JP3799167B2 - ポリエステルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はポリエステルの製造方法に関し、更に詳しくは、溶融重縮合によって得られたポリエステルプレポリマーに、更に固相重縮合を行って、高分子量のポリエステルを効率良く製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートは従来ボトルのような容器類や、繊維、フィルム等に成形されて広く使用されている。その中で例えばタイヤコードのような産業資材用途の繊維には高い強度が求められており、そのために該ポリエステルを高分子量化することが提案されている。
【0003】
一般に、高分子量のポリエステルは同一組成のポリエステルプレポリマーを固相重縮合することにより製造され、該固相重縮合によれば、高分子量化と同時に、該プレポリマーが含有するアセトアルデヒド量を低減することもできるので、特に、飲料容器の原料としても有利である。
【0004】
該固相重縮合では、一般にポリエステルプレポリマーをペレット形状としたものが用いられるが、該ペレットは一般に非晶質であって、後工程の固相重縮合操作によってペレット同士が融着を起こさないようにするために結晶化度を高めることが行われており、この方法として、通常、熱した不活性ガスにより加熱処理操作が行われている。
【0005】
しかしながら、該加熱処理操作中でもペレット同士の融着は起こりやすく、該融着を防ぐために、ペレットを激しく攪拌しつつ加熱する必要があり、この時ペレット同士の衝突によって発生するポリエステルの微粉体は、固相重縮合時に反応容器器壁と融着を起こす、ペレット同士の融着を助長する、得られるポリエステルの分子量を不均一にする、等の悪影響を与える。
【0006】
他にも、結晶化度を高める方法として、加熱水蒸気を用い、短時間で結晶化を進行させる方法(特開昭59−25815号公報等)が提案されており、更に、特公昭46−3192号公報及び特公昭46−3193号公報には固有粘度0.4以下の溶融状態のポリエチレンテレフタレートプレポリマーを不活性ガス雰囲気下の塔内へ噴射して二次転移点以下に急冷し、得られる無定形ポリエチレンテレフタレート粒子を液体中で結晶化させる方法も提案されている。
【0007】
しかしながら、上記特公昭記載の方法では、塔上部から落下中の粒子が該粒子同士又は粒子と塔壁面とが融着する恐れがある。また固化した後のプレポリマーを液体に導入する方法であり、固化させるための十分な時間を必要とするために塔高さが必要となり、結果として設備面で不利である。また、ペレットの強度が弱く、固相重縮合時にペレットの割れを生じさせる等、ハンドリングが悪いという問題も有している。
【0008】
また、特開平9−286849号公報では、溶融重縮合によって得られたポリエステルプレポリマーを冷却固化した後、ペレット化し、これを加熱した1,4−ブタンジオールに導入して、更に固相重縮合することでカルボキシル末端濃度を著しく低減する方法が提案されている。しかしこの方法においては、依然として固相重合時にペレット同士が融着しやすいという問題点があった。
【0009】
更に、WO96/22319号公報では、重縮合度5〜35(固有粘度で、0.10〜0.36)のポリエチレンテレフタレートプレポリマー溶融物の小滴を120℃〜210℃の範囲に熱した金属プレート上に滴下して冷却し、結晶化させる方法が提案されている。該結晶化方法は、低温履歴も少なく、固相重縮合中のペレット同士の融着を防ぐのに優れた方法ではあるが、該結晶化時には一つのペレット表面に、金属プレートと空気と伝熱係数の異なるものが接触しているため、結晶状態が一つのペレットの内部で異なってしまい、固相重縮合終了後のペレット内部での固有粘度のばらつきが生じるとともに、設備面でも設置面積を大きく必要とするため、工業的にも不利となる。更に、このような低分子量のポリエステルプレポリマーペレットは強度が弱く、固相重縮合時にペレットの割れを生じさせる等、ハンドリングが悪いという問題を有している。
【0010】
