以下に、図1ないし図5を用いて本実施例の発券システムについて説明する。
本実施例の発券システムは、図1に示すように、鉄道の駅舎等に設置された無人の発券装置1と、鉄道会社のセンタに設置された係員端末3とを、専用回線や電話回線等の通信ネットワーク4を介して接続して構成される。
発券装置1は、駅舎の改札口の近傍等の無人の環境下に設置され、図2に示すように、装置本体5の正面側に伸張するカウンタ6が設けられ、カウンタ6の上面左側には、引換証や、媒体としての旅券等を載置する載置台8が設けられており、図1、図2に示す構成を備えている。
発券装置1の制御部11は、通信部12によって通信ネットワーク4を介して係員端末3と接続しており、発券装置1内の各部を制御して、普通乗車券や特急券、フリーパス等からなる複数の乗車券種別の乗車券の発行処理等を実行すると共に、係員端末3との間の音声による相互通信等も制御する。
本実施例では、フリーパスは、主に観光目的で来日する外国人向けに日本国の全域で利用可能な格安の、券としての広域フリーパス(区別を要しない場合は、単にフリーパスという。)であるとして説明する。
記憶部13は、制御部11が実行するプログラムやそれに用いる各種のデータおよび制御部11による処理結果等が格納される。
操作表示部14は、LCD等の表示画面とその画面上に配置された、入力手段としてのタッチパネル等を備えており、表示画面に、メニュー画面や、各種の選択画面等を表示すると共に、タッチパネルにより利用者による選択入力等を受付ける。
カード処理部15は、カード挿入排出口15aから挿入された利用者のクレジットカード等の取引カードの磁気ストライプやICチップ等に記録されているカード番号等の利用者情報を読取ると共に、取引終了時に、取引内容等を印刷したレシートを取引カードと共にカード挿入排出口15aから排出して利用者に返却する。
紙幣処理部16は、利用者が紙幣挿入口16aから挿入した紙幣を受入れ、これを鑑別および計数して収納庫に収納し、釣銭に相当する紙幣を収納庫から繰出して計数し、これを紙幣排出口16bからまとめて排出して利用者に引渡す。
硬貨処理部17は、利用者が硬貨投入口17aから投入した硬貨を受入れ、これを鑑別および計数して収納庫に収納し、釣銭等に相当する硬貨を収納庫から繰出して計数し、これを硬貨排出口17bに集積して利用者に引渡す。
近接検知部18は、装置本体5の前面パネルに設けられた近接センサ18aを備えており、発券装置1の前面側に設定された所定の近接検知範囲に進入した利用者を検知して制御部11へ利用者検知信号を出力すると共に、所定の近接検知範囲の外側に退去した利用者を検知して制御部11へ利用者退去信号を出力する。
画像取得部21は、載置台8の上面に視野を向けて設置された、パン・チルト・ズーム機構を備えた書画カメラ21aを備えており、載置台8上に載置された旅券や引換証等の画像を撮影して制御部11へ出力する。
本実施例の載置台8の上面には、矩形の引換証の左上隅を合わせて引換証を載置するための鉤括弧状の隅マーク8aおよび見開きにした旅券の左上隅を合わせて旅券を載置するための隅マーク8bが予め設定されている(図2参照)。
情報読取部22は、制御部22からの指示により、画像取得部21で取得した旅券の画像から文字認識機能により、本人確認情報としての、旅券番号、氏名、国籍等からなる旅券情報を読取って制御部11へ出力する。
回収部23は、投入口23aから投入された、割引券や引換証等を回収箱に搬送して収納する。
券発行部としての発券部24は、プリンタ等の印刷機構を備えており、通常の乗車券や特急券、定期券、回数券を発行口24aから発行すると共に、係員端末3から送信される発券指示に基づいて、本実施例のフリーパスを発行口24aから発行する。
利用者撮影部25は、利用者の操作動作や表情等を撮影するカメラ25a等を備えており、発券装置1の前面側にカメラ25aの視野を向けて設置され、発券装置1を操作中の利用者の、主に上半身の動画からなる利用者画像を撮影する。
音声部26は、音声を伝達するスピーカ26aと音声を集音するマイク26a等を備えており、係員端末3から送信される係員の音声をスピーカ26aで再生して利用者に伝達する共に、マイク26bで集音した利用者の音声信号を制御部11へ出力する。
本実施例の回収部23の投入口23a、カード処理部15のカード挿入排出口15a、発券部24の発行口24a、載置台8は、図2に2点鎖線で示す画像取得部21の書画カメラ21aの視野方向に沿って略1列の並べて配置されている。
係員端末3は、サーバ装置やパーソナルコンピュータ等により構成され、図1に示す構成を備えている。
端末制御部31は、通信部32によって、通信ネットワーク4を介して発券装置1と接続しており、係員端末3内の各部を制御して係員による利用者支援処理等を実行すると共に、発券装置1との間の音声による相互通信等も制御する。
