JP3797264B2 - ハイドロリックブースタブレーキシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パワーステアリングのオイルポンプの油圧を共用して、ブレーキペダルの踏力を倍力するハイドロリックブースタブレーキシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
中小型車のトラックでは、コスト的な負担をかけずにブレーキペダルの踏力を倍力させるために、自動車に装備されているパワーステアリング用のオイルポンプを共用して、該ポンプで発生する油圧をそのまま用いてブレーキブースタを作動させるハイドロリックブースタブレーキシステムが採用されている。
【0003】
従来、このハイドロリックブースタブレーキシステムには、例えば特開平10−167090号に示されているようにパワステ用油圧回路の途中に、直列にブレーキブースタを介装する構造が採用されている。通常、同ブレーキシステムは、重要度の高いブレーキブースタの作動を優先させるために、パワステ油圧回路を構成するエンジン駆動のパワステ用オイルポンプに、ブレーキブースタ、パワーステアリングブースタの順で接続した直列の油圧回路が用いられる。つまり、パワステ用オイルポンプから吐出した作動油が、まずブレーキブースタに供給されてブレーキ機能を優先的に確保してから、その後、ブレーキブースタを通過した作動油がパワーステアリングブースタへ流入してパワステ機能が確保されるようにしてある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ブレーキブースタは、パワーステアリングブースタの下流側に配置されているため、作動条件により、まれにステアリングサーボ機能がブレーキサーボ機能を干渉させる、いわゆるシステム干渉を起こすことがある。具体的には、パワーステアリングブースタによりステアリング操作がアシストされている最中、ブレーキのペダル操作によりブレーキブースタが作動すると、ステアリング操作のアシストに必要な作動油の流量が、パワーステアリングブースタの上流側のブレーキブースタで奪われて一時的に不足し、操作力が一時的に増加するという、ステアリング操作に違和感を与えるハンドルショックをもたらす。
【0005】
そこで、従来、このシステム干渉を防ぐ手立てとして、ブレーキブースタにブースタ作動時、該ブースタのサーボ室へ流れ込む作動油の流量を抑える制限手段を講じて、パワーステアリングブースタに流入する作動油の著しい流量低下を抑えることが行われている。
【0006】
ところが、この処置は、ハンドルショックの改善のために、ブレーキ作動の応答性が犠牲になる問題があり、よりよくシステム干渉を防ぐ処置ではない。
【0007】
本発明は上記事情に着目してなされたものでその目的とするところは、常にブレーキブースタ、ステアリングブースタの相互で規定の作動油流量が確保可能なハイドロリックブースタブレーキシステムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、オイルポンプの吐出側にパワーステアリングブースタを接続して構成されるパワステ用油圧回路と、パワーステアリングブースタと並列に接続され、オイルポンプを共用したブレーキブースタと、オイルポンプの吐出側に設けられ、オイルポンプから吐出される作動油の全流量のうちからブレーキブースタの規定流量を優先して確保し、残る余剰の流量をパワーステアリングブースタへの分配量として、パワーステアリングブースタ、ブレーキブースタへ分配するフロープライオリティバルブとを有し、フロープライオリティバルブには、オイルポンプの吐出側と連通する第1ポート、パワーステアリングブースタの入口側と連通する第2ポート、ブレーキブースタの入口側と連通する第3ポートが外周部に有する筒状のシリンダと、付勢部材で片側に付勢されてシリンダに軸方向に移動可能に収められ、外面に第1ポートからの作動油を受ける受けポートを有したスプールと、受けポートからの作動油をオリフィスで規定量に制限してスプールの内部を通じ付勢部材側のスプール端から第3ポートへ導くブレーキブースタ用流路と、オリフィスで余剰となった流量をスプールとシリンダとの間を通じて第2ポートへ導くパワステ用流路と、ブレーキブースタ用流路に形成され、パワーステアリングブースタの圧力上昇に伴い変位するスプール端により絞られる第1絞り部と、パワステ用流路に形成され、ブレーキブースタの圧力上昇に伴い変位するスプールにより絞られる第2絞り部とを有し、パワーステアリングブースタおよび前記ブレーキブースタの圧力に応じたスプールの変位により、圧力の高い方から低い方への漏れ込みを抑えるよう第1および第2絞り部が絞り制御されて、第3ポートに対し優先して規定流量を分配され、第2ポートに対しその余剰を分配するスプールバルブから構成され、かつスプールバルブは、パワステ用油圧回路のドレン側につながるバイパスポートを有し、さらにスプールとシリンダとの間には当該スプールが当初の位置のとき第2ポートとバイパスポートとの間が連通し、スプールが変位するにしたがい当該間が遮断される開閉部を形成したことにある。
