本発明におけるアクリルアミド系ポリマーは、アクリルアミドおよび/またはメタアクリルアミドから形成されるポリマー、もしくは、アクリルアミド系ポリマーを構成する全モノマー成分に対しアクリルアミドおよび/またはメタアクリルアミドを最大成分として含有する共重合体をいうが、紙力増強剤として使用する場合、アクリルアミドおよび/またはメタアクリルアミドを50モル%以上含有することが好ましく、さらに好ましくは74〜99.97モル%、特に好ましくは94〜99.98モル%である。
本発明でいう重量平均分子量(a)は、静的光散乱法により求めることができる。具体的には、多角度の光散乱検出装置を使用し、ジムプロット等を作成することにより、値を得ることができる。あるいは、GPCに多角度光散乱検出器を接続したGPC−MALLS法により、デバイプロット等を作成することにより、得ることができる。
また、重量平均慣性半径(b)は、上記GPC−MALLS法により測定される。
一般に光散乱法による分子量測定には、以下の光散乱の基礎式
Kc/R(θ)=1/MwP(θ)+2A2 c+・・・
R(θ)=角度θにおける散乱光(レイリー係数)の還元強度
c=サンプル濃度
Mw=重量平均分子量
A2 =第2ビリアル係数
K=光学パラメーター
P(θ)=角度散乱関数
が用いられるが、本発明でいう、重量平均分子量(a)は、GPCに低角度光散乱検出器を接続したGPC−MALLS法と同様、第2ビリアル係数である第2項以降を無視した値をいうものとする。
また、本発明でいう重量平均慣性半径(b)は、重量平均の根平均自乗慣性半径(Root Mean Square Radius、一般的に<S2 >1/2 で示される)のことをいう。
重合体の平均的な架橋度を知るには、重量平均分子量と分子サイズ(慣性半径など)との関係を知ることが重要となる。一般に、同一組成、同一分子量におけるポリマーの分子サイズは、ポリマーの分岐架橋度が大きいものほど、小さいことが知られている。したがって、アクリルアミド系ポリマーにおける重量平均分子量(a)と重量平均慣性半径(b)の範囲を規定した場合の両者の比(b)/(a)は、平均架橋度を示す指標として使用できる。
本発明におけるアクリルアミド系ポリマーの重量平均分子量(a)は、1,500,000〜10,000,000、重量平均慣性半径(b)は、30〜150nm、(b)/(a)が0.00004以下である。ポリマーが均一な分岐架橋構造を備えていることが好ましいことを考慮すると、好ましくは、重量平均分子量(a)が、2,000,000〜8,000,000であり、重量平均慣性半径(b)が40〜120nmであり、(b)/(a)は、0.000035以下である。
本発明におけるアクリルアミド系ポリマーの数平均分子量(c)が400,000〜5,000,000が好ましく、重量平均分子量(a)と(c)の比(a)/(c)が、6以下が好ましいが、ポリマーが均一な分岐架橋構造を備えているのが好ましいことを考慮すると、更に好ましくは、数平均分子量(c)が500,000〜3,000,000であり、(a)/(c)が4以下である。なお、上記数平均分子量(c)とは、絶対数平均分子量のことであり、GPC−MALLS法により測定可能である。重量平均分子量(a)と数平均分子量(c)との比(a)/(c)は、ポリマーの分子量分布を示すものである。
本発明のアクリルアミド系ポリマーにおいて、1,000,000以上の分子量を有するものの割合は40重量%以上が好ましく、ポリマーが均一な分岐架橋構造を備えていることが好ましいことを考慮すると、より好ましくは50重量%以上であり、さらに好ましくは60重量%以上である。この場合の分子量とは、GPC−MALLS法により測定した絶対分子量をいい、GPC−MALLS法による絶対分子量の分布曲線から知ることができる。
以上の光散乱法によるポリマーの分子量、慣性半径等の値は、N/10硝酸ナトリウムを含むN/15リン酸緩衝液(pH7)を溶媒(溶離液)として測定することができる。
本発明のアクリルアミド系ポリマーにおいて、動的光散乱法による水和径は好ましくは50〜300nmであり、さらに好ましくは70〜300nmである。動的光散乱法による水和径は、アインシュタイン−ストークス式による流体力学的径をいい、N/10硝酸ナトリウムを含むN/15リン酸緩衝液(pH7)を溶媒(溶離液)として、0.1%のポリマー濃度で散乱角90°で測定した値(温度20℃)をいう。具体的には、コールター社のN4型サブミクロン粒子分析装置などの装置により、測定できる。データ解析は、上記装置では、プログラムCONTINを用いたSDP分析などによる。
本発明のアクリルアミド系ポリマーの10%水溶液濃度におけるブルックフィールド粘度が20〜10,000センチポイズ/25℃、もしくは15%水溶液濃度におけるブルックフィールド粘度が100〜30,000センチポイズ/25℃であることが好ましく、さらに好ましくは、300〜20,000センチポイズ/25℃である。
本発明のアクリルアミド系ポリマーの例としては、例えばアクリルアミドまたはメタアクリルアミドとメタリルスルホン酸の塩類を1種または2種以上共重合して得られるアクリルアミド系ポリマーが挙げられる。
メタリルスルホン酸の塩類について、その塩とは例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩等である。その具体例としては、例えば、メタリルスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸塩アンモニウム等を例示することができる。
これら化合物の量としては、アクリルアミド系ポリマーを構成する全モノマーの総量に対し、0.005〜30モル%であるが、ポリマーが均一な分岐架橋構造を備えていることが好ましいことから、好ましくは0.01〜20モル%、さらに好ましくは、0.05〜10モル%である。また内添用紙力増強剤として使用する場合は0.01〜5モル%が好ましく、0.05〜5モル%が最も好ましい。これらの化合物は、一種もしくは、2種以上併用して使用することができる。
なお、メタリルスルホン酸およびその塩については、アクリルアミドの分子量調整剤としての効果が米国特許4451628号に記載されている。しかしながら、この方法は、低分子量のアクリルアミド系ポリマーが得られることを示したものであり、本発明の分岐・架橋構造を制御したポリマーとは得られる重合体において全く異なるものである。
さらに、メタリルスルホン酸の塩類に加え、架橋性モノマーを使用することにより、本発明のアクリルアミド系ポリマーをより容易に得ることができる。
かかる架橋性モノマーを具体的に列記すると、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタアクリルアミド、エチレンビスアクリルアミド、エチレンビスメタアクリルアミド、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタアクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルアクリルアミドなどの2官能型架橋性モノマー、あるいは、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−S−トリアジン、トリアリルイソシアヌレート、トリアクリル酸ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンアクリレート、トリアクリルホルマール、ジアクリロイルイミド等の多官能型架橋性モノマーを例示することができる。これらの架橋性モノマーの量としては、アクリルアミド系ポリマーを構成する全モノマーの総量に対し、0.005〜5モル%であることが好ましい。ポリマーが均一な分岐架橋構造を備えていることが好ましいことから、0.01〜2モル%であることがさらに好ましく、0.01〜1モル%が特に好ましい。これら化合物は、1種もしくは、2種以上併用して使用することができる。
本発明におけるアクリルアミド系ポリマーは、アクリルアミドおよび/またはメタクリルアミドに加えて種々のビニルモノマーの1種またはそれ以上を共重合させることによっても製造できる。それらには、イオン性モノマー、親水性モノマー、疎水性モノマーなどがあげられる。
イオン性モノマーのうちアニオン性モノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などの不飽和カルボン酸およびそれらの塩、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸およびそれらの塩が挙げられる。