端末記憶部33は、端末制御部31が実行するプログラムやそれに用いる各種データ、申込書や各届出書の入力画面等が格納される。
端末表示部34は、LCD等の表示画面等を備えており、その表示画面は、図3に示すように、利用者表示エリア34aと載置台表示エリア34bに分割され、利用者表示エリア34aには、発券装置1から送信される利用者撮影部25で撮影された利用者画像が表示され、載置台表示エリア34bには、画像取得部21で撮影された引換証や旅券の画像等が表示される。
入力部35は、係員が、発券指示等を行うときに用いる文字キーやテンキー、マウス等を備えており、係員による指示入力等を受付ける。
操作部36は、発券装置1の書画カメラ21aのパン・チルト機構を微調整するためのカーソルキー、ズーム機構を微調整するための操作ダイヤル、発券装置1との回線の接続するための「接続」キーや遮断するために「遮断」キー等の操作キーを備えている。
音声部37は、音声を伝達するスピーカと、音声を集音するマイクとを一体にしたヘッドフォン型のヘッドセットで構成され、発券装置1から送信される利用者の音声をスピーカで再生して係員に伝達する共に、マイクで集音した係員の音声信号を端末制御部31へ出力する。
報知部38は、電子音等を発するスピーカ等を有する警報器等を備えており、発券装置1からの接続要求を受信したときに警報を発して接続要求の着信を報知する。
本実施例の端末記憶部33には、発券装置1の画像取得部21の書画カメラ21aのプリセット情報が予め設定されて格納されている。
本実施例のプリセット情報は、下記の3つが設定されている。
プリセットA:載置台8の上面全体および回収部23の投入口23aを同時に視野に入れて焦点を合わせた広角画像を撮影するパン・チルト・ズーム機構の位置情報。
プリセットB:載置台8の上面全体画像に焦点を合わせて撮影するパン・チルト・ズーム機構の位置情報。
プリセットC:載置台8の旅券の旅券情報の記載ページの拡大画像に焦点を合わせて撮影するパン・チルト・ズーム機構の位置情報。
また、本実施例の記憶部13には、画像取得部21の書画カメラ21aの初期セットを行うためのプリセット情報として前記プリセットAが予め格納されている。
以下に、図3に示す流れ図を用いて、本実施例の発券システムの発券装置1と係員端末3との連携によるフリーパス発行処理について説明する。なお、ステップ名は発券装置1の場合をSで、係員端末3の場合をSAで表す。
以下の説明では、利用者が外国人の観光客であって、広域フリーパスの引換証を外国で購入して来日し、本実施例の発券装置1を用いて広域フリーパスを入手する場合を例に説明する。
鉄道会社の駅員等が、始業時等に発券装置1へ電源を投入すると、発券装置1の記憶部13に格納されているプログラムが自動的に起動され、画像取得部21の書画カメラ21aは、記憶部13に格納されている初期セット状態、つまりプリセットAで設定される、載置台8の上面全体および回収部23の投入口23aを同時に視野に入れる広角画像を撮影する状態にセットされ、操作表示部14の表示画面には、図5に示すメニュー画面が表示される。
メニュー画面には、乗車券種別選択ボタンの押下を促す旨の文言と、通常の乗車券を購入するための「普通乗車券購入」ボタン、通常の特急券を購入するための「特急券購入」ボタン、通常の定期券を購入するための「定期券購入」ボタン、通常の回数券を購入するための「回数券購入」ボタン、本実施例の広域フリーパスを購入するための「フリーパス購入」ボタン等の乗車券種別選択ボタン、および利用者が操作等に迷ったときに係員端末3の係員による支援を要求するための「係員呼出」ボタン等が表示される。
S1:発券装置1の制御部11は、メニュー画面を表示しながら、近接検知部18の近接センサ18aが発券装置1に近接した利用者を検知するのを待つ利用者待ち状態での待機を継続し、近接検知部18から利用者検知信号が出力されたときにステップS2へ移行する。
S2:利用者検知信号により利用者の近接を検出した制御部11は、利用者が乗車券種別選択ボタンを押下するのを待って待機し、乗車券種別選択ボタンが押下されたときにステップS3へ移行する。乗車券種別選択ボタンが押下されない場合は前記の待機を継続する。
本実施例では、外国人である利用者は、「フリーパス購入」ボタンを押下する。
S3:「フリーパス購入」ボタンの押下により、引換証を用いたフリーパスの発券処理の実行を認識した制御部11は、フリーパス購入の旨の要求事由を付した接続要求を、通信ネットワーク4を介して係員端末3(ステップSA1)へ送信してステップS4へ移行する。
