図2は、本発明の一実施形態の受取証書発行機、料金自動収受機及び料金自動収受システムが適用される有料道路の構成の例を示す図である。図2に示されている有料道路は、理解を容易にするための簡略な構成の例として図示されており、現実には、本実施形態の料金自動収受システムは、より複雑な構成の有料道路にも適用可能であることに留意されたい。
有料道路10は、本線1と支線2とを有しており、本線1に料金所3、支線2に料金所4が設けられている。本線1には入口5と出口6とが設けられており、支線2には、入口7が設けられている。料金所3に近接して営業所8が設けられ、料金所4に近接して営業所9が設けられている。後述のように、営業所8、9には、それぞれ料金所3、4の機器を操作するための操作端末装置が設けられている。
本実施形態の有料道路10では、利用者が最初に到達した料金所(図2では、料金所3又は料金所4)で通行料金を支払う料金体系が採用されている。例えば、入口5から進入した利用者は、料金所3において通行料金を支払い、入口7から進入した利用者は、料金所4において通行料金を支払う。料金所で通行料金を支払った後、利用者は、通行料金を支払ったことを証明する受取証書を受け取る。
本実施形態では、料金所4で通行料金を既に支払った利用者が料金所3に到達したときに、料金所4で受け取った受取証書を提示した場合には、料金所3において通行料金を支払わなくてもよい、又は、料金所3において通行料金の割引を受けることができるという料金体系が採用されている場合について考える。この場合には、料金所3において受取証書を確認することが必要になる。利用者から提示された受取証書が確認できた場合(より詳細には、受取証書の記載内容が正当であると確認できた場合)には、当該利用者から通行料金を徴収せず、又は、当該利用者に割引が提供される。
本実施形態の受取証書発行機、料金自動収受機及び料金自動収受システムは、各料金所(本実施形態においては、料金所3)における受取証書の確認を支援するためのものである。料金所において、収受員が、人手で受取証書の確認作業をすることは、料金収受のためのコストを増大させる。本実施形態の受取証書発行機、料金自動収受機、料金自動収受システム、及び、料金収受方法は、各料金所における受取証書の確認を支援し、これにより、料金収受のためのコストを低減することに寄与する。以下、本実施形態の料金自動収受システムについて詳細に説明する。
本実施形態では、受取証書の確認を容易にするために2次元コードが印刷された受取証書が用いられる。より具体的には、本実施形態では、料金を支払ったことを証明する受取証書として「領収書/通行証」と表記された証紙(以下では、単に、「領収書」という。)が用いられ、該領収書に2次元コードが印刷される。
図3は、本実施形態において用いられる領収書90の例を示す図である。領収書90には、「領収書/通行証」と記載された標記91と、案内情報92と、2次元コード93とが印刷されている。2次元コード93としては、例えば、QRコード(登録商標)が使用され得る。本実施形態では、領収書に感熱紙が用いられる。この場合、標記91と、案内情報92と、2次元コード93は、いずれも、熱の印加によって印刷される。
本実施形態では、2次元コード93に、車両番号、車種、支払日時(料金が支払われた日時)、料金所ID(料金が支払われた料金所を示すID(identification))が符号化される。後述されているように、2次元コード93を読み取って得られたデータが、領収書90の確認に用いられる。なお、2次元コード93に書き込むべきデータが暗号化され、暗号化されたデータが2次元コード93に符号化されてもよい。
図4Aは、料金所3の構成、特に、料金所3の一の車線11に設けられた車線機器の配置を概念的に示す概念図である。車線11は、アイランド12、13に挟まれており、該車線機器は、該アイランド12、13に設けられる。該車線機器は、車種判別装置14と、車線制御装置15と、料金自動収受機17と、発進制御機18と、発進検知器19とを備えている。
車種判別装置14は、車線11に進入した車両の車種を判別するための装置群である。図4Bは、車種判別装置14の構成を概念的に示す斜視図である。車種判別装置14は、車両分離器14aと、車高検知器14bと、踏板14cと、オーバーハング検知器14dと、車長検知器14eと、撮像機14fと、画像処理装置14gと、処理部14hとを備えている。車両分離器14aは、車両の車線11の進入口11aへの進入を検知する車両検知器である。車高検知器14b、踏板14c、オーバーハング検知器14d、車長検知器14eは、車両の諸元データを検出するための装置群である。詳細には、車高検知器14bは、車両の車高を検知し、踏板14cは、車両の軸数、タイヤ幅及び輪距の算出に用いられる信号を得るセンサーとして機能する。また、オーバーハング検知器14dは、車両のオーバーハング長(即ち、車両を真上から見たときにおける、車両の前輪の接地中心点から車体の先端までの距離)を検出し、車長検知器14eは、車両の車長を検出する。なお、図4Bには、アイランド12に設けられた車両分離器14a、車高検知器14b、オーバーハング検知器14d及び車長検知器14eしか図示されていないが、実際には、一対の車両分離器器14a、車高検知器14b、オーバーハング検知器14d及び車長検知器14eが、アイランド12、13にも設けられる。撮像機14fは、車両の画像を撮影する撮影装置と照明とを備えており、画像処理装置14gは、該撮影装置によって撮影された画像からナンバープレート画像を切り出し、更に、ナンバープレート認識を行う。処理部14hは、車高検知器14b、踏板14c、オーバーハング検知器14d、車長検知器14eによって得られた車両の諸元データ、及び、ナンバープレート認識で得られた車両番号に基づいて、車両の車種を判別する。図4Bの構成では、処理部14hは、車両分離器14aの筺体に収容されている。
図4Aを再度に参照して、車線制御装置15は、当該車線11に設けられた車線機器を制御し、更に、料金収受に関連した様々な演算を行う機能を有している。具体的には、車線制御装置15は、通行料金の決済のための演算(例えば、通行料金の算出)や、料金自動収受機17及び発進制御機18の制御を行う。通行料金の算出では、車種判別装置14によって判別された車両の車種が用いられる。
料金自動収受機17は、車線11に進入した車両に搭乗している利用者から通行料金を徴収する装置である。料金自動収受機17は、現金又はETC(electronic toll collection system(自動料金収受システム又は電子料金収受システム);登録商標)カードによって通行料金を決済するための決済装置を備えている。利用者は、料金自動収受機17を操作することで(より具体的には、現金を投入したり、ETCカードをカードリーダに読み取らせたりすることで)、通行料金を決済することができる。なお、通行料金の決済は、現金やETCカード以外の様々な決済手段(例えば、クレジットカードやプリペイドカード)で行っても良い。
発進制御機18は、車線11の退出口11bの近傍に設けられており、車両の車線11の退出を許可し、又は抑止するために用いられる。詳細には、発進制御機18は、阻止棒18aと、垂直面内、且つ、車線11に平行な回転軸の周りに阻止棒18aを旋回(swing)させることで阻止棒18aを開閉する駆動部18bとを備えている。発進制御機18は、車線11の退出を抑止する場合に阻止棒18aを閉状態(車線11の路面に略平行な向きに阻止棒18aが向けられた状態)にし、車線11の退出を許可する場合に阻止棒18aを開状態(阻止棒18aの先端が路面から十分に離された状態)にする。
