JP3804872B2 - 揚送研磨装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、例えばパチンコ島において、パチンコ機の下側に配設された遊技球回収タンクからパチンコ機の上側に配設された遊技球供給タンクに、遊技球を研磨しながら揚送する揚送研磨装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図8は従来の揚送研磨装置の構造図であり、同図に示すように、揚送研磨装置81は、下側に配設した下部プーリ82と、上側に配設した上部プーリ83と、上部および下部両プーリ82,83間に掛け渡した無端のベルト84と、下部プーリ82に沿わせて配設した下部樋85と、上部プーリ83に沿わせて配設した上部樋86と、ベルト84に沿わせて配設され両端をそれぞれ下部樋85および上部樋86に接続した縦樋87とで構成されている。図外の遊技球回収タンクに回収された遊技球Aは、下部樋85を転動して下部プーリ82の部分に至り、ここで下部樋85の下流部と走行するベルト84との間に挟み込まれ、下部樋85を受けとしてベルト84に転接しながら上昇してゆく。さらに遊技球Aは、ベルト84に転接しながら縦樋87および上部樋86を経て、上部プーリ83の部分で解放され、上部樋86を転動して図外の遊技球供給タンクに揚送される。
【0003】
この場合、同図(b)に示すように、ベルト84の背面側には、ベルト84の走行を案内するガイド板88が配設される一方、遊技球Aを挟んでベルト84に対向する縦樋87の内面には、クッション材89を介して研磨布90が貼設されている。遊技球Aは、クッション材89がわずかに窪む程度に研磨布90とベルト84との間に挟み込まれ、研磨布90を受けとして、ベルト84により回転されながら、研磨布90の表面を上方に向かって転動してゆく。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の揚送研磨装置81では、下部樋85から縦樋87を経て上部樋86に至る長い距離に亘って、ベルト84に対し遊技球Aの挟持力が作用するため、ベルト84の走行抵抗が大きくなり、動力の負荷が増す問題があった。また、遊技球Aに対し、研磨布90側が面接触となり、ベルト84側が点接触となるため、研磨布90側の摩擦力がベルト84側の摩擦力に比して極端に大きくなり、遊技球Aが研磨布90の表面に擦れることなく転動してしまう問題があった。このため、研磨布90と遊技球Aとが擦れ合い難く、遊技球Aの研磨が十分に行われないという不具合があった。
【0005】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、動力の負荷を軽減することができると共に、遊技球の研磨を十分に行うことができる揚送研磨装置を提供することをその目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく請求項1の発明は、外周面に遊技球を保持する複数の溝部を有し、保持した遊技球を回転送りするロータと、ロータの外周面に沿って配設され、ロータの回転送りに伴う遊技球の移動を案内するロータハウジングと、ロータハウジング内に遊技球を導く球導入路と、ロータハウジング内から送り出された遊技球を上方に導く球揚送路と、ロータにより回転送りされる遊技球をロータハウジング内から球揚送路に導くガイド部材と、ロータハウジング内に臨み、ロータにより移動する遊技球に摺接してこれを研磨する球研磨部材と、これらロータ、ロータハウジング、球導入路、球揚送路、ガイド部材および球研磨部材を支持するフレームとを備え、前記ロータは、前記溝部の溝底に保持した遊技球の回転を制動する制動部材を有することを特徴とする。
【0007】
請求項1において、ロータは、溝部の溝底に保持した遊技球の回転を制動する制動部材を有することが、好ましい。また、球研磨部材はロール状に巻回された研磨紙で構成されており、球研磨部材をそれぞれ巻取り・巻出し自在に巻回した一対のリールを、更に備えることが、好ましい。
【0009】
請求項において、巻取り側のリールを回転させる回転駆動手段を、更に備え、回転駆動手段は、球研磨部材をロータの周速度と異なる速度で巻取るように、巻取り側のリールを回転させることが、好ましい。
【0010】
