造を有
し、転写層の表面に印字または印刷により画像(図柄、
文様、文字等)を付与した後、布類等の被転写布上に画
像付与面を載せて、基材シート側から加熱圧着すること
により、被転写布上に画像を転写することができる。転
写層の表面に画像を付与するには、一般に、染料や顔料
(以下、染顔料と略記)を含むインクが用いられる。加
熱圧着するには、アイロンやホットプレス等を用いるこ
とができる。転写後、基材シートを剥離すると、被転写
布上に反転画像が形成される。インク画像は、加熱圧着
時に、転写層の熱可塑性樹脂により被転写布上に固着さ
れる。基材シートを剥離した後、染顔料を被転写布に固
着させ、次いで、転写層の熱可塑性樹脂やインクバイン
ダー等を溶解除去することにより、実質的に染顔料のみ
からなる画像を被転写布上に残す方法もある。
【0003】より具体的に、従来、熱転写シートとし
て、例えば、(1)特公昭51−42238号公報に
は、基材シート上に、熱可塑性かつ水溶性もしくはアル
カリ可溶性の繊維素誘導体、あるいは該繊維素誘導体と
熱可塑性かつ水溶性もしくはアルカリ可溶性のビニル重
合体との混合物を主成分とする転写層を設け、その上に
染顔料を含むインクで転写すべき図柄を印刷した転写シ
ートが提案されている。図柄を転写するには、この転写
シートを被転写体に重ね合わせ、加熱圧着して転写層と
共にインク層を被転写体に転写せしめ、そして、基材シ
ートを転写層との界面から剥離除去し、次いで、インク
中の染顔料を固着処理した後、転写層やインクバインダ
ー、未固着の染顔料等を洗浄除去する。これによって、
被転写体上に染顔料のみの図柄が残る。
【0004】また、(2)登録実用新案公報第3001
811号には、基材の片面に親水性の捺染糊を塗布した
布用転写シートが提案されている。親水性の捺染糊とし
て、アクリル樹脂エマルジョンを主成分とする熱可塑性
の捺染糊が示されている。この転写シートを用いて転写
するには、捺染糊の塗布面に水溶性インクによって図柄
を印刷した後、塗布面を布地に加熱圧着し、次いで、基
材を剥離する。さらに、(3)特開平2−305689
号公報、特開平4−187495号公報、特開平5−1
62469号公報等には、基材上に熱可塑性樹脂を主成
分とする転写層を形成した転写シートが提案されてい
る。これらの転写シートを用いて転写するには、先ず、
転写層表面に溶融型インクリボンを加熱圧着してインク
画像を転写層の表面に反転画像にして溶融転写し、次い
で、形成された画像を布地に転写する。すなわち、転写
シートの画像形成面と被転写布類とが接するように重
ね、基材シートの上からアイロンやホットプレス等で加
熱圧着して、転写層を被転写布類に転写し、最後に基材
シートのみを剥離する。転写層を形成するベースポリマ
ーとしては、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂や低密度
ポリエチレン等の非水溶性熱可塑性樹脂が用いられてい
る。
【0005】しかしながら、上記(1)の水溶性または
アルカリ可溶性の繊維素誘導体やビニル重合体を転写層
に用いた熱転写シートは、被転写布上に違和感のない図
柄を転写することができるものの、転写後にインクの固
着処理を行う必要があり、また、未固着の染料と転写層
とを溶解除去するため、製造工程の増加と溶解除去した
染顔料の回収が必要である。上記(2)の布用転写シー
トは、親水性の捺染糊からなる転写層の水溶性インク受
理性は良好であるものの、熱転写時に捺染糊が可塑化し
て布地に付着するため、貼付跡が目立って違和感があ
り、しかも耐洗濯性が十分ではない。
【0006】上記(3)の転写シートは、衣類等の被転
写布に画像を転写した場合、被転写布表面に転写層を形
成する熱可塑性樹脂がそのまま残存するため、貼付跡
が目立つ、布地の柔軟性が損なわれ、違和感が生じ
る、乾燥機を用いて乾燥させると、上記熱可塑性樹脂
が脱落して転写部分以外の場所や他の衣類に付着する、
また、この時、画像部分も脱離して、画像濃度が薄く
なる、アイロンをかける場合には、上記熱可塑性樹脂
が溶融してアイロンに付着しないように、剥離紙を挟ん
で行わなければならない等の欠点があった。
【0007】本発明者らは、このような従来技術の問題
点を克服するために、基材シート上に、水溶性熱可塑性
樹脂中に非水溶性熱可塑性樹脂を分散させた樹脂組成物
からなる転写層を設けた熱転写シートに想到し、先に提
案した(特開平9−240197号公報)。この熱転写
シートを用いると、転写層の印字性が良好で、貼付跡が
目立たず、生地の柔軟性を損なうことがなく、堅牢性が
高く耐洗濯性に優れ、かつ、被転写布に直接アイロン掛
けすることも可能である。すなわち、この熱転写シート