SA1:係員端末3の端末制御部31は、発券装置1からの接続要求の受信を待つ接続要求受信待ち状態での待機を継続しており、接続要求を受信したときに、報知部38により警報音を発して発券装置1からの接続要求が着信したことを係員に報知し、端末表示部33の載置台表示エリア34bに、接続要求に付された要求事由(本ステップでは、フリーパス購入)を文言として表示する。
発券装置1からの接続要求の着信を認識した係員は、操作部36の「接続」キーを押下し、これを認識した端末制御部31は、接続要求の送信元の発券装置1との間の通信ネットワーク4上の回線を成立させ、発券装置1との通信ネットワーク4を介した音声交信を開始する。
すなわち、端末制御部31は、音声部37のマイクで集音した係員の音声の発券装置1への送信を開始すると共に、接続後に発券装置1のから送信される音声部26のマイクで集音された利用者の音声のヘッドセットのスピーカによる再生、発券装置1のから送信される利用者画像の端末表示部34の利用者表示エリア34aへの表示および画像取得部21の書画カメラ21aで撮影された載置台画像の載置台表示エリア34bへの表示を開始してステップSA2へ移行する。この利用者画像および載置台画像の表示は、発券装置1との回線を遮断するまで継続される(後述するステップSA8参照)。
また、接続要求の送信後に、接続先である係員端末3との接続状態の監視を継続していた発券装置1の制御部11は、係員端末3との接続を確認したときに、係員と利用者との通信ネットワーク4を介した音声交信を開始する。
すなわち、制御部11は、音声部26のマイクで集音した利用者の音声、画像取得部21の書画カメラ21aで撮影した載置台画像および利用者撮影部25で撮影した利用者画像の係員端末3への送信を開始すると共に、接続後に係員端末3から送信される音声部37のマイクで集音された係員の音声の、音声部26のスピーカ26aによる再生を開始する。このときの載置台画像は、予め初期セットされたプリセットAによる広角画像が送信される。
これにより、利用者は係員との対話が可能になり、操作方法等について口頭で質問すれば、係員による操作支援を受けることができる。
また、係員は、端末表示部34に表示された利用者画像を確認しながら、利用者による旅券や引換証の確認のための操作を的確に指示することができる。
SA2、S4:発券装置1との音声交信を開始した端末制御部31および係員端末3との音声交信を開始した制御部11は、それぞれ音声交信を継続しながら、ステップSA2およびステップS4による広域フリーパスの発行条件確認連携処理を実行する。
すなわち、係員は、入力部35のキーボード等によってプリセットBの送信指示を入力し、これを受付けた端末制御部31は、端末記憶部33に格納されているプリセットBのプリセット情報、つまり載置台8の上面全体画像を撮影するためのプリセット情報を読出し、これを付したカメラ視野変更指示を送信元の発券装置1へ送信する。
カメラ視野変更指示を受信した発券装置1の制御部11は、受信したカメラ視野変更指示のプリセット情報を基に、画像取得部21の書画カメラ21aの視野を切換え、書画カメラ21aで撮影した載置台8の上面全体画像を係員端末3へ送信する。
載置台8の上面全体画像を受信した端末制御部31は、受信した上面全体画像を、端末表示部34の載置台表示エリア34bに表示する。
これを視認した係員は、載置台8の上側の隅マーク8aに引換証の左上隅を合わせた載置、および旅券の、顔写真、旅券番号、氏名、国籍が記載されているページを見開きのまま、その左上隅を下側の隅マーク8bに合わせた載置を依頼する旨を音声により利用者に伝え、外国人である利用者は、持参した引換証と該当ページを開いた旅券を載置台8のそれぞれの所定の位置に載置する。
引換証と旅券の載置を載置台表示エリア34bに映し出される画像により確認した係員は、引換証に記載された旅券情報(旅券番号、氏名、国籍)と、旅券に記載された旅券情報とが同一であることを確認すると共に、旅券の顔写真と利用者表示エリアに映し出されている利用者とが同一人物であることを確認する。
このとき、係員は、引換証に記載されている、フリーパスの有効期間、大人、子供の別、乗車車両の等級等の乗車券情報と引換証の交付日を読取り、当日が引換証の交付日から所定の期間以内であることを確認する。
引換証と旅券との旅券情報の一致、旅券と利用者との同一性の確認を終えた係員は、載置台8上の旅券の、日本国への入国情報としての入国スタンプが押印されたページを開くことを依頼する旨を音声により利用者に伝え、利用者は、引換証を載置台8上に載置したまま、載置台8上の旅券の該当ページを開く。
係員は、載置台表示エリア34bに映し出される旅券の入国スタンプ押印ページの画像により、来日目的が観光目的であることを確認する。
