JP3815028B2 - 電動機及びそれを用いたヒートシンク装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、動圧型流体軸受けを用いた電動機及びそれを用いたヒートシンク装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来における動圧型流体軸受けの電動機を用いたヒートシンク装置の構成を図7および図8に示す。
【0003】
ここで、図7は従来の半導体冷却用のヒートシンク装置を示す断面図、図8は図7のヒートシンク装置に用いる電動機の軸受け部を示す断面図、図9は図7の電動機におけるスリーブの変形状態を示すグラフである。
【0004】
図7に示すように、フレーム1の凹部に突出形成されたカップ状のフレームハウジング1aの周囲には、コイル2の巻かれたステータ3にホール素子等が備え付けられた駆動回路基板4が設置されている。ステータ3はフレームハウジング1aの外周部に固定されており、駆動回路基板4とフレーム1との間には絶縁シート20が設置されている。また、フレームハウジング1aの底面には樹脂等で作られたスラスタ5が固定され、さらに、フレーム1の外周には空気の流れをスムーズにするためのベルマウス19が固定されている。フレームハウジング1aにはスリーブ6が圧入固定されてステータユニット15を構成している。
【0005】
ファン8には軸9が一体成型され、軸9にはファン8の抜け防止用のワッシャ10が取り付けられている。そして、軸9はスラスタ5に当接してスリーブ6に回軸自在にはめ込まれている。また、ファン8には、環状のステータ3と対向するようにマグネット11およびマグネットヨーク12が固定され、ロータ16を構成している。
【0006】
図8に示すように、スリーブ6の内周面にはボール転造等により動圧発生溝13が形成され、さらに、ボール転造により発生した突起を除去してスリーブ内径を±2μm以下の高精度で仕上げるためにサイジングが実施されている。
【0007】
この動圧発生溝13には潤滑油としてオイル14が注油され、ラジアル軸受け17を構成している。また、軸9のファン8と反対側の端面は球面に仕上げられており、スラスタ5と接触してスラスト軸受け18を構成している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の電動機では、次のような問題点を有していた。
【0009】
近年のパソコン等の電子機器や家庭電化製品においてはダウンサイジングが進んでおり、それに伴い、電子機器等に取り付けられるヒートシンク装置及び冷却ファンモータ等の電動機も小型化・薄型化が要求されている。
【0010】
このような電動機の小型化・薄型化により軸受け部のスペースが非常に小さくなっており、必然的にスリーブ6の肉厚も薄くせざるを得なくなっている。また、スリーブ6とフレームハウジング1aの圧入締め代は加工のバラツキを考慮して最大20μm以上となり、図9に示すように、スリーブ6の圧入固定の際、スリーブ6の内径に変形等の影響が発生していた。このスリーブ6の内径の変形により、軸9とスリーブ6との隙間が不均一となり、動圧発生溝13のポンピング力の低下、軸9の振れ回わりの増大、軸9とスリーブ6の接触、オイル14の流出などを引き起こし、軸受けの信頼性の低下を招いていた。
【0011】
また、電子機器等は、高性能・小型化により発熱量が増大しており、それに伴い、電子機器等に取り付けられるヒートシンク装置及び冷却ファン等に用いられる電動機は、冷却効果を高めるために高速回転が必要となってきている。
【0012】
これに対して、軸9とスリーブ6の隙間の表面張力で保持された軸受けのオイル14は、高速回転化により遠心力に耐えきれずに余剰オイル分が流出し、さらにその余剰オイル分の流出に引き連られて必要なオイル分も軸9やロータを伝わり流出するようになった。このため、最終的には軸受けのオイル不足が発生して回転数の低下や電流値が増加したり異音が発生したりし、さらには、ロータのロックが発生して信頼性を損なっていた。
【0013】
そこで、本発明は、スリーブ内径の変形を防止することのできる電動機を提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明は、回転時における軸受けからのオイル流出を防止することのできる電動機を提供することを目的とする。
【0015】
