JP3814937B2 - リライトカード読取装置及びリライトカード発行装置 - Google Patents

リライトカード読取装置及びリライトカード発行装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カードシステムに使用され印刷及び消去可能なリライト紙を用いて構成されるリライトカード読取装置及びリライトカード発行装置に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
例えば駅の改札口や駐車場の出入口等においては、定期券や駐車券を磁気カード化したカードシステムが導入され、入退場の管理などの自動化が図られている。ところが、上記した磁気カードは、主としてプラスチックや磁性材料を含んで構成され、使用済みになると廃棄されるものであるため、資源確保や環境保護の観点からは好ましくないものであった。また、1枚の磁気カードに記録できるデータ量も、例えば漢字で40文字程度と比較的少ないものであった。
【0003】
そこで、そのようなカードシステムに用いられるカードとして、熱的に印刷及び消去が繰返し可能なリライト紙を用いたリライトカードが注目されてきている。このリライトカードは、前のデータを消去して新たな印刷を行うことにより、再使用が可能であり、また、使用不能となった後も、焼却等により廃棄が容易となる。
【0004】
しかしながら、このようなリライトカードを読取るための読取装置は、リライトカードに印刷されたデータ(データコード)をスキャナにより光学的に読取るものであるため、例えば正規のリライトカードをコピー機を用いて複写した紙等が、同様のカードとして不正使用される虞があり、従来では、そのような複写によるカードを識別できない不具合があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、正規のカードであるか複写された不正なカードであるかの判別を容易に行うことを可能とするリライトカード読取装置及びリライトカード発行装置を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
リライト紙を用いたリライトカードは、印刷されたコードを熱的に消去し、別の印刷を行うことが可能であるという特性を有し、コピー機による複写のようなカーボンを紙の表面に塗布するといったものとはその印刷のメカニズムが全く異なっている。つまり、コピー機により複写されたコードは、たとえリライト紙上に印刷されたものであっても、熱的な消去は不可能である。本発明者は、このようなコピー機による複写と、リライトカードの印刷との相違点に着目し、リライトカードのデータコードを印刷する位置とは別の位置に、随時書替えられる真偽判別用のコードを印刷する領域を設けることにより、リライトカードの真偽の判別を容易に行うことが可能であることを確認したのである。
【0007】
すなわち、リライトカードに、真偽判別用のコードを印刷するテストコード印刷エリアを設け、このテストコード印刷エリアに印刷されたコードが、熱的処理により消去できるかどうか、消去後に熱的な処理により新たな印刷が可能であるかどうかを検出すれば、カードに印刷されたコードが、正規の方法により印刷されたものか、不正な複写により印刷されたものかを、容易に判別することができるのである。また、リライトカード読取装置に消去及び印刷の機能を付加することにより、読取装置にてその判別を行うことが可能となるのである。
【0008】
本発明におけるリライトカードは、カードシステムに使用され、印刷及び消去可能なリライト紙を用いて構成されるカードにあって、カードシステム上の必要情報をコード化したデータコードが印刷されるデータコード印刷エリアと、カードの真偽判別用のコードが印刷されるテストコード印刷エリアとを備えている。
【0009】
これによれば、データコードが印刷されるデータコード印刷エリアとは別に、真偽判別用のコードが印刷されるテストコード印刷エリアを設けたので、上述のように、テストコード印刷エリアに印刷されたコードが、熱的処理により消去できるかどうか、消去後に熱的な処理により新たな印刷が可能であるかどうかを検出することにより、カードに印刷されたコードが、正規の方法により印刷された正規のカードであるか、不正な複写により印刷されたものかを、容易に判別することができるようになる。
【0010】
尚、上記テストコード及びデータコードは、データをスキャナにより光学的に読取り可能に表現したコードであれば、バーコードのような一次元コードや、各種の二次元コードなどを採用することができる。特に、本出願人が開発し現在ISOの規格化が進められている、二次元コードの一種である「QRコード(登録商標)」は、微小スペースに多量のデータを記録することができ、高速,高精度の読取りが可能なので、テストコードに採用すれば、目立たない程度の小さな領域に、テストコード印刷エリアを設けることができる。