カチオン性モノマーとしては、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N−N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアミンおよびそれらの塩(4級化物も含む)等をあげることができる。
親水性モノマーとしては、例えば、アセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルモルホリン、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、各種のメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン等をあげることができる。
疎水性モノマーとしては、例えばN,N−ジ−n−プロピルアクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミド、N−n−ヘキシルアクリルアミド、N−n−ヘキシルメタクリルアミド、N−n−オクチルアクリルアミド、N−n−オクチルメタクリルアミド、N−tert−オクチルアクリルアミド、N−ドデシルアクリルアミド、N−n−ドデシルメタクリルアミド等のN−アルキル(メタ)アクリルアミド誘導体、N,N−ジグリシジルアクリルアミド、N,N−ジグリシジルメタクリルアミド、N−(4−グリシドキシブチル)アクリルアミド、N−(4−グリシドキシブチル)メタクリルアミド、N−(5−グリシドキシペンチル)アクリルアミド、N−(6−グリシドキシヘキシル)アクリルアミド等のN−(ω−グリシドキシアルキル)(メタ)アクリルアミド誘導体、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート誘導体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィン類、スチレン、αメチルスチレン、ブタジエン、イソプレン等をあげることができる。
共重合に供せられるビニルモノマーの使用量は、ビニルモノマーの種類、およびそれらの組合せにより異なり、一概には言えないが、概ね0〜50モル%の範囲にある。アクリルアミド系ポリマーを紙力増強剤として使用する場合は、アニオン性ポリマーが好ましくは0〜20モル%、より好ましくは0.5〜10モル%で使用され、かつカチオン性ポリマーが好ましくは0〜20モル%、より好ましくは0.5〜10モル%が最適である。
本発明に従って、濃度22−60%特に30−60%の範囲で25℃におけるブルックフィールド粘度が50,000cps以下で、重量平均分子量が500,000−10,000,000のアクリルアミドポリマーの水溶液が提供される。好ましくは、分岐架橋構造の均一性の点から、例えば、紙力増強剤用途に支障のない範囲の濃度とその分子量は、概ね、25%濃度で50万〜800万、30%濃度で50万〜600万、40%濃度で50万〜400万、50%濃度で50万〜300万である。
なお、ポリマー濃度はポリマー水溶液の絶乾ポリマー濃度を測定することにより得ることができる。測定方法としては、熱風乾燥法、ケット法等が挙げられる。
本発明におけるアクリルアミド系ポリマーの重合方法としてはラジカル重合が好ましい。重合溶媒としては水、アルコール、ジメチルホルムアミド等の極性溶媒が適用可能であるが、紙力増強剤として使用する場合は、水溶液重合であることが望ましい。水溶液重合の場合、ポリマーが析出沈降するなどして分散性を損なわない範囲でアルコール等の有機溶媒と併用使用することが可能である。
本発明におけるアクリルアミド系ポリマーの重合方法は、全モノマーを反応容器に一括で仕込み、重合する回分(バッチ)重合でもよい。しかし乍ら22%以上の高濃度水溶液を得る場合、特にモノマーの一部もしくは全部を反応容器中に滴下しながら重合する半回分(セミバッチ)重合法であることがより望ましい。セミバッチ重合法を行うことにより、モノマー高濃度液における重合熱を除去することが容易になるだけでなく、ポリマーの分岐架橋構造の均一化が容易になる等、分子構造の制御が可能となる。
重合時のモノマー+ポリマー濃度で示される重合濃度は、特に制限はなく、通常2〜40重量%、好ましくは5〜40重量%であるが、22重量%以上の高濃度水溶液を得る際は、以下の通りである。
すなわち、バッチ重合の場合の重合濃度は、概ね22〜40重量%である。22重量%より低い濃度で重合し、得られた重合反応液を濃縮操作により22重量%以上の濃度のポリマー水溶液としても差し支えないが、経済性の点で不利である。セミバッチ重合の場合には、滴下中の反応器内の重合濃度は、反応器内の初期モノマー濃度およびモノマーの滴下速度を調整することにより、任意に選択することができる。しかしながら、滴下終了時の重合濃度は、概ね22〜60重量%である。この場合、バッチ重合と同様、22重量%より低い濃度で重合し、濃縮操作により、22重量%以上の濃度のポリマー水溶液とすることも可能であるが、上述したような不利な点がある。
重合開始剤の制限は特にないが、水溶性のものであれば好ましい。モノマー水溶液に一括して添加してもよいし、滴下してもよい。具体的な重合開始剤として、過硫酸塩系、過酸化物系では、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、tert−ブチルパーオキサイド等が挙げられる。この場合、単独で使用する方が好ましいが、還元剤と組合せてレドックス系重合開始剤としても使用できる。還元剤としては、例えば亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、鉄、銅、コバルト塩などの低次のイオン化の塩、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン等の有機アミン、更にはアルドース、ケトース等の還元糖などを挙げることができる。
アゾ化合物も本発明において最も好ましい開始剤であり、2,2′−アゾビス−2−メチルプロピオンアミジン塩酸塩、2,2′−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2′−アゾビス−N,N′−ジメチレンイソブチルアミジン塩酸塩、2,2′−アゾビス−2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド、2,2′−アゾビス−2−(2−イミダゾリン−2−イル)−プロパンおよびその塩、4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸およびその塩等を使用することができる。更に、上記した重合開始剤を2種以上併用することも可能である。重合開始剤の量は、概ねモノマーに対し0.001〜5重量%である。
重合温度は単一重合開始剤の場合には、概ね30〜90℃であり、レドックス系重合開始剤の場合の開始温度はより低く概ね5〜50℃である。また、重合中同一温度に保つ必要はなく、重合の進行に伴い適宜変えてもよいが、一般に重合の進行に伴い発生する重合熱により昇温するため、必要に応じ、冷却を加える必要が生じる場合もある。その時の重合容器内の雰囲気は特に限定はないが、重合を速やかに行わせるには窒素ガスのような不活性ガスで置換した方がよい。重合時間は特に限定はないが、セミバッチ重合における滴下時間も含め、概ね1〜20時間である。重合pHも特に限定はないが、必要に応じpH調整して重合を行ってもよい。その場合使用可能なpH調整剤として水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等のアルカリ化剤、リン酸、硫酸、塩酸等の鉱酸、蟻酸、酢酸等の有機酸等が挙げられる。
上記のようにして、従来全く知られていないアクリルアミド系ポリマーおよびその水溶液を得ることができ、得られたポリマーおよび水溶液は、紙力増強剤として優れた諸効果を発揮し得る。以下に本発明のアクリルアミド系ポリマーを紙力増強剤として使用する場合についてさらに詳細に説明する。
紙力増強剤には、パルプスラリー中に添加することにより使用されるもの(内添用)と、ワイヤー脱水後の紙シートに塗布または含浸することにより使用されるもの(外添用)とあり、本発明のアクリルアミド系ポリマーは、そのいづれにも使用することができる。
本発明による紙力増強剤は、通常、以下のような方法で使用される。すなわち、内添用として使用される場合には、パルプスラリー中に、必要に応じて、硫酸バンドなどの定着剤と併用して添加される。この場合の紙力増強剤の使用量(固形分)は、概ね、パルプ固形分に対し、0.05〜3%である。また、外添用として使用する場合には、サイズプレス、キャレンダー塗布などにより、上記と同じ量使用される。