また、本発明は、上記電動機を用いた冷却効率の高いヒートシンク装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために、本発明の電動機は、カップ状のフレームハウジングを備えたフレームと、フレームハウジングの外周部に取り付けられたステータと、フレームハウジング内に形成された受け座に一方端が支持されるようにしてはめ込まれたスリーブと、スリーブに回転自在にはめ込まれた軸、およびステータに対向配置されたマグネットを備えたロータと、軸とスリーブとの隙間に充填されたオイルと、フレームハウジング内に挿入され、スリーブを受け座に向けて押圧する固定リングとを有するものである。
【0017】
これにより、スリーブが受け座と固定リングに挟まれて固定されるようになるので、スリーブのラジアル方向にかかる応力が減少し、スリーブ内径の変形を防止することができる。
【0018】
また、本発明の電動機は、前述した電動機において、軸の基部の周囲に、軸とスリーブとの間から飛散するオイルを受け止めるオイルプールが形成されたものである。
【0019】
これにより、回転中に飛散するオイルがオイルプールにプールされるので、回転時における軸受けからのオイル流出を防止することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、カップ状のフレームハウジングを備えたフレームと、フレームハウジングの外周部に取り付けられたステータと、フレームハウジング内に形成された受け座に一方端が支持されるようにしてはめ込まれたスリーブと、スリーブに回転自在にはめ込まれた軸、およびステータに対向配置されたマグネットを備えたロータと、軸とスリーブとの隙間に充填されたオイルと、フレームハウジング内に挿入され、スリーブを受け座に向けて押圧する固定リングとを有する電動機であり、軸の基部の周囲には、軸とスリーブとの間から飛散するオイルを受け止めるオイルプールが形成されている電動機であり、回転中に飛散するオイルがオイルプールにプールされるので、回転時における軸受けからのオイル流出を防止することができるという作用を有する。
【0022】
本発明の請求項2に記載の発明は、カップ状のフレームハウジングを備えたフレームと、フレームハウジングの外周部に取り付けられたステータと、フレームハウジング内に取り付けられた軸と、カップ状のロータハウジングおよびステータに対向配置されたマグネットを備えたロータと、ロータハウジング内に形成された受け座に一方端が支持されるようにして取り付けられるとともに軸に回転自在にはめ込まれたスリーブと、軸とスリーブとの隙間に充填されたオイルと、ロータハウジング内に挿入され、スリーブを受け座に向けて押圧する固定リングとを有し、前記オイルプールの外周で前記固定リングの内側には、前記固定リングとの間に所定の隙間を持って対向されたリブが形成されている電動機であり、軸の基部の周囲には、軸とスリーブとの間から飛散するオイルを受け止めるオイルプールが形成され、オイルプールの外周にリブが形成され、リブは固定リングの内側に所定の隙間を持って対向されている電動機であり、回転中に飛散するオイルがオイルプールにプールされ、回転時における軸受けからのオイル流出を防止することができるという作用を有する。
【0026】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1〜2の何れか一項に記載の発明において、軸の外周面またはスリーブの内周面の何れか一方には、オイルを保持する動圧発生溝が形成されている電動機であり、軸の回転がスムーズになるという作用を有する。
【0028】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項3記載の発明において、オイルプールの外周で固定リングの内側には、固定リングとの間に所定の隙間を持って対向されたリブが形成されている電動機であり、オイルをオイルプールに確実にプールすることができるという作用を有する。
【0029】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項2記載の発明において、リブと固定リングとの隙間は300μm以下50μm以上とされている電動機であり、リブと固定リングとの隙間に流れたオイルの流出が有効に防止されるとともに軸受けに効率的にオイルが供給されるという作用を有する。
【0030】