【0011】
本発明のリライトカード読取装置は、上記したリライトカードのデータコード印刷エリアに印刷されたデータコードをスキャナにより読取るデータコード読取手段、テストコード印刷エリアに印刷されているコードを一旦消去して前に印刷されていたコードとは異なるコードを印刷するコード書替手段と、このコード書替手段により前記テストコード印刷エリアに印刷されたコードをスキャナにより読取るテストコード読取手段と、このテストコード読取手段により読取られたコードが前記コード書替手段により印刷したコードと同一であるかどうかに基づいてリライトカードの真偽を判別する判別手段とを具備するところに特徴を有する(請求項の発明)。
【0012】
これによれば、データコード読取手段によりリライトカードに印刷されたデータコードを読取るにあたり、次のようにして、リライトカードの真偽を判別することができる。即ち、コード書替手段により、まずテストコード印刷エリアに印刷されているコードが消去され、次いでそのテストコード印刷エリアに、前に印刷されていたコードとは異なる特定のコードが印刷される。そして、テストコード読取手段によって、テストコード印刷エリアに印刷されたコードがスキャナにより読取られる。ここで、正規のリライトカードであるならば、テストコード読取手段により読取られたコードは、コード書替手段により印刷されたコードと一致することになる。
【0013】
これに対し、複写紙などの一般紙を用いて複写されたカードであるならば、消去及び印刷が行われないので、テストコード読取手段による読取り時に、テストコード印刷エリアに対応した位置に複写されていたテストコードがそのまま読取られることになる。また、リライト紙を用いているものの複写された不正なカードであるならば、印刷は行われても消去が行われないので、テストコード印刷エリアに対応した位置に、前に複写されていたテストコードに重ねて新たなテストコードが印刷されることになり、テストコード読取手段による読取り時に、二重にダブったコードが読取られるようになる。
【0014】
従って、判別手段により、テストコード読取手段により読取られたコードがコード書替手段により印刷したコードと同一であるかどうかを判断することに基づいて、正規のカードであるか複写された不正なカードであるかの判別が可能となる。この結果、本発明のリライトカード読取装置によれば、リライトカードのデータコードの読取りと併せて、そのリライトカードの真偽の判別を容易に行うことができ、ひいては複写されたカードが不正使用されることを未然に防止することができるものである。
【0015】
この場合、リライトカードにカードの搬送方向に沿ってテストコード印刷エリアとデータコード印刷エリアとを設けると共に、データコード読取手段とテストコード読取手段とが1個のスキャナを共用するように構成し、そのスキャナによりリライトカードのテストコード印刷エリアのコードを読取った後、そのリライトカードを搬送して該スキャナによりデータコード印刷エリアのデータコードを読取るようにすることができる(請求項の発明)。
【0016】
これによれば、2つの印刷エリアのコードを読取るスキャナを1個で済ませることができて構成を簡単に済ませることができると共に、リライトカードの搬送に合せてテストコードとデータコードとを順次読取ることができるので、効率的な読取りを行うことができる。
【0017】
そして、上記したコード書替手段によるコードの消去前の段階で、テストコード印刷エリアに真偽判別用のコードが印刷されているかどうかを判定する予備判定手段を設けるようにしても良い(請求項の発明)。これによれば、テストコード印刷エリアに対するコードの消去及び印刷の過程に進む前に、予備判定手段により真偽判別用のコードが印刷されているかどうかが判定される。真偽判別用のコードが印刷されていないリライトカードは、複写か正規の印刷かを判別するまでもなく、不正なカードと考えられるから、そのような不正なカードを予め排除することができ、無駄なく効果的にコードの消去及び印刷の過程に進むことができる。
【0018】
また、上記コード書替手段がリライトカードのテストコード印刷エリアに印刷するコードとしては、印刷する日時のデータをコード化したものとすることができる(請求項の発明)。これによれば、簡易に前のコードとは異なる特定のコードを設定して印刷することができると共に、最後に読取った日時が常にリライトカードに記録されるというメリットを得ることができる。
【0019】
コード書替手段がリライトカードのテストコード印刷エリアに印刷するコードとして、乱数をコード化したものとすることもできる(請求項の発明)。これによれば、簡易に前のコードとは異なる特定のコードを設定して印刷することができる。
【0020】