22%濃度以上のアクリルアミド系ポリマー水溶液を紙力増強剤として使用する場合、重量平均分子量が、50万〜1000万であればよい。ポリマー濃度は高い方が経済的にも好ましいのはむろんであるが、粘度は5万cps(センチポイズ)以下、好ましくは、流通時、使用時の作業性の点から、3万cps(センチポイズ)以下、さらに好ましくは2万cps(センチポイズ)以下であるとよい。
なお、ポリマー水溶液は、適宜希釈して使用される。
本発明の方法により、いかなる理由でこのような新規な構造物性のアクリルアミド系ポリマーおよびその水溶液が得られるようになるか現時点では不明である。一般式1または2で示される化合物の反応したポリマーが重合中、他のポリマー中のラジカル、もしくは架橋性モノマー起因のペンダント二重結合と特異的に反応することにより、効率的に分岐架橋が進行し、結果的に従来知られているものと比較して、より一層、均一な分岐架橋構造を有するアクリルアミド系ポリマーが得られるものと推察される。さらに、該ポリマーが、均一な分岐架橋構造を有しているので、パルプ繊維間の接着点を間接的に増加させ、従来にもまして、優れた紙力増強剤として種々の性能を発揮するものと考えられる。
以下に、本発明を、実施例により、具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。また、以下において、%で示したものは、特に断わらない限り重量%を意味するものとする。
実施例におけるGPC−MALLSの測定条件は以下のとおりである。
GPC本体:昭和電工(株)製、システム11
カラム:SHODEX SB 80M
溶離液:N/10硝酸ナトリウムを含むN/15リン酸緩衝液(pH7)
流速:1.0ml/分
検出器:ワイアットテクノロジー社の多角度光散乱検出器DAWN
(実施例1)
攪伴機、還流冷却管、温度計、窒素ガス導入管、滴下口を備えた5つ口フラスコ(以下、反応容器と呼ぶ)に純水500gを仕込、窒素ガスを吹き込みながら内温を80℃に調整した。
一方、40%アクリルアミド水溶液354.3g、メチレンビスアクリルアミド0.308g、メタリルスルホン酸ナトリウム0.632gを混合溶解した溶液、および純分84%の4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸0.18gを溶解した水溶液60gを調整し、それぞれ、反応容器中に、130分間かけて、均等滴下した。この間、反応容器内の温度を80℃に保った。滴下終了後、80℃で、3時間重合を続け、水を加え、さらに冷却し反応を終了させることにより、不揮発分15%、25℃におけるブルックフィールド粘度18000cps、不揮発分10%、25℃におけるブルックフィールド粘度1780cpsのアクリルアミド系ポリマー水溶液を得た。このポリマーをA−1とする。A−1の重量平均分子量(a)、重量平均慣性半径(b)をGPC−MALLS法で測定したところ、それぞれ、3050000、73.8nmであり、(b)/(a)=0.0000242であった。また、同法より、絶対数平均分子量(c)は、1250000であり、(a)/(c)=2.44であった。さらに、分子量1000000以上の重量割合(d)をその分布曲線より求めたところ、73.5%であった。一方、コールター社製のN4型サブミクロン粒子分析装置により、水和径(e)を求めたところ、120nmであった。
(実施例2)
前記反応容器に純水560gを仕込、窒素ガスを吹き込みながら内温を80℃に調整した。
一方、40%アクリルアミド水溶液354.1g、メチレンビスアクリルアミド1.23g、メタリルスルホン酸ナトリウム0.79g、および純分84%の4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸0.9gを混合溶解し、モノマー開始剤混合液を調整した。
その後、このモノマー開始剤混合液を反応容器中に、150分間かけて、均等滴下した。この間、反応容器内の温度を80℃に保った。また、モノマー開始剤混合液の温度は20℃以下に保ち、滴下前に重合が生じないようにした。
滴下終了後、80℃で、3時間重合を続け、水を加え、さらに冷却し反応を終了させることにより、不揮発分15%、25℃におけるブルックフィールド粘度2170cps、不揮発分10%、25℃におけるブルックフィールド粘度330cpsのアクリルアミド系ポリマー水溶液を得た。このポリマーをA−2とする。A−2の諸物性値を実施例1と同様にして測定した。
(実施例3)
前記反応容器に純水257.5gを仕込、窒素ガスを吹き込みながら内温を80℃に調整した。
一方、50%アクリルアミド水溶液532.6g、メチレンビスアクリルアミド0.585g、メタリルスルホン酸ナトリウム7.865gを混合溶解した溶液、さらには、純分84%の4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸0.38gおよびそれと2倍モルのNaOHを溶解した水溶液60gを調整し、それぞれ、反応容器中に、150分間かけて、均等滴下した。この間、反応容器内の温度を80℃に保った。
滴下終了後、80℃で、3時間重合を続け、水を加え、さらに冷却し反応を終了させることにより、不揮発分15%、25℃におけるブルックフィールド粘度630cps、不揮発分10%、25℃におけるブルックフィールド粘度170cpsのアクリルアミド系ポリマー水溶液を得た。このポリマーをA−3とする。A−3の諸物性値を実施例1と同様にして測定した。
(実施例4)
前記反応容器に純水177.0gを仕込、窒素ガスを吹き込みながら内温を80℃に調整した。
一方、50%アクリルアミド水溶液750.7g、メチレンビスアクリルアミド0.837g、メタリルスルホン酸ナトリウム23.8g、および純分84%の4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸0.544gを混合溶解し、モノマー開始剤混合液を調整した。
その後、このモノマー開始剤混合液を反応容器中に、150分間かけて、均等滴下した。この間、反応容器内の温度を80℃に保った。また、モノマー開始剤混合液の温度は20℃以下に保ち、滴下前に重合が生じないようにした。
滴下終了後、80℃で、3時間重合を続け、水を加え、さらに冷却し反応を終了させることにより、不揮発分15%、25℃におけるブルックフィールド粘度550cps、不揮発分10%、25℃におけるブルックフィールド粘度150cpsのアクリルアミド系ポリマー水溶液を得た。このポリマーをA−4とする。A−4の諸物性値を実施例1と同様にして測定した。
(実施例5)
前記反応容器に純水395.8gを仕込、窒素ガスを吹き込みながら内温を80℃に調整した。
一方、40%アクリルアミド水溶液339.4g、メチレンビスアクリルアミド4.62g、メタリルスルホン酸ナトリウム9.48g、および純分84%の4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸0.9gを混合溶解し、モノマー開始剤混合液を調整した。
その後、このモノマー開始剤混合液を反応容器中に、150分間かけて、均等滴下した。この間、反応容器内の温度を80℃に保った。また、モノマー開始剤混合液の温度は20℃以下に保ち、滴下前に重合が生じないようにした。
滴下終了後、80℃で、3時間重合を続け、水を加え、さらに冷却し反応を終了させることにより、不揮発分15%、25℃におけるブルックフィールド粘度106cps、不揮発分10%、25℃におけるブルックフィールド粘度38cpsのアクリルアミド系ポリマー水溶液を得た。このポリマーをA−5とする。A−5の諸物性値を実施例1と同様にして測定した。
(比較例1)
前記反応容器に純水500gを仕込、窒素ガスを吹き込みながら内温を80℃に調整した。
一方、40%アクリルアミド水溶液355.4gに純分84%の4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸の0.9gを溶解し、水60gを加えたモノマー開始剤混合液を調整した。
その後、このモノマー開始剤混合液を反応容器中に、150分間かけて、均等滴下した。この間、反応容器内の温度を80℃に保った。また、モノマー開始剤混合液の温度は20℃以下に保ち、滴下前に重合が生じないようにした。
滴下終了後、80℃で、3時間重合を続け、水を加え、さらに冷却し反応を終了させることにより、不揮発分15%、25℃におけるブルックフィールド粘度30000cps、不揮発分10%、25℃におけるブルックフィールド粘度2820cpsのアクリルアミド系ポリマー水溶液を得た。このポリマーをC−1とする。C−1の諸物性値を実施例1と同様にして測定した。