利用者の来日目的が観光目的であることを確認して、広域フリーパスの発行条件の確認を終えた係員は、入力部35によってプリセットCの送信指示を入力し、これを受付けた端末制御部31は、端末記憶部33に格納されているプリセットCのプリセット情報、つまり載置台8上の旅券の旅券情報の記載ページの拡大画像を撮影するためのプリセット情報を読出してステップSA3へ移行する。
SA3:プリセットCのプリセット情報を読出した端末制御部31は、これを付したカメラ視野変更指示を送信元の発券装置1(ステップS5)へ送信する。
S5:カメラ視野変更指示を受信した制御部11は、受信したカメラ視野変更指示のプリセット情報を基に、画像取得部21の書画カメラ21aの視野を切換え、書画カメラ21aで撮影した旅券情報の記載ページの拡大画像を係員端末3へ送信する。
旅券情報の記載ページの拡大画像を受信した端末制御部31は、受信した拡大画像を、端末表示部34の載置台表示エリア34bに表示する。
これと同時に、係員は、旅券の旅券情報の記載ページを再び開くことを依頼する旨を音声により利用者に伝え、利用者は、引換証を載置台8上に載置したまま、載置台8上の旅券の該当ページを開く。
載置台表示エリア34bに表示された旅券情報の記載ページの拡大画像を確認した係員は、旅券情報の記載ページの位置がズレていた場合や、文字が不明瞭な場合は、操作部36のカーソルや操作ダイヤル等によって撮影位置や画像倍率、焦点等を微調整して、旅券情報が明確に撮影できるようにし、入力部35によって旅券情報の読取指示を入力する。
これを受付けた端末制御部31は、ステップSA4によって、発券装置1(ステップS6)へ旅券情報読取指示を送信する。
S6:旅券情報読取指示を受信した制御部11は、旅券情報読取指示を受信したときに、画像取得部21の書画カメラ21aによって、書画カメラ21aの視野に入っている旅券情報の記載ページの拡大画像の静止画像を撮影し、この静止画像を、情報読取部22の文字認識機能によって文字に変換してステップS7へ移行する。
S7:旅券情報を文字に変換した制御部11は、変換した認識文字からなる文字認識結果を係員端末3(ステップSA5)へ送信する。
SA7:旅券情報の文字認識結果を受信した端末制御部31は、載置台表示エリア34bの下部に受信した文字認識結果を表示し、係員は載置台表示エリア34bに表示されている旅券情報の記載ページの拡大画像から読取った旅券情報と、表示された文字認識結果の一致を確認し、入力部35によって旅券情報の格納指示を入力する。
これを受付けた端末制御部31は、ステップSA5によって、発券装置1(ステップS8)へ旅券情報格納指示を送信する。
S8:旅券情報格納指示を受信した制御部11は、旅券情報の文字認識結果を記憶部13に格納する。
一方、旅券情報の格納指示の入力を終えた係員は、入力部35によってプリセットAの送信指示を入力し、これを受付けた端末制御部31は、端末記憶部33に格納されているプリセットAのプリセット情報、つまり載置台8の上面全体および回収部23の投入口23aを同時に視野に入れた広角画像を撮影するためのプリセット情報を読出し、ステップSA6によって、プリセットAのプリセット情報を付したカメラ視野変更指示を発券装置1(ステップS9)へ送信する。
S9:カメラ視野変更指示を受信した制御部11は、受信したカメラ視野変更指示のプリセット情報を基に、画像取得部21の書画カメラ21aの視野を切換え、書画カメラ21aで撮影した載置台8の上面全体と投入口23aを撮影した広角画像を係員端末3へ送信する。
載置台8の上面全体と投入口23aを撮影した広角画像を受信した端末制御部31は、受信した広角画像を、端末表示部34の載置台表示エリア34bに表示する。
これと同時に、係員は、回収部23の投入口23aへの引換証の投入を依頼する旨を音声により利用者に伝え、利用者は、載置台8上に載置したままになっていた引換証を投入口23aへ投入する。
これを検知した制御部11は、投入された引換証を回収部23の回収箱に搬送して収納する。
引換証の投入口23aへの投入を載置台表示エリア34bの画像により確認した係員は、入力部35によって広域フリーパスの発券指示を入力する。
すなわち、係員は、入力部35によって、上記ステップSA2で引換証から読取った有効期間、大人、子供の別、乗車車両の等級等の広域フリーパスの乗車券情報を入力した後に、フリーパスの発券指示を入力する。
これを受付けた端末制御部31は、ステップSA7によって、入力された乗車券情報を付した発券指示を発券装置1(ステップS10)へ送信してステップSA8へ移行する。
S10:発券指示を受信した制御部11は、その時計機能によって現在日を認識すると共に記憶部13に格納した認識文字からなる旅券情報を読出し、これに受信したフリーパスの乗車券情報を加えて発券部24へ送り、発券部24によって、おもて面に旅券情報、乗車券情報および現在日を発行日として印刷して記録したフリーパスを発行口24aから排出し、利用者がフリーパスを引抜いたことを検知したときにステップS11へ移行する。