さらには、リライトカードのテストコード印刷エリアに、カードシステム固有のデータを含んだコードを印刷するようにしても良い(請求項の発明)。これによれば、テストコード読取手段によりテストコードを読取った際に、そのカードシステムに使用されるべき正規のカードかどうかの識別を行うことが可能となり、同様のカードではあるが他のカードシステムに使用されるものを排除することができる。
【0021】
ところで、本発明のリライトカード読取装置は、読取装置が本来的に備える読取りのための手段に加えて、コード書替手段が、コードを消去し印刷する機能を備えている。従って、そのコード書替手段を、テストコードを印刷する機能だけでなく、リライトカードのデータコード印刷エリアにデータコードを印刷するデータコード印刷手段を兼用させることにより、リライトカードを発行するための発行装置として機能させることもできる(請求項の発明)。これによれば、リライトカード読取装置が、リライトカード発行装置を兼用するので、各部の稼働効率を高くすることができ、それら各装置を別々に設ける場合に比べて、安価且つ簡単な構成で済ませることができるようになる。
【0022】
そして、本発明のリライトカード発行装置は、リライトカードのデータコード印刷エリア及びテストコード印刷エリアに印刷されているコードを全て消去する消去手段と、データコード印刷エリアにデータコードを印刷するデータコード印刷手段と、テストコード印刷エリアにカードの真偽判別用のコードを印刷するテストコード印刷手段とを備えるところに特徴を有する(請求項の発明)。これによれば、上述のような、真偽の判別を容易に行うことができるリライトカードを発行することができ、この場合、消去手段により前のデータコード及びテストコードを消去することができるので、容易にリライトカードの再使用が可能となるものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を駐車場における入退場管理用のカードシステムに適用した実施例について、図面を参照しながら説明する。
(1)第1の実施例
初めに、本発明の第1の実施例について、図1ないし図5を参照して述べる。
【0024】
まず、詳しく図示はしないが、システムの概要について簡単に述べておく。駐車場の入口部には、車両の来場を検出するセンサや開閉用の入口ゲート等が設けられると共に、リライトカードからなる駐車カード1(図2,3参照)の発行装置2(図4参照)が設けられている。また、駐車場の出口部には、前記駐車カード1の読取装置3(図5参照)や、駐車料金の精算機、開閉用の出口ゲート等が設けられている。さらに、システムの管理部所には、上記各装置が接続されシステム全体の管理を行なうホストコンピュータ等が設けられている。
【0025】
これにて、使用者(車両の運転者)は、駐車場の入口部にて発行装置2により発行される駐車カード1を受取ることにより、入口ゲートが開放して駐車場内に入場することができる。そして、駐車場の出口部にて、前記駐車カード1を読取装置3に挿入することにより、駐車時間に応じた駐車料金が表示され、その金額を精算機に投入することにより、出口ゲートが開放して退場できるようになっている。
【0026】
さて、前記駐車カード1、発行装置2及び読取装置3について以下詳述する。まず、本実施例に係るリライトカードたる駐車カード1は、図2に示すように、全体として長方形状をなし、図3に示すように、例えばPETフィルムからなる母材4の表面にリライト紙5を貼付けて構成されている。
【0027】
このリライト紙5は、例えば特開昭61−237684号公報に示されるように、染色剤や発色剤等を混合してなる感熱発色材料(サーモクロミック有機材料)から構成され、記録用の温度まで加熱して急冷することにより発色状態となり、前記記録用温度より高い消去用の温度まで加熱して徐冷することにより発色状態が消えるという性状を呈する。これにて、駐車カード1の表面(リライト紙5)は、熱的に印刷及び消去が可能とされているのである。
【0028】
そして、図2に示すように、この駐車カード1の表面には、図で上から順に、タイトル表示エリア6、データコード印刷エリア7、文字表示エリア8、テストコード印刷エリア9が設けられている。このうち、タイトル表示エリア6には、例えば「駐車カード」、「○○パーキング」といった文字が、この場合インクにより予め印刷されている。従って、このタイトル表示エリア6に印刷された文字は、固定的に印刷された状態、つまり熱的な方法によっては消去不能な状態となっている。尚、駐車カード1の隅部には、該カード1の読取装置3への挿入方向を示す矢印表示10が、インクにより固定的に印刷されている。
【0029】