を用いて被転写布に画像を転写した後、水洗を行うこと
により、余分な樹脂部分を洗浄除去することができるの
で、貼付跡が目立たず、布地の柔軟性も保持され、風合
いの良好な被転写布が得られる。また、非水溶性熱可塑
性樹脂成分により、インク画像が被転写布に強固に固着
される。
【0008】ところが、この熱転写シートは、転写層の
主成分が水溶性熱可塑性樹脂であるため、使用前に、そ
の上に水滴が落ちると、その痕跡が僅かではあるが残
り、印字画像や転写画像に影響を及ぼすという問題があ
り、高画質の画像を転写するには、使用前の取り扱いや
作業環境に注意を要する。また、この熱転写シートは、
高温高湿環境下での保存安定性が必ずしも十分ではな
く、保存環境にも注意を要する。さらに、この熱転写シ
ートは、水による洗浄や洗濯などの水洗工程を必要とす
るので、アイロン掛けなどの乾式処理のみで簡単に画像
を転写することが要求される用途には適用することがで
きない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、イン
ク受理性と被転写布へのインクの固着性に優れ、しかも
加熱圧着により画像を被転写布に転写した直後に、水洗
や洗濯なしで着用でき、貼付跡が目立たない熱転写シー
トを提供することにある。また、本発明の目的は、印字
性、耐洗濯性、柔軟性、風合い等に優れるとともに、乾
燥機による乾燥でも熱可塑性樹脂の脱離がなく、さらに
は、転写後の被転写布に直接アイロン掛けが可能な熱転
写シートを提供することにある。本発明者らは、前記従
来技術の問題点を克服するために鋭意研究した結果、基
材シート上に非水溶性熱可塑性樹脂を主成分とする転写
層を設けた熱転写シートにおいて、基材シートと転写層
との間に熱可塑性樹脂からなる中間樹脂層を形成し、か
つ、基材シートと中間樹脂層との間の剥離力(接着力)
を中間樹脂層と転写層(表面樹脂層)との間の剥離力よ
りも大きくすることにより、前記目的を達成できること
を見いだした。
【0010】本発明の熱転写シートは、表面樹脂層がイ
ンク受理層となるので、この上に印字して画像を形成
し、これを被転写布に当接して加熱圧着すれば、表面樹
脂層と共に画像が被転写布に熱転写される。転写後に
は、基材シートと中間樹脂層を表面樹脂層から剥離す
る。この場合、基材シートと中間樹脂層との間の剥離力
を中間樹脂層と表面樹脂層との間の剥離力よりも大きく
してあるため、基材シートと中間樹脂層とが一体的に表
面樹脂層から剥離される。本発明の熱転写シートは、中
間樹脂層があることにより、転写時に加熱圧着すると、
画像が付与された表面樹脂層を被転写布の繊維中に十分
に押し込んで浸透させることができる。したがって、本
発明の熱転写シートは、非水溶性熱可塑性樹脂を主成分
とする表面樹脂層の厚みを薄くすることが可能であり、
それによって、被転写布の柔軟性や通気性の喪失を抑制
することができ、風合いが良好で、違和感のない転写画
像が付与された被転写布を得ることができる。
【0011】中間樹脂層の材質としては、非水溶性熱可
塑性樹脂を主成分とするものでも、親水性または水溶性
熱可塑性樹脂を主成分とするものであってもよい。本発
明の熱転写シートでは、非水溶性熱可塑性樹脂を主成分
とする表面樹脂層が配置されているため、中間樹脂層と
して親水性または水溶性熱可塑性樹脂を主成分とする樹
脂層を設けても、耐水性及び保存安定性が良好である。
すなわち、本発明の熱転写シートは、表面に非水溶性熱
可塑性樹脂を主成分とする樹脂層を配置しているため、
水分に対する抵抗性(耐水性)が良好であり、転写層上
に水滴が落ちても、その痕跡が残ることがなく、また、
高温高湿環境下で保存しても、表面がべたついたり膨潤
したりすることがない。非水溶性熱可塑性樹脂を主成分
とする表面樹脂層は、インク受理性に優れており、被転
写布にインク画像を転写後には、非水溶性熱可塑性樹脂
によりインク画像が被転写布に強固に固着される。本発
明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったもので
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、基材シ
ート上に熱可塑性樹脂からなる中間樹脂層(B)と非水
溶性熱可塑性樹脂を主成分とする表面樹脂層(A)とが
この順で配置され、かつ、基材シートと中間樹脂層
(B)との間の剥離力が中間樹脂層(B)と表面樹脂層
(A)との間の剥離力よりも大きい熱転写シートが提供
される。また、本発明によれば、以下のような好ましい
実施の態様が提供される。 1.基材シートと中間樹脂層(B)との間にプライマー
層が配置されている前記の熱転写シート。 2.中間樹脂層(B)と表面樹脂層(A)との間に剥離
