JP4043354B2 - 熱溶融型熱転写記録用受容布及びそれを用いた記録方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、支持体上に熱溶融性のインク層を有する熱溶融型熱転写記録媒体と組み合わせて使用される、熱記録時の転写性、記録画像の耐洗濯性、耐熱性に優れた熱溶融型熱転写記録用受容布、及びそれを用いた記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より種々の熱転写記録方法が提案されており、その一つとして、熱溶融性のインク層を有する熱溶融型熱転写記録媒体を用い、支持体上にインク受容層を設けた受像体に様々な情報、画像を形成する熱溶融型熱転写記録方法が知られている。この受像体は、各種記録・表示用ラベル、広告用垂れ幕等の印刷用シートとして広く用いられている。
また、近年、クリーニング産業分野においてはバーコード方式による業務効率化が進められており、この分野においても、顧客管理用のバーコードを記録した受像体からなるクリーニングタグの使用が拡大している。
【0003】
受像体の支持体としては、一般的には、紙、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等のプラスティックフィルム、又は合成紙等が用いられているが、受像体が衣服等の表示用ラベル、広告用垂れ幕、クリーニングタグ等として使用される場合は、洗剤、漂白剤を混合した洗剤液による洗濯、乾燥、アイロンがけ等を受けることから、風合い、機械的強度と共に、耐洗濯性、耐熱性等が要求される。このため、斯かる用途に使用される場合は、主に織物又は不織布からなる支持体上にポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂からなるインク受容層を形成した受像体(受容布)が用いられている。
しかしながら、支持体として織物又は不織布を用いた場合、表面の平滑性が劣るため、熱転写記録媒体を用いた印字では均一で強固な転写画像が得られ難いという問題があった。
【0004】
このため、上記受容布における熱記録時の転写性を向上すべく種々の改良が行われており、例えば、特開平7−89252号公報(特許文献1)には、微細粒状構造物と樹脂からなるインク受容層を、特公平4−50920号公報(特許文献2)には、油中水型ポリウレタン乳濁液から得られた多孔質ポリウレタンからなるインク受容層を布上に形成することが提案されているが、下記の如く、十分に満足すべき対策とはなり得ていない。
【0005】
例えば、微細粒状構造物と樹脂からなるインク受容層では、転写均一性が劣るために十分な印字画像が得られず、また、印字時に高い印字エネルギーを必要とするという問題点がある。一方、油中水型ポリウレタン乳濁液から形成されたインク受容層では、均一な転写画像は得られるものの、ウレタン樹脂を溶解した有機溶剤中に水を微粒子状態で分散させた塗布液を布上に塗布してインク受容層を設けるため、その製造過程において、塗布液を蒸発、高粘度化する必要があり、また、有機溶剤の使用が必須であるという製造上の問題がある。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−89252号公報
【特許文献2】
特公平4−50920号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記従来技術の問題点に鑑み、熱記録時の転写性、記録画像の耐洗濯性、耐熱性に優れた熱溶融型熱転写記録用受容布、及びそれを用いた記録方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、織物又は不織布の支持体の、一方の面に熱により溶融又は軟化したインクを受容するインク受容層を設け、他方の面に粘着付与層を設けた熱溶融型熱転写記録用受容布において、該インク受容層を、少なくとも内部に気体を含む中空粒子と熱可塑性物質とで形成し、且つ、該中空粒子を島、該熱可塑性物質を海とする海島状に形成することにより、上記課題が達成されることを見出し、斯かる知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明によれば、以下に示す熱溶融型熱転写記録用受容布及びそれを用いた記録方法が提供される。
【0010】