上記した方法はいずれも、ペレットの強度が低く、固相重縮合時にペレット割れが起こり、微粉体を生じさせるため、該微粉体が反応容器器壁と融着を起こす、ペレット同士の融着を助長する、得られるポリエステルの分子量を不均一にする、等の問題もあった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、固相重縮合前の結晶化工程を簡略化し、また固相重縮合時、特に固相重縮合初期のプレポリマーペレット同士の融着を抑制することによって、より高温での固相重縮合が可能となり、その結果固相重縮合速度が上がることによる効率的な高分子量ポリエステルの製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは固相重縮合時のペレット同士の融着の原因の一つが非完全結晶の融解・再結晶化によるものとの知見を得て、熱履歴を受けていない状態のプレポリマーを高温で結晶化させることにより融着を防止できることを見い出し、本発明に到達した。
【0013】
即ち、本発明の目的は、
溶融重縮合により得られたポリエステルプレポリマーを固相重縮合を経て、ポリエステルポリマーを製造する方法において、
該固相重縮合させるポリエステルプレポリマーとして、溶融重縮合反応完結後のプレポリマーを溶融状態に保持しつつ、固相重縮合温度より60℃低い温度から該ポリエステルプレポリマーの融点より30℃低い温度の範囲にある媒体中に導入・固化させた後、結晶化させたポリエステルプレポリマーを固相重縮合に用いることを特徴とする、ポリエステルの製造方法により達成することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法において用いるプレポリマーは、溶融状態で、固相重縮合温度より60℃低い温度から該ポリエステルプレポリマーの融点より30℃低い温度の範囲にある媒体中に導入する必要がある。該媒体の温度が、固相重縮合温度よりも60℃以上低い温度であると固相重縮合初期に融着が起こり易くなる。
【0015】
一方、該媒体の温度が、融点より30℃低い温度以上であると殆ど結晶化が行われない。ここで、溶融状態にあるポリエステルプレポリマーは、例えば、溶融重縮合槽吐出部を介して、直接媒体中に導入しても良いし、また吐出部と媒体中との間を窒素のような不活性ガス雰囲気下としても良い。
【0016】
ここで、該固相重縮合操作としては、従来公知の方法に従って行えば良く、反応条件についても、得ようとするポリエステルの固有粘度、品質に応じて適宜設定すれば良い。
【0017】
尚、本発明の製造方法において、ポリエステルとはポリエチレンテレフタレート系ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート系ポリエステル、ポリエチレンナフタレート系ポリエステルからなる群から選ばれた少なくとも1種のポリエステルであることが好ましく、これらポリエステルの主たる酸成分としてはテレフタル酸成分又は2,6−ナフタレンジカルボン酸成分であり、主たるグリコール成分としてはエチレングリコール成分又はテトラメチレングリコール成分である。ここで「主たる」とは該成分が、全酸成分または全グリコール成分を基準として85mol%以上を占めていることをいう。
【0018】
従って、上記のポリエステルの酸成分として、イソフタル酸成分、2,5−ナフタレンジカルボン酸成分、ジフェニルジカルボン酸成分、ジフェニルエーテルジカルボン酸成分、ジフェニルスルホンジカルボン酸成分、ジフェニルケトンジカルボン酸成分、ナトリウム−スルホイソフタル酸成分、ジブロモテレフタル酸成分、デカリンジカルボン酸成分、ヘキサヒドロテレフタル酸成分、アジピン酸成分、セバシン酸成分、マロン酸成分、コハク酸成分、マレイン酸成分等のジカルボン酸成分が全酸成分の15モル%未満を占めていてもよく、上記のポリエステルがポリエチレンエチレンテレフタレート系ポリエステル又はポリブチレンテレフタレート系ポリエステルの場合には酸成分として、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分が、該ポリエステルがポリエチレンナフタレート系ポリエステルの場合には、テレフタル酸成分が共重合されていても良い。
【0019】