層が配置されている前記の熱転写シート。 3.前記熱転写シートの表面樹脂層(A)の表面にイン
ク画像を形成し、この画像形成面を被転写布と当接さ
せ、基材シート側から加熱圧着した後、基材シートと中
間樹脂層(B)を剥離する画像の熱転写方法。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明について、図面を参
照にしながら詳述する。図1に示すように、本発明の熱
転写シート1は、基材シート4上に、熱可塑性樹脂から
なる中間樹脂層(B)3と、非水溶性熱可塑性樹脂を主
成分とする表面樹脂層(A)2とがこの順に配置されて
いる。表面樹脂層(A)2がインク受理層となり、実質
的な転写層ともなる。表面樹脂層(A)2は、樹脂成分
として非水溶性熱可塑性樹脂のみを用いて形成すること
ができるが、少量成分として親水性または水溶性熱可塑
性樹脂を含有させることもできる。この場合、主成分の
非水溶性熱可塑性樹脂のマトリックス中に、親水性また
は水溶性熱可塑性樹脂が分散した樹脂組成物層が形成さ
れる。表面樹脂層(A)2は、非水溶性熱可塑性樹脂を
主成分としているため、耐水性が良好である。中間樹脂
層(B)は、非水溶性熱可塑性樹脂を主成分とするもの
であっても、あるいは、親水性または水溶性熱可塑性樹
脂を主成分とするものであってもよい。いずれの場合で
あっても、中間樹脂層(B)は、転写後、基材シートと
共に剥離される。
【0014】本発明の熱転写シートは、基材シート4と
中間樹脂層(B)3との間の剥離力(接着力)を高める
ために、図2に示すように、基材シート4上にプライマ
ー層5を介して中間樹脂層(B)3を形成することがで
きる。また、本発明の熱転写シートは、中間樹脂層
(B)3と表面樹脂層(A)2との間の剥離力を弱める
ために、図3に示すように、両者の間に剥離層6を配置
することができる。プライマー層と剥離層の両方を設け
ることも可能である。なお、中間樹脂層(B)と基材シ
ートまたは表面樹脂層(A)との間の剥離力を調整する
ために、各樹脂層中に剥離力を調整することができる添
加剤を配合してもよい。
【0015】本発明の熱転写シートを用いて、布類等の
被転写布に画像を転写させるには、例えば、溶融型熱転
写方式のプリンターを有するワードプロセッサーを用い
て、図4に示すように、熱転写シート1の表面樹脂層
(A)2の表面に熱転写インクからなる所望の画像7を
鏡像パターンにて形成させる。次いで、図5に示すよう
に、熱転写シート1の表面樹脂層(A)2の表面と被転
写布9とを当接させ、基材シート4の上からアイロン8
やホットプレス等の熱源を用いて加熱圧着し、被転写布
9上に表面樹脂層(A)2とインク画像7とを接着させ
る。加熱圧着時、基材シートは、耐熱性の材料から形成
されているため溶融または軟化することはないが、中間
樹脂層(B)及び表面樹脂層(A)は、溶融ないし軟化
する。そして、加熱圧着時に、表面樹脂層(A)2は、
中間樹脂層(B)3によって被転写布7の繊維中に押し
込まれて浸透する。次いで、図6に示すように、熱転写
シート1の基材シート4と中間樹脂層(B)3を剥離す
ると、転写画像7と表面樹脂層(A)2が被転写布9上
に残る。転写画像は、加熱圧着時に溶融した非水溶性熱
可塑性樹脂により、被転写布の繊維に強固に熱融着され
る。
【0016】このようにして、本発明の熱転写シートを
用いると、水洗工程を要することなく、乾式処理のみで
直ちに着用可能な画像付きの衣類等を得ることができ
る。なお、中間樹脂層(B)に親水性または水溶性熱可
塑性樹脂を用いたり、表面樹脂層(A)中に少量成分と
して親水性または水溶性樹脂を分散させた場合には、水
による洗浄や洗濯により、残存するこれらの親水性また
は水溶性熱可塑性樹脂を除去することもできる。本発明
の熱転写シートが優れている点は、第一に、従来の非水
溶性熱可塑性樹脂のみからなる転写層を形成した熱転写
シートに比べて、非水溶性熱可塑性樹脂を主成分とする
表面樹脂層(A)を非常に薄くすることができる点にあ
る。非水溶性熱可塑性樹脂のみからなる転写層の欠点
は、転写層の厚みを30μm以上にしないと、画像を形
成した転写層を被転写布に加熱圧着しても、転写層が被
転写布の繊維中に十分に浸透しないため、堅牢性のある
転写画像を形成することができない点にある。一方、非
水溶性熱可塑性樹脂からなる転写層の厚みを大きくする
と、転写の際に、転写層を繊維中に浸透させることがで
きるものの、非水溶性熱可塑性樹脂によって、繊維間の
編み目が埋められてしまい、通気性を喪失させることに
加えて、繊維の結び目どうしが固定されるため、布地が
伸縮性を失い、いわゆるゴワゴワ感が出てしまい、しか
も貼付跡が目立って、違和感が生じ、転写画像の風合い