(1)織物又は不織布からなる支持体の、一方の面に熱により溶融又は軟化したインクを受容するインク受容層を設け、他方の面に粘着付与層を設けた熱溶融型熱転写記録用受容布において、該インク受容層は、少なくも内部に気体を含む中空粒子と熱可塑性物質とからなり、且つ、該中空粒子を島、該熱可塑性物質を海とする海島状に形成されてなることを特徴とする熱溶融型熱転写記録用受容布。
【0011】
(2)前記中空粒子は、平均粒径が0.1〜10μm、中空率が75%以上である前記(1)に記載の熱溶融型熱転写記録用受容布。
【0012】
(3)前記熱可塑性物質はアイオノマー型ポリエステル系ポリウレタン樹脂である前記(1)又は(2)に記載の熱溶融型熱転写記録用受容布。
【0013】
(4)前記支持体は100℃以上の温度で熱処理されたポリエステル樹脂製の織物又は不織布である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の熱溶融型熱転写記録用受容布。
【0014】
(5)前記粘着付与層はポリアミド系樹脂又はポリウレタン系樹脂製の熱接着フィルムである前記(1)〜(4)のいずれかに記載の熱溶融型熱転写記録用受容布。
【0015】
(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載した熱溶融型熱転写記録用受容布に、少なくとも融点が100℃以上の熱可塑性樹脂を含む表面層からなる溶融型熱転写記録媒体を用いて熱印字することを特徴とする記録方法。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の熱溶融型熱転写記録用受容布は、織物又は不織布からなる支持体の、一方の面(表面)に熱により溶融又は軟化したインクを受容するインク受容層を設け、他方の面(裏面)に粘着付与層を設けた溶融型熱転写記録用受容布において、該インク受容層は、少なくも内部に気体を含む中空粒子と熱可塑性物質とからなり、且つ、該中空粒子を島、該熱可塑性物質を海とする海島状に形成されてなることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、インク受容層を、中空粒子を島、熱可塑性物質を海とする海島状に形成するため、特に熱記録時の転写性に優れ、記録画像の耐洗濯性、耐熱性にも優れた熱溶融型熱転写記録用受容布を得ることができる。
【0018】
該インク受容層を形成するための支持体としては、特に制限は無く、従来公知のナイロン、アクリル、ポリエステル、レーヨン、アセテート、綿等の繊維を用いた織物又は不織布が使用できるが、加工性に優れ、塩素系漂白剤に対する耐性にも優れることから、30〜150dのポリエステルタフタ繊維を用いることが好ましい。
【0019】
また、該支持体の耐熱性を向上させ、アイロンがけ等による収縮、カール発生を防止するため、該支持体上にインク受容層を形成する前に、支持体となる織物又は不織布を100℃以上の温度で熱処理することが好ましい。尚、この熱処理に用いる温度は、該支持体に求められる耐熱温度に基づいて適宜設定すればよく、また、織物又は不織布に用いる繊維を前もって熱処理してもよい。
【0020】
本発明においては、上記のごとく、インク受容層を中空粒子を島、熱可塑性物質を海とする海島状に形成することが特徴である。
このインク受容層を海島状に形成する方法としては、中空粒子と熱可塑性物質を含有するインク受容層形成用の塗工液を塗布、乾燥して得られるが、このインク受容層形成用の塗工液を低粘度化することにより、織物または不織布からなる支持体上に塗工液を塗布すると熱可塑性物質の一部が織物または不織布の繊維中に選択的に浸透し、中空粒子は織物または不織布上に形成され、中空粒子を島、熱可塑性物質を海とする海島状に形成することができる。
このように形成されたインク受容層は支持体である織物または不織布との接着力が強く、耐洗濯性に優れた耐性を得ることができ、また熱記録時の転写性、耐熱性に優れる。
【0021】
さらに、中空粒子と熱可塑性物質の比重差を利用すれば、インク受容層表面により中空粒子が集まり、織物または不織布の支持体側に熱可塑性物質が集まるため、より支持体に熱可塑性物質が浸透しやすくなって、織物または不織布とインク受容層との接着力がまし耐洗濯性、転写性、耐熱性に優れる。
インク受容層の塗工液を低粘度化するには、水に不溶または難溶な熱可塑性物質をエマルジョンとして用いることが好ましい。
【0022】
該塗工液の塗布量は、10〜100g/m2の範囲とする。塗布量が上記範囲より少ないと、インク受容層の熱記録時の転写性が悪化し、一方、上記範囲より多いと、インク受容層の風合いが悪くなるので好ましくない。