請求項またはにおいて、巻出し側のリールの回転を制動する制動手段を、更に備えることが、好ましい。
【0011】
請求項またはにおいて、少なくとも球研磨部材と一対のリールとを収容したケースを、更に備え、ケースが、ロータハウジング側に対し着脱自在に構成されていることが、好ましい。
【0012】
請求項1ないしのいずれかにおいて、球導入路は、遊技球1個分の通路幅で形成されると共に下流端がロータハウジング内に臨む球整列通路を有しており、球整列通路の上側に臨み、球整列通路に導入された遊技球を打撃して、上流側に積み重なるように導入された遊技球を下流側で一列に整列させる球整列手段を、更に備えることが、好ましい。
【0013】
請求項において、球整列手段は、球整列通路の上流部に臨む基部でフレームに揺動自在に支持され、球整列通路の下流端を越えて先方に延びる揺動板と、揺動板に取り付けられたカムフォロアと、ロータに同期して回転すると共にカムフォロアが転接するカムとを有し、揺動板は、球整列通路の上流側の路面との間に遊技球の複数個分の間隙を存して対向すると共に、下流側の路面との間に遊技球1個分の間隙を存して対向していることが、好ましい。
【0014】
請求項1ないしのいずれかにおいて、球導入路の下流端下側のロータハウジングに臨み、ロータとの間に導入された遊技球の外側への移動を許容する噛合せ手段を、更に備えることが、好ましい。
【0015】
請求項において、噛合せ手段は、下端部でフレームに回動自在に支持され、上方に延びる押え板と、押え板をロータ側に付勢するばねと、ばねに抗して押え板の回動を、ロータの溝部に保持された遊技球の通過を許容する鉛直位置に規制するストッパとを有することが、好ましい。
【0016】
請求項1ないしのいずれかにおいて、ガイド部材に対向して球揚送路の上流端に臨み、ガイド部材を介してロータハウジングから球揚送路に送り込まれる遊技球の移動を許容すると共に、球揚送路からロータハウジングへの遊技球の移動を阻止する逆止め手段を、更に備えたことが、好ましい。
【0017】
請求項10において、逆止め手段は、下端部でフレームに回動自在に支持され、上端部で球揚送路の上流端に臨む逆止め部材と、逆止め部材を球揚送路に臨む方向に付勢するばねと、ばねに抗して逆止め部材を、球揚送路の上流端に臨む逆止位置に規制するストッパとを有し、逆止め部材の上端部には、球揚送路への遊技球の導入を許容する傾斜面と、傾斜面に連なり遊技球の移動を阻止する阻止面とが形成されていることが、好ましい。
【0018】
【作用】
請求項1の揚送研磨装置によれば、球導入路からロータハウジング内に導入された遊技球は、ロータの外周面に形成された溝部に保持され、ロータの回転により先方に回転送りされてゆく。この回転送りの途中で遊技球は、球研磨部材に摺接して研磨される。さらに回転送りされた遊技球は、ガイド部材によりロータハウジング内から球揚送路に導かれ、後続の遊技球に押し上げられるようにして球揚送路を上昇してゆく。
【0019】
この場合、遊技球は、ロータの溝部に保持された状態で球研磨部材に摺接する。このため、遊技球は、ロータの溝部との間で面接触となりある程度の摩擦力を受ける。すなわち、遊技球のロータから受ける摩擦力と球研磨部材から受ける摩擦力とがある程度拮抗し、遊技球は、球研磨部材の表面に対し完全に転動することなく擦られる。その際、ロータの溝部の溝底に、保持した遊技球の回転を制動する制動部材を設けることにより、遊技球とロータとの間の摩擦力を大きくすることができ、遊技球を球研磨部材の表面に十分に擦り付けることができる。したがって、遊技球の研磨が十分に促進され、遊技球の球研磨部材に摺接する摺接距離を短くすることができる。
【0021】
請求項の揚送研磨装置によれば、球研磨部材がロール状に巻回された研磨紙で構成され、球研磨部材をそれぞれ巻取り・巻出し自在な一対のリールを備えることにより、この一対のリールから、遊技球の研磨により球研磨部材の汚れた部分を巻き取り、球研磨部材の綺麗な部分を巻き出すことができ、汚れた球研磨部材の交換の手間を省くことができる。
【0022】
請求項の揚送研磨装置によれば、回転駆動手段が、ロータの回転に同期して、球研磨部材をロータの周速度と異なる速度で巻取るように、巻取り側のリールを回転させることにより、球研磨部材の巻取り・巻出しをロータの回転に合わせて自動的に行うことができる。また、その際の、巻取り速度をロータの周速度と異なるようにしているため、遊技球と球研磨部材との擦れ合いに支障を生ずることがない。さらに、この巻取り速度で、遊技球と球研磨部材との擦れ合う度合を調節することができる。