【0009】
これにより、ブレーキブースタ、パワーステアリングブースタの相互は、どのような使用条件下でも、常に規定の流量が確保されるので、一時的に流量不足(ハンドルショック発生)が生じるなどのシステム干渉の発生が防げる。しかも、ブレーキブースタには変更はないので、ブレーキ作動の応答性は損なわれずにすみ、パワステ性能とブレーキ性能とが良好に両立される。そのうえ、ブレーキ性能が損なわれることがない。さらに滑らかな動き、簡単な構造で規定流量の分配が行える。加えて、オイルポンプが吐出不良してもパワーステアリングブースタの作動油の流れが確保される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図1ないし図5に示す一実施形態にもとづいて説明する。
【0015】
図1はハイドロリックブースタブレーキシステムの全体の概略構成を示し、図中1は自動車の走行用エンジン、2は同エンジン1で駆動されるパワステ用オイルポンプ(以下、単にオイルポンプという)である。4はパワーステアリング、5は入力部にブレーキペダル6が接続され出力部にマスタシリンダ7が接続されたブレーキブースタである。なお、7aはマスタシリンダ7につながるブレーキ用リザーバタンクを示す。
【0016】
パワーステアリング4は、前輪(図示しない)を操舵するステアリングハンドル8のステアリング軸8aに介装されるロータリバルブ9(コンロールバルブ)と、同ロータリバルブ9の一対の油圧出入ポートに連通するパワーシリンダ10(前輪とつながる部品)とを組み合わせたパワーステアリングブースタ11から構成してある。
【0017】
オイルポンプ2の吐出側は、ロータリバルブ9の一対の入・出口部11a,11bを介して、オイルポンプ2の吸込側に付いているリザーバタンク12に接続されている。これにより、ステアリングハンドル8を操舵すると、オイルポンプ8からの作動油が、ロータリバルブ9を介して、パワーシリンダ10の操舵側のシリンダ室10aへ導入される。これで、操舵を助けるようにしている。つまり、ステアリングハンドル8の操舵をアシストする回路、すなわちパワステ用油圧回路13を構成している。
【0018】
ブレーキブースタ5は、パワーステアリングブースタ11と並列に接続されている。具体的には、ブレーキブースタ5の入口部5aはオイルポンプ2の吐出側に接続され、出口部5bはリザーバタンク12の入口側に接続されていて、オイルポンプ2から吐出された作動油がパワーステアリングブースタ11にも供給されるようにしてある。
【0019】
またブレーキブースタ5の入口部5aとパワーステアリングブースタ11の入口部11aとが並列に接続される部分には、オイルポンプ2からの吐出された作動油をブレーキブースタ5、パワーステアリングブースタ11にそれぞれ規定流量に分配する分配手段として、例えばフロープライオリティバルブ14が設けてある。フロープライオリティバルブ14には、図2に示されるようなスプールバルブ15が用いられている。
【0020】
このスプールバルブ15の構造について説明すれば、16は例えば金属製のブロックで構成されたハウジングで、このハウジング16の例えば上部には、左側からブレーキ用取出しポート18(第3ポートに相当)、パワステ用取出しポート19(第2ポートに相当)、ポンプ用入口ポート20(第1ポートに相当)が順に形成されている。またハウジング16の例えば下部には、ドレン用ポート21(パイバスポートに相当)が形成されている。これら各ポートのうち、ブレーキ用取出しポート18は、ブレーキブースタ5の入口部5aと連通し、パワステ用取出しポート19は、パワーステアリングブースタ11の入口部11aと連通し、ポンプ用入口ポート20はオイルポンプ2の吐出部に連通し、ドレン用ポート21は、パワステ用油圧回路13のドレン側であるリザーバタンク12の入口側と連通している。
【0021】
