JP3807823B2 - 耐熱性フィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録媒体のベースフィルム用に有用な耐熱性フィルムに関するものであり、さらに詳しくは、フィルムとしてその表面が特別な形状を備えていて、かつ独特の厚みバラツキパターンを形成しているが故に磁気記録媒体用ベースフィルムとして用いた時に優れた電磁変換特性と走行性を兼備している耐熱性フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アラミドフィルムやポリイミドフィルムは、耐熱性に優れたフィルムとして、特開昭49−131247号公報、特開昭51−81854号公報、特開昭51−81880号公報、特開昭52−82953号公報、特開昭52−84245号公報、特開昭52−85251号公報、特開昭58−42649号公報、特開昭59−45124号公報、特開昭61−246918号公報、特開昭62−
70421号公報、特開昭60−15436号公報、特開昭60−15437号公報、特開昭62−48726号公報などに開示されている。
【0003】
特に、磁気記録媒体用ベースフィルムとして、特開昭61−246919号公報、特開昭63−297038号公報、特開平2−1741号公報、特開平2−133434号公報、特開平3−119512号公報、特開平3−114830号公報、特開平4−34716号公報、特開平4−149245号公報、特開平6−195679号公報、特開平8−235568号公報、特公平5−36849号公報、特公平5−64594号公報などには、表面平滑性と表面の荒れを調整する技術が開示されている。
【0004】
しかし、このような工夫にもかかわらず、磁気記録媒体用ベースフィルムとして用いた場合には、表面平滑性が必要な電磁変換特性と表面の荒れが必要な走行性といういわば2律背反な両特性を優れたレベルで兼備するということは実現しなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、高密度記録の磁気記録媒体用ベースフィルムに使用するに適した耐熱性フィルムを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、従来克服できなかった技術課題、つまり滑り性(走行性)と表面平滑性の両方を優れたレベルで兼備した耐熱性フィルムの取得について、多角度から検討した結果、フィルム表面に特定の大きさと勾配をもったランダムなうねりを導入すること、かつフィルムの厚みバラツキのパターンを独特に設定することが、意外にも、飛躍的に両性能の向上をもたらすことを発見し、その後更に検討した結果本発明に到達した。
【0007】
即ち、本発明は、数平均分子量に対する重量平均分子量の比が2.0以上であるアラミドまたはポリイミドを用いて、1000秒 -1 以上のせん断速度でダイから吐出し、1.5〜2.5のドラフトで製膜された、平均厚み2〜10μmのアラミドフィルムまたはポリイミドフィルムであって、表面の少なくとも一方に0.03〜0.4μmの高さ(H)と、100〜2000μmの主ピッチ(L)をもち、かつ500≦L/H≦15000であるうねりをランダムにもっており、かつ平均厚みに対する厚みバラツキの1〜8%であり、しかも幅方向の厚みバラツキに対する長さ方向の厚みバラツキの比が0.25〜4であるアラミドフィルムまたはポリイミドフィルム、である。
本発明の耐熱性フィルムとしては、アラミドフィルムやポリイミドフィルムが用いられる。
【0008】
本発明に用いられるアラミドとしては、次の構成単位からなる群より選択された単位より実質的に構成される。
−NH−Ar1 −NH− (1)
−CO−Ar2 −CO− (2)
−NH−Ar3 −CO− (3)
