JP3805154B2 - エンジンカッター - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンカッターに係り、特に、小型空冷2サイクルガソリンエンジン等の空冷内燃エンジンにより回転駆動せしめられる円盤状のカッターを持ち、前記カッターによるコンクリート成形材等の切断作業によって発生する粉塵を捕捉して外部に送り出すための送風ファンを備えたエンジンカッターに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エンジンカッターとして、円盤状のカッターと、該カッターを回転駆動するための空冷内燃エンジンと、前記カッターを部分的に覆う安全カバーと、を備え、前記安全カバーに、前記カッターによる切断作業によって発生する粉塵を捕捉して外部に送り出すための粉塵捕捉部が設けられるとともに、前記粉塵捕捉部に捕捉された粉塵を吸引して外部に送り出すための送風を生成する、前記エンジンにより駆動される送風ファンが設けられているものが実用に供されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記した如くの、カッターの回転駆動源として空冷内燃エンジンを採用した従来のエンジンカッターにおいては、前記エンジンに冷却ファンが設けられていることに加えて、別途に前記粉塵捕捉部に捕捉された粉塵を吸引して外部に送り出すための送風を生成する送風ファンが設けられている。つまり、従来のエンジンカッターでは、エンジン冷却用と粉塵吸引送出用として、それぞれ専用の二基の送風ファンが配備されていた。
【0004】
このため、エンジンカッターの構成が複雑で装置コストが高くなるきらいがあった。
本発明は、上述の如くの問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、エンジン冷却用と粉塵吸引送出用の送風ファンを共用するようにして、装置構成の簡素化を図ることができるとともに、装置コストを削減できるようにされたエンジンカッターを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成すべく、本発明に係るエンジンカッターは、基本的には、円盤状のカッターと、該カッターを後方側斜め上から過半体程度に覆う安全カバーと、前記カッターを回転駆動するための空冷の内燃エンジンと、該エンジンにより駆動される単一の送風ファンと、該送風ファンに連設される送風通路と、を配備するエンジンカッターであって、前記送風通路は、前記安全カバーの後部側下端部の内部に、前記エンジンカッターの左右方向に横設された筒状の中間通路部を備えると共に、前記安全カバーは、その後部側下端部に前記カッターによる切断作業によって発生する粉塵を捕捉するための粉塵捕捉部を備え、前記送風ファンは、前記粉塵捕捉部に捕捉された粉塵を前記中間通路部を介して吸引して外部に送り出すための送風を生成するとともに、前記内燃エンジンの冷却風をも生成し、前記粉塵捕捉部は、捕捉案内板部と、前記中間通路部の途中に設けられた案内絞り部と、粉塵吸引口とで構成され、前記捕捉案内板部は、前記安全カバーの後部側下端部において、前記カッターの両面と前記安全カバーとの間に配在されると共に、前記中間通路部の上部から前記案内カバーの下端まで前方斜め下に伸び、前記案内絞り部は、前記中間通路部を縮径することにより形成され、前記粉塵吸引口は、前記捕捉案内板部により捕捉された粉塵を吸引できるように前記案内絞り部の下流に向けて開口していることを特徴としている。
【0006】
そして、本発明のエンジンカッターの好ましい態様としては、前記送風ファンが生成する送風の一部を分流して前記内燃エンジンの冷却風として利用するようにされ、前記内燃エンジンの回転を増速して前記送風ファンに伝達するようにされるか、あるいは、前記内燃エンジンの出力軸に前記送風ファンが直結されるものが挙げられる。
【0008】
さらに、本発明の別の好ましい態様では、前記送風ファンにより生成される送風を流す通路の下流端に、通気性を有する粉塵捕集袋が配備される。
前記の如くの構成とされた本発明に係るエンジンカッターにおいては、エンジン冷却用と粉塵吸引送出用の送風ファンを共用しているので、装置構成の簡素化、軽量化が図られ、装置コストを削減できる。
【0009】