なお、本ステップで発行されるフリーパスは、裏面が無地になっている乗車券である。
SA8:一方、載置台表示エリア34bに表示されている、載置台8の上面全体と投入口23aを撮影した広角画像により、利用者によるフリーパスの受取りを確認した係員は、操作部36の「遮断」キーを押下する。
「遮断」キーの押下を認識した端末制御部31は、発券装置1との通信ネットワーク4を介した接続を遮断して音声交信状態を解除し、今回の処理を終了させてステップSA1へ戻り、発券装置1からの接続要求の受信待ち状態での待機を継続する。
S11:制御部11は、利用者によるフリーパスの引抜きを検知した後に、係員端末3との接続状態の監視を継続しており、係員端末3との接続が遮断されたときに、発券システムによるフリーパス発行処理の終了を判定し、近接検知部18から利用者退去信号が出力されたときに、今回の処理を終了させ、ステップS1へ戻って近接検知部18が利用者を検知するのを待つ利用者待ち状態での待機を継続する。
このようにして、本実施例の発券システムの発券装置1と係員端末3との連携によるフリーパス発行処理が実行される。
発券装置1で発行された広域フリーパスを受取った外国人である利用者は、改札窓口でフリーパスを駅係員に提示することで鉄道の利用が可能になる。
このとき、外国人は、本人確認のために、改札窓口で駅係員に旅券の提示を求められる場合があるが、本実施例の広域フリーパスには旅券情報が印刷されているので、駅係員が旅券の旅券情報とフリーパスに印刷されている旅券情報との一致を確認し、旅券に貼付された顔写真により本人であることを確認した後にフリーパスによる鉄道の利用が可能になる。
以上説明したように、本実施例では、無人の環境下に設置された発券装置1から旅券情報を印刷した広域フリーパスを発行するようにしたので、利用者は、無人の発券装置1で広域フリーパスの発行を受けることができる他、有人の引換所での発行手続きが不要になり、引換所における混雑を緩和することができる。
また、本実施例では、載置台8に載置された引換証を、端末表示部33の載置台表示エリア34bに表示したままにしておくので、係員が引換証を監視することができ、引換証のすり替えによる重複使用等の不正行為を、未然に防止することができる。
なお、本実施例では、ステップSA4からSA6までの間は、載置台表示エリア34bの画像が、旅券情報の記載ページの拡大画像に切替えられるが、その後の発券装置1のステップS9において、載置台表示エリア34bの表示が、載置台8の上面全体と投入口23aを撮影した広角画像に切替えられるので、例えば、引換証が載置されていない場合、係員は、引換証の載置を促すことが可能になり、引換証による不正行為を未然に防止することができる。
以下に、図6ないし図9を用いて本実施例の発券システムについて説明する。なお上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例では、フリーパスは、主に観光目的で来日する外国人向けに日本国の観光地等の特定の地域の乗り物や、特定の鉄道会社の路線で利用可能な格安の、券としての地域フリーパス(区別を要しない場合は、単にフリーパスという。)であるとして説明する。
本実施例のカード処理部15は、上記実施例1と同様の構成に加えて、PET(Poly−Ethylene Terephthalate)カード処理部41が内蔵されている。
本実施例のPETカードは、クレジットカード大の薄型のカードであって、裏面の全面に磁気コーティングが施されている。
券発行部としてのPETカード処理部41は、図6に示すように、ホッパ部42、印刷部43、磁気データ書込部44、搬送路45等で構成される。
ホッパ部42は、おもて面が無地の複数のPETカードを収容する収容部であって、収容されたPETカードを1枚毎に繰出す繰出機構が設けられている。
印刷部43は、インクジェット式等のカラープリンタを備えており、PETカードのおもて面にカードデザイン等を印刷する。
磁気データ書込部44は、磁気ヘッド等を備えており、制御部11から送出された乗車券情報等の所定の情報をPETカードの裏面の磁気コーティングに書込む。
搬送路45は、ローラ対および/もしくはベルト対またはこれらの組合せにより、PETカードを搬送する搬送手段であって、上記各部の間を接続してPETカードを搬送すると共に、印刷部43での印刷および磁気データ書込部44での磁気データの書込みを終えたPETカードを、カード取扱部15のカード挿入排出口15aへ搬送する。