前記データコード印刷エリア7には、システム上の必要情報(この場合、入場年月日及び時刻等)をコード化したデータコードAが印刷されるようになっている。前記文字表示エリア8には、そのデータ(入場年月日及び時刻)が使用者によって認識できる文字で印刷されるようになっている。さらに、テストコード印刷エリア9には、後述するようなカードの真偽判別用のテストコードBが印刷されるようになっている。上述のように、これらデータコード印刷エリア7のデータコードA、文字表示エリア8の文字、テストコード印刷エリア9のテストコードBは、全て熱的に書替え可能である。
【0030】
このとき、本実施例では、前記真偽判別用のテストコードBは、印刷された日時のデータのコードを含んでいる。また、上記テストコード印刷エリア9のテストコードB及びデータコード印刷エリア7のデータコードAは、後述する読取装置3における駐車カード1の搬送方向(矢印a方向)に沿って直線上に並んで位置するように設けられている。
【0031】
尚、本実施例では、上記データコードA及びテストコードBは、共に、本出願人が開発し現在ISOの規格化が進められている、二次元コードの一種である「QRコード」から構成されている。この「QRコード」は、正方形の領域のうち3つの角部に切出しシンボルを備え、その内側のデータセル領域にマトリクス型のコードを記したものであり、例えばバーコード等と比べて微小スペースに多量のデータを記録することができ、高速,高精度の読取りが可能であるという特長を有している。
【0032】
次に、図4は、上記駐車カード1を発行するための本実施例に係る発行装置2の電気的構成を概略的に示している。この発行装置2は、本体内に、カード原紙を供給するための給紙部11から、カード発行口まで延びる搬送路(いずれも図示せず)が設けられると共に、その搬送路上を前記駐車カード1(カード原紙)を搬送するベルト搬送機構などからなる搬送部12が設けられている。この搬送部12は、搬送路上の任意の位置にて駐車カード1を停止させることが可能に構成されている。
【0033】
そして、前記搬送路に沿って、消去部13及び印刷部14が順に設けられていると共に、前記カード発行口の近傍には、駐車カード1が取出されたことを検出するための取出センサ15が設けられている。さらに、それら各機構を制御するためのマイコンを主体とする制御部16が設けられていると共に、前記ホストコンピュータとのデータ通信を行うための通信部17が設けられている。
【0034】
前記給紙部11には、未使用のカード原紙あるいは、一度以上の使用に供された後再使用される駐車カード1がセットされるようになっている。前記消去部13は、前記駐車カード1のデータコード印刷エリア7、文字表示エリア8及びテストコード印刷エリア9の全体を一度に押えて、消去用の温度まで加熱しその後徐冷する加熱ヘッドやその駆動回路等を備えている。これにて、データコード印刷エリア7及びテストコード印刷エリア9に印刷されているデータコードA及びテストコードBを全て消去する消去手段が構成されている。
【0035】
また、前記印刷部14は、熱転写式プリンタ等に用いられるサーマルヘッドやその駆動回路等を備えており、前記制御部16により制御されて、前記消去部13を通った後の駐車カード1の表面に対し、所定のドット部分を記録用の温度まで加熱して急冷することにより、上述したように、データコード印刷エリア7にデータコードAを印刷し、文字表示エリア8に文字を印刷し、テストコード印刷エリア9にテストコードBを印刷するようになっている。これにて、データコード印刷手段及びテストコード印刷手段が構成されている。
【0036】
このように構成された発行装置2により、システム上の必要情報(駐車場への入場年月日及び時刻等)をコード化したデータコードA及び、それを使用者が認識できる文字で示した表示、並びに、真偽判別用のテストコードBが印刷された駐車カード1が発行されるのである。
【0037】
さて、図5は、上記駐車カード1を読取るための本実施例に係る読取装置3の電気的構成を概略的に示している。この読取装置3は、本体内に、図示はしないが、駐車カード1を挿入するカード挿入口からカード回収部(あるいはカード排出口)まで延びる搬送路が設けられると共に、その搬送路上を駐車カード1を搬送するベルト搬送機構などからなる搬送部18が設けられている。この搬送部18は、搬送路上の任意の位置にて駐車カード1を停止させることが可能に構成されている。また、前記カード挿入口の近傍には、駐車カード1が挿入されたことを検知するための挿入センサ19が設けられている。
【0038】
そして、前記搬送路に沿って、消去部20、印刷部21、読取部22が順に設けられていると共に、それら各機構を制御するためのマイコンを主体とする制御部23が設けられている。さらには、前記ホストコンピュータとのデータ通信を行うための通信部24が設けられている。
【0039】