また、特に、前記内燃エンジンの回転を増速して前記送風ファンに伝達するようにした場合には、ファン径をさほど大きくすることを要しないで、エンジン冷却用と粉塵吸引送出用とに要求される風量を、余裕をもって生成することが可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は本発明に係るエンジンカッターの第一実施形態を示す概略左側面図、図2は図1に示されるエンジンカッターの概略平面図である。
【0011】
図示のエンジンカッター10は、円盤状のカッター12を備え、該カッター12を後方側斜め上から過半体程度覆う安全カバー15が設けられ、この安全カバー15の後部側に、前記カッター12を回転駆動するための空冷2サイクルガソリンエンジン(内燃エンジン)30、及び該内燃エンジン30の冷却用と粉塵吸引送出用とを兼ねる遠心式の送風ファン40が配備された本体部20が連結されている。
【0012】
該本体部20には、そのカバーケース部21の後端部にスロットルトリガ22等が設けられた前後方向に伸びる後ハンドル23が配設され、その前部周辺を取り囲むように断面円形で概略矩形リング状の前ハンドル24が配設されている。
【0013】
前記送風ファン40は、ファンブレード41と、ボリュートケース42と、を有し、前記ファンブレード41の回転軸45を前記本体部20の左右方向に向け、かつ、前記ボリュートケース42に一体的に連設された送風通路50の上流通路部51を上側にして、前記本体部20における前記内燃エンジン30の後方側でかつ左側に配設されている。
【0014】
前記内燃エンジン30は、エアクリーナや気化器よりなる燃料供給装置100を備え、前記本体部20の前記カバーケース部21内に、多数の冷却フィン33が設けられているシリンダ部32を上側にして、若干前側に傾斜せしめられた状態で縦置きで配備されており、その出力軸(クランク軸)35の回転は、該出力軸35上に配在された第一のスプロケットホイール61と、前記カッター12の回転軸13上に配在された、前記第一のスプロケットホイール61より大径の第二のスプロケットホイール63と、それら第一及び第二のスプロケットホイール61、63間に巻き掛けられた第一のベルト62と、からなる第一のベルト式巻掛伝動機構60を介して、前記カッター12に減速せしめられて伝達される。
【0015】
ここでは、前記カッター15は、図1において反時計回りに回転せしめられ、該カッター15によるコンクリート成形材等の切断作業によって発生する粉塵Dは、前記カッター15の下端部(切断箇所)からその回転方向に沿って後方に飛ばされる。
【0016】
また、前記内燃エンジン30の前記出力軸35の回転は、該出力軸35上に配在された前記第一のスプロケットホイール61と同径の第三のスプロケットホイール71と、前記送風ファン40の前記回転軸45上に配在された、前記第三のスプロケットホイール73より小径の第四のスプロケットホイール73と、それら第三及び第四のスプロケットホイール71、73間に巻き掛けられた第二のベルト72と、からなる第二のベルト式巻掛伝動機構70を介して、前記ファンブレード41に増速せしめられて伝達される。
【0017】
前記送風ファン40に連設された送風通路50の上流通路部51は、その上流端付近から中央部にかけて、仕切り板部56により上下に、粉塵吸引送出用通路部51Aとエンジン冷却用通路部51Bとに分岐せしめられている。
【0018】
また、前記上流通路部51の粉塵吸引送出用通路部51Aは、前記仕切り板部56から円弧を描くように前方斜め下に伸びて、前記安全カバー15の後部側下端部に左右方向に横設され中間通路部52の左端に連結され、該中間通路部52の右端にはフレキシブル管材等からなる下流通路部53が連結され、この下流通路部53の下流端53aに、通気性を有する粉塵捕集袋80が配備されている。
【0019】
そして、前記安全カバー15における、前記中間通路部52が位置する後部側下端部には、前記カッター12による切断作業によって発生する粉塵を捕捉して外部に送り出すための粉塵補足部90が設けられている。
【0020】
この粉塵捕捉部90は、図1、図2に加えて図3を参照すればよくわかるように、捕捉案内板部92、92と、前記送風通路50の前記中間通路部52における前記安全カバー15内に位置する部分に設けられた粉塵吸引口96と、案内絞り部(ベンチュリ部)95と、からなっている。前記捕捉案内板部92、92は、前記カッター12の左右両側面との間に僅かに隙間を残してそれを挟むように、前記案内絞り部95上から前記安全カバー15の下端まで前方斜め下に伸びている。また、前記粉塵吸引口96は、前記捕捉案内板部92、92により捕捉された粉塵を効率的に吸引できるように、下流へ向けて、前記カッター12の回転面がその中央を通るように開口せしめられている。