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか記載の電動機を備えた冷却用ファンモータであって、前記電動機のフレームには発熱体を取付可能としたヒートシンク装置であり、発熱体の熱を直接電動機のフレームで伝導しそしてフレームが放熱作用を行うとともに、ファンが起こす空気流が効率よくフレームに当り放熱効果を高める作用を有する。
【0031】
本発明の請求項6に記載の発明は、フレームに板状かもしくはピン状のフィンを立設した請求項5記載のヒートシンク装置であり、フィンにより放熱効率を高める作用を有する。
【0032】
本発明の請求項7に記載の発明は、電動機のフレームの側壁には一以上の開口部が設けられている請求項6記載のヒートシンク装置であり、開口部の位置、大きさ、数を最適に行うことで、空気の流れを他の発熱体に当てたり、高温の空気をスムーズに排気する作用を有する。
【0033】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図6を用いて説明する。なお、これらの図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。
【0034】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1によるヒートシンク装置を示す断面図、図2は図1のヒートシンク装置に用いる電動機の軸受け部を示す断面図、図3は図1の電動機に取り付けられた固定リングを示す断面図、図4は図1の電動機と従来の電動機とにおけるスリーブ内径の変形量を示すグラフである。
【0035】
以下に説明する実施の形態を含めて、本実施の形態における電動機は半導体冷却用のヒートシンク装置に用いられるものであり、図1に示すように、フレーム1の凹部に突出形成されたカップ状のフレームハウジング1aの周囲には、コイル2の巻かれたステータ3にホール素子等が備え付けられた駆動回路基板4が設置されている。フレーム1の凹部には板状かもしくはピン状のフィン21が立設され、側壁には空気流の通る開口部(図示せず)が所定の数、所定の大きさで所定の方向に向けて設けられている。また、フレームハウジング1aが設けられていない側のフレーム1の底部は半導体素子等の発熱体が取付可能な平面領域を有している。ステータ3はフレームハウジング1aの外周部に固定されており、駆動回路基板4とフレーム1との間には絶縁シート20が設置されている。また、フレームハウジング1aの底面には樹脂等で作られたスラスタ5が固定され、さらに、フレーム1の側壁には空気の流れをスムーズにするためのベルマウス19が固定されている。
【0036】
フレームハウジング1a内には受け座1bが形成されて、このフレームハウジングにはめ込まれたスリーブ6の一方端を支持している。スリーブ6はフレームハウジング1aと0.1mm以下の隙間を持って挿入されるか、もしくは締め代5μm以下の軽い圧入がなされている。フレームハウジング1aには、はめ込まれたスリーブ6を受け座1bに押さえ付ける固定リング7(図3)が挿入されており、ステータユニット15を構成している。
【0037】
この固定リング7の挿入側の周囲は、たとえば10°程度の傾斜をもって内側に向いており、容易にフレームハウジング1aに圧入できるように配慮されている。
【0038】
ファン8には軸9が一体成型され、この軸9のファン8と反対側には、ファン8の抜け防止のためスリットの入ったワッシャ10が圧入されている。そして、軸9はスラスタ5に当接してスリーブ6に回転自在にはめ込まれている。また、ファン8には、環状のステータ3と対向するようにして、マグネット11およびマグネットヨーク12が接着等で固定され、ロータ16を構成している。
【0039】
さらに、ファン8から延びる軸9の基部の周囲には、回転時にスリーブ6と軸9との間から飛散したオイルを受け止めるための凹形状のオイルプール8aが形成されている。このオイルプール8aの容積は、スリーブ6と軸9の隙間の容積と同等以上とされている。また、オイルプール8aの外周で固定リング7の内側には、固定リング7に対して、ギャップがたとえば50μm〜300μm、オーバーラップ長さがたとえば0.3mm以上となるリブ8bが形成されている。
【0040】
図2に示すように、スリーブ6の内周面には、軸9の回転をスムーズに行うための動圧発生溝13がボール転造等により2ヶ所形成され、さらに、ボール転造により発生した突起を除去してスリーブ内径を±2μm以下の高精度で仕上げるためにサイジングが実施されている。この動圧発生溝13には潤滑油としてオイル14が注油され、軸9と片側2〜12μmの軸受け隙間を保ちラジアル軸受け17を構成している。なお、動圧発生溝は軸9の外周面に形成してもよい。