【0023】
請求項の揚送研磨装置によれば、巻出し側のリールの回転を制動する制動手段を備えることにより、巻き出してゆく球研磨部材の張りを保持することができ、遊技球を球研磨部材に適切に摺接させることができる。
【0024】
請求項の揚送研磨装置によれば、少なくとも球研磨部材と一対のリールとを収容したケースを更に備え、ケースがロータハウジング側に対し着脱自在に構成されていることにより、球研磨部材をカセット式でケースと共に簡単に交換することができる。
【0025】
請求項の揚送研磨装置によれば、球導入路に導入した遊技球を、上下の積なりを許容すると共に幅規制して球整列通路に導き、球整列通路において、遊技球を上側から打撃して一列に整列させるため、高さ(上下)と幅とを同時に規制して整列させるものに比して、遊技球が詰まり難いものとすることができる。また、先に幅を規制して、後に高さを規制することにより、最終段階で遊技球の自重を利用した整列動作とすることができ、遊技球の整列を効率よく行うことができる。しかも、球整列手段を用いて遊技球を打撃するようにしているため、遊技球の整列を確実なものすることができ、かつ遊技球の詰まりを確実に防止することができる。
【0026】
請求項の揚送研磨装置によれば、カムフォロアとカムとから成るカム機構により、揺動板をロータの回転に同期して揺動させ、この揺動板により、球整列通路の遊技球を打撃するため、簡単な構造で球整列手段を構成することができる。また、揺動板は、球整列通路の上流側の路面との間に遊技球の複数個分の間隙を存して対向すると共に、下流側の路面との間に遊技球1個分の間隙を存して対向しているため、遊技球の整列過程に対応するようにして、遊技球を打撃することができ、より一層、遊技球の整列を確実なものすることができ、かつ遊技球の詰まりを確実に防止することができる。
【0027】
請求項の揚送研磨装置によれば、球導入路の下流端下側のロータハウジングに臨み、ロータとの間に導入された遊技球の外側への移動を許容する噛合せ手段を備えることにより、ロータハウジングに導入された遊技球が、ロータの溝部と溝部の間の部分に噛むと、遊技球はロータに押される。このとき、噛合せ手段が遊技球の外側への移動を許容するため、ロータの回転は続行され、遊技球は次の溝部に落ち込む。これにより、ロータと遊技球とを適切に噛み合わせることができ、ロータやロータハウジング等の破損を有効に防止することができる。
【0028】
請求項の揚送研磨装置によれば、ロータハウジングに導入された遊技球が、ロータの溝部に噛み合うと、ストッパに規制され鉛直位置にある押え板は、そのまま遊技球の通過を許容する。一方、遊技球が、ロータの溝部と溝部の間の部分に噛むと、遊技球はロータに押され、ばねに抗して押え板が外側に回動する。この回動により、遊技球は押え板の部分にいったん留まり、次の溝部に落ち込む。この場合、噛合せ手段を、押え板、ばねおよびストッパという、極めて簡単な構造で構成することができる。
【0029】
請求項10の揚送研磨装置によれば、ロータハウジングから球揚送路に送り込まれる遊技球の移動を許容すると共に、球揚送路からロータハウジングへの遊技球の移動を阻止する逆止め手段を設けることにより、ロータが停止したときに、球揚送路からロータハウジングへ遊技球が逆送されてしまうのを、防止することができる。
【0030】
請求項11の揚送研磨装置によれば、ガイド部材を介して、遊技球がロータハウジングから球揚送路に送り込まれると、遊技球が逆止め部材の傾斜面に当接して、逆止め部材をばねに抗して回動させる。一方、ロータが停止し、遊技球が球揚送路からロータハウジングに逆送されようとすると、逆止め部材は、ばねにより逆止位置に回動し、遊技球は阻止面に当たってその逆送を阻止される。
【0031】
【実施例】
以下、添付図面を参照して、本発明の揚送研磨装置の好適な実施例について詳細に説明する。
【0032】