発進検知器19は、車線11の退出口11bからの車両の退出を検出する。
図4Aには、一の車線11について設けられた車線機器が図示されているが、複数の車線のそれぞれに図4Aに図示された車線機器(即ち、車種判別装置14、車線制御装置15、料金自動収受機17、発進制御機18、及び、発進検知器19)が設けられても良い。
営業所8には、操作端末装置21とレイヤスイッチ22とが設けられる。操作端末装置21は、営業所8にいる監視員によって操作される端末であり、料金所3の各車線に設けられた車線機器を監視し、操作する機能を有している。営業所8は、料金所3のアイランド12、13から離れた位置に設けられているから、操作端末装置21は、アイランド12、13に設けられた車線機器を遠隔的に監視し、操作する機能を有していることになる。車線11に設けられた車線制御装置15と料金自動収受機17とは、通信回線を介して、より具体的には、ネットワーク20及びレイヤスイッチ22を介して操作端末装置21に接続される。
図5は、営業所8に設けられる操作端末装置21と、車線11の近傍に設けられる料金自動収受機17の構成を示す図であり、図6A、図6Bは、料金自動収受機17の前面パネル(車線11に面するパネル)に設けられた操作部の構造を示す正面図である。
操作端末装置21は、処理部23と操作表示部24とスピーカー25と受話器26とを備えている。処理部23は、監視員による操作表示部24への操作に応答して、車線11に設けられている車線機器(料金自動収受機17を含むことに留意されたい)を操作する操作信号を生成する。操作表示部24は、操作端末装置21と監視員の間のマン−マシンインターフェースであり、表示装置と操作盤とを備えている。スピーカー25は、音声出力(例えば、監視員の呼び出し音)を出力するために用いられる。受話器26は、料金自動収受機17の近傍にいる利用者と通話をするために用いられ、スピーカーとマイクとを内蔵している。
料金自動収受機17は、スピーカー31と、上段操作部32と、下段操作部33と、制御装置44と、外部インターフェース45とを備えている。なお、本実施形態では料金自動収受機17の筺体に車線制御装置15が収容されており、図5は、このような態様を表現した図になっていることに留意されたい。スピーカー31は、様々な音声出力、例えば、料金自動収受機17による自動音声案内のための音声や、営業所8の操作端末装置21の前にいる監視員からの音声を出力するために用いられる。制御装置44は、料金自動収受機17の各装置を制御し、また、料金収受において必要なデータ処理を行う。外部インターフェース45は、料金自動収受機17と外部装置(具体的には、車線制御装置15及び操作端末装置21)と間の通信を行う。
上段操作部32及び下段操作部33は、料金収受に当たって利用者によって操作されるユーザインターフェースである。上段操作部32は、下段操作部33よりも空間的に上方に位置している。上段操作部32は、高い位置に座席がある車両に搭乗する利用者のために設けられ、下段操作部33は、低い位置に座席がある車両に搭乗する利用者のために設けられている。
図6Aは、料金自動収受機17の上段操作部32の構成を示す正面図である。上段操作部32には、と、領収書発行機35と、硬貨収受機36と、紙幣処理機37と、ETCカードリーダ39と、インターフォンカメラ40aと、マイク40bと、係員呼び出しボタン41と、証明書確認カメラ42と、表示装置43とが設けられている。
領収書発行機35は、硬貨収受機36、紙幣処理機37又はETCカードリーダ39によって通行料金の支払いが行われたとき、通行料金の受領を証明する領収書を発行する。領収書は、受取証書の一種であるから、即ち、領収書発行機35は受取証書を発行する受取証書発行機であることに留意されたい。領収書発行機35によって発行される領収書は、図3に示された領収書90と同様のフォーマットを有しており、該領収書には、様々なデータ、例えば、車両番号、車種、支払日時(料金が支払われた日時)、料金所ID(料金が支払われた料金所を示すID(identification))が符号化された2次元コードが印刷されている。
本実施形態では、領収書発行機35に領収書90に印刷された2次元コード93を読み取る機能が付加される。このような機能を有する領収書発行機35の構成については、後に詳細に説明する。
硬貨収受機36と、紙幣処理機37とは、現金によって通行料金を決済するために使用される一連の装置である。硬貨収受機36は、硬貨の投入口を有しており、投入口に投入された硬貨を受け取る。紙幣処理機37は、紙幣の挿入口を有しており、挿入口に挿入された紙幣を受け取る。現金による通行料金の決済において釣銭が発生した場合、硬貨収受機36の釣銭取出し口38に、釣銭が払い出される。また、釣札が発生した場合には、紙幣処理機37によって紙幣が返却される。
ETCカードリーダ39は、ETCカードによって通行料金を決済するために使用される装置である。ETCカードとETCカードリーダ39の間で通信を行うことで、通行料金を決済するために必要なデータがETCカードとETCカードリーダ39の間で交換され、通行料金が決済される。本実施形態では、料金自動収受機17がETCカードを用いて決済が可能であるように構成されるが、他のキャッシュレスでの決済手段(例えば、クレジットカードやプリペイドカード)が通行料金の決済に用いられても良い。この場合、当該決済手段に対応したリーダが設けられる。
スピーカー31、インターフォンカメラ40a、マイク40b、及び、係員呼び出しボタン41は、料金自動収受機17と操作端末装置21の間のインターフォン機能を提供するために用いられる装置である。詳細には、利用者が係員呼び出しボタン41を操作すると(具体的には、係員呼び出しボタン41を押すと)、操作端末装置21のスピーカー25から呼び出し音が出力される。このとき、監視員が操作端末装置21に所定の操作を行うと、インターフォンカメラ40aによって撮影された撮像画像が操作端末装置21の操作表示部24の表示装置に表示され、また、操作端末装置21が、受話器26を用いて料金自動収受機17の前にいる利用者と通話できる状態に設定される。即ち、料金自動収受機17のマイク40bで採取された音声(即ち、利用者の音声)が、操作端末装置21の受話器26のスピーカーから出力され、受話器26のマイクで採取された音声(即ち、監視員の音声)が料金自動収受機17のスピーカー31から出力される。これにより、操作端末装置21の前にいる監視員は、料金自動収受機17の前にいる利用者の状況を把握することができる。また、操作端末装置21に設けられた撮像装置(図示されない)によって撮像された監視員の映像が、料金自動収受機17の表示装置43に表示されても良い。
証明書確認カメラ42は、障害のために割引が適用される利用者が持つ証明書を撮影するための撮像装置である。利用者が係員呼び出しボタン41を操作すると、証明書確認カメラ42で撮影された撮像画像が操作端末装置21の操作表示部24の表示装置に表示される。この機能は、操作表示部24の表示装置に表示された画像により障害者証明書(例えば、身体障害者手帳等)を確認するためのものである。画像により障害者証明書を確認できた場合、監視員は、操作端末装置21の操作表示部24を操作して、当該利用者が支払うべき通行料金(割引後の通行料金)を料金自動収受機17に設定する。