このうち消去部20は、前記駐車カード1のテストコード印刷エリア9を消去用の温度まで加熱しその後徐冷する加熱ヘッドやその駆動回路等を備えている。また、前記印刷部21は、サーマルヘッドやその駆動回路等を備え、前記制御部23により制御されて、前記消去部20を通った後の駐車カード1のテストコード印刷エリア9に対し、所定のドット部分を記録用の温度まで加熱して急冷することにより、前に印刷されていたテストコードBとは別のテストコードBを印刷するようになっている。制御部23は、新たに印刷したテストコードBを記憶する。これにて、消去部20,印刷部21及び制御部23等から、コード書替手段が構成されている。書替えられるテストコードBは、その時点の日時を示すコードを含んでいることは上述の通りである。
【0040】
また、前記読取部22は、前記データコードA及びテストコードBの読取り可能な1個のスキャナ(エリアセンサやカメラ等)や画像処理回路等を備え、テストコード印刷エリア9において書替えられたテストコードBを読取り、その後、データコード印刷エリア7のデータコードAを読取るようになっている。従って、この読取部22が、テストコード読取手段及びデータコード読取手段として機能し、1個のスキャナを兼用するようになっている。
【0041】
そして、このとき、詳しくは後の作用説明にて述べるように、前記制御部23は、そのソフトウエア的構成により、上述のようなテストコードBの書替え及び読取りを行わせた後、読取部22により読取られたテストコードBが、印刷部21により印刷したテストコードBと同一であるかどうかを比較して、駐車カード1の真偽を判別する判別手段として機能するようになっている。
【0042】
尚、この判別により不正なカードであると判別された駐車カード1は、そのままカード排出口から排出され、正規の駐車カード1と判別された場合にデータコードAの読取りに進むようになっている。また、正規の駐車カード1は、データコードAの読取り後にカード回収部に回収され、そのカードが上記した発行装置2にて再使用されるようになっている。
【0043】
次に、上記構成の作用について、読取装置3の動作を中心に図1も参照して述べる。上述のように、使用者は、駐車場から退場するときには、駐車場の出口部にて駐車カード1を読取装置3のカード挿入口に挿入するようにする。このとき、駐車場の入口部にて発行装置2により発行された正規の駐車カード1が挿入される筈であるが、例えば入場時間が新しい別の駐車カード1をコピー機を用いて一般の紙あるいはリライト紙に複写したものを挿入するといった不正が行われる虞がある。また、使用者のうっかりミスで、同等の大きさの違う種類のカード(磁気カード等)が誤って差し込まれることも考えられる。
【0044】
そこで、本実施例では、読取装置3の制御部23は、図1のフローチャートに示す手順にて、挿入された駐車カード1の真偽の判別を行った後、データの読取りを行うようになっている。即ち、まず、駐車カード1がカード挿入口に挿入されたことが挿入センサ19により検出されると(ステップS1にてYes)、搬送部18によりその駐車カード1が消去部20まで送られる(ステップS2)。この場合、テストコード印刷エリア9が消去部20にて加熱ヘッド位置に対応するように駐車カード1が停止され、引続きテストコード印刷エリア9に印刷されていたテストコードBが、加熱及び徐冷により消去される(ステップS3)。
【0045】
次に、その駐車カード1は搬送部18の動作により印字部21に送られる(ステップS4)。この場合、テストコード印刷エリア9が印字部21にてサーマルヘッド位置に対応するように駐車カード1が停止され、次いでテストコード印刷エリア9に、新たなテストコードBが加熱及び急冷により印刷される(ステップS5)。このようなステップS2〜S5におけるテストコードBの消去及び新たなテストコードBの印刷により、テストコード印刷エリア9のテストコードBが熱的に書替えられることになる。
【0046】
引続き、その駐車カード1は、テストコード印刷エリア9がスキャナの読取り位置に停止するように読取部22に送られ(ステップS6)、スキャナによるテストコードBの読取りが行われる(ステップS7)。そして、ステップS8では、ステップS7にて読取られたテストコードBが、ステップS5にて印刷したテストコードBと一致するかが判断されるのである。
【0047】
ここで、正規の駐車カード1であるならば、ステップS7にて読取られたテストコードBはステップS5にて印刷したテストコードBと一致する筈である。ところが、一般紙に複写されたカードであるならば、熱的に消去及び印刷は行われないので、テストコード印刷エリア9に対応した位置に複写されていた以前のテストコードBがそのまま読取られることになる。また、リライト紙を用いているものの複写された不正なカードであるならば、印刷は行われても前のデータコードBの消去が行われないので、テストコード印刷エリア9に対応した位置に、前に複写されていたテストコードBに重ねて新たなテストコードBが印刷されることになり、二重にダブったコードが読取られるようになる。
