《参考例》
以下、本発明に係る参考例について図1から図3を参照して説明する。
参考例の料金収受システム100は、走行レーンL上を通行する車両Cに搭乗している利用者に対して料金所通行に関する処理が行われる。図1に示すように、本参考例の料金収受システム100は、例えば、有料道路の出口料金所に設置されている。本参考例における料金収受システム100は、貨幣の収受等の料金収受に関する処理を収受員無しで無人で行うことが可能な料金自動収受機10と、料金自動収受機10から離れた遠隔地にある料金所事務所Aに設けられる監視盤70とを備えている。
本参考例の料金自動収受機10は、走行レーンLの側部に設けられたアイランドI上に配置される。ここでは、料金自動収受機10は、走行レーンLとアイランドIとの境界から建築限界として定められる所定の間隔だけ離れた位置に配置されている。そして、走行レーンL上を通行する車両Cが、車両Cの運転席側面と料金自動収受機10とが対面する位置に幅寄せして停車され、当該車両Cに搭乗した利用者によって料金自動収受機10は操作される。本参考例における料金自動収受機10は、図1から図3に示すように、料金自動収受機10の外装である筐体1と、筐体1に設けられて利用者によって料金所通行の料金収受に関する操作が行われる操作部2と、筐体1の内部で証明書Pの処理を行う証明書処理ユニット40と、料金自動収受機10における料金所通行に関する制御処理を実施する制御部60と、を備えている。
筐体1は、走行レーンLの側部に設けられたアイランドI上に配置される。アイランドIは、車両Cが通行する走行レーンLから段差を介して路面よりも一段高い島形状に形成されている。筐体1は、鉛直方向の上下に延びる直方状をなしており、走行レーンLの幅方向を向いて走行レーンLの側部と平行な面を操作面1aとしている。筐体1は、その操作面1aが走行レーンLとアイランドIとの境界であるアイランドIの幅方向の端部から建築限界として法律で定められた所定の間隔として、例えば、250mm以上を離して配置されている。
操作部2は、筐体1の操作面1aに設けられて、走行レーンL上を通行する車両Cに搭乗した運転手等の利用者により、料金自動収受機10を利用する際に操作される操作端末である。即ち、操作部2は、各処理口や各ボタンを通じて料金所を通行するための料金収受に関する操作をするために、料金自動収受機10に対して金銭の収受、通行券・領収書のやり取りや収受員の呼び出し等を利用者が行う際に使用される。操作部2は、通行する車両Cの車高に応じて利用し易いように筐体1の操作面1aの鉛直方向の上段操作部2aと下段操作部2bとに一部を除き同じ構成が設けられている。
上段操作部2a及び下段操作部2bに共通の構成として、操作部2は、アクセス用の開口部である処理口として、紙幣が挿入され、または返却されるために排出される紙幣処理口22と、クレジットカード等が挿入されるカード処理口24と、領収書が外方に送り出される領収書発行口25と、通行券が挿入される通行券挿入口26と、料金割引に関する証明書Pが挿入され、または返却されるために排出される証明書処理口23と、を有している。また、操作部2は、硬貨が投入される硬貨投入口28と、硬貨が払い出される釣銭返却口29と、を有している。そして、操作部2は、料金等の情報を利用者に対して表示する料金表示部21と、領収書の発行指示を受け付ける領収書発行ボタン32と、異常時等に料金所事務所Aの収受員を呼び出す収受員呼び出しボタン27と、利用者の状況等を収受員が確認するために操作面1aを操作する利用者を撮影するカメラである撮影部31と、収受員と通話するための不図示のインターホンとを有している。
なお、本参考例における紙幣処理口22は、紙幣を挿入するための開口部と返却するための開口部とを兼ねるようにして設けられているが、この構造に限定されるものではない。例えば、紙幣が挿入される紙幣挿入口と紙幣が返却される紙幣返却口とのように、目的ごとに分けて別々の開口部として設けられていてもよい。
また、カード処理口24においても、紙幣処理口22と同様に、カードを挿入するための開口部と返却するための開口部とを兼ねるようにして設けられているが、この構造に限定されるものではない。例えば、カードが挿入されるカード挿入口とカードが返却されるカード返却口とのように、目的ごとに分けて別々の開口部として設けられていてもよい。
また、本参考例における証明書処理口23も、紙幣処理口22と同様に、証明書Pを挿入するための開口部と排出するための開口部とを兼ねるようにして設けられているが、この構造に限定されるものではない。例えば、利用者によって証明書Pが挿入される証明書挿入口と、利用者に対して証明書Pが返却される証明書排出口とのように、目的ごとに分けて別々の開口部として設けられていてもよい。
なお、本参考例における証明書Pとは、利用者が料金所通行に関する料金割引を受けるため書類であって、所定の面に必要な情報が記載された書類である。証明書Pとしては、例えば、身体の不自由な身体障害者であることを証明する身体障害者手帳や、災害の被害を受けた者に対して被害の程度を証明するために自治体が発行する罹災証明書が挙げられる。
さらに、下段操作部2bのみの構成として、利用者が特定の利用者として上肢の不自由な身体障害者である場合に、係員に支援を求めるための入力動作が可能な身障者レバー30を備える。
また、上段操作部2aのみの構成として、収受員からの音声等を流すスピーカー33を有している。
証明書処理ユニット40は、証明書処理口23から挿入された証明書Pを取り込んで処理し、利用者に対して返却する。本参考例の証明書処理ユニット40で実施する証明書Pへの処理とは、挿入された証明書Pが適正か否かを確認して、適正な場合には、利用者に対して料金所通行に関する料金割引を適用する処理である。本参考例の証明書処理ユニット40は、図2に示すように、証明書処理口23から挿入された証明書Pを搬送する証明書搬送機構50と、証明書処理口23に証明書Pが挿入されたことを検知する挿入検知部41と、証明書Pをスキャニングするスキャナ42と、証明書Pの位置を検知する証明書位置検知部43と、証明書搬送機構50で搬送された証明書Pに所定の情報を付与する情報付与部44と、を有している。
証明書搬送機構50は、筐体1の内部に配置され、証明書処理口23から挿入された証明書Pを搬送する。本参考例の証明書搬送機構50は、証明書処理口23に挿入された証明書Pを引き込んで、読み取り位置Xまで搬送するとともに、処理が終わった証明書Pを証明書処理口23まで戻すように搬送して排出する。ここでいう読み取り位置Xとは、筐体1の内部においてスキャナ42が配置されている位置である。証明書搬送機構50は、証明書処理口23から筐体1の内部に向かって延びる証明書搬送路51と、証明書搬送路51の途中に複数配置される搬送部52と、を有する。