(比較例2)
前記反応容器に純水500gを仕込、窒素ガスを吹き込みながら内温を80℃に調整した。
一方、40%アクリルアミド水溶液355.0g、メチレンビスアクリルアミド0.308gを混合溶解した溶液、さらには、純分84%の4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸の0.18gを溶解した水溶液60gを調整し、それぞれ、反応容器中に、実施例1と同様に、均等滴下したが、滴下途中で反応液の流動性がなくなりゲル化した。このゲル化ポリマーをC−2とする。C−2は、それ以上希釈しても分散溶解せず、諸物性値を測定することができなかった。
(比較例3)
前記反応容器に純水500gを仕込、窒素ガスを吹き込みながら内温を80℃に調整した。
一方、40%アクリルアミド水溶液355.0g、メチレンビスアクリルアミド0.308g、および純分84%の4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸の0.9gを溶解し、水60gを加えたモノマー開始剤混合液を調整した。
その後、このモノマー開始剤混合液を反応容器中に、150分間かけて、均等滴下した。この間、反応容器内の温度を80℃に保った。また、モノマー開始剤混合液の温度を20℃以下に保ち、滴下前に重合が生じないようにした。
滴下終了後、80℃で、3時間重合を続け、水を加え、さらに冷却し反応を終了させることにより、不揮発分15%、25℃におけるブルックフィールド粘度15000cps、不揮発分10%、25℃におけるブルックフィールド粘度1400cpsのアクリルアミド系ポリマー水溶液を得た。このポリマーをC−3とする。C−3の諸物性値を実施例1と同様にして測定した。
(比較例4)
前記反応容器に純水395.8gを仕込、窒素ガスを吹き込みながら内温を80℃に調整した。
一方、40%アクリルアミド水溶液348.3g、メチレンビスアクリルアミド4.62gおよび純分84%の4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸の0.9gを混合溶解し、反応容器中に、実施例4と同様に、均等滴下したが、滴下途中で反応液の流動性がなくなりゲル化した。このゲル化ポリマーをC−4とする。C−4は、それ以上希釈しても分散溶解せず、諸物性値を測定することができなかった。
実施例1〜5および比較例1〜4で得られたポリマーA−1〜A−5およびC−1〜C−4の組成ならびに諸物性値を表1および表2にまとめて示した。
(実施例6)
前記反応容器に純水600gを仕込、窒素ガスを吹き込みながら内温を80℃に調整した。
一方、40%アクリルアミド水溶液332.8g、メチレンビスアクリルアミド0.308g、メタリルスルホン酸ナトリウム0.79g、N,N−ジメチルアミノエチルメタリレート12.6g、イタコン酸5.2gを混合溶解し、35%HClでpHを4.2に調整した。
また、純分84%の4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸0.16gを溶解した水溶液60gを調整した。
次に、上記両水溶液を、それぞれ、反応容器中に、150分間かけて、均等滴下した。この間、反応容器内の温度を80℃に保った。
滴下終了後、80℃で、3時間重合を続け、冷却し反応を終了させるとともに、水を加え、不揮発分を調整することにより、不揮発分15%、25℃におけるブルックフィールド粘度5000cps、不揮発分10%、25℃におけるブルックフィールド粘度960cpsのアクリルアミド系ポリマー水溶液を得た。このポリマーをA−6とする。A−6の諸物性値を実施例1と同様にして測定した。
(実施例7)
前記反応容器に純水660gを仕込、窒素ガスを吹き込みながら内温を80℃に調整した。
一方、40%アクリルアミド水溶液331.8g、メチレンビスアクリルアミド1.23g、メタリルスルホン酸ナトリウム0.79g、N,N−ジメチルアミノエチルメタリレート12.6g、イタコン酸5.2gおよび純分84%の4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸0.9gを混合溶解し、35%HClでpH調整し、pH4.2のモノマー開始剤混合液を得た。
次に、上記モノマー開始剤混合液を、反応容器中に、150分間かけて、均等滴下した。この間、反応容器内の温度を80℃に保った。また、モノマー開始剤混合液の温度を20℃以下に保ち、滴下前に重合が生じないようにした。
滴下終了後、80℃で、3時間重合を続け、冷却し反応を終了させるとともに、水を加え、不揮発分を調整することにより、不揮発分15%、25℃におけるブルックフィールド粘度3000cps、不揮発分10%、25℃におけるブルックフィールド粘度620cpsのアクリルアミド系ポリマー水溶液を得た。このポリマーをA−7とする。A−7の諸物性値を実施例1と同様にして測定した。
(実施例8)
前記反応容器に純水580gを仕込、窒素ガスを吹き込みながら内温を80℃に調整した。
一方、40%アクリルアミド水溶液325.7g、メチレンビスアクリルアミド0.308g、メタリルスルホン酸ナトリウム0.79g、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド12.5g、80%アクリル酸7.2gを混合溶解し、35%HClでpHを4.2に調整した。
また、純分84%の4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸0.16gを溶解した水溶液60gを調整した。
次に、上記両水溶液を、それぞれ、反応容器中に、150分間かけて、均等滴下した。この間、反応容器内の温度を80℃に保った。
滴下終了後、80℃で、3時間重合を続け、冷却し反応を終了させるとともに、水を加え、不揮発分を調整することにより、不揮発分15%、25℃におけるブルックフィールド粘度11000cps、不揮発分10%、25℃におけるブルックフィールド粘度1980cpsのアクリルアミド系ポリマー水溶液を得た。このポリマーをA−8とする。A−8の諸物性値を実施例1と同様にして測定した。
(実施例9)
前記反応容器に純水387gを仕込、窒素ガスを吹き込みながら内温を80℃に調整した。
一方、40%アクリルアミド水溶液414.6g、メチレンビスアクリルアミド0.385g、メタリルスルホン酸ナトリウム2.25g、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート15.7g、イタコン酸6.5gを混合溶解し、35%HClでpHを4.2に調整した。
また、純分84%の4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸0.25gおよびそれと2倍モルのNaOHを溶解した水溶液60gを調整した。
次に、上記両水溶液を、それぞれ、反応容器中に、150分間かけて、均等滴下した。この間、反応容器内の温度を80℃に保った。
滴下終了後、80℃で、3時間重合を続け、冷却し反応を終了させるとともに、水を加え、不揮発分を調整することにより、不揮発分15%、25℃におけるブルックフィールド粘度1500cps、不揮発分10%、25℃におけるブルックフィールド粘度340cpsのアクリルアミド系ポリマー水溶液を得た。このポリマーをA−9とする。A−9の諸物性値を実施例1と同様にして測定した。
(比較例5)
前記反応容器に純水660gを仕込、窒素ガスを吹き込みながら内温を80℃に調整した。
一方、40%アクリルアミド水溶液333.7g、メチレンビスアクリルアミド0.308g、N,N−ジメチルアミノエチルメタリレート12.6g、イタコン酸5.2gおよび純分84%の4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸0.9gを混合溶解し、35%HClでpHを4.2に調整した。
次に、上記水溶液を、反応容器中に、150分間かけて均等滴下した。この間、反応容器内の温度を80℃に保った。
滴下終了後、80℃で、3時間重合を続け、冷却し反応を終了させるとともに、水を加え、不揮発分を調整することにより、不揮発分15%、25℃におけるブルックフィールド粘度9200cps、不揮発分10%、25℃におけるブルックフィールド粘度630cpsのアクリルアミド系ポリマー水溶液を得た。このポリマーをC−5とする。C−5の諸物性値を実施例1と同様にして測定した。