表示装置43は、料金自動収受機17による料金収受を行う際に利用者に提示したい情報を表示するために用いられる。制御装置44は、上記されている料金自動収受機17の各装置を制御し、また、料金収受において必要なデータ処理を行う。外部インターフェース45は、料金自動収受機17と外部装置(具体的には、車線制御装置19及び操作端末装置21)と間の通信を行う。また、操作端末装置21の操作表示部24に撮像装置が設けられる場合には、監視員の操作端末装置21への操作に応じて、該撮像装置によって撮影された撮像画像(例えば、監視員が撮像された画像)が料金自動収受機17の表示装置43に表示されても良い。
一方、図6Bは、料金自動収受機17の下段操作部33の構成を示す正面図である。下段操作部33は、上段操作部32とほぼ同様の構成を有しているが、身障者レバー34を追加的に備えている点で相違している。身障者レバー34は、身体障害者によって操作しやすい構造となっており、身障者レバー34は、操作方法は異なっているが係員呼び出しボタン41と同様の機能を有している。詳細には、利用者が身障者レバー34を操作すると(具体的には、身障者レバー34を下方に押し下げると)、操作端末装置21のスピーカー25から呼び出し音が出力される。加えて、証明書確認カメラ42で撮影された撮像画像が操作端末装置21の操作表示部24の表示装置に表示される。上述のように、この機能は、操作表示部24の表示装置に表示された画像により障害者証明書(例えば、身体障害者手帳等)を確認するためのものである。このとき、監視員が操作端末装置21に所定の操作を行うと、インターフォンカメラ40aによって撮影された撮像画像が操作端末装置21の操作表示部24の表示装置に表示され、また、操作端末装置21が、受話器26を用いて料金自動収受機17の前にいる利用者と通話できる状態に設定される。この場合、マイク40bで採取された音声(即ち、利用者の音声)が、操作端末装置21の受話器26のスピーカーから出力される。これにより、操作端末装置21の前にいる監視員は、料金自動収受機17の前にいる利用者の状況を把握することができる。
図7は、一実施形態における領収書発行機35の構成を示す概念図である。上述のように、領収書発行機35は、領収書を発行する機能と共に、領収書に印刷された二次元コードを読み取る機能を有している。具体的には、領収書発行機35は、領収書印刷部60と、共通搬送機構61と、2次元コード読み取り部62と、制御装置81とを備えている。領収書印刷部60は、印刷用紙保持部(図示されない)によって保持されている印刷用紙Pを順次に繰り出し、繰り出した印刷用紙Pに領収書に記載すべき事項を印刷して領収書を作成する。本実施形態では、印刷用紙Pとして、感熱紙がロールされたロール紙が用いられる。共通搬送機構61は、領収書印刷部60と2次元コード読み取り部62とで共有される搬送機構である。具体的には、共通搬送機構61は、領収書印刷部60において印刷された領収書を領収書発行機35の前面パネル35aに設けられた発行/挿入口35bから繰り出し、また、発行/挿入口35bに挿入された領収書(即ち、2次元コードを読み取るべき領収書)を2次元コード読み取り部62に搬送する。2次元コード読み取り部62は、発行/挿入口35bに挿入された領収書の2次元コード93を読み取る。図7において、領収書印刷部60を通過する搬送経路が記号R1によって示されており、共通搬送機構61を通過する搬送経路が記号R2によって示されており、2次元コード読み取り部62を通過する搬送経路が記号R3によって示されている。
領収書印刷部60は、印字ヘッド63と、プラテンローラ64と、カッター65と、駆動ローラ66と、従動ローラ67とを備えている。印字ヘッド63は、印刷用紙Pに領収書に記載すべき事項を印刷する。印字ヘッド63としては、例えば、サーマルヘッドが用いられる。プラテンローラ64は、印字ヘッド63とプラテンローラ64の間に印刷用紙Pを挟むことで、印字ヘッド63に印刷用紙Pを押し付ける。プラテンローラ64は、搬送経路R1に沿って駆動ローラ66、従動ローラ67に向けて印刷用紙Pを送り出す。
駆動ローラ66、従動ローラ67は、プラテンローラ64によって送りだされた印刷用紙Pを共通搬送機構61に向けて搬送する。カッター65は、印刷用紙Pを所望の長さで切断する。カッター65としては、例えば、ロータリーカッターを用いても良い。印字ヘッド63による印刷と、カッター65による切断を経て、領収書が作成される。
共通搬送機構61は、フラッパー68と、押えローラ69、70と、挿抜検出センサー71と、シャッター72と搬送ローラ73、74とを備えている。フラッパー68は、領収書発行機35内における搬送経路を切り替える機能を有している。フラッパー68が上側位置(図7における実線の位置)にある場合、領収書印刷部60で印刷された領収書が搬送経路R2を経由して発行/挿入口35bから繰り出される。一方、フラッパー68が下側位置(図7における破線の位置)にある場合、発行/挿入口35bに挿入された領収書が、2次元コード読み取り部62を通過する搬送経路R3に搬送される。
押えローラ69、70は、領収書印刷部60で印刷された領収書を利用者が抜き取るまで保持する役割を有している。領収書印刷部60で印刷された領収書は、その一部が発行/挿入口35bの外部に位置するような位置まで搬送され、押えローラ69、70によって保持される。これにより、利用者は、領収書の発行/挿入口35bの外部に位置する部分をつまんで領収書を抜きとることができる。また、押えローラ69、70は、発行/挿入口35bに挿入された領収書90を、内部に送り込む機能も有している。
挿抜検出センサー71は、発行/挿入口35bへの領収書の挿入、及び、発行/挿入口35bからの領収証の抜き去りを検知する。後に詳細に説明するように、発行/挿入口35bへの領収書の挿入が検知されると、フラッパー68が下側位置に設定され、発行/挿入口35bに挿入された領収書90が、2次元コード読み取り部62を通過する搬送経路R3に搬送される。シャッター72は、領収書印刷部60で印刷された領収書の繰り出し、及び、発行/挿入口35bへの領収書の挿入が行われないときに発行/挿入口35bを閉塞する。
搬送ローラ73、74は、発行/挿入口35bに挿入された領収書90を2次元コード読み取り部62に搬送し、又は、2次元コード読み取り部62で2次元コードが読み取られた領収書90を、2次元コード読み取り部62から受け取るために用いられる。フラッパー68が下側位置に設定された状態で、押えローラ69、70によって発行/挿入口35bに挿入された領収書90がフラッパー68に向けて送り込まれると、領収書90は、2次元コード読み取り部62を通過する搬送経路R3に送られる。また、フラッパー68が下側位置に設定された状態で、2次元コード読み取り部62で2次元コードが読み取られた領収書90が搬送ローラ73、74によってフラッパー68に向けて送り込まれると、領収書90は、搬送経路R2に送られる。
2次元コード読み取り部62は、送りローラ75、76と、加熱部77と、拡散板78と、光源79と、カメラ80とを備えている。送りローラ75、76は、発行/挿入口35bに挿入され、搬送経路R3に送られた領収書を、加熱部77及び拡散板78に送り、また、2次元コード読み取り部62で2次元コードが読み取られた領収書を搬送ローラ73、74に送る機能を有している。