図1は揚送研磨装置の裁断側面図、図2はその裁断正面図、図3はその部分裁断平面図、図4はその背面図である。これらの図に示すように、揚送研磨装置1は、左右2枚の側板2間にスペーサを渡して構成したフレーム3内に、横並びに配設した3個のロータ4と、各ロータ4に沿わせて設けたロータハウジング5とを備え、図1の左斜め上側からロータハウジング5内に導入した遊技球Aを、回転するロータ4により、ロータハウジング5に案内させて回転送りすると共に、遊技球Aを図1の右斜め上側の位置でロータハウジング5から離脱させて、上方に揚送する。
【0033】
フレーム3の上部には、遊技球Aをロータハウジング5内に導入する球導入路6が配設されており、球導入路6は、図外の遊技球回収タンクに連なる球受樋7と、球受樋7の下流端に連なる3列の球整列通路8とで構成されている。遊技球回収タンクから送られてきた遊技球Aは、球導入路6から折り返すようにして各球整列通路8に導かれ、球整列通路8の上側に配設した球整列手段9により、各球整列通路8において、一列に整列された後、ロータハウジング5内に導かれる。
【0034】
各ロータ4の外周面には、遊技球Aを1個ずつ受容する溝部10が形成され、遊技球Aは、この溝部10に保持されるようにして、ロータハウジング5内を回転送りされてゆく。この場合、球整列通路8からロータハウジング5内に導入した遊技球Aが、溝部10に適切に入り込むように、球整列通路8の下流端の下側には、ロータハウジング5に臨むように噛合せ手段11が配設されている。
【0035】
ロータ4の下側には、フレーム3に着脱自在に取り付けられた研磨カセット12が配設されており、研磨カセット12に備える研磨紙13が、ロータ4に沿ってロータハウジング5に臨んでいる。ロータ4の回転によりこの部分を通過する遊技球Aは、研磨紙13に擦り付けられるようにして、先方に送り出されてゆく。
【0036】
図1の右斜め上側には、ロータハウジング5から図外の遊技球供給タンクまで上方に長く延びる球揚送路14が配設され、球揚送路14は、フレーム3内に配設した3列のガイド通路15と、各ガイド通路15の上側にそれぞれ連なる3列の縦樋16とで構成されている。また、球揚送路14の上流端(下端)とロータハウジング5との間には、遊技球Aをロータハウジング5から球揚送路14に導く3個のガイド爪17が配設され、かつこの3個のガイド爪17に対向して逆止め手段18が配設されている。ロータ4により送られてきた遊技球Aは、ガイド爪17により球揚送路14に導びかれると共に、逆止め手段18により逆送を阻止された状態で、下側から順次押されるようにして上昇してゆく。
【0037】
ここで、図1ないし図4を参照しながら、更に各構成要素を詳細に説明する。
【0038】
図2に示すように、横並びに配設した3個のロータ4は、ボス部を有する両外端の樹脂部材と、この2枚の樹脂部材に挟み込まれた2枚の樹脂部材とで構成され、これら樹脂部材を貫く主軸21により、フレーム3に、軸受22を介して回転自在にかつ両持ちで支持されている。各ロータ4の外周面には、遊技球Aを1個ずつ受容する複数の溝部10が等間隔に形成されている。各溝部10は、両溝壁に遊技球Aに合致する球形の曲面を形成したものであり、この溝壁を側面から見ると、全体として図1のようにスプロケット形状になる。また、各ロータ4の外周面には、溝部10の溝底に臨んで凹部が形成されており、凹部には、シリコンゴムなどで構成したゴムリング23が嵌合している。このゴムリング23は、溝部10に受容した遊技球Aに接触し、遊技球Aの回転を制動して、遊技球Aの研磨紙13への擦り付けが良好になるように、構成されている。
【0039】
一方、図示では省略されているが、図1の左下部のフレーム3内には、駆動モータが収容され、駆動モータとロータ4の主軸21とは、フレーム3の一方の外側面に配設した減速歯車列を介して、接続されている。なお、上記のゴムリング23に代えて、各溝部10の溝底にゴムチップ等を埋め込むようにしてもよい。
【0040】
ロータハウジング5は、各構成要素が臨む部分を除いて、ロータ4に沿うように設けられており、ロータ4とロータハウジング5との間隙は、ロータ4の溝部10に受容された遊技球Aががたつかない程度となっている。
【0041】
遊技球回収タンクに連なる球導入路6の球受樋7は、上流側が広く下流側が狭く形成され、上流から下流に向かって緩く傾斜している。球受樋7の下流端は、ほぼ3個の遊技球Aが横並びになる幅に形成されており、遊技球Aはこの部分からほぼ3列になって、続く3列の球整列通路8に、それぞれ落とし込まれてゆく。