【0048】
従って、このステップS8において、正規の駐車カード1であるか複写された不正なカードであるかの判別を行うことができるのである。テストコードBが一致しない場合つまり不正なカードであると判別された場合には(ステップS8にてNo)、次のステップS9にて、カード排出口からそのカードが排出されると共に、その旨が表示あるいは音声報知されるようになっている。
【0049】
一方、正規の駐車カード1であると判別されたときには(ステップS8にてYes)、その駐車カード1は、データコード印刷エリア7が読取部22のスキャナの読取り位置に停止するように若干量だけ矢印a方向に送られ(ステップS10)、引続きスキャナによるデータコードAの読取りが行われる(ステップS11)。この場合、駐車カード1に搬送方向(矢印a方向)に沿ってテストコード印刷エリア7とデータコード印刷エリア9とが設けられているので、リライト駐車カード1の搬送に合せて、1個のスキャナにて2つの印刷エリア7,9のコードA,Bを読取ることができる。
【0050】
データコード印刷エリア7のデータコードAが読取られると、次のステップS12にて、データコードAの読取りが正常に行われたかどうかが判断される。例えばデータコード印刷エリア7にひどい汚れや破損等があってデータコードAが正常に読取れなかったような場合には(ステップS12にてNo)、やはりカード排出口からその駐車カード1が排出されるようになる(ステップS9)。そして、正常読取りが行われたならば(ステップS12にてYes)、そのデータコードAのデータが通信部24を介してホストコンピュータに送信され(ステップS13)、その後の処理(料金精算など)が行われるようになっている。
【0051】
このように本実施例によれば、熱的に印刷及び消去が可能なリライトカードからなる駐車カード1を用いたカードシステムにあって、駐車カード1にデータコード印刷エリア7とは別に、真偽判別用のテストコード印刷エリア9を設けたので、そのテストコード印刷エリア9を用いることにより、その駐車カード1が正規のものであるか複写による不正なカードであるかを容易に判別することが可能となった。
【0052】
この場合、特に本実施例では、各印刷エリア7,9に印刷されるコードA,Bに「QRコード」を採用したことにより、微小スペースに多量のデータを記録することができ、高速,高精度の読取りが可能となり、目立たない程度の小さな領域に、コードA,Bを印刷することができる利点を得ることができる。また、本実施例の発行装置2によれば、上述のような、真偽の判別を容易に行うことができる駐車カード1を発行することができ、コードA,Bを消去する消去部13を設けたことにより、駐車カード1の再使用を容易に行うことができるようになるのである。
【0053】
そして、本実施例の読取装置3によれば、テストコード印刷エリア9のテストコードBを書替えるための消去部20及び印刷部21を設け、書替え後テストコードBを読取って正常に書替えられたかどうかを判断するように構成したので、データコードAの読取りと併せて、その駐車カード1の真偽の判別を容易に行うことができ、ひいては複写されたカードが不正使用されることを未然に防止することができるものである。
【0054】
また、特に、本実施例では、テストコード印刷エリア9とデータコード印刷エリア7とをカードの搬送方向に沿って設け、1個のスキャナを備える読取部22により双方のコードB,Aを順に読取るように構成したので、スキャナを1個で済ませることができて構成を簡単に済ませることができると共に、駐車カード1の搬送に合せてテストコードBとデータコードAとを順次読取ることができ、効率的な読取りを行うことができる。さらに、本実施例では、テストコードBに、印刷した日時のデータを含ませるようにしたので、簡易に前のコードとは異なる特定のコードを設定して印刷することができると共に、最後に読取りを行った日時が常に駐車カード1に記録されるというメリットも得ることができる。
【0055】
(2)第2,第3の実施例
図6のフローチャートは、本発明の第2の実施例を示しており、読取装置が実行する駐車カード1のデータの読取り時の処理手順を示している。尚、この実施例では、ステップS2以下の処理は上記第1の実施例と同様であるので、図示を省略している。また、駐車カード1や読取装置3のハード的構成についても、上記第1の実施例と共通するので、以下同一部分には同一符号を付して新たな図示及び説明を省略する。
【0056】
この実施例が上記第1の実施例と異なる点は、駐車カード1のテストコード印刷エリア9のテストコードBの消去(ステップS2)の前の段階で、テストコード印刷エリア9に真偽判別用のテストコードBが印刷されているかどうかを判定する予備判定の行程(ステップS21〜S24)を設けるようにしたところにある。従って、制御部23及び読取部22等から予備判定手段が構成されるのである。また、本実施例では、テストコード印刷エリア9に印刷するテストコードBに、そのカードシステム(該当する駐車場)の固有のデータを含ませるようにしている。