ここでAr1 、Ar2 、Ar3 は少なくとも1個の芳香環を含み、同一でも異なっていてもよく、これらの代表例としては次の化1が挙げられ、その際、これらの芳香環の環上の水素の一部が、ハロゲン基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基などで置換されているものも含まれる。
【0009】
【化1】
Figure 0003807823
ここで、Xは−O−、−CH2−、−SO2−、−S−、−CO−などの基である。
【0010】
特に、全ての芳香環の80モル%以上がパラ位にて結合しているアラミドが好ましい。
本発明に用いられるポリイミドとしては、ポリマーの繰り返し単位の中に芳香環とイミド基をそれぞれ1個以上含むものであり、次の化2、または化3の一般式で表されるものである。
【0011】
【化2】
Figure 0003807823
【0012】
【化3】
Figure 0003807823
ここでAr4 及びAr6 は少なくとも1個の芳香環を含み、イミド環を形成する2個のカルボニル基は芳香環上の隣接する炭素原子に結合している。このAr4 は、芳香族テトラカルボン酸またはその無水物に由来する。代表例としては、化4がある。
【0013】
【化4】
Figure 0003807823
ここで、Yは、−O−、−CO−、−CH2 −、−S−、−SO2 −などの基である。
また、Ar6 は無水トリカルボン酸、あるいはそのハライドに由来する。Ar6 の代表例としては次の化5が挙げられる。
【0014】
【化5】
Figure 0003807823
Ar5 、Ar7 は、少なくとも1個の芳香環を含み、芳香族ジアミン、芳香族イソシアネートに由来する。Ar5 またはAr7 の代表例としては次の化6が挙げられるが、これらの芳香環の環上の水素の一部が、ハロゲン基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基などで置換されているものも含まれる。
【0015】
【化6】
Figure 0003807823
ここで、Zは、−O−、−CH2 −、−S−、−SO2 −、−CO−などの基である。
【0016】
特に、Ar5 、Ar7 の80%以上がパラ位に結合された芳香環であるポリイミドが好ましい。
また、本発明のアラミドフィルムまたはポリイミドフィルムには、フィルムの物性を損ねたり、本発明の目的に反しない限り、酸化防止剤、除光沢剤、紫外線安定化剤、その他の添加剤などや、他のポリマーを含有させてもよい。
【0017】
本発明の特徴は、フィルム表面の少なくとも一方に0.03〜0.4μmの高さ(H)と、100〜2000μmの主ピッチ(L)をもち、500≦L/H≦15000の勾配をもつうねりを有することである。0.03μm未満の高さ、又は/及び2000μmを超える主ピッチ、又は/及び15000を超える勾配(L/H)のうねりを持つフィルムは、滑り性が乏しくフィルムの加工が難しくなる。この場合、微細粒子の大量添加による滑り性の確保という考え方ではフィルムの表面平滑性が不足して好ましくない。一方、0.4μmを超える高さ、又は/及び100μm未満の主ピッチ、又は/及び500未満の勾配を持つうねりをフィルム表面に導入すると、これを磁気記録媒体のベースフィルムとして使用した場合、電磁変換特性が劣るようになる。うねりは、好ましくは0.05〜0.3μmの高さと、200〜1500μmの主ピッチをもつ。また、1000〜10000のL/Hのうねりが一層好ましい。
【0018】
このように,100μm以上の長周期でかつ特定の緩やかな勾配のうねりをフィルム表面に導入することにより、電磁変換特性に全く悪影響を与えることなくフィルムの走行性を飛躍的に改善できるという本発明者の見出した事実は驚異的なことである。
本発明は、平均厚みが約2〜10μmの薄いフィルムに適用できるが、厚みバラツキのパターンにも特徴がある。即ち、平均厚みに対する厚みバラツキの比、及び幅方向の厚みバラツキと長さ方向のそれの比を特定の範囲に設定することである。