【0041】
また、図2に詳しく示すように、軸9のファン8と反対側の端面は球面に仕上げられており、スラスタ5と接触してスラスト軸受け18を構成している。
【0042】
なお、スリーブ6の材料としては、切削性や転造性を考慮してC3604、BC6C等の銅合金が用いられ、軸9には、耐摩耗性や取り扱い性を考慮してSUS420J2等のステンレス鋼が用いられている。また、オイル14はこのファンモータが半導体に直接取り付けられことが多く熱源に近いことから、高温に耐えることができるようにフッ素系合成油が用いられており、極圧性を若干改善するために添加剤が加えられている。
【0043】
このような構成のファンモータによれば、スリーブ6は受け座1bと固定リング7とでサンドイッチ状態で固定されているので、スリーブ6のラジアル方向にかかる応力が減少される。これにより、図4に示すように、従来のファンモータに比べてスリーブ内径の変形量を約1/4に減少させることができる。
【0044】
なお、スリーブ6とフレームハウジング1aとの嵌合は、両者の間に0.1mm以上の隙間を取ると、スリーブ6とステータ3との芯ずれが発生して回転ムラ等を引き起こす。また、締め代5μm以上の圧入を行うと、スリーブ6の内径に0.6μm以上の変形を引き起こす(図9参照)。このため、前述のように、加工のバラツキも考慮し、スリーブ6とフレームハウジング1aの嵌合は0.1mm以下の隙間を持って挿入されるか、もしくは、締め代5μm以下の軽い圧入がなされている。
【0045】
また、軸9の基部の周囲に、その容積がスリーブ6と軸9の隙間の容積以上となるオイルプール8aが形成され、さらに固定リング7とオイルプール8aの外周に形成されたリブ8bとが非常に狭い隙間をもって対向しているので、回転時に軸受けから飛散した余剰なオイル分が確実にオイルプール8aにプールされる。これにより、必要なオイル分が流出することが防止される。
【0046】
なお、必要なオイル分が蒸発等で不足気味になっても、余剰オイル分がスリーブ近傍のオイルプール8aにプールされているので、表面張力のより高い軸受け隙間に余剰オイル分が随時供給されることとなり、軸受けのオイル不足を防止することができる。
【0047】
ここで、リブ8bと固定リング7との隙間を、300μm以上にすると、この隙間に流れたオイル14の表面張力が低くなってオイル14がこの隙間を突破する。逆に50μm以下にすると、この隙間の表面張力が強くなってオイル14を吸い上げる現象が起こり、軸受けのオイル不足およびオイルの摩擦トルクの増大を招く。このため、オイルプール8aの外周のリブ8bと固定リング7とは、ギャップ50μm〜300μmの間で配置されて効果的にオイル14の流出防止を行っている。
【0048】
つぎに本実施の形態のヒートシンク装置の動作について説明する。電動機が回転すると、ファン8も回転を行い電動機の軸9方向にそって空気を吸い込み、フィン21によって形成された空気の流路に従ってながれ、フレーム1の側壁に設けられた開口部から排気される。このとき空気流は発熱体の熱が伝導されたフレーム1、フィン21から熱を奪い冷却作用を行う。側壁の開口部の方向はヒートシンク装置から排気された空気を他の発熱素子に当てるため、また高温になった空気を電子機器装置からスムーズに排気するため、ヒートシンク装置を用いる電子機器装置に合わせて一方向あるいは複数の方向に開けて用いる。
【0049】
フィン21の形状は板状、ピン状に限定されるものではなく、三角状、翼状、渦巻状、円状、放射状等同様の作用、効果を呈するものであればよい。なお、ヒートシンク装置が所定の大きさ(40mm角)より小さくなる場合には、電動機の大きさも必然的に小さくなり、その結果電動機の出力も小さくなる。従って、上記の場合、電動機とファンによって発生させられる風力が小さくなり、フィンを立設すると放出される風量が小さくなり、かえって放熱効果を悪くすることがある。このようにヒートシンク装置の大きさが上記の範囲の場合には、フィンを立設せず、放出される風量を多くして放熱効果を向上させることが好ましい。
【0050】
(実施の形態2)
図5は本発明の実施の形態2による電動機に取り付けられた固定リングを示す断面図である。
【0051】
本実施の形態での固定リング7は、実施の形態1におけるそれと異なりスリーブ6と接触する側の端面が、凸凹形状となっている。