(比較例6)
前記反応容器に純水600gを仕込、窒素ガスを吹き込みながら内温を80℃に調整した。
一方、40%アクリルアミド水溶液333.7g、メチレンビスアクリルアミド0.308g、N,N−ジメチルアミノエチルメタリレート12.6g、イタコン酸5.2gを混合溶解し、35%HClでpHを4.2に調整した。
また、純分84%の4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸0.16gを溶解した水溶液60gを調整した。
次に、上記両水溶液を、それぞれ、反応容器中に、実施例6と同様に、均等滴下したが、滴下途中で反応液の流動性がなくなりゲル化した。このゲル化ポリマーをC−6とする。C−6は、それ以上希釈しても分散溶解せず、諸物性値を測定することができなかった。
(比較例7)
前記反応容器に、40%アクリルアミド水溶液333.7g、メチレンビスアクリルアミド0.308g、N,N−ジメチルアミノエチルメタリレート12.6g、イタコン酸5.2gおよび水660gを混合溶解し、35%HClでpHを4.2に調整した。
次に、反応容器内の上記混合液をN2 ガスで脱酸素し、液温を45℃まで昇温した後、反応容器を保温した。
次いで、攪伴しながら、過硫酸アンモニウム1.32g、亜硫酸水素ナトリウム0.6gを加え、重合を開始させた。60分後に液温は80℃に達し、その後、1時間80℃で放置した。その後、冷却し反応を終了させるとともに、水を加え、不揮発分を調整することにより、不揮発分15%、25℃におけるブルックフィールド粘度8700cps、不揮発分10%、25℃におけるブルックフィールド粘度1700cpsのアクリルアミド系ポリマー水溶液を得た。このポリマーをC−7とする。C−7の諸物性値を実施例1と同様にして測定した。
(比較例8)
前記反応容器に純水660gを仕込、窒素ガスを吹き込みながら内温を80℃に調整した。
一方、40%アクリルアミド水溶液332.7g、メチレンビスアクリルアミド1.23g、N,N−ジメチルアミノエチルメタリレート12.6g、イタコン酸5.2g、純分84%の4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸0.9gを混合溶解し、35%HClでpHを4.2に調整した。
次に、上記水溶液を、反応容器中に、実施例7と同様に、均等滴下したが、滴下途中で反応液の流動性がなくなりゲル化した。このゲル化ポリマーをC−8とする。C−8は、それ以上希釈しても分散溶解せず、諸物性値を測定することができなかった。
(比較例9)
前記反応容器に純水660gを仕込、窒素ガスを吹き込みながら内温を80℃に調整した。
一方、40%アクリルアミド水溶液332.7g、メチレンビスアクリルアミド1.23g、N,N−ジメチルアミノエチルメタリレート12.6g、イタコン酸5.2g、分子量調整剤としてアリルアルコール9.85gおよび純分84%の4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸0.9gを混合溶解し、35%HClでpHを4.2に調整した。
次に、上記水溶液を、反応容器中に、150分間かけて均等滴下した。この間、反応容器内の温度を80℃に保った。
滴下終了後、80℃で、3時間重合を続け、冷却し反応を終了させるとともに、水を加え、不揮発分を調整することにより、不揮発分15%、25℃におけるブルックフィールド粘度10000cps、不揮発分10%、25℃におけるブルックフィールド粘度1860cps、のアクリルアミド系ポリマー水溶液を得た。このポリマーをC−9とする。C−9の諸物性値を実施例1と同様にして測定した。
(比較例10)
前記反応容器に純水560gを仕込、窒素ガスを吹き込みながら内温を80℃に調整した。
一方、40%アクリルアミド水溶液325.7g、メチレンビスアクリルアミド0.308g、25%ビニルスルホン酸ナトリウム水溶液2.6g、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド12.5g、80%アクリル酸7.2gおよびイソプロピルアルコール23gを混合溶解し、35%HClでpHを4.2に調整した。
また、純分84%の4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸0.16gを溶解した水溶液60gを調整した。
次に、上記両水溶液を、それぞれ、反応容器中に、150分間かけて、均等滴下した。この間、反応容器内の温度を80℃に保った。
滴下終了後、80℃で、3時間重合を続け、冷却し反応を終了させるとともに、水を加え、不揮発分を調整することにより、不揮発分15%、25℃におけるブルックフィールド粘度6800cps、不揮発分10%、25℃におけるブルックフィールド粘度170cps、のアクリルアミド系ポリマー水溶液を得た。このポリマーをC−10とする。C−10の諸物性値を実施例1と同様にして測定した。
実施例6〜9および比較例5〜10で得られたポリマーA−6〜A−9およびC−5〜C−10の組成ならびに諸物性値を表3および4にまとめて示した。
次に、実施例および比較例で得られたポリマーを内添用紙力増強剤として利用した場合の応用例について示す。
(応用例1)
段ボール故紙から得られた叩解度CSF(カナディアン・スタンダード・フリーネス)400のL−BKPの1%スラリーに、硫酸バンドを対パルプ0.5%添加し、3分間攪伴した。このときのパルプスラリーのpHは、6.0であった。その後、攪伴しながら、ポリマーA−6の1%水溶液を不揮発分基準で、対パルプ0.5%添加し、さらに攪伴を3分間続けた。しかる後、得られたパルプスラリーを用いて、ろ水度(JIS−P8112)の測定、およびTAPPI角型シートマシーンによる抄紙を行った。抄紙したウェットシートは、ドラムドライヤーにて、110℃、3分間乾燥し、坪量100g/m2 の手抄き紙を得た。得られた乾紙を20℃、RH65%の恒温恒湿室にて、24時間以上調湿した後、比破裂強度(JIS−P8112)、Z軸強度(JAPAN TAPPI00000)を測定した。ポリマーA−7〜A−9およびポリマーC−5、C−7、C−9、C−10についても同様の操作を行った。その結果を表5に示した。
<発明の効果−1>
本発明によるアクリルアミド系ポリマーは、表2および4に示したような物性、構造を有していることは明白である。また、比較例に従来技術の一部をあげたが、いずれの重合でも、このような新規な構造、物性値を有するポリマーを得る事ができない。
さらに、その結果、本発明によるアクリルアミド系ポリマーは、応用例(表5)に示したように、紙力強度発現効果も従来になく高いことがわかる。
(実施例10)
前記反応容器に純水306gを仕込、窒素ガスを吹き込みながら内温を80℃に調整した。
一方、50%アクリルアミド水溶液283g、メチレンビスアクリルアミド0.31g、メタリルスルホン酸ナトリウム1.58gを混合溶解した溶液、および純分84%の4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸0.24gを溶解した水溶液60gを調整し、それぞれ、反応容器中に、150分間かけて均等滴下した。この間、反応容器内の温度を80℃に保った。滴下終了後、80℃で3時間重合を続け、冷却し反応を終了させることにより25℃におけるブルックフィールド粘度12000cpsのアクリルアミド系ポリマー水溶液を得た。このポリマーをA−10とする。A−10の1gを重量既知のアルミカップに精秤し、約1gの純水で希釈後、105℃の熱風乾燥機で3時間乾燥させることにより絶乾ポリマー濃度を求めたところ23.8%であった。また、A−10の重量平均分子量を前述の方法により測定したところ176万であった。
(実施例11)
前記反応容器に純水288gを仕込、窒素ガスを吹き込みながら内温を80℃に調整した。
一方、50%アクリルアミド水溶液283g、メチレンビスアクリルアミド0.31g、メタリルスルホン酸ナトリウム1.58g、および純分84%の4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸0.24gを混合溶解し、モノマー、開始剤混合液を調整した。
その後、このモノマー、開始剤混合液を反応容器中に、150分間かけて、均等滴下した。この間、反応容器内の温度を80℃に保った。また、モノマー、開始剤混合液の温度は15〜25℃に保ち、滴下前に重合が生じないよう、またモノマーが析出しないよう注意した。滴下前のモノマー、開始剤混合液の重合発生の有無は同条件の混合液を2時間放置し、それをメタノール中に添加することより確認した。