【0042】
各球整列通路8は、遊技球Aの1個分の通路幅を有し、球受樋7との接続部分は、長方形の長孔24となっている(図3参照)。球整列通路8の上流側は、遊技球Aが2〜3個積み重なるのを許容できる深さに、また下流側は遊技球A1個分の深さにそれぞれ形成されており、ロータ4に向かって緩く傾斜している。
【0043】
球整列通路8の上側に配設した球整列手段9は、球整列通路8の下流部上側の通路壁に揺動自在に支持された揺動軸25と、一端を揺動軸25に固定され、3列の球整列通路8を覆ってロータ4の上側まで延びる揺動板26と、揺動板26の先端部両側から垂下した左右一対の支持板27と、各支持板27の下端部に回転自在に取り付けたローラフォロア28と、このローラフォロア28が転接する板カム29と、揺動板26の先端部上側に取り付けた重錘30とで構成されている。板カム29は、ロータ4を構成する上記樹脂部材のボス部を利用して形成したものであり、輪郭曲線が四隅にアールを有する正四角形に形成されている。これにより、ロータ(主軸21)4が1回転すると、ローラフォロア28を介して揺動板26が上下方向に4回揺動する。この場合、重錘30は、ローラフォロア28を板カム29に対して共役的に動くようにするためのものである。したがって、重錘30に代えてばねを用いてもよく、なんとなれば、揺動板26自体を板ばねで構成するようにしてもよい。
【0044】
揺動板26は、球整列通路8の路面に対し、上流側に位置する基部では遊技球Aが2〜3個積み重なるのを許容できる間隙を存して対向し、下流側に位置する中間部では遊技球Aが1個分の間隙を存して対向している。板カム29の回転により、揺動板26が激しく揺動すると、球整列通路8の上流側で積み重なるように転動してきた遊技球Aは、上から叩かれながら下流側に転動し、最終的に一列に整列して、ロータハウジング5内に導かれる。
【0045】
このように、遊技球Aを先ず横方向に整列させ、次に縦方向に整列させる方法を採ることにより、遊技球Aの詰まりを有効に防止することができる。また、球整列通路8において、揺動板26により遊技球Aを打撃しながら整列させるようにしているので、遊技球Aを確実に整列させることができ、且つこの部分における遊技球Aの詰まりを防止することができる。
【0046】
球整列通路8の下流端の下側に配設した噛合せ手段11は、フレーム3に取り付けた支軸31と、下端部で支軸31に回動自在に取り付けた3枚の押え板32と、支軸31に巻回され各押え板32をロータ4側に付勢する3個の捻りばね33と、捻りばね33に抗して各押え板32を鉛直姿勢に規制するストッパ34とで、構成されている。3枚の押え板32は、ロータ4の溝部10に受容された遊技球Aが通過可能な間隙を存して、それぞれ3個のロータ4に対峙している。
【0047】
遊技球Aは、球整列通路8から連続的に送り込まれてきている状態では、順次ロータ4の溝部10に噛み合うようにして受容されるが、遊技球Aが断続的に送り込まれてくると、その最初の遊技球Aが溝部10と溝部10の間の凸部に噛む場合がある。すると、遊技球Aが押え板32に押し付けられ、捻りばね33に抗して押え板32が外側に上向きに回動して、遊技球Aを外側に逃がす。ここで遊技球Aはいったん停止するが、凸部に続く次の溝部10が遊技球Aに位置まで進んできて、これに噛み合うことになる。
【0048】
このように、ロータハウジング5の入口部分に噛合せ手段11を設けることにより、遊技球Aが断続的に送り込まれても、遊技球Aがロータ4と常に適切に噛み合い、ロータ4の停止、破損などの支障を生ずることがない。
【0049】
研磨カセット12は、左右に側板35を有するケース36内に、巻出し・巻取りリール37,38を前後に備えて構成されている。巻出しリール37には研磨紙13がロール状に巻回され、巻出しリール37から巻き出された研磨紙13は、ロータ4に沿って弧状に延設され、巻取りリール38に巻き取られるようになっている。ケース36の側板35間には、ロータ4に沿って弧状に当て板39が渡されており、当て板39の溝にはクッション40がこれに沿って設けられている。そして、クッション40の上側に研磨紙13が配設されている(図6参照)。
【0050】