も悪くなる。
【0017】これに対して、本発明の熱転写シートは、
中間樹脂層(B)が存在するため、転写層となる表面樹
脂層(A)の厚みを薄くしても、中間樹脂層(B)によ
って表面樹脂層(A)が被転写布の深いところまで押し
込まれて、浸透することができる。表面樹脂層(A)を
薄くすると、通気性や柔軟性、風合いなどが損なわれる
ことがない。また、画像が付与された表面樹脂層(A)
が被転写布中に深く浸透するため、堅牢性に優れ、乾燥
機で乾燥したり、直接アイロン掛けをしても、樹脂の脱
落や付着が抑制される。なお、中間樹脂層(B)は、厚
く形成しても、剥離により容易に除去することができ
る。第二に、水溶性熱可塑性樹脂のみからなる転写層を
形成した熱転写シートに比べて、本発明の熱転写シート
は、インク画像の固着性に優れ、工程も簡単になること
である。水溶性熱可塑性樹脂からなる転写層を使用し、
転写後水洗すると、繊維間に入り込んでいた水溶性熱可
塑性樹脂が溶解除去されてしまうため、柔軟性や通気
性、風合いなどは非常に良好であるが、染顔料の固着が
できないため、堅牢性に劣り、耐洗濯性が極めて悪くな
る。染顔料の固着処理を行うと、製造工程が増加し、し
かも未固着の染顔料の回収が必要となる。これに対し
て、本発明の熱転写シートでは、非水溶性熱可塑性樹脂
により、インク画像が被転写布の繊維に強固に固着され
る。
【0018】第三に、水溶性熱可塑性樹脂中に非水溶性
熱可塑性樹脂を分散させた転写層を形成した熱転写シー
トに比べて、本発明の熱転写シートは、耐水性及び保存
性に優れると共に、諸特性のバランスを取りやすいとい
う利点がある。水溶性熱可塑性樹脂中に非水溶性熱可塑
性樹脂を分散させた転写層を形成した熱転写シートで
は、水溶性熱可塑性樹脂の割合を大きくすると、堅牢性
が低下して耐洗濯性が悪くなり、小さくすると、耐洗濯
性は良好となるが、風合いが悪くなる。したがって、諸
特性のバランスを取る上で、水溶性熱可塑性樹脂と非水
溶性熱可塑性樹脂の割合が重要となるが、その最適比率
の幅が比較的小さい。これに対して、本発明の熱転写シ
ートでは、非水溶性熱可塑性樹脂を主成分とする表面樹
脂層(A)の種類や厚みを適宜選択することにより、堅
牢性と風合いとのバランスを簡単に取ることができる。
また、表面層が非水溶性熱可塑性樹脂層であるため、熱
転写シート自体の耐水性や保存安定性が良好となる。さ
らに、本発明の熱転写シートは、水洗工程などの湿式処
理を必要とせずに、直ちに着用ないしは使用可能な転写
画像付きの被転写布を得ることができる。
【0019】非水溶性熱可塑性樹脂 本発明において使用する非水溶性熱可塑性樹脂として
は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン
−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリエステ
ル、ポリアミド、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂;スチ
レン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプ
レンブロック共重合体、これらの水素添加物などの熱可
塑性エラストマー;等が挙げられる。本発明で使用する
非水溶性熱可塑性樹脂は、上記樹脂に限定されるもので
はなく、融点または軟化点が200℃以下、好ましくは
30〜150℃の非水溶性熱可塑性樹脂であれば好適に
使用することができる。これらの樹脂は、所望の要求特
性に応じて、それぞれ単独で、あるいは2種類以上を組
み合わせて使用することができる。また、非水溶性熱可
塑性樹脂は、ペレット、粉末、溶液、エマルジョン等の
任意の形状の物を使用することができる。
【0020】親水性または水溶性熱可塑性樹脂 本発明において使用する親水性または水溶性熱可塑性樹
脂としては、水に容易に溶解ないしは膨潤し、洗浄除去
できるものであれば特に限定されないが、その具体例と
して、天然高分子としては、プルラン、メチルセルロー
ス、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース
等の繊維素誘導体が挙げられ、合成高分子としては、ポ
リアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリビニル
アルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキ
サイド、ポリエステル、ポリジオキソラン等が挙げられ
る。これらの中でも特に好ましいのは、ポリビニルアル
コール、ポリエチレンオキサイド、及びポリエステルで
ある。