【0021】
このような構成とされた第一実施形態のエンジンカッター10においては、切断作業時には、前記内燃エンジン30により前記カッター12及び前記送風ファン40が回転駆動せしめられ、前記送風ファン40が生成する送風Aが、前記送風通路50の前記上流通路部51において前記仕切り板部56により前記粉塵吸引送出用通路部51Aと前記エンジン冷却用通路部51Bとに分流せしめられる。ここでは、前記送風ファン40が生成する送風Aは、前記粉塵吸引送出用通路部51Aと前記エンジン冷却用通路部51Bとに、例えば、7対3の割合で分流せしめられる。
【0022】
前記粉塵吸引送出用通路部51Aに分流された送風TAは、該粉塵吸引送出用通路部51Aから前記中間通路部52に導かれ、この中間通路部52を通る際に、前記捕捉案内板部92、92により捕捉された粉塵Dを前記粉塵吸引口96から吸引し、それを前記下流通路部53を介して前記粉塵捕集袋80に送る。
【0023】
一方、前記送風通路50の前記上流通路部51内において前記エンジン冷却用通路部51Bに分流せしめられた送風CAは、その流れ方向を約90°変換せしめられて、前記内燃エンジン30の主として前記シリンダ部32を冷却しながら通過し、前記カバーケース部21の右側部に形成された通気口(図示省略)から外部に放出される。
【0024】
このように本実施形態のエンジンカッター10においては、エンジン冷却用と粉塵吸引送出用として一基の送風ファン40を共用しているので、装置構成の簡素化が図られ、装置コストを削減できる。
また、特に、前記内燃エンジン30の回転を増速して前記送風ファン40に伝達するようにしているので、ファン径をさほど大きくすることを要しないで、エンジン冷却用と粉塵吸引送出用とに要求される風量を、余裕をもって生成することが可能となる。
【0025】
図4、図5は、本発明に係る第二実施形態のエンジンカッター11の概略左側面図及び概略平面図を示している。この第二実施形態のエンジンカッター11においては、前記第一実施形態のエンジンカッター10の各部と同一機能を有する部分には同一の符号を付してそれらの重複説明を省略し、以下においては、相違点を重点的に説明する。
【0026】
この第二実施形態のエンジンカッター11では、前記内燃エンジン30の出力軸35に、送風ファン40Aが直結されている。詳細には、前記内燃エンジン30の前記出力軸35の左端側に、前記送風ファン40のファンブレード41が配備されており、前記出力軸35の右端側に、前記カッター12に動力を伝達するための前記第一のベルト式巻掛伝動機構60が配設されている。
【0027】
このような構成とされた第二実施形態のエンジンカッター11においても、切断作業時には、エアクリーナや気化器よりなる燃料供給装置100Aを備えた前記内燃エンジン30により前記カッター12及び前記送風ファン40Aが回転駆動せしめられ、前記送風ファン40Aが生成する送風が、前記送風通路50の前記上流通路部51において前記仕切り板部56により、前記粉塵吸引送出用通路部51Aと前記エンジン冷却用通路部51Bとに分流せしめられ、前記粉塵吸引送出用通路部51Aに分流された送風TAは、該粉塵吸引送出用通路部51Aから前記中間通路部52に導かれ、この中間通路部52を通る際に、前記捕捉案内板部92、92により捕捉された粉塵Dを前記粉塵吸引口96から吸引し、それを前記下流通路部53を介して前記粉塵捕集袋80に送る。
【0028】
一方、前記送風通路50の前記上流通路部51において前記エンジン冷却用通路口51Bに分流せしめられた送風CAも、前記内燃エンジン30の主として前記シリンダ部32を冷却しながら通過し、前記カバーケース部21の右側部に形成された通気口(図示省略)から外部に放出される。
【0029】
このように本第二実施形態のエンジンカッター11においても、エンジン冷却用と粉塵吸引送出用として一基の送風ファン40Aを共用しているので、装置構成の簡素化が図られ、装置コストを削減できる。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の精神を逸脱しない範囲で、設計において、種々の変更ができることは、いうまでもない。
【0030】