滴下終了後、80℃で3時間重合を続け、冷却し反応を終了させることにより、25℃におけるブルックフィールド粘度3340cpsのアクリルアミド系ポリマー水溶液を得た。このポリマーをA−11とする。A−11の諸物性値を実施例1と同様にして測定した。
(実施例12)
前記反応容器に純粋293gを仕込、窒素ガスを吹き込みながら内温を80℃に調整した。
一方、50%アクリルアミド水溶液2823g、メチレンビスアクリルアミド0.31g、メタリルスルホン酸ナトリウム3.18g、および2,2′−アゾビス−2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド0.25gを混合溶解した水溶液を調整し、反応容器中に、150分間かけて均等滴下した。この間、反応容器内の温度を80℃に、また滴下中、モノマー、開始剤混合溶液の温度は15〜25℃に保った。
滴下終了後、80℃で3時間重合を続け、冷却し反応を終了させることにより、25℃におけるブルックフィールド粘度3770cpsのアクリルアミド系ポリマー水溶液を得た。このポリマーをA−12とする。A−12の諸物性値を実施例1と同様にして測定した。
(実施例13)
前記反応容器に純水296gを仕込、窒素ガスを吹き込みながら内温を80℃に調整した。
一方、50%アクリルアミド水溶液421g、メチレンビスアクリルアミド0.46g、メタリルスルホン酸ナトリウム6.22g、および純分84%の4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸0.36gを混合溶解した水溶液を調整し、反応容器中に、150分間かけて均等滴下した。この間、反応容器内の温度を80℃一定に、また滴下中、モノマー、開始剤混合液の温度は15〜25℃に保った。
滴下終了後、80℃で3時間重合を続け、冷却し反応を終了させることにより、25℃におけるブルックフィールド粘度20000cpsのアクリルアミド系ポリマー水溶液を得た。このポリマーをA−13とする。A−13の諸物性値を実施例1と同様にして測定した。
(実施例14)
前記反応容器に純水325gを仕込、窒素ガスを吹き込みながら内温を80℃に調整した。
一方、50%アクリルアミド水溶液550g、メチレンビスアクリルアミド14.4g、メタリルスルホン酸ナトリウム111g、および純分84%の4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸0.93gを混合溶解し、モノマー、開始剤混合液を調整した。
その後、このモノマー開始剤混合液を反応容器中に、150分間かけて、均等滴下した。この間、反応容器内の温度を80℃に保った。また、モノマー開始剤混合液の温度は15〜25℃に保った。
滴下終了後、80℃で3時間重合を続け、冷却し反応を終了させることにより、25℃におけるブルックフィールド粘度1070cpsのアクリルアミド系ポリマー水溶液を得た。このポリマーをA−14とする。A−14の諸物性値を実施例1と同様にして測定した。
(実施例15)
前記反応容器に純水203gを仕込、窒素ガスを吹き込みながら内温を80℃に調整した。
一方、60%アクリルアミド水溶液747g、メチレンビスアクリルアミド1.02g、メタリルスルホン酸ナトリウム52.8g、および純分84%の4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸0.66gを混合溶解し、モノマー、開始剤混合溶液を調整した。
その後、このモノマー、開始剤混合溶液を反応容器中に、150分間かけて均等滴下した。この間、反応容器内の温度を80℃に、またモノマー、開始剤混合溶液の温度は15〜25℃に保った。
滴下終了後、80℃で3時間重合を続け、冷却し反応を終了させることにより25℃におけるブルックフィールド粘度47600cpsのアクリルアミド系ポリマー水溶液を得た。このポリマーをA−15とする。A−15の諸物性値を実施例1と同様にして測定した。
(比較例11)
前記反応容器に純水363gを仕込、窒素ガスを吹き込みながら内温を80℃に調整した。
一方、50%アクリルアミド水溶液284g、メチレンビスアクリルアミド0.31g、および純分84%の4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸の0.24gを混合溶解した水溶液を、反応容器中に、150分間かけて均等滴下した。この間、反応容器内の温度を80℃一定に、また滴下中混合溶液は15〜25℃以下に保った。ところが、滴下途中反応液は高粘度となり、流動性がなくなり、最終的にゲル化した。このゲル化物をC−11とする。C−11はそれ以上水で希釈しても分散溶解せず、諸物性値を得ることはできなかった。
(比較例12)
前記反応容器に純水228gを仕込、窒素ガスを吹き込みながら内温を80℃に調整した。
一方、50%アクリルアミド水溶液283g、メチレンビスアクリルアミド0.31g、イソプロピルアルコール30gを混合した溶液、および純分84%の4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸の0.24gを溶解した水溶液60gをそれぞれ、反応容器中に、150分間かけて均等滴下した。この間、反応容器内の温度を80℃に保った。
滴下終了後、80℃で3時間重合を続け、冷却し反応を終了させることにより25℃におけるブルックフィールド粘度13300cpsのアクリルアミド系ポリマー水溶液を得た。このポリマーをC−12とする。C−12の諸物性値を実施例1と同様にして測定した。
(比較例13)
前記反応容器に純水217gを仕込、窒素ガスを吹き込みながら内温を80℃に調整した。
一方、50%アクリルアミド水溶液766g、メチレンビスアクリルアミド17.0g、および純分84%の4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸1.96gを混合溶解した水溶液を、反応容器中に150分間かけて均等滴下した。この間、反応容器内の温度を80℃に、モノマー、開始剤混合溶液の温度は15〜25℃に保った。ところが、滴下途中で反応液は高粘度となり、流動性がなくなりゲル化した。このゲル化物をC−13とする。C−13はそれ以上水で希釈しても分散溶解せず、諸物性値を得ることはできなかった。
(比較例14)
前記反応容器に純水167gを仕込、窒素ガスを吹き込みながら内温を80℃に調整した。
一方、60%アクリルアミド水溶液8312g、メチレンビスアクリルアミド1.1g、および純分84%の4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸0.84gを混合溶解した溶液を、150分間かけて均等滴下した。この間、反応容器内の温度を80℃に、またモノマー、開始剤混合溶液の温度は15〜25℃に保った。ところが、滴下途中で反応液は高粘度となり、流動性がなくなりゲル化した。このゲル化ポリマーをC−14とする。C−14はそれ以上水で希釈しても分散溶解せず、諸物性値を得ることはできなかった。
実施例10〜15で得られたポリマーA−10〜A−15および比較例11〜14で得られたポリマーC−11〜C14の諸物性値を表6および表7にまとめて示した。
(実施例16)
前記反応容器に純水355gを仕込、窒素ガスを吹き込みながら内温を80℃に調整した。
一方、50%アクリルアミド水溶液263g、メチレンビスアクリルアミド0.25g、メタリルスルホン酸ナトリウム1.49g、N,N−ジメチルアミノエチルメタリレート15.7g、イタコン酸5.2を混合溶解し、35%HClでpHを4.2に調整した。
また、純分84%の4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸0.24gを溶解した水溶液60gを調整した。
次に、上記両水溶液をそれぞれ反応容器中に、150分間かけて均等滴下した。この間、反応容器内の温度を80℃に保った。
滴下終了後、80℃で、3時間重合を続け、冷却し反応を終了させることにより、25℃におけるブルックフィールド粘度8950cpsのアクリルアミド系ポリマー水溶液を得た。このポリマーをA−16とする。A−16の諸物性値を実施例10と同様にして測定した。
(実施例17)
前記反応容器に純水286gを仕込、窒素ガスを吹き込みながら内温を80℃に調整した。
一方、50%アクリルアミド水溶液394g、メチレンビスアクリルアミド0.46g、メタリルスルホン酸ナトリウム6.30g、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド18.8g、イタコン酸5.94gおよびアクリル酸5.48gを混合溶解し、35%HClでpHを4.2に調整した。