加熱部77は、2次元コード読み取り部62で領収書の2次元コードが読み取られた後、領収書の2次元コードが印刷されている部分を加熱し、該2次元コードを読み取り不能にするために用いられる。上述されているように、本実施形態では、領収書が感熱紙でできているので、領収書の2次元コードが印刷されている部分を加熱することで2次元コードを読み取り不能にできる。なお、運用によって2次元コードを読み取り不能にする必要はなく、この場合、加熱部77は、設けなくてもよい。
拡散板78、光源79及びカメラ80は、領収書の2次元コードを読み取る装置群である。拡散板78は、光源79から受けた光を拡散して(又は散光して)放出する。拡散板78は、好適には、光量が均一化された光を放出するように構成される。拡散板78は、典型的には、乳白色の半透明板で形成される。後述されるように、領収書の2次元コードを読み取るときには、領収書の2次元コードが印刷されている部分が拡散板78の上に置かれる。光源79は、拡散板78に光を当てる。カメラ80は、領収書の2次元コードが印刷されている部分が載せられた状態で拡散板78を撮影し、その撮影画像を取得する。領収書に印刷された2次元コードに符号化されたデータは、カメラ80によって取得された撮影画像に対して画像処理を行うことで読み取られる。ここで、カメラ80は、拡散板78を挟んで光源79と対向するように位置している(即ち、拡散板78を挟んで光源79と反対に位置している)ことに留意されたい。カメラ80は、拡散板78及び領収書を透過した光を撮影する。
制御装置81は、上述されているような領収書発行機35の各機構を制御すると共に、カメラ80によって取得された撮影画像に対して画像処理を行って2次元コードに符号化されたデータを読み取る。
このように構成された領収書発行機35は、領収書を発行する機能と共に、領収書に印刷された二次元コードを読み取る機能を有している。まず、領収書発行機35が領収書を発行する動作について説明する。
料金自動収受機17の制御装置44による制御により、領収書発行機35に領収書の発行が指示されると、フラッパー68は上側位置に設定され、シャッター72が発行/挿入口35bを開放する状態に設定される。更に、領収書印刷部60によって領収書が作成される。詳細には、印字ヘッド63による印刷を行いながら、プラテンローラ64が駆動されて印刷用紙Pが送り出される。領収書に印刷すべき事項の印刷が完了すると、適宜のタイミングでカッター65が動作され、印刷用紙Pが所望の位置で切断される。これにより、領収書の作成が完了する。
作成された領収書は、駆動ローラ66及び従動ローラ67により、領収書の一部が発行/挿入口35bの外側に位置するように搬送される。このとき、押えローラ69、70により、領収書が保持される。領収書が利用者によって抜き取られると、領収書が抜き取られたことが挿抜検出センサー71によって検出され、シャッター72が発行/挿入口35bを閉塞する状態に設定される。領収書発行機35によって発行された領収書は、図3に図示されているフォーマットを有しており、領収書には2次元コードが印刷される。
一方、料金自動収受機17の制御装置44による制御により、領収書発行機35が領収書に印刷されている2次元コードを読み取るモードに設定されると、シャッター72が発行/挿入口35bを開放する状態に設定され、フラッパー68が下側位置に設定される。更に、発行/挿入口35bに領収書が挿入されると、領収書の挿入が挿抜検出センサー71によって検出され、挿入された領収書が、押えローラ69、70、搬送ローラ73、74、75、76によって、拡散板78に搬送される。領収書は、2次元コードが印刷されている部分が拡散板78の上に置かれるような位置まで搬送される。
図8は、領収書の2次元コードが印刷されている部分が拡散板78の上に置かれている状態を示している。図8においては、領収書が符号90によって示されており、2次元コードが符号93によって示されている。図8に示されているように、領収書90の全体が拡散板78の上に置かれている必要はない。また、拡散板78の一部は、領収書90によって覆われておらず、カメラ80に向けて露出されている。図8では、拡散板78のうち、領収書90によって覆われていない部分が符号78aによって示されている。
カメラ80は、領収書90の2次元コード93が印刷されている部分が拡散板78の上に置かれている状態で拡散板78を撮影し、撮像画像を取得する。カメラ80の視野は、領収書90によって覆われていない部分78aを含めて拡散板78が撮影されるように調節されている。制御装置81は、カメラ80によって取得された撮像画像に対して画像処理を行い、2次元コード93に符号化されているデータを読み取る。
本実施形態では、カメラ80が拡散板78を挟んで光源79と反対に位置しており、カメラ80が、拡散板78及び領収書を透過した光を撮影することに留意されたい。これは、不正な2次元コードを貼り付けた領収書の使用を困難にするという利点がある。正規に発行された領収書の2次元コードの上に、他の方法で作成した2次元コードを貼り付けた場合でも、拡散板78及び領収書を透過した光を撮影する本実施形態の構成では、2つの2次元コードが重なって撮影されることになる。この場合、撮像画像に対する画像処理が正しく行われないので、領収書の不正を検出することができる。
2次元コード93の読み取りの画像処理においては、カメラ80によって取得された撮像画像の、拡散板78の領収書90によって覆われていない部分78aに対応する部分の光学的特性と、領収書90に対応する部分の光学的特性とに基づいて、領収書の偽造等の不正を判定してもよい。
例えば、撮像画像のうち、拡散板78の領収書90によって覆われていない部分78aに対応する部分の平均輝度と、領収書90に対応する部分の平均輝度の比に基づいて、領収書の偽造等の不正を判定してもよい。正規に発行された領収書が載せられた拡散板78が撮影された場合、拡散板78の領収書90によって覆われていない部分78aの平均輝度と、領収書90の部分の平均輝度の比は、ある範囲に収まることが期待されるので、平均輝度の比を用いて領収書の偽造等の不正を判定することができる。例えば、拡散板78の領収書90によって覆われていない部分78aの平均輝度と、領収書90の部分の平均輝度の比が、所定の範囲に入っていない場合に、領収書の偽造などの不正の可能性があると判断しても良い。
このような手法は、光源79の明るさの変動が発生しても、その影響を受けない点で好適である。光源79の明るさは、光源79の劣化や温度変化により変動し得る。しかしながら、拡散板78の領収書90によって覆われていない部分78aの平均輝度と、領収書90の部分の平均輝度の比は、光源79の明るさの影響を受けにくい。よって、上記の手法によれば、光源79の明るさの変動の影響を抑制しながら領収書の偽造などの不正の可能性を判断することができる。
また、撮像画像のうち、拡散板78の領収書90によって覆われていない部分78aに対応する部分の最大輝度と、領収書90に対応する部分の最大輝度の比に基づいて、領収書の偽造等の不正を判定してもよい。更に、撮像画像のうち、拡散板78の領収書90によって覆われていない部分78aに対応する部分の特定位置の輝度(第1代表点輝度)と、領収書90に対応する部分の特定位置の輝度(第2代表点輝度)の比に基づいて、領収書の偽造等の不正を判定してもよい。