【0021】親水性または水溶性熱可塑性樹脂には、溶
融粘度低下剤として、例えば、グリセリン、トリメチロ
ールプロパン、ソルビトール、マンニトール等の多価ア
ルコール類、及びその変性物;エチレングリコール、ポ
リエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロ
ピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリ
コール類、及びその変性物;ソルビタン脂肪酸エステル
等の界面活性剤;マレイン酸、及びその変性物;などを
添加することができる。本発明に用いられる親水性また
は水溶性熱可塑性樹脂としては、上記樹脂に限定される
ものではなく、融点または軟化点が200℃以下、好ま
しくは30〜150℃の親水性または水溶性熱可塑性樹
脂であれば好適に使用することができる。これらの樹脂
は、所望の要求特性に応じて、それぞれ単独で、あるい
は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0022】表面樹脂層(A) 非水溶性熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂層(A層)
は、非水溶性熱可塑性樹脂のみから形成されていてもよ
く、また、少量成分として他の樹脂を含有していてもよ
い。他の樹脂の代表例としては、前述の親水性または水
溶性熱可塑性樹脂を挙げることができる。この表面樹脂
層(A)を形成する樹脂成分中の非水溶性熱可塑性樹脂
の割合は、通常50〜100重量%、好ましくは75〜
100重量%、より好ましくは85〜100重量%であ
る。表面樹脂層(A)では、非水溶性熱可塑性樹脂を主
成分とすることにより、非水溶性熱可塑性樹脂のマトリ
ックスを形成し、基材シートと中間樹脂層(B)を剥離
した後に、水洗工程を配置した場合であっても、インク
画像の固着に必要な非水溶性熱可塑性樹脂が除去される
のを防ぐことができる。前述したとおり、本発明の熱転
写シートを用いた熱転写では、水洗工程を必要としない
が、表面樹脂層(A)中に少量成分として親水性または
水溶性熱可塑性樹脂を分散させ、基材シートと中間樹脂
層(B)との剥離工程の後に、所望により水洗または洗
濯すると、表面樹脂層(A)中の親水性または水溶性熱
可塑性樹脂の少なくとも一部が除去され、それによっ
て、柔軟性、通気性、風合いなどをさらに向上させるこ
とができる。
【0023】この表面樹脂層(A)は、非水溶性熱可塑
性樹脂を主成分とする樹脂層であるため、印字性に優れ
ており、耐水性も良好である。また、中間樹脂層(B)
に親水性または水溶性熱可塑性樹脂層を配置しても、こ
の表面樹脂層(A)が存在することにより、耐水性及び
保存安定性が良好となる。本発明の熱転写シートの転写
層を形成する表面樹脂層(A)には、本発明の目的を阻
害しない範囲で、必要に応じて、各種の改質剤や添加剤
を配合することができる。これらの配合剤の具体例とし
ては、例えば、顔料、染料等の着色剤、ロジン系やテル
ペン系等の粘着付与剤、炭酸カルシウム、シリカ、タル
ク等の無機充填剤、有機充填剤、可塑剤、酸化防止剤、
紫外線吸収剤等を挙げることができる。これらの配合剤
は、適宜必要量を添加することができる。
【0024】本発明の熱転写シートの表面樹脂層(A)
の厚みは、使用目的に応じて適宜決定することができる
が、堅牢性と柔軟性、通気性、風合い等とのバランスを
考慮すると、非水溶性熱可塑性樹脂を主成分とする表面
樹脂層(A)の厚みは、通常5μm以上30μm未満、
好ましくは8〜25μm、より好ましくは10〜20μ
mである。表面樹脂層(A)の厚みが薄すぎると、画像
の固着性が低下し、堅牢性が損なわれる。一方、表面樹
脂層(A)の厚みが厚すぎると、ゴワゴワ感が出てしま
い、柔軟性、通気性、風合いなどが低下する。表面樹脂
層(A)の表面は、熱転写シート間のブロッキングを防
止し、画像形成用プリンター内での搬送性を向上させる
ため、あるいは、インク受理性を損なわず、かつ、イン
クリボンの走行性を保持させるため、マット処理等の凹
凸処理を施すことができる。
【0025】中間樹脂層(B) 本発明の熱転写シートにおける中間樹脂層(B)は、熱
可塑性樹脂から形成された樹脂層であればよく、熱可塑
性樹脂の種類としては、非水溶性熱可塑性樹脂でも、親
水性または水溶性熱可塑性樹脂でも、あるいはこれらの
混合物であってもよく、任意である。中間樹脂層(B)
には、所望により、前記と同様の各種改質剤や添加剤を
含有させることができる。また、中間樹脂層(B)に、
剥離効果の出る添加物を加えておくと、中間樹脂層
(B)と表面樹脂層(A)との間の剥離が容易になる。