証明書搬送路51は、証明書処理口23から筐体1の内部に向かって、断面形状が矩形環状をなして水平に延びている。証明書搬送路51は、筐体1の内部における証明書処理口23から遠い位置である奥側が閉塞されている。本参考例の証明書搬送路51は、証明書処理口23から挿入された証明書Pを完全に筐体1の内部に収容して処理が可能な長さに形成され、閉塞されている奥側の位置で証明書Pが待機可能となっている。即ち、証明書搬送路51は、搬送される証明書Pを読み取り位置Xよりも証明書Pの搬送方向の奥側に退避させることが可能なように形成されている。証明書搬送路51の内部の大きさは、様々な種類の証明書Pを搬送することが可能なように、想定されるサイズの中で最も大きいと考えられる証明書Pが挿入可能な大きさに形成されている。例えば、本参考例の証明書搬送路51の内部の大きさは、A4程度の用紙サイズの証明書Pが挿入可能な幅に形成されている。
搬送部52は、証明書搬送路51内の証明書Pを移動させる。搬送部52は、証明書搬送路51の鉛直方向の下方側に配置される押付ローラ53と、一部の押付ローラ53に対応して鉛直方向の上方側に配置される搬送ローラ54とを有する。
押付ローラ53は、証明書搬送路51に対して水平方向に一定の間隔を開けて複数配置される。ここでいう一定の間隔とは、様々な種類の証明書Pを搬送することが可能なように、想定されるサイズの中で最も小さいと考えられる証明書Pを安定して搬送できる間隔である。例えば、本参考例では、一定の間隔は、想定される証明書Pのサイズの中で最も小さいと考えられるA5程度の用紙サイズの証明書Pよりも小さい間隔である。押付ローラ53は、上方を通過する証明書Pを鉛直方向の上方に向かって押し付けながら回転する。本参考例の押付ローラ53は、回転自在に配置されるガイドローラ53aと、ガイドローラ53aを鉛直方向の上方に向かって押し付けるように支持するバネ部53bとを有する。
ガイドローラ53aは、バネ部53bによって回転自在に支持されている。
バネ部53bは、ガイドローラ53aを鉛直方向に移動可能かつ回転可能な状態で、証明書搬送路51の鉛直方向の上方に向かって押し付けるように支持している。
搬送ローラ54は、不図示のモータによって回転可能とされる。搬送ローラ54は、制御部60からの信号が入力されることで、回転を開始したり、回転方向を変更したり、回転を停止したりする。具体的には、搬送ローラ54は、制御部60からモータに情報が入力され、このモータが駆動すると証明書Pを筐体1の内部に引き込む方向に回転を開始や停止したり、回転方向を変更して証明書Pを証明書処理口23に戻すように逆回転したりする。搬送ローラ54は、押付ローラ53とともに証明書Pを搬送する。本参考例の搬送ローラ54は、一部の押付ローラ53の鉛直方向の上方の位置に証明書搬送路51を挟んで対になるように配置されている。より具体的には、搬送ローラ54は、証明書Pが証明書搬送路51を通過するときに、証明書Pが押付ローラ53によって搬送ローラ54に押し付けられることで、押付ローラ53のガイドローラ53aとともに証明書Pを挟み込み、証明書Pを搬送している。例えば、搬送ローラ54は、証明書搬送路51の証明書処理口23からすぐの位置に押付ローラ53ともに配置されることで、証明書処理口23から挿入された証明書Pを引き込む引き込みローラとなる。
挿入検知部41は、証明書処理口23から挿入される証明書Pを検知する。挿入検知部41は、筐体1の内部の証明書処理口23に対応した位置に配置される。本参考例の挿入検知部41は、最も証明書処理口23側に配置された押付ローラ53と証明書処理口23との間で、証明書搬送路51の鉛直方向の下方に配置されるセンサである。挿入検知部41は、証明書処理口23から証明書Pが挿入されたことを検知して、制御部60や証明書位置検知部43に情報を出力する。
スキャナ42は、証明書搬送機構50によって搬送される証明書Pに記載されている情報をスキャニングして画像情報として読み取る。本参考例のスキャナ42は、読み取り位置Xで証明書搬送機構50による搬送方向と交差する方向に延びるように配されたラインスキャナであり、証明書搬送機構50によって証明書Pを筐体1の内部に向かって搬送しながら、読み取り位置Xを通過する証明書Pを順次スキャニングしている。スキャナ42は、読み取った証明書Pの画像情報を制御部60に出力する。具体的には、スキャナ42は、鉛直方向の下方に読み取り面が配置されている。スキャナ42は、筐体1の内部において、一つの押付ローラ53の鉛直方向の上方に配置されている。即ち、スキャナ42は、押付ローラ53によって読み取り面に押し付けられた証明書Pの読み取り面と対向する所定の面である表面に記載された情報を証明書Pの画像情報として順次スキャニングして読み取る。
証明書位置検知部43は、証明書Pの位置を検知して、証明書搬送路51を搬送される証明書Pがスキャナ42を通過したか否かを検知する。証明書位置検知部43は、挿入検知部41から情報が入力されることで、証明書Pの位置の検知を開始し、所定の位置を通過したか否かを検知するセンサである。証明書位置検知部43は、スキャナ42よりも筐体1の内部側である搬送方向の奥側に配置されている。本参考例における所定の位置とは、証明書位置検知部43が配置される位置であって、証明書Pがスキャナ42を完全に通過した位置である。より具体的には、本参考例の証明書位置検知部43は、挿入検知部41から証明書Pが挿入されたとの情報が入力されると、証明書Pの搬送方向の後端の位置の検知を開始する。証明書位置検知部43は、証明書Pが所定の位置を通過したことを検知すると、制御部60に情報を出力する。
情報付与部44は、制御部60から入力される情報に基づいて、スキャナ42によってスキャニングされた証明書Pに対して、所定の情報を付与する。情報付与部44は、証明書搬送路51においてスキャナ42よりも搬送方向の奥側に配置される。本参考例の情報付与部44は、制御部60から情報が入力されることで、証明書Pに対して「済」との検印の印刷を開始する印書ヘッドである。具体的には、情報付与部44は、鉛直方向の下方に証明書Pに印刷するための構成を有している。情報付与部44は、筐体1の内部において、一つの押付ローラ53の鉛直方向の上方の位置に配置されている。即ち、情報付与部44は、押付ローラ53によって印刷する構成を有する部分に押し付けられた証明書Pの表面に検印を印刷する。
制御部60は、筐体1の内部で料金所通行に関する制御処理を実施する。本参考例の制御部60は、料金所通行に関する制御処理として証明書処理ユニット40の制御処理や、通行料金の算出等の料金収受に関する制御処理を実施する。本参考例の制御部60は、図3に示すように、証明書Pに関する情報を取得する情報取得部62と、証明書処理ユニット40に情報を出力する出力部63と、料金収受に関する制御処理を実施する料金収受制御部61とを有する。
情報取得部62は、操作部2や証明書処理ユニット40から入力される情報を取得する。ここで取得する情報には、証明書Pに関する情報が含まれる。証明書Pに関する情報には、証明書Pが罹災証明書か身体障害者手帳であるか否かの種類を判別するために必要な情報等が含まれる。具体的には、証明書Pに関する情報としては、例えば、利用者に身障者レバー30が操作されたとの情報や、収受員によって外部からの入力される情報、スキャナ42でスキャニングして読み取った画像情報、証明書Pの厚みや大きさを不図示にセンサ等によって取得した情報等が挙げられる。