ハウジング16の内部には、右側面から各ポート18〜20の下部を通過するよう左方向へ延びる細長の筒状の空間が形成されていて、同部分に筒状のシリンダ23を形成している。このシリンダ23の内周面には、左端側から所定の間隔で、幅広の環状溝24a、幅狭の環状溝24b、幅広の環状溝24c、幅広の環状溝24dが形成されている。そして、環状溝24aが通孔25aを介してブレーキ用取出しポート18に連通し、環状溝24bが通孔25bを介してドレン用ポート21に連通し、環状溝24cが通孔25cを介してパワステ用取出しポート19に連通し、環状溝24dが通孔25dを介してポンプ用入口ポート20に連通している。
【0022】
シリンダ23内には、スプール26が軸方向に移動自在に収められている。このスプール26は、シリンダ23の左端に続くばね室27に圧縮状態で収めた付勢部材、例えばコイルスプリング28で左方向から右方向へ付勢されている。そして、このスプール26の右側端を、シリンダ23の右側の開口にねじ込まれている栓部材29の先端面に押付けている。この状態が当初のスプール位置となる。
【0023】
スプール26は、シリンダ内径より若干小さな外径で、シリンダ23の長さより短い短柱状をなしている。このスプール26の外周面のうち、環状溝24dと対向する外周面部分には、環状溝24dと略同じ幅寸法で環状の切欠き部30が形成されている。この切欠き部30の底面には、オイルポンプ2からの作動油を受ける受けポート31が開口している。
【0024】
スプール26の内部には、一端がスプール26の左端面に開口し、他端が受けポート31に連通する細長の通孔32が形成されている。そして、この通孔32の端側にコイルスプリング28の端部を差し込んである。なお、通孔32は、内壁面を利用してコイルスプリング28の受け座28aを形成するために中央から左側部分の口径を大きくしてある。
【0025】
環状溝24aは、スプール26を挟むシリンダ23の左端に形成される室23aに開口していて、受けポート31で受けた作動油が、通孔32、コイルスプリング28の素線の隙間、室23a、環状溝24aを通して、ブレーキ用取出しポート18へ流れるようにしている。これにより、受けポート31から、スプール26の内部、スプール端を経て、ブレーキ用取出しポート18へ向かうブレーキブースタ用流路34を形成している。また通孔32の入口側には、ブレーキブースタ5で求められる規定流量に制限する専用のオリフィス35が形成されていて、受けポート31が受けるオイルポンプ2の全流量のうち、オリフィス35を通過する流量がブレーキブースタ5の作動に必要な規定流量、余剰の流量がパワーステアリング4の作動に必要な規定流量として分配されるようにしてある。これにより、重要度の高いブレーキブースタ5の規定流量が優先して確保される。つまり、同流量がブレーキ用取出しポート18からブレーキブースタ5へ導ける。
【0026】
スプール26の右側部には、切欠き部30からシリンダ23の右端の室23bにオイルポンプ2の圧力を導く通孔36が形成され、スプール26を挟む左右の室23a,23bにオイルポンプ2の圧力を作用させて、スプール26を変位しやすくしている。この構造を用いて、スプール26は、切欠き部30にオイルポンプ2から吐出された作動油の圧力が加わると、図2に示す当初の位置から図3に示されるように隣合う環状溝24cと環状溝24dとが切欠き部30で連通するまで、左方向へ変位するようにしてある。これにより、分配された余剰側の流量が、切欠き部30、環状溝24cを通して、パワステ用取出しポート19へ流れるようにしている。これで、作動油が、スプール26の外周面とシリンダ23の内周面との間を通して、受けポート31からパワステ用取出しポート19へ導かれるパワステ用流路37を構成している。
【0027】
ブレーキブースタ用流路34には、環状溝24aおよび該環状溝24aを遮る方向に変位するスプール左端の組合わせで形成される絞り部39(第1絞り部に相当)が設けられている。これにより、パワーステアリング4の使用により、パワーステアリングブースタ11側の圧力が上昇すると、スプール26が左方向に変位して(切欠き部30に加わる圧力が増すことによる)、絞り部39が絞られるようにしてある。またパワステ用流路37には、図3〜図5に示されるように環状溝24cと該環状溝24cを開閉する切欠き部30の左端との組み合わせで形成される絞り部41(第2絞り部に相当)が設けられている。これにより、ブレーキの使用により、ブレーキブースタ5側の圧力が上昇すると、スプール26が右方向に変位して(スプール左端に加わる圧力が増すことによる)、絞り部41が絞られるようにしてある。
【0028】
そして、各絞り部39,41が、パワーステアリング4側およびブレーキブースタ5側の圧力変化に応じて変位するスプール26により絞り制御され、圧力の高い方から圧力の低い方への漏れ込みを抑える構造にしている。