【0019】
平均厚みに対する厚みバラツキの比が1〜8%であることが必要で、好ましくは、この比は1〜5%の範囲である。この比が8%を超えると、ロール状に捲上げたフィルムの捲姿が悪くなり、ロールからの解除そのものや解除後のフィルムの加工性が悪くなるばかりでなく、驚くべきことにフィルムの見かけの摩擦係数が大きくなって走行性が悪くなることがわかった。換言すれば、この比を8%以下、好ましくは5%以下にすることによりフィルムの走行性を改善できる。また、この比が1%未満になると、ロール状フィルムを解除するとき静電気の発生しやすいことを見出した。
【0020】
また、幅方向の厚みバラツキに対する長さ方向の厚みバラツキの比が0.25〜4の間にあることが肝要であり、好ましくは0.33〜3である。この比が4を超えるとフィルムをテープ化したときの電磁変換特性が劣るケースがあり、一方0.25未満ではフィルムの走行性が落ちたり、捲姿が劣ることがある。
【0021】
さらに、幅方向の厚みバラツキの主ピッチが10〜200mmであることが、本発明のフィルムの取扱い性を良好にする上で効果的であり好ましいことが判明した。その詳細なメカニズムは不明であるが、フィルムをロール状に捲いたときの空気の保持能力や静電気帯電のしにくさと関係しているものと考えられる。厚みバラツキの主ピッチは、例えば、厚み分布を測定しそれをフーリエ解析することにより、もっとも寄与の大きいピッチを特定することで決定できる。
【0022】
フィルムの厚みバラツキは一般に製膜工程において、フィルムが塑性変形を起こす条件、例えば、ダイからの吐出、ダイから金属ロール・エンドレスベルトへの受け渡し、ドラフト付与、ロール間またはベルトからロールへの受け渡し、延伸、熱処理などの工程において、幅方向のクリアランス、温度、応力、濃度などのバラツキが幅方向の厚みバラツキを結果し、時間的変動が長さ方向の厚みバラツキを生成する。従って、これらの製膜要因及びそのバラツキの制御によって前記特定した厚みバラツキパターンを得ることが出来る。
【0023】
本発明においては、好ましくは0〜10重量%、更に好ましくは0〜3重量%の微細粒子をフィルムに含有させる。10重量%を超えるとフィルムの滑り性が良いもののフィルムの表面突起が多くなって平滑性が損なわれる。本発明の技術が微細粒子を全く含まないものに適用できることは驚くべきことである。何故なら、従来一般にフィルムの滑り性の確保は微細粒子の添加によって行われてきたからである。
【0024】
本発明は微細粒子の添加量の少ない場合にその特徴が顕著に発揮される。微細粒子は、フィルムの厚さ方向に均一に含有されていても、不均一に例えば少なくとも一方の面とその近傍に含有させればよい。
本発明のフィルムは、好ましくは、その少なくとも一方の面が、0.27μm以上0.54μm未満の高さの突起を0〜5個/cm2 、0.54μm以上0.81μm未満の高さの突起を0〜2個/10cm2 、0.81μm以上の高さの突起を0〜0.5個/100cm2 もっており、更に好ましくは0.54μm以上の高さの突起が0個である。上記の高さの突起が上記の個数を超えて存在すると、磁気テープとした場合、出力の低下、ドロップアウトの増加、ノイズの増加などの電磁変換特性の低下という好ましくない現象を引き起こす。
【0025】
本発明のフィルムは、望ましくは、表面に微細な適度の凹凸を有している。この凹凸を中心面平均粗さ(SRa)で表すと、0.0002〜0.01μmである。
本発明の技術は、好ましくは,吸湿膨張係数が100ppm/%RH以下のフィルムに適用される。吸湿膨張係数が100ppm/%RHを超えるフィルムは、湿度寸法安定性が実用に耐えがたいレベルになるからであり、より好ましくは、50ppm/%RH以下のフィルムに適用される。
【0026】