2次元コード93の読み取りが終了すると、領収書は搬送ローラ73、74、75、76によって発行/挿入口35bに向けて搬送される。最終的には、領収書の一部が発行/挿入口35bの外側に位置するように搬送される。このとき、押えローラ69、70により、領収書が保持される。領収書が利用者によって抜き取られると、領収書が抜き取られたことが挿抜検出センサー71によって検出され、シャッター72が発行/挿入口35bを閉塞する状態に設定される。
2次元コード93が読み取られた領収書が発行/挿入口35bに搬送される際、領収書の2次元コードが印刷されている部分が加熱部77によって加熱され、これにより、該2次元コードが物理的に読み取り不能になる。領収書が感熱紙でできている本実施形態では、領収書の2次元コードが印刷されている部分を加熱することで当該部分が黒くなり、2次元コードを読み取り不能にできる。これにより、当該領収書を再び利用することで通行料金の徴収を免れる不正を防ぐことができる。
領収書の再利用を防ぐためには、加熱部77の代わりに、他の手段を用いて、2次元コードを物理的に読み取り不能にしても良い。例えば、領収書の2次元コードが印刷されている部分に多数の孔(複数の穴)を穿孔する穿孔機構によって、2次元コードを物理的に読み取り不能にしても良い。また、領収書の2次元コードが印刷されている部分をカッターによって切り取り、当該部分を細断してもよい。留意すべきことは、領収書は受取証書として用いられるものなので、利用者に返却される必要がある点である。したがって、本実施形態では、2次元コードを物理的に読み取り不能にするための手段は、領収書の2次元コードが印刷されている部分についてのみ2次元コードを読み取り不能にするための物理的処理を行う。
続いて、本実施形態の料金自動収受システムの動作、特に、通行料金の決済と領収書90の確認のための動作について説明する。以下に述べられる料金自動収受システムの動作の一つの特徴は、領収書発行機35を用いて領収書90に印刷されている2次元コード93に符号化されているデータを読み取り、読み取られたデータを用いて領収書90の確認を行う点である。利用者が、領収書90を領収書発行機35に挿入すると、2次元コード93の読み取りが行われる。このような動作は、追加的なコストを低減しながら、領収書90の確認の自動化を実現するために有効である。以下、本実施形態の料金自動収受システムについて詳細に説明する。
図9は、本実施形態の料金自動収受システムの動作の一例を示すフローチャートである。図9は、領収書90の確認ができたときには利用者から通行料金を徴収しない場合の動作を示している(なお、領収書90の確認ができた場合に通行料金の割引を行う場合の動作は、後述する)。
車線11に車両が進入したことが車両分離器14aによって検知されると(ステップS01)、当該車両のナンバープレート画像が撮像機14f及び画像処理装置14gによって撮影され、更に、車種判別が行われる(ステップS02)。詳細には、撮像機14fによって取得されたナンバープレート画像に対して画像処理装置14gによってナンバープレート認識が行われ、当該車両の車両番号が認識される。更に、車種判別装置14の各機器によって取得された当該車両の諸元データと、ナンバープレート認識によって得られた車両番号その他のデータとから該車両の車種が判別される。
続いて、料金自動収受機17が、領収書90の2次元コード93の読み取り、及び、現金又はETCカードによる通行料金の決済を待機する状態に設定される(ステップS03)。詳細には、領収書発行機35のシャッター72が、発行/挿入口35bを開放する状態に設定され、フラッパー68が下側位置に設定され、更に、領収書90を領収書発行機35に挿入するように促す案内画面が表示装置43に表示される。その後、利用者が領収書90を領収書発行機35に挿入せずに通行料金を支払うと判断される場合には(例えば、表示装置43への案内画面の表示が開始されてから一定時間が経過した場合には)、利用者が支払うべき通行料金が表示装置43に表示されると共に硬貨収受機36と紙幣処理機37とが現金(硬貨及び紙幣)を受け取ることができる状態に設定され、更に、ETCカードリーダ39がECTカードと通信可能な状態に設定される。
続いて、料金自動収受機17は、利用者による操作を待つ待機状態になる(ステップS04〜S07)。
上段操作部32及び下段操作部33のいずれかの係員呼び出しボタン41が操作されると(又は、押下されると)(ステップS04)、インターフォン機能が有効になり、料金自動収受機17は、料金自動収受機17の前にいる利用者と営業所8の操作端末装置21の前にいる監視員との間での対話を行う状態に設定される(ステップS08)。詳細には、利用者が上段操作部32及び下段操作部33のいずれかの操作部の係員呼び出しボタン41を操作すると、操作端末装置21に設けられたスピーカー25から呼び出し音が出力される。更に、監視員が操作端末装置21に所定の操作を行うと、該操作部のインターフォンカメラ40aで撮影された撮像画像が操作端末装置21の操作表示部24の表示装置に表示され、また、操作端末装置21が、受話器26を用いて料金自動収受機17の前にいる利用者と通話できる状態に設定される。この場合、該操作部のマイク40bで採取された利用者の音声が、操作端末装置21の受話器26のスピーカーから出力され、操作端末装置21の受話器26のマイクで採取された監視員の音声が、料金自動収受機17のスピーカー31から出力される。また、操作表示部24に撮像装置が設けられる場合には、その撮像装置によって撮影された監視員の画像が、料金自動収受機17の表示装置43に表示されても良い。利用者との対話が終わると、監視員は、操作端末装置21を操作してインターフォン機能を停止させる。
また、身障者用レバー34が操作されると(ステップS05)、営業所8にいる監視員が呼び出され、障害を持つ利用者に対するマニュアル対応が行われる(ステップS09)。詳細には、身障者用レバー34が操作されると、営業所8の操作端末装置21に設けられたスピーカー25から呼び出し音が出力される。更に、監視員が操作端末装置21に所定の操作を行うと、操作端末装置21が、受話器26を用いて料金自動収受機17の前にいる利用者と通話できる状態に設定される。この場合、下段操作部33のマイク40bで採取された利用者の音声が、受話器26のスピーカーから出力され、操作端末装置21の受話器26のマイクで採取された監視員の音声が、スピーカー31から出力される。
このとき、下段操作部33の証明書確認カメラ42によって撮影された撮像画像が、操作表示部24の表示装置に表示される。操作表示部24の表示装置に表示された画像から障害者証明書を確認できた場合、監視員は、操作端末装置21を操作して、割引された通行料金を徴収するように料金自動収受機17を設定する。
また、領収書発行機35に領収書90が挿入されると、領収書発行機35により領収書90の2次元コード93からデータが読み取られる(ステップS06)。領収書90の2次元コード93からデータが読み取られるときの領収書発行機35の動作は、上述された通りである。領収書発行機35によって領収書90の2次元コード93から読み取られたデータは、操作端末装置21の処理部23に送られる。本実施形態では、領収書90の2次元コード93に車両番号、車種、支払日時、料金所IDのデータが符号化されており、