本参考例の情報取得部62は、操作部2の撮影部31からの情報と、利用者が身障者レバー30や収受員呼び出しボタン27を操作した情報と、スキャナ42で読み取った画像情報と、を取得する。また、情報取得部62は、挿入検知部41や証明書位置検知部43が証明書Pを検知した場合に、証明書Pを検知したとの情報を取得する。情報取得部62は、取得した情報に応じて出力部63や監視盤70に情報を出力する。より具体的には、本参考例の情報取得部62は、利用者が身障者レバー30や収受員呼び出しボタン27を操作したとの情報が入力されると、この情報を監視盤70に出力する。また、情報取得部62は、スキャナ42で読み取った証明書Pの画像情報や撮影部31で撮影した情報が入力されると、この情報を監視盤70に出力する。さらに、情報取得部62は、挿入検知部41や証明書位置検知部43から証明書Pを検知したとの情報が入力されると、この情報を出力部63に出力する。
出力部63は、入力された情報に基づいて、証明書処理ユニット40に情報を出力して指示を送る。出力部63は、情報取得部62から挿入検知部41が証明書Pの挿入を検知したとの情報が入力された場合には、搬送ローラ54のモータに回転を開始するよう指示を情報として出力する。また、出力部63は、証明書位置検知部43が証明書Pを検知したとの情報が情報取得部62から入力されることで、搬送ローラ54のモータに回転を停止する指示を情報として出力する。また、出力部63は、監視盤70から情報が入力された場合には、搬送ローラ54のモータに証明書Pを証明書処理口23に向かって搬送するよう回転方向を変更する指示を情報として出力する。加えて、出力部63は、監視盤70から特定の情報が入力された場合には、情報付与部44に証明書Pに対して所定の情報を付与するように情報を出力して指示を送る。本参考例の監視盤70から入力される特定の情報とは、後述するが、証明書Pが罹災証明書であると判別可能な情報である。
料金収受制御部61は、料金所通行の制御処理のうち、料金収受に関する制御処理を実施する。料金収受制御部61は、利用者によって操作部2が操作されることで、操作部2の操作結果に基づいて料金収受に関する制御処理を実施する。ここでいう料金所通行の料金収受に関する制御処理とは、料金自動収受機10において実施される紙幣や硬貨の収受、釣銭の払出、通行券の読み取り、領収書の発行、収受員の呼び出し等である。また、料金収受制御部61は、監視盤70から情報が入力されると料金収受に関する制御処理として、料金所の通行料金の割引を行うよう制御処理を実施する。
監視盤70は、料金所から離れた場所である料金所事務所Aにおいて収受員が料金自動収受機10での処理内容を監視可能としている。本参考例における監視盤70は、料金自動収受機10の制御部60からの情報が入力される監視盤入力部71と、入力部に入力された情報に基づいて情報を表示する表示部72と、収受員によって操作された情報を制御部60に出力する外部入力部73とを備えている。
監視盤入力部71は、スキャナ42で読み取った証明書Pの画像情報及び撮影部31で撮影した情報が制御部60の情報取得部62から入力される。また、監視盤入力部71は、身障者レバー30や収受員呼び出しボタン27が操作されたとの情報が情報取得部62から入力される。監視盤入力部71は、情報取得部62から入力された情報を表示部72に出力する。
表示部72は、監視盤入力部71から入力された証明書Pの画像情報や撮影部31で撮影した情報や身障者レバー30や収受員呼び出しボタン27が操作されたとの情報を収受員に対して表示する。本参考例の表示部72は、入力された情報を映像として表示するディスプレイである。
外部入力部73は、収受員によって操作されて情報が入力される。本参考例の収受員によって外部入力部73で入力される情報としては、証明書Pに基づく料金所を通行するための通行料金の割引を実施する等の情報が含まれる。具体的には、本参考例の外部入力部73では、罹災証明書に基づく通行料金の割引を実施する情報と、身体障害者手帳に基づく通行料金の割引を実施する情報とがある。外部入力部73は、収受員によって入力された情報に基づいて、証明書処理ユニット40へ指示を行うよう出力部63に対して指示情報を出力する。具体的には、本参考例の外部入力部73は、罹災証明書に基づく通行料金の割引を実施する情報が入力された場合には、特定の情報として情報付与部44や搬送ローラ54のモータに指示を行うように出力部63に対して指示情報を出力する。一方、身体障害者手帳に基づく通行料金の割引を実施する情報が入力された場合には、搬送ローラ54のモータにのみ指示を行うように出力部63に対して指示情報を出力する。
次に、参考例の構成の料金収受システム100の作用について説明する。
上記のような参考例の料金収受システム100では、筐体1の操作面1aの前方に幅寄せして停車した車両Cの利用者が料金所の通行料金の割引を受ける場合に、料金自動収受機10に対して料金割引に関する証明書Pが使用される。具体的には、証明書Pとして、利用者が災害等を受けた被災者である場合に使用される罹災証明書を例に挙げて説明する。
利用者が罹災証明書を使用する場合、利用者は収受員呼び出しボタン27を押し、遠隔地の料金所事務所Aに待機している収受員を呼び出し、罹災証明書を使用する旨を伝える。呼び出された収受員は利用者に対して確認すべき情報が記載された表面を鉛直方向の上方に向けて、罹災証明書を証明書処理口23に挿入するように指示する。
なお、罹災証明書等を使用する場合であって本人確認が必要な場合には、利用者に対して料金所事務所Aから料金自動収受機10のスピーカー33を通して、撮影部31で顔が確認可能な位置に移動するように指示を送ってもよい。
指示を受けた利用者は、罹災証明書を証明書処理口23に挿入する。証明書処理口23に罹災証明書が挿入されると、挿入検知部41は、罹災証明書が挿入されたことを検知する。挿入検知部41は、挿入を検知したとの情報を制御部60の情報取得部62と証明書位置検知部43に出力する。情報取得部62にこの情報が入力されると出力部63から指示が送られ、搬送ローラ54のモータは、罹災証明書を筐体1の内部に引き込む方向に搬送ローラ54を回転させる。また、挿入検知部41からの情報に基づいて、証明書位置検知部43が罹災証明書の検知を開始する。そして、罹災証明書は、回転している搬送ローラ54とガイドローラ53aとによって挟まれることで、証明書処理口23から筐体1の内部に向かって引き込まれるように証明書搬送路51を搬送される。搬送された罹災証明書は、搬送部52によって証明書搬送路51をスキャナ42が配置されている読み取り位置Xまで搬送される。読み取り位置Xまで搬送された罹災証明書は、押付ローラ53によってスキャナ42の読み取り面に向かって表面が押し付けられた状態で、表面に記載された情報が、搬送されながらスキャナ42によって罹災証明書の搬送方向の先端側から順次スキャニングされる。スキャナ42を通過した罹災証明書は、証明書搬送路51をさらに筐体1の内部に向かって搬送され、何も処理されずに情報付与部44を通過する。そして、証明書位置検知部43を罹災証明書が通過することで、証明書Pに検知したとの情報が証明書位置検知部43から情報取得部62に入力される。情報取得部62は、証明書Pを検知したとの情報を出力部63に出力する。出力部63は、証明書位置検知部43が証明書Pを検知したとの情報が情報取得部62から入力されることで、搬送ローラ54のモータに回転を停止する指示を情報として出力する。その結果、罹災証明書は、証明書搬送路51の閉塞されている奥側の位置で待機する。