【0023】
上記の中空粒子としては、その材質は特に制限されないが、耐有機溶剤性を高めるため、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂等から製造された中空粒子を使用することが好ましい。
【0024】
該中空粒子の形状としては、特に制限されず、その内部に空気その他の気体を含有する従来公知の各種の中空粒子を使用することができるが、クッション性、断熱性と転写性とを良好なバランスに保つため、粒子直径(重量平均粒径)が0.1〜10μm、中空率が75%以上の中空粒子を使用することが好ましい。
【0025】
粒子直径(重量平均粒径)が0.1μm未満であると、クッション性、断熱性が不十分となり、一方、10μmを超えると、表面平滑性が悪化してボイド等の転写不良が発生するので好ましくない。
中空率が75%未満であると、クッション性、断熱性が不十分になると共に、粒子比重が大きくなって良好な海島状態を形成できなくなるので好ましくない。中空率は、80%以上であることがより好ましい。
【0026】
また、該中空粒子の隔壁の厚みは、粒子直径と中空率によりほぼ自動的に決定されることになるが、0.05μmより薄いと、インク受容層形成又は画像形成の際に破壊されやすく、5μmより厚いとクッション性、断熱性が低下するため、0.05μm〜5μmの範囲にする。
なお、中空粒子の「中空率」とは、中空粒子中に占める気体の体積比率である。
【0027】
インク受容層中における該中空粒子の含有量は、中空粒子と熱可塑性物質との重量比率が1:9〜4:6となるように調整する。両者の重量比率が上記範囲より低いと、インク受容層の熱記録時の転写性が悪化し、一方、上記範囲より高いと、インク受容層の強度が低下して耐洗濯性が低下するので好ましくない。
【0028】
インク受容層用のバインダーとして用いる該熱可塑性物質としては、熱により溶融又は軟化したインクを受容して保持できるものであれば特に制限されず、例えば、ゴム等のエラストマー、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブチラール系樹脂、フェノール系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、エチレン−アクリル共重合体系樹脂等を使用することができる。該インク受容層のインク受理性、画像定着性を高めるため、熱転写記録媒体の表面層のSP値と近いSP値を有する熱可塑性物質を選択すると共に、乳化、分散等を行って水系エマルジョンとして使用することが好ましい。アイオノマー型ポリエステル系ポリウレタン樹脂は耐洗濯性にも優れているので特に好ましい。
【0029】
該インク受容層を構成する各成分の割合は、重量比で中空粒子10〜50%、熱可塑性物質50〜90%とする。中空粒子の割合が10%より少ないと、熱感度が低下し、一方、50%より多いと、インク受容層の強度が低下するので好ましくない。また、熱可塑性物質の割合が50%より少ないと、熱溶融性インクの定着性が悪化し、一方、90%より多いと、中空粒子の比率が下がって熱感度が低下するので好ましくない。
該インク受容層には、上記成分以外に、地肌の黄変を防止する等を目的として、顔料、蛍光増白剤、退色防止剤等の添加剤を添加してもよい。
【0030】
上記支持体の裏面に設ける粘着付与層としては、特に制限されず、例えばポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系等の従来公知のホットメルト接着剤を使用できるが、耐洗濯性を向上させるために、ポリアミド系又はポリウレタン系の接着剤を使用することが好ましい。
該粘着付与層の厚みは、十分な接着強度、耐洗濯性を得るために、50μm以上とする。
【0031】
該粘着付与層の形成方法としては、特に制限されず、例えば、該ホットメルト接着剤を適当な溶媒に溶解して受容布の裏面に塗布する方法、或いは、該ホットメルト接着剤をフィルム状にしたものを受容布の裏面に貼付する方法等を使用することができるが、塩素系漂白剤に対する耐性が向上して洗濯による接着力低下が防止できるため、フィルム状ホットメルト接着剤を使用することが好ましい。
【0032】
該フィルム状ホットメルト接着剤の支持体への貼付方法としては、特に制限されないが、例えば、シリコン離型剤を塗布したグラシン紙上にホットメルトコートされた接着剤と支持体とを合わせて熱ロール等で熱接着させる方法、或いは、支持体上に低Tgのアクリル系又はSBR系樹脂粘着剤を微量塗布してフィルム状接着剤を貼り合わせる方法等が使用できる。