中間樹脂層(B)の厚みは、通常、10〜70μm、好
ましくは20〜60μm、より好ましくは30〜50μ
mである。中間樹脂層(B)の厚みが薄すぎると、表面
樹脂層(A)の厚みにもよるが、加熱圧着時に表面樹脂
層(A)を被転写布の深くに押し込んで浸透させる効果
が小さくなり、画像の固着性、堅牢性に問題を生じる。
中間樹脂層(B)の厚みが厚すぎると、加熱圧着時に熱
伝導性が悪くなり、製造方法が限定されたり、製造コス
トが嵩むという問題が生じる。
【0026】基材シート 本発明で使用する基材シートとしては、ポリエステル、
ポリカーボネート等のプラスチックフィルム、上質紙、
アート紙、コート紙、グラシン紙、模造紙、水溶性紙等
のセルロース繊維紙が挙げられる。ただし、転写層を保
持する機能を有し、かつ、アイロンやホットプレス等に
よる加熱に対して耐熱性のあるシート状のものであれ
ば、上記基材シートに限定されない。基材シートには、
必要に応じてコロナ処理、マット処理等の表面処理を行
ってもよい。基材シートの厚さについては、特に限定さ
れないが、基材強度やプリンター内での搬送性の観点か
ら、通常、50〜200μm程度である。
【0027】熱転写シート 本発明の熱転写シートを製造するには、各樹脂成分と
所望により各種配合剤とを水または芳香族炭化水素等の
有機溶剤に溶解ないしは分散させて、基材シートの片面
に塗工する方法、樹脂成分をTダイからシート状に溶
融押出して基材シートの片面に積層する方法、樹脂フ
ィルムを貼り合わせる方法等が挙げられるが、これらの
方法に限定されるものではない。基材シート上に、B層
及びA層を形成するには、各樹脂または樹脂組成物の性
質に応じて、上記の如き方法を順次適用して積層する
か、同時押出により積層すればよい。樹脂組成物層を形
成するには、各樹脂成分や配合剤を、水または有機溶剤
に溶解ないし分散させて混合する方法や、溶融ブレンド
する方法などがある。水または有機溶剤を用いた場合に
は、溶液を基材シート上や中間樹脂層(B)上に塗工し
た後、乾燥させる。これらの方法により、樹脂組成物層
を形成することができる。
【0028】本発明の熱転写シートは、印字性が良好で
あり、一般に使用されている熱転写方式のプリンターを
備えたワードプロセッサー等を用いて、容易にかつ鮮明
に印刷することができる。また、本発明の熱転写シート
は、被転写布へ転写し、基材シートと中間樹脂層(B)
を剥離すれば、貼付跡が目立たず、生地の柔軟性を損な
わない画像が得られる。表面樹脂層(A)中に少量成分
として親水性または水溶性熱可塑性樹脂成分が含まれて
いる場合には、所望により水洗工程を配置するか、ある
いは後の洗濯により、これらの樹脂の少なくとも一部が
除去される。前記剥離工程により、被転写布上には、実
質的に表面樹脂層(A)のみが残されるが、この中の非
水溶性熱可塑性樹脂成分によって画像を形成するインク
の被転写布への固着性が高められ、堅牢性が高く、耐洗
濯性が良好な画像が得られる。
【0029】本発明の熱転写シートは、剥離工程により
基材シートと中間樹脂層(B)とを剥離除去するため
に、基材シートと中間樹脂層(B)との間の剥離力が中
間樹脂層(B)と表面樹脂層(A)との間の剥離力より
も大きいことが必要である。層間の剥離力を調整する方
法としては、基材シートと中間樹脂層(B)との間に
プライマー層を設ける方法、基材シートの表面をコロ
ナ放電等により表面処理して、基材シートと中間樹脂層
(B)との間の接着力を増大させる方法、中間樹脂層
(B)中に剥離効果のでる添加剤を加えて、中間樹脂層
(B)と表面樹脂層(A)との間の接着力を弱める方
法、中間樹脂層(B)と表面樹脂層(A)との間に剥
離層を設けて、中間樹脂層(B)と表面樹脂層(A)と
の間の剥離力を低くする方法、これらの方法を適宜組
み合わせる方法などを挙げることができる。本発明にお
いて、基材シートと中間樹脂層(B)との間の剥離力が
中間樹脂層(B)と表面樹脂層(A)との間の剥離力よ
りも大きいことは、熱転写後、実際に基材シートを剥離
する際に、基材シートと中間樹脂層(B)とが一体的に
剥離し得ることにより判定することができる。前記の如
き方法を採用しない場合には、一般に、基材シートのみ
が剥離されることになる。
【0030】プライマー層としては、例えば、飽和ポリ
エステル樹脂、ポリアミド樹脂などが用いられる。剥離
層に使用する材料としては、中間樹脂層(B)と表面樹
脂層(A)との間の剥離を促進するものであれば特に限
定されない。具体的には、テープの背面処理剤として使
用されている各種滑剤、非水溶性熱可塑性樹脂と相溶し
ない水溶性高分子などが挙げられるが、これらの材料に
限定されるものではない。また、剥離層は、極めて薄い
層であるため、剥離時に中間樹脂層(B)または表面樹