また、純分84%の4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸0.36gを溶解した水溶液60gを調整した。
次に、上記両水溶液をそれぞれ反応容器中に、150分間かけて均等滴下した。この間、反応容器内の温度を80℃に保った。
滴下終了後、80℃で、3時間重合を続け、冷却し反応を終了させることにより、25℃におけるブルックフィールド粘度12000cpsのアクリルアミド系ポリマー水溶液を得た。このポリマーをA−17とする。A−17の諸物性値を実施例1と同様にして測定した。
(実施例18)
前記反応容器に純水173gを仕込、窒素ガスを吹き込みながら内温を80℃に調整した。
一方、50%アクリルアミド水溶液730g、メチレンビスアクリルアミド1.67g、メタリルスルホン酸ナトリウム25.7g、アクリル酸9.75gを混合溶解し、40%硫酸でpHを4.2に調整した。
また、2,2′−アゾビス−2−メチルプロピオンアミジン塩酸塩1.08gを溶解した水溶液60gを調整した。
次に、上記両水溶液をそれぞれ反応容器中に、150分間かけて均等滴下した。この間、反応容器内の温度を80℃に保った。
滴下終了後、80℃で、3時間重合を続け、冷却し反応を終了させることにより、25℃におけるブルックフィールド粘度25500cpsのアクリルアミド系ポリマー水溶液を得た。このポリマーをA−18とする。A−18の諸物性値を実施例1と同様にして測定した。
(比較例15)
反応容器として攪拌機、還流冷却管、温度計を備えた3つ口フラスコを用い、純水409g、50%アクリルアミド水溶液263g、メチレンビスアクリルアミド0.19g、N,N−ジメチルアミノエチルメタリレート15.7g、イタコン酸5.21gを混合溶解し、35%HClでpHを4.2に調整後、35℃に昇温した。そこへ、2,2′−アゾビス−2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン塩酸塩1.0gを添加したところ、その20分後には重合の開始が確認され、さらにその20分後には反応容器内温度は93℃に達した。そのまま2時間重合を続けた後、冷却し反応を終了させることにより、25℃におけるブルックフィールド粘度46100cpsのアクリルアミド系ポリマー水溶液を得た。このポリマーをC−15とする。C−15の諸物性値を実施例1と同様にして測定した。
(比較例16)
反応容器(前記5つ口フラスコ)に純水278gを仕込、窒素ガスを吹き込みながら内温を80℃に調整した。
一方、50%アクリルアミド水溶液397g、メチレンビスアクリルアミド0.31g、N,N−ジメチルアミノエチルメタリレート23.5g、およびイタコン酸7.8gを混合溶解し、35%HClでpHを4.2に調整した。
また、純分84%の4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸1.07gを溶解した水溶液60gを調整した。
次に、上記両水溶液をそれぞれ反応容器中に、実施例10と同様に均等滴下したが、滴下途中で反応液の流動性がなくなりゲル化した。このゲル化ポリマーをC−16とする。C−16は、それ以上希釈しても分散溶解せず、諸物性値を測定することができなかった。
(比較例17)
反応容器(前記5つ口フラスコ)に純水330gを仕込、窒素ガスを吹き込みながら内温を80℃に調整した。
一方、50%アクリルアミド水溶液397g、N,N−ジメチルアミノエチルメタリレート21.4g、イタコン酸8.85gおよび分子量調整剤としてアリルアルコール23.7gを混合溶解し、35%HClでpHを4.2に調整した。
また、純分84%の4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸0.9gを溶解した水溶液60gを調整した。
次に、上記両水溶液をそれぞれ反応容器中に、150分間かけて均等滴下した。この間、反応容器内の温度を80℃に保った。滴下終了後、80℃で3時間重合を続け、冷却し反応を終了させることにより、25℃におけるブルックフィールド粘度3890cpsのアクリルアミド系ポリマー水溶液を得た。このポリマーをC−17とする。C−17の諸物性値を実施例1と同様にして測定した。
実施例16〜18で得られたポリマーA−16〜A−18および比較例15〜17で得られたポリマーC−15〜C17の諸物性値を表7にまとめて示した。
次に、実施例および比較例で得られたポリマーを内添用紙力増強剤として利用した場合の応用例について示す。
(応用例2〜3)
CSF400のL−BKP1%スラリーに、硫酸バンドを対パルプ0.5%添加し、3分間攪伴した。この時のパルプスラリーのpHは6.0であった。その後、攪伴しながら、ポリマーA−16の1%水溶液を不揮発分基準で、対パルプ0.5%添加し、さらに攪伴を3分間続けた。しかる後、得られたパルプスラリーを用いて、濾水度(JIS−P8112)の測定、およびTAPPI角型シートマシーンによる抄紙を行った。抄紙したウェットシートは、ドラムドライヤーにて、110℃、3分間乾燥し、坪量100g/m2 の手抄き紙を得た。得られた乾紙を20℃、RH65%の恒温恒湿室にて、24時間以上調湿した後、比破裂強度(JIS−P8112)、Z軸強度(インターナルボンドテスター、熊谷理機工業株式会社製)を測定した。ポリマーA−17およびポリマーC−15、C−17についても同様の操作を行った。その結果を表8に示した。
<発明の効果−2>
本発明によるアクリルアミド系ポリマー水溶液は、実施例10以降に示した如く従来にみられない高濃度、高分子量でありながら、低粘度の水溶液重合体であり、高濃度であるが故に固形分当たりの運搬費の節減が可能となり、経済的に優れている。さらに、このポリマーを紙力増強剤として使用した場合、従来の紙力増強剤と同等以上の性能をもたらす優れたものであることは明らかである。
(実施例19)
撹拌器、温度計、還流冷却器、窒素導入管を備えた1リットルの4つ口セパラブルフラスコに、40%アクリルアミド330g、メタリルスルホン酸ナトリウム1g、メチレンビスアクリルアミド0.5g、市水558gを加えてpHを4.2に調整し、窒素置換を行いつつ温度を50℃まで昇温する。その後過硫酸アンモニウムを加え120分間重合した後、冷却し重合反応を完了させたところ、25℃におけるブルックフィールド粘度7400cps、pH4.2の安定な水溶性の重合体が得られた。前記測定方法により決定された絶対分子量は2,400,000であった。この製品をAとする。
(実施例20)
前記セパラブルフラスコに、40%アクリルアミド330g、ジメチルアミノエチルメタクリレート14g、メタリルスルホン酸ナトリウム1g、メチレンビスアクリルアミド0.5g、市水615gを加えてpHを4.2に調整し、窒素置換を行いつつ温度を50℃まで昇温する。その後過硫酸アンモニウムを加え120分間重合した後、冷却し重合反応を完了させたところ、25℃におけるブルックフィールド粘度7000cps、pH4.2の安定な水溶性の重合体が得られた。前記測定方法により決定された絶対分子量は2,500,000であった。この製品をBとする。
(実施例21)
前記セパラブルフラスコに、40%アクリルアミド330g、ジメチルアミノエチルメタクリレート16g、80%アクリル酸8g、イタコン酸3g、メタリルスルホン酸ナトリウム1g、メチレンビスアクリルアミド0.5g、市水669gを加えてpHを4.2に調整し、窒素置換を行いつつ温度を50℃まで昇温する。その後過硫酸アンモニウムを加え120分間重合した後、冷却し重合反応を完了させたところ、25℃におけるブルックフィールド粘度5900cps、pH4.2の安定な水溶性の重合体が得られた。前記測定方法により決定された絶対分子量は2,800,000であった。この製品をCとする。
(実施例22)
前記セパラブルフラスコに、40%アクリルアミド330g、ジメチルアミノエチルメタクリレート5g、80%N−メタクリロイオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド18g、80%アクリル酸10g、メタリルスルホン酸ナトリウム1g、メチレンビスアクリルアミド0.5g、市水698gを加えてpHを4.2に調整し、窒素置換を行いつつ温度を50℃まで昇温する。その後過硫酸アンモニウムを加え120分間重合した後、冷却し重合反応を完了させたところ、25℃におけるブルックフィールド粘度6200cps、pH4.2の安定な水溶性の重合体が得られた。前記測定方法により決定された絶対分子量は2,700,000であった。この製品をDとする。