本発明のフィルムのヤング率(Mi)は700〜2500kg/mm2 であるのが好ましい。ヤング率が700kg/mm2 未満のフィルムは、もはや高剛性フィルムという範ちゅうのフィルムでなくなり、本発明で特許請求している平均厚みのフィルムではロール状フィルムの取扱い性が低下する。一方、2500kg/mm2 を超えるアラミドまたはポリイミドフィルムは、裂け易く且つ脆くなってもはやフィルムとしての有用性が少なくなってしまう。高ヤング率のフィルムは、分子構造的にパラ配向成分を多くすること、製造時に相対的に高い延伸倍率を適用して、分子鎖を高配向化することで実現できる。
【0027】
本発明は、フィルムの物性がフィルム面内の全方向に一定のいわゆるバランスタイプには勿論のこと、長さ方向または幅方向に強化されたテンシライズドタイプにも適用することができる。
本発明のフィルムは、また、好ましくは5〜100%の範囲の伸度を持っている。5%未満の伸度のフィルムは脆いことが往々にして見られるからである。
一方、伸度は一般に大きい方が望ましいが、実際的には100%程度が上限になる。伸度は、ポリマーの種類、重合度や延伸配向度、結晶化度等の調整によって達成できる。
【0028】
本発明のフィルムとしては、200℃での熱収縮率が0〜0.5%の範囲のものが好ましい。何故なら、熱収縮が大きいと、フィルムの加工工程等で高温履歴を受けた場合には、フィルムの平坦性などが低下することがあるからである。熱収縮率の低減化は、ポリマー種の選択、熱セットなどによって達成できる。熱収縮率の小さいフィルムは、フィルムが耐熱性をもっていることの証左の1つでもある。
【0029】
本発明のフィルムは、好ましくは金属鏡面との動摩擦係数が0.02〜0.4の範囲にあり、更に好ましくは0.02〜0.3の範囲である。摩擦係数が小さすぎると加工工程での取扱が不安定になり、逆に大きすぎると加工工程でのしわ・歪の発生や傷つきが多くなるからである。本発明において、前記した特定のうねりの存在が摩擦係数の低減化に役立っていることが判明した。摩擦係数の調整は、フィルムに特定の厚みバラツキを導入すること、または微細粒子の添加量・種類・粒度・分散度等の選択によっても達成できる。
【0030】
本発明において、特に微細粒子の添加量を少なくして、例えば、0〜0.1重量%にして、フィルムの表面平滑性を向上させた場合にも、加工しやすい摩擦係数をもっているという特徴がある。
本発明のフィルムを製造する方法については、独特の表面うねり及び特定の厚みバラツキパターンを生成させるに必要な部分に工夫が必要であるが、基本的にはそれぞれのポリマーに適した製造法で実施できる。
【0031】
まず、アラミド樹脂については、有機溶剤可溶の樹脂では、直接溶剤中で重合するか、一旦ポリマーを単離した後再溶解するなどして溶液とし、ついで乾式法または湿式法にて製膜し、また、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(PPTA)等の有機溶剤に難溶の樹脂については、濃硫酸などに溶解して溶液とし、ついで乾式法または湿式法にて製膜する。
【0032】
一方、ポリイミド樹脂については、有機溶剤中にてテトラカルボン酸無水物と芳香族ジアミンを反応させて、ポリアミド酸とし、この溶液をそのまま、または一旦閉環処理してポリイミドとし、再度溶剤に溶解して溶液を得、それらを乾式法または湿式法にて製膜する。
乾式法では、溶液はダイから押し出し、金属ドラムやエンドレスベルトなどの支持体上にキャストし、キャストされた溶液が自己支持性あるフィルムを形成するまで乾燥またはイミド化反応を進める。
【0033】
湿式法では、溶液はダイから直接凝固液中に押し出すか、乾式と同様に金属ドラムまたはエンドレスベルト上にキャストした後、必要ならば溶剤の除去を一部行った後、凝固液中に導き、凝固する。