【0029】
一方、図2に示されるように環状溝24bと環状溝24cとの間のランド42と対向するスプール26の外周面部分には、環状の切欠き部43が形成されている。切欠き部43は、スプール26が図2に示す当初位置のとき、環状溝24bと環状溝24cとの間を連通し、スプール26が同位置から変位すると、図3〜図5に示されるように同区間が遮断される大きさに設定されている。この切欠き部43で構成される開閉部により、当初位置のときだけ、パワーステアリングブースタ11の入口側とドレン側とを連通させている。
【0030】
そして、上記各絞り部39,41がもたらす流量制御により、パワーステアリング4やフットブレーキの使用に関わらず、常に双方で規定流量が確保される構造にしている。
【0031】
すなわち、こうした並列式のハイドロリックブースタブレーキシステムの作用を説明すれば、今、自動車のエンジンが停止しているとする。
【0032】
このときは、エンジン駆動のオイルポンプ2は停止しているから、図2に示されるようにフロープライオリティバルブ14のスプール26は、コイルスプリング28の付勢力により、右側に有る栓部材29に押付けられた状態となる。
【0033】
つぎに、エンジンが始動されてアイドル状態となると、オイルポンプ2は、エンジン1の始動にしたがい駆動される。これにより、図1に示されるようにオイルポンプ2の吐出部から、所定の一定流量でリザーバタンク12内の作動油が吐出され、フロープライオリティバルブ14へ導かれる。
【0034】
すると、吐出油は、フロープライオリティバルブ14のポンプ用入口ポート20、環状溝24d、スプール26の切欠き部30を経て、スプール26の受けポート31へ導かれる。
【0035】
このとき、受けポート31は、オリフィス35の有る通孔32だけが開放している状態なので、図3に示されるように吐出油は、受けポート31から、オリフィス35で制限されながら通孔32を流れる。
【0036】
このオリフィス35の制限により、優先的にオイルポンプ2の全流量のうちから、ブレーキブースタ5の作動に必要な規定流量が分配され、残りの余剰の吐出油がパワーステアリング4の作動に必要な規定流量として分配される。
【0037】
そして、確保されたブレーキブースタ5側の規定流量が、絞り部39、環状溝24aを経て、ブレーキ用取出しポート18から吐出され、ブレーキブースタ5へ送られる。
【0038】
一方、作動油の分配により、切欠き部30内の圧力が増すと、図3に示されるようにスプール26は、当初位置から左方向へ、環状溝24cと切欠き部30とが連通する位置まで変位する。これにより、確保されたパワーステアリング4側の規定流量は、切欠き部30、絞り部41、環状溝24cを経て、パワステ用取出しポート19へ吐出され、パワーステアリング4のロータリバルブ9へ送られる。なお、スプール26は、予め設定されているオリフィス35の前後の差圧を一定に保つバランスした点に止まる。
【0039】
こうした分配状態は、アイドリング時だけでなく、パワーステアリング操作やフットブレーキ操作を行っていない運転でも同じである(ブレーキ非作動、パワステ非作動)。
【0040】
この走行状態からフットブレーキ操作を行うべくブレーキペダル6を踏込むとする(ブレーキ作動、パワステ非作動)。
【0041】
すると、ペダル操作を受けて、ブレーキブースタ5のサーボ室(図示しない)には作動油が流れ込み、ブレーキペダル踏力を軽減させながら前後輪(図示しない)に制動力を加える。
【0042】
ブレーキ作動時におけるブレーキブースタ5の作動油の圧力上昇に伴い(パワステ圧<ブレーキ圧)、図4に示されるようにスプール左端の圧力が高まるので、スプール26は、右方向へ変位して、オリフィス35の前後の差圧を一定に保つよう絞り部41の絞り面積を小さくさせ、そのバランスした位置で止まる。
【0043】
この絞りにより、ブレーキブースタ5側の作動油は、それより低いパワーステアリングブースタ11側、すなわち環状溝24c以降へ漏れ込むのを抑えながら、一定流量流れ続ける。つまり、スプール26により、ブレーキ圧が上昇しても、ブレーキブースタ5とパワーステアリングブースタ11には作動油が規定流量、分配され続ける。
【0044】
このとき、オイルポンプ2の吐出量が変動、例えば減少することがあっても、オリフィス35の制限により、余剰分(パワステ側)が変化するだけで、ブレーキブースタ5へ送られる規定流量は優先して一定流量確保されるので、ブレーキ作動の応答性が損なわれることはない。
【0045】
一方、ステアリングハンドル8の操作で操舵を行うとする(パワステ作動、ブレーキ非作動)。