一方、上記のポリエステルのグリコール成分として、ジエチレングリコール成分、トリメチレングリコール成分、ヘキサメチレングリコール成分、ヒドロキノン成分、カテコール成分、ナフタレンジオール成分、レゾルシン成分、4,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルスルホン成分、ビスフェノールA成分、テトラハロゲン置換ビスフェノールA成分、2,2−ビス(4−(p−ヒドロキシエトキシ)フェニル)プロパン成分、シクロヘキサンジオール成分等のジオール成分、グリコール酸成分、3−オキシプロピオン酸成分、サリチル酸成分、m−オキシ安息香酸成分、p−オキシ安息香酸成分等のオキシ酸成分が15mol%未満の範囲において共重合されたものでも良い。また、上記のポリエステルがポリエチレンエチレンテレフタレート系ポリエステル又はポリエチレンナフタレート系ポリエステルの場合にはグリコール成分として、テトラメチレングリコール成分が、該ポリエステルがポリブチレンテレフタレート系ポリエステルの場合にはエチレングリコール成分が共重合されていても良い。
【0020】
本発明の製造方法において、媒体中に導入するポリエステルは、該ポリエステルペレットの強度等の取り扱い易さの点から、溶融粘度が、該ポリエステルの融点+30℃の温度下にて240ポイズ以上であることが好ましい。また、溶融重縮合における熱分解速度を考慮すると、該ポリエステルがポリエチレンテレフタレート系ポリエステルの場合には固有粘度が0.40〜0.7の範囲、ポリエチレンナフタレート系ポリエステルの場合には固有粘度が0.35〜0.55の範囲、ポリブチレンテレフタレート系ポリエステルの場合には固有粘度が0.55〜1.1の範囲にあるポリエステルを、媒体中に導入することが好ましい。
【0021】
本発明の製造方法において媒体としては、上述のポリエステルプレポリマーを導入した際に液相を保持するものであれば、いずれも用いることができるが、特にエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ジエチレングリコールがプロセスで使用されている面から好適に用いることができ、これらの媒体はポリエステルの製造時に留出するグリコールを利用することによってコスト的に有利とすることができる。
【0022】
本発明の製造方法における媒体として上記のグリコール以外には、ポリエステルプレポリマーと非反応性であって、且つ不活性であるものを用いることが好ましく、結晶化後のポリエステルプレポリマーと該媒体とを分離する際の容易性を考慮した時、該媒体としてはプレポリマーを溶解・膨潤させないものが好ましく、例えばアルカン類、シロキサン類、そして部分フッ素置換および完全フッ素置換されている炭化水素を挙げることができ、就中、脂肪族アルカン、例えば、n−トリデカン、n−テトラデカンを用いることが好ましい。
【0023】
本発明の製造方法において、固相重縮合時の取り扱い性等から、例えばダイに近接しているカッターによって押出された溶融状態のプレポリマーを切断し、液粒状に媒体中に導入し、固化させることにより、ペレット状のポリエステルプレポリマーとすることが好ましく、該ペレットの形状は、球状、楕円体状、円柱状等である。該ペレットは、小さい方が結晶化処理時間が短くなり、引き続いて行う固相重縮合における重縮合速度が速くなるが、ポリエステルプレポリマーと媒体との分離処理が困難となり、また固相重縮合時に融着が起こり易くなるため、該ペレットの長径が0.5〜20mmの範囲となるようにすることが好ましい。
【0024】
本発明の製造方法においては、媒体中でポリエステルプレポリマーを滞留させて結晶化を行うが、該滞留時間は10秒間から4時間の範囲にあることが好ましく、結晶化処理の終了したプレポリマーの結晶化度は、ホモポリエチレンテレフタレートの場合は30〜70%の範囲、ホモポリエチレンナフタレートの場合は15〜50%の範囲、ホモポリブチレンテレフタレートの場合は10〜45%の範囲とあるようにすることが好ましく、該結晶化度の範囲内にあると、固相重縮合時に融着が起こらず、結晶化度も適度なものとなる。但し、共重合ポリエステルの場合は上記範囲に含まれるとは限らない。
【0025】
該結晶化処理に必要な時間はポリエステルプレポリマーの種類、分子量、共重合成分によって異なり、一般に低重縮合物であるほど結晶化処理に必要な時間は短く、またポリブチレンテレフタレート系ポリエステルプレポリマーは結晶化処理に必要な時間は相対的に短くなるが、上記の滞留時間内と設定すれば何等問題は無い。