処理部23は、これらのデータを用いて領収書90の確認を行う(ステップS10)。
より具体的には、ステップS10では、処理部23は、ステップS02において取得されたナンバープレート画像から得られた車両番号と、2次元コード93に符号化されている車両番号とを照合し、車両番号が一致しない場合には、領収書90に不正の可能性があると判断する。また、処理部23は、ステップS02における車種判別によって得られた車種と、2次元コード93に符号化されている車種とを照合し、車種が一致しない場合には、領収書90に不正の可能性があると判断する。更に、現在の時刻と2次元コード93に符号化されている支払日時とが照合され、支払日時から現在の時刻までの経過時間が異常に長い場合(より具体的には、支払日時から現在の時刻までの経過時間が所定の時間よりも長い場合)、領収書90に不正の可能性があると判断する。更に、処理部23は、2次元コード93に符号化されている料金所IDを参照し、有料道路10の構成を考えると想定できない料金所の料金所IDが2次元コード93に符号化されている場合(例えば、2次元コード93に符号化されている料金所IDが、通行が想定される料金所の料金所IDを列挙したリストに掲載されていない料金所IDである場合)、領収書90に不正の可能性があると判断する。
加えて、上述されているように、領収書発行機35のカメラ80によって取得された撮像画像の光学的特性から、領収書の偽造等の不正が判定される。例えば、領収書発行機35の制御装置81は、拡散板78の領収書90によって覆われていない部分78aの平均輝度と、領収書90の部分の平均輝度の比が、所定の範囲に入っていない場合に、領収書の偽造などの不正の可能性があると判断し、その旨を処理部23に知らせる。
2次元コード93に符号化されているデータに基づいて領収書90を確認できた場合(即ち、領収書90に不正の可能性があると判断されなかった場合)(ステップS11:OK)、領収書90が利用者に返却される(ステップS15)。詳細には、2次元コード93が読み取られた領収書90が領収書発行機35の発行/挿入口35bから繰り出される。このとき、必要であれば、加熱部77(又は他の手段)により、2次元コード93が物理的に読み取り不能にされる。
一方、領収書90に不正の可能性があると判断された場合(ステップS11:NG)、処理部23は、操作表示部24からアラームを出力し、監視員にマニュアル対応を行うことを要求する(ステップS12)。例えば、処理部23は、操作端末装置21の操作表示部24の表示装置にアラームを表示し、更にスピーカー25からアラーム音を出力させる。この場合、監視員は、領収書90を自ら確認し、不正がないと判断した場合には、操作端末装置21を操作して不正がない旨を入力する。この場合、領収書90が利用者に返却され(ステップS15)、更に、発進制御機18が開状態に設定される(ステップS14)。一方、不正があると判断した場合には、監視員は、不正に対応する操作を行う。例えば、監視員は、操作端末装置21を操作して、追加の通行料金を徴収するように料金自動収受機17を設定する。これにより、利用者は、現金又はカードで通行料金を支払うことが要求されることになる。
また、上段操作部32及び下段操作部33のいずれかの操作部によって現金又はETCカードによる決済が行われた場合には(ステップS07)、該操作部の領収書発行機35によって領収書が発行され(ステップS13)、更に、発進制御機18が開状態に設定される(ステップS14)。
詳細には、いずれかの操作部の硬貨収受機36に硬貨が投入されると、硬貨収受機36は、その硬貨を受け取る。また、該操作部の紙幣処理機37に紙幣が挿入されると、紙幣処理機37は、その紙幣を受け取る。硬貨収受機36への硬貨の投入又は紙幣処理機37への紙幣の挿入が検知されると、投入された硬貨又は挿入された紙幣の金額が上段操作部32及び下段操作部33の両方の表示装置43に表示される。更に、通行料金に相当する現金が硬貨収受機36又は紙幣処理機37に投入されると、必要な場合には硬貨返却機38によって釣銭が払いだされ、更に、該操作部の領収書発行機35による領収書の発行(ステップS13)と発進制御機18の開状態への設定(ステップS14)が行われる。領収書が発行されるときの領収書発行機35の動作は、上述された通りである。
また、上段操作部32及び下段操作部33のいずれかの操作部のETCカードリーダ39とETCカードとの間の通信が確立されると(例えば、ETCカードが非接触カードであるときにはETCカードがETCカードリーダ39に近づけられると)、ETCカードとETCカードリーダ39との間で必要なデータが交換され、通行料金の決済が行われる。ETCカードとETCカードリーダ39との間の通信の確立が検知されると、ETCカードによる決済が開始されたことを示す表示が表示装置43に表示される。ETCカードによる通行料金の決済が行われた後、領収書発行機35による領収書の発行(ステップS13)と発進制御機18の開状態への設定(ステップS14)が行われる。領収書が発行されるときの領収書発行機35の動作は、上述された通りである。
なお、ステップS13において発行される領収書は、図3に示された領収書90と同様のフォーマットを有していてもよい。該領収書には、様々なデータ、例えば、車両番号、車種、支払日時(料金が支払われた日時)、料金所ID(料金が支払われた料金所を示すID(identification))が符号化された2次元コードが印刷される。このとき、2次元コードに符号化されるべきデータが暗号化され、暗号化されたデータが2次元コードに符号化されてもよい。
図9に示された動作では、発行/挿入口35bに挿入された領収書90が(必要でれば2次元コードが読み取り不能にされた上で)利用者に返却されるが、発行/挿入口35bに挿入された領収書90が回収されると共に、回収された領収書90に対応する内容の領収書が新たに発行されてもよい。このとき、新たに発行される領収書には、2次元コードが含まれていてもよく、含まれていなくてもよい。新たに発行される領収書に2次元コードが含まれない場合、新たに領収書を発行する動作は、発行/挿入口35bに挿入された領収書90の2次元コードが読み取り不能にする動作と等価である。
図10は、発行/挿入口35bに挿入された領収書90を回収可能な構成を有する領収書発行機35Aの構成を示す概念図である。図10の領収書発行機35Aは、図7の領収書発行機35に、送りローラ82、83と、ストッカー84とを追加した構成を有している。送りローラ82、83は、2次元コード読み取り部62において、拡散板78、光源79及びカメラ80を用いて2次元コードが読み取られた領収証90を、ストッカー84に送り込む。ストッカー84は、送りローラ82、83によって送り込まれた領収証90を収容する。このような構成の領収書発行機35Aは、発行/挿入口35bに挿入された領収書90を回収可能である。
なお、領収書90を回収可能な構成においても、2次元コード93を物理的に読み取り不能にする機能は必ずしも必要ない。よって、加熱部77(又は、2次元コードを物理的に読み取り不能にする他の手段)は、必ずしも必要がない。