【0057】
即ち、駐車カード1がカード挿入口に挿入されると(ステップS1にてYes)、その駐車カード1は、搬送部18によりテストコード印刷エリア9がスキャナの読取り位置に停止するように読取部22に送られ(ステップS21)、スキャナによるテストコードBの読取りが行われる(ステップS22)。そして、次のステップS23にて、正常読取りが行われたかどうかが判断され、正常読取りが行われた場合(Yes)にのみステップS2に進んで以下上記第1の実施例と同様の処理が行なわれ、正常読取りが行なわれなければ(No)、カード排出口からその駐車カード1が排出されるようになる(ステップS24)。
【0058】
この場合、ステップS23における判断は、テストコード印刷エリア9に真偽判別用の何らかのテストコードBが印刷されており、且つ、そのテストコードBにカードシステム固有のデータが含まれているときに、正常読取りが行われたとされる。従って、真偽判別用のテストコードBが印刷されていない(あるいはテストコード印刷エリア9自体が存在しない)カードや、同様のカードを使用してはいるが別のシステムのカードである場合には、複写か正規の印刷かの判別を行なうことなく、誤ったカードとして排出されるようになるのである。
【0059】
従って、この実施例によれば、テストコードBが印刷されていないような正規のものでないカードを、複写か正規の印刷かを判別するまでもなく予め排除することができ、無駄なく効果的にテストコードBの消去及び印刷の過程に進むことができる。また、そのカードシステムに使用されるべき正規の駐車カード1かどうかの識別を行うことができ、同様のカードではあるが他のカードシステムに使用されるものを排除することができるものである。
【0060】
図7は、本発明の第3の実施例に係る読取装置31の構成を概略的に示している。この読取装置31が上記第1の実施例の読取装置3と異なる点は、本体内に給紙部32を設けると共に、カード発行口及び取出センサ33を設け、搬送路をそれら給紙部32及びカード発行口にも接続するようにしたところにある。
【0061】
つまり、上記第1の実施例の読取装置3は、本来的に必要な読取部22に加えて、テストコードBを消去する消去部20及び、テストコードBを印刷する印刷部21を備えているので、これに、上記消去部20及び印刷部21を、データコードAについての消去及び印刷を行なうように構成すれば、僅かに給紙部32などを付加するだけで、駐車カード1を発行するための発行装置を兼用した読取装置31とすることができるのである。
【0062】
従って、この読取装置31は、駐車カード1のデータの読取りのモードでは、上記第1の実施例と同様な動作を行なう。そして、駐車カード1の発行のモードでは、給紙部32から供給されるカード原紙(再使用される駐車カード1)に対し、まず、消去部20により、データコード印刷エリア7、文字表示エリア8及びテストコード印刷エリア9の印刷の消去を行なう。次に、印刷部21により、データコード印刷エリア7にデータコードAを印刷し、文字表示エリア8に文字を印刷し、テストコード印刷エリア9にテストコードBを印刷し、カード発行口から発行されるようになるのである。
【0063】
これにて、読取装置31が、発行装置を兼用するので、各部の稼働効率を高くすることができ、発行装置2及び読取装置3を別々に設ける場合に比べて、安価且つ簡単な構成で済ませることができるようになるのである。上記第1の実施例などと同様に、駐車カード1の真偽の判別を容易に行うことができ、ひいては複写されたカードが不正使用されることを未然に防止することができることは勿論である。
【0064】
尚、上記テストコードBとしては、日時データをコード化したものに限らず、乱数をコード化したものであっても良く(請求項6に対応)、これによれば、やはり簡易に前のコードとは異なるコードを設定して印刷することができる。そして、コードの種類としては、「QRコード」に限らず、データをスキャナにより光学的に読取り可能に表現したコードであれば、バーコードのような一次元コードや、各種の二次元コードなどを採用することができる。また、テストコードにカードシステム固有のデータを必ずしも含ませなくとも良い。
【0065】
さらには、上記各実施例では、リライトカードを駐車カードに適用した場合を例としたが、リライトカードの適用できる用途としては、各種のプリペイドカード、各種の施設やイベントの入場券、工場等における生産指示,工程管理等のタグ(かんばん)、配送用の伝票、病院,医院の診察券、鉄道等乗り物の定期券や回数券、商店等のサービス用のスタンプカードに代わるポイントカードなど、各種のカードシステムに適用することができる。その他、発行装置や読取装置の具体的構成としては、種々の変形例が考えられるなど、本発明は要旨を逸脱しない範囲内で、適宜変更して実施し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示すもので、読取装置の実行する処理手順を示すフローチャート