本実施例の端末表示部34は、上記実施例1同様に構成され、その表示画面は、上記実施例1同様に2つに分割され、利用者表示エリア34aには、発券装置1から送信される利用者撮影部25で撮影された利用者画像が表示される他、図7に破線で示すように、利用者の、本人確認情報としての顔写真を撮影するときに、その顔画像を切取る写真切取り領域46が表示され、載置台表示エリア34bには、画像取得部21で撮影された旅券の画像等が表示される。
本実施例の発券装置1の記憶部13には、上記実施例1と同様に、画像取得部21の書画カメラ21aの初期セットを行うためのプリセット情報として、上記プリセットAが予め格納されている。
また、記憶部13には、複数のフリーパス種別毎に、当該フリーパスの大人、子供の別の購入代金や、有効期間、カードデザインの印刷データ等が予め設定されて格納されている。
本実施例の係員端末3の端末記憶部33には、上記実施例1と同様のプリセットA、B、Cからなる3つのプリセット情報が予め格納されている。
また、端末記憶部33には、利用者の顔写真を撮影するときに、利用者表示エリア34aに表示する、旅券の顔写真と同じ縦横比に設定された写真切取り領域46の座標領域と、発券装置1の操作表示部14の表示画面に表示する、写真切取り領域46と同様の図示しない写真切取り枠の座標領域が予め設定されて格納されている。
以下に、図8に示す流れ図を用いて、本実施例の発券システムの発券装置1と係員端末3との連携によるフリーパス発行処理について説明する。なお、ステップ名は発券装置1の場合をSBで、係員端末3の場合をSCで表す。
以下の説明では、利用者が外国人であって、本実施例の発券装置1を用いて地域フリーパスを購入する場合を例に説明する。
本実施例ステップSB1、SB2の処理動作は、上記実施例1のステップS1、S2の処理動作と同様であるので、その説明を省略する。
SB3:「フリーパス購入」ボタンの押下により、地域フリーパスの発券処理の実行を認識した制御部11は、操作表示部14の表示画面にフリーパス種別選択画面を表示する。
フリーパス種別選択画面には、図9に示すように、フリーパス種別選択ボタンの押下を促す旨の文言と、各社の地域フリーパスを選択するための複数のフリーパス種別選択ボタン、購入するフリーパスの大人、子供の別を指定するための「大人」ボタンと「子供」ボタン、および利用者が操作等に迷ったときに係員端末3の係員による支援を要求するための「係員呼出」ボタン等が表示される。
外国人である利用者は、いずれか一つフリーパス種別選択ボタンを押下し、「大人」ボタン、「子供」ボタンのいずれかを押下する。
SB4:フリーパス種別選択ボタン等の押下により、選択された地域フリーパスの種別を認識した制御部11は、選択された地域フリーパス購入の旨の要求事由を付した接続要求を、通信ネットワーク4を介して係員端末3(ステップSC1)へ送信すると共に、選択されたフリーパス種別および大人、子供の別を記憶部13に格納してステップSB5へ移行する。
その後のステップSC1の処理動作は、上記実施例1のステップSA1の処理動作と同様であるので、その説明を省略する。
SC2、SB5:発券装置1との音声交信を開始した端末制御部31および係員端末3との音声交信を開始した制御部11は、それぞれ音声交信を継続しながら、ステップSC3およびステップSB5による地域フリーパスの発行条件確認連携処理を実行する。
すなわち、係員は、上記実施例1のステップSA2、S4と同様にして、プリセットBのプリセット情報を付したカメラ視野変更指示を送信元の発券装置1へ送信する。
カメラ視野変更指示を受信した発券装置1の制御部11は、上記実施例1のステップSA2、S4と同様にして、書画カメラ21aで撮影した載置台8の上面全体画像を係員端末3へ送信する。
載置台8の上面全体画像を受信した端末制御部31は、受信した上面全体画像を、端末表示部34の載置台表示エリア34bに表示する。
これを視認した係員は、旅券の、顔写真、旅券番号、氏名、国籍が記載されているページを見開きのまま、その左上隅を載置台8の下側の隅マーク8bに合わせた載置を依頼する旨を音声により利用者に伝え、外国人である利用者は、持参した旅券の該当ページを開いて載置台8の所定の位置に載置する。
旅券の載置を載置台表示エリア34bに映し出される画像により確認した係員は、旅券の顔写真と利用者表示エリアに映し出されている利用者とが同一人物であることを確認する。
旅券と利用者の同一性を確認して、地域フリーパスの発行条件の確認を終えた係員は、上記実施例1のステップSA2、S4と同様にして、プリセットCの送信指示を入力し、これを受付けた端末制御部31は、端末記憶部33に格納されているプリセットCのプリセット情報、つまり載置台8上の旅券の旅券情報の記載ページの拡大画像を撮影するためのプリセット情報を読出してステップSC3へ移行する。