発行/挿入口35bに挿入された領収書90を回収可能な構成を有する領収書発行機35Aを用いる場合には、料金自動収受機17は、発行/挿入口35bに挿入された領収書90の2次元コードの読み取りに加え、通行料金を追加で徴収し、又は、通行料金の一部を返却する(払い戻す)動作を行うこともできる。通行料金を追加で徴収し、又は、通行料金の一部を返却する場合には、利用者に既に手渡されている領収書に記載されている通行料金がトータルで徴収すべき通行料金と相違するので、領収書を回収する必要がある。発行/挿入口35bに挿入された領収書90を回収可能な構成を有する領収書発行機35Aを用いる場合には、このような動作を行うことができる。
図11は、本実施形態の料金自動収受システムの動作の他の例を示すフローチャートであり、領収書90の確認ができた場合に、割引された通行料金を徴収する場合の動作を示している(なお、領収証90が確認できなかった場合には、割引のない通行料金が徴収される)。この場合、ステップS11又はS12において領収書90を確認できた場合(即ち、領収書90に不正の可能性があると判断されなかった場合)の動作が、図9に図示された動作から変更される。
ステップS11又はS12において領収書90に不正がないと判断された場合、2次元コードが読み取られた領収書90は、ストッカー84に回収される(ステップS16)。その後、操作端末装置21の処理部23によって割引された通行料金を計算する処理が行われると共に、料金自動収受機17が、現金又はETCカードによる通行料金の決済を待機する状態に設定される(ステップS17)。現金又はETCカードによる決済が行われた場合には(ステップS18)、領収書発行機35Aによって領収書が発行され(ステップS13)、更に、発進制御機18が開状態に設定される(ステップS14)。
図11の動作の代わりに、領収証90が確認できた場合にマイナス課金、即ち、既に徴収された通行料金の一部を払い戻し、領収証90が確認できなかった場合には何も行わない動作を行うことも可能である。このような動作は、例えば、利用者が通行料金を支払った料金所と、該利用者が有料道路から退出した出口料金所との距離が近い場合において、該出口料金所において採用され得る。
図12は、マイナス課金に適した有料道路10の構成の一例を示す図である。例えば、入口5から有料道路1に進入して料金所3で課金され、更に、出口料金所6aから退出する利用者について考える。料金所3において出口料金所6a以外の出口から退出する利用者についても考慮した通行料金を課金する場合、料金所3に近接する出口料金所6aから退出する利用者にとっては、公平性に欠ける過剰な課金となってしまう場合がある。このような場合に、出口料金所6aにおいて、マイナス課金、即ち、徴収された通行料金の一部を払い戻すことで、課金の公平性を向上させることができる。
図13は、領収書90を回収可能な構成を有する領収書発行機35Aを備えた料金自動収受装置17を用いて、領収証90が確認できた場合にマイナス課金(即ち、既に徴収された通行料金の一部を払い戻す動作)を行う場合の料金自動収受機17の動作を示すフローチャートである。このような動作は、例えば上記の出口料金所6aに設けられる料金自動収受機17の動作として好適である。
ステップS01〜S05、S08、及び、S09における動作は、図9、図11に図示された動作と同様である。詳細には、車線11に車両が進入したことが車両分離器14aによって検知されると(ステップS01)、当該車両のナンバープレート画像が撮像機14f及び画像処理装置14gによって撮影され、更に、車種判別が行われる(ステップS02)。続いて、料金自動収受機17が、領収書90の2次元コード93の読み取り及び現金又はETCカードによる通行料金の決済を待機する状態に設定される(ステップS03)。
続いて、料金自動収受機17は、利用者による操作を待つ待機状態になる(ステップS04〜S07)。上段操作部32及び下段操作部33のいずれかの係員呼び出しボタン41が操作されると(又は、押下されると)(ステップS04)、インターフォン機能が有効になり、料金自動収受機17は、料金自動収受機17の前にいる利用者と営業所8の操作端末装置21の前にいる監視員との間での対話を行う状態に設定される(ステップS08)。また、身障者用レバー34が操作されると(ステップS05)、営業所8にいる監視員が呼び出され、障害を持つ利用者に対するマニュアル対応が行われる(ステップS09)。
領収書発行機35に領収書90が挿入されない場合には(ステップS06:NO)、一定の時間の経過後、発進制御機18が開状態に設定される(ステップS14)。この場合、マイナス課金(即ち、通行料金の一部の払い戻し)は行われない。
領収書発行機35に領収書90が挿入されると、領収書発行機35Aにより領収書90の2次元コード93からデータが読み取られる(ステップS06:YES)。領収書発行機35によって領収書90の2次元コード93から読み取られたデータは、操作端末装置21の処理部23に送られる。本実施形態では、領収書90の2次元コード93に車両番号、車種、支払日時、料金所IDのデータが符号化されており、処理部23は、これらのデータを用いて領収書90の確認を行う(ステップS10)。
2次元コード93に符号化されているデータに基づいて領収書90を確認できた場合(即ち、領収書90に不正の可能性があると判断されなかった場合)(ステップS11:OK)、領収書90がストッカー84に回収される(ステップS21)。更に、操作端末装置21の処理部23によって割引された通行料金を計算する処理が行われると共に、料金自動収受機17が、通行料金の一部を払い戻す処理が行われる(ステップS22)。払い戻しは、紙幣処理機37及び/又は硬貨返却機38を用いて現金で行っても良く、また、ETCカードで行ってもよい。その後、領収書発行機35Aによって領収書が発行される(ステップS13)。ステップS13で発行される領収書には、トータルで実際に支払いを行った金額(即ち、挿入された元の領収書に記載された金額から、マイナス課金によって払い戻しがなされた金額の差額)が記載される。更に、発進制御機18が開状態に設定され(ステップS14)、これにより、利用者の車両は、車線11から退出することが許可される。
一方、領収書90に不正の可能性があると判断された場合(ステップS11:NG)、処理部23は、操作表示部24からアラームを出力し、監視員にマニュアル対応を行うことを要求する(ステップS12)。例えば、処理部23は、操作端末装置21の操作表示部24の表示装置にアラームを表示し、更にスピーカー25からアラーム音を出力させる。この場合、監視員は、監視員は、領収書90を自ら確認し、不正がないと判断した場合には、操作端末装置21を操作して不正がない旨を入力する。マニュアル対応において不正がないと判断された場合、ステップS10において領収書発行機35Aによって領収書90の確認ができた場合と同様に、領収書90の回収(ステップS21)、通行料金の一部の払い戻し(ステップS22)、領収書の発行(ステップS13)、及び、発進制御機18の開状態への設定(ステップS14)が行われる。
一方、監視員が、領収書90に不正があると判断した場合には、監視員は、不正に対応する操作を行う。例えば、監視員は、操作端末装置21を操作して、マイナス課金を行わないように料金自動収受機17を設定する。この場合、マイナス課金は行われず、発進制御機18が開状態に設定される(ステップS14)。
以上に述べられた本実施形態の料金自動収受システムの動作によれば、領収書90を確認できた利用者に対しては通行料金を徴収しないという処理、割引された通行料金を徴収する処理、又は、通行料金の一部を返却する処理を、収受員の手を介さずに自動的に行うことができる。また、領収書発行機35が、領収書90の2次元コード93の読み取りにも兼用されるので、(領収書読取機を増設する場合に比べ)領収書90の確認に要する追加的コストを低減させることができる。