スキャナ42は、読みとった罹災証明書の画像情報を情報取得部62に出力する。情報取得部62は、スキャナ42から入力された画像情報を、監視盤70の監視盤入力部71に出力する。監視盤入力部71では、入力された罹災証明書の画像情報を表示部72に出力する。表示部72は、ディスプレイにスキャナ42で読み取った罹災証明書の画像情報を映像で表示する。表示部72に罹災証明書の画像情報が表示されると、収受員は表示部72を見て、罹災証明書に記載されている情報等を確認して、罹災証明書が適正か否かを確認する。
収受員は、利用者が使用した罹災証明書が適正であると判断すると、罹災証明書に基づく料金所の通行料金の割引を適用するよう外部入力部73に入力する。外部入力部73は、収受員によって入力された情報に基づいて、出力部63及び料金収受制御部61に情報を出力する。料金収受制御部61は、外部入力部73から情報が入力されると、料金所の通行料金の割引を行うよう制御処理を行う。また、出力部63は、外部入力部73から罹災証明書に基づく通行料金の割引を実施する情報が入力されると、特定の情報が入力された判定する。そして、出力部63は、情報付与部44に対して罹災証明書に検印をするよう情報を出力するとともに、搬送ローラ54のモータに罹災証明書を筐体1の外部に排出する方向に搬送ローラ54の回転方向を変更するよう情報を出力する。
出力部63から情報が入力された搬送ローラ54のモータによって、搬送ローラ54は回転方向が変更されて逆回転する。これにより、罹災証明書はガイドローラ53aとともに証明書処理口23に向かって搬送される。罹災証明書は、証明書処理口23に向かって搬送されると、情報付与部44を通過するときに、押付ローラ53によって情報付与部44に向かって押しつけられた状態で、出力部63から情報が入力された情報付与部44によって「済」と検印が印刷される。検印された罹災証明書は、証明書処理口23に向かって搬送され、証明書処理口23から排出されることで、利用者に返却される。
また、罹災証明書とは異なる証明書Pとして、利用者が身体の不自由な身体障害者である場合に使用される身体障害者手帳を例に挙げて説明する。
例えば、利用者が身体障害者のうち上肢の不自由な身体障害者であるために身体障害者手帳を使用する場合、利用者は、収受員呼び出しボタン27を押すことが困難である。そのため、身障者レバー30を操作して、料金所事務所Aに待機している収受員を呼び出し、身体障害者手帳を使用する旨を伝える。呼び出された収受員は、利用者に対して料金自動収受機10のスピーカー33を通して、撮影部31で顔が確認可能な位置に移動するように指示を送る。また、収受員は、利用者に対して確認すべき情報が記載された表面を鉛直方向の上方に向けて、身体障害者手帳を証明書処理口23に挿入するように指示する。
なお、収受員呼び出しボタン27を操作可能な身体障害者によって、収受員呼び出しボタン27を押された場合についても同様の処理が行われる。
指示を受けた利用者は、身体障害者手帳を証明書処理口23に挿入する。証明書処理口23に身体障害者手帳が挿入されると、罹災証明書が挿入された場合と同様に、挿入検知部41で身体障害者手帳が挿入されたことを検知する。そして、身体障害者手帳は、回転しているガイドローラ53aと搬送ローラ54とによって挟まれることで、証明書処理口23から筐体1の内部に向かって引き込まれるように証明書搬送路51を搬送される。この時、ガイドローラ53aは、バネ部53bによって搬送ローラ54に向かって押し付けられているため、罹災証明書と厚みの異なる身体障害者手帳であっても、しっかりと挟み込んで搬送する。搬送された身体障害者手帳は、搬送部52によって証明書搬送路51内をスキャナ42が配置されている読み取り位置Xまで搬送される。読み取り位置Xまで搬送された身体障害者手帳は、押付ローラ53によってスキャナ42の読み取り面に向かって表面が押し付けられた状態で、表面に記載された情報が、搬送されながらスキャナ42によって搬送方向の先端側から順次スキャニングされる。
スキャナ42で読みとられた身体障害者手帳の情報は、撮影部31で撮影した利用者の顔の情報とともに表示部72で表示されて収受員に確認される。収受員は、表示部72に表示されたスキャナ42で読み取った画像情報や撮影部31で撮影した情報とも比較し、身体障害者割引であるのか否かを判断する。収受員は、利用者が使用した身体障害者手帳が適正であると判断すると、身体障害者手帳に基づく料金所の通行料金の割引として身体障害者割引を適用するよう外部入力部73に入力する。外部入力部73は、収受員によって入力された情報に基づいて、出力部63及び料金収受制御部61に信号を出力する。外部入力部73から情報が入力されると、料金収受制御部61は、料金所の通行料金の割引を行うよう制御処理を行う。
一方、挿入検知部41で身体障害者手帳が挿入されたことを検知すると、情報取得部62と証明書位置検知部43その情報が出力される。すると、挿入検知部41からの情報に基づいて、証明書位置検知部43が身体障害者手帳の検知を開始する。証明書位置検知部43は、スキャナ42によってスキャニングされて筐体1の内部に搬送される身体障害者手帳の搬送方向の後端の位置が所定の位置を通過したことを検知することで、身体障害者手帳がスキャナ42を完全に通過したことを検知する。証明書位置検知部43は、身体障害者手帳がスキャナ42を完全に通過したことを検知すると、その情報を情報取得部62に出力する。情報取得部62にその情報が入力されると、出力部63は、搬送ローラ54のモータに回転を停止する指示を情報として出力する。その結果、身体障害者手帳は、証明書搬送路51の閉塞されている奥側の位置で待機する。
その後、身体障害者手帳に基づく料金所の通行料金の割引を実施すると、収受員によって外部入力部73に入力されることで、出力部63は、特定の情報ではない情報が入力されたと判定する。そして、出力部63は、情報付与部44に対して指示情報を出力せずに、搬送ローラ54のモータに身体障害者手帳を筐体1の外部に排出する方向に搬送ローラ54の回転方向を変更するよう情報を出力する。
出力部63から情報が入力された搬送ローラ54のモータによって、搬送ローラ54は回転方向が変更されて逆回転する。これにより、身体障害者手帳は証明書処理口23に向かって搬送される。その結果、スキャナ42によってスキャニングされた身体障害者手帳が情報付与部44に到達しても、情報付与部44は動作しない。その結果、身体障害手帳は、検印等の情報を付与されずに利用者に返却される。
上記のような料金収受システム100の料金自動収受機10によれば、証明書処理口23から挿入された罹災証明書や身体障害者手帳を証明書搬送機構50によって筐体1の内部に搬送して、スキャナ42で読み込むことで、罹災証明書や身体障害者手帳のようにサイズや形状が異なっている証明書Pであっても記載されている情報を安定して取得することができる。具体的には、押付ローラ53によってスキャナ42や情報付与部44に向かって証明書Pを押し付けていることで、スキャナ42によって証明書Pに記載されている情報をスキャニングする場合や、情報付与部44によって検印等の情報を付与する場合に、証明書Pとの位置を一定とすることができる。そのため、より高い精度で証明書Pに記載されている情報を読み込んだり、証明書Pに情報を付与したりすることができる。