【0026】
本発明の製造方法においては、媒体中でのプレポリマー同士の融着を抑制するために、媒体を流動状態としておき、また適度に該プレポリマーに剪断力を与えることが好ましく、該流動・剪断状態とするには、媒体を攪拌したり、媒体に不活性ガスを吹き込む等の操作を行えばよい。
【0027】
本発明の製造方法においては、結晶化後、ペレット状ポリエステルプレポリマーと媒体とからなる懸濁液を、ポリエステルプレポリマーと媒体とに分離する。該分離操作としては、例えば遠心分離機により容易に行うことができ、分離された媒体は再使用させることもできるし、該媒体としてエチレングリコール等のポリエステル原料を用いた際には、その原料として使用することもできる。
【0028】
尚、該媒体として、アルカン類、シロキサン類、そして部分フッ素置換および完全フッ素置換されている炭化水素を用いる場合には、ポリエステルプレポリマー表面にこれら媒体が残存すると変色したり、分解したりする原因と成りうるが、アセトン、クロロホルム、トルエン、キシレン等の有機溶剤で該プレポリマーを洗浄すれば何等問題は無い。
【0029】
上述したプレポリマーの媒体中への導入はバッチ式、連続式いずれの操作でも可能である。
【0030】
本発明の製造方法においては、媒体と分離したポリエステルプレポリマーは、必要に応じて、該プレポリマーに付着した媒体を真空中にてフラッシュ蒸発させて固相重縮合槽へ送る。該固相重縮合はバッチ式、連続式いずれの操作として行ってもよく、真空下、不活性ガス流通下のどちらで行っても良く、目的とするポリエステルを製造するために、従来公知の方法により行えばよいが、本発明の製造方法によれば、プレポリマーの融着が抑制されているため、固相重縮合温度をポリエステルの融点近傍の温度に設定することも可能である。
【0031】
更に、本発明の製造方法においては、ポリエステルプレポリマーの結晶化後、融点より60℃低い温度から融点より10℃低い温度の範囲で媒体中でそのまま固相重縮合しても良いし、また、媒体中で固相重縮合を行なった後、上述の別の固相重縮合槽に移送して反応を行ってもよく、該媒体中にて固相重縮合を行なう場合は、アルカン類、シロキサン類、そして部分フッ素置換および完全フッ素置換されている炭化水素の如きポリエステルプレポリマーと非反応性であって、且つ不活性である媒体を用いればよい。
【0032】
本発明の製造方法において、ポリエステルを製造する際には、エステル交換反応触媒、重縮合触媒、安定剤を使用することが好ましく、公知のいずれの触媒、安定剤を用いることができ、更に、必要に応じて他の添加剤、例えば顔料等の着色剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、結晶化核剤等を、本発明の目的を奏する範囲内で添加しても良い。
【0033】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、固相重縮合時に問題となるポリエステルプレポリマーペレット同士の融着、又該プレポリマーペレットと反応容器壁面との融着が抑制されるので、高品質な高分子量ポリエステルポリマーを効率良く製造することができる。
【0034】
【実施例】
以下、実施例により本発明の製造方法を更に具体的に説明するが、本発明はこれにより何等限定を受けるものではない。尚、実施例中の各値は以下の方法に従って測定した。
【0035】
固有粘度:
フェノール/テトラクロルエタンを重量比で6:4の割合に混合した混合溶媒中で常法に従って、35℃で測定した。
【0036】
カルボキシル末端基濃度:
試料を200℃のベンジルアルコールに溶解後、該溶液をクロロホルムに分散させたのち水酸化ナトリウム水溶液で滴定し、滴定に要した水酸化ナトリウムの当量から求めた。なお、指示薬はフェノールレッドを用い、溶液の色が黄から淡橙色となった時点を滴定の終点とした。
【0037】
結晶化度:
以下の式に基づいて算出した。
【0038】
【数1】
【0039】
尚、Daについては、ポリエチレンテレフタレートは1.335g/cm3、ポリエチレンナフタレートは1.325g/cm3、ポリブチレンテレフタレートは1.280g/cm3とし、Dcについては、ポリエチレンテレフタレートは1.455g/cm3、ポリエチレンナフタレートは1.407g/cm3、ポリブチレンテレフタレートは1.404g/cm3である。