その後のステップSC3〜SC5、SB6〜SB8の処理動作は、上記実施例1のステップSA3〜SA5、S5〜S7の処理動作と同様であるので、その説明を省略する。
SB9:旅券情報格納指示を受信した制御部11は、旅券情報の文字認識結果を記憶部13に格納して、画像取得部21の書画カメラ21aを初期セット状態に戻す。
一方、旅券情報の格納指示の入力を終えた係員は、入力部35によって写真切取り枠の表示指示を入力し、これを受付けた端末制御部31は、端末記憶部33に格納されている、利用者表示エリア34aに表示する写真切取り領域46の座標領域と、発券装置1の操作表示部14の表示画面に表示する写真切取り枠の座標領域とを読出す。
そして、端末制御部31は、読出した写真切取り領域46の座標領域を基に、利用者表示エリア34aに写真切取り領域46を表示すると共に、読出した写真切取り枠の座標領域を付した写真切取り枠表示指示を発券装置1(ステップSB10)へ送信する。
SB10:写真切取り枠表示指示を受信した制御部11は、操作表示部14の表示を、利用者撮影部25のカメラ25aで撮影した利用者画像の動画に切替え、その表示画面に受信した写真切取り枠表示指示の座標領域を基に写真切取り枠を表示する。
これと同時に、係員は、利用者の顔写真を撮影するため、操作表示部14に表示された写真切取り枠の中央に顔が大きく映るようにカメラ25aの前へ移動することを依頼する旨を音声により利用者に伝え、利用者は、操作表示部14に表示されている映像を見ながら自己の顔が写真切取り枠の中央に位置するようにカメラ25aの前へ移動する。
この様子を端末表示部34の利用者表示エリア34aに表示されている写真切取り領域34aの利用者画像により確認していた係員は、写真切取り領域34aの顔画像が所定の大きさになったときに、入力部35によって顔写真の撮影指示を入力する。
これを受付けた端末制御部31は、ステップSC7によって、発券装置1(ステップSB11)へ顔写真撮影指示を送信する。
SB11:顔写真撮影指示を受信した制御部11は、顔写真撮影指示を受信したときに、操作表示部14に表示していた利用者画像の静止画像を利用者撮影部25のカメラ25aで撮影し、その静止画像から写真切取り枠に相当する領域の顔画像を切取り、この顔画像を記憶部13に格納する。
一方、顔写真の撮影指示の入力を終えた係員は、入力部35によって利用者が選択した地域フリーパスの購入代金の支払指示を入力し、これを受付けたこれを受付けた端末制御部31は、ステップSC8によって、購入代金支払指示を発券装置1(ステップSB12)へ送信する。
SB12:購入代金支払指示を受信した制御部11は、記憶部13に格納されている、フリーパス種別および大人、子供の別を読出し、これらを基に記憶部13から読出した利用者が選択した地域フリーパスの購入代金の購入代金入金処理を実行する。
すなわち、制御部11は、操作表示部14の表示画面を、読出した購入代金、クレジットカード等の取引カードによる支払いを選択するための「カード」ボタン、現金による支払いを選択するための「現金」ボタン等を表示した支払方法選択画面に切替え、利用者は、現金による支払を選択して「現金」ボタンを押下する。
利用者が現金による支払を選択したことを認識した制御部11は、操作表示部14の表示画面に、紙幣挿入口16aへの紙幣の挿入、硬貨投入口17aへの硬貨の投入を促す旨の文言、購入代金、入金合計額の表示欄等を表示した現金投入依頼画面を表示し、利用者は、紙幣挿入口16aへの紙幣の挿入および/もしくは硬貨投入口17aへの硬貨の投入を行う。
制御部11は、紙幣および/もしくは硬貨が入金される度に、その合計金額を算出して入金合計額の表示欄に表示し、合計金額が購入代金以上になったときに、紙幣挿入口16aおよび硬貨投入口17aを閉鎖し、入金された紙幣および/もしくは硬貨を、紙幣処理部16および/もしくは硬貨処理部17のそれぞれの収納庫に収納する。
このとき、釣銭が必要な場合は、紙幣処理部16および/もしくは硬貨処理部17から釣銭に相当する紙幣および/もしくは硬貨を繰出して紙幣排出口16bおよび/もしくは硬貨排出口17bから排出して利用者に引渡す。
そして、制御部11は、入金された合計額が購入代金と一致したとき、または釣銭として排出した紙幣および/もしくは硬貨の利用者による受取りを検知したときに、購入代金を領収した旨の購入代金領収通知を係員端末3(ステップSC9)へ送信する。
なお、本ステップで利用者が、取引カードによる支払を選択した場合は、これを認識した制御部11は、操作表示部14の表示画面に、カード処理部15のカード挿入排出口15aへの取引カードの挿入を促す旨の文言を表示したカード挿入依頼画面を表示し、利用者が取引カードをカード挿入排出口15aに挿入すると、挿入されたカードからカード番号等の利用者情報を読取り、読取った利用者情報および購入代金等を付したカード払いの取引電文を図示しないホストコンピュータへ送信し、ホストコンピュータからのカード取引成立の旨の応答を受信したときに、カード挿入排出口15aから挿入された取引カードを排出し、利用者による取引カードの受取りを検知したときに、購入代金領収通知を係員端末3へ送信する。