ついでこれらのフィルムはフィルム中の溶剤や無機塩などを洗浄し、延伸、乾燥、熱処理などの処理を施す。
【0034】
何れの製膜方法に於いても、製膜後のフィルムが本発明の特徴とする独特のうねりを有するように製造する。本発明者の知見に依れば、このような独特のうねりをもったフィルムは、公知でない特殊な製膜条件の組合せのもとで初めて実現するものであり、比較的広い分子量分布(数平均分子量に対する重量平均分子量の比で表して2.0以上)をもったポリマーを用いて、約1000 -1 以上の高せん断速度でダイから吐出し、1.5以上2.5以下のドラフト(ダイからの押出速度に対するフィルムの引取速度の比)で製膜したときがそれであった。ここで、ドラフトとは、ダイからの押出速度に対するフィルムの引取り速度即ち金属ドラムやエンドレスベルトの走行速度の比のことである。ただし、これ以外の方法で本発明のフィルムを得ることを排除するわけではない。
【0035】
フィルム同志の滑り性を良くしたり、ブロッキング現象を防ぐため、フィルムに微細粒子を混在させる方法を用いてもよく、この微細粒子を易滑剤とも称する。微細粒子としては、有機化合物、無機化合物があるが、通常は、例えば、SiO2 、TiO2 、ZnO、Al2 3 、CaSO4 、BaSO4 、CaCO3 、カーボンブラック、ゼオライト、その他金属粉末などの無機化合物が用いられる。粒子径は0.001〜2μm、添加量は0〜10重量%に選ばれる。即ち、アラミド樹脂またはポリイミドもしくはポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の溶液中に、上記微細粒子を混入し、この溶液を製膜することにより製造する。この際、微細粒子の分散を良くするために、超音波方式や撹拌方式のホモジナイザーが好ましく用いられる。
以下本発明を実施例などを用いて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例などにより何ら限定されるものではい。
【0036】
【実施例】
〈特性の測定法〉
本発明の特性値の測定法は次の通りである。
(1)フィルムの厚み、厚みバラツキの測定法
フィルムの厚みは、デジタル電子マイクロメータ(アンリツ株式会社製K351C型)により直径2mmの測定子を用いてフィルムの全幅及びそれと同じ長さのサンプルにつきそれぞれ5等分した線分に沿ってそれぞれの方向に厚みを測定し、フィルムの平均厚みは全測定値の平均値で、厚みバラツキは全測定値中の最大値と最小値の差で表す。幅方向の厚みバラツキは幅方向の全測定値中の最大値と最小値の差で、長さ方向の厚みバラツキは長さ方向の全測定値中の最大値と最小値の差で表す。厚みバラツキの主ピッチは前記測定値をフーリエ変換解析し、最大寄与を示すピッチで代表する。
【0037】
(2)フィルムの強度、伸度、ヤング率の測定法
強度、伸度、ヤング率は、定速伸長型強伸度測定機を用い、測定長100mm、引っ張り速度50mm/分で測定したものである。
(3)表面うねりの測定法
ZYGO社のNew View 100型表面粗さ測定装置を用い、対物レンズ倍率2.5倍、カメラ分解能8.8μm、カットオフ5mmにてフィルムの任意の3点につき測定したP−V値で高さ(H)を、中心線のうねりのフーリエ変換解析による主波長で主ピッチ(L)を表す。
【0038】
(4)中心面平均粗さ(SRa)の測定法
SRaの定義は、例えば奈良治郎著「表面粗さの測定、評価法」(総合技術センター、1983)に示されているもので、干渉位相差顕微鏡の干渉像を計算処理して得る方法を用いた。即ち、ZYGO社のNew View 100型表面粗さ測定装置を用い、対物レンズ倍率40倍、カメラ分解能550μm、カットオフ25μmにて、フィルムの任意の3点につきSRaを測定しその平均で表した。
【0039】
(5)熱収縮率の測定法