また、本参考例とは異なり、筐体1の操作面1aに設けられた撮影部31などに利用者によって証明書Pをかざしてもらうことで、証明書Pに記載されている情報を取得しようとした場合、利用者によって撮影部31に対して証明書Pをかざす位置が変わってしまったり、風等の影響によって証明書Pが動いたりすることで、撮影部31に映されている証明書Pの画像情報が非常に読み取りづらくなってしまう。ところが、筐体1の内部の読み取り位置Xまで搬送してからスキャナ42でスキャニングすることで、罹災証明書のように発行する自治体ごとにサイズが異なる一枚の紙のような証明書Pや、身体障害者手帳のように冊子状になっている証明書P等の様々な種類の割引料金に関する証明書Pに対して、記載されている情報を高い精度で取得することができる。また、筐体1の内部の読み取り位置Xまで搬送してからスキャナ42でスキャニングすることで、手振れや風などの影響を受けることなく、証明書Pをスキャナに対して一定の位置に配置してスキャニングすることができ、記載されている情報を確実に取得することができる。これにより、筐体1の内部の読み取り位置Xまで搬送してスキャナ42によってスキャニングすることで、種類に関わらず証明書Pに記載されている情報を高い精度で取得することができる。
また、証明書搬送機構50が、押付ローラ53によって証明書Pを搬送ローラ54に向かって鉛直方向の上方に押し付けながら搬送することで、証明書Pの厚みによらず安定して証明書Pを搬送することができる。具体的には、押付ローラ53では、バネ部53bによって鉛直方向に移動可能にガイドローラ53aが支持されていることで、搬送ローラ54とガイドローラ53aとの間の空間よりも厚みのある証明書Pが証明書処理口23に挿入されても、ガイドローラ53aが鉛直方向の下方に下がって証明書Pを挿入した後に鉛直方向の上方に向かって押し付けることで、証明書Pを挟み込んで安定させることができる。これにより、一枚の紙で構成される罹災証明書や冊子状に構成される身体障害者手帳のように、厚みの異なる証明書Pが挿入されても安定して搬送することができる。
また、スキャナ42によって読み取り位置Xで記載されている情報が読み取られた証明書Pを証明書搬送機構50における搬送ローラ54の回転方向を変更して、証明書排出口と一体に構成された証明書処理口23に向かって搬送して排出することで、証明書Pを利用者に返却することができる。回収せず利用者に返却するため、回収された証明書Pを遠隔地の料金所事務所Aから料金自動収受機10まで引き取りに行くなどの作業が無くなり、収受員の負担を軽減することができる。
さらに、情報付与部44によってスキャナ42で記載されている情報のスキャニングが終了した確認済みの証明書Pに対して所定の情報として検印を印刷して、利用者に返却することで、確認済みの証明書Pであることを明確にして利用者に返却することができる。これにより、証明書Pが1度使用されて確認済みであることを返却後の証明書Pから識別することができる。そのため、例えば1回の使用のみが許容された証明書Pについて、使用された証明書Pを回収することなく利用者に返却した場合であっても、確認済みの証明書Pを再び使用されることを高い精度で防止することができる。
また、制御部60の情報取得部62で証明書Pに関する情報として、利用者が身障者レバー30や収受員呼び出しボタン27を操作したとの情報を取得することで、挿入されている証明書Pが所定の種類の証明書Pではない身体障害者手帳か否かを容易に判定することができる。そして、身障者レバー30や収受員呼び出しボタン27が操作されて、呼び出された収受員が身障者割引を適用すると判断した場合には、証明書搬送機構50によって情報付与部44に到達しても、何ら情報を付与せずに身体障害者手帳を利用者に返却することができる。したがって、身体障害者手帳のような繰返し使用される検印等の所定の情報が付与したくない証明書Pに対しては情報付与部44で検印せずに、所定の情報を付与したい罹災証明書のような証明書Pに対してのみ効率的に情報を付与させることができる。即ち、情報付与部44によって所定の情報を付与する必要がある証明書Pを識別して所定の情報を付与することができる。
さらに、表示部72にスキャナ42でスキャニングした罹災証明書や身体障害者手帳等の証明書Pの画像情報を表示することで、様々な種類の証明書Pを収受員によって容易に確認して識別することができる。
また、撮影部31によって顔などの利用者の一部を撮影した情報を表示部72に表示させることで、証明書Pとともに利用者を容易に確認することができ、収受員によってより正確に証明書Pの適否を判断することができる。
《実施形態》
次に、図4及び図5を参照して実施形態の料金収受システム101について説明する。
実施形態においては参考例と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。この実施形態の料金収受システム101は、証明書挿入口23aと証明書排出口23bとが別々に設けられている点と、証明書処理ユニット40の構成と、証明書Pの誤挿入を検出することができる点について参考例と相違する。
即ち、本実施形態の料金自動収受機11は、操作部2の証明書処理口23として、証明書挿入口23aと別に設けられる証明書排出口23bとを有している。また、料金自動収受機11は、参考例の証明書処理ユニット40とは異なる第二証明書処理ユニット400と、利用者に対して証明書Pを誤挿入していることを報知する報知部8と、身体障害者手帳が挿入された場合に情報付与部44に証明書Pに対して情報を付与させないように指示を送る制御部600とを備えている。
証明書排出口23bは、利用者によって証明書挿入口23aから挿入された証明書Pを排出して、利用者に返却するための処理口である。証明書排出口23bは、操作面1aに開口し、証明書挿入口23aの鉛直方向の下方に並んで配置される。
また、第二証明書処理ユニット400は、証明書挿入口23aから挿入された証明書Pを処理し、証明書排出口23bから排出して利用者に返却する。第二証明書処理ユニット400は、証明書挿入口23aから挿入された証明書Pを読み取り位置Xを介して証明書排出口23bまで搬送する第二証明書搬送機構500を有している。また、第二証明書処理ユニット400は、参考例と同様の挿入検知部41と、スキャナ42と、情報付与部44と、を有している。
第二証明書搬送機構500は、筐体1の内部に配置され、証明書挿入口23aから証明書排出口23bまで証明書Pを搬送する。本実施形態の第二証明書搬送機構500は、証明書挿入口23aに挿入された証明書Pを引き込んで、読み取り位置Xまで搬送するとともに、処理が終わった証明書Pを証明書排出口23bまで搬送して排出する。第二証明書搬送機構500は、筐体1の内部で証明書挿入口23aから証明書排出口23bまで接続される第二証明書搬送路510と、第二証明書搬送路510の途中に複数配置される第二搬送部520と、を有する。
第二証明書搬送路510は、断面形状が矩形環状をなしており、証明書挿入口23aから筐体1の内部に向かって水平に延びた後に鉛直方向の下方に向かって湾曲し、再び証明書排出口23bに向かって水平に延びている。