【図2】駐車カードの平面図
【図3】駐車カードの概略的縦断面図
【図4】発行装置の電気的構成を示すブロック図
【図5】読取装置の電気的構成を示すブロック図
【図6】本発明の第2の実施例を示す要部のフローチャート
【図7】本発明の第3の実施例を示す図5相当図
【符号の説明】
図面中、1は駐車カード(リライトカード)、2は発行装置(リライトカード発行装置)、3,31は読取装置(リライトカード読取装置)、5はリライト紙、7はデータコード印刷エリア、9はテストコード印刷エリア、13は消去部、14は印刷部、20は消去部、21は印刷部、22は読取部、23は制御部、Aはデータコード、Bはテストコードを示す。

Claims (8)

  1. カードシステムに使用され、印刷及び消去可能なリライト紙を用いて構成されると共に、カードシステム上の必要情報をコード化したデータコードが印刷されるデータコード印刷エリア、及び、カードの真偽判別用のコードが印刷されるテストコード印刷エリアを有したリライトカードを読取るための装置において、
    前記データコード印刷エリアに印刷されたデータコードをスキャナにより読取るデータコード読取手段と、
    前記テストコード印刷エリアに印刷されているコードを一旦消去して前に印刷されていたコードとは異なるコードを印刷するコード書替手段と、
    このコード書替手段により前記テストコード印刷エリアに印刷されたコードをスキャナにより読取るテストコード読取手段と、
    このテストコード読取手段により読取られたコードが前記コード書替手段により印刷したコードと同一であるかどうかに基づいてリライトカードの真偽を判別する判別手段とを具備することを特徴とするリライトカード読取装置。
  2. カードの搬送方向に沿ってテストコード印刷エリアとデータコード印刷エリアとを有するリライトカードを読取るための装置であって、
    前記データコード読取手段とテストコード読取手段とは、1個のスキャナを共用してなり、前記スキャナによりリライトカードのテストコード印刷エリアのコードを読取った後、そのリライトカードを搬送して該スキャナによりデータコード印刷エリアのデータコードを読取るように構成されていることを特徴とする請求項1記載のリライトカード読取装置。
  3. 前記コード書替手段によるコードの消去前の段階で、前記テストコード印刷エリアに真偽判別用のコードが印刷されているかどうかを判定する予備判定手段を備えることを特徴とする請求項1又は2記載のリライトカード読取装置。
  4. 前記コード書替手段は、印刷する日時のデータをコード化してテストコード印刷エリアに印刷することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のリライトカード読取装置。
  5. 前記コード書替手段は、乱数をコード化してテストコード印刷エリアに印刷することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のリライトカード読取装置。
  6. 前記コード書替手段は、カードシステム固有のデータを含んだコードをテストコード印刷エリアに印刷することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のリライトカード読取装置。
  7. 前記コード書替手段が、前記データコード印刷エリアにデータコードを印刷するデータコード印刷手段を兼用することにより、前記リライトカードを発行するための発行装置を兼用していることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のリライトカード読取装置。
  8. カードシステムに使用され、印刷及び消去可能なリライト紙を用いて構成されると共に、カードシステム上の必要情報をコード化したデータコードが印刷されるデータコード印刷エリア、及び、カードの真偽判別用のコードが印刷されるテストコード印刷エリアを有したリライトカードを発行するものであって、
    前記データコード印刷エリア及びテストコード印刷エリアに印刷されているコードを全て消去する消去手段と、
    前記データコード印刷エリアにデータコードを印刷するデータコード印刷手段と、
    前記テストコード印刷エリアにカードの真偽判別用のコードを印刷するテストコード印刷手段とを備えることを特徴とするリライトカード発行装置。
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