フィルムから2cm×5cmの試料片を切り出し、4cmの間隔に刃物で傷をつけて標識とし、予め25℃、55%相対湿度の雰囲気下に72時間放置した後、標識間の距離を読み取り顕微鏡にて測定し、次いで200℃の熱風式オーブンに2時間拘束することなく放置した後、再度25℃、55%相対湿度の雰囲気下に72時間放置した後、標識間の距離を読み取り顕微鏡にて測定して求めた。
【0040】
(6)フィルム面方向の吸湿膨張係数の測定法
熱力学特性測定機(TMA、真空理工株式会社製TM7000型)に幅5mmのサンプルを取り付け、荷重0.3g下で、一旦300℃まで昇温してサンプルの残留歪を除去した後、乾燥窒素気流下に冷却し、23℃において、乾燥窒素と空気との間の湿度変化及びフィルムの寸法変化を測定し、計算にて求めた。
(7)動摩擦係数の測定法
金属鏡面として、鏡面研磨されたステンレス製の固定ロール(直径60mm)に、90゜の抱角になるように、幅1cmのフィルムの一端に50gの荷重をかけ、他端を20cm/分の速度で引っ張り、この時のフィルムの引張張力から、オイラーの式を用いて算出した。
【0041】
(8)表面の粗大突起の測定法
フィルムの表面に20nmの厚みにアルミニウムを均一に蒸着し、波長0.546μmのハロゲン単色光を用いて、光多重干渉顕微鏡にて200倍の倍率で任意の3cm四方のフィルム面を観察し、突起物に対して生じる干渉縞が1個のものを0.27μm以上0.54μm未満の高さの突起、干渉縞が2個のものを0.54μm以上0.81μm未満の高さの突起、干渉縞が3個以上のものを0.81μm以上の高さの突起として数え、10回の平均値で表す。
(9)磁気テープの電磁変換特性の測定法
JIS X 6129−1993に準じて、短波長での特性を把握するため、出力測定は4499.8ftpmmに、ミッシングパルスゾーン測定は記録周波数を9MHz及び12MHzにそれぞれJISの規格を変更して、測定した。
【0042】
(実施例1)
ゲル透過クロマトグラフで測定した数平均分子量に対する重量平均分子量の比が3.1であるポリパラフェニレンテレフタルアミド(PPTA)を99.8%濃硫酸に、ポリマー濃度が12%になるように溶解し、ダイから21000秒-1のせん断速度で吐出して2.3のドラフトがかかるようにエンドレスベルト上にキャストした。濃硫酸には、予め0.04μmのコロイド状シリカ粒子をPPTAに対し0.2重量%となるように超音波撹拌機により分散させておいた。ベルト上で加熱と同時に吸湿処理して、ドープを液晶相から等方相に相転換した後、0℃の15%硫酸中にて凝固させ、中和、水洗し、長さ方向に1.05倍の延伸を施した後クリップテンターにより1.1倍に横延伸し次に定長状態を保ちつつ150℃で熱風乾燥し、次いで430℃で緊張熱処理した後、ロール状に捲き上げた。
【0043】
幅600mmで得られたロール状の平均厚み4.6μmのPPTAフィルムは25℃55%相対湿度での平衡吸湿率が2.7%であり、長尺方向、幅方向に物性差は殆ど無く、その特性は表1に示す通りだった。
得られたフィルムを用いて、メタルパウダーを磁性層とする磁気テープを試作し、DDS−2規格のカートリッジに組込んで磁気特性を測定したところ、市販のDDS−2規格テープ対比で出力102%、ミッシングパルスゾーン85%(9MHz)、70%(12MHz)と優れたものであった。また、磁気テープの試作工程でのトラブルは全くなかった。
【0044】
(比較例1)
実施例1において、ドラフトを3.8にして、それに関連した条件以外は全く変えずにフィルムを捲上げた。得られたフィルムの特性を表1に示すが、表面うねりが大きく本発明の範囲外であった。
実施例1と同様にDDS−2規格の磁気テープを試作した。試作工程でのトラブルはなかったが、ミッシングパルスゾーンが市販テープ比120%と大きかった。
【0045】
(比較例2)