【0052】
固定リング7をこのような凹凸形状にすることにより、固定リング7を圧入した際に固定リング7の凸部がスリーブ6に食い込むようになる。したがって、よりスリーブ6の固着力が増し、熱衝撃や振動・落下衝撃によるスリーブ6の緩みがなくなって、スリーブ6の軸9との共回り、振動の増大、軸受けの焼き付き等が効果的に防止されるようになる。
【0053】
なお、固定リング7の材料は、バネ性および加工性を考慮し、さらにスリーブ6より硬くスリーブ6へ食い込み易くすることを配慮して、たとえばSUS304等のステンレス鋼が用いられている。
【0054】
(実施の形態3)
図6は本発明の実施の形態3によるヒートシンク装置を示す断面図である。
【0055】
図6に示すように、フレーム1の凹部に突出形成されたカップ状のフレームハウジング1aの周囲には、コイル2の巻かれたステータ3にホール素子等が備え付けられた駆動回路基板4が設置されている。ステータ3はフレームハウジング1aの外周部に固定されており、駆動回路基板4とフレーム1との間には絶縁シート20が設置されている。また、フレーム1の外周には、空気の流れをスムーズにするためのベルマウス19が固定されている。さらに、フレームハウジング1a内には軸9が固定されている。そして、軸9にはスリーブ6が回転自在にはめ込まれている。軸9の先端にはファン8の抜け防止のためスリットの入ったワッシャ10が圧入されて取り付けられ、ステータユニット15を構成している。
【0056】
また、ファン8には、環状のステータ3と対向するようにしてマグネット11およびマグネットヨーク12が接着等で固定され、スリーブ6がファン8に突出形成されたカップ状のロータハウジング8cにはめ込まれるようにして取り付けられている。
【0057】
さらに、樹脂等で作られたスラスタ5が軸9の先端に当接して固定されている。ファン8のロータハウジング8c内には受け座8dが形成されて、このロータハウジング8cにはめ込まれたスリーブ6の一方端を支持している。そして、スリーブ6はロータハウジング8cに0.1mm以下の隙間を持って挿入、もしくは締め代5μm以下の軽い圧入がなされている。
【0058】
ロータハウジング8cには、はめ込まれたスリーブ6を受け座8dに押さえ付ける固定リング7が挿入されており、ロータ16を構成して、軸受けを介して回転自在に取り付けられている。
【0059】
この固定リング7の挿入側の周囲は、たとえば10°程度の傾斜をもって内側に向いており、容易にフレームハウジング1aに圧入できるように配慮されている。
【0060】
このような構成のファンモータによれば、実施の形態1の場合と同様、スリーブ6は受け座8dと固定リング7とでサンドイッチ状態で固定されているので、スリーブ6のラジアル方向にかかる応力が大幅に減少して、スリーブ内径の変形を防止することができる(図4参照)。
【0061】
なお、ヒートシンク装置の構造及び、それに用いられる電動機の構造、電動機の形式、軸受けの構造、オイル等はこれらの実施の形態の内容に限定されるものではなく、様々な設計変更が可能であることは言うまでもない。また、前述した実施の形態において、動圧発生溝13はスリーブ6の内周面に形成されているが、軸9の外周面に形成してもよい。
【0062】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、スリーブが受け座と固定リングに挟まれて固定されるようになるので、スリーブのラジアル方向にかかる応力が減少し、スリーブ内径の変形を防止することができるという有効な効果が得られる。
【0063】
これにより、円滑な運転が可能になり、高い信頼性と長寿命をもった電動機得ることが可能になるという有効な効果が得られる。
【0064】
固定リングのスリーブと接触する側の端面を凸凹形状にすることで、固定リングの凸部がスリーブに食い込んでスリーブの固着力が増すので、スリーブと軸との共回り、振動の増大、軸受けの焼き付き等を効果的に防止することができるという有効な効果が得られる。
【0065】
固定リングの挿入側の周囲を内側に傾斜させることで、固定リングを容易にハウジング内に挿入することができるという有効な効果が得られる。
【0066】
軸の外周面またはスリーブの内周面の何れか一方に、オイルを保持する動圧発生溝を形成することで、軸の回転がスムーズになるという有効な効果が得られる。
【0067】