第二搬送部520は、参考例の搬送部52とは異なり、回転速度が変更可能な第二搬送ローラ540を有する。
第二搬送ローラ540は、回転方向を変更することなく、挿入検知部41や監視盤700から不図示のモータに入力される情報に基づいて、回転速度を変更する。具体的には、第二搬送ローラ540は、制御部600からモータに情報が入力されると証明書Pを筐体1の内部に引き込む方向に回転を開始し、監視盤700からモータに情報が入力されると回転方向は変化させずに、回転速度を上げる。
報知部8は、証明書Pの挿入する向きを誤るなど利用者が証明書Pを誤挿入した場合に、利用者に対して報知する。本実施形態の報知部8は、監視盤700から情報が入力されることで、利用者に対して挿入されている証明書Pの表面と裏面との向きが誤っている旨の音声をスピーカー33から報知する。
本実施形態の制御部600では、参考例と異なり、身障者レバー30や収受員呼び出しボタン27が操作され、収受員が身体障害者割引であると判断したとの情報が外部入力部73から入力されると、出力部630は、情報付与部44に対して証明書Pに情報を付与しないよう指示を送る。具体的には、出力部630は、外部入力部73から収受員が身体障害者割引であると判断したとの情報が入力されると、印書ヘッドである情報付与部44に対して証明書Pに検印を印刷しないよう指示を情報として出力する。
本実施形態の監視盤700は、参考例の構成に加えて、取得した証明書Pに関する情報に基づいて証明書Pが誤挿入されているかを判定する誤挿入判定部720と、取得した証明書Pに関する情報を記憶する記憶部730とを有する。
また、本実施形態の監視盤700の監視盤入力部710は、情報取得部62から入力されるスキャナ42で読み取った証明書Pの画像情報及び撮影部31で撮影した情報を表示部72とともに記憶部730に出力する。さらに、本実施形態の監視盤入力部710は、情報取得部62から入力されるスキャナ42で読み取った証明書Pの画像情報を、入力されるごとに順次誤挿入判定部720に出力する。
誤挿入判定部720は、情報取得部62で取得した証明書Pに関する情報に基づいて、証明書挿入口23aから挿入された証明書Pが誤挿入されたか否かを判定する。具体的には、誤挿入判定部720は、証明書Pに関する情報が予め定めた誤挿入と認識されるパターンと一致する場合に、証明書Pが誤挿入されたと判定して第二証明書搬送機構500に証明書Pを排出させるよう情報を出力する。本実施形態の誤挿入判定部720は、監視盤入力部710から情報取得部62を介してスキャナ42で読み取った証明書Pの画像情報が入力される。誤挿入判定部720は、証明書Pの画像情報が予め定めた誤挿入と認識されるパターンと一致しているか否かを判定し、一致していると判定した場合は第二証明書搬送機構500の第二搬送ローラ540及び報知部8に誤挿入と判定したとの情報を入力する。
ここでいう誤挿入と認識されるパターンとは、例えば、証明書Pが裏面挿入されてスキャナ42により順次取得される証明書Pの画像情報が一定範囲で変化しない場合が挙げられる。より具体的には、本実施形態の誤挿入と認識されるパターンは、裏面挿入された場合を想定して、順次入力されてくる証明書Pの画像情報が、入力が始まった時点の画像情報から一定の期間にわたって明度がほとんど変化しないパターンとする。
なお、証明書Pの画像情報が一定範囲で変化しないことを判定するために、本実施形態のように明度を用いることに限定されるものではなく、証明書Pに何らかの文字が印刷されているか否かを判別できればよい。
記憶部730は、監視盤入力部710から入力される証明書Pに関する情報や外部入力部73から入力される収受員によって操作された情報を記憶する。記憶部730は、必要に応じて収受員が外部入力部73を入力することで、表示部72に情報を表示させながら、その情報を記憶する。具体的には、本実施形態の記憶部730は、監視盤入力部710から入力される証明書Pの画像情報及び撮影部31で撮影した利用者の情報と、証明書Pの画像情報を確認して収受員が料金所の通行料金の割引を実施するための外部入力部73に入力した情報とを関連づけて記憶する。記憶部730は、例えば、ハードディスクやフラッシュメモリ等の記憶媒体である。
次に、本実施形態の構成の料金収受システム101の作用について説明する。
上記のような本実施形態の料金収受システム101では、証明書Pとして、罹災証明書を例に挙げて説明する。
利用者が罹災証明書を使用する場合、参考例と同様の手順で罹災証明書が証明書挿入口23aに挿入される。証明書挿入口23aに罹災証明書が挿入されると、挿入検知部41は、罹災証明書が挿入されたことを検知する。挿入検知部41は、挿入を検知したとの情報を情報取得部62に出力する。情報取得部62にこの情報が入力されると、出力部630から指示が送られ、第二搬送ローラ540のモータによって、第二搬送ローラ540は、罹災証明書を筐体1の内部に引き込む方向に回転する。そして、罹災証明書は、回転している第二搬送ローラ540と押付ローラ53とによって挟まれることで、第二証明書搬送路510を筐体1の内部に向かって引き込まれるように搬送される。搬送された罹災証明書は、第二搬送部520によって第二証明書搬送路510内をスキャナ42が配置されている読み取り位置Xまで搬送される。読み取り位置Xまで搬送された罹災証明書は、押付ローラ53によってスキャナ42の読み取り面に向かって押しつけられた状態で、スキャナ42によって筐体1の内部に向かって搬送されながら、証明書Pの搬送方向の先端側から記載された情報が順次スキャニングされる。
ここで、利用者が罹災証明書の表面と裏面を間違えて、情報が記載されている表面を鉛直方向の下方に向けて、逆向きの状態で挿入してしまった場合、情報が記載されていない裏面がスキャナ42によってスキャニングされる。何も記載されていない罹災証明書の裏面をスキャニングした場合、読み取られた証明書Pの画像情報は、単一色となり、全範囲にわたって明度がほぼ一定の画像情報となる。
この証明書Pの裏面の画像情報は、証明書Pの搬送方向の先端側からスキャナ42によって読み取られた順に情報取得部62に出力される。情報取得部62は、この画像情報を監視盤700の監視盤入力部710に出力する。監視盤入力部710では、入力された画像情報を表示部72、記憶部730及び誤挿入判定部720に出力する。
誤挿入判定部720は、監視盤入力部710から順次入力される罹災証明書の画像情報が誤挿入と認識されるパターンと一致しているか否かを判定する。監視盤入力部710から入力される罹災証明書の画像情報が、一定の期間にわたって明度がほとんど変化しない場合には、何も記載されていない画像情報と判定して、罹災証明書が裏面を上方に向けて誤挿入された判定する。誤挿入判定部720は、誤挿入されたと判定すると、第二搬送ローラ540のモータ及び報知部8に情報を出力する。
第二証明書搬送機構500では、誤挿入判定部720から情報が入力されると、スキャナ42で読み込んでいる途中であっても、第二搬送ローラ540の回転速度を上げて、罹災証明書を証明書排出口23bに向かって搬送速度を上げて搬送する。同時に報知部8では、利用者に対して挿入した罹災証明書の表面と裏面との向きが誤っている旨の音声をスピーカー33から報知する。そして、証明書排出口23bから罹災証明書を排出し、利用者に対して返却する。