研磨紙13は、ロータ4の回転に同期させて、巻取りリール38で研磨紙13をゆっくり巻取ることにより、クッション40の上面をゆっくり走行する。図4および図7に示すように、巻出しリール37および巻取りリール38には、その外周部にゴムリング41がそれぞれ取り付けられ、このゴムリング41とロータ4の主軸21との間に減速摩擦車列42が介在されている。ロータ4の主軸21から入力した回転動力は、減速摩擦車列42を介してゴムリング41に伝達され、ロータ4に同期して巻取りリール38をゆっくり回転させる。一方、図1および図2に示すように、巻出しリール37のゴムリング41には、制動ローラ(制動手段)43が接触しており、巻出しリール37から巻き出されてゆく研磨紙13を制動して、研磨紙13に張りを持たせるようにしている。
【0051】
この場合、減速摩擦車列42の滑り回転により、制動ローラ43の制動と巻取りリール38の回転力とは、微妙に釣り合っており、実際の研磨紙13の走行は、ロータ4により回転送りされる遊技球Aの摩擦力によっている。すなわち、制動ローラ43は、遊技球Aの摩擦力に抗して研磨紙13に張りを持たせ、巻取りリール38は、遊技球Aの摩擦力により押されれてゆく研磨紙13の弛みを取るように、作用している。
【0052】
この場合、遊技球Aはロータ4に巻回した上記のゴムリング23により、ロータ4の溝部10内で回転を制動される。このため、遊技球Aが研磨紙13に摺接するときには、遊技球Aは研磨紙13に転接することなく、擦り付けられる(図6参照)。このため、遊技球Aは、研磨紙13により良好に研磨される。もちろん、この研磨紙13の部分を通過する遊技球Aは、部分的に研磨されることになるが、遊技球Aは常に遊技球回収タンクと遊技球供給タンクの間を循環しているため、数度の循環で全体が良好に研磨されることになる。また、研磨紙13をゆっくり巻取るようにしているので、研磨紙13の交換を連続的に、かつ自動的に行うことができ、研磨紙13を良好な状態で遊技球Aと摺接させることができる。さらに、遊技球Aが効率よく研磨されるので、研磨紙13と遊技球Aとの摺接距離を短くすることができ、その分、駆動モータの負荷を軽減することができ、また装置全体としてコンパクトに構成することができる。なお、減速摩擦車列42に代えて、歯車やベルトを用いてもよい。また、巻出しリール37と巻取りリール38の位置を逆にし、ロータ4の回転と逆方向に研磨紙13を走行させるようにしてもよい。なお、実施例では、球研磨部材として研磨紙を挙げたが、研磨布や研磨フィルム等を用いてもよい。
【0053】
一方、ケース36は、図4および図5に示すように、上端部の前後方向の一方に設けた折曲げ片44により、フレーム3に設けたピン45に回動自在に掛け止めされ、他方に設けたロッド46により、フレーム3に設けたフック47に掛け止めされている。フック47は、フックプレート48の両側に位置する折曲げ部分に形成されており、支軸49を中心に回動自在に構成されている。フックプレート48は、支軸49に巻回した左右一対の捻りばね50により掛止め方向に付勢され、かつフックプレート48の内側に臨ませたストッパピン51により、捻りばね50に抗して掛止め方向の回動が規制されている。
【0054】
ケース36を取り付ける場合には、ケース36を傾けておいて、先ずフレーム3側のピン45に折曲げ片44を引っ掛け、このピン45を中心にケース36を回動させて、フレーム3側に押し付ける。このとき、ケース36のロッド46が、捻りばね50に抗してフックプレート48を外側に押すが、次の瞬間にロッド46がフック47の溝に落ちて、自動的に掛け止めが行われる。逆に、ケース36を取り外す場合には、フックプレート48を外側に引いてフック47をロッド46から外し、次にケース36を下側へ回動させ、最後にピン45から折曲げ片44を外すようにする。このように、研磨カセット12を着脱自在に構成しているので、研磨紙13の交換が容易になると共に、取扱い性が良好になる。
【0055】
球揚送路14の上流端(下端)に設けた各ガイド爪17は、球揚送路14のガイド通路15に沿って配設され、下端がロータ4の溝部10に挿入されている。ガイド爪17の先端部は鋭利に形成され、一方の面がガイド通路15の一部を構成し、他方の面がロータ4に巻回したゴムリング23に近接し、これに沿って配設されている。ロータ4によりこの部分まで回転送りされてきた遊技球Aは、ロータ4の溝部10から離されて、ガイド通路15に導かれる。