【0033】
上記受容布には、熱可塑性物質の一部が織物または不織布の繊維中に選択的に浸透することを阻害しない程度に、支持体とインク受容層との間に中間層を設けても良い。受容布の種類によってその塗布量は異なるが8μm以下が好ましく、より好ましくは5μm以下である。
【0034】
この様にごく薄く中間層を設けることにより、熱可塑性物質の一部が織物または不織布の繊維中に選択的に浸透することを阻害せずに、支持体とインク受容層の接着力をより向上することができる。この中間層には、弾力に富む樹脂、例えばブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチレンアクリレート共重合体等で形成することが好ましい。
【0035】
熱溶融型熱転写記録用受容布と組み合わせて使用される熱転写記録媒体は、支持体上に熱溶融性又は熱軟化性のインク層を有する熱溶融型熱転写記録媒体であって、該支持体としては、従来公知の各種のもの、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ナイロン、ポリイミド等の比較的耐熱性の高いプラスティックフィルム、セロハン、硫酸紙等が用いられる。
【0036】
該インク層の着色剤としては、従来公知の各種のものが用いられ、また、結着樹脂としては、通常、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブチラール系樹脂、フェノール系樹脂、アクリロニトリル系樹脂等の耐熱性、機械的強度、及び耐溶剤性に優れた熱可塑性樹脂が用いられる。
【0037】
該インク層を構成する各成分の重量比率としては、着色剤/結着樹脂/ワックス類の比で5〜30/30〜95/0〜30の範囲が使用される。
また、該インク層には、該着色剤、結着樹脂と共に、感度向上を目的として、ワックス類等の熱溶融性物質或いはフィラー等の助剤が添加される。
【0038】
上記支持体とインク層との間には、必要に応じて、転写時にインク層の剥離を促進する目的、或いはインク層の脱落を防止する目的で中間層が設けられ、転写時にTPHとプラテンロールとに挟持された際の地汚れを防止する目的で保護層が設けられる。また、TPHとの融着を防止する目的で、必要に応じて、インク層側と反対の面には耐熱層及び/又は滑性保護層が設けられる。
【0039】
上記記録媒体の表面層は、良好な転写性を得るために、該インク受容層のSP値と近いSP値を有する樹脂、特に両者のSP値の差が1以内の樹脂で形成されていることが好ましい。
本発明の熱溶融型熱転写記録用受容布と組み合わせて使用する熱転写記録媒体としては、融点が100℃以上の熱可塑性樹脂、特に好ましくはニトロセルローズ樹脂、ポリエステル系樹脂、を主成分とする表面層を有する記録媒体を使用することが好ましく、これにより、熱記録時の転写性、印字画像の耐洗濯性、耐熱性に優れた熱溶融型熱転写記録が得られる。
【0040】
なお、表面層とは、インク層上に保護層を設ける場合は保護層を指し、インク層上に保護層を設けない場合はインク層を指す。
【0041】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。尚、以下に部又は%とあるのは特に断りの無い限り重量基準である。
【0042】
(熱溶融型熱転写記録媒体の作製)
片面に耐熱滑性層を設けた厚さ4.5μmのPETフィルムを支持体とし、この支持体の耐熱滑性層側とは反対側に、下記組成の剥離層形成液aをワイヤーバーコーティングにより乾燥後の塗布量が0.5g/m2となるように塗布し、80℃×15秒間乾燥して剥離層を形成した。次いで、該剥離層上に下記組成のインク層形成液aをワイヤーバーコーティングにより乾燥後の塗布量が1.2g/m2となるように塗布、乾燥して熱溶融型熱転写記録媒体aを作製した。
また、下記組成のインク層形成液bを使用した以外は、上記記録媒体aと同様にして、熱溶融型熱転写記録媒体bを作製した。
【0043】
剥離層形成液a
ポリエチレンワックス 10部
(ポリワックス850 東洋ペトロライト社製)
ブタジエンゴム 10部
(トルエン5%溶液 ボンRI−1 コニシ社製)
エチレン−酢酸ビニル樹脂 0.2部
(エバフレックスEV250 三井デュポン社製)
トルエン 79.8部
【0044】
インク層形成液a