【0046】
すると、このステアリング操作を受けて、ロータリバルブ9からパワーシリンダ10の操舵側のシリンダ室10aに油圧が流れ込み、前輪の操舵を油圧でアシストし、ステアリングハンドル8の操舵力を軽減させる。
【0047】
このパワステ作動時におけるパワーステアリングブースタ11の作動油の圧力上昇に伴い(パワステ圧>ブレーキ圧)、図5に示されるようにスプール26の切欠き部30に加わる圧力が高まり、スプール26は、左方向へ変位して、オリフィス35の前後の差圧を一定に保つよう絞り部39の絞り面積を小さくさせ、そのバランスした位置で止まる。
【0048】
この絞りにより、パワーステアリングブースタ11側の作動油は、それより低いブレーキブースタ5側、すなわち環状溝24a以降へ漏れ込むのを抑えながら、一定流量流れ続ける。つまり、スプール26により、パワステ圧が上昇しても、ブレーキブースタ5とパワーステアリングブースタ11には作動油が規定流量、分配し続ける。
【0049】
なお、オイルポンプ2の吐出量が変動、例えば減少することがあっても、オリフィス35の制限により、余剰分(パワステ側)が変化するだけで、ブレーキブースタ5へ送られる規定流量は、優先して一定流量確保される。
【0050】
他方、フットブレーキ操作とステアリング操作との双方が行われると、スプール26は、高まるブレーキ圧と高まるパワステ圧との双方を受けて、オリフィス35の前後の差圧を一定に保つ地点にバランスしながら止まり、図3に示されるときと同様、絞り部39,41の絞り制御が行われる。これにより、スプール26は、各絞り部39,41で圧力の高い方から圧力の低い方への漏れ込みを抑えながら、ブレーキブースタ5とパワーステアリングブースタ11のそれぞれに作動油を規定流量、分配し続ける。
【0051】
このときもオイルポンプ2の吐出量が変動、例えば減少することがあれば、オリフィス35の制限により、余剰分(パワステ側)が変化するだけで、ブレーキブースタ5へ送られる規定流量は、優先して一定流量確保される。
【0052】
それ故、ブレーキブースタ5、パワーステアリングブースタ11の相互は、どのように圧力の使用の条件が変わっても常にそれぞれ規定流量が確保され、ハンドルショックをもたらす一時的な流量不足といったブレーキ/パワステ相互のシステム干渉の発生が防げる。
【0053】
しかも、ブレーキ作動の応答性は損なわれないので、良好にパワステ性能とブレーキ性能とを両立させることができる。特に規定流量の分配には、重要度の高いブレーキ側の規定流量を優先して確保し、余剰の流量をパワステ側の規定流量とするフロープライオリティバルブ14を用いたので、オイルポンプ2の吐出量が変動してもブレーキ性能に影響に与えることはない。
【0054】
そのうえ、フロープライオリティバルブ14は、スプールバルブ15、特にスプール26の内部にブレーキ用流路34を形成し、スプール26とシリンダ23との間にパワステ用流路37を形成し、これら流路34,37に絞り部39,41を形成した構造なので、簡単な構造、さらには滑らかな動きで規定流量の分配ができる。
【0055】
またスプール26は、切欠き部43を用いて、当初位置のとき、パワステ用取出しポート19とドレン側につながるドレン用ポート21との間が連通し、スプール26が変位すると該区間が遮断される構造にしたので、オイルポンプ2の吐出不良(制御流量以下になる場合)、例えば自動車の走行中、何らかの原因によりエンジン1が停止して、オイルポンプ2から作動油が吐出されず、スプール26が当初位置に戻ることがあっても、図2に示されるように切欠き部43を介してパワステ用油圧回路13のドレン側とパワステ用取出しポート19とは連通された状態となるから、同区間の遮断が回避される。これにより、たとえオイルポンプ2が吐出不良を生じたとしても、作動油の流れが確保されるから、ステアリングハンドル8を用いての操舵が可能となり、ステアリングハンドル8はロックせずにすむ。
【0056】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施しても構わない。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1の発明によれば、並列な油圧回路の採用により、ブレーキブースタ、パワーステアリングブースタの相互は、どのような使用条件下でも、常に規定の流量を確保することができる。
【0058】