【0056】
一方、ガイド爪17に対向して配設された逆止め手段18は、図1および図4に示すように、フレーム3に取り付けた支軸52と、下端部で支軸52に回動自在に取り付けた3枚の逆止め部材53と、各逆止め部材53をロータ4側に付勢する板ばね54と、板ばね54に抗して各逆止め部材53を逆止位置に規制するストッパ55とで構成されている。板ばね54は、図4に示すように、上端でフレーム3にねじ止めされており、下部でフォーク状に形成され、この各フォーク片54aが各逆止め部材53に、それぞれ当接している。逆止位置における各逆止め部材53の先端部は、その起立面53aがストッパ55に当接し、起立面53aの下側に連なる阻止面53bがガイド通路15の下端に臨んで、遊技球Aがガイド通路15から落下するのを阻止している。また、阻止面53bに連なるロータ4側の部分は、下側から通過する遊技球Aが逆止め部材53を押すための傾斜面53cとなっている。
【0057】
ロータ4により送られてきた遊技球Aは、ガイド爪17によりガイド通路15に導かれるが、このとき、板ばね54に抗して逆止め部材53を外側に押しやりながら、ガイド通路15に送り込まれてゆく。一方、ロータ4の回転が停止すると、逆止め部材53は板ばね54により、逆止位置に回動して、遊技球Aの落下を阻止する。このように、遊技球Aの逆止め手段18を設けることにより、ロータ4が停止したときに、遊技球Aが逆送されるのを防止することができる。
【0058】
以上のように本実施例によれば、ロータ4の溝部10に保持するようにして遊技球Aを回転送りし、この回転送りの途中で、遊技球Aを研磨紙13に擦り付けるようにしているので、遊技球Aの揚送と研磨とを同時に行うことができる。この場合、溝部10内の遊技球Aの回転をゴムリング23により制動しているので、遊技球Aに対する、ロータ4側の摩擦力が研磨紙13側の摩擦力より大きくなり、遊技球Aはほとんど回転することなく、研磨紙13に擦り付けられる。したがって、遊技球Aを効率よく研磨することができる。一方、研磨紙Aをロール状に巻回し、ゆっくり巻出し・巻取りすようにしているので、研磨紙13を最良の状態で遊技球Aと摺接させることができ、または研磨紙13をカセット形式で交換できるようにしているので、取扱いが極めて良好になる。
【0059】
なお、本実施例では、研磨紙を巻出し・巻取る形式にしたが、単に回転送りされる遊技球に押し当てる形式であってもよいし、カセット形式にしなくてもよい。また、球整列手段、噛合せ手段および逆止め手段を、その機能が発揮される限り他の構造により、構成することも可能である。
【0060】
【発明の効果】
以上のように本発明の揚送研磨装置によれば、遊技球を球研磨部材に擦り付けることができるので、遊技球を効率よく研磨することができ、その分、動力の負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る揚送研磨装置の部分裁断側面図である。
【図2】実施例に係る揚送研磨装置の部分裁断正面図である。
【図3】実施例に係る揚送研磨装置の平面図である。
【図4】実施例に係る揚送研磨装置の背面図である。
【図5】研磨カセット廻りの側面図である。
【図6】研磨紙と遊技球との関係を表した側面図である。
【図7】研磨カセットの動力系を示す構造図である。
【図8】従来の揚送研磨装置の構造図である。
【符号の説明】
1 揚送研磨装置
3 フレーム
4 ロータ
5 ロータハウジング
6 球導入路
8 球整列通路
9 球整列手段
10 溝部
11 噛合せ手段
12 研磨カセット
13 研磨紙
14 球揚送路
17 ガイド爪
18 逆止め部材
23 ゴムリング
26 揺動板
32 押え板
36 ケース
37 巻出しリール
38 巻取りリール
43 制動ローラ
53 逆止め部材
A 遊技球

Claims (11)

  1. 外周面に遊技球を保持する複数の溝部を有し、保持した遊技球を回転送りするロータと、
    当該ロータの外周面に沿って配設され、当該ロータの回転送りに伴う遊技球の移動を案内するロータハウジングと、
    当該ロータハウジング内に遊技球を導く球導入路と、
    前記ロータハウジング内から送り出された遊技球を上方に導く球揚送路と、