カーボンブラック 5部
ニトロセルローズ樹脂 10部
カルナバワックス 4部
メチルエチルケトン 81部
【0045】
インク層形成液b
カーボンブラック水分散液(固形分20%) 5部
カルナバワックスエマルジョン((固形分30%) 10部
水 60部
メタノール 25部
【0046】
実施例1
(熱溶融型熱転写記録用受容布ラベル1の作製)
支持体として、ポリエステルタフタ(190本/inch2 75D)を用い、その表面に下記組成のインク受容層形成液aをワイヤーバーコーティングにより乾燥後の塗布量が27g/m2となるように塗布、乾燥した後、キャレンダー処理を行ってインク受容層を形成し、受容布を得た。次いで、表面にシリコン系離型剤が塗布された坪量60g/m2のグラシン紙上に貼付されたポリウレタン系接着フィルム(サーモライトフィルム6501 ダイセル化学工業社製 厚み100μm)と該受容布の裏面とを合わせ、熱ロール(120℃×0.5kg/cm×3秒)にて貼り合わせて粘着付与層を形成し、受容布ラベル1を作製した。
インク受容層形成液a
中空粒子(中空率91%、粒径2μm) 12部
(固形分40%、マツモトマイクロフェアーR24、松本油脂製薬社製)
アイオノマー型ポリエステル系ポリウレタン
樹脂水系エマルジョン 50部
(固形分45%、ハイドランAPX101−H、大日本インキ化学社製)
水 38部
【0047】
実施例2
(熱溶融型熱転写記録用受容布ラベル2の作製)
支持体としてポリエステルタフタ(190本/inch2 75D)を150℃×30秒間熱処理をしたものを使用した以外は、実施例1と同様にして、受容布ラベル2を作製した。
【0048】
実施例3
(熱溶融型熱転写記録用受容布ラベル3の作製)
インク受容層形成液aのアイオノマー型ポリエステル系ポリウレタン樹脂水系エマルジョンに代えてポリエステル系ポリウレタン樹脂水系エマルジョン(40%、ボンディック1850N、大日本インキ化学社製)を用いてインク受容層を形成した以外は、実施例2と同様にして、受容布ラベル3を作製した。
【0049】
実施例4
(熱溶融型熱転写記録用受容布ラベル4の作製)
受容布の裏面にポリエステル系接着フィルム(サーモライトフィルム2810、ダイセル化学工業社製、厚み100μm)を貼付した以外は、実施例2と同様にして、受容布ラベル4を作製した。
【0050】
実施例5
(熱溶融型熱転写記録用受容布ラベル5の作製)
受容布の裏面に、下記組成のポリアミド系粘着付与層形成液を50℃に加温溶解した後、50℃の液を塗布、乾燥して厚みが100μmになるように設けた以外は、実施例2と同様にして、受容布ラベル5を作製した。
粘着付与層形成液a
共重合ナイロン樹脂 20部
(750、ダイセルヒュルツ社製)
トルエン 40部
メタノール 40部
【0051】
実施例6
(熱溶融型熱転写記録用受容布ラベル6の作製)
インク受容層形成液aに代えて下記組成のインク受容層形成液bを用いた以外は、実施例2と同様にして、受容布ラベル6を作製した。
インク受容層形成液b
中空粒子(中空率50%、粒径1μm) 17部
(固形分28%、ローペイクHP−91、ロームアンドハース社製)
アイオノマー型ポリエステル系ポリウレタン
樹脂水系エマルジョン 50部
(固形分45%、ハイドランAPX101−H、大日本インキ化学社製)
水 33部
【0052】
実施例7
(熱溶融型熱転写記録用受容布ラベル7の作製)
支持体としてナイロンタフタ(190本/inch2 70D)を使用した以外は、実施例1と同様にして、受容布ラベル7を得た。
【0053】
比較例1
(熱溶融型熱転写記録用受容布ラベル8の作製)
インク受容層形成液aを下記組成のインク受容層形成液cに代えた以外は、実施例1と同様にして、受容布ラベル8を作製した。
インク受容層形成液c
スチレン−アクリル樹脂粒子
(中空率0%、粒径0.6μm) 10部
(固形分47%、アルマテックスSPMM−47BF、三井化学社製)
アイオノマー型ポリエステル系ポリウレタン
樹脂水系エマルジョン 50部
(固形分45%、ハイドランAPX101−H、大日本インキ化学社製)
水 40部
【0054】
比較例2
(熱溶融型熱転写記録用受容布ラベル9の作製)
インク受容層形成液aを下記組成のインク受容層形成液dに代えた以外は、実施例1と同様にして、受容布ラベル9を作製した。
インク受容層形成液d
二酸化ケイ素(中空率0%、粒径2μm) 4.8部
(ミズカシルP603、水沢化学工業社製)