【0040】
標準偏差:
任意に抽出した固有粘度測定サンプル10点の固有粘度より算出した。
【0041】
[実施例1]
固有粘度0.51、カルボキシル末端基量38当量/ton、285℃に保持した溶融ポリエチレンテレフタレートプレポリマーを、重縮合反応器よりギヤポンプに導入し、径2.5mmのダイよりギヤポンプの吐出圧により溶融プレポリマーを、媒体としての190℃エチレングリコール中に押し出した。押し出された溶融プレポリマーはファン形のカッターにより媒体中にて切断し、ペレットとした。
【0042】
媒体中のプレポリマーペレットはポンプによって媒体と共に攪拌機構付き結晶化槽に送り、該結晶化槽内において30分間攪拌しつつ、結晶化させた。結晶化処理終了後、ペレット状プレポリマーと媒体とを分離し、ペレット状プレポリマーを取り出した。
【0043】
上述の操作によって得たペレット1kgを、熱媒ジャケット付き回転式密閉反応容器内に入れ、これを回転させながら内圧1mmHgにて固相重縮合を行った。その際、ジャケット温度は245℃、反応器内温は240℃とし、内圧1mmHgに保つために窒素を微量通流させた。
【0044】
固相重縮合反応中、反応容器壁面とペレット又はペレット同士の融着は全く生じず、ポリエチレンテレフタレートの分子量は均一であった。結果を表1に示す。
【0045】
[実施例2]
実施例1において、溶融プレポリマーとして、固有粘度0.48、カルボキシル末端基21当量/ton、295℃に保持した溶融ポリエチレンナフタレートを用い、媒体として、220℃のn−テトラデカンを用い、該媒体中にプレポリマーを液粒状にて導入し、媒体中での保持時間を42分間とし、結晶化処理後のプレポリマーをアセトンにより洗浄したこと以外は同様の操作を行った。
固相重縮合反応中、反応容器壁面とペレット又はペレット同士の融着は全く生じず、ポリエチレンナフタレートの分子量は均一であった。結果を表1に示す。
【0046】
[実施例3]
実施例1において、溶融プレポリマーとして、固有粘度0.59、カルボキシル末端基量15当量/ton、250℃に保持した溶融ポリブチレンテレフタレートを用い、媒体として190℃のテトラメチレングリコールを用い、該媒体中にプレポリマーを液粒状にて導入し、媒体中での保持時間を6分間とし、更に、固相重縮合時の反応器内温を210℃としたこと以外は同様の操作を行った。
固相重縮合反応中、反応容器壁面とペレット又はペレット同士の融着は全く生じず、ポリブチレンテレフタレートの分子量は均一であった。結果を表1に示す。
【0047】
[比較例1]
実施例1において、溶融プレポリマーとして、溶融重縮合槽から溶融ポリエチレンテレフタレートをストランド状に吐出させ、水冷固化後、切断して得られた固有粘度0.51、カルボキシル末端基量39当量/tonのポリエチレンテレフタレートペレット用いたこと以外は同様の操作を行った。
一部反応容器壁面とペレット又はペレット同士の融着が生じ、ポリエチレンテレフタレートの分子量にはかなりばらつきがあった。結果を表1に示す。
【0048】
[比較例2]
実施例1において、溶融プレポリマーとして、固有粘度が0.17、カルボキシル末端基153当量/tonである290℃の溶融ポリエチレンテレフタレートを用い、径1.5mmのノズルより130℃に熱せられた窒素ガス雰囲気下に滴下させ、該ノズルの30cm下の媒体としての130℃のエチレングリコールの液面に滴下し、該媒体中での保持時間を5分間としたこと以外は同様の操作を行った。
ポリエチレンテレフタレートの分子量にはばらつきが生じ、一部チップ割れ、また微粉体が発生した。結果を表1に示す。
【0049】
[実施例4]
テレフタル酸100重量部、イソフタル酸4.2重量部、エチレングリコール重量部54重量部を260℃でエステル化反応を行った後、三酸化アンチモン0.03重量部、ヒドロキシエチルジメチルホスフェート0.016重量部を加え、徐々に昇温しながら減圧し最終的に0.5mmHgの減圧下、275℃で溶融重縮合を行って得た、固有粘度が0.50、カルボキシル末端基量22当量/tonである275℃の溶融ポリエチレンテレフタレート共重合体を、実施例1と同様の装置によって媒体としての180℃のエチレングリコール中に液粒状に導入し、該媒体中に55分間保持して、結晶化させた。結晶化処理終了後、ペレット状ポリエチレンテレフタレート共重合体をエチレングリコールと分離し、直径が3mmの球状のペレットを得た。ポリエチレンテレフタレート共重合体ペレット1kgを実施例1と同様の装置により、内圧1mmHg、反応器内温を210℃とし、固相重縮合を行った。