    前記ロータにより回転送りされる遊技球を前記ロータハウジング内から前記球揚送路に導くガイド部材と、
    前記ロータハウジング内に臨み、前記ロータにより移動する遊技球に摺接してこれを研磨する球研磨部材と、
    これらロータ、ロータハウジング、球導入路、球揚送路、ガイド部材および球研磨部材を支持するフレームとを備え
    前記ロータは、前記溝部の溝底に保持した遊技球の回転を制動する制動部材を有することを特徴とする揚送研磨装置。
  2. 前記球研磨部材はロール状に巻回された研磨紙で構成されており、
    前記球研磨部材をそれぞれ巻取り・巻出し自在に巻回した一対のリールを、更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の揚送研磨装置。
  3. 前記巻取り側のリールを回転させる回転駆動手段を、更に備え、
    当該回転駆動手段は、前記球研磨部材を前記ロータの周速度と異なる速度で巻取るように、前記巻取り側のリールを回転させることを特徴とする請求項2に記載の揚送研磨装置。
  4. 前記巻出し側のリールの回転を制動する制動手段を、更に備えたことを特徴とする請求項2または3に記載の揚送研磨装置。
  5. 少なくとも前記球研磨部材と前記一対のリールとを収容したケースを、更に備え、
    当該ケースが、前記ロータハウジング側に対し着脱自在に構成されていることを特徴とする請求項2、3または4に記載の揚送研磨装置。
  6. 前記球導入路は、遊技球1個分の通路幅で形成されると共に下流端が前記ロータハウジング内に臨む球整列通路を有しており、
    当該球整列通路の上側に臨み、当該球整列通路に導入された遊技球を打撃して、上流側に積み重なるように導入された遊技球を下流側で一列に整列させる球整列手段を、更に備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の揚送研磨装置。
  7. 前記球整列手段は、前記球整列通路の上流部に臨む基部で前記フレームに揺動自在に支持され、前記球整列通路の下流端を越えて先方に延びる揺動板と、
    当該揺動板に取り付けられたカムフォロアと、
    当該ロータに同期して回転すると共に前記カムフォロアが転接するカムとを有し、
    前記揺動板は、前記球整列通路の上流側の路面との間に遊技球の複数個分の間隙を存して対向すると共に、下流側の路面との間に遊技球1個分の間隙を存して対向していることを特徴とする請求項6に記載の揚送研磨装置。
  8. 前記球導入路の下流端下側の前記ロータハウジングに臨み、前記ロータとの間に導入された遊技球の外側への移動を許容する噛合せ手段を、更に備えたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の揚送研磨装置。
  9. 前記噛合せ手段は、下端部で前記フレームに回動自在に支持され、上方に延びる押え板と、
    当該押え板を前記ロータ側に付勢するばねと、
    当該ばねに抗して前記押え板の回動を、前記ロータの溝部に保持された遊技球の通過を許容する鉛直位置に規制するストッパとを有することを特徴とする請求項8に記載の揚送研磨装置。
  10. 前記ガイド部材に対向して前記球揚送路の上流端に臨み、当該ガイ ド部材を介して前記ロータハウジングから前記球揚送路に送り込まれる遊技球の移動を許容すると共に、前記球揚送路から前記ロータハウジングへの遊技球の移動を阻止する逆止め手段を、更に備えたことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の揚送研磨装置。
  11. 前記逆止め手段は、下端部で前記フレームに回動自在に支持され、上端部で前記球揚送路の上流端に臨む逆止め部材と、
    当該逆止め部材を前記球揚送路に臨む方向に付勢するばねと、
    当該ばねに抗して当該逆止め部材を、前記球揚送路の上流端に臨む逆止位置に規制するストッパとを有し、
    前記逆止め部材の上端部には、前記球揚送路への遊技球の導入を許容する傾斜面と、当該傾斜面に連なり遊技球の移動を阻止する阻止面とが形成されていることを特徴とする請求項10に記載の揚送研磨装置。
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