軸の基部の周囲に、軸とスリーブとの間から飛散するオイルを受け止めるオイルプールを形成することで、回転中に飛散するオイルがオイルプールにプールされるので、回転時における軸受けからのオイル流出を防止することができるという有効な効果が得られる。
【0068】
これにより、必要オイル分が蒸発により不足気味になっても、余剰オイル分がオイルプールから表面張力のより高い軸受け隙間に随時供給されることになり、軸受け隙間のオイル不足を防止することができるという有効な効果が得られる。
【0069】
オイルプールの外周で固定リングの内側に、固定リングとの間に所定の隙間を持って対向されたリブを形成することで、オイルをオイルプールに確実にプールすることができるという有効な効果が得られる。
【0070】
リブと固定リングとの隙間を300μm以下50μm以上とすることで、リブと固定リングとの隙間に流れたオイルの流出が有効に防止されるとともに軸受けに効率的にオイルが供給されるという有効な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1によるヒートシンク装置を示す断面図
【図2】図1のヒートシンク装置に用いる電動機の軸受け部を示す断面図
【図3】図1の電動機に取り付けられた固定リングを示す断面図
【図4】図1の電動機と従来の電動機とにおけるスリーブ内径の変形量を示すグラフ
【図5】本発明の実施の形態2による電動機に取り付けられた固定リングを示す断面図
【図6】本発明の実施の形態3によるヒートシンク装置を示す断面図
【図7】従来の半導体冷却用のヒートシンク装置を示す断面図
【図8】図7のヒートシンク装置に用いる電動機の軸受け部を示す断面図
【図9】図7の電動機におけるスリーブの変形状態を示すグラフ
【符号の説明】
1 フレーム
1a フレームハウジング
1b 受け座
3 ステータ
6 スリーブ
7 固定リング
8a オイルプール
8b リブ
8c ロータハウジング
8d 受け座
9 軸
11 マグネット
13 動圧発生溝
14 オイル
16 ロータ
21 フィン
Claims (7)
- フレームハウジングを備えたフレームと、
前記フレームハウジングの外周部に取り付けられたステータと、
前記フレームハウジング内に形成された受け座に一方端が支持されるようにしてはめ込まれたスリーブと、
前記スリーブに回転自在にはめ込まれた軸、および前記ステータに対向配置されたマグネットを備えたロータと、
前記軸と前記スリーブとの隙間に充填されたオイルと、
前記フレームハウジング内に挿入され、前記スリーブを前記受け座に向けて押圧する固定リングと、
前記軸の基部の周囲には、前記軸と前記スリーブとの間から飛散する前記オイルを受け止めるオイルプールを有し、前記オイルプールの外周は前記固定リングの径より小さいことを特徴とする電動機。 - フレームハウジングを備えたフレームと、
前記フレームハウジングの外周部に取り付けられたステータと、
前記フレームハウジング内に取り付けられた軸と、
カップ状のロータハウジングおよび前記ステータに対向配置されたマグネットを備えたロータと、
前記ロータハウジング内に形成された受け座に一方端が支持されるようにして取り付けられるとともに前記軸に回転自在にはめ込まれたスリーブと、
前記軸と前記スリーブとの隙間に充填されたオイルと、
前記ロータハウジング内に挿入され、前記スリーブを前記受け座に向けて押圧する固定リングと、
前記軸の基部の周囲には、前記軸と前記スリーブとの間から飛散する前記オイルを受け止めるオイルプールを有し、前記オイルプールの外周で前記固定リングの内側には、前記固定リングとの間に所定の隙間を持って対向されたリブが形成されていることを特徴とする電動機。 - 前記軸の外周面または前記スリーブの内周面の何れか一方には、前記オイルを保持する動圧発生溝が形成されていることを特徴とする請求項1〜2の何れか一項に記載の電動機。
- 前記リブと前記固定リングとの隙間は300μm以下50μm以上とされていることを特徴とする請求項2記載の電動機。
- 請求項1〜請求項4のいずれか記載の電動機を備えた冷却用ファンモータであって、前記電動機のフレームには発熱体を取付可能としたことを特徴とするヒートシンク装置。
- フレームに板状かもしくはピン状のフィンを立設したことを特徴とする請求項5記載のヒートシンク装置。
- 電動機のフレームの側壁には一以上の開口部が設けられていることを特徴とする請求項6記載のヒートシンク装置。
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