SC9:購入代金領収通知を受信した端末制御部31は、載置台表示エリア34bの下部に受信した購入代金領収通知を受信した旨の文言を表示し、これを確認した係員は、入力部35によって地域フリーパスの発券指示を入力し、これを受付けた端末制御部31は、地域フリーパスの発券指示を発券装置1(ステップSB14)へ送信してステップSC10へ移行する。
SB14:発券指示を受信した制御部11は、その時計機能によって現在日を認識し、記憶部13に格納した認識文字からなる旅券情報と利用者の顔画像を読出すと共に、選択されたフリーパス種別、大人、子供の別を読出し、これらを基に記憶部13から読出した利用者が選択した地域フリーパスの購入代金、有効期間、カードデザインの印刷データを読出す。
そして、読出したフリーパス種別、大人、子供の別、購入代金、有効期間からなる地域フリーパスの乗車券情報、および旅券情報、カードデザインと顔画像の印刷データをカード処理部15のPETカード処理部41へ送り、PETカード処理部41によってPETカードからなるフリーパスを発行する。
すなわち、制御部11は、ホッパ部に収納されている無地のPETカードを1枚繰出して搬送路45により印刷部43へ搬送し、印刷部43で、おもて面に旅券情報、顔画像、カードデザイン、乗車券情報および現在日を発行日として印刷して記録した後に、顔写真を印刷したフリーパスを磁気データ書込部44へ搬送して、裏面の磁気コーティングに、旅券情報、乗車券情報を書込み、これを搬送路45によりカード挿入排出口15aへ搬送して排出し、利用者がフリーパスを引抜いたことを検知したときにステップSB15へ移行する。
SA8:一方、載置台表示エリア34bに表示されている、載置台8の上面全体と投入口23aを撮影した広角画像により、利用者によるフリーパスの受取りを確認した係員は、操作部36の「遮断」キーを押下する。
「遮断」キーの押下を認識した端末制御部31は、発券装置1との通信ネットワーク4を介した接続を遮断して音声交信状態を解除し、今回の処理を終了させてステップSC1へ戻り、発券装置1からの接続要求の受信待ち状態での待機を継続する。
SB15:制御部11は、利用者によるフリーパスの引抜きを検知した後に、係員端末3との接続状態の監視を継続しており、係員端末3との接続が遮断されたときに、発券システムによるフリーパス発行処理の終了を判定し、近接検知部18から利用者退去信号が出力されたときに、今回の処理を終了させ、ステップSB1へ戻って近接検知部18が利用者を検知するのを待つ利用者待ち状態での待機を継続する。
このようにして、本実施例の発券システムの発券装置1と係員端末3との連携によるフリーパス発行処理が実行される。
発券装置1で発行された地域フリーパスを受取った外国人である利用者は、自動改札に発行された地域フリーパス通過させることで鉄道の利用が可能になる。
このとき、外国人は、本人確認のために、改札窓口の駅係員から旅券の提示を求められる場合があるが、本実施例の地域フリーパスには旅券情報と顔写真が印刷されているので、駅係員が旅券の旅券情報とフリーパスに印刷されている旅券情報との一致を確認し、フリーパスに印刷された顔写真により本人であることを確認した後にフリーパスによる鉄道の利用が可能になる。
以上説明したように、本実施例では、無人の環境下に設置された発券装置1から旅券情報および利用者の顔画像を印刷したPETカードからなる地域フリーパスを発行するようにしたので、利用者は、有人の乗車券購入窓口に行かなくても地域フリーパスを購入することができる。
また、無地のPETカードに印刷を行うPETカード処理部41を設けたので、1つのホッパ部42によって、複数の地域フリーパスを取扱うことが可能になり、発券装置1の小型化を図ることができる。
更に、フリーパスに顔写真を印刷するようにしたので、外国人向けに格安で販売されるフリーパスの不正利用を未然に防止することができる。
なお、本実施例では、PETカード処理部41をカード処理部15に内蔵するとして説明したが、発券部24に内蔵するようにしてもよく、カード処理部15および発券部24から独立させて、発券装置1に単独で搭載するようにしてもよい。
また、本実施例では、地域フリーパスに利用者の顔写真を印刷するとして説明したが、上記実施例1の広域フリーパスに利用者の顔写真を印刷するようにしてもよい。
上記各実施例においては、係員端末3の係員による音声交信にヘッドセットを用いるとして説明したが、受話器型のハンドセットを用いるようにしてもよい。