脂層(A)のいずれの側に付着してもよい。本発明で用
いる被転写布としては、天然繊維または合成繊維のシャ
ツ、下着、布地、その所望のものを使用することができ
る。本発明の熱転写シートは、一般のワードプロセッサ
ーに付属するプリンターにより文字や絵などの画像を印
字することができ、しかも家庭用アイロン等で簡単に被
転写布に転写させることができる。転写後は、基材シー
トと中間樹脂層(B)を剥離することにより、画像が形
成された薄い表面樹脂層(A)のみが被転写布中に残存
する。これによって、被転写布に非水溶性熱可塑性樹脂
により印字部分が脱落することなく強固に固着し、非常
に柔軟で、通気性、風合いなどが良好な画像付きの布類
を得ることができる。
【0031】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明に
ついてより具体的に説明する。なお、実施例及び比較例
中の各樹脂成分の数値は、層の厚さ(μm)を表す。特
性の評価方法は、次のとおりである。 (1)印字性 市販のワードプロセッサーにより、インクリボンを使用
し、熱転写シートに印刷し、次の基準で評価した。 ○:文字や画像が100%転写されている、 △:かすれたり、部分的に転写されていないことがあ
る、 ×:濃度が薄かったり、全く転写されていない。 (2)耐洗濯性 印刷した熱転写シートを用いて、家庭用アイロン(温度
約170℃)で、布類に約10〜15秒間押し付けた
後、基材シートを剥がす。家庭用電気洗濯機で洗剤を使
用し洗濯する。この際、比較例2の熱転写シートを使用
して、同様に転写し、同様に洗濯する。脱水してから、
乾燥機にかけて乾燥する。この工程を20回繰り返した
後、比較例2の図柄の残存程度と比較して、次の基準で
評価した。 ○:比較例2と同程度である、 △:比較例2よりやや劣る、 ×:比較例2より明確に劣る。
【0032】(3)違和感(洗濯後) 前記の耐洗濯性試験で得られた1回洗濯した後の布類を
手のひらでつかみ、元の布類の風合いと比較し、次の基
準で評価した。 ○:元の布類と殆ど風合いが変わらない、 △:元の布類よりやや風合いが劣る、 ×:ゴワゴワ感がある。 (4)シートの表面耐水性 熱転写シートの表面(印字面)に水滴を1滴落とし、約
1分間経過後、表面状態を観察し、次の基準で評価し
た。 ○:表面に全く変化がない、 △:水滴の跡形がある、 ×:溶解している。
【0033】[実施例1]コロナ処理した厚さ75μm
のPETフィルム(東レ社製、ポリエチレンテレフタレ
ートフィルム、#75)上に、Tダイから製膜した厚さ
40μmのポリビニルアルコール〔第一工業製薬(株)
製、パオゲン−15〕フィルムをコーティングし、その
上に、厚さ10μmのウレタン樹脂フィルム〔大倉工業
(株)製、OH80〕を熱ロールで貼り合わせ、熱転写
シートを得た。得られた熱転写シートに、市販のワード
プロセッサーで、インクリボンを用いて、文字を鏡像印
刷した。これを、木綿製Tシャツに家庭用アイロンで転
写し、次いで、PETフィルムとポリビニルアルコール
層とを剥離した。結果を表1に示す。
【0034】[実施例2]無処理PETフィルム(東レ
社製、ポリエチレンテレフタレートフィルム、#75、
厚さ75μm)上に、飽和ポリエステル樹脂からなるプ
ライマー層(厚さ5μm)を設けた後、その上に、厚さ
30μmのウレタン樹脂フィルム〔大倉工業(株)製、
OH80〕を熱ロールで貼り合わせた。次に、その上
に、10重量%ポリビニルアルコール溶液を乾燥膜厚5
μmになるよう塗工乾燥して剥離層を形成し、さらにそ
の上に、厚さ10μmのEVA樹脂フィルム〔三井石油
化学(株)製、EVA210〕を貼り合わせ、熱転写シ
ートを得た。この熱転写シートを用いて、実施例1と同
様にして熱転写し、評価した。結果を表1に示す。
【0035】[実施例3]無処理PETフィルム(東レ
社製、#75、厚さ75μm)上に、ポリアミド樹脂か
らなるプライマー層(厚さ3μm)を設けた後、その上
に、EVAエマルジョン〔住友化学(株)製、スミカフ
レックス〕を乾燥膜厚が30μmとなるよう塗工乾燥し
た。次いで、その上に、エルカ酸アマイドを5重量%含
有するポリビニルアルコール溶液を塗工して5μmの剥
離層を設けた。さらにその上に、熱可塑性エラストマー
〔三井石油化学(株)製、ケミパールV−200〕の水
性分散液を乾燥膜厚が15μmになるように塗工乾燥
し、熱転写シートを得た。この熱転写シートを用いて、
実施例1と同様にして熱転写し、評価した。結果を表1
に示す。
【0036】[比較例1]剥離紙〔本州製紙(株)製、
GWホワイト〕上に、厚み10μmのウレタン樹脂フィ
ルム〔大倉工業(株)製、OH80〕を熱ロールで貼り