したがって、一時的に流量不足(ハンドルショック発生)が生じるなどシステム干渉の発生するのを防ぐことができる。しかも、ブレーキブースタ側は変更はないので、ブレーキ作動の応答性が損なわれることはなく、良好にパワステ性能とブレーキ性能とを両立させることができる。そのうえ、フロープライオリティバルブの採用により、オイルポンプの吐出量が変動しても、重要度の高いブレーキブースタ側は常に規定流量が確保されるので、どのような状況でもブレーキ性能が損なわれることはない。さらにフロープライオリティバルブがスプールバルブで構成されているから、簡単な構造で、かつ滑らかな動きで規定流量の分配ができる。加えて、たとえオイルポンプが吐出不良してもパワーステアリングブースタの作動油の流れが確保され、ステアリングハンドル操作が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るハイドロリックブースタブレーキシステムの概略的な構成を示す図。
【図2】同ブレーキシステムのフロープライオリティバルブの構成を、エンジンが停止しているときの作動油の流れと共に示す断面図。
【図3】エンジン始動時のフロープライオリティバルブにおける作動油の分配状態を示す断面図。
【図4】同じくブレーキが作動、パワステが非作動のときにおける作動油の分配状態を示す断面図。
【図5】同じくブレーキが非作動、パワステが作動しているときにおける作動油の分配状態を示す断面図。
【符号の説明】
1…エンジン
2…オイルポンプ
5…ブレーキブースタ
6…ブレーキペダル
7…マスタシリンダ
8…ステアリングハンドル
9…ロータリバルブ
10…パワーシリンダ
11…パワステアリングブースタ
12…リザーバタンク
13…パワステ用油圧回路
14…フロープライオリティバルブ(分配手段)
18…ブレーキ用取出しポート(第3ポート)
19…パワステ用取出しポート(第2ポート)
20…ポンプ用入口ポート(第1ポート)
21…ドレン用ポート(バイパスポート)
23…シリンダ
26…スプール
28…コイルスプリング(付勢部材)
34…ブレーキブースタ用流路
39…絞り部(第1絞り部)
41…絞り部(第2絞り部)
43…切欠き部(開閉部)。
Claims (1)
- オイルポンプの吐出側にパワーステアリングブースタを接続して構成されるパワステ用油圧回路と、
前記パワーステアリングブースタと並列に接続され、前記オイルポンプを共用したブレーキブースタと、
前記オイルポンプの吐出側に設けられ、前記オイルポンプから吐出される作動油の全流量のうちから前記ブレーキブースタの規定流量を優先して確保し、残る余剰の流量を前記パワーステアリングブースタへの分配量として、前記パワーステアリングブースタ、前記ブレーキブースタへ分配するフロープライオリティバルブとを有し、
前記フロープライオリティバルブは、
前記オイルポンプの吐出側と連通する第1ポート、前記パワーステアリングブースタの入口側と連通する第2ポート、前記ブレーキブースタの入口側と連通する第3ポートが外周部に有する筒状のシリンダと、
付勢部材で片側に付勢されて前記シリンダに軸方向に移動可能に収められ、外面に前記第1ポートからの作動油を受ける受けポートを有したスプールと、
前記受けポートからの作動油をオリフィスで規定量に制限して前記スプールの内部を通じ前記付勢部材側のスプール端から前記第3ポートへ導くブレーキブースタ用流路と、
前記オリフィスで余剰となった流量を前記スプールと前記シリンダとの間を通じて前記第2ポートへ導くパワステ用流路と、
前記ブレーキブースタ用流路に形成され、前記パワーステアリングブースタの圧力上昇に伴い変位する前記スプール端により絞られる第1絞り部と、
前記パワステ用流路に形成され、前記ブレーキブースタの圧力上昇に伴い変位する前記スプールにより絞られる第2絞り部とを有し、
前記パワーステアリングブースタおよび前記ブレーキブースタの圧力に応じたスプールの変位により、圧力の高い方から低い方への漏れ込みを抑えるよう前記第1および第2絞り部が絞り制御されて、前記第3ポートに対し優先して規定流量を分配され、前記第2ポートに対しその余剰を分配するスプールバルブから構成され、
かつスプールバルブは、前記パワステ用油圧回路のドレン側につながるバイパスポートを有し、さらに前記スプールと前記シリンダとの間には当該スプールが当初の位置のとき前記第2ポートと前記バイパスポートとの間が連通し、スプールが変位するにしたがい当該間が遮断される開閉部が形成されている
ことを特徴とするハイドロリックブースタブレーキシステム。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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