一方、罹災証明書が正しい向きで挿入された場合には、誤挿入判定部720は、第二証明書搬送機構500に情報を出力しないため、第二搬送ローラ540の回転速度は変化せずに、スキャナ42を通過した罹災証明書を情報付与部44に向かって搬送する。
そして、表示部72は、監視盤入力部710から入力された情報に基づいて、ディスプレイにスキャナ42で読み取った罹災証明書の画像情報と、撮影部31で撮影した利用者の顔の映像とを表示する。表示部72に罹災証明書の画像情報及び利用者の顔の映像が表示されると、収受員は表示部72を見て、罹災証明書に記載されている情報や撮影部31で撮影した利用者の顔等の情報等を確認して、罹災証明書が適正か否かを確認する。
収受員は、利用者が使用した罹災証明書が適正であると判断すると、利用者に対して、罹災証明書に基づく料金所の通行料金の割引を適用するよう外部入力部73に入力する。外部入力部73は、収受員によって入力された情報に基づいて、出力部630、料金収受制御部61及び記憶部730に情報を出力する。外部入力部73から情報が入力されると、料金収受制御部61は、料金所の通行料金の割引を行うよう制御処理を行う。また、外部入力部73から情報が入力されると、出力部630は、情報付与部44に対して罹災証明書に検印をするよう情報を出力する。
そのため、罹災証明書は、情報付与部44を通過するときに、出力部630から情報が入力された情報付与部44によって検印される。検印された罹災証明書は、そのまま証明書排出口23bに向かって搬送され、証明書排出口23bから排出されることで、利用者に返却される。
また、記憶部730では、監視盤入力部710から入力される罹災証明書の画像情報及び撮影部31で撮影した利用者の情報と、罹災証明書の画像情報を確認して収受員が料金所の通行料金の割引を実施するための外部入力部73に入力した情報とが関連づけて記憶される。そして、収受員によって、必要なときに記憶部730の情報が表示部72に表示されて確認される。
別の証明書Pとして、身体障害者手帳が挿入された場合、その表面と裏面との向きを間違えて誤挿入されたときには、罹災証明書と同様に、誤挿入判定部720から情報が入力された第二証明書搬送機構500によって利用者に返却される。
また、身体障害者手帳が正しい向きで挿入された場合には、身障者レバー30や収受員呼び出しボタン27が操作されて、呼び出された収受員が身障者割引を適用すると判断することで、外部入力部73を介して出力部630に情報が入力される。情報を受けた出力部630は、情報付与部44に対して検印しないように指示を情報として出力する。そのため、身体障害者手帳は、検印が印刷されることなく、情報付与部44を通過して証明書排出口23bから排出され、利用者に返却される。
上記のような料金収受システム101によれば、制御部600の情報取得部62で証明書Pに関する情報として、スキャナ42でスキャニングした証明書Pの画像情報を取得することで、挿入されている証明書Pの向きが正しいか否かを判定することができる。そのため、利用者によって挿入された証明書Pが誤挿入と認識されるパターンで挿入されたか否かを容易に判定することができる。そして、挿入された証明書Pが誤挿入と認識されるパターンで挿入された場合に、第二証明書搬送機構500における第二搬送ローラ540の回転速度を上げて、証明書排出口23bから証明書Pを排出することで、誤挿入された証明書Pを利用者に対して返却することができる。
加えて、証明書Pを誤挿入されていることを報知部8から利用者に報知することで、利用者に正しく証明書Pを証明書挿入口23aに挿入していないことを気づかせることができる。これにより、料金自動収受機11が誤って使用されることを防止して、利便性を向上させることができる。
また、スキャナ42によってスキャニングされて順次取得される証明書Pの画像情報が、一定の期間に亘って明度が変化しない場合に、何も記載されていない画像情報であることを判断することで、証明書Pが誤挿入されたことを検出することができる。そして、完全に画像情報を取得し終わった後ではなく、順次取得される画像情報を利用して一定の期間で変化しない場合に誤挿入と判定することで、スキャナ42で読み込んでいる途中であっても、証明書Pを証明書排出口23bから誤挿入であると判定して排出し、利用者に対して返却することができる。即ち、証明書Pを完全に読み込み終わる前に、速やかに誤挿入を検知して利用者に返却することができる。これにより、料金自動収受機11を利用する場合のサービスタイムを向上させて、利用者の利便性をより向上させることができる。
さらに、証明書挿入口23aと証明書排出口23bとを別々に備え、第二証明書搬送機構500の第二証明書搬送路510が湾曲してそれぞれに接続されていることで、筐体1の内部の第二証明書搬送路510をコンパクトに形成することができる。例えば、参考例の証明書搬送機構50のように、証明書処理口23として証明書挿入口23aと証明書排出口23bとを一体にすると、証明書Pの画像情報を収受員が確認している間などに筐体1の内部に証明書Pを待機させるためのスペースを設ける必要がある場合がある。
罹災証明書のような証明書Pでは用紙のサイズがA4程度になる場合もあるため、筐体1の内部に証明書Pを待機させるためのスペースはかなり大きくなってしまう。一方、本実施形態の料金自動収受機11のように、証明書挿入口23aと証明書排出口23bとを別々にすることで、筐体1の内部に証明書Pを待機させるためのスペース形成する必要が無くなり、筐体1の奥行を小さくするなど料金自動収受機11をコンパクトに形成することができる。
なお、誤挿入判定部720は、本実施形態のように監視盤700に設けられることに限定されるものではなく、配置される位置は限定されない。例えば、誤挿入判定部720は、料金自動収受機11の制御部600内に設けられていたり、スキャナ42に設けられていたりしてもよい。このような構成とすることで、料金自動収受機11自体で証明書Pの誤挿入を判定でき、監視盤700まで画像情報を送って処理させるよりも画像情報の転送時間を削減できる。したがって、誤挿入判定を速やかに行うことができ、サービスタイムを向上させることができる。
また、誤挿入判定部720で判定する誤挿入と認識するパターンは、本実施形態のように画像情報の明度によって判定するものに限定されるものではなく、証明書Pが誤挿入されていることが判定できるパターンであれば良い。例えば、誤挿入と認識するパターンは、証明書Pの裏面の画像情報を予め記憶しておくようなパターンであってもよい。そして、その画像情報と読み込んだ証明書Pの画像情報とを比較することで、証明書Pの誤挿入を判定してもよい。
さらに、報知部8は、音声で利用者に報知することに限定されるものではなく、利用者に対して誤挿入をしたことを報知できればよい。例えば、報知部8は、赤色灯のような報知ランプやディスプレイに文字を表示するなと視覚的に報知してもよく、警報のような音を発して報知してもよい。
次に、図6を参照して本実施形態の料金収受システム102の変形例について説明する。