固相重縮合反応中、反応容器壁面とペレット又はペレット同士の融着は全く生じず、得られたポリエチレンテレフタレート共重合体の分子量は均一であった。結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
Claims (17)
- 溶融重縮合により得られたポリエステルプレポリマーを固相重縮合を経て、ポリエステルポリマーを製造する方法において、
該固相重縮合させるポリエステルプレポリマーとして、溶融重縮合反応完結後のプレポリマーを溶融状態に保持しつつ、固相重縮合温度より60℃低い温度から該ポリエステルプレポリマーの融点より30℃低い温度の範囲にある媒体中に導入・固化させた後、結晶化させたポリエステルプレポリマーを固相重縮合に用いることを特徴とする、ポリエステルの製造方法。 - ポリエステルプレポリマーが、ポリエチレンテレフタレート系ポリエステルプレポリマー、ポリエチレンナフタレート系ポリエステルプレポリマー、ポリブチレンテレフタレート系ポリエステルプレポリマーからなる群から選ばれた少なくとも1種のポリエステルプレポリマーである、請求項1記載の製造方法。
- 固有粘度が0.4〜0.7の範囲にあるポリエチレンテレフタレート系ポリエステルプレポリマーを固相重縮合させて固有粘度が0.6〜2.0の範囲にあるポリエステルポリマーを製造する請求項2記載の製造方法。
- 固有粘度が0.35〜0.55の範囲にあるポリエチレンナフタレート系ポリエステルプレポリマーを固相重縮合させて固有粘度が0.4〜0.8の範囲にあるポリエステルポリマーを製造する請求項2記載の製造方法。
- 固有粘度が0.55〜1.1の範囲にあるポリブチレンテレフタレート系ポリエステルプレポリマーを固相重縮合させて固有粘度が1.0〜2.0の範囲にあるポリエステルポリマーを製造する請求項2記載の製造方法。
- ポリエチレンテレフタレート系ポリエステルプレポリマーがホモポリエチレンテレフタレートプレポリマーであって、結晶化後の該プレポリマーの結晶化度を、30〜70%の範囲とする、請求項3記載の製造方法。
- ポリエチレンナフタレート系ポリエステルプレポリマーがホモポリエチレンナフタレートプレポリマーであって、結晶化後の該プレポリマーの結晶化度を、15〜50%の範囲とする、請求項4記載の製造方法。
- ポリブチレンテレフタレート系ポリエステルプレポリマーがホモポリブチレンテレフタレートプレポリマーであって、結晶化後の該プレポリマーの結晶化度を、10〜45%の範囲とする、請求項5記載の製造方法。
- 媒体を、エチレングリコール、テトラメチレングリコール及びジエチレングリコールから選ばれた少なくとも1種のグリコールとする、請求項1記載の製造方法。
- エチレングリコール及びテトラメチレングリコールとして、ポリエステルの製造段階において留出したグリコールを用いる、請求項9記載の製造方法。
- 媒体として、ポリエステルプレポリマーと非反応性であって且つ、不活性である媒体を用いる、請求項1記載の製造方法。
- 媒体として、アルカン類、シロキサン類、部分フッ素置換炭化水素及び完全フッ素置換炭化水素からなる群から選ばれた少なくとも1種の有機化合物を用いる、請求項11記載の製造方法。
- 媒体中に導入したポリエステルプレポリマーの該媒体中での滞留時間を10秒間〜4時間の範囲内とする、請求項1記載の製造方法。
- ポリエステルプレポリマーを媒体中にてペレット化する、請求項1記載の製造方法。
- 媒体中にてペレット化したポリエステルプレポリマーを、該媒体中にて固相重縮合させる、請求項11記載の製造方法。
- ペレットの長径を0.5〜20mmの範囲とする、請求項14記載の製造方法。
- 請求項1〜16のいずれか記載の製造方法によって製造された高分子量ポリエステル樹脂。
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