例えば、前記した実施形態では、送風ファン40が生成する送風Aを、粉塵吸引送出用通路部51Aと前記エンジン冷却用通路部51Bとに分流するようにされているが、これに代えて、例えば、送風ファン40が生成する送風Aの全風量を前記内燃エンジン30側に流してエンジン冷却用として用いた後、前記粉塵吸引送出用通路部51Aに導くようにしてもよい。
【0031】
【発明の効果】
以上の説明から理解されるように、本発明のエンジンカッターは、エンジン冷却用と粉塵吸引送出用として一基の送風ファンを共用しているので、装置構成の簡素化が図られ、装置コストを削減できる。
また、特に、前記内燃エンジンの回転を増速して前記送風ファンに伝達するようにした場合には、ファン径をさほど大きくすることを要しないで、エンジン冷却用と粉塵吸引送出用とに要求される風量を余裕をもって生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエンジンカッターの第一実施形態を示す概略左側面図。
【図2】図1に示されるエンジンカッターの概略平面図。
【図3】図1のIII −III 矢視断面図。
【図4】本発明に係るエンジンカッターの第二実施形態を示す概略左側面図。
【図5】図4に示されるエンジンカッターの概略平面図。
【符号の説明】
10 エンジンカッター(第一実施形態)
11 エンジンカッター(第二実施形態)
12 カッター
15 安全カバー
30 内燃エンジン(小型空冷2サイクルガソリンエンジン)
35 出力軸
40 送風ファン
40A 送風ファン
50 送風通路
53a 下流端
80 粉塵捕集袋
90 粉塵捕捉部
92 捕捉案内板部
96 粉塵吸引口
D 粉塵
CA エンジン冷却送風
TA 粉塵送出送風
Claims (5)
- 円盤状のカッター(12)と、該カッター(12)を後方側斜め上から過半体程度に覆う安全カバー(15)と、前記カッター(12)を回転駆動するための空冷の内燃エンジン(30)と、該エンジン(30)により駆動される単一の送風ファン(40、40A)と、該送風ファン(40、40A)に連設される送風通路(50)と、を配備するエンジンカッター(10、11)であって、
前記送風通路(50)は、前記安全カバー(15)の後部側下端部の内部に、前記エンジンカッター(10、11)の左右方向に横設された筒状の中間通路部(52)を備えると共に、
前記安全カバー(15)は、その後部側下端部に前記カッター(12)による切断作業によって発生する粉塵(D)を捕捉するための粉塵捕捉部(90)を備え、
前記送風ファン(40、40A)は、前記粉塵捕捉部(90)に捕捉された粉塵(D)を前記中間通路部(52)を介して吸引して外部に送り出すための送風(TA)を生成するとともに、前記内燃エンジン(30)の冷却風(CA)をも生成し、
前記粉塵捕捉部(90)は、捕捉案内板部(92、92)と、前記中間通路部(52)の途中に設けられた案内絞り部(95)と、粉塵吸引口(96)とで構成され、
前記捕捉案内板部(92、92)は、前記安全カバー(15)の後部側下端部において、前記カッター(12)の両面と前記安全カバー(15)との間に配在されると共に、前記中間通路部(52)の上部から前記案内カバー(15)の下端まで前方斜め下に伸び、
前記案内絞り部(95)は、前記中間通路部(52)を縮径することにより形成され、前記粉塵吸引口(96)は、前記捕捉案内板部(92、92)により捕捉された粉塵を吸引できるように前記案内絞り部(95)の下流に向けて開口していることを特徴とするエンジンカッター。 - 前記送風ファン(40、40A)が生成する送風(A)の一部を分流して前記内燃エンジン(30)の冷却風(CA)として利用するようにされていることを特徴とする請求項1に記載のエンジンカッター。
- 前記内燃エンジン(30)の回転を増速して前記送風ファン(40)に伝達するようにされていることを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジンカッター。
- 前記内燃エンジン(30)の出力軸(35)に前記送風ファン(40A)が直結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジンカッター。
- 前記送風ファン(40)により生成される送風(TA)を流す通路(50)の下流端(53a)に、通気性を有する粉塵捕集袋(80)が配備されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のエンジンカッター。
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