変形例においては参考例及び実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。この変形例の料金収受システム102は、スキャナ42でスキャニングした証明書Pを回収する点について参考例及び実施形態と相違する。
変形例の料金収受システム102における料金自動収受機12では、回収が必要な証明書Pが利用者によって使用される。この料金自動収受機12は、証明書Pを回収可能な第三証明書処理ユニット401を備えている。
第三証明書処理ユニット401は、証明書処理口23から挿入された証明書Pを回収する回収箱45と、証明書処理口23から挿入された証明書Pを読み取り位置Xを介して回収箱45まで搬送する第三証明書搬送機構501と、を有する。また、第三証明書処理ユニット401は、参考例と同様に、証明書処理口23に証明書Pが挿入されたことを検知する挿入検知部41と、読み取り位置Xの証明書Pをスキャニングするスキャナ42と、を有している。
回収箱45は、利用者によって挿入された証明書Pを回収するための箱である。回収箱45は、筐体1の内部に配置されている。
第三証明書搬送機構501は、証明書処理口23に挿入された証明書Pを引き込んで、読み取り位置Xを介して回収箱45まで搬送する。第三証明書搬送機構501は、証明書処理口23から筐体1の内部の回収箱45に向かって延びる第三証明書搬送路511と、上記実施形態と同じ第二搬送部520とを有する。
第三証明書搬送路511は、証明書処理口23から筐体1の内部に向かって、断面形状が矩形環状をなして水平に延びている。本変形例の第三証明書搬送路511は、証明書処理口23から挿入された証明書Pを完全に筐体1の内部に収容して処理が可能な長さに形成されている。
次に、変形例の構成の料金収受システム102の作用について説明する。
上記のような変形例の料金収受システム102では、利用者が証明書Pを使用する場合、参考例と同様の手順で証明書Pが証明書処理口23に挿入される。証明書処理口23に証明書Pが挿入されると、挿入検知部41は、証明書Pが挿入されたことを検知する。挿入検知部41から情報取得部62にこの情報が入力されると、出力部63から指示が送られ、第二搬送ローラ540のモータによって、第二搬送ローラ540は、罹災証明書を筐体1の内部に引き込む方向に回転する。そして、証明書Pは、回転している第二搬送ローラ540とガイドローラ53aとによって挟まれることで、第三証明書搬送路511を筐体1の内部に向かって引き込まれるように搬送される。搬送された証明書Pは、スキャナ42が配置されている読み取り位置Xまで搬送されると、押付ローラ53によってスキャナ42の読み取り面に向かって押し付けられた状態で、スキャナ42によって筐体1の内部に向かって搬送されながら、証明書Pの進行方向の先端側から記載された情報が順次スキャニングされる。そして、スキャニングされた証明書Pは、そのままさらに筐体1の内部の回収箱45まで搬送されて回収される。回収された証明書Pは、後日、収受員によって同様の処理をされた複数の他の証明書Pとともに回収される。
上記のような料金収受システム102の料金自動収受機12によれば、証明書Pを回収箱45によって回収することができる。そのため、スキャナ42でスキャニングして証明書Pを利用者に対して返却する必要が無いため、証明書Pを返送るための構成や情報付与部44等が必要なくなり、簡易な構成で第三証明書処理ユニット401を構成することができる。
なお、本変形例において、証明書Pとして身体障害者手帳のように返却が必要な証明書Pが利用される場合には、参考例と同様に、収受員が証明書Pの種類を確認し、確認後に回収の要否を判定する構成としてもよい。例えば、証明書Pを利用者に対して返却可能な構成としては、搬送ローラ54のように逆回転させることで、証明書処理口23から返却すればよい。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
なお、スキャナ42は本実施形態のように読み取り位置Xを通過する証明書Pを順次スキャニングする構成に限定されるものではなく、読み取り位置Xを通過する証明書Pに記載されている情報を取得することができればよい。例えば、スキャナ42は、読み取り位置Xで待機する証明書Pに記載されている情報をカメラのように一括して読み取って取得してもよい。
さらに、情報付与部44は、本実施形態の印書ヘッドのように検印を印刷する構成に限定されるものではなく、証明書Pに対して所定の情報を付与することができればよい。例えば、情報付与部44は、ローラのような構成をしていることで、証明書Pが通過することで回転して判子のようにマーキングをしたり、証明書Pに対して孔をあける針のような構成をしていることで、証明書Pに所定の形状や位置に穴を開けたりしてもよい。
また、証明書搬送機構50、第二証明書搬送機構500、及び第三証明書搬送機構501では、罹災証明書や身体障害者手帳など複数の証明書Pを搬送可能な構造に限定されるものではなく、特定の種類の証明書Pのみを搬送可能な構成としてもよい。特定の種類の証明書Pのみを処理する構成とすることで、証明書搬送機構50をより簡易な構成で形成できる。
さらに、情報取得部62で証明書Pに関する情報は、本実施形態のように身障者レバー30が操作されたことで挿入された証明書Pは身体障害者手帳であるとして処理するものに限定されるものではない。例えば、情報取得部62で証明書Pに関する情報として、収受員や不図示の判定部が、挿入された証明書Pの画像情報に基づいて罹災証明書か身体障害者手帳かを判断して入力する情報であってもよい。
また、上記実施形態のように、表示部72を監視盤70、700に備えている構成に限定されるものではなく、料金自動収受機10、11、12に備えていて、料金自動収受機10、11、12の表示部に表示された証明書Pの内容に基づいて、証明書Pの種類を判別してもよい。さらに、表示部72を有しておらず、料金自動収受機10、11、12において、スキャナ42で取り込んだ証明書Pの画像情報に基づいて、証明書Pを自動認識し、自動で証明書Pの種類を判別できるようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では、監視盤70、700は、料金自動収受機10、11、12が設置された料金所から離れた場所である料金所事務所Aに配置されているものとしたが、これに限定されるものではなく、どのような場所に配置されていてもよい。即ち、監視盤70、700が、料金自動収受機10、11、12に対して近い位置に配置されていてもよい。例えば、監視盤70、700が、料金所の敷地内に設けられた料金所事務所に配置されていたり、料金自動収受機10、11、12に隣接する有人ブースに配置されていたりしてもよい。
また、各実施形態における証明書搬送路51等の形状や長さ等は、実施形態の形状に限定されるものではない。例えば、第二証明書搬送路510は、証明書挿入口23aからスキャナ42が配置されている位置までの長さが、罹災証明書や身体障害者手帳等の証明書Pを完全に筐体1の内部に収容可能な長さ以上水平方向の延びた後に、湾曲するように形成されていてもよい。このような形状とすることで、挿入された証明書Pがスキャナ42で読み取っている間に、利用者によって引き出されることを抑制できる。