合わせて熱転写シートを得た。この熱転写シートを用い
て、実施例1と同様にして熱転写し、評価した。結果を
表1に示す。
【0037】[比較例2]剥離紙〔本州製紙(株)製、
GWホワイト〕上に、Tダイから製膜した厚さ35μm
のポリビニルアルコールフィルム〔三井石油化学(株)
製、ケミパールV−200〕をコーティングし、その上
に、厚さ10μmのウレタン樹脂フィルム〔大倉工業
(株)製、OH80〕を熱ロールで貼り合わせて、熱転
写シートを得た。得られた熱転写シートに、市販のワー
ドプロセッサーでインクリボンを用いて、文字を鏡像印
刷した。これを、木綿製Tシャツに家庭用アイロンで転
写し、次いで、剥離紙とポリビニルアルコール層とを剥
離しようとしたが、剥離紙のみが剥れて、ポリビニルア
ルコール層を剥離することができなかった。そこで、水
洗を行って、ポリビニルアルコール層を除去した。結果
を表1に示す。
【0038】[比較例3]剥離紙〔本州製紙(株)製、
GWホワイト〕上に、厚さ10μmのEVA樹脂フィル
ム〔三井石油化学(株)製、EVA210〕を貼り合わ
せ、熱転写シートを得た。この熱転写シートを用いて、
実施例1と同様にして熱転写した。この場合、中間樹脂
層(B)がないので、熱転写後、剥離紙のみを剥した。
結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】(脚注) (*1)ウレタン樹脂フィルム:OH80(10μ
m)、大倉工業(株) (*2)EVA樹脂フィルム:EVA210、三井石油
化学(株) (*3)EVAエマルジョン:スミカフレックス、住友
化学(株) (*4)熱可塑性エラストマー:ケミパールV−20
0、三井石油化学(株) (*5)ポリビニルアルコール:パオゲン−15、第一
工業製薬(株)
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、印字性、耐洗濯性、柔
軟性、風合い等に優れ、しかも耐水性及び保存安定性に
優れた熱転写シートが提供される。本発明の熱転写シー
トは、非水溶性熱可塑性樹脂を主成分とする表面樹脂層
(A)により、耐水性、保存安定性、印字性(インク受
理性)、堅牢性(耐洗濯性など)を付与し、熱可塑性樹
脂からなる中間樹脂層(B)により、画像を形成した表
面樹脂層(A)を被転写布に押し込んで浸透させる。転
写層は、実質的に薄い表面樹脂層(A)のみとなり、中
間樹脂層(B)は、基材シートと共に機械的に剥離して
除去することができるため、柔軟性、通気性、風合いな
どが良好となる。本発明の熱転写シートを用いた熱転写
方式では、乾式工程のみで直ちに着用または使用可能な
画像付きの衣類等を得ることができる。転写後の被転写
布は、乾燥機で乾燥したり、洗濯したり、直接アイロン
掛けをしたりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱転写シートの一例の斜視図である。
【図2】本発明の熱転写シートの他の一例の斜視図であ
る。
【図3】本発明の熱転写シートの他の一例の斜視図であ
る。
【図4】本発明の熱転写シートの転写層上に画像を形成
した断面図である。
【図5】本発明の熱転写シートを用いて被転写布上に転
写する方法を示す図である。
【図6】本発明の熱転写シートを用いて画像を被転写布
上に転写した後、基材シートと中間樹脂層を剥離するこ
とを示す図である。
【符号の説明】
1:熱転写シート 2:非水溶性熱可塑性樹脂を主成分とする表面樹脂層
(A) 3:熱可塑性樹脂からなる中間樹脂層(B) 4:基材シート 5:プライマー層 6:剥離層 7:インク画像 8:アイロン 9:被転写布

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材シート上に熱可塑性樹脂からなる中
    間樹脂層(B)と非水溶性熱可塑性樹脂を主成分とする
    表面樹脂層(A)とがこの順で配置され、かつ、基材シ
    ートと中間樹脂層(B)との間の剥離力が中間樹脂層
    (B)と表面樹脂層(A)との間の剥離力よりも大きい
    熱転写シート。
  2. 【請求項2】 基材シートと中間樹脂層(B)との間に
    プライマー層が配置されている請求項1記載の熱転写シ
    ート。
  3. 【請求項3】 中間樹脂層(B)と表面樹脂層(A)と
    の間に剥離層が配置されている請求項1または2に記載
    の熱転写シート。
JP10100545A 1998-03-27 1998-03-27 熱転写シート Pending JPH11277994A (ja)

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