(実施例23)
前記セパラブルフラスコに、40%アクリルアミド330g、80%N−メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド25g、80%アクリル酸10g、メタリルスルホン酸ナトリウム1g、メチレンビスアクリルアミド0.5g、市水710gを加えてpHを4.2に調整し、窒素置換を行いつつ温度を50℃まで昇温する。その後過硫酸アンモニウムを加え120分間重合した後、冷却し重合反応を完了させたところ、25℃におけるブルックフィールド粘度6800cps、pH4.2の安定な水溶性の重合体が得られた。前記測定方法により決定された絶対分子量は2,600,000であった。この製品をEとする。
(実施例24)
前記セパラブルフラスコに、40%アクリルアミド330g、80%アクリル酸20g、メタリルスルホン酸ナトリウム1g、メチレンビスアクリルアミド0.5g、市水645gを加えてpHを4.2に調整し、窒素置換を行いつつ温度を50℃まで昇温する。その後過硫酸アンモニウムを加え120分間重合した後、冷却し重合反応を完了させたところ、25℃におけるブルックフィールド粘度5400cps、pH4.2の安定な水溶性の重合体が得られた。前記測定方法により決定された絶対分子量は2,500,000であった。この製品をFとする。
(実施例25)
前記セパラブルフラスコに、40%アクリルアミド330g、80%アクリル酸12g、イタコン酸5g、メタリルスルホン酸ナトリウム1g、メチレンビスアクリルアミド0.5g、市水615gを加えてpHを4.2に調整し、窒素置換を行いつつ温度を50℃まで昇温する。その後過硫酸アンモニウムを加え120分間重合した後、冷却し重合反応を完了させたところ、25℃におけるブルックフィールド粘度61000cps、pH4.2の安定な水溶性の重合体が得られた。前記測定方法により決定された絶対分子量は2,400,000であった。この製品をGとする。
(比較例18)
前記セパラブルフラスコに、40%アクリルアミド330g、メタリルスルホン酸ナトリウム1g、市水555gを加えてpHを4.2に調整し、窒素置換を行いつつ温度を50℃まで昇温する。その後過硫酸アンモニウムを加え120分間重合した後、冷却し重合反応を完了させたところ、25℃におけるブルックフィールド粘度8300cps、pH4.2の安定な水溶性の重合体が得られた。前記測定方法により決定された絶対分子量は700,000であった。この製品をHとする。
(比較例19)
前記セパラブルフラスコに、40%アクリルアミド330g、メチレンビスアクリルアミド0.5g、市水553gを加えpHを4.2に調整し、窒素置換を行いつつ温度を50℃まで昇温する。その後過硫酸アンモニウムを加え120分間重合した後、冷却し重合反応を完了させたところ、25℃におけるブルックフィールド粘度5400cps、pH4.2の安定な水溶性の重合体が得られた。前記測定方法により決定された絶対分子量は900,000であった。この製品をIとする。
(比較例20)
前記セパラブルフラスコに、40%アクリルアミド330g、ジメチルアミノエチルメタクリレート14g、メタリルスルホン酸ナトリウム1g、市水607gを加えpHを4.2に調整し、窒素置換を行いつつ温度を50℃まで昇温する。その後過硫酸アンモニウムを加え120分間重合した後、冷却し重合反応を完了させたところ、25℃におけるブルックフィールド粘度8000cps、pH4.2の安定な水溶性の重合体が得られた。前記測定方法により決定された絶対分子量は970,000であった。この製品をJとする。
(比較例21)
前記セパラブルフラスコに、40%アクリルアミド330g、ジメチルアミノエチルメタクリレート16g、80%アクリル酸8g、イタコン酸3g、メタリルスルホン酸ナトリウム1g、市水659gを加えpHを4.2に調整し、窒素置換を行いつつ温度を50℃まで昇温する。その後過硫酸アンモニウムを加え120分間重合した後、冷却し重合反応を完了させたところ、25℃におけるブルックフィールド粘度6700cps、pH4.2の安定な水溶性の重合体が得られた。前記測定方法により決定された絶対分子量は810,000であった。この製品をKとする。
(比較例22)
前記セパラブルフラスコに、40%アクリルアミド330g、ジメチルアミノエチルメタクリレート5g、80%N−メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド18g、80%アクリル酸10g、メタリルスルホン酸ナトリウム1g、市水683gを加えpHを4.2に調整し、窒素置換を行いつつ温度を50℃まで昇温する。その後過硫酸アンモニウムを加え120分間重合した後、冷却し重合反応を完了させたところ、25℃におけるブルックフィールド粘度6000cps、pH4.2の安定な水溶性の重合体が得られた。前記測定方法により決定された絶対分子量は1,000,000であった。この製品をLとする。
(比較例23)
前記セパラブルフラスコに、40%アクリルアミド330g、80%N−メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド25g、80%アクリル酸10g、メタリルスルホン酸ナトリウム1g、市水707gを加えpHを4.2に調整し、窒素置換を行いつつ温度を50℃まで昇温する。その後過硫酸アンモニウムを加え120分間重合した後、冷却し重合反応を完了させたところ、25℃におけるブルックフィールド粘度7100cps、pH4.2の安定な水溶性の重合体が得られた。前記測定方法により決定された絶対分子量は1,100,000であった。この製品をMとする。
(比較例24)
前記セパラブルフラスコに、40%アクリルアミド330g、80%アクリル酸20g、メタリルスルホン酸ナトリウム1g、市水642gを加えpHを4.2に調整し、窒素置換を行いつつ温度を50℃まで昇温する。その後過硫酸アンモニウムを加え120分間重合した後、冷却し重合反応を完了させたところ、25℃におけるブルックフィールド粘度6900cps、pH4.2の安定な水溶性の重合体が得られた。前記測定方法により決定された絶対分子量は890,000であった。この製品をNとする。
(実施例26)
前記セパラブルフラスコに、40%アクリルアミド330g、80%アクリル酸12g、イタコン酸5g、メタリルスルホン酸ナトリウム1g、市水638gを加えpHを4.2に調整し、窒素置換を行いつつ温度を50℃まで昇温する。その後過硫酸アンモニウムを加え120分間重合した後、冷却し重合反応を完了させたところ、25℃におけるブルックフィールド粘度73000cps、pH4.2の安定な水溶性の重合体が得られた。前記測定方法により決定された絶対分子量は880,000であった。この製品をOとする。
(応用例4〜10および比較応用例3〜10)
段ボール故紙から得られた叩解度CSF(カナディアン・スタンダード・フリーネス)420mlである濃度1.0%のパルプスラリーに硫酸アルミニウムを乾燥重量基準で対パルプ1.0%添加して1分間攪伴した。このときのパルプスラリーのpHは5.0であった。また、硫酸アルミニウムを添加する直前に水酸化ナトリウムを添加すること以外は同様の操作で調整し、パルプスラリーのpHは5.0,6.0,7.0であった。次いで実施例19で得られた紙力増強剤を乾燥基準で対パルプ0.5%を添加し、攪伴をさらに1分間継続した。得られたパルプスラリーを用いTAPPI角型シートマシーンで抄紙した。抄紙したウェットシートはドラムドライヤーにて、110℃、3分間乾燥を行い、坪量150g/m2 の手抄き紙を得た。この乾紙を応用例4とする。得られた乾紙を20℃、RH65%の恒温恒湿室にて24時間以上のシーズニングを行った後、JIS法に従って、比破裂強度(JIS−P8112)、比圧縮強度(JIS−P8126)、濾水度の測定(JIS−P8121)をおこなった。その結果を表8〜10に示した。
応用例4の加工紙を得る方法において、実施例19の紙力増強剤(A)を変える以外は、全く同一条件および同一操作にて応用例5〜10、比較応用例3〜10の紙を得た。また、応用例5〜10、比較応用例3〜10の紙の比破裂強度、比圧縮強度、濾水度の測定も応用例4の紙の評価と全く同一条件および同一操作にて行った。
<発明の効果−3>
本発明による紙力増強剤は従来の紙力増強剤に比較して、比破裂強度、比圧縮強度、濾水度において優れた紙力効果を示し、且つ、抄造系のpH変動の影響を受けにくいという特徴を有する優れた紙力増強剤であることは表8〜10の結果から明らかである。