スチレン−アクリル樹脂水系エマルジョン 45部
(固形分50%、ジョンクリル60、ジョンソンポリマー社製)
水 50.2部
【0055】
比較例3
(熱溶融型熱転写記録用受容布ラベル10の作製)
粘着付与層をポリオレフィン系接着剤フィルム(サーモライト9100、ダイセル化学工業社製、30μm)に代えた以外は、比較例1と同様にして、受容布ラベル10を作製した。
【0056】
(熱溶融型熱転写記録用受容布ラベルの評価)
実施例1〜7及び比較例1〜3で得られた受容布ラベルについて、前記熱溶融型熱転写記録媒体aを用いて以下の条件で印字し、評価を行なった。
また、比較例1で得られた受容布ラベルについて、前記熱溶融型熱転写記録媒体bを用いて以下の条件で印字し、評価を行なって、これを「比較例4」とした。
得られた結果を表1に示す。
【0057】
印字条件
サーマルヘッド 部分グレーズ薄膜ヘッド(8dot/mm)
プラテン圧 150g/cm
記録媒体の引き剥がし角度 30°
引き剥がしトルク 200g
印字速度 100mm/s
【0058】
評価項目
(1)転写性(印字性)
上記印字条件にて印字エネルギー18、20、22mj/mm2で印字を行い、ベタ印字部の画像濃度をマクベスRD914にて測定し、その転写濃度で転写性を評価した。
【0059】
(2)印字画像及び接着付与層の耐洗濯性
上記印字条件(印字エネルギー22mj/mm2)で印字して得られた受容布ラベルの粘着付与層と綿布とを重ね、180℃のアイロンにて貼り合わせて評価用サンプルとした。
【0060】
耐洗濯性−1(耐洗剤洗濯性)
上記評価用サンプルを、JIS L0844のA−5号に準じ、繰り返し3回洗濯試験を実施し、試験後の残存画像濃度を測定して印字画像の耐洗濯性を評価した。また、貼り合わせ部の剥れの有無で接着付与層の耐洗濯性(接着性)を評価した。
接着性評価
×:接着面が全面剥れ落ちた
△:接着面が一部分剥れ落ちた
○:接着面が全く剥れていない
【0061】
耐洗濯性−2(耐塩素系漂白剤洗濯性)
耐洗濯性−1評価に使用した洗剤液に漂白剤(キッチンハイター、花王社製)を3g添加し、耐洗濯性−1評価と同条件で洗濯試験を実施し、試験後の残存画像濃度を測定して印字画像の耐洗濯性を評価した。また、貼り合わせ部の剥れの有無で接着付与層の耐洗濯性(接着性)を評価した。
【0062】
(3)耐熱性
上記印字条件(印字エネルギー22mj/mm2)で印字して得られた受容布ラベルの粘着付与層と綿布とを重ね、180℃のアイロンにて貼り合わせて評価用サンプルとし、アイロンがけ後のカール状態で受容布の耐熱性(熱収縮)を評価した。
耐熱性評価
×:カール大(熱収縮大きい)
△:ややカール(熱収縮中程度)
○:カールなし(熱収縮なし)
【0063】
【表1】
【0064】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明においては、インク受容層を、内部に気体を含む中空粒子を島、熱可塑性物質を海とする海島状に形成するため、熱記録時の転写性、記録画像の耐洗濯性、耐熱性に優れた熱溶融型熱転写記録用受容布が得られる。
Claims (6)
- 織物又は不織布からなる支持体の、一方の面に熱により溶融又は軟化したインクを受容するインク受容層を設け、他方の面に粘着付与層を設けた熱溶融型熱転写記録用受容布において、該インク受容層は、少なくも内部に気体を含む中空粒子と熱可塑性物質とからなり、且つ、該中空粒子を島、該熱可塑性物質を海とする海島状に形成されてなることを特徴とする熱溶融型熱転写記録用受容布。
- 前記中空粒子は、平均粒径が0.1〜10μm、中空率が75%以上である請求項1に記載の熱溶融型熱転写記録用受容布。
- 前記熱可塑性物質はアイオノマー型ポリエステル系ポリウレタン樹脂である請求項1又は2に記載の熱溶融型熱転写記録用受容布。
- 前記支持体は100℃以上の温度で熱処理されたポリエステル樹脂製の織物又は不織布である請求項1〜3のいずれかに記載の熱溶融型熱転写記録用受容布。
- 前記粘着付与層はポリアミド系樹脂又はポリウレタン系樹脂製の熱接着フィルムである請求項1〜4のいずれかに記載の熱溶融型熱転写記録用受容布。
- 請求項1〜5のいずれかに記載した熱溶融型熱転写記録用受容布に、少なくとも融点が100℃以上の熱可塑性樹脂を含む表面層からなる溶融型熱転写記録媒体を用いて熱印字することを特徴とする記録方法。
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