実施例1において、凝固液を52%硫酸にした以外は実施例1と同一の条件でフィルムを捲上げた。得られたフィルムの特性を表1に示すが、厚みバラツキのパターンが本発明の範囲外となった。これは、凝固浴の組成の変化によって凝固が緩慢化したことによると推定される、特に長さ方向の厚みムラが大きくなったためである。
実施例1と同様にDDS−2規格の磁気テープを試作した。試作工程では、フィルムの摩擦係数が大きいことによるとみられる走行しにくさが観察された以外は大きなトラブルはなかったが、ミッシングパルスゾーンが市販テープ比140%と大きかった。
【0046】
【表1】
Figure 0003807823
【0047】
(実施例2)
実施例1において、数平均分子量に対する重量平均分子量の比が2.5のポリマーを用い、ダイからの吐出せん断速度を3000秒-1にし、ドラフトを2.5にし、コロイド状シリカ粒子添加量をPPTAに対して0.01重量%にした以外は実施例1と同様にフィルムを試作した。
得られたロール状フィルムの平均厚みは5.2μで、そのフィルムは表2に示す特性を有していた。
得られたフィルムから磁気特性に優れた蒸着テープが支障なく試作できた。
【0048】
(比較例3)
実施例2において、ドラフトを1.2にした以外は実施例2を繰り返して、表2に示す特性のフィルムを得た。このフィルムはL/Hの点で本発明の範囲外であり、蒸着テープの試作を試みたが、フィルムの走行トラブルが頻発して蒸着テープの取得が困難であった。
【0049】
(実施例3)
数平均分子量に対する重量平均分子量の比が3.4のポリパラフェニレン−2−クロロテレフタルアミド(PPClTA)をポリマー濃度が13重量%になるように溶解し、ダイから80000秒-1のせん断速度で吐出して、ドラフト2.1でエンドレスベルト上にキャストした。濃硫酸には、予め0.02μmの酸化チタン微粒子をPPClTAに対し0.2重量%となるように超音波分散機により分散させておいた。実施例1と同様の操作を加えてフィルムをつくり、ロール状に捲上げた。
【0050】
縦横の物性のバランスしたフィルムが得られ、そのフィルムの特性を表2に示した。
このフィルムから実施例1と同様にして、DDS−2規格を準用した磁気テープを試作した。フィルム及びテープがDDS−2規格より薄いにもかかわらず、試作工程でのトラブルは全くなくスムーズに実施でき、テープの性能にも優れていた。
【0051】
【表2】
Figure 0003807823
【0052】
【発明の効果】
本発明のフィルムは、独特の表面形状及び厚みバラツキパターンを有しているため、従来の耐熱性フィルムでは実現できなかった特徴、即ち、本発明のフィルムをベースフィルムとして磁気テープにした場合に、優れた電磁変換特性と良好な走行性とを兼備するという特徴を有する。また、磁気テープに加工するときの加工性、取扱性にも優れている。
従って、本発明のフィルムは塗布型、蒸着型、スバッタリング型を問わず磁気テープのベースフィルムとして極めて有用である。加えて、昇華型ビデオプリンターのインクリボンのベースフィルム、電機絶縁基板などにも有用である。

Claims (1)

  1. 数平均分子量に対する重量平均分子量の比が2.0以上であるアラミドまたはポリイミドを用いて、1000秒 -1 以上のせん断速度でダイから吐出し、1.5〜2.5のドラフトで製膜された、平均厚み2〜10μmのアラミドフィルムまたはポリイミドフィルムであって、表面の少なくとも一方に0.03〜0.4μmの高さ(H)と、100〜2000μmの主ピッチ(L)をもち、かつ500≦L/H≦15000であるうねりをランダムにもっており、かつ平均厚みに対する厚みバラツキの1〜8%であり、しかも幅方向の厚みバラツキに対する長さ方向の厚みバラツキの比が0.25〜4であるアラミドフィルムまたはポリイミドフィルム。
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