上記の実施形態では、領収書発行機35のカメラ80によって撮影された撮像画像の画像処理が領収書発行機35の制御装置81によって行われるが、カメラ80によって撮影された撮像画像が操作端末装置21の処理部23に送られ、処理部23によって同様の画像処理が行われてもよい。
また、上記の実施形態では、拡散板78、光源79、カメラ80を用いて、領収書90の2次元コード93が読み取られるが、拡散板78、光源79及びカメラ80の代わりに、他の2次元コードリーダ(例えば、レーザスキャン式の2次元コードリーダ)が設けられ、その2次元コードリーダを用いて領収書90の2次元コード93が読み取られてもよい。
以上に述べられた本実施形態の料金自動収受システムの運用においては、領収書90の真正性を確実に確認できること、即ち、領収書90の偽造等の不正を確実に検知できることが望ましい。領収書90の偽造等の不正を確実に検知するためには、車両番号、車種、支払日時、料金所ID以外の、様々なデータを2次元コード93に符号化してもよい。
例えば、各料金所において車両の構造の特徴を表す特徴データが取得され、料金を支払った料金所(図2の有料道路10においては、例えば、料金所4)において発行される領収書90の2次元コード93に特徴データが符号化されても良い。この場合、領収書90の確認が行われる料金所(図2の有料道路10においては、例えば、料金所3)においても車両の構造の特徴を表す特徴データが取得され、取得された特徴データが、2次元コード93に符号化されている特徴データと照合される。特徴データが一致しない場合、図9、図11、図13のステップS11では、領収書90に不正の可能性があると判断される。
例えば、各料金所に図4A、図4Bに図示されている車線機器が設けられる場合には、撮像機14fによって車線11に進入した車両が撮影され、車両が撮影された撮像画像から当該車両の構造の特徴を表す特徴データが取得されてもよい。この場合、車両番号の認識に用いられるナンバープレート画像は、車両が撮影された撮像画像から切り出されても良い。また、車線11に進入した車両を撮影する撮影装置が撮像機14fとは別に設けられ、その撮影装置で撮影された撮像画像から当該車両の構造の特徴を表す特徴データが取得されてもよい。2次元コード93に符号化される特徴データは、車両の色を示すデータ、車両のフロントグリル近傍に存在するロゴを示すデータ、車両のボディに記載された文字、ナンバープレートとヘッドライトの位置関係(相対位置)を示すデータ、ナンバープレートとフロントガラスの位置関係(相対位置)を示すデータの少なくとも一のデータを含んでいても良い。また、2次元コード93に符号化される特徴データは、車種判別装置14によって得られた車両の諸元データ(例えば、車両の軸数、タイヤ幅、輪距、車高等)の少なくとも一部を含んでいても良い。
領収書90の偽造等の不正を確実に検知するためには、不正の検知に用いられるデータの量を増やすことが望ましい。例えば、上述された特徴データの多くを2次元コード93に符号化することで、領収書90の不正の検知の確実性を向上させることができる。その一方で、2次元コード93に符号化可能なデータの容量には、現実的には制約があり、無制限に大きなデータを2次元コード93に符号化することはできない。
図14及び図15は、このような制約による問題に対処するための料金自動収受システムの構成を示している。図14、図15に図示されている料金自動収受システムでは、有料道路10の全体を統括する管理センター50が設けられ、その管理センター50にホストコンピュータ51とレイヤスイッチ52とが設けられる。ホストコンピュータ51は、車両データベース54を保持する記憶装置53を備えている。各料金所では、進入した車両のそれぞれの車両データが、車線機器(例えば、図4A、図4Bに図示されている車線機器)によって収集され、収集された車両データが、車両データベース54に蓄積される。車両データは、車両番号、車種、支払日時、料金所IDを含んでいても良い。車両データは、車種判別装置14によって得られた車両の諸元データ(例えば、車両の軸数、タイヤ幅、輪距、車高等)の少なくとも一部を含んでいても良く、また、上述されているような、車両の構造の特徴を表す特徴データを含んでいても良い。
各車両の車両データには管理IDが付与され、車両データベース54には、車両データが管理IDと関連づけて記憶される。加えて、通行料金が支払われた料金所(図2では、料金所3)では、その管理IDを含む小さな容量のデータが領収書90の2次元コード93に符号化される。
領収書90の確認(図9、図11、図13のステップS10)においては、領収書90の確認が行われる料金所(図2では、料金所3)に設けられた営業所(図2では、営業所8)に設けられた操作端末装置21の処理部23は、領収書90の2次元コード93から管理IDを読み取る。処理部23は、更に、ネットワーク20を介してホストコンピュータ51の車両データベース54にアクセスし、2次元コード93から読み取られた管理IDと関連付けられた車両データをダウンロードする。処理部23は、領収書90の確認が行われる料金所の車線機器によって取得された車両データと車両データベース54からダウンロードした車両データとを照合する。車両データが一致しない場合には、処理部23は、領収書90に不正の可能性があると判断する。
このような手法によれば、2次元コード93に符号化可能なデータの容量の制約の問題を解消しながら、領収書90の偽造等の不正の検知の確実性を向上することができる。
また、各料金所に撮像機が設置される場合(例えば、各料金所に図4A、図4Bに図示されている車線機器が設置される場合)、料金を支払った料金所においてナンバープレート撮影カメラによって撮影されたナンバープレート画像が管理IDと関連付けて車両データベース54に記憶されても良い。この場合も、通行料金が支払われた料金所(図2では、料金所3)では、その管理IDを含む小さな容量のデータが領収書90の2次元コード93に符号化される。
領収書90の確認(図9、図11、図13のステップS10)においては、領収書90の確認が行われる料金所(図2では、料金所3)に設けられた営業所(図2では、営業所8)に設けられた操作端末装置21の処理部23は、領収書90の2次元コード93から管理IDを読み取る。処理部23は、更に、ネットワーク20を介してホストコンピュータ51の車両データベース54にアクセスし、2次元コード93から読み取られた管理IDと関連付けられたナンバープレート画像をダウンロードする。処理部23は、領収書90の確認が行われる料金所の撮像機によって取得されたナンバープレート画像と車両データベース54からダウンロードしたナンバープレート画像とを照合する。ナンバープレート画像の照合の結果から、処理部23は、領収書90に不正の可能性の有無を判断する。
このような手法でも、2次元コード93に符号化可能なデータの容量の制約の問題を解消しながら、領収書90の偽造等の不正の検知の確実性を向上することができる。
以上には、本発明の実施形態が具体的に記述されているが、本発明は、上記の実施形態に限定されない。本発明が様々な変更と共に実施され得ることは、当